二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 神様のノート 一冊目
- 日時: 2015/05/12 18:40
- 名前: 奏月 昴 (ID: rBo/LDwv)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=28346
始めまして、奏月昴と申します。
pixivでも活動していますが、別の所でも活動したくなり、こちらにやってきました。
基本pixivと同じものを載せていく予定なので、お好きな方を閲覧下さい。
とりあえず今は現在進めているシリーズ物を載せますが、ちょこちょことお引越しさせていく予定です。
設定わかんないけど興味がある方、pixivまでお越しいただけるとありがたいです。
何かいい加減ですみません…。
それでは、よろしくお願いします。
※ざっくばらんなあらすじ
会社から帰宅途中に何故か宙に浮いている少年、MZDと出会った私こと、創造者。
彼から貰った創世ノートを使い、世界と創造者の分身、奏月昴を生み出し、この世界の神様として中からの管理を命じる。
その際、昴と約束し、私の事は他言無用とすることになった。
昴は生まれたその日に、この世界で烈達つぎドカ!メンバーと出会い、仲良くなる。
ある日、創造者から教えられた創世ノートの機能である『召喚』を用い、烈達の記憶と姿、力を基にして鏡達を生み出す。
そして二学期が始まる頃、八十稲羽から悠達ペルソナメンバーが、ペルソナが現実でも呼べるようになり、流石に稲羽にはいられないという事で、烈達が通う学校に転校して来て、仲良くなった。
色々あり、十二月。烈達つぎドカ!メンバーがバトルしてから一年後、パステルくんはワンダークロックと呼ばれる巨大時計をジョーカー一味に壊されている事を思い出し、一人立ち向かおうとするも、それをつけていた烈達つぎドカ!メンバー。
彼等の力を借り、ジョーカーを倒し、ワンダークロックを無事直すことが出来た。
ジョーカー達とは和解し、現在はつぎドカ!メンバーの家に、ジョーカーは昴のいる神殿に住むことに。
ワンダークロックが壊れた影響なのか、全ての人々の体の時間が戻ろうとしており、現在、年齢はそのままで一年をやり直している。
昴の管理と私の監視、それに限界を感じた私は、MZDの提案で、戦い慣れた人をノートの世界に永住させる事を決意。
その時、私が高校時代に考えた理乃達が適任という事になり、彼女等の世界をノートの中に作り出し、全てを話した上で永住してもらう事に。現在は悠達と同じ学年で生活している。
私
—とまぁ、見て分かるかわからないけど、主要となる人物は、つぎドカ!、ペルソナ4、ジョーカー達、それからオリジナルキャラとして理乃ちゃん達になるかな。
昴
「あ、簡易的なキャラ紹介は、もう一個の“ノートに刻まれた一頁”に移したので、そちらを見てくれよな。URLからも飛べるぞ。」
5/12 最終更新
『目次』
☆料理対決シリーズ
〔第一回・可憐な乙女の料理対決〕
・栗拾いからの料理対決へ&華の乙女の料理対決! >>154-160
・実食 完二&烈&鏡&悠 >>164-168
・実食 凪&陽介&クマ&風雅 >>173-177
・結果発表からのO・SHI・O・KI・DEATH☆ >>180-186
〔第二回・続・可憐な乙女の料理対決〕
・料理対決・再び >>1-7
・実食 ローズ&鏡 >>8-11
・実食 完二&リリィ >>12-15
・実食 悠&風雅 >>16-19
・実食 凪&セシル >>20-23
・実食 陽介&クマ >>24-28
・実食 フランシス&烈 >>29-34
・結果発表と例のアレ >>35-43
〔第三回・豪傑な男の料理対決〕
・何でどうしてこうなった(By昴) >>44-49
・実食 氷海&雪花 >>50-53
・実食 七海&由梨 >>56-59
・実食 鈴花&直斗 >>60-63
・実食 葉月&雪子 >>64-67
・実食 千枝&牡丹 >>68-71
・実食 理乃&りせ >>72-76
・結果発表! >>77-86 ※募集は締め切りました
・O・SHI・O・KI☆前半戦 >>94-101
・O・SHI・O・KI☆後半戦 >>110-123
〔第四回・男女混合料理対決地獄編〕
・戦いをもう一度 >>203-209
・実食 一番&二番 >>222-227
・実食 三番&四番 >>233-237
・実食 五番&六番 >>247-253
・実食 七番&八番 >>260-264
・実食 九番&十番 >>286-290
・実食 十一番&十二番 >>301-306
・実食 裏回 >>326-342
・結果発表! >>384-398 ※募集は締め切りました
・賢者に慈愛を、愚者には罰を 賢者編 >>662-671
〔第五回・料理対決・頂上決戦!〕
・評価五のための頂上決戦! >>415-420
〔番外編・審査員一新!? 選抜メンバーの料理対決!〕
・死亡フラグ立たせた奴。前出ろ。前だ。 >>716-723
・実食 一番&二番 >>728-733
・実食 三番&四番 >>738-743
・実食 五番 >>751-756
・対決 五番の料理 >>784-794
・大団円と実食 六番 >>814-822
・実食 七番&八番 >>840-848
〔番外編・挑戦者=変動審査員!? ゲストもありな料理対決!〕
・概要と募集要項 >>856※募集は終了しました
☆言葉泥棒とワンダークロックシリーズ
・言葉が消えた理由 >>435-441
・異次元に突入! >>442-446
・激突! 鈴花VSローズ >>451-455
・激突! 風雅VSフランシス >>456-460
・激突! 烈VSリリィ >>464-469
・激突! 氷海VSセシル >>470-474
・激突! つぎドカ!VSジョーカー >>478-484
・揺蕩いから、覚醒めの時へ >>485-488
・激突! パステルくんVSジョーカー >>491-497
・おかえりの味とただいまの涙 >>498-506
☆マヨナカテレビ事件シリーズ
〔氷海編〕
・虚ろな映身は現身を打つ >>523-532
・穿たれた水器(みずうつわ) >>533-537
・囚われの氷硝 >>540-545
・冷酷なる御霊 >>546-553
・氷雪の女王 >>563-568
・悪夢の終わり >>569-578
・雲の向こうに捧ぐ向日葵の花 >>582-585
☆神様・悪夢相談室シリーズ
・悪夢:ケース「赤羽 烈」>>805-808
・悪夢:ケース「青柳 氷海」 >>831-835
☆もしももしものちいさなおはなしシリーズ
・カラオケネタ >>192-195 ※募集は締め切りました
・どっちの料理ショー >>274-276
☆ノートの世界のTwitter事情シリーズ
・アカウント一覧 >>589
〔本編〕
・その一 >>590-594
・その二 >>595-598
・その三 >>606-609
・その四 >>614-616
・その五 >>622-623
・その六 >>630-632
・その七 >>633-634
・その八 >>317-319
〔番外編〕
・Let's Twitter with JOMANDA >>602-605
・Let's Twitter with JOMANDA2 >>617
・Let's Twitter with JOMANDA3 >>776-778
・異世界の料理対決 その一 >>880-888
☆新・ワイルド能力者のコミュ事情シリーズ
・烈&氷海 ランク1 >>644-649
☆短編
・はんぶんこ >>128-129
・リミットブレイクと暴走娘 >>133-135
・フラワーギフト >>140-147
・年末恒例巫女さんバイト >>349-359
・玉より食物 >>365-371
・「リンちゃんなう!-Try to Sing Ver.-」 rejected by 相方の皆さん >>510-515
・没案「第四回料理対決六番の料理」 >>516
・思いつくままに書いてみた料理対決案 >>558
・没案「第四回料理対決・その後」 >>624 答え+α >>629
・バレンタインデー☆パニック! >>681-689
・猫の猫による猫のためのお花見 >>699-704
・お知らせと次々回予告(!?) >>708-709
・ほのぼの日和 >>770-772
・小ネタつめつめ >>863
・前奏曲・異世界の第六回目 >>866-868
・お知らせと紹介と >>891-893 new!
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- 年末恒例巫女さんバイト その二 ( No.350 )
- 日時: 2014/12/31 21:10
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)
神殿、夕飯時。全員で集まって今日は鍋のようだ。
「なぁ、明日予定ある奴いるか?」
ご飯の席で、昴がその場にいる家族に聞く。だが、誰も手を挙げない。特に予定はないようだ。
「ないみたいだな。実は、葉月から手伝い頼まれたんだ。アイツの実家で、無償で巫女さん神主さんやってほしいとさ。オールで。」
「え、オール!?」
無償と言う点はどうでもいいのだろうが、オールと言う事には驚く一同。まぁ、彼女達の仕事も無償でやっている事だったので、然程驚かないのだ。無償のつもりだが、たまにお礼と言って饅頭を貰ったりするが。
ちなみに、彼女達の給与体制は、この世界の人々が幸せと感じている分の金額がMZDより支払われ、銀行に振り込まれている。所謂幸せポイント=昴達の給料と言うわけだ。
どうでもいい話はさておき、オールでやると言う事に驚いた事に戻ろう。
「つまりー、帰って来れないって事ー? それはちょっと困るー。年越しは直斗と一緒にいたーい。」
「安心しろ、凪。直斗も葉月の手伝い行くってさ。あと、烈達やセシル達も行くって。」
「え!? ほんと!? じゃあ僕も行くー!!」
本当に直斗といられれば別にいいんだな、と思った昴と雪花とジョーカーと紅だが、ここでは思うだけにしておいた。
「すーさん、すーさんは行くの?」
「行くからこの話題出してんだけど。」
「休まないで平気?」
「へーきへーき。いつもの仕事の延長線だって思えばいいし。」
昴は心配なさそうな表情でそう言うが、鏡はまだまだ不安そうだった。
『鏡、神の仕事をぶんどるくらいの仕事をしてやれ。そうすれば神は休めるだろう?』
「あ、うん、そうだね!」
「おいこら紅、入れ知恵与えんな。」
「だが、昴殿は少し休ませた方がいいだろう。ここ暫くあの馬鹿のせいで各方面から苦情が殺到してその処理に追われているのだろう?」
「…ごめんジョーカー、それ言わないでくれ…。考えるだけでも苦痛なんだよ…。」
どうやら胃が痛み出してきたのか、お腹を押さえる昴。ジョーカーはすかさず謝罪をする。
「す、すまない、昴殿…。大丈夫か…?」
「…まぁ、大丈夫なのは大丈夫だよ…。で、何か聞き損ねたけど、お前ら全員」
「行く。」
全員、真面目な顔で即答しました。流石の昴もこれにはびっくり。
((昴さん/すーさん/神/昴殿)に絶対に無理はさせられない…!!)
(…な、何かすげー熱気…。)
—愛されてるわねー。
昴には無理をさせられない、それを全員同じように思っていた事を知らない昴は冷や汗を垂らすしか出来なかった。
- 年末恒例巫女さんバイト その三 ( No.351 )
- 日時: 2014/12/31 21:16
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)
そして、翌日。十二月三十一日、大晦日の早朝…。
「みんな、今日はクソ忙しい年の瀬にありがとう!」
「いいって、葉月。これもお前の人徳だ。あとクソ言うな。」
聖域にて、葉月から頼まれたつぎドカ!組や聖域組、ジョーカー一味や司組、ペルソナ組やMZD達が集まっていた。みんな、笑顔だ。急なお願いだったが、特に不満は抱いていないらしい。これも葉月の人徳だろうか。いや、聖域組は恐らく違う思惑あるだろうが。
「んじゃ、お前の世界までの道、開いてやるとすっか。一回行ってるから場所は分かるしな。」
「ああ、初対面の時ですね。あの時はMZDさんが気配もなしにいきなり私の元に現れてびっくりしましたよ…。お風呂上りで油断してました…。」
お風呂上り、と理乃が言うと、MZDは顔色を青くした。気付いたのだろう、ツッコミ組が先程から発する、どう言う事か説明しろ馬鹿神オーラを。
「あ、やー、理乃、それ、今言わないでほしかったかなー…。」
「ねぇ、MZD、本当に理乃のお風呂上りを襲ったの? 答えによっては…また蹴るわよ?」
昴は恐らく創造者から聞いているだろうが、本人の口からも聞きたかったのだろう…。
「お、襲ってはいねぇよ! 丁度来たのがアイツのお風呂上りだったんだ!」
—えーっと、今回ばかりは本当。私も影君もそこにいたし…。どっちかって言うなら理乃ちゃんに攻撃食らったの、MZD側だったから。
創世ノートが開かれ、そう弁解の文字が書かれる。だが、
—まぁ、理乃ちゃんの裸見たのは変わりないけど。
次の一言は、余計だったかもしれない。だが事実理乃の裸を見たのは確かなので、言っておかなければならない。
「…馬鹿神?」
「ハヒィッ!!」
「帰ってきたら説教部屋に直行なさい?」
「ハイ…。」
MZD、無事に年を越せるだろうが、その後が無事じゃなくなるフラグが立ったのが見えたのか、膝を付いてがっくりと項垂れてしまった。
「…そ、そろそろ行かない? お父さん達も待ってるだろうし…。」
「そ、そうだなー。」
葉月に言われ、まだショックを残したような顔をしながらよろよろと立ち上がるMZD。だが仕事はしっかりするようで、全員を見てから指をパチンと弾いた。と、同時に、その場から全員の姿が消える。
一瞬だけ閉じられていた目を開けると、静かで荘厳な鳥居の奥に長い階段が見えた。
「ここは…?」
「ここが、私の実家、水上(みなかみ)神社だよ。まだ朝だからあんまり人はいないけど、毎年夜になると、ここでカウントダウンする人が沢山いるんだ。」
「二年参りって奴か。去年は俺らもやったなー。」
一年前にあった出来事を思い出しているのか、陽介が笑みを浮かべていた。
「集まるまで大変だったよなー。悠とクマ的な意味で。」
「うん、大変だったよー。鳴上君とクマ君的な意味で。」
烈も千枝も当時を思い出したのか、じろりと睨む。…その、悠とクマを。
その等の二人は…。
「晴れ着を望んで何が悪い! 慣れない着物で歩きづらくなってこけてチラリズムして足を捻った女子をお姫様抱っこで運ぶのが男のロマンだろう!?(普段着ないものだから新鮮な女子を見させてほしいんだ!)」
「晴れ着を望んで何が悪いクマ! 特にバインバインのスーチャンやナオチャンやヒーチャンやセッチャンやリノチャンのおムネが強調された着物でそのおムネを嘗め回すように眺めさせてほしいクマ!(普段着ないもので新鮮な気持ちを味わわせてほしいクマ!)」
反論しましたが、本音と建前が逆転しています。なので…。
「口を開くな変態共。」
ツッコミメンバー総出で即行でシメました。
そして、純粋組は…。
「ねぇ、葉月、聞こえないんだけど…。」
「理乃は気にしないでいいの。」
「凪ー、聞こえないよー?」
「鏡は何も気にしないでねー。」
「セシル、聞こえない。」
「聞こえなくていいのよ。あんな下劣な会話。」
「フランシスー、聞こえないんだけどー。」
「聞かなくていい。お前が聞く価値はこれっぽっちもない。」
避難係全員によりその耳を塞がれており、その純粋は守られました。
「と、とにかく、中に入らない? 着替えとか作法とか、役割分担もしないと…。」
「そうだな。んじゃ、行くか。」
全員、長い階段を上がって本殿へと向かった。
本殿は少し年月が経ち、寂れている感じがするが、とても美しい本殿だ、と初めて来た一同は思った。
「すげぇ…何だか、すげぇ…!」
息を呑む一同。そんなみんなに、葉月は頭をポリポリと掻いた。
「普通なんだけどなぁ…。」
「そりゃ、葉月にとっては住み慣れた家だからそこまでじゃないんだろうよ。けど、始めてきた俺らにとっては感動的なんだよ。…ん?」
本殿から、誰かが走ってくる。
目を凝らしてよく見ると、どこか葉月によく似ていた。
「はーづきー!!」
「あ、お母さん!」
葉月はその姿を見つけて、駆け寄る。巫女の姿をした女性…葉月の母親が、こちらにやってきたのだ。
親子は互いの姿を確認すると、がっちりと抱きしめあった。
「久しぶりね! 随分とたくましくなったんじゃない!? あら、理乃ちゃんと由梨ちゃんと七海ちゃんも! 随分色っぽくなったわねー。」
「そ、そんな事ないよー。あと、何で私だけたくましいなの。あ、みんな、紹介するね! 多分察してると思うけど、私のお母さん! お母さん、こっちが…。」
「葉月の新しいお仲間さん達かしら? 始めまして、葉月の母、菖蒲(あやめ)と申します。」
凛とした感じの装いで、葉月の母、菖蒲はお辞儀をした。昴達も思わずお辞儀をする。
「お母さん、みんなね、この神社のお手伝いをしてくれる事になったの。」
「まぁ、嬉しいわ! 丁度これから忙しくなるからね…。私とお父さんだけじゃ、苦しかったのよ。」
「あれ? 葉月ちゃんって一人っ子なの?」
千枝が聞くと、葉月は頷いた。
「うん、一人だよ。だから、兄弟がいる由梨がうらやましいんだ…。」
「兄貴いてもめんどくせぇぞ。うっさいしめんどくさいし。女がアタシ一人、かつ末子だから凄い絡まれて、もーめんどい。」
「由梨センパイの男勝りは男兄弟のせいッスか。つか、長女で一番下なんッスね。」
「ああ。上に二人兄貴いる。…一番上の兄貴は他界しちまったけどな。」
家族の話になり、どこか寂しそうな表情を見せる由梨。横にいる理乃も、悲しそうな表情を見せた。
「! ご、ごめん!」
「す、すまねッス!」
きっと、触れられたくない事だろうと考えた千枝と完二は、すかさず謝罪をした。特に完二は父親がいないので、誰かが亡くなる事の辛さは味わっている。だから余計に辛い思いを感じ取り、謝罪をした。
「…ねー、取り合えずさー、役割分担しないといけないんじゃないのー?」
「そ、そうだな。菖蒲さん、取り合えず寒いし中入っていいか?」
「ええ。本殿じゃなくて、少し離れた場所に私達が暮らす母屋があるわ。そこに行きましょう。」
凪が助け舟を出すかのようにすかさず話を変えたので、昴がそれに乗っかるように菖蒲に話題を振ると、菖蒲はすぐに母屋へと全員を連れて行った。
「…凪、助かった…。」
母屋に向かう最中、完二が凪に礼を述べた。
「みんな辛そうだったから、話を打ち切っただけー。」
「けど、お前が話を打ち切ったから、助かったんだ。ありがとな。」
「…家族で色々遭ったのは、完二もそうでしょー? あの時、ちょっと理乃さんも直斗も辛そうだったしー。あとー、ジョーカー一味も全員辛そうだったからー、これ、早く打ち切った方がいいなーって思っただけー。」
なんでもない風に言う凪に、完二は改めて、心の中で礼を述べた。
- 年末恒例巫女さんバイト その四 ( No.352 )
- 日時: 2014/12/31 21:20
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)
そして、男女別れてまずは巫女服神主服に着替える事に。
「おい直斗、巫女服ん時くらいサラシ外せよ。」
「昴さんも外したら?」
「嫌です。」
「嫌だ。」
普段からさらしで胸を潰している二人が、今回もさらしを巻いたまま作業をしそうなので、由梨と千枝がツッコミを入れた。
「いいじゃんいいじゃん! 船の一件の時はさらし取ったドレス姿見せてくれたしー!」
「和装は小さい方が楽なんですって!」
「昴さん、何恥ずかしがってんの? 別にさらしの一枚や二枚。あ、鏡とか烈がいるから恥ずかしいのかー?」
「テメェ、マジでぶん殴っていいか?」
胸ある人達がわちゃわちゃ遊んでいる間に、胸ない葉月と鈴花は…。
「…。」
「すみませーん、そこの四名様ー。一部気にしてる人がいるからそれ以上何も言わないであげてくださーい。」
冷気と植物が辺りに漂ってます。それを察知したのか、セシルが着替えながらそう言った。
これには全員、黙り込んだのは言うまでもない。
ちなみに、ジョーカー一味は擬人化の出来る三人は擬人化状態で、フランシスとローズが完二特注神主服(事前に葉月が頼み、一日足らずで完成。)を着る事になった。
「おーい、菖蒲、ちょっと大変な事になったー。」
「え、あなた、どうしたの?」
そんな中、ふすま越しに菖蒲の夫で葉月の父、宗谷(そうや)が話しかける。
「実はなー、一着分、神主服が足りないんだよー。」
「ええっ!? こ、困ったわ…。巫女服なら一着あるんだけ…あ。」
わたわたと巫女服を引っ張り出すが、何故か凄く破れた様な後が!
「こ、これ、虫食いだね…。」
「盛大に食われてるな…。」
「昨日確認した時にはちゃんと数あったし、虫食いがないかも確認したのに…。」
「葉月、人数の連絡したのか?」
「もちろん。数があるか確認しないといけなかったから事前に連絡したよ。でも、変だね…。虫食い巫女服に一着足りない神主服…。」
「事件の臭いがしますが、今は様子を見てみましょう。…今は、誰かこれを直して巫女服を着るしかないですね。」
探偵としての勘が何かを告げたのか、直斗はそう呟くも、今は目先の事だ。一着足りない以上、この虫食い巫女服を直して男子の中で誰かこれを着るしかない。
「ちょっと小さめのサイズだから、葉月ぐらいの子じゃないと入らないわね…。」
「となると…。葉月と同じくらいの身長は…烈と鏡か。」
ぱっと出てきたのが、烈か鏡。どっちも嫌がるだろうが、今はどっちかを犠牲にするしかない。
「宗谷さん、烈と鏡を呼んでくれ。赤髪と白髪褐色の奴。あと、完二も。えっと、金髪の顔がいかついの。」
「赤い髪の子と褐色の子に、顔がいかつい子だね。分かった。」
そう言って宗谷は元いた部屋に戻っていった。その間に昴は着替えを済ませ、部屋の前に立った。虫食いの巫女服を持って。
「昴さん、来たぞー。」
程なくして、烈と鏡がやってくる。それと完二も。完二は着替えているが、他二人は着替えていないようだ。
「宗谷さんから話は聞いてるか?」
「ああ、神主服が一着ないってのは聞いた。で、どうすんだよ。」
「簡単だ。鏡、烈、どっちか巫女服着ろ。」
「」
スパッと、悪びれもなく、堂々と言う昴に絶句する二人。
「完二、お前の裁縫技術を見込んでこれを直してほしいんだ。鈴花が言うには虫食いのようだ。」
「どれどれ…うおっ、すげーッスね。こんな虫食いは初めて見たッス。こんなになるまで放っておくなら、オレ達のも危ないと思うッスけど…そんな傷はどこにもねぇし…。」
「直斗も探偵の勘で何か察知したみたいだ。…けど、今はこれを直してくれ。じゃないと話が始められない。」
「ウッス! じゃあ…ミシンと白い布と赤い布を用意してほしいッス。すぐ直るッスよ。」
「了解。」
昴は創世ノートに完二の言った材料を書いた。するとすぐにそれは現実となる。
ここは異世界だが、ただ創造者との通信が出来ないだけで、物を出したりスキルコンバートといった創世ノートの能力自体は発動可能なので、それができるのだ。
「さて、完二には任せるとして…。二人で話し合え。どっちかが犠牲になる事を。」
「はいはーい! 私、鏡君が着る事を望みます!」
「私は烈に着てほしいですわ!」
「寧ろどっちも巫女服で」
※暫くお待ち下さい…。
「なぁ、昴さん。そのノートの力で神主服出せんじゃね?」
「あ、言われてみればそうだな。」
いつからいたのか、湧いて出た腐女子を昴と烈が即行で沈め、烈は昴にそう提案する。ちなみに鏡は完二に耳を塞がれて被害はないようだ。
「ねー、完二ー。牡丹達はなんて言ったのー?」
「オメーは気にしなくていい。じゃあ、昴さん。この服直さなくていいのか?」
「勿体無いし、直しちまえよ。じゃあ、っと…ほれ。お前等二人もさっさと着替えちまえ。役割分担しなきゃいけないんだからよ。」
「うん!」
「ああ。ったく、余計な手間かけさせんじゃねぇよ腐ってんのは…。」
烈はブツブツと何かを言いながら、鏡と共に男子更衣室に戻っていった。完二も手近な部屋を借り、修復作業に取り掛かるようだ。
「…直斗。」
「はい。」
後ろにいた直斗に、昴はそっと声をかける。
「この現状、どう見る?」
「とりあえずは様子見ですが…何か、悪意のようなものが見え隠れしているのは何となく感じます。もしかしたら他のも何か被害にあっているかもしれません。」
「…いざとなったら、お前の探偵としての能力が頼りだ。頼んだぞ、探偵王子。」
「…任せてください。先輩の家の為に、尽力を尽くしますよ。」
昴と直斗は、頷いた。また何かあるか分からないが、警戒をすることにしたようだ。
- 年末恒例巫女さんバイト その五 ( No.353 )
- 日時: 2014/12/31 21:25
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)
完二がいないが、役割分担を決める事になった。
「お願いしたいのは、女子には甘酒を作って売ってもらいたいの。それから女子にはもう一つ、おみくじやお守り、破魔矢なども売店で売ってほしいわ。男子は…女子と同じように甘酒を売るのと料理、それから、境内の見回りついでの掃除ね。」
「甘酒なら私作れるよ!」
「私もー!」
「私も可能ですわ!」
「私も作れるよ!」
料理と聞いてゲテモノ組が黙るわけがありませんでした。
「甘酒はリリィとセシルと鈴花。料理は完二と烈とジョーカー。双方のサポートに理乃がつけ。これで決定な。苦情は一切受け付けない。」
「何でよ!」
「酒粕を使う以上、アルコールに弱いフランシスと葉月と場酔い経験のあるクマは除外。ゲテモノ組は当然の如く除外だ。年を越させずに神社でご臨終させる気か? ローズも由梨も料理対決で評価は高いが、ローズは擬人化ができない以上ちょっと可哀想だから別の仕事に回す。由梨は巫女さんのバイト経験者だから売店の方に回ってサポートを頼む。」
が、即座に昴が勝手に振り分ける。その配役にした方が死なないので、全員納得したように頷く。昴、ちゃっかり評価四以上を選びやがった。
「破魔矢とかの売店は…残りの面子で交代制でいいか?」
「昴さん、ボク達も売店手伝うよ!」
「にゃぐー!」
「確かに、俺達は売店を手伝った方がいいだろう。」
「境内の見回りだと、絶対迷子になるからね…。沢山人が来るだろうから、埋もれちゃうよ…。」
パステルくん、にゃぐわ、フランシス、ローズがそう申し出る。ちなみに今回黒と紅も着てます。
「確かに小さい貴方達はこっちの方がいいわね…。売店側もあまり人がいなくてもいいかもしれないわ。男子を少しをこっちに入れてもいいかもしれないわね。」
「じゃあ、ちっちゃい者組以外だと、接客業の経験があるクマ、陽介、雪子、風雅、氷海、雪花辺りか?」
今言ったメンバーは、クマと陽介がジュネスのバイト、雪子と風雅と氷海が実家の手伝い、雪花は氷海の実家の手伝いで選択したのだろう。
「救護係がいた方がいいなら、氷海と雪花を回しますけど…。」
「え、理乃ちゃんみたいに回復魔法持ちなの? 回してくれるなら助かりますが…。」
「あ、いえ。回復スキルはありませんが…家が病院で、私達も少し医術を学んでいるので、簡単な応急処置ならば可能です。」
氷海が説明すると、菖蒲は頷いた。
「じゃあ、二人には救護に回ってもらいましょう。」
「…大怪我した人が出たら怖いから、俺も救護に回るよ。理乃のスキル使えば出来るしな。あ、黒と紅どっちか、にゃぐわの通訳で残ってくれ。」
「じゃあ、残りは境内の見回りかな? あ、黒と紅はどうするんだ?」
『我と黒は空を飛べるから、境内の見回りでいいだろう。黒、サボって酒を飲むんじゃないぞ?』
『! そ、そんな事はせんぞ!』
急に慌てやがったこいつ。おい黒、もしかして考えていたか?
「おい黒。テメェサボってたら焼くぞ?」
「あ、それ馬鹿神にも言えるからね? サボってたらぶっ飛ばすよ?」
『そ、そんな事するもんか!』
「し、信用ねぇのかよ!」
「ない。」
互いに相棒として、そんな姿を見ているのできっぱりと言う烈と影。
「…黒、お前は売店チームだ。境内チームは二人一組になれ。特に要注意人物である悠、牡丹、MZD、七海と組んだ奴は警戒しろ。」
「はーい。」
「ひでぇなおめぇら!」
と、言う訳で、拡販の役割は…。
調理班:サポートは理乃
甘酒…リリィ、セシル、鈴花
料理…烈、完二、ジョーカー。
売店班:サポートは由梨
フランシス、ローズ、パステルくん、にゃぐわ(通訳係で黒)、雪子、クマ、陽介、風雅
救護班:サポートは昴
氷海、雪花
境内の見回り班:
MZD、影、悠、千枝、りせ、直斗、鏡、凪、牡丹、紅、葉月、七海
となったようだ。
「烈、鈴花。完二にはお前達から話しておいてくれ。」
「わかった。」
「うん、わかった! 完二も喜びそうだね。」
「得意分野でのアレだからな。あ、甘酒と料理分けたけど、大変そうだったら互いに手伝ってやれ。」
取り合えず一通りの指示を終えたら、昴は境内チームに向き直った。
- 年末恒例巫女さんバイト その六 ( No.354 )
- 日時: 2014/12/31 21:30
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)
「さて、次は境内の見回りだな。影、紅、直斗、チーム分け頼む。俺達は各自持ち場につこう。後はこいつ等に任せてな。」
「何でオレに頼まないの!?」
あっさりとまともな部類に入る三人に頼む昴。結構ちゃっかりしている。昴はMZDの反論に答えずに、さっさと持ち場に行ってしまった。
「取り合えず、要注意人物である鳴上先輩、金杉先輩、牡丹さんは鏡君と組ませないようにしましょう。」
「『異議なし。』」
「酷くないか!?」
「酷くない!?」
『当たり前だ。純粋組をお前等裸族と腐った二人と組ませられるか。』
ぴしゃりと言う紅。当たり前だ。自分達がいない間に問題起こされて鏡に悪影響を及ぼされたらたまったものではない。
『…鏡は我と組んでもいいだろうか?』
「異議なし。紅なら鏡を任せられるからね。」
「同じく、異議はありません。」
誰も反対意見が出ない。確かに鏡は相棒である紅に任せるのが一番だろう。
「じゃ、ボクはこの馬鹿神と組むわ。嫌だけど、ボクが見張ってないと絶対こいつ寝る。」
「異議はありません。」
『影ならば十分任せられるだろう。』
「酷くないかお前等!」
ギャーギャー喚くMZDを影が物理で黙らせ、他のメンバーに向き直った。
「残りはどうする?」
「…金杉先輩と牡丹さんが組んでしまってはまずいですね。ですが、ベストメンバーといえる組み合わせもないかと。」
『絶対仕事にならぬな。』
「…じゃ、これ使う?」
影はタブレット端末を取り出し、あるアプリを起動した。
それは、あみだ籤のアプリだ。
「七海と牡丹を同じ欄にして…あ、悠も同じ欄にすればいいか。んでもう一人は…。」
影はちらりと凪を見る。
「…直斗にしよう。」
「え?」
慣れた手つきで操作をする影。ある意味当たり枠は、直斗になったようだ。
「これなら凪と組める可能性あるでしょ?」
「なっ、ななななな!!」
『なるほど。影、考えたな。』
顔面真っ赤にして反応する影。そして入力し終わり、あみだ籤の時間になった。
「さーって、どうなったかなーっと!」
そして、運命のあみだが伸びていく。
結果は…。
凪と直斗、葉月と七海、りせと悠、千枝と牡丹。
となったようだ。
「ーーーーーーーーっ!?」
そう、組んでしまった。よりにもよってここで出てしまった。凪と組む事になってしまった。
「直斗君、ガンバ!」
「よかったじゃん、直斗君!」
「直斗君、神社だから不埒な行為は駄目だよ?」
「し、しませんって!!」
「凪直キタコ」
この事で他の女子がからかいだし、腐ったのが騒ぎ始めたので、
「スズカ、【ブフダイン】」
「スクナヒコナ、【ガルダイン】」
ツッコミ組の二人が弱点属性(牡丹は氷、七海が風)を盛大に当てました。ちなみに、鏡は紅が避難させていました。
「と、とにかく決まってしまったのは仕方ありませんよ。仕事に取り掛かりましょう。杉山先輩、この神社の見取り図を…。」
「あ、うん。」
そして、見回りをするブロック分けが行われた…。
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