二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 神様のノート 一冊目
- 日時: 2015/05/12 18:40
- 名前: 奏月 昴 (ID: rBo/LDwv)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=28346
始めまして、奏月昴と申します。
pixivでも活動していますが、別の所でも活動したくなり、こちらにやってきました。
基本pixivと同じものを載せていく予定なので、お好きな方を閲覧下さい。
とりあえず今は現在進めているシリーズ物を載せますが、ちょこちょことお引越しさせていく予定です。
設定わかんないけど興味がある方、pixivまでお越しいただけるとありがたいです。
何かいい加減ですみません…。
それでは、よろしくお願いします。
※ざっくばらんなあらすじ
会社から帰宅途中に何故か宙に浮いている少年、MZDと出会った私こと、創造者。
彼から貰った創世ノートを使い、世界と創造者の分身、奏月昴を生み出し、この世界の神様として中からの管理を命じる。
その際、昴と約束し、私の事は他言無用とすることになった。
昴は生まれたその日に、この世界で烈達つぎドカ!メンバーと出会い、仲良くなる。
ある日、創造者から教えられた創世ノートの機能である『召喚』を用い、烈達の記憶と姿、力を基にして鏡達を生み出す。
そして二学期が始まる頃、八十稲羽から悠達ペルソナメンバーが、ペルソナが現実でも呼べるようになり、流石に稲羽にはいられないという事で、烈達が通う学校に転校して来て、仲良くなった。
色々あり、十二月。烈達つぎドカ!メンバーがバトルしてから一年後、パステルくんはワンダークロックと呼ばれる巨大時計をジョーカー一味に壊されている事を思い出し、一人立ち向かおうとするも、それをつけていた烈達つぎドカ!メンバー。
彼等の力を借り、ジョーカーを倒し、ワンダークロックを無事直すことが出来た。
ジョーカー達とは和解し、現在はつぎドカ!メンバーの家に、ジョーカーは昴のいる神殿に住むことに。
ワンダークロックが壊れた影響なのか、全ての人々の体の時間が戻ろうとしており、現在、年齢はそのままで一年をやり直している。
昴の管理と私の監視、それに限界を感じた私は、MZDの提案で、戦い慣れた人をノートの世界に永住させる事を決意。
その時、私が高校時代に考えた理乃達が適任という事になり、彼女等の世界をノートの中に作り出し、全てを話した上で永住してもらう事に。現在は悠達と同じ学年で生活している。
私
—とまぁ、見て分かるかわからないけど、主要となる人物は、つぎドカ!、ペルソナ4、ジョーカー達、それからオリジナルキャラとして理乃ちゃん達になるかな。
昴
「あ、簡易的なキャラ紹介は、もう一個の“ノートに刻まれた一頁”に移したので、そちらを見てくれよな。URLからも飛べるぞ。」
5/12 最終更新
『目次』
☆料理対決シリーズ
〔第一回・可憐な乙女の料理対決〕
・栗拾いからの料理対決へ&華の乙女の料理対決! >>154-160
・実食 完二&烈&鏡&悠 >>164-168
・実食 凪&陽介&クマ&風雅 >>173-177
・結果発表からのO・SHI・O・KI・DEATH☆ >>180-186
〔第二回・続・可憐な乙女の料理対決〕
・料理対決・再び >>1-7
・実食 ローズ&鏡 >>8-11
・実食 完二&リリィ >>12-15
・実食 悠&風雅 >>16-19
・実食 凪&セシル >>20-23
・実食 陽介&クマ >>24-28
・実食 フランシス&烈 >>29-34
・結果発表と例のアレ >>35-43
〔第三回・豪傑な男の料理対決〕
・何でどうしてこうなった(By昴) >>44-49
・実食 氷海&雪花 >>50-53
・実食 七海&由梨 >>56-59
・実食 鈴花&直斗 >>60-63
・実食 葉月&雪子 >>64-67
・実食 千枝&牡丹 >>68-71
・実食 理乃&りせ >>72-76
・結果発表! >>77-86 ※募集は締め切りました
・O・SHI・O・KI☆前半戦 >>94-101
・O・SHI・O・KI☆後半戦 >>110-123
〔第四回・男女混合料理対決地獄編〕
・戦いをもう一度 >>203-209
・実食 一番&二番 >>222-227
・実食 三番&四番 >>233-237
・実食 五番&六番 >>247-253
・実食 七番&八番 >>260-264
・実食 九番&十番 >>286-290
・実食 十一番&十二番 >>301-306
・実食 裏回 >>326-342
・結果発表! >>384-398 ※募集は締め切りました
・賢者に慈愛を、愚者には罰を 賢者編 >>662-671
〔第五回・料理対決・頂上決戦!〕
・評価五のための頂上決戦! >>415-420
〔番外編・審査員一新!? 選抜メンバーの料理対決!〕
・死亡フラグ立たせた奴。前出ろ。前だ。 >>716-723
・実食 一番&二番 >>728-733
・実食 三番&四番 >>738-743
・実食 五番 >>751-756
・対決 五番の料理 >>784-794
・大団円と実食 六番 >>814-822
・実食 七番&八番 >>840-848
〔番外編・挑戦者=変動審査員!? ゲストもありな料理対決!〕
・概要と募集要項 >>856※募集は終了しました
☆言葉泥棒とワンダークロックシリーズ
・言葉が消えた理由 >>435-441
・異次元に突入! >>442-446
・激突! 鈴花VSローズ >>451-455
・激突! 風雅VSフランシス >>456-460
・激突! 烈VSリリィ >>464-469
・激突! 氷海VSセシル >>470-474
・激突! つぎドカ!VSジョーカー >>478-484
・揺蕩いから、覚醒めの時へ >>485-488
・激突! パステルくんVSジョーカー >>491-497
・おかえりの味とただいまの涙 >>498-506
☆マヨナカテレビ事件シリーズ
〔氷海編〕
・虚ろな映身は現身を打つ >>523-532
・穿たれた水器(みずうつわ) >>533-537
・囚われの氷硝 >>540-545
・冷酷なる御霊 >>546-553
・氷雪の女王 >>563-568
・悪夢の終わり >>569-578
・雲の向こうに捧ぐ向日葵の花 >>582-585
☆神様・悪夢相談室シリーズ
・悪夢:ケース「赤羽 烈」>>805-808
・悪夢:ケース「青柳 氷海」 >>831-835
☆もしももしものちいさなおはなしシリーズ
・カラオケネタ >>192-195 ※募集は締め切りました
・どっちの料理ショー >>274-276
☆ノートの世界のTwitter事情シリーズ
・アカウント一覧 >>589
〔本編〕
・その一 >>590-594
・その二 >>595-598
・その三 >>606-609
・その四 >>614-616
・その五 >>622-623
・その六 >>630-632
・その七 >>633-634
・その八 >>317-319
〔番外編〕
・Let's Twitter with JOMANDA >>602-605
・Let's Twitter with JOMANDA2 >>617
・Let's Twitter with JOMANDA3 >>776-778
・異世界の料理対決 その一 >>880-888
☆新・ワイルド能力者のコミュ事情シリーズ
・烈&氷海 ランク1 >>644-649
☆短編
・はんぶんこ >>128-129
・リミットブレイクと暴走娘 >>133-135
・フラワーギフト >>140-147
・年末恒例巫女さんバイト >>349-359
・玉より食物 >>365-371
・「リンちゃんなう!-Try to Sing Ver.-」 rejected by 相方の皆さん >>510-515
・没案「第四回料理対決六番の料理」 >>516
・思いつくままに書いてみた料理対決案 >>558
・没案「第四回料理対決・その後」 >>624 答え+α >>629
・バレンタインデー☆パニック! >>681-689
・猫の猫による猫のためのお花見 >>699-704
・お知らせと次々回予告(!?) >>708-709
・ほのぼの日和 >>770-772
・小ネタつめつめ >>863
・前奏曲・異世界の第六回目 >>866-868
・お知らせと紹介と >>891-893 new!
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- 大団円と ( No.815 )
- 日時: 2015/04/14 20:21
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 8NwmyZQz)
外にいる一同は、栗田さんのリリィから貰ったパワーストーンで回復した後、クトゥルフの残骸を掃除していたが、意外に早く終わってしまった。
だが、外は既に夜であった。今から帰るには遅い時間だ。それに、ここには高校生が多くいる。今の時間帯で返すのは可哀想だ。
「つか、アタシ等も寮閉まってるじゃんか。」
「あ、どうしよう。帰れないじゃん…。」
寮組も自分の帰宅時間を心配したが…。
「あ、心配すんな。何か、アイツが自分の不在を知られたらまずいからって、自分の世界の時間を止めてくるようMZDに頼んだらしいんだ。俺達の不在もばれないように、この世界の時間も、このコピー聖域以外は止まってるって。救援の人達はこの世界に来ても動けるように都合つけたみたいだけどな。」
「だから、風も吹いていなかったのですね。」
どうやら、この場所以外の時間は止まっているらしい。それを聞いた由梨達はホッと安堵の息をつき、ネリアは納得したように頷いた。
『とにかく、今日はここに泊まるといい。大したもてなしも出来ぬが、部屋数はあるからな。』
「飯も心配すんな。俺が簡単なの作っから。幸い、食糧の備蓄は結構あるしな。まぁ、大半が貰い物だけど。」
食事は備蓄されたもので何とかなるようだ。昴はそう言うも…。
「俺も手伝おう。人数が多いから大変だろう。」
「僕も手伝うよ。あ、荒垣先輩程はないけど、結構自信あるよ。」
「私もお手伝いします。まだ、修行中の身ですが…。」
普通以上レベルの料理スキルを持つ威筑、碧、ネリアが申し出た。
「ありがたい。確かに人数が多いし大変なんだ。由梨、部屋の掃除とベッドメイク頼む。」
「わかった。」
「俺も手伝おう。部屋の片付けぐらいはできる。」
「僕も手伝うよ。みんなへとへとだし、早く眠りたいだろうから人手は必要でしょ?」
「俺も行くよ。(ここ、長鳴鶏の宿みたく布団、フカフカかなぁ…。)」
由梨だけに頼んだベッドメイクだが、匠、明、ロッシュが申し出る。どうやら四人でやるようだ。
「風呂の用意もするか…。おい、花村、善、手伝え。」
「ああ、わかった。」
「わかった。」
「私もいきますね。」
更に気を利かせたのか、真次郎が陽介と善を伴い、風花がそんな三人を手伝うべく立ち上がって風呂の用意をしに行った。
「ねぇねぇ、スーちゃん、私にも、何か手伝える事、ない?」
玲が聞くと、昴は考えた。
「そうだな…。お前は鏡達と大人しくテレビ見てろ。」
「食事ができたら、配膳をお願いします。それまではテレビでも見ながら休んでいてください。」
「うん、やすむ!」
鏡、玲、フレイ、コールの純粋っ子達は、昴とネリアの言いつけ通り、テレビを見に行った。
- 大団円と ( No.816 )
- 日時: 2015/04/14 20:28
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: oq60GVTK)
しばらくして、料理がやや出来上がってきた時、仕上げを威筑と碧に任せ、昴とネリアは鏡達に手伝いを頼むべく、リビングに向かった。
「一体アイツ等何を見てるんだろうな。」
「恐らく、子供向けのアニメとかでしょうか?」
何を見てるか気になり、リビングに辿り着くとこっそりと覗き込む昴とネリア。
「どろどろだったね。」
「よるでも、おひるのどらまみたいにどろどろなのがあるんだね。」
「これからどうなるのかな?」
「うぅー。家政婦さん、どうなるんだろう!」
(何見てんだアイツ等。)
丁度CM明けのようで、番組名が表示されるようだ。
『火曜サ○ペンス劇場』
その番組名が表示された瞬間、昴とネリアは冷静に近くにあったリモコンのスイッチを操作し、電源を消した。
「あー! すーさん、ネリア、これからいいとこなのー!」
「んな教育に悪い番組見るんじゃねぇよ!! 第一火サスは何年も前に終わってんだろ!!」
「だってフレイとコールが見たいって!」
「フレイさん、コールさん、あなた方は何を見ているのですか…。」
「よるのどらま!」
「よるのどらま!」
無邪気に答えるフレイとコールに、ネリアは絶句するしかできなかった…。
■
やがて、夜のドラマを忘れるように言った昴は、配膳をしつつ、治療中の固定審査員を除いた一同をリビングに集めた。
今日のメニューはカレーのようだ。
「ほれ、あんまり大したものでもないだろうけど。」
「いただきます!」
全員、余程お腹が空いていたのか、がっつきはしないが、黙々と食べ始めた。
「んー、んめー!」
どうやら評価三から四の人間が作ったカレーは上々のようだ。
「そうだ、理乃。アイツ等は?」
そんな席の最中、昴は理乃に、スバル達の状況を聞いた。影も気になっていたのか、昴の横で伺うように見ている。
「治療は、最後のお二人の一撃以外は外傷はないので、命に別状はありません。当たり所も悪い訳ではないので、特に問題もないでしょう。ですが…。」
「まぁ、あんだけ狂ってたからね…。まだ、ちょっと心の面では油断できないかもね…。」
影も不安そうに言う。普段から想像がつかないくらいの狂い方に、彼女らと一番近しい二人は驚きを隠せなかったほどだ。
「…俺、今日はアイツの側にいるわ。」
「ボクも。縛り付けておいたなら、暴れる心配もないだろうし。」
「その方がよいと思います。目が覚めたら、お話の相手になってもらうのもいいかもしれません。」
「だな。」
目が覚めたら、どんな話をしようかと考える二人。
そんなこんなで、夜は更けていった…。
- 大団円と ( No.817 )
- 日時: 2015/04/14 20:50
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: ijyp/C.M)
翌朝…。
「いやー、昨日は心配かけたわね、昴。」
「心配どころじゃねぇっつーの。何神クラスの二人が狂ってんだよ。世界の危機を感じたぞ本気で。」
「苦労かけました。」
目を覚ましたスバルは、昨日の影響はまだ残って離れようとはしなかったものの、それ以外は特に問題もないので、昴同伴で気分転換に神殿の高台にいた。ちなみに、影もMZDと共にどこかに出かけたようだ。
「…本当に悪かったわね。心配かけて。まさかあんなのが出てくるとは思わなかった…。」
「俺だってあれは予想外だよ。その後のお前の発狂も含めてな。」
「まさかのリアルネクロニカをするとは思わなんだ。」
全員、予想外の出来事に、混乱が暫く広がったものの、なんとか退ける事ができ、世界の平穏も守られた。
「…。」
昴は、スバルにそっと寄り添い、その背中にぽすん、と顔を埋めた。
「ん? どったの昴。」
「何でもねぇよ。」
そうは言うものの、小刻みに震えているのがよくわかる。
泣いているのだろうか、そう思ったスバルは声をかけようとしたが…。
「…勝手に…いなくならないでよ…。」
「えっ?」
「もう…あんな馬鹿な真似はしないで…。本気で、心配したんだから…!」
普段の男勝りはどこへ行ったのか、今の彼女は、完全に女性だ。
スバルは、昴のこの行動が何を意味するか、わかっていた。
「…ごめん。ごめんね、昴。」
不安に押し潰されそうになって、強気な面が出てこれなくなった時に見せる…弱い、本当の昴。
本気で、彼女がいなくなると思い、心配したのだろう。不安で不安で仕方なかったのだろう。
「勝手にいなくなったりしない。もうあんな馬鹿な真似はしない。約束するよ。」
「…うん…約束…。」
スバルは抱き締めるように回してきた昴の手に自分の手を重ね、暫くそのまま過ごしていた…。
■
長い時間か、短い時間かはわからない。ようやく、昴が落ち着いたところで、スバルは彼女の手を離した。
「うん、もう大丈夫そうだね。」
「…なんか、ごめん。急に泣いて。」
「気にしてないよ。さてと、そろそろ神殿に戻ろうか。あんまり長い時間離れてると、みんな心配するしね。」
スバルは今、病み上がりの状態なのだ。自分がついているとはいえ、あんまり離れていると、心配されかねない。そう考えた昴は、二人で仲良く神殿へと戻る事にした。
- 大団円と ( No.818 )
- 日時: 2015/04/14 20:57
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: ijyp/C.M)
「…で、これはどう言った状況?」
戻ってきたスバル達の前に繰り広げられていたもの、それは…。
「…本当にすみませんでした…。」
キッチンにて、土下座をして謝罪をする由梨、真次郎、匠、ロッシュの四人と…。
『まったく…。料理好きが集まってもこうなるのか。』
「某裸隊よりはマシですが、これもこれで…。」
「ネリア、それは言うな。」
「先輩、さすがに僕もこれ弁解できない。」
呆れ果てた表情でそんな一同を見る紅、ネリア、サイモン、碧の四人だった。
そんな彼らの後ろ、リビングスペースでは…。
「…何だよこれは…。」
まるで立食パーティーでもするかのような量のとてつもなく美味しそうなご飯が所せましと置かれており、全員集まってそれを眺めていた…。
あ、玲とフレイとコールが生唾飲んだ。
「紅。」
『あぁ、神、スバル殿。』
「あのさ、状況説明願えない? どうしてこうなった?」
「あ、アタシから話すよ…。実は…。」
由梨は申し訳なさそうな表情でこうなった原因について話始めた。
■
アタシ、昴さん達に朝飯でも作ってやろうかなって思って、起きたら顔洗ったりしてからキッチンに来たんだ。だけど、そこには先約がいてさ。
「おう、野上か。」
「…すまない、キッチン借りた。」
真次郎と匠。話を聞く限りだと、この二人も同じ事を考えてたみたいだ。
「いや、いいって。むしろ助かる。」
アタシはそんな二人を咎める事はしないで、二人と一緒に作り始めたんだ。
「あれ? 同じ事考えてた仲間がいたのか。」
「おー、ロッシュか。」
色々と作ってる最中に、ロッシュがやって来たんだ。ロッシュも同じように料理を作りに来たみたいでさ、このまま四人で作ってたんだよ。
□
「ほー、丸焼き前に下味に塩を擦り込むのか。」
「ああ。こうすると焼いた後とかうまいんだぜ。」
けどな、ロッシュとアタシはほら、危険なダンジョンで旅とかしてた料理上手組だし、そういった知識を匠達に教えてさ、いたんだけど…。
□
「こうして層にすると、味が均一になりやすくなる。」
「うわー、見た目もうまそうだな! 匠、すげぇな!」
「なるほどな。今度俺もやってみるか。」
「でも、ここに使う出汁はこうの方がよくないか?」
「ん、そっちでも美味そうだな。」
匠も真次郎も料理上手に分類されるだろ? 相手もすぐに理解した上に自分の知識を教えてくれるから、ついつい楽しくなって…。
□
「匠、すができるから少し蓋を開けとけ。」
「わかった。…こんな簡単な手間で綺麗な茶碗蒸しができるんだな…。」
「野上、後で俺にも教えてくれ。」
「あ、俺も頼む!」
で、気づいたらさ…。
□
「さて、次は何作っ…あ。」
「あ。」
冷蔵庫の中はおろか、備蓄倉庫も氷室も空っぽにしてたんだよ…。
■
「で、固まってるアタシ達を丁度起きてきた紅とサイモンとネリアと碧が見て、冷蔵庫の中身を見て全部理解してくれたみたいで、現在に至ります…。」
『料理好きが集まって楽しくなったのは勝手だが、我らの明日以降の食料はどう責任とってくれる?』
「あ、紅さん、それなら平気だけど?」
あっけらかんとした昴の物言いに、紅は首を傾げた。
『なぜだ?』
「だってここ、聖域をコピーしたって言ったでしょ? 神殿の中身を全部同じようなものをそっくりそのままもうひとつ作って、それを料理しただけだから、そっちに影響はないよ。シンクロさせてるつもり、ないし。」
どうやら、紅の危惧は何も心配要らないらしい。ただ複製した代物を料理し、食べるだけなので、影響はないようだ。
「でも、流石に量が多すぎない?」
葉月が困り果てた表情で、後ろにある料理を指差した。
確かに、全員で食べて余るかどうかがギリギリな所だった。それに、昨日届いた差し入れも食べたい。
「まぁ、そこは後でタッパーか何か出して済ませるよ。でも、どうやって食う?」
頭を抱え込む昴。流石にこんな多い量、どうやって配膳したらいいかわからない。
「それなら心配無用だぜ、昴!」
急に背後から声が聞こえ、少し驚いた昴は後ろを見ると、そこには影と一緒にMZDがいた。
「何が心配要らないんだよ、MZD。」
「配膳の必要ないって事。そーれっと!」
MZDは指をパチン、と鳴らすと、目の前にあった大量の料理が消え去った。
「え、料理は!?」
「お前ら、外出ろ! パーティーの始まりだ!」
そう言ってMZDは外へと繋がる玄関戸(昨日のうちに昴が修繕した)を開けると、そこには…!
「うわ…!」
白いテーブルクロスがかけられた長机の上に並ぶ、先程までリビングにあった料理達。
きっちりとトングや皿も完備され、箸やスプーンもある。
更にMZDが用意したのか、美味しそうなジュースが入ったジューサーもあれば、昨日までに貰った口直しの差し入れも外に出ている。
「まぁ、こんなバイキング形式の朝食も悪かねぇだろ?」
「粋な計らいしてくれちゃって。さ、みんな、食べましょうか! 評価五の人間が集まって作った品だし、楽しみー!」
スバルが歩き出すと、他の一同もそれぞれ散っていった。
「善、善、行こっ! 行こっ!」
「玲、焦っても料理は逃げない。」
「すーさん、月姉、行こっ!!」
「鏡、お前、玲と同レベルだぞ。」
「…。」
「フレイさんとコールさんはまずそのよだれを拭きましょう。匠さんのご飯があって美味しそうで我慢できないのはわかりましたから。」
他愛ない話をしながら、様々なペアで食事を楽しんだ。
- 大団円と ( No.819 )
- 日時: 2015/04/14 21:04
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 68ht.95d)
そんな中、ふと、ノックの音が聞こえて、昴はくるりと振り向いた。
「また客が来たのか?」
「すーさん、オレ出てくるね!」
「鏡君、待って! 私も行く!」
もし裸族とかだったらと考えると、鏡一人で行かせては危ないと考えた葉月は、鏡と共に長老樹の扉に向かう。
「はーい、あ、ファル兄! ヤンリン!」
扉を開け、奥にいたのは、りゅーとさんの所のファルコとヤンリンだ。その後ろには大きな機体がある。ファルコの所有するアーウィンだ。
「よっ、鏡! 久しぶりだな!」
「うん! ヤンリンも久しぶりー! そっちの第三回以来?」
「葉月、元気してたか?」
「ばっちり!」
あ、よくよく考えればこのチームはりゅーとさんの所の第三回でのチームメイトじゃないか。ここでヤマビコさんサイドのデデデとバンダナワドが来たら完全に第三回三番の組み合わせができるぞ。
「今日はどうしたの? 何か依頼で必要なものとかあってきたとか?」
「いや、今日は物資を届けにな。ほら、これ。」
ファルコは手に持っていた段ボールを葉月に渡した。
そこには、美味しそうなカツオのたたき丼と別のバスケットに入ったりんごと紅茶のケーキとミルクティー。救急パックセットと鎌鼬の毒(※しっかりと更新済み)とマーヤスター(※魔力がこもった宝石で魔力回復)とレア度が高い薬草が入っていた。
「わ、美味しそうな鰹のタタキ…。」
「それ、ウルフが作ったんだ。味は保証するぞ。」
「ありがとう! スバルさん達も喜ぶよ! ところで、そのアーウィンは…。」
「残る毒物に備えて、俺達も待機してようかと思ってな。ああ、下手すればお前の精霊が溶けるアレ。」
「ああ…。」
ファルコの一言で、葉月はしっかりと理解できたようだ。察知しやすい子も恐ろしい。
「ところでさ、何かいい匂いするんだけど、何かあったのか?」
死んだ目をした葉月をそっとしておく事にしたヤンリンは、辺りに漂ういい香りに顔を綻ばせた。
「今ね、由梨姉とか、他の世界の料理上手が集まって料理を作りすぎちゃったから、立食パーティーしてるの! ヤンリン達もどう? 結構いっぱいあるんだ。」
「マジで!? 行く行く! お邪魔しまーっす!!」
「俺も食うかな。ほら、葉月、行くぞ。あ、ついでに由梨のまともじゃない方の精霊もフィチナに連れていきたいが、いいか?」
「多分由梨、普通に許可すると思うよ。」
話はまとまったところで、ファルコとヤンリンも立食パーティーに加わった。
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