二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 神様のノート 一冊目
- 日時: 2015/05/12 18:40
- 名前: 奏月 昴 (ID: rBo/LDwv)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=28346
始めまして、奏月昴と申します。
pixivでも活動していますが、別の所でも活動したくなり、こちらにやってきました。
基本pixivと同じものを載せていく予定なので、お好きな方を閲覧下さい。
とりあえず今は現在進めているシリーズ物を載せますが、ちょこちょことお引越しさせていく予定です。
設定わかんないけど興味がある方、pixivまでお越しいただけるとありがたいです。
何かいい加減ですみません…。
それでは、よろしくお願いします。
※ざっくばらんなあらすじ
会社から帰宅途中に何故か宙に浮いている少年、MZDと出会った私こと、創造者。
彼から貰った創世ノートを使い、世界と創造者の分身、奏月昴を生み出し、この世界の神様として中からの管理を命じる。
その際、昴と約束し、私の事は他言無用とすることになった。
昴は生まれたその日に、この世界で烈達つぎドカ!メンバーと出会い、仲良くなる。
ある日、創造者から教えられた創世ノートの機能である『召喚』を用い、烈達の記憶と姿、力を基にして鏡達を生み出す。
そして二学期が始まる頃、八十稲羽から悠達ペルソナメンバーが、ペルソナが現実でも呼べるようになり、流石に稲羽にはいられないという事で、烈達が通う学校に転校して来て、仲良くなった。
色々あり、十二月。烈達つぎドカ!メンバーがバトルしてから一年後、パステルくんはワンダークロックと呼ばれる巨大時計をジョーカー一味に壊されている事を思い出し、一人立ち向かおうとするも、それをつけていた烈達つぎドカ!メンバー。
彼等の力を借り、ジョーカーを倒し、ワンダークロックを無事直すことが出来た。
ジョーカー達とは和解し、現在はつぎドカ!メンバーの家に、ジョーカーは昴のいる神殿に住むことに。
ワンダークロックが壊れた影響なのか、全ての人々の体の時間が戻ろうとしており、現在、年齢はそのままで一年をやり直している。
昴の管理と私の監視、それに限界を感じた私は、MZDの提案で、戦い慣れた人をノートの世界に永住させる事を決意。
その時、私が高校時代に考えた理乃達が適任という事になり、彼女等の世界をノートの中に作り出し、全てを話した上で永住してもらう事に。現在は悠達と同じ学年で生活している。
私
—とまぁ、見て分かるかわからないけど、主要となる人物は、つぎドカ!、ペルソナ4、ジョーカー達、それからオリジナルキャラとして理乃ちゃん達になるかな。
昴
「あ、簡易的なキャラ紹介は、もう一個の“ノートに刻まれた一頁”に移したので、そちらを見てくれよな。URLからも飛べるぞ。」
5/12 最終更新
『目次』
☆料理対決シリーズ
〔第一回・可憐な乙女の料理対決〕
・栗拾いからの料理対決へ&華の乙女の料理対決! >>154-160
・実食 完二&烈&鏡&悠 >>164-168
・実食 凪&陽介&クマ&風雅 >>173-177
・結果発表からのO・SHI・O・KI・DEATH☆ >>180-186
〔第二回・続・可憐な乙女の料理対決〕
・料理対決・再び >>1-7
・実食 ローズ&鏡 >>8-11
・実食 完二&リリィ >>12-15
・実食 悠&風雅 >>16-19
・実食 凪&セシル >>20-23
・実食 陽介&クマ >>24-28
・実食 フランシス&烈 >>29-34
・結果発表と例のアレ >>35-43
〔第三回・豪傑な男の料理対決〕
・何でどうしてこうなった(By昴) >>44-49
・実食 氷海&雪花 >>50-53
・実食 七海&由梨 >>56-59
・実食 鈴花&直斗 >>60-63
・実食 葉月&雪子 >>64-67
・実食 千枝&牡丹 >>68-71
・実食 理乃&りせ >>72-76
・結果発表! >>77-86 ※募集は締め切りました
・O・SHI・O・KI☆前半戦 >>94-101
・O・SHI・O・KI☆後半戦 >>110-123
〔第四回・男女混合料理対決地獄編〕
・戦いをもう一度 >>203-209
・実食 一番&二番 >>222-227
・実食 三番&四番 >>233-237
・実食 五番&六番 >>247-253
・実食 七番&八番 >>260-264
・実食 九番&十番 >>286-290
・実食 十一番&十二番 >>301-306
・実食 裏回 >>326-342
・結果発表! >>384-398 ※募集は締め切りました
・賢者に慈愛を、愚者には罰を 賢者編 >>662-671
〔第五回・料理対決・頂上決戦!〕
・評価五のための頂上決戦! >>415-420
〔番外編・審査員一新!? 選抜メンバーの料理対決!〕
・死亡フラグ立たせた奴。前出ろ。前だ。 >>716-723
・実食 一番&二番 >>728-733
・実食 三番&四番 >>738-743
・実食 五番 >>751-756
・対決 五番の料理 >>784-794
・大団円と実食 六番 >>814-822
・実食 七番&八番 >>840-848
〔番外編・挑戦者=変動審査員!? ゲストもありな料理対決!〕
・概要と募集要項 >>856※募集は終了しました
☆言葉泥棒とワンダークロックシリーズ
・言葉が消えた理由 >>435-441
・異次元に突入! >>442-446
・激突! 鈴花VSローズ >>451-455
・激突! 風雅VSフランシス >>456-460
・激突! 烈VSリリィ >>464-469
・激突! 氷海VSセシル >>470-474
・激突! つぎドカ!VSジョーカー >>478-484
・揺蕩いから、覚醒めの時へ >>485-488
・激突! パステルくんVSジョーカー >>491-497
・おかえりの味とただいまの涙 >>498-506
☆マヨナカテレビ事件シリーズ
〔氷海編〕
・虚ろな映身は現身を打つ >>523-532
・穿たれた水器(みずうつわ) >>533-537
・囚われの氷硝 >>540-545
・冷酷なる御霊 >>546-553
・氷雪の女王 >>563-568
・悪夢の終わり >>569-578
・雲の向こうに捧ぐ向日葵の花 >>582-585
☆神様・悪夢相談室シリーズ
・悪夢:ケース「赤羽 烈」>>805-808
・悪夢:ケース「青柳 氷海」 >>831-835
☆もしももしものちいさなおはなしシリーズ
・カラオケネタ >>192-195 ※募集は締め切りました
・どっちの料理ショー >>274-276
☆ノートの世界のTwitter事情シリーズ
・アカウント一覧 >>589
〔本編〕
・その一 >>590-594
・その二 >>595-598
・その三 >>606-609
・その四 >>614-616
・その五 >>622-623
・その六 >>630-632
・その七 >>633-634
・その八 >>317-319
〔番外編〕
・Let's Twitter with JOMANDA >>602-605
・Let's Twitter with JOMANDA2 >>617
・Let's Twitter with JOMANDA3 >>776-778
・異世界の料理対決 その一 >>880-888
☆新・ワイルド能力者のコミュ事情シリーズ
・烈&氷海 ランク1 >>644-649
☆短編
・はんぶんこ >>128-129
・リミットブレイクと暴走娘 >>133-135
・フラワーギフト >>140-147
・年末恒例巫女さんバイト >>349-359
・玉より食物 >>365-371
・「リンちゃんなう!-Try to Sing Ver.-」 rejected by 相方の皆さん >>510-515
・没案「第四回料理対決六番の料理」 >>516
・思いつくままに書いてみた料理対決案 >>558
・没案「第四回料理対決・その後」 >>624 答え+α >>629
・バレンタインデー☆パニック! >>681-689
・猫の猫による猫のためのお花見 >>699-704
・お知らせと次々回予告(!?) >>708-709
・ほのぼの日和 >>770-772
・小ネタつめつめ >>863
・前奏曲・異世界の第六回目 >>866-868
・お知らせと紹介と >>891-893 new!
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- Re: 神様のノート ( No.580 )
- 日時: 2015/01/23 16:28
- 名前: りゅーと (ID: W8wXq41i)
みんなお疲れ様。あなた達もよく頑張ったわ。没ネタをちらっと見たんですけど、たしかにありそうなものばかりwww
・オリキャラs:あたしの知っている作者さん達に多くいます(のりはさん、桜さん、葉月さんなど)
・ミラクル枠:たくさんいる(うちの風雅、メアリーちゃん、のりはさんの杉助君、ヤマビコさんのGUMI、抜間さんのカービィ、ユリカさんのスマイルなど)
・らぞクッキング:合間に書こうかなと考えてる(皆さんが考えた裸族料理をマリオとスネークとファルコンが評価(悪役組のがあるからワリオとガノンは不在)。なお、ここはケチャップはありません(マジで)
・四属性:これはありそうだし、参加者が多いかも。
・固定審査員達:うちの子達は☆5クラスだから油断しないように?(マルスは☆3〜☆4クラスで、紅茶やお菓子なら☆4〜☆5。最初に来た時は☆3クラスだったが、家事や教養もあってかランクが高くなった)
・作者さん同士:これは面白そう。自分は☆3か☆4ぐらいだし、レシピサイトはよく見る方(クックパッドや公式サイトなど)
・パステルくんが固定審査員:これは有力候補。たくさんいるので大丈夫。普通にするとつまらないので、各サイドから必ず氷海は参加すると言うのを付け加える(おい、あの水色のアップルパイと炎上ロールキャベツと銀色の頭蓋骨ドーナツを忘れんな)。
・料理自慢:これは☆5組が多く集いそうだな〜。クトゥルフはやめろ
クトゥルフ組の料理対決なら、これがいいんじゃないですか?
『ちゃんと作れるか!?低評価組も本気の料理対決!』
・☆1や☆0が集い、テーマの料理を作る。
・テーマの料理はクイズ形式で出され、それを元に考える。こんな感じに
「例」
・欧米人がつけた呼総
・使う野菜は最低でも三種類。「1:園芸上では一年草もしくは二年草として扱われる。鱗茎、即ち葉は野菜として食用に利用される。色、形状、大きさは様々である。」「2:地下の茎の部分(塊茎)を食用にする。加熱調理して食べられるほかに、デンプン原料としても利用される。涼しい場所での保存が望ましい。ある処理をしないと危険。」「3:原産地のアフガニスタン周辺で東西に分岐し、世界各地に伝播した。西洋系と東洋系の2種類に分類できる。東洋系は細長く、西洋系は太く短いが、ともに古くから薬や食用としての栽培が行われてきた。」
・一般的には肉が使われる事が多いが、野菜のみやシーフードのもある。
・スパイスはたくさん使われる
・と、挑戦者は作る料理を考える。なお、今回は考えや買い出しや調理工程の全てを見ます。途中でボーナス問題もあり
・作者達は特殊な椅子に座っており、挑戦者達がミスや間違いなどをする度に椅子が試食会場へとどんどん近づき、試食会場に着いた地点で問題児共が作った料理を試食しないといけない。
・要するに☆1や☆0が料理に対してちゃんと真剣にしているかと考える企画。
リンク「つまりはゼルダや氷海の様な子達の本気を見るって事か。葉月や風雅も参加できるんじゃないか?あいつらのドタバタする部分をカウントせずに評価すればいいと思う。ここは昴が試食せずに済むが・・・」
マルス「つまり、七海が出たら昴が即死コースって事ですね分かります。ちなみに上の問題の答えはカレー」
これは頭の良さや料理に対する真剣な気持ちや相手を考慮しているかと言うポイントがあるので、腐った女子組がふざけた地点で・・・;
七海「牛蒡?・・・牛の字があるから、牛肉でしょ!?牛肉と言ったら、ヒレかロース・・・いや、待てよ!?フェイントでサーロインかも!!!」
- Re:エイヴさん、りゅーとさん ( No.581 )
- 日時: 2015/01/23 21:34
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 0bGerSqz)
エイヴさん:
ようやく次で一段落つきます。しかし、烈の葛藤と氷海の決意はまだまだ続きます。
昴「烈の心が変わるまで、ある意味氷海の一件はまだ解決していないんだよな。」
氷海ちゃんの烈君に対する恋慕は、絶えず続くでしょうからね。…烈君から告白されるまで。
とまぁ、この時は無事に助け出せたので、よしとします。
ディクトさん、その節はお世話になりました。貴方のお陰でクトゥルフvsクトゥルフの戦いがみられるかもしれません。やる人がいれば。
昴「ある意味飛び火は来るだろうな。」
パステルくん「目的の人物の口めがけて入ってくる例があったから油断はできないよね…。」
…フラグだらけです。
では、この辺りで失礼します。
■
りゅーとさん:
仲間の危機とあれば、みんな黙っていませんからね。
あ、没案見たんですね…。りゅーとさん、どうです? ネタのストックに。
昴「ちなみに、俺はジョーカーが来るまでほぼ一人で家事してたし、そこそこできっかな。こいつは…まぁ、レシピ見りゃ失敗はしないかな。」
ゲテモノかそうじゃないかの区別くらいはつきますんで、そういったのは出しませんよ。ちなみに昴は☆4くらいです。私は☆3。卵料理は割とできますかね。二人して。
昴「得意料理はチャーハンです。ええ、ただ溶き卵にご飯ぶっ込んで味付けして炒めただけの。」
言うなー! でもこれでも結構パラパラになりますよ。
パステルくんのは…そうすると確実にパステルくんsだけじゃなくて他の人達もアカンフラグではありませんか? 八雲さんの言葉を借りるなら第二次ティータイムハザード(おにぎりハザード?)が起きますよ。うちのくんさん様、黙ってないですよ?
パステルくん「え? 呼んだ?」
昴「呼んじゃいねぇよ。」
…もし起こるであろうなら、理乃ちゃん達は温存した方がいいですかね…? うん、救援の被害的な意味で。
クトゥルフ系のその案で昴が助かる方法は、葉月と七海を出さないことですね。葉月もちょっとおバカさんなので。
葉月「で、でも、文系は出来るよ!?」
昴「まぁ、理数系は赤だが、文系なら赤点は免れるくらいだからな。しかし、お前の料理なら仮に食っても口の中怪我するくらいだし、問題ないからいい。それに、真剣に取り組む意思はあるからな。問題は…七海だよな。」
理乃「もしやるとなったら、私がみっちり叩き込んでおきます。それから七海、どうして牛という字で何で肉にいくのよ。牛蒡はね、ご・ぼ・うと読むの。今からみっちり叩き込みましょうか?」
七海「理乃、やめて、死んじゃう!」
葉月「うわ、あの目、本気だ…。」
昴「七海、死んだな。」
この後、みっちりと私語かれたのは言うまでもないでしょう。
では、この辺りで失礼します。
■
私—さぁ、ラストいっきまーす。
- 雲の向こうに捧ぐ向日葵の花 その一 ( No.582 )
- 日時: 2015/01/23 21:40
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: fbqYC.qT)
氷海が無事に救出されて、一週間が経った。
だが、氷海は学校に来られる程の体力はなく、烈はまだ安静の状態。二週間くらいは二人ともお休みだ。
「…。」
直斗は今日も一人、二人の席を見つめていた。
(…あぁ、駄目だな、僕…。烈君と氷海さんがいる生活に慣れすぎて、二人がいないと違和感が半場無いです…。)
早く来てくれないかなーと思いつつ、直斗は溜息をついた。
そんな時、ガラッ、と戸が開かれる。
「ちーっす。」
「おはよう、みんな。」
「…えっ!?」
聞き覚えがある声に、直斗は思わず驚き、開かれた戸を見る。
そこには、烈と氷海がいた。二人とも何も変わらぬ、元気な姿で。
二人はさも当然に、驚いている顔をしている直斗を素通りして、自分の席に座る。
「おはよーさん、直斗。朝からすげー顔だな。」
「フフッ、無理も無い事でしょうけどね。」
「え、ちょ、れ、烈君!? 氷海さんも! 二週間くらいは休みじゃなかったんですか!?」
「お父様に無理言って、一週間早めてもらったの。授業を遅らせたくないし、あんまり入院もしていられないでしょう?」
「ちょっとコラいいんですか医者の娘がそんな事言っていいんですか何ですか僕の神経がおかしいんですか?」
直斗はノンブレスで一気に氷海に言い放つ。
「烈君、君からも何か言ってやって下さいよ! と言うか何で君まで来てるんですか!」
「…俺もお前と同じ事言ったけど、これだから無理。それに、ツッコミ属性持ちメンバーの仕事増やしたくないし、意外に早く体も楽になったから、退院してきちまった。」
「とりあえず君はもう一週間程お休みしてもいいと思います。仕事なら、野上先輩がこなしていますから。」
「由梨先輩が?」
意外な人物の名前が上がり、烈は軽く驚いて直斗に聞き返した。
「ナンパをしてくる鳴上先輩を素手でシメたり、喧嘩する能力者を体ひとつで止めたりと、もう凄かったですよ。お陰で、今じゃ学内で秘密のファンクラブが出来ています。それと、“姉さん番長”とあだ名もつきました。」
「パネェな由梨先輩!」
「その…もはや、化物ね…。言ってはいけないけれど…。」
「大丈夫です。僕も何だかそう思い始めてきましたから。」
直斗が遠い目をしたので、烈と氷海はこれ以上何も聞かない事にした。
「…っと、そうだ。俺、ちょっと屋上に行ってくる。」
「何かあるんですか?」
「ちょっと、一人になりてぇの。ホームルームが始まる頃には戻っから。」
「ちゃんと帰ってきなさいねー。」
氷海はそう言って、烈の姿を見送った。
「…氷海さん、つかぬ事を伺いますが、烈君には、氷海さんの決意、話したんですか?」
「ええ。入院している時に、話したわ。それからずっと、考えてくれているみたい。」
「…烈君も烈君なりに、答えを出そうとしているのでしょうね。」
「そう、かも知れないわね。…あら?」
突如、氷海の携帯電話にメールが入る。そのメールを見るなり、氷海は小さく微笑んだ。
「直斗、私も少し、出ていくわね。」
「えっ? もうすぐホームルームが始まりますよ?」
「…どうしても、大切な用事なの。…先生には来ていると言っておいて。」
真剣な表情の氷海に、直斗は何かを悟ったのか、溜息を吐いて笑みを見せた。
「わかりました。深い理由は聞きませんよ。」
「…ありがとう、直斗。それじゃあ、行ってくるわね。」
「行ってらっしゃい。(上手くいく事、願ってますね。)」
直斗は氷海の後ろ姿を見送りながら、彼女にエールを送った。
「…告白だな。」
「恐らく、そうで…って、うわぁっ!?」
いつの間に横に立っていた人物に驚き、直斗は盛大に転んだ。
「い、いつの間にいたんですかDTO先生!」
「氷海が出てくちょっと前から。ちなみに烈が出ていったのを廊下の窓越しに見た。」
「僕の隣にいたなら声をかけて下さい!」
「気にするな。それより直斗、気にならないか? 烈達。」
「気になりますが、覗き見は遠慮しておきます。それよりホームルームを」
始めて下さい、と言おうとした時には、クラス中がもぬけの殻になっていた。
「…。」
「直斗、お前は行かなかったんだな。」
「あ、ハジメ先生。はい。覗き見はまずいと思いまして。」
「多分、賢明だと思うぞ。ちなみに直斗、今行った奴等、あ、DTO先生含めて、どうなると思う?」
「美味しくこんがり焼かれて帰ってくるか、凍らされて暫く帰ってこないかのどちらかでしょう。」
探偵王子の推察に、ハジメは納得を見せた。
「どちらにせよ、無事には帰って来ないだろうな。直斗、ホームルームはうちのクラスに混ざって連絡聞くか?」
「どうせ今このクラスはそれどころではありませんし、お邪魔してもいいですか?」
「構わないって。」
「感謝します。」
直斗はハジメと共に、彼が担当する隣の教室へと向かっていった。
- 雲の向こうに捧ぐ向日葵の花 その二 ( No.583 )
- 日時: 2015/01/23 22:08
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: fbqYC.qT)
屋上では今、一人の少年が空を見上げ、流れる雲を見つめていた。
「…ホームルーム、始まっているわよ。」
少年の横に、少女が並んで座り、空を見上げる。
「…こういう時しか、二人きりになれねぇからさ。お前こそ、よくホームルームサボる気になったな。」
「貴方から“話がある。”なんてメールが来れば、サボりたくもなるわ。」
「それ、絶対二年前には言ってねぇよな。」
「ええ、言っていないわね。それどころか、貴方を連れ帰っているわ。」
暫く話した後、静寂が訪れる。
「…氷海。」
「何? 烈。」
「…結論から言うとな…。」
少女…氷海は、少年…烈の次の言葉を、黙って待つ。
「答え…まだ、出せてないんだ。」
「…。」
「お前のシャドウが見た通り、俺は、過去にあったある出来事がずっと引っ掛かってて、幸せになっていいか、俺だけが幸せになっちゃいけないんじゃないか、そう、その思いが、ずっとグルグルしてんだ。」
「…何があったかは、話してくれないの?」
「…ごめん。話したく、ないんだ。思い出すのも、辛いし…。」
烈の顔を覗き込んだ氷海は、すぐに視線を戻し、空を見た。
「いいわ、無理に話さなくても。…無理に聞いて、貴方が傷付くのは、嫌だから。」
「…サンキューな。」
また、暫しの沈黙が流れる。
雲に包まれた空が、まるで二人の心を表しているかのようだった。
「…こうは言ったけど、さ…。」
沈黙を破った烈は徐に立ち上がり、金網の方まで歩く。
「色々、考えるのはやめねぇよ。幸せになっていいかって事も、氷海の気持ちも。」
「…。」
「“好き”っていう感情はよくわかんねぇけど、すげぇ素敵な事っていうのはわかる。俺もいつか、誰かを“好き”になりたい。」
そこまで言ってから、烈は氷海を見た。
「もし、その“好き”がお前に向けられたら…お前の事を好きになった時には、俺からお前に告白する。もし、その時に…お前がまだ、俺の事を好きでいてくれるなら…その時は、お前の恋人として、一緒にいてくれないか?」
「…!」
烈のその言葉に、氷海は思わず目頭が熱くなるのを感じた。
自分を嫌う事なく、烈は真剣に考えてくれる。それがわかったのが…自分の思いが少しだけ報われるのが、嬉しかったのだ。
「…。」
氷海は立ち上がり、烈の元まで行き、そして、
「!? …。」
烈を自分の方に向かせてから抱き締め、その唇を奪った。烈は一瞬驚くも、払う事なく、それを受け入れた。
「…待っているわ。ずっと。…貴方が私を好きになって、告白してくれる日を、ずっと…。」
「…ああ。」
氷海を抱き返し、烈は笑みを見せながら、答える。
「…ねぇ、烈。」
「ん?」
「暫く、このままでいいかしら?」
「…授業、始まるぞ。」
ホームルーム終了を告げるチャイムはとうに鳴った。もうすぐ授業だというのに、氷海は烈にそう懇願した。
「…たまには、サボるのも悪くはないわ。」
氷海はただ、そう呟いて、烈を抱き締めていた。
これには、烈は「…そうかよ。」と短く呟いて、なすがままにされるだけだった。
「わっ、ちょ、押すなって! うわぁっ!」
暫くの間、二人はそうして抱き合っていたが、いきなり校舎への扉が開き、中から担任とクラスメイト達が雪崩れ込んできた。
「…。」
暫し、状況が読めず固まる烈。そして状況を理解した時、内に焔の如く熱い怒りと、恥ずかしさが宿った。
「烈、どうしたの? 凄く熱いわ。それに、何だか音がしたけれど…。」
「…ん、いや。氷海、そろそろ離して貰ってもいいか?」
「え、えぇ…。えぇっ!?」
氷海は名残惜しそうに、烈を離し、後ろを見て、ようやくクラスメイト達に気が付き、顔を赤らめて俯いてしまった。
「ちょっ、誰だよ押したの! 見つかっちまうだろ!?」
DTOが問い質すと、口々に違うと言い放つ。
「…それは誰でもいいんじゃないか?」
「いや、良くねぇよ烈…って、うわぁっ!?」
驚いたDTOが思わず後ずさり、周りの生徒達は腰を抜かしながら烈を見た。
「れ、烈、その、これには深ーい訳が」
「どんな深い訳で、俺と氷海を覗き見してた訳? 先生。」
笑顔の烈が、左手に炎を宿しながら、腰を抜かした一同を見ていた。
「…お前ら、まずはそこに正座。その後、一人一人上手に焼いてって、こんがり肉にしてやるから。」
「上手に焼けました〜♪ は止めて下さい烈様お願いします!」
全員、土下座で謝罪をする。
だが、これしきの事で許せる烈ではなかった。
「問・答・無用っ!」
烈は躊躇いもなく、炎を放った。
「ぎゃあぁぁぁぁっ!」
同時に、辺りに、大勢の悲鳴が響き渡った…。
- 雲の向こうに捧ぐ向日葵の花 その三 ( No.584 )
- 日時: 2015/01/23 22:14
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: fbqYC.qT)
時は移ろい、五、六限の間の休み時間。
「…じゃあ、お願いね、完二。」
「おう、わかった。明後日には作り終えてやっから。」
氷海は隣のクラスまで足を運び、完二に何かを頼んで帰っていった。
「氷海ちゃん、何だって?」
席に戻った完二に、鈴花が早速尋ねる。
「ん? ああ。この写真の花の造花を作ってくれってさ。」
そう言いながら、完二は鈴花に氷海から貰った写真を見せる。
そこには、黄色い花びらとチョコレート色の花心が特徴的な花が写っていた。
「これ、何の花かな?」
「向日葵だよ? この品種は…イタリアンホワイトかな。」
りせが問うと、鈴花が即座に答える。
「えっ、嘘っ! これも向日葵なの!?」
「何かそうは見えないね…。向日葵って言ったらこう、もっと中心部が大きいイメージがあるけど…。」
「まぁ、これも向日葵なんだとさ。んで、絶対にこの向日葵にしろって念を押された。どの向日葵でもいいとオレは思うけどよぉ…。」
完二がぼやくと、鈴花はしばし考え、小さく微笑んだ。
「…あぁ、成程。完二、絶対にこれにしてあげてよ。」
「あぁ? 何でだ?」
「…この向日葵じゃなきゃダメなんだよ。」
鈴花はトントン、と指で写真をつつく。
「大事なのはどんな向日葵かじゃなくて、この品種の向日葵の、“花言葉”だもん。」
「花言葉ぁ?」
全員、いぶかしむように鈴花を見る。
「この品種の向日葵…イタリアンホワイトの花言葉は、“貴方を思い続けます。”だよ。」
「…あっ…!」
“貴方を思い続けます。”それは、氷海の烈に対する決意の現れ。
同じ意味の花言葉を持つこの花を側に置き、いつまでも、いつまでも、烈を思う事を忘れさせないつもりだろう。
烈が答えを出す、その日まで。
「…へっ、しゃーねぇな。鈴花、今日の放課後、材料の買い出しに行くぞ!」
「うん、いいよ! 一緒に行こっ!」
完二と鈴花はそう約束をし、放課後を待った。
少女の悪夢は、少年の手により一端の終わりを見せる。
そしてまた、平和な日常が訪れる。
「…フフ…。」
次なる一手が、打たれるまで…。
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