二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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神様のノート 一冊目
日時: 2015/05/12 18:40
名前: 奏月 昴 (ID: rBo/LDwv)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=28346

始めまして、奏月昴と申します。
pixivでも活動していますが、別の所でも活動したくなり、こちらにやってきました。

基本pixivと同じものを載せていく予定なので、お好きな方を閲覧下さい。


とりあえず今は現在進めているシリーズ物を載せますが、ちょこちょことお引越しさせていく予定です。
設定わかんないけど興味がある方、pixivまでお越しいただけるとありがたいです。
何かいい加減ですみません…。

それでは、よろしくお願いします。


※ざっくばらんなあらすじ
会社から帰宅途中に何故か宙に浮いている少年、MZDと出会った私こと、創造者。
彼から貰った創世ノートを使い、世界と創造者の分身、奏月昴を生み出し、この世界の神様として中からの管理を命じる。
その際、昴と約束し、私の事は他言無用とすることになった。

昴は生まれたその日に、この世界で烈達つぎドカ!メンバーと出会い、仲良くなる。
ある日、創造者から教えられた創世ノートの機能である『召喚』を用い、烈達の記憶と姿、力を基にして鏡達を生み出す。

そして二学期が始まる頃、八十稲羽から悠達ペルソナメンバーが、ペルソナが現実でも呼べるようになり、流石に稲羽にはいられないという事で、烈達が通う学校に転校して来て、仲良くなった。

色々あり、十二月。烈達つぎドカ!メンバーがバトルしてから一年後、パステルくんはワンダークロックと呼ばれる巨大時計をジョーカー一味に壊されている事を思い出し、一人立ち向かおうとするも、それをつけていた烈達つぎドカ!メンバー。
彼等の力を借り、ジョーカーを倒し、ワンダークロックを無事直すことが出来た。
ジョーカー達とは和解し、現在はつぎドカ!メンバーの家に、ジョーカーは昴のいる神殿に住むことに。
ワンダークロックが壊れた影響なのか、全ての人々の体の時間が戻ろうとしており、現在、年齢はそのままで一年をやり直している。

昴の管理と私の監視、それに限界を感じた私は、MZDの提案で、戦い慣れた人をノートの世界に永住させる事を決意。
その時、私が高校時代に考えた理乃達が適任という事になり、彼女等の世界をノートの中に作り出し、全てを話した上で永住してもらう事に。現在は悠達と同じ学年で生活している。



—とまぁ、見て分かるかわからないけど、主要となる人物は、つぎドカ!、ペルソナ4、ジョーカー達、それからオリジナルキャラとして理乃ちゃん達になるかな。


「あ、簡易的なキャラ紹介は、もう一個の“ノートに刻まれた一頁”に移したので、そちらを見てくれよな。URLからも飛べるぞ。」


5/12 最終更新


『目次』

☆料理対決シリーズ
〔第一回・可憐な乙女の料理対決〕
・栗拾いからの料理対決へ&華の乙女の料理対決! >>154-160
・実食 完二&烈&鏡&悠 >>164-168
・実食 凪&陽介&クマ&風雅 >>173-177
・結果発表からのO・SHI・O・KI・DEATH☆ >>180-186

〔第二回・続・可憐な乙女の料理対決〕
・料理対決・再び >>1-7
・実食 ローズ&鏡 >>8-11
・実食 完二&リリィ >>12-15
・実食 悠&風雅 >>16-19
・実食 凪&セシル >>20-23
・実食 陽介&クマ >>24-28
・実食 フランシス&烈 >>29-34
・結果発表と例のアレ >>35-43

〔第三回・豪傑な男の料理対決〕
・何でどうしてこうなった(By昴) >>44-49
・実食 氷海&雪花 >>50-53
・実食 七海&由梨 >>56-59
・実食 鈴花&直斗 >>60-63
・実食 葉月&雪子 >>64-67
・実食 千枝&牡丹 >>68-71
・実食 理乃&りせ >>72-76
・結果発表! >>77-86 ※募集は締め切りました
・O・SHI・O・KI☆前半戦 >>94-101
・O・SHI・O・KI☆後半戦 >>110-123

〔第四回・男女混合料理対決地獄編〕
・戦いをもう一度 >>203-209
・実食 一番&二番 >>222-227
・実食 三番&四番 >>233-237
・実食 五番&六番 >>247-253
・実食 七番&八番 >>260-264
・実食 九番&十番 >>286-290
・実食 十一番&十二番 >>301-306
・実食 裏回 >>326-342
・結果発表! >>384-398 ※募集は締め切りました
・賢者に慈愛を、愚者には罰を 賢者編 >>662-671

〔第五回・料理対決・頂上決戦!〕
・評価五のための頂上決戦! >>415-420

〔番外編・審査員一新!? 選抜メンバーの料理対決!〕
・死亡フラグ立たせた奴。前出ろ。前だ。 >>716-723
・実食 一番&二番 >>728-733
・実食 三番&四番 >>738-743
・実食 五番 >>751-756
・対決 五番の料理 >>784-794
・大団円と実食 六番 >>814-822
・実食 七番&八番 >>840-848

〔番外編・挑戦者=変動審査員!? ゲストもありな料理対決!〕
・概要と募集要項 >>856※募集は終了しました


☆言葉泥棒とワンダークロックシリーズ
・言葉が消えた理由 >>435-441
・異次元に突入! >>442-446
・激突! 鈴花VSローズ >>451-455
・激突! 風雅VSフランシス >>456-460
・激突! 烈VSリリィ >>464-469
・激突! 氷海VSセシル >>470-474
・激突! つぎドカ!VSジョーカー >>478-484
・揺蕩いから、覚醒めの時へ >>485-488
・激突! パステルくんVSジョーカー >>491-497
・おかえりの味とただいまの涙 >>498-506


☆マヨナカテレビ事件シリーズ
〔氷海編〕
・虚ろな映身は現身を打つ >>523-532
・穿たれた水器(みずうつわ) >>533-537
・囚われの氷硝 >>540-545
・冷酷なる御霊 >>546-553
・氷雪の女王 >>563-568
・悪夢の終わり >>569-578
・雲の向こうに捧ぐ向日葵の花 >>582-585


☆神様・悪夢相談室シリーズ
・悪夢:ケース「赤羽 烈」>>805-808
・悪夢:ケース「青柳 氷海」 >>831-835


☆もしももしものちいさなおはなしシリーズ
・カラオケネタ >>192-195 ※募集は締め切りました
・どっちの料理ショー >>274-276


☆ノートの世界のTwitter事情シリーズ
・アカウント一覧 >>589

〔本編〕
・その一 >>590-594
・その二 >>595-598
・その三 >>606-609
・その四 >>614-616
・その五 >>622-623
・その六 >>630-632
・その七 >>633-634
・その八 >>317-319

〔番外編〕
・Let's Twitter with JOMANDA >>602-605
・Let's Twitter with JOMANDA2 >>617
・Let's Twitter with JOMANDA3 >>776-778
・異世界の料理対決 その一 >>880-888


☆新・ワイルド能力者のコミュ事情シリーズ
・烈&氷海 ランク1 >>644-649


☆短編
・はんぶんこ >>128-129
・リミットブレイクと暴走娘 >>133-135
・フラワーギフト >>140-147
・年末恒例巫女さんバイト >>349-359
・玉より食物 >>365-371
・「リンちゃんなう!-Try to Sing Ver.-」 rejected by 相方の皆さん >>510-515
・没案「第四回料理対決六番の料理」 >>516
・思いつくままに書いてみた料理対決案 >>558
・没案「第四回料理対決・その後」 >>624 答え+α >>629
・バレンタインデー☆パニック! >>681-689
・猫の猫による猫のためのお花見 >>699-704
・お知らせと次々回予告(!?) >>708-709
・ほのぼの日和 >>770-772
・小ネタつめつめ >>863
・前奏曲・異世界の第六回目 >>866-868
・お知らせと紹介と >>891-893 new!

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年末恒例巫女さんバイト その七 ( No.355 )
日時: 2014/12/31 21:35
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)

さて、その頃、調理班は…。

「んー、美味しい! 凄く美味しいよリリィちゃん、烈君!」
「体が温まりますわ…。」
「私も去年作りましたが、ここまで美味しいものはできませんでした。流石は酒屋の息子と娘ですね。」
「甘酒だったら母さんやばーちゃんから何度か習ったからなー。」

甘酒を、酒屋の息子と後取り娘が作っている最中のようだ。

「おーい! 大変だー!」

そんな中、完二とジョーカーがあわただしく走ってくる。その様子はどこかおかしい。

「ん? どうしたんだ、完二。」
「実は、料理に使う材料が…!」
「どうかなさったのですか?」
「全部ぐちゃぐちゃにされてるんッスよ! オレの見たところ、多分どれももう…!」
「は!?」

調理班は見張りにリリィとセシルを残し、理乃、鈴花、烈は急いで食材が置いてある冷蔵庫まで行った。
中を開けると、完二の言った通り、悲惨な状態だった。どれも踏み荒らされており、使い物にならないだろう。

「ひでぇ…!」
「一体誰がこんな事を…!」
「それはひとまずおいておきましょう。…これでまずい事になりました。」
「流石にここまで踏み荒らされちゃあ、客に提供できねぇよ…。」

どうするかと悩む一同。このままではどうにもならない。どうしたものか…。

「…理乃先輩、こっから俺んちの商店街まで道を繋いでくれないか?」
「今から買いに行くの!?」
「それしかねぇだろ! ここまで踏み荒らされちゃ、使い物にならねぇよ! …鈴花、お前は直斗と昴さんにこの事を報告してくれ。直斗なら事件解決に向けて知恵を貸してくれるはずだ。」
「そうだよね…。わかった。私から直斗君に言っておく。」
「烈、オレも買出し手伝うぞ。お前一人じゃこっち持ってくるの大変だろ?」
「我も行こう。聖域の中にも保存されている材料があるはずだ。それをかき集めてこよう。」

完二とジョーカーの申し出に、烈はにっと笑い、「サンキューな。」と礼を述べた。

「私も、シルフ達に頼んで食材を集めてもらいます。異世界の仲間達も総出で協力しますよ。」
「ありがとな、先輩。完二、行くぞ!」
「おう!」
「では、開きます!」

理乃は風の欠片で杖を精製し、詠唱を唱えて扉を出し、開けた。すぐに虹色の道が現れ、中は混沌とした状態の空間が広がっていた。

「烈さんの家の前に道を繋いでおきました。少しの間開いたままにしますので、帰りもそこからお願いします。」
「さんきゅ!」

二人はすぐに臆する事無く、道を潜っていった。

「後は私がシルフ達に頼んで…って、風の宝珠越しに知っちゃったから誰もいない…。」

どうやらシルフ四姉妹を呼び出して頼もうとしたが、宝珠越しに材料がこうなった事を知ったのか、すぐに飛び去って行ったようだ。

「鈴花さん、取り合えず私達はできる事をやりましょう。準備とかならば、可能なはずですから。この場は現状保存しておきましょう。証拠が残っているかもしれませんから。」
「うん! 私、直斗君に知らせてから向かうね!」

そして、理乃も今自分ができる事をやる為に、キッチンに戻っていき、鈴花は頼れる仲間に調査を依頼する為に、彼女を探しに向かった。

「…? 着信…?」











完二、烈、ジョーカーの三人が買出しに向かった大分後、酒蔵…。

「これは…!」
「酷いね…。」

直斗と凪は、昴に連絡を貰って今この場にいた。

年末恒例巫女さんバイト その八 ( No.356 )
日時: 2014/12/31 21:41
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)

事の起こりは数十分前。昴と雪花と氷海の救護班が用意をしている最中の話に遡る。

「よし、医療器具(といっても絆創膏とか簡単なものだけど。)の準備できた。」
「これを使わないといいのだけれどね…。」
「だよな。」

怪我をしないのが一番だが、流石に大勢が来るとなればそれは難しい。トラブルとかも起こるだろうし、足をとられたり、踏まれたりとするかもしれない。

「私達でも治せるような簡単な怪我だといいのだけれど…。」
「まぁ、いざとなったら俺もいるし…ん?」
「どうしたのですか? 昴さん。」

何か物音を聞いたような気がした昴は、酒蔵の方を見た。

「何か、音がしたんだ。酒蔵の方から。…雪花、氷海、お前達はここにいろ。」
「わかった。でも、一人で大丈夫?」
「大丈夫だって。」

心配そうな雪花を他所に、昴はそう答えて酒蔵まで向かう。
近付くにつれ、段々と酒の匂いが強くなる事に気がつく。そして、何かが割れるような音がする事も。

「(強盗か? …なんにせよ、ここで捕まえないとな…。)スキルコンバート、凪。」

酒蔵の戸まで来た時、昴は自身に凪のスキルをコピーする。
出口は一箇所。今は巫女服で動きづらいが、何とかなるだろう。

「…。」

そして、懐からスマートフォンを取り出してある番号を呼び出し、落ちていた武器になるような木の枝を拝借し、戸を開けた。

「!」
「何してんの? こんなとこで。」
「(お、女!? ならちょろいもんだ!)そこを退けアマ!【ファイアボール】!」

甘く見られていたのか、中にいた男がいきなり初級呪文をかました。

「あぶねっ! ちょ、引火するだろうがよ!」

昴は難なく避け、男はその隙に逃げようとするが、

「させっかよ!」

男の前に回りこみ、足払いをかけた。それにより男は無様に転ぶ。

「ぶべぇっ!」
「おい、何の用でこの酒蔵の酒を台無しにした?」
「台無しにしろって言われたんだよ!」
「誰に?」
「それは答えらんねぇよ! そりゃっ!!」

なんと、男は懐からナイフを取り出し、昴にそれで攻撃してきた。
が、彼女と男の間に何かが割って入り、ガキィンッ、と鈍い音が聞こえ、男のナイフが弾かれた。

「平気ですか? 昴さん。」
「サンキュ、理乃。お前なら来てくれるって信じてた。」

何かの正体は、理乃。どうやら先程の電話は理乃にかけていたようだ。男と戦っている音声が聞こえた時、理乃は昴に何かがあったと気がつき、気配を探ってここまできたのだ。
ちなみに、理乃達以外でも全員異世界でも通話が出来るタイプの携帯電話に買い換えている。勿論、昴も例外ではない。

「女が増えたってかまわねぇよ!」
「あら、女だからって舐めてもらっては困りますよ。」
「ん?」

じっと、理乃を見る男。その後、笑みを浮かべた。

「へーぇ、そっちのちんちくりんのチビは、あの有名な世界で一番強い風の司様かぁ! 噂以上にチビだな! チービチービどチビー!」
「…は?」
(あ、あの男死んだな。)

…ここでみなさんに言っておきます。理乃は胸がDカップと大きいのですが…身長が鈴花と同じくらいに小さいのです。大体150あるかないかなのです。
そして本人はその身長を気にしているのです。ここまで言えば分かりますね? …このおろかな男の末路が。

「…チビっていうのは、何方の事でしょうか?」
「オメェに決まってるだろ! チビ!」
「…。」

昴はそっと離れた。男に合掌しながら。

「…誰が…。」
「あ?」
「誰が豆粒どチビですかあぁぁぁぁぁっ!!」
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!! そこまで言ってねぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

そして男はその後、完膚なきまでに叩きのめされた事は、言うまでもない。

「あー、直斗。ちょっと酒蔵まで来てくんない?」
『え? 今鈴花さんから連絡を受けて、食材荒らし事件の現場を見ていたのですが…。』
「そっちでもそんなのが起こってたのか。多分その犯人が今酒蔵の酒ぶっ壊してた。」
『本当ですか!? で、今は…!?』

昴はちらりとリンチ中の男と、いい笑顔でいつの間にか剣から変化させていた杖で殴っている理乃を見た。が、すぐに視線をそらす。

「…理乃の一方的なリンチに遭ってる。相手が一番言っちゃいけない単語を言ったから、お前と同じ中の人の某兄弟の兄みたいな台詞吐いてボコボコにしてる。」
『想像できました。そして音が凄まじいんですけど。こっちまで聞こえますよ。とにかく、僕もそちらに行きますね。縛り付けておいてください。それから、リリィさんもそちらに連れて行きます。恐らくその酒蔵のは、お神酒用に取っておいた酒でしょう。杉山先輩もそんな話をしていました。』
「そうだな。烈んちで何とかしてもらえればいいんだが…。とにかく、頼む。」

その会話が終わった時に丁度、理乃の方も終わったようだ。

「ふぅ、すっきりしました…。」
「わーお、いい笑顔ー。」

改めて、この子に逆らわないで置こうと決めた昴だった。

年末恒例巫女さんバイト その九 ( No.357 )
日時: 2014/12/31 21:46
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)

そして、直斗と凪がリリィをつれて駆けつけ、現在に至る…。というわけだ。

「…結構完膚なきまでに叩きのめしましたね、桜坂先輩。」
「酷いね…。酒蔵の状況もそうだけど…。」
「さ、流石に申し訳なかったので後できちんと【ヒール】使って治したんですけど…。」
(中級治癒術で治す辺りまだ怒ってんな…。)

だが、一応話は出来るくらいまで回復したので大丈夫だろう。男を酒蔵に縛り付け、直斗と凪が尋問している間に、昴とリリィと理乃は酒瓶のラベルを見ていた。

「…うん、これなら、うちにある。みここさんがアルバイト先の神社で使うみたいで、大量注文したけど、使わなくなって、返品した。料金は申し訳なかったみたいで、返したけど受け取らなかった。おばあちゃんがちょっと処分に困ってたから、譲れると思う。」
「分かった。理乃、烈達は戻って来てるか?」
「…ええ。今、食材を持って帰ってきたみたいです。シルフ達も食材を集められたみたいですね。」
「理乃はそのまま調理班に回ってくれ。…リリィ、烈と一緒にその酒を貰ってきてくれ。烈には俺から連絡しておく。」
「わかった。一応、ラベルを持ってくね。」

リリィは頷くと、ラベルを持って酒蔵から出て行った。

「さてと、お前の雇い主、洗いざらいゲロッて貰うぞ。」
「はんっ、誰が言うか!」
「言わなくても分かるわ。どうせろくな商売していない向かいの神社の神主でしょう?」
「!」

背後から聞こえた人物の言葉に、男の表情が、変わる。

「心臓から大量の血液が排出されたわね。血流も早くなっている。確定ね。」
「菖蒲さん!? え、そんな事分かるんですか!?」
「あらやだ、貴方達、私が誰の親だかお忘れ?」
「あ…そうでした。葉月先輩の親ですし…そういった事を出来てもおかしくはありませんね。現に里中先輩も、その光景を見ていましたし…。」

彼女は、葉月の親である。だから水の流れを感じる事が出来る水属性であってもおかしくない。

「しかし、表情も変わりましたので十中八九、その向かいの神社の神主で間違いないでしょう。彼を警察に突き出してしまえば、主犯格の方も逃げられませんよ。…しかし、ろくな商売をしていないとは…?」
「言ったままよ。向かいはペテン師まがいの商法で参拝客を引き入れて、一生離さない。お布施も強要しているみたいで、夜逃げをした人もいるって聞いたわ。警察の人も捜査に踏み切りたいけど、大した証拠も残さないものだから手こずっているみたい。」
「うわ、ひでぇ。まぁ、こいつをサツに突き出しちまえば話は丸くなるだろうな。凪、直斗。ちょっと離れてこいつを警察署まで突き出して来い。」
「わかりました。」
「わかったー。」

直斗と凪は、男を警察に突き出しに行った。

「さてと、俺も持ち場に戻りますね。」
「ええ、ありがとうね、昴さん。それから、お仕事は今日一日だけ手伝ってくれるだけで十分よ。参拝客もカウントダウン辺りが一番のピークで、それ以降は落ち着くから、私と宗谷だけで十分よ。近所の人達も、明日には手伝いにくるしね。だから、明日には元の世界に戻るといいわ。お正月の時くらい、慣れた世界でゆっくりしている方がいいでしょ?」
「ええ、なるべくなら。」
「決まりね。あぁ、カウントダウンの時はみんなで集まるといいわ。特に、水や氷属性の人達はね。」

水や氷属性の人に何かあるのだろうか、昴は首を傾げるも、元々それをお願いするつもりでもあった。

「カウントダウンの時くらいはみんなでいたいですからね。ありがとうございます。」
「いいのよ、こっちがお手伝いを頼んでいるわけだし、当然よ。…昴さん、葉月は手のかかる娘ですが、とてもいい子です。これからもあの子と仲良くしてくださいね。」
「いえ、寧ろ娘さんには何度も助けられてますよ。…って、何だよ着信?」

菖蒲と話している最中なのに、突然懐に入れていた携帯が鳴り響く。相手は、りせだった。

「っ、何だよもう。もしも」
『どうしよう、昴さん。悠先輩がいきなり脱ぎ出して男の人のズボン引きちぎったりどっから持ってきたかわかんない寿司ネタを乳首に乗せてブリッジしたりしてるんだけど、どうしたらいい?』
『そこのお嬢さん! 俺と一緒に尻乾布摩擦をして暖めてくれませんかあぁぁぁっ!!』
『きゃあぁぁぁぁぁぁっ!!』

暫く、通話口から悲鳴が聞こえる。まぁ、よからぬ事が起こっているのは間違いないだろう。

「…りせ、殺れ。俺が許可する。」
『オッケー! じゃ、また何かあったら連絡するね!』

通話が終わると、菖蒲との会話をそこそこにし、昴はすぐさま救護室に向かった。怪我人一名確定したからである。それに、もしかしたら精神的被害が大量に出ているのかもしれないしな…。

(何だか愉快な仲間達ね。葉月もあんな仲間達に囲まれているなら、大丈夫かしらね。)

菖蒲も笑みを見せ、その場を去っていった。

年末恒例巫女さんバイト その十 ( No.358 )
日時: 2014/12/31 21:52
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)

その後、ピーク時を迎えた一同は…。

「いらっしゃいませー!」
「あら、可愛い子だね。ボク、お守りもらえる? 交通安全のがいいかねぇ。」
「はーい! 雪子! 交通安全のお守りだって!」
「はい。毎度ありがとうございます。ついでにこの子を題材にした本(薄いの)もセットでぷげぇっ!」
「一般市民に何を売ってんだよ天城!! すみません、交通安全のお守りですね。五百円になります。」
「は、はぁ…。(元気な子達ねー。毎年来る子達のお仲間さんかしら。)」

お守りを売る売店では変な喧騒が行われていた。…つか、何も知らないおばちゃんに薄い本を売ろうとすんなし天城屋時期女将。
また、離れた所ではクマとフランシスと由梨とにゃぐわが破魔矢を売っていた。

「忙しクマ忙しクマー!」
「本当に忙しいな、これがいつものピーク時なのか?」
「ああ、いつもこんなもん。いらっしゃ…げっ!!」

突然現れた客に、由梨はいやそうな顔を浮かべる。
背は高く細身の…少しチャラそうな男がそこにいた。だが、その黒髪から覗く目は、どこか鋭い。

「おー! やっぱいたか由梨!」
「何しに来たんだよ紅刃(こうは)兄!!」
「『兄!?』」
「ユリチャンのお兄さんクマか!?」
「にゃぐぅ!?」

由梨の発言に驚くその場にいたフランシスと黒とクマとにゃぐわ。どうやら今回の客は由梨の兄である紅刃のようだ。

「ここに来れば可愛い妹に会えるかと思ってさー。毎年毎年手伝いに来てるからー。寂しいんだぞお兄ちゃんはー。お前が桜蘭学園の寮に入ってなかなか帰ってこないしー。」
「くっつくな邪魔だ! って、何胸ん中に手を入れてセクハラしようとしてんだこのクソ兄貴ぃ!」
「ぐぼぁっ!」

どうやら妹にソフトセクハラをしようとして殴られているようだ。由梨の兄は大分個性的な…シスコンのようだ。

「にゃぐ…。」
『ん? にゃぐわ、あんな兄を見て何遠い目を浮かべているんだ。』
「にゃぐー…。」
『…鈴花の兄もこんな感じ、だと? そのせいで鈴花も苦労していると? …シスコンの兄を持つと苦労するものだな…。』

にゃぐわの遠い目に、黒が同情していた。
そして同じ頃…。

「鈴花! 焼そば五つと今川焼き五つ!」
「はーい! すぐ出来るよ!」
「セシル、甘酒六つ!」
「わかったわ!」

厨房はもう戦場になっていた。甘酒班も調理班も何もかも入り混じっており、接客専門として酒屋の手伝いをしている烈とリリィが注文口に立っている。
あの後、シルフ達の協力でかなりの食材が集まり、今では山積みになっている。だが、ここまでお客が多ければ、あっという間に食材は消えるだろう。

「ジョーカー、お神酒!」
「うむ! って、手が離せん…!」
「ジョーカー、オレがうどん見てるからそっちを手伝って…。」
「わしが持っていくぞ。」

急に下から声が聞こえて、ちょっとびっくりするジョーカーと完二。そこには、いつ来たのか、茜がいた。

「え、烈のばーさん!?」
「忙しいみたいじゃから、手伝いに来たんじゃよ。烈、お神酒は何杯じゃ!?」
「二杯! って、ばーちゃん来てたのか!?」
「忙しいそうだったのでな。お前達が酒を取りにきた時にこっそり来たんじゃよ。あっちはあの子達に任せれば問題ないじゃろう。」
「助かった! 猫の手も借りたい状態だったんだ!」

だが、茜という協力者が来て、少しだけ楽になったのは確かだ。
そんなこんなで、客足が落ち着いた頃、昴達は神社の本殿前に集まった。他の人達もいるようだ。ちなみに、茜も紅刃もいる。ちなみに全員には紹介済みだ。

「まさか茜まできてたとは…。」
「まぁ、こっちは割と落ち着いていたからの。暇だったし、来たのじゃよ。それに、烈や新しい孫達と一緒に新年を迎えたかったからの。」
「ばーちゃんってば…。」

孫思いのおばあちゃんに、全員苦笑すると共に、温かい何かが芽生える。

「こんな孫思いのお祖母ちゃんっていいなぁ…。」
「取り合えずりせ、お前はお疲れさんだな。悠を何度も叩きのめしたんだろ?」
「うん。最終的に凄い人だかりが出来て困った。」

ちなみに、今悠は鈴花と牡丹の手により縛り付けられている。

「マジで困るな、あの馬鹿には。」
「だねー。妹の貞操狙われないとも限らないしー。」
「兄貴、アタシは今兄貴から貞操を狙われてる気がして怖いんだけど。」
「気のせいだよー。おっ、最近胸でかくなったんじゃないの?」

この後、紅刃は由梨に完膚なきまでに殴られたのは言うまでもない。

「お兄ちゃんがそれって…。うちみたいで苦労してそう…。」
「鈴花、分かるだろ? 同じシスコン兄貴持ってるお前なら…。」
「明日帰ってくるんだけどさ、凄くめんどくさくなりそうで心配なんだけど…。」
「…シスコン兄貴を持つ者同士、後でなんか二人で食べに行かないか?」
「うん、行く。」

シスコン兄貴を持つ者同士、何だか通じ合ったようだ。

「あ、そうだ。昴さん、直斗君、凪君。あの厨房荒らした主犯の人間、捕まったって。お母さんが言ってた。」
「本当ですか? よかったです…。」
「うん、よかった…。いつもいつも妨害行為してくるから困ってたんだよね、お母さんもお父さんも。そうそう、神主服を盗んだのも、虫食いの巫女服にすり替えたのも、さっきの男だったみたいだよ。」
「これで一安心だねー。」

どうやら犯人が捕まり、ホッとしているようだ。これでもう怪しげなペテン師に悩まされる心配はないだろう。

「おっ、そろそろ日付変わるぞ。」

昴が携帯電話の時計を見ると、確かに後一分で日付が変わる。今年も後一分で終わりだ。

「…今年も色々あったな…。」
「うん。時間が繰り返す事になって、りー姉達が来て、氷海がテレビの中に入れられて、すーさんとりせのお誕生会して、船の事件があって…ねぇ、今年料理対決多くなかった?」
「あー…うん、多かった気がする。けどまぁ、氷海達の料理の腕が上達したならいい。ゲテ組は相変わらずだけどな。」

ふぅ、と溜息をつく昴。あまりにも料理対決で死に掛けた記憶が多すぎて、憂鬱なのか。

「…でもまぁ、今年ももう終わりだ。来年はいい年である事を願おうぜ。」
「そう、だね。…いい年であるといいなぁ…。」

鏡はずっと、心の中で願っていた。

(来年こそは何事もなく過ごせますように。来年こそは、すーさんが苦労しませんように…。)

と。

「後十秒だぞ!」
「九!」
「八!」
「七! こちゃん可愛い。」
「六! ってマジ侍。」
「五! ごにじゅうご。」
「ろ…四!」
「三!」
「二! あ、煮付け大丈夫かな?」
「一! って、何気にしてんだよ由梨先輩!」
「2015年、おめでとー!!」

花火が上がる。同時に、辺りに青い光が放たれた。

「って、なにこれ!?」
「大丈夫だよ。ここに祀られてる御神体、青龍の気が満ちてるの。…この日、丁度一年の始まりの日に、それが目に見えて現れる。この場所はそういった場所なんだ。だから、ここに人が集まるの。ねぇ、氷海ちゃん、雪花ちゃん、クマ君、千枝ちゃん、何か、感じない?」
「そ、そう言えば、何か力が湧いてる感じが…!」
「青龍の加護を受けて、水属性や氷属性の力が上がるの。目に見えて強力になっているわけじゃないけど…。」
「つまり、ここは水属性や氷属性にとってはパワースポットなんだな。」

昴が聞くと、葉月は頷く。

「とりあえず…まず突っ込ませろ。誰だ二年連続菜々子ちゃんネタ出した奴。あと六の侍は納得。誰だ時間戻そうとした奴。」
「由梨先輩、煮付けの事を気にしている場合かよ。」
「いや、だって大丈夫かなって気になったんだよ。」
「相変わらずレツとスーチャンのツッコミは冴えてるクマねー。」
「「お前等が突っ込ませるからだろ!!」」
「あっはっは! 相変わらずの冴えたツッコミじゃのー!」
「黙ってろばーちゃん!」

愉快そうに笑い出した祖母に突っ込みを入れる孫。そんな二人を見て、周りの人間は思わず笑みを見せる。

「…こんな笑い会える日が、ずっと続くといいな…。」

昴のこの呟きが、風に乗って消えていった…。





年末恒例巫女さんバイト 後書き ( No.359 )
日時: 2014/12/31 21:56
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)

後書き de 雑談



—ちょっとグダグダになったけど、今年最後の更新だよ!


「一年間もこんな作品達を読んでくれてありがとうな。」


「また来年も張り切って更新していくよー!」

りせ
「とりあえずまずは目先の事だと…料理対決第四戦?」

理乃
「の結果発表になりますね。」

由梨
「牡丹の心変わりの理由、クマが何故牡丹の理由を知っているのか、そこも楽しみに待っていてくれよな。」

風花
「第五、第六の料理対決も考えているそうですので、その辺りもお楽しみに。」


—あとは…残っている他のシリーズも頑張って執筆していきますんでお楽しみに! 今年に水鏡お兄さん出したかったな…。


「言うな。では、今年もお世話になりました。来年もまた宜しくお願いします。」

全員
「それでは、よいお年を!」








—何とか今年に間に合った…。


「感想あればどうぞ。」


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