二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 神様のノート 一冊目
- 日時: 2015/05/12 18:40
- 名前: 奏月 昴 (ID: rBo/LDwv)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=28346
始めまして、奏月昴と申します。
pixivでも活動していますが、別の所でも活動したくなり、こちらにやってきました。
基本pixivと同じものを載せていく予定なので、お好きな方を閲覧下さい。
とりあえず今は現在進めているシリーズ物を載せますが、ちょこちょことお引越しさせていく予定です。
設定わかんないけど興味がある方、pixivまでお越しいただけるとありがたいです。
何かいい加減ですみません…。
それでは、よろしくお願いします。
※ざっくばらんなあらすじ
会社から帰宅途中に何故か宙に浮いている少年、MZDと出会った私こと、創造者。
彼から貰った創世ノートを使い、世界と創造者の分身、奏月昴を生み出し、この世界の神様として中からの管理を命じる。
その際、昴と約束し、私の事は他言無用とすることになった。
昴は生まれたその日に、この世界で烈達つぎドカ!メンバーと出会い、仲良くなる。
ある日、創造者から教えられた創世ノートの機能である『召喚』を用い、烈達の記憶と姿、力を基にして鏡達を生み出す。
そして二学期が始まる頃、八十稲羽から悠達ペルソナメンバーが、ペルソナが現実でも呼べるようになり、流石に稲羽にはいられないという事で、烈達が通う学校に転校して来て、仲良くなった。
色々あり、十二月。烈達つぎドカ!メンバーがバトルしてから一年後、パステルくんはワンダークロックと呼ばれる巨大時計をジョーカー一味に壊されている事を思い出し、一人立ち向かおうとするも、それをつけていた烈達つぎドカ!メンバー。
彼等の力を借り、ジョーカーを倒し、ワンダークロックを無事直すことが出来た。
ジョーカー達とは和解し、現在はつぎドカ!メンバーの家に、ジョーカーは昴のいる神殿に住むことに。
ワンダークロックが壊れた影響なのか、全ての人々の体の時間が戻ろうとしており、現在、年齢はそのままで一年をやり直している。
昴の管理と私の監視、それに限界を感じた私は、MZDの提案で、戦い慣れた人をノートの世界に永住させる事を決意。
その時、私が高校時代に考えた理乃達が適任という事になり、彼女等の世界をノートの中に作り出し、全てを話した上で永住してもらう事に。現在は悠達と同じ学年で生活している。
私
—とまぁ、見て分かるかわからないけど、主要となる人物は、つぎドカ!、ペルソナ4、ジョーカー達、それからオリジナルキャラとして理乃ちゃん達になるかな。
昴
「あ、簡易的なキャラ紹介は、もう一個の“ノートに刻まれた一頁”に移したので、そちらを見てくれよな。URLからも飛べるぞ。」
5/12 最終更新
『目次』
☆料理対決シリーズ
〔第一回・可憐な乙女の料理対決〕
・栗拾いからの料理対決へ&華の乙女の料理対決! >>154-160
・実食 完二&烈&鏡&悠 >>164-168
・実食 凪&陽介&クマ&風雅 >>173-177
・結果発表からのO・SHI・O・KI・DEATH☆ >>180-186
〔第二回・続・可憐な乙女の料理対決〕
・料理対決・再び >>1-7
・実食 ローズ&鏡 >>8-11
・実食 完二&リリィ >>12-15
・実食 悠&風雅 >>16-19
・実食 凪&セシル >>20-23
・実食 陽介&クマ >>24-28
・実食 フランシス&烈 >>29-34
・結果発表と例のアレ >>35-43
〔第三回・豪傑な男の料理対決〕
・何でどうしてこうなった(By昴) >>44-49
・実食 氷海&雪花 >>50-53
・実食 七海&由梨 >>56-59
・実食 鈴花&直斗 >>60-63
・実食 葉月&雪子 >>64-67
・実食 千枝&牡丹 >>68-71
・実食 理乃&りせ >>72-76
・結果発表! >>77-86 ※募集は締め切りました
・O・SHI・O・KI☆前半戦 >>94-101
・O・SHI・O・KI☆後半戦 >>110-123
〔第四回・男女混合料理対決地獄編〕
・戦いをもう一度 >>203-209
・実食 一番&二番 >>222-227
・実食 三番&四番 >>233-237
・実食 五番&六番 >>247-253
・実食 七番&八番 >>260-264
・実食 九番&十番 >>286-290
・実食 十一番&十二番 >>301-306
・実食 裏回 >>326-342
・結果発表! >>384-398 ※募集は締め切りました
・賢者に慈愛を、愚者には罰を 賢者編 >>662-671
〔第五回・料理対決・頂上決戦!〕
・評価五のための頂上決戦! >>415-420
〔番外編・審査員一新!? 選抜メンバーの料理対決!〕
・死亡フラグ立たせた奴。前出ろ。前だ。 >>716-723
・実食 一番&二番 >>728-733
・実食 三番&四番 >>738-743
・実食 五番 >>751-756
・対決 五番の料理 >>784-794
・大団円と実食 六番 >>814-822
・実食 七番&八番 >>840-848
〔番外編・挑戦者=変動審査員!? ゲストもありな料理対決!〕
・概要と募集要項 >>856※募集は終了しました
☆言葉泥棒とワンダークロックシリーズ
・言葉が消えた理由 >>435-441
・異次元に突入! >>442-446
・激突! 鈴花VSローズ >>451-455
・激突! 風雅VSフランシス >>456-460
・激突! 烈VSリリィ >>464-469
・激突! 氷海VSセシル >>470-474
・激突! つぎドカ!VSジョーカー >>478-484
・揺蕩いから、覚醒めの時へ >>485-488
・激突! パステルくんVSジョーカー >>491-497
・おかえりの味とただいまの涙 >>498-506
☆マヨナカテレビ事件シリーズ
〔氷海編〕
・虚ろな映身は現身を打つ >>523-532
・穿たれた水器(みずうつわ) >>533-537
・囚われの氷硝 >>540-545
・冷酷なる御霊 >>546-553
・氷雪の女王 >>563-568
・悪夢の終わり >>569-578
・雲の向こうに捧ぐ向日葵の花 >>582-585
☆神様・悪夢相談室シリーズ
・悪夢:ケース「赤羽 烈」>>805-808
・悪夢:ケース「青柳 氷海」 >>831-835
☆もしももしものちいさなおはなしシリーズ
・カラオケネタ >>192-195 ※募集は締め切りました
・どっちの料理ショー >>274-276
☆ノートの世界のTwitter事情シリーズ
・アカウント一覧 >>589
〔本編〕
・その一 >>590-594
・その二 >>595-598
・その三 >>606-609
・その四 >>614-616
・その五 >>622-623
・その六 >>630-632
・その七 >>633-634
・その八 >>317-319
〔番外編〕
・Let's Twitter with JOMANDA >>602-605
・Let's Twitter with JOMANDA2 >>617
・Let's Twitter with JOMANDA3 >>776-778
・異世界の料理対決 その一 >>880-888
☆新・ワイルド能力者のコミュ事情シリーズ
・烈&氷海 ランク1 >>644-649
☆短編
・はんぶんこ >>128-129
・リミットブレイクと暴走娘 >>133-135
・フラワーギフト >>140-147
・年末恒例巫女さんバイト >>349-359
・玉より食物 >>365-371
・「リンちゃんなう!-Try to Sing Ver.-」 rejected by 相方の皆さん >>510-515
・没案「第四回料理対決六番の料理」 >>516
・思いつくままに書いてみた料理対決案 >>558
・没案「第四回料理対決・その後」 >>624 答え+α >>629
・バレンタインデー☆パニック! >>681-689
・猫の猫による猫のためのお花見 >>699-704
・お知らせと次々回予告(!?) >>708-709
・ほのぼの日和 >>770-772
・小ネタつめつめ >>863
・前奏曲・異世界の第六回目 >>866-868
・お知らせと紹介と >>891-893 new!
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- 悪夢の終わり その七 ( No.575 )
- 日時: 2015/01/22 23:13
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: F1jZpOj6)
氷が割れた事に気が付いたのか、氷海の影は悲鳴をあげた。
その体は既にボロボロで、本体まで後もう一息、と言ったところまで追い詰められていた。
『そっ、そんな…! そんなそんなそんなっ…!』
「天城、やったんだな!」
「これでひと安心だね!」
雪子の頑張りに気付いた仲間達は、再び氷海の影に向き直る。
『嫌…! 嫌、いや、イヤアァァァッ!』
最後の抵抗か、あるいは感情の暴走か。氷海の影の周りに、氷の礫が漂う。
『消えて! 消えてきえてキエテ!』
礫は一直線に飛ぶ。烈を抱える、アマテラス目掛けて。
「! 雪子っ!」
「きゃあぁっ!」
千枝が叫ぶも、アマテラスに攻撃が当たり、ペルソナのダメージが雪子にも伝わる。
弱点である氷結属性をまともに食らい、倒れそうになる雪子。
(駄目…! ここで倒れるわけには、いかないのよっ!)
だが、倒れそうになる足を踏み止め、ダンッ! と力強く床を踏み、堪える。
『キエテ! キエナサイヨオォォッ!』
何度も何度も、アマテラスに氷の礫が当たり続けるも、雪子は何度も踏ん張り、アマテラスを前へと進ませた。
「アナンタ!」
そんな時、悠が運命のカードを砕き、七つのコブラの頭を持つペルソナ、アナンタを召喚させた。
「【白の壁】で天城を助けろ!」
悠がアナンタに命じると、アナンタはすぐに雪子に白い光の壁を張った。
これで、雪子の氷結属性に対する弱点が耐性へと変わる。氷海の影は氷結属性に対する耐性等を無効にする為、実質弱点だけが消える形となった。
「ありがと、鳴上君! アマテラス!」
雪子は悠の後押しで、更にアマテラスを進める。
『いやっ! こっ、来ないで!』
アマテラスが勢いづいた事に気が付いたのか、氷海の影は様々なシャドウを呼び出し、アマテラスの行く手を阻む。
「くっ、これじゃ進めな」
「スクナヒコナ、【メギドラオン】!」
雪子が悪態をつくと同時に、直斗が万能属性スキルで敵を一掃する。
「天城先輩、行って下さい!」
「直斗君!」
「…これは、僕の勘に過ぎませんが…氷海さんのシャドウの最後の鎧を破るには、烈君の力が必要だと思うんです。だから、行って下さい!」
「そーそー! 雪子、周りのシャドウはあたし達に任せて!」
「センパイ、気張って行って下さいッス!」
「みんなでレツをヒーチャンのシャドウに届けるクマー!」
仲間達の後押しに、雪子は思わず笑みを見せた。
「天城、今から俺が【マハガルダイン】で道を作る! シャドウの力は氷結だけだろうし、反射してきても平気だかんな。」
「任せたよ、花村君!」
「行くぜ、スサノオ! いっちょ決めてやれ、【マハガルダイン】!」
陽介は風を一直線上に吹かせ、シャドウ達を消滅させていく。
途中、疾風反射をする敵がいたが、今の陽介に風属性は効かなかった。
「アマテラス!」
雪子の声に答えたアマテラスは、氷海のシャドウの目の前で止まり、烈を前に出した。
- 悪夢の終わり その八 ( No.576 )
- 日時: 2015/01/22 23:18
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: F1jZpOj6)
『い、いや…! いや…!』
「…氷海。」
『! あ…。れ、烈…!』
烈に気がついた氷海の影は、怯えたまま、烈を見る。
それに気がついた烈は、小さく笑顔を見せながら、氷海の影が纏う鎧をそっと撫でた。
「…ごめんな、今まで、お前の気持ちに、気付いて、やれなくて…。」
『…。』
「近くに、いたのに…何一つ、気付けないで…。俺、馬鹿、だよな…。うん、馬鹿で、ごめん…。」
氷海の影は、ふるふると首を横に振る。
『…貴方がみんなから少し離れて歩いているのがわかってから、覚悟はしていたわ。』
「…。」
『思えば私…それも、知りたかったのかも知れない。烈の心に影を落とすそれを知って…救いたかったのかも知れないわね。…貴方を、過去の呪縛から。』
「…。」
烈は黙ったまま、氷海の話に耳を傾ける。
『…烈、一つだけ、聞かせて。』
「ん?」
『…私の事を…嫌いになった? こんなはしたない考えをする女…嫌いに、なった?』
その答えを聞くのが怖いのか、氷海の影の体が、震えだす。そんな彼女を見て、烈は微笑んだ。
「…ならねぇ、よ。」
『えっ…?』
「確かに、ちょっと、ビックリした…。お前に、そんな、一面が、あったなんて、さ。…でも、嫌いになんか、ならねぇ、よ。…そんな事で、嫌いに、なってたら…元々、仲間にすら、なってねぇって。」
『…烈…。』
「氷海こそ…俺に、幻滅、したんじゃ、ないか…? こんな、鈍感な、俺にさ…。」
今度は逆に、烈が問い質すと、氷海の影は烈の額に自身の額をくっつけた。
『…そんな事で嫌いになるなら、初めからここまで深く愛したりなんかしていないわ。…そうでしょ? 私…。』
氷海の影は、氷海に話を振る。氷海はそれに、頷いた。
「ええ…。きっと、そんな烈だからこそ、私は好きに、なれたのよ…。」
「…そっか。」
「…烈、私からもひとつ、いいかしら…。」
おずおずと問いかける氷海に対し、烈は頷く。
「…こんな事を仕出かして言う台詞じゃないのはわかってる…。でも、聞かせて。」
氷海はゆっくりと顔をあげ、烈に視線を合わせる。
「…これからも…今まで通り、貴方に接していい…?」
「…。」
烈は小さく微笑み…氷海を見て、頷いた。
「ああ。…俺が答えを出すまで…いや、出しても…一緒に、いてほしいんだ。」
そして、屈託のない、あどけない少年のような笑顔を浮かべる。
「お前が、後ろにいねぇと…調子、狂っちまうし、な。」
「…馬鹿。」
『フフッ、でも、烈らしいわ。…ありがとう、烈。』
氷海の影を纏う鎧が、音を立てて崩れ去る。そして、一点の穢れもない白いワンピースを着た美しい女性の姿が露になった。氷海の影の、本体だった。
「…ああ。」
烈はそう言って、アマテラスにもたれ掛かり、意識を飛ばした。
氷海の影の本体は、笑顔でアマテラスの上で眠る烈を見てから、砕けた氷の上に倒れこんだ。
「本体がダウンした!」
「きっと、烈君の暖かい気持ちが通じたんだ…! 花村君! 今なら総攻撃できるよ!」
「ここでも陽介!?」
完全にいないものとして認識されているリーダーの悠は何かを言うも、
「天城は烈を連れてっから下がってろ! 里中、完二、直斗、クマ、行くぞ! 全員、総攻撃!」
「おうっ!」
「…陽介…。」
無視を決め込み、更には相棒にまで見放され、悠はがっくりとうなだれる。が、完全にそれを無視して陽介達は武器を構えた。
「さぁ、これで最後だよ! アーユーレディ!?」
「行くぜ、みんな!」
りせの声援で力を得た一同は、氷海の影に強力な攻撃を与えた。
『…フフッ、ここで…消えるの、ね…。』
氷海の影は、小さく呟きながら、周りのシャドウと共に、黒い粒子を散らせていった。
『…でも…正直、満足よ…。』
その表情はどこか、晴れやかだった。
- 悪夢の終わり その九 ( No.577 )
- 日時: 2015/01/22 23:24
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: F1jZpOj6)
「…。」
氷海は元の姿に戻った影氷海を目の前にし、ゆっくりと歩いていった。
「…私は、どうあっても、烈の事を諦めきれない。…その心が、貴方を生み出してしまったのね…。」
『…。』
そう言うと、氷海は笑顔を見せ、氷海のシャドウを抱きしめた。
「…烈の事が大好き。烈の事を愛している。…烈の事を愛しすぎて…烈に嫌われる事を恐れた。烈が誰か他の人の元に行くのが怖かった。」
『だから、私は…烈を束縛した。分厚い氷で閉じ込めて、誰にも触れられないように…。』
烈を誰にも触れさせたくない。その姿も、その心も、自分に向けてほしい。それが表されたのが、あの堅牢な氷の牢だった。
「…そこまで烈を愛しすぎて、周りが見えなくなる…。ふふっ、貴方は…私ね。」
『…ようやく、分かってくれたのね…。』
『ありがとう。』そう、切なさそうな声を出し、笑顔で光に包まれ、消えていった。
「き、消えちまった…?」
(今、きちんとシャドウを受け入れていたはず…。なのに、何故ペルソナにならないのでしょうか…。)
ペルソナとしての形をとらずに、そのまま消えたシャドウに、陽介は狼狽え、直斗は考えを巡らせていた。
そんな中、氷海はシャドウが消え去った光を目で追うように、上を見上げた。
「…私こそ、ありがとう…。それから、ごめんなさい…。」
そう呟いた後、氷海の体は崩れ落ちた。
「氷海ちゃん!」
雪子が慌てて駆け寄り、氷海を助け起こした。
「わ、私は大丈夫です…。烈は…?」
「大丈夫。体温も戻ってきたし、そのうち目を覚ますよ。」
「よかった…。」
心から安心したのか、氷海はほっと安堵の息をついた。
が、すぐに表情を暗くさせ、全員を見た。
「…あの…すみません、皆さんを心配させただけでなく、ここまで巻き込んで…。」
自分のせいで彼らが危険な目にあったのが、どうしても心苦しかった。だから、氷海は謝罪をしたかった。
そして、一番傷つけてしまった最愛の烈にも、目を覚ましたら謝罪しよう。そう考えていた。
…だが、そんな事を気にする彼らではなかった。
「なーに言ってんだよ。別に巻き込まれたとか思ってねぇって。」
「うん! これが、あたし達自称特別捜査隊の仕事だもん!」
「巻き込まれたなんて思っていたら、助けてませんよ。」
当たり前の事のように話す陽介、千枝、直斗の三人。
「烈だってそうだ。お前を助け出したい一心で、オレ等についてきたんだ。足手纏いになる事を分かっていながらもな。」
「レツは、ヒーチャンとの日常を守りたかったクマねー。セイシュンは初恋のように甘酸っぱいクマー。プププー。内心、レツもヒーチャンの事」
「おい…クマ…。それ以上、言ったら…燃やす…!」
意識を取り戻したのか、完二に背負われたままの烈が、けだるそうに、だが睨みを利かせ、語気荒くクマに言った。
「クマはカンで言っただけクマよー? 本当にレツは」
「…。」
「…ゴメンクマこれ以上何も言わないクマだからそんなにクマを睨み付けないでほしいクマスーチャンがやるみたくローストハムにされるのはイヤクマ!」
元気になったら燃やされる。その考えにようやく至ったのか、クマは土下座が出来ない体でも、必死に土下座のような体勢をとって謝った。
これにはその場にいた一同、全員の笑いが起こる。氷海も、微笑を見せている。
「完二…。もう、大丈夫だから…下ろしてくれ…。」
「あぁ? 体冷え切ってんのに無理すんじゃねぇよ。お前、チビッこいからそんなに重くねーし、もちっと背負われとけ。」
「誰が…チビだ…っつーの…!」
完二の背中で吼える烈だが、やはりまだ覇気がない。長時間寒い空間で体温と体力を奪われたのが、まだこたえているのだろう。
「ともかく、早く烈を病院に連れて行こう。恐らく軽度の低体温症で済んでいそうだが、診せた方がいいだろう。氷海も休ませた方がいい。」
「そうだね。早く入口に…!」
悠の提案で入口に戻ろうとしたところで、りせが何かを察知してヒミコを呼び出した。
- 悪夢の終わり その十 ( No.578 )
- 日時: 2015/01/22 23:31
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: F1jZpOj6)
「っ、雪子センパイ! 後ろっ!」
「えっ!?」
なんと、雪子の背後から、黒い壷に入った女性型シャドウ、呪い女の壷が一体飛び出してきたのだ。
「なっ…!?」
相手は既に至近距離に迫っており、これではアマテラスを出す事はできずにやられる。そう思った雪子は、咄嗟に氷海を抱きしめるように庇った。
「粛清、されなさい!」
氷海はそんな雪子の背後から、能力を放つ。
氷の礫が直撃した呪い女の壷は、その場で崩れ落ちてしまった。
「えっ!? ひ、氷海ちゃんの攻撃、効いてる!?」
「マジ!? って、狼狽えてる場合じゃないよね! 雪子、行ける!?」
「いいよ、千枝! 来て! アマテラス!」
「行けっ! スズカゴンゲン!」
氷海を陽介に任せ、雪子と千枝は互いにペルソナを召喚させる。
そして目の前の敵を睨み付け、同時に力を放った。
「はぁっ!」
「ずどーん!」
二人の力に当てられた呪い女の壷は、消失していく。
「あー、びっくりした。雪子、大丈夫だった?」
「うん、氷海ちゃんのお陰で。…でも、烈君の時はまるでダメージなかったのに、何で…?」
首を傾げる雪子。
「…恐らく、氷海さんが自分のシャドウを受け入れたから、でしょう。そしてシャドウはペルソナに昇華し、攻撃が通用するようになったのではないでしょうか。」
その答えは、直斗が出してくれた。
「ペルソナとして目覚めたんじゃなくて、ペルソナの加護だけが氷海ちゃんの力になった、って事?」
「そう、だと思います。…以前、桐条さんからペルソナの適性の話を聞いた事があります。恐らく、氷海さんにはペルソナを具現化させるほどの適性はない。だが、自身のシャドウを受け入れる強さはあった。故に、ペルソナとして形をとらず、シャドウと対抗する為のペルソナの加護を得たのでしょう。初めてなので、憶測の域を出ませんが。」
「じゃあ、シャドウに攻撃が効いたのも、ペルソナの加護を得たから…?」
「その話、後にしねぇか? 烈も病院に連れてかねぇとやべぇし、氷海の親も心配してんだろ。」
完二がそう言うと、全員我に帰ったように思い出した。
「そうだよ! 烈君やばかったんじゃん!」
「鳴上君、【トラエスト】、お願い。」
「そうだな。えーっと…あ、いた。ザントマン!」
舞い降りてきた剛毅のカードを砕くと、月の形をした顔で袋を持ったペルソナ、ザントマンが現れた。
「【トラエスト】!」
悠がザントマンに命じると、一同の姿は光に包まれ、その場から消えていった。
■
光が収まると、そこは氷海のダンジョンの入口だった。
彼らはすぐにクマテレビの前へと戻り、出口を潜った。
「…お帰り、の前に約二名、病院送りにした方がいいな。」
テレビから出るなり、昴がそう告げる。
「そうしていただけるとありがたいです。事情は後で話します!」
「いや、いい。…りせ。お前だけ残れ。クマと完二と陽介、悠は氷海と烈を病院に。直斗と千枝と雪子は烈んちに行って事情説明だ。それが終わったら、全員、寮に帰れ。」
「はい!」
昴が手早く指示すると、一同はすぐに外へと出ていった。
そして、その場にはりせだけが残る。
「…昴さん、何で私を残したの?」
「ん? お前が一番手っ取り早いからさ。創世手帳、出せ。」
「えっ? う、うん。はい。」
りせは創世手帳を取りだし、昴はそれを創世ノートに乗せた。
「な、何してるの? 昴さん。」
「アイツがこういう時の為に、ちょっと特殊な機能を手帳に加えた。…俺達の管轄外の場所に行った時に、自動的にお前らが経験した事を記録するようにしたんだ。今それを、この創世ノートに吸い出してるんだ。」
「えっと、よくわかんないけど、何か手っ取り早そうってのは分かった。」
「…うん、それだけわかってくれんならいいよ。よし、終わり。ほら、返す。」
りせの創世手帳に刻まれた物語を創世ノートに同期させた後、昴は彼女に創世手帳を返し、黙ってノートを見る。
その間、りせは黙って昴を見守っていた。
「…今回はえらい大変だったな。」
「ほんとだよ、もー。【氷結ガードキル】のチート版は現れるし、氷海ちゃんのシャドウは強いし、女の敵は何の役にも立たないし…。何か、今回でちょっと自信無くしちゃったな…。」
「うん、女の敵は置いておこうか。ともかく、ご苦労だったな、りせ。」
「当たり前の事をしただけだよ。私達だって、氷海ちゃんがいなくなるの、嫌だったからね。」
昴の労いに、りせはにこやかに答える。
「それよりも…セシルは、大丈夫そうなの…? 朝、ショックでこっちに来たって聞いたけど…。」
「ああ、もう、大丈夫だろう。氷海も無事、戻ってきたしな。」
「よかった…。」
りせはほっと、安堵の息をついた。
「…りせ、お前も寮に戻って休め。理乃達が飯作って待ってんだろ?」
「おっと、そうだった! じゃあ、私、もう戻るね!」
その言葉を残し、りせは仲間達が待つ寮へと戻って行った。
「…。」
—浮かない顔だね。
(【マハ氷結ガードキルオート】とかいう変なスキルを持つイレギュラーなシャドウが現れたんだ。そりゃ、浮かなくもなるさ。)
—そうだね。…それに、犯人に繋がる手がかりを、氷海ちゃんが持っている保証も無い。…この事件、長引きそうだね。
創造者の文面を見た昴は、心の中で小さく(…ああ。)と呟いた。
—けど、新しい仲間は増えそうだよね?
(…あぁ、氷海の事か。確かにシャドウに攻撃が通じるようになったんだ。それに…氷海も、きっとアイツ等の力になりたいとか言って、一緒に行動するんだろうな。)
—そうだね。氷海ちゃんの事だし、放っておけないと思うよね。
(…あんまり危険な目に遭わせたくないけど…でも、そんな目に遭うだろうという事を見越して、鍛錬しているんだからな。止める方が失礼か。)
昴は溜息を吐きながら、肩を竦めた。
(まぁ、何にせよ、今は氷海が無事に戻ってきたんだ。その代わり烈が馬鹿をしたみたいだから、後で軽くお説教と…。)
—女の敵は軽くじゃ無くていいよ。死なせない程度に殺っておいて。
(…了解。まさかほぼ全員にフラグ期待してるなんて思わねぇよな…。)
烈と悠にどうお説教をしてやろうか、そう考えながら、昴は夕食の支度をしに台所へと向かっていった。
■
自分がいない間の出来事を見た風花は、一つ溜息をついた。
「随分、特殊なシャドウが現れたんだね…。」
「うん。【マハ氷結ガードキルオート・永続版】もそうだけど…今思えば、氷海ちゃんの技…。」
「【スノープリズム】だっけか。けど、あの威力は…。」
「それに、混乱状態にも陥っているような印象も受けました。普段使う【スノープリズム】とは別物…。【スノープリズム・改】と言った所でしょう。」
思わぬ力を持つシャドウに、風花は不安になった。
「(この件は、必ず桐条先輩に報告しないと…。特異的なシャドウが何を意味するか分からないけど、話しておかないと対策を練れない…。もしこれから先、こんなシャドウが現れたら…!)あ、そうだ…。この後、どうなったのかな? 氷海ちゃんと烈君。」
「それは次。」
昴はまたもページをめくった。
■
私—ラスト前だけど、ここで区切ります。
昴「感想あればどうぞ。」
- Re: 神様のノート ( No.579 )
- 日時: 2015/01/23 02:14
- 名前: エイヴ ◆.Z4zYzVCxs (ID: lQjP23yG)
- 参照: http://www.pixiv.net/member.php?id
次で最終回ですか……(´ω`)
長かったけど、ひとまずは一段落つくんですね(´ω`)
りせも雪子も悠も、みんなあの時はお疲れ様でした(=・ω・)ノ
では、話は変わって……
ディクト「新しい料理対決の案ができちゃったけど……僕が言っててなんだけど、クトゥルフ料理同士で戦わせるって相当なカオスになりそうw」
巡人「料理が戦うなんていう光景自体考えられないし……(^_^;)」
和斗「戦いの飛び火(料理の破片が誰かの口に入ったとか、料理の一部がこっちに来たりとか)も喰らいそう……」
……フラグだらけですね(震え声)
それでは(^∀^)ノ
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