二次創作小説(映像)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

短編小説 *BSR Fate*
日時: 2014/04/21 17:22
名前: ☆Milk☆ (ID: EM3IpZmD)

こんにちは!
題名とか親レスとかが色々変っちゃってごめんなさい(汗)

前は主にバサラとバサラクロスオーバー専用でしたが最近fateが増えてきたためfateも題名に加えちゃいました←
そんな感じに意味が行方を失った短編小説始まります

ごゆっくりどうぞ


※リクエスト受け付けてます。長くなりそうなリクエストや、あまりに抽象的なリクエストはバッサリ無視いたしますので悪しからず。
※荒らし、チェンメ、悪コメはご遠慮ください
※バサラは主に伊達軍、fateは槍兵と弓兵を偏愛してます
※私のオリジナル小説、『僕と家族と愛情と』とリンクしてる時も多々。

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97



Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.432 )
日時: 2014/12/27 10:15
名前: ナル姫 (ID: Iohw8dVU)

あうとネタ


※グラニアがはっちゃけてます
※ディルムッドは必死ですがはっちゃけてます
※規制してますがネタとしては深夜枠です
※それでもよければどうぞ

女「グラニア姫様ー、オディナさーん、お茶持ってきましたよー」
姫「あらありがとう女之ちゃん」
槍「すまないな」
女「いえいえ! にしても姫様、女之はオディナさんに近付いても良いんですね」
姫「ふふ、あまり言いたいことじゃないけど、ね……心だけだもの」
槍「お、おいグラニア……」
女「あぁ良いんですよオディナさん!」
槍「……そ、そうですか……?」
女「はい」
槍「……」お茶飲み
姫「まぁほら、ぶっちゃけた話すると【規制】出来ないじゃない?」
女「  」
槍「  」ブッ
姫「あらどうしたのディルムッド」
槍「ゲホッ……ど、どうしたも、何も……けほっ」
姫「だってそうでしょう?」
槍「そう、だけど……けほっ、こ、子供の前で……」
姫「そっちから手を出したくせに」
槍「そう仕向けたのはそっちだろう……」
姫「さぁ? 泥の方が度胸あると言っただけじゃない」
槍「だからそれがぁ……」
女「ちょ、ちょっと待ってください二人ともそれ以上はっ! 女之の! 女之の心がっ!」
槍「あ、あああすみませんっ!」
姫「ん……あら? そういえばこの世界はそういうの普通にやるんでしたっけ?」
女「  」
槍「ちょ、ま、グラニア……」
女「も、もう止めて下さいぃぃぃ」
姫「あらどうしたの女之ちゃん? 顔が赤いわ、お熱があるのではなくて?」
女「ちょ、ま、ちちち近いっ! 姫様っ! 姫様ーーッ!」
槍「女之助殿から離れろグラニアッ!」
姫「もしかしなくても女之ちゃんは【規制】かしら? それとも心は乙女だから【規制】なのかしら?」
槍「それ男か女かってだけて意味は変わらないから!?」
姫「だってやったことないでしょどう考えても。あ、もしかして晴久様も未経験かしら」
槍「主のことは今は考えるな! 違うんだ縁がないわけではないんだ主は女性に好印象を抱きにくいだけなんだッ!」
姫「まぁ、肯定しちゃったわね」
槍「  」ハッ……
姫「女之ちゃんも男の本能出るんじゃない?」
槍「もう止めろグラニアッ!!」
姫「んー、なんかそういう話すると我慢できなくなって来ちゃったわね」
槍「……グラニア?」
姫「女之ちゃん、襖閉めてね?」
女「あっ、はい! なんかお邪魔しちゃってすみませんでした!」
槍「都合よく逃げないで下さい女之助殿!?」
女「い、いやでも姫様のお邪魔は出来ませんし……」
槍「それは気遣いという名の逃避です!!」
鹿「何してんですか女之助ー? 顔赤いですよ?」
女「テメェは入ってくんな!!」
お「きゅ? きゅーっ」
槍「おやっさぁぁぁぁぁぁぁん見ないで下さぁぁぁぁぁい!!」
姫「おやっさん確か女の子よね?」
槍「だから何? それがどうしたと言うんだグラニア!?」
姫「うん? いーえ?」
槍「うおぅ!? 本気だ!! 本気だなグラニア!? 三人襖閉めてください心を汚さないで本気で!!」
女「逃げるなと言ったり出ろと言ったり何なんですか!? ってぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ひひひ姫様服を破かないで下さい! 腹筋が! ディルムッドさんの腹筋がぁぁぁぁぁ!!」
鹿「ディルムッドさん肌白!」
女「そこじゃねぇだろ馬鹿ッ!!」
お「きゅうっ!」
鹿「え? 戻ろうって? わ、わかりました!」
女「あーっちょっと鹿之助ーーッ!」
晴「……何してんのお前ら」
鹿「ぎゃぁぁぁ晴様!?」
お「きゅっ」
女「うわぁぁぁははは晴様!!」
槍「主ぃぃぃぃぃ来ないで下さい!! 来ないで下さい!!」
晴「なんかさっきからガタガタ、と…………………………」
槍「……あ、あの、主、ちが……」
晴「お、おう、邪魔したな……あ、悪い悪い! 上半身とは言え奥さんの一糸まとわぬ姿見ちまった」
槍「違うゥゥゥゥゥゥゥゥ!! 違う!! 違います!! 違うんだ主よ!?」
晴「いやいや、止めなくて良いって……その、さ、仕事の妨げにならないようにしてくれればいいよ……」
槍「その諦めた声を止めていただきたい!!」
晴「大丈夫だって……石田には絶対【規制】してたとかしかもグラニア姫が上だったとか言わねぇから」
槍「そんなこと考えてません!!」
姫「私は下が好きだけどディルムッドが押し倒してくれないのだもの」
槍「誰がこんな昼間から倒すか!! やめようグラニア! もうすぐ昼ご飯だから! 俺はお前のご飯じゃない!」
姫「【規制】がご飯でもよろしくてよ?」
槍「俺はよろしくない!」
晴「お前ら何を大声で……子供の前で……」
槍「女之助殿鹿之助殿耳塞いで下さい教育に悪いです汚いんです大人はぁぁぁぁぁぁッ!!」
姫「私と【規制】するまでは【規制】だったくせに貴方も。私も【規制】だったけど。でも妙に【規制】だったわね。【規制】と【規制】してたからかしら?」
槍「もう規制まみれで何言ってるか訳わからないから!? わかった! わかったからグラニアとりあえず止めろ!! 昼間はダメだせめて深夜にしよう!」
姫「わかったわ、深夜なら良いのね?」
槍「…………………………」
晴「……なんつーか……お前は悪くないぞオディナ」
槍「くっ……あの、主、服をもらえると嬉しいですすみません……」
晴「……おう」

Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.433 )
日時: 2014/12/28 09:32
名前: ナル姫 (ID: U7zErvcm)

一人の勇者とその旅を助ける精霊的な奴をfateとバサラで考える

☆登場人物
勇者
アルトリア・ペンドラゴン
魔王にさらわれたブリテンの姫を助けに行く勇者。途中たくさんの精霊に助けてもらう。『約束された勝利のエクスカリバー』が武器。勇者を選定する石から唯一剣を抜けた人物だが女の子である。



精霊
エミヤ
剣の精霊。剣を沢山作ることが出来、エミヤと戦って勝つと、無条件で一つ与えられる。また、武器の強化をしてくれる。剣の石を持っていると現れてくれる。

クー
光の精霊。洞窟などで道を照らしてくれる。光の石を持っていると現れてくれる。

ギルガメッシュ
金の精霊。金を作ることが出来る。ただし、横暴な性格で、気に入られないと金はもらえない。金の石を持っていると現れてくれる。

ディルムッド
花の精霊。樹木や花を操る、また、負傷者の傷を癒す力を持つ。花の石を持っていると現れてくれる。

マサムネ
月の精霊。月の加護を授かっている精霊。月の石を持っていると現れてくれ、一定時間カンが冴えるようになる。

ユキムラ
炎の精霊。炎を操る力を持つ精霊で、攻撃的。炎の石を持っていると現れてくれる。

ハルヒサ
風の精霊。風を操る力を持つ精霊で、サポート型。風の石を持っていると現れてくれる。

モトナリ
太陽の精霊。太陽の加護を授かっている精霊で、冷えている人を暖める、傷を癒す、光を燈す、攻撃力を一定時間上げるなどの力を持つ。太陽の石を持っていると現れてくれる。

モトチカ
海の精霊。海の加護を授かっている精霊で、波を宥めたりする力がある。海の石を持っていると現れてくれる。



魔王とその仲間 闇を操ることができる人達
ノブナガ
魔王。ブリテン国からアイリスフィールをさらい、妻にしようとしている。

ミツヒデ
ノブナガの部下。鎌を武器にしている。クネクネとしていてキモい。

ノウ
ノブナガの正室。アイリスフィールをいじめる方向で可愛がってる。

ランマル
ノブナガの部下。弓矢を武器にしている子供。信長を崇拝している。

イチ
ノブナガの妹。自虐的で、兄の元から逃げて来たが後を追われている。

キレイ
ノブナガの裏で暗躍する人物。表向きはただの神父。

この世全てのアンリマユ
闇で汚染されたアイリスフィールで、魔王と同等の力を持つ。魔王を倒し聖杯を壊すことで普通のアイリスフィールになる。



ブリテン国
アイリスフィール
ブリテン国の王女。アハトの孫で、キリツグの婚約者

アハト
現国王。アイリスフィールの祖父。アルトリアにアイリスフィールの救出を頼む。

キリツグ
隣の国の王子。アイリスフィールの婚約者。アルトリアを信用してない。

ランスロット
アルトリアの教育係で、旅にも着いていこうとしたが反対された。



☆道具
精霊の石
精霊を呼ぶことができる石。道端に落ちていることもあるし、購入もできるが少ない石は高い。
出現率の高さは、
炎≧風>花≧海>剣≫光>月≫金≫太陽
炎が紅蓮、風が淡い水色、花が翡翠、海が群青、剣が銀、光が黄色、月が青白く、金が黄金、太陽が橙色に輝いている。また、一度使うとただの石になる。

傷薬
傷を治す薬。簡単に購入できる。


売るとお金になる。

聖杯
魔王が所有する。この世全ての悪を中に溜め込んでおり、闇の力を持たない者に力を与え、魔王に従属させる。元々はキレイの所有物だった。



☆場所、建物など
教会
キレイのいる場所。旅に出る前、旅に出る報告をする。

花の園
ディルムッドが普段いて保護している場所。沢山の種類の花が咲き誇っている綺麗な場所だが、花には意識があり、侵入者には害を与える。花はディルムッドの言うことしか聞かない。


石や薬などを売る、または金をお金に変えてくれる。各村にある。



☆魔王関係の敵(従者というより協力者)
それぞれの村にミニボスがいて、その村はそいつらにそれぞれ支配されている。ミニボス倒さないと次へいけない。
順番はそれぞれ
メディア→ハサン→コジロウ→メドゥサ→イスカンダル→ジル→ヘラクレス



そのほかに、スライム的なノリで雑兵がいる

Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.434 )
日時: 2015/01/02 09:07
名前: ナル姫 (ID: 7wCnRs4p)

 魔王に姫がさらわれた−−その話は国中を駆け巡った。
 伝説の勇者がいるはずじゃ、と国王は言った。
 言い伝えによると、国に災いがもたらされたとき、教会の後ろにある岩に刺さった剣を抜ける者こそが勇者であると言う。
 国中の男子が集められ、剣を抜こうとするが、誰も抜けない。
 ついに男子に限らず老若男女すべて呼び出され、剣を抜こうとした−−そして、いたのだ、それを抜いた者が。



「王! 勇者が現れました!」
「やっとか! キリツグ君! 勇者が現れたぞ!」
 国王のアハトは、孫の婚約者であるキリツグを呼び、勇者であるとされる者を見たの、だが。
「…………ん?」
 それはとてもとても、可憐な少女だった。



「言っておくけれど、僕は君を信用していないよ。僕は僕の力でアイリを取り戻す」
「勇者しか抜けないと言う剣を抜くことも出来ずによく言いますね。この聖剣も無しにどうすると言うのですか」
「……それは」
「あぁはいはい、そこまでになさって下さいキリツグ王子。ご安心下さい、アルトリアと私が必ずアイリスフィール姫を取り戻して来ます」
 アルトリアが気に喰わないのか、喧嘩腰になるキリツグに、売られた喧嘩を買うアルトリア。仲介に入ったのは、アルトリアの家庭教師であるランスロットである。場が収まったと、アハトは思ったのだが。
「え? ランスロット来るつもりなのか?」
「えっ」
『……………………………………………』



 その後、何とかここに残るよう彼を説得したアルトリアは、教会へ向かった。
 黒の神父が彼を迎える。
「ようこそ、選ばれし勇者よ。君はこれから、姫を連れ戻す旅に出る。だが、仲間が一人もいなければ不安だろう。安心したまえ、これを授けよう」
「……これは」
「これは精霊を呼べる石だ。だが効果は一度だけ。特別に、全ての石を一つずつ授けよう。この精霊達は、神の御魂の化身だ。必ず役に立つことだろう」
 石の入った袋が、アルトリアの手に渡る。
 抜き取った聖剣−−約束された勝利の剣が、ステンドグラスを通って入ってきた光に照らされて七色に輝いた。
「−−君に、神の御加護のあらんことを」

黒色の神父の口角がどこか愉しげに歪んだ。

Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.435 )
日時: 2015/01/04 11:26
名前: ナル姫 (ID: UQ9rgOft)

 花の園は美しい場所だ。花の精霊であるディルムッドの加護により、四季折々の花が一年中咲いている不思議な場所。小鳥や動物、蜂や蝶は、花を咲かせながら実も成す木の恩恵を受け、今日も元気に飛んでいた。太陽の光と恵の雨、そしてディルムッドの加護があれば、この場所はいつも平和である。
 広い園の所々に、銅像がある。全てキリスト教関連のものだ。だがその殆どには苔が生えており、汚れている。それが一層ここの雰囲気を不思議なものにしていた。
 兎が編んだしろつめ草の冠を頭に乗せ、噴水の辺にある三角の屋根の下のベンチに座り、小鳥や栗鼠を隣に侍らせて、彼はハープを奏でていた。既に数匹の動物達は居眠りを始め、ディルムッドは口元を緩ませながらハープを弾き続ける。
 ポロン、ポロロン、ポロン、と綺麗な音は、晴れ空に良く映える。動物達に分けようと思い作ったスコーンの甘い香と、蜂蜜を入れた紅茶の香。こんなに優雅でゆったりとした午後はないだろう。
「……ん……?」
 急に草木がざわめき始めた。ディルムッドはハープを弾くのを止め、何事だろうかと立ち上がり、門の方へ歩みを進める。
 −−また侵入者だろうか。最近は魔王の下っ端が入ろうとしているから、草木の反応が過剰になってしまっているな……あの勇者が来たときもそうだった。もう少し宥めなければならないか。
 最近は郎党も見ないし、大したことではないだろうと門へ向かう、が、その時。
「ッ!!」
 咄嗟に飛びのけ、装束を変えて槍を構えた。ディルムッドがいた場所には、矢が刺さっている。顔をあげると、紫の衣を纏った少年が立っていた。何故草木が彼を縛り付けないのか、という疑問は湧く暇もない、何故なら……。
「へー! 花の精も炎の精とかと同じみたいに戦えるんだ! さっきまでヒラヒラした服に羽衣みたいなの纏ってたのに」
「……貴様ッ!」
 入口付近の草木は、全て燃やされていたのだから。
「オイラはランマル! 覚えなくて良いけど」
「……何だと」
 いつものディルムッドからは掛け離れた、殺気を一杯に纏った様子で彼は子供を睨みつけた。
 キリ、と彼は弓を構える。

「だってお前もうすぐ、死ぬし」

 その弓を晴れ空へ放った。何故空に、とディルムッドが顔をあげた、瞬間。
「−−ッ!!」

 雷、が。




「あああああああっ! もう! いくらなら売ってくれるんですか!!」
「だからぁ、もうちょっとだって! だって太陽の石なんて珍しいんだから」
「百も承知してます! その上で私は……」
 石売りのサスケと喧嘩しているのは、ほんの数日前花の園を訪れた勇者のアルトリアだった。何かと便利な太陽の石が欲しいのだが、如何せん珍しい。金の石も今はないし、値下げ交渉は中々進まなかった。
「くっ、ケチですね相変わらず!」
「ケチで結構だよ。何なら花の石と光の石はどう? 攻撃力は上がらないけどね」
「あ、そうだ……私花の石が今ないのですよね……ん? うわ!?」
 アルトリアが言ったとき、一匹のカナリアが彼女の元へ舞い降りた。
「何このカナリア?」
「知りませんよ」
 カナリアはアルトリアに必死に何かを伝えようとするのだが、如何せん人間の彼女とサスケに動物の言葉はわからない。
「な、何この子、どうしたっていうの」
「さぁ……」
 仕方ない、と、アルトリアは今一番多く持っている風の石を日に翳した。すると、風を纏いながらハルヒサが現れる。
「よう、戦闘ではなさそうだが何の用だ?」
「ハルヒサ、この鳥が何て言っているか分かるか?」
「そういうのはディルムッドの専門だろ。まぁ、大まかに読むことはできるけどな」
 どれ、とハルヒサは耳を澄ませた。そして、神妙な顔つきになる。
「……おい石売り! 今花の石を持っているか!?」
「持ってるけど?」
「ちょっと見せろ!」
「見せろって……っ!?」
 サスケは花の石を収納してある場所から石を出すと、目を見開いた。通常、翡翠に輝いているはずの花の石が、光と色を失い、ただの石のようになっていた。僅かにほの暗く光ってはいるのだが、それも消えていまいそうに。
「花の園が襲われたらしい。恐らく魔王の仲間だ。このままだとディルムッドは死んじまう!」
「! そんな! 分かりました、行きましょう!」

Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.436 )
日時: 2015/01/04 11:32
名前: ナル姫 (ID: UQ9rgOft)

 サスケの知る近道を教えてもらい、数時間走ってやっと、裏の門からではあるが彼等は花の園に着いた。そこは焼け野原と化しており、動物達の死体の山だった。
「……ひでぇな」
「また随分派手にやってくれたねぇ……多分魔王の子だね。あの子は雷を使うって噂だよ。弓を空に放つと、雷を纏った大量の矢が降って来るんだってさ」
 おお怖い怖いと言い、サスケは身震いした。
「詳しいなおい」
「何疑ってんのか知らないけど、俺様は職業柄詳しいんですー」
「まだ何も言ってねぇだろうが」
「目で切に語ってたけど?」
「ディルムッドッ!」
 サスケとハルヒサのそんなやり取りの間にどんどん先へ進んでいたアルトリアがディルムッドを見付けたらしい。二人もそこへ駆けて行った。
「ディルムッド! おいディルムッドしっかりしろ! 酷い熱だ……何か……」
 温めるものを、と言おうとするが、周りを見渡せば何もない。
「サスケ、この期に及んで太陽の石を売らないなど言わまいな!?」
「はいはい、流石の俺様も言えませんって、ほらよ」
 鞄から太陽の石を取りだし、アルトリアにパスする。アルトリアは空に掲げた。温かな色に包まれ、太陽の精霊モトナリが現れる。
「何事ぞこれは」
「魔王に花の園が襲われたんだ! ディルムッドも酷い傷で……」
「なるほどな、軟弱者め。日輪よ!」
 ディルムッドの体からみるみる傷が消えて行った。そして目が覚める。
「う……あ、アルトリア……ハルヒサにモトナリも……良かった、来てくれたのか……」
 上半身を起こすと、カナリアがディルムッドの肩に止まったのだが、モトナリに足を反対側の肩に乗せられ倒される。
「まだ寝ておれ乙女が。死んでも知らぬぞ」
「お、おとっ……!?」
「で、詳細を聞こうか」
 回復を続けながらモトナリが言う。
「……いつも通りに過ごしていたんだ。だが急に樹木がざわめいて……最近、樹木は魔王の侵入を警戒して神経質になっていてな、誰が入ってきてもまずは侵入者を捕らえていたものだから、魔王に関係ない誰かが捕らえられていないだろうかと心配になって見に行ったのだが……門の周辺の樹木は、既に燃やされていた……」
 樹木を守護し、勇者を助ける花の園に加護を授けるのがディルムッドの役目である。守れなかったのが悔しいのか、目尻に涙が浮かんでいた。
「それからはもう、一瞬だ……雷を纏った矢が空から降り注いで……全ての樹木が燃やされた……俺も自分の身を守るので一杯で……こんなことに……」
「そのカナリアは?」
「辛うじて息があったのを……アルトリアのところへ飛んでいけるくらいまで回復させたんだ……」
「……」
 アルトリアは周りを見渡した。彼女も、動物達には親切にされたのだ。この場所はとても綺麗で、ずっとこのままであってほしいと思ったのだ。
 −−それなのに。
「……許さない」
「……アルトリア?」
「ディルムッド、花や動物はどうすれば戻ってきますか」
「……樹木は光と雨……後は俺が加護すれば元に戻る。動物は……他の野山にいる動物が、ここに誘われるのを待つしかあるまい……銅像は、少し欠けているのはすぐに修復できる……」
「まだ力を使うでないわ痴れ者が。死にたいのか」
「お前は……もう少し優しくしろよ」
 呆れながらに言うハルヒサに、ふんと鼻を鳴らす。そしてアルトリアに視線を向けた。
「何をしておる」
「え……」
「魔王の子ならまだ遠くへは行っておらぬだろう。行かなくてよいのか?」
「ッ……」
 アルトリアは、一度深呼吸をすると頷いて、花の園から駆け出した。
「さてと、太陽の石はなくなっちゃったし、俺様は石拾いをしてきますか」
「そうしておけ」
「そんじゃ、風の精霊さんに太陽の精霊さん、任せたよ」



「……にしても、ひでぇな」
 回復も一通り終わり、あとはディルムッド自身の回復力に任せるだけとなった二人は、改めて雷に襲撃された花の園を見渡した。噴水の水は枯れ果て、その辺にあった屋根とベンチは跡形もなくなっている。緑色に覆われていたこの場所が、今は黒と茶色ばかりだ。
「……元に戻るには、相当な時間が必要であろうな。この広い空間が襲われたのだから」
 そもそも、荷が重かったのだ、とモトナリは続けた。
 精霊は、世襲される。その精霊が死んだ際に次の子がその跡を継ぐこともあれば、譲られることもある。ディルムッドは養父が死んだため跡を継いだ、元はと言えば死を司る精霊であったのを、魔法で変えられた存在だ。精霊には、『戦う精霊』『守る精霊』『そのもの自体を司る精霊』がいる。元々司る精霊だったディルムッドが、体内構造を変えられてまで守る精霊にされたのだ。それも、この広い広い花の園を。しかも、姫がさらわれ勇者が現れた。こうなることは、わかっていたのかも知れない。
「……お前も、跡を継ぐときは大変だったしな……」
「そうよな……」
「俺も、月の精霊も……剣の精霊に至っては、元々精霊ですらなかった。死んでから、先代の精霊が魂を精霊に仕立てただけだ」
「全く、こやつも出来ぬとわかっていることをなぜか言わぬか」
「そりゃ言えねぇだろ……立場的によ」
「……アルトリアの旅が終わるまで、常に花の園は監視せねばならないやも知れぬな。こんなことが二度も三度も続くのは御免ぞ」
「とか何とか言って、太陽の石が少ねぇからディルムッドも使えなくて自分も呼び出せない状況でアルトリアが怪我するのが心配なんだろお前」
「うるさい」


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97



この掲示板は過去ログ化されています。