二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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短編小説 *BSR Fate*
日時: 2014/04/21 17:22
名前: ☆Milk☆ (ID: EM3IpZmD)

こんにちは!
題名とか親レスとかが色々変っちゃってごめんなさい(汗)

前は主にバサラとバサラクロスオーバー専用でしたが最近fateが増えてきたためfateも題名に加えちゃいました←
そんな感じに意味が行方を失った短編小説始まります

ごゆっくりどうぞ


※リクエスト受け付けてます。長くなりそうなリクエストや、あまりに抽象的なリクエストはバッサリ無視いたしますので悪しからず。
※荒らし、チェンメ、悪コメはご遠慮ください
※バサラは主に伊達軍、fateは槍兵と弓兵を偏愛してます
※私のオリジナル小説、『僕と家族と愛情と』とリンクしてる時も多々。

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Re: 短編小説 *戦国BASARA* 【コメを!!リクを!!】 ( No.292 )
日時: 2013/08/09 11:24
名前: ナル姫 (ID: 1wSGUlCd)  

再教育
▼政宗
▽幸村



▼暗い世界で対峙する 僕達の閉じた未来
戦闘中に目を瞑り 重力場に逆らう
▽『道徳なんて死んじまえ』 生首蹴り飛ばした
『戦国なんてこんなもの』 この言葉何度目だ

▼生き急いでいた紅蓮は 昨日の酷い戦で
歪な顔して 欠けた刃を首に当てた

▼▽我が儘のナイフで夢を目指す 僕らの仲間が泣き叫んだ
▽「助けてくれ」の声を 欲望の盾で塞いだ
▼▽屁理屈を重ねて血を流す 明日の自由がまた壊れた
▼「しょうがない」と言い聞かせ
▽鋭い槍で切り裂いた


▼そうだった
▽言い訳してる日々は 何も昔からじゃない
▼幼少年の僕らに指差して笑われた

▽死体増やすだけの剣 振り続けている蒼にも
その昔 愛すべき彼の家族がいたのでした

▼▽我が儘のナイフで夢を目指す 僕らの仲間が泣き叫んだ
▼「助けてくれ」の声を 欲望の盾で塞いだ
▼▽屁理屈を重ねて血を流す 明日の自由がまた壊れた
▽「しょうがない」と言い聞かせ
▼鋭い剣で切り裂いた


▼治りゃしない 心中の傷創
▽戦国の 買い被る倫理
▼見い出せない 幸福の本旨
▽教えてください
▼教えてちょうだい!
▼こんな時代 願えりゃ「バイバイ」
▽斬りたくない声だけがハイファイ
▽逃げたい
▼逃げない
▽悪い奴は明日も
▼▽切り裂いてく!


▼▽我が儘のナイフで夢を目指す 僕らの仲間が泣き叫んだ
▽「助けてくれ」の声を 欲望の盾で塞いだ
▼▽屁理屈を重ねて血を流す 明日の自由がまた壊れた
▼「しょうがない」と言い聞かせ
▽鋭い槍で切り裂いた

Re: 短編小説 *戦国BASARA* 【コメを!!リクを!!】 ( No.293 )
日時: 2014/02/01 14:12
名前: ナル姫 (ID: ohlIx/rn)

「策は練りました…後は、罠に掛かる獲物を待つのみですよ、マスター」
「お疲れ様、キャスター」

少年は年相応の顔つきで赤に笑った。目の下に広がるのは木造住宅の立ち並ぶ古い町並み。蒼と赤は丘の上からそれを見下ろしながら、微風を享受した。

「どんな人が来るかな?」
「さぁ…分かりませんが、相手が誰であろうと負けませんよ」

無邪気に尋ねた少年は怪しい笑みを顔に浮かべ、当然、と返した。

「僕は君のマスターだ。君は僕に勝利を与える義務がある。聖杯は僕たちのものだ」

少年はキャスターに背を向け、何かを小さく呟いた。赤は黙ってそれを見る。微風に、赤いマントが僅かに揺れた。


___



「うに、妖精様ー、本当にあの子で合ってますの?」
「我を疑うか、英霊」

冬木の町、銀色と緑色は少年の後を追っていた。とは言え、相手は幼いながら才能のある魔術師、とっくに気配は察知されているらしく、彼はたまに疑うようにこちらを見ていた。
緑は少年を見て思う。あれも、自分と同じように巻き込まれただけなのではないかと。だって、彼は聖杯を奪い合う戦争に参加するにはまだ幼い。どうやら英霊は連れていないし、学ラン姿のところを見ると中学生だ。

「どうします?」
「…様子見よ」
「はーい…って…」

少年は唐突に走り出していた。気づいちゃいましたね、と彼女は呟く。

「仕方ありませんね、一旦…」
「追うぞ、英霊」
「罠かもですよ?」
「あんな小僧ごときが出した英霊に負けるとは言わんだろう」
「キャ!これって信用されてます?さておき…はい、マスター」

少年は身の安全確保のためか、それとも罠に嵌めるためか、ただ走った。二人はそれを追う。入り組んだ道を進んでいるうちに山の方まで来たらしく、二人はそこで立ち止まった。

「…ここか、あの餓鬼の英霊が陣をはっているのは」
「ですね…ねぇ、妖精様?」
「なんぞ」
「私のこと、信じてるんですよね?」
「肯定したらどうする」
「戦っちゃいますよ」

ニカッと彼女は笑った。マスターは不敵に笑い、やれ、と短く言った。銀と緑は山に足を踏み入れた。一歩入ると空気が変わり、周りにあった木々が消えた。その代わり古い町並みがその姿を現した。先程の少年は二人からさほど離れてないところに立っていた。

「魔術師、だな?」

問うと、少年はクスクスと笑いだし、やがてドロドロと溶け出した。

「「!?」」

呆気に取られた二人の頭上から、唐突に少年の笑い声。見れば、今溶けた少年と同じ姿の少年が丘の上で二人を見ていた。

「えへへ、ようこそ初めまして!えっと、ランサーさんと確か…毛利元就さん!伊達政哉と言います!」
「伊達…政哉…」
「んー、まぁでも、『蒼』で構いませんよ。名前覚えても意味ないですし」

目を疑った。予想以上に少年は無邪気で、とても戦争の参加者には見えない。だが、何と無く感じ取れる空気はマスターそのものだった。

「『意味ない』…とは?」
「え?意味ないでしょう?だって貴方達はここで僕に殺されるんですし」

あっさりと、それが当然であるかのように少年は言葉を口にした。彼は完全に確信した。この子供は自分とは逆、自ら望んで未熟な魔術回路で英霊を喚びだし、聖杯の為に戦い抜くことを誓ったのだ。

「嘗められたもんですねぇ…こうやってフィールド用意するってことは、キャスターですね?隠れてないで出てきてくださいよ、最弱のサーヴァントさん!」
「おやおや…嘗められたのはどっちでしょうね」

スッ、と少年の後ろから赤のサーヴァントが現れた。

「確かにキャスターは最弱と言われます…でも、このキャスターは僕にとって最高の当たりくじです!交戦開始だ、キャスター!」
「はい」

キャスターが答えると、江戸時代のような町並みの沢山の家から落ち武者のような容貌の人々が出て来た。彼等は槍や刀を構え、二人を狙う。銀色も槍を構え、相手の様子を伺った。

「掛かれ」

静かに発せられた命令を合図に、人々は二人に襲い掛かった。大した威力はないが、如何せん数が多い。そして、槍を刺した瞬間、おかしな感覚が走った。刺された人から飛び散ったのは、白い何か。

Re: 短編小説 *戦国BASARA* 【コメを!!リクを!!】 ( No.294 )
日時: 2014/02/01 14:14
名前: ナル姫 (ID: MjWOxHqS)

「成程な…貴様の雑兵は蝋人形か。となると先程溶けたものも貴様が作り動かしていたのだな、キャスター」
「ご名答。ここは私にとって最高の舞台。逃がしませんよ」
「ふふん、上等ですの!」

槍を一振り、蝋人形が砕け散る。雑魚相手では、圧倒的に有利だったが、二人はこの舞台と蝋人形の使い方をしっかり理解していなかった。
キャスターは口角を上げると、パチン、と指を鳴らした。すると、町の四方から火の手が上がりはじめた。

「!…そうか…この密接した江戸時代のような舞台なのは、炎が燃え移りやすくするためか」
「キャスターの得意魔法を知らないのが運命の尽きでしたね。安心してください、地面には着火しませんよ」

暑くなりはじめた空間。だがまだ一つ不可解な点がある。何故雑兵を蝋人形で作るのか。炎を広げたいなら、植物でも使えば良い。ただのキャスターの抜け目か、それとも……そこで気がついた。地面に落ちた蝋人形の破片が、暑さで溶け出しているのだ。
罠は完全に理解した。家には炎が燃え移り、足元は溶けた蝋が動きを鈍らせる。屋根に移っても炎が回っているし、家の中にはまだ蝋人形がいるのだろう。いなくたって結局炎が回るのだから同じことだ。蝋人形は砕くほど早く溶ける。とは言え壊さなければこちらがやられるのだ。

「…ふ」
「…妖精様?」
「認めよう、キャスター、貴様は頭が良い…違う形で貴様に会えたら、と思うほどにな」
「それはどうも」
「見た目は余りらしくないが…こんな舞台を用意するということは、貴様日本人だな?洋装しておらずに元の姿を見せたらどうだ」
「あらら、バレちゃいましたか」

一瞬、キャスターが赤く光った。そこにいたのは、召還された時と同じ服装ーー黒い甲冑に赤い陣羽織の、れっきとした戦国武将だった。

「動きづらいんですよね。これが良いと言うならこの姿でいますけど」
「男前じゃないですかー、それが良いですね」

大雑把に雑兵を斬っていた銀がランサーが笑う。キャスターはまたどうもと返した。

「さて…そろそろ終わりだ。キャスター、茶番はもう終わりにしよう」
「はい、マスター」

遂に出した。キャスターの宝具、炎の付いた弓矢。キャスターは二人に狙いを定めた。

「参りましたね…本気モードです?」

ランサーが苦笑する。本当に参っていた。出来すぎたフィールド上に残っている選択肢はもうない。

「…まさか、こんな空間に自ら入ってしまうとは…我としたことが甘かったな」
「…」
「伊達政哉、貴様、キャスターは当たりくじと言ったな」
「えぇ」
「だがな、餓鬼。当たりくじは一つとは限らぬぞ?」

にぃっと彼は口端を上げた。

「令呪を使わねば従わない命令を言ってみろ、英霊」
「うーん…『逃げ道を作れ』、ですかね?」
「ならば、使わん」

激しい炎の音が辺りを包む。

「貴様がハズレくじではないことを証明しろ…火の手が回る前に、キャスターを倒せ、ランサー!」
「はい、マスター!」
「降参する気はないか…良い。ランサーを倒せ、キャスター!」
「はい、マスター」

銀と赤が混ざる。



【戦争、開始】

(ハズレか、当たりか)

Re: 短編小説 *戦国BASARA* 【コメを!!リクを!!】 ( No.295 )
日時: 2014/03/03 21:52
名前: ナル姫 (ID: ohlIx/rn)

さて、朝來ちゃんの所有地で(勝手に)始まった鍛練だけど、気付けばもう昼時。道理でお腹が鳴るわけだよ。ほら、うちのワンコ……もとい旦那も、ご飯欲しいって顔に書いてある。と、そこで丁度赤毛の旦那がお昼にしませんか?と柔らかな声で皆に言った。さっきまで死闘をしてたけど、もうその時のこいつ絶対ぶっ殺すオーラは消えている。
赤毛の旦那の声に応じて、皆一度家に帰りはじめた……って言っても、朝來ちゃんの家にね。青槍の旦那なんかは先に帰って準備を手伝っていたらしい。どこか楽しそうに食事を食卓に運ぶ彼を見て、苦笑いした俺様は悪くない。黒子の旦那なんかは率先して手伝いに行った。いい人だねぇ、相変わらず……とか思ってたら擦れ違いざまに輝く貌がムカつくとか理不尽な理由で緋色に殴られてた。ご愁傷様。
さてさて、今日のご飯は……素麺?凄くこう……夏の余り物感が拭えないんだけど……まぁ文句言う資格は無いよね。素麺美味しいし。隣の旦那はもう凄いスピードでがっついでます。旦那。マジ旦那。

「ん、そうふぁ、ふぃるふっほほほ!」
「飲み込んでから喋る!聞き取れないよ旦那!」

通常運転と聞こえた気がした。旦那と反対側の隣から。見れば黒髪で蒼い眼の少年がこちらをニヤニヤと眺めてご苦労様です(嗤)と言っている。何この子鬼!そんなことを思っていると旦那は素麺を飲み込んだようで。

「ディルムッド殿!某、貴殿と手合わせ願いたい!如何か!?」
「良いだろう。受けて立つ!」
「私の頭上で会話するな」
「あだっ!?」

旦那、緋色、黒子の旦那の順で座っていたのが悪いのかね。そりゃぁこの二人が話すときは緋色を跨ぐわけだけど、またも黒子の旦那だけがダメージを負うことに。前髪(?)を千切る勢いで引っ張ってたけど緋色、あんたは黒子の旦那が嫌いなの?

「俺の後輩虐めるなよヒイロ」
「随分後輩思いな犬だね」
「犬いうな!」

そんなわりとどうでも良い会話をしている間に、戦うつもり満々の二人は色々とルールを決めていた。旦那の要望で、宝具の開帳はしない、婆娑羅を使わない、という本当に槍のみを頼りにする戦いをするらしい。
見物ですね、と呟いたのはさっき俺様を嘲笑った隣の小さな少年。俺様がその声に苦笑すると、彼はペロリと舌を出した。


___



「武田家家臣!天覇絶槍真田源二郎幸村!参る!!」
「フィアナ騎士団の双つ槍、輝く貌のディルムッド!推して参る!!」

尋常に交わされた名乗りを暑苦しいとか言ったらダメだよね。てゆーか敗けだよね。でもあえて言おう、暑苦しい。金属音が鳴り響く。黒子の旦那の薔薇は、迫る旦那の二本の槍を的確に押さえていた。パン、と弾かれた槍を持ち直し、今度は薔薇が旦那の急所を狙う。旦那だって負けちゃいないけど流石、その槍を華麗に操る姿は美しくすらある。旦那だって負けちゃいないけど!
いつの間にか周りの人は戦いを止めて槍兵同士の戦いを眺めるギャラリーになっていた。青槍の旦那は負けんじゃねぇぞー、と黒子の旦那に、銀髪の少女はそのシャイニーフェイスをやっちゃって下さい、幸村様!と旦那に声援を送る。
一度二人は下がり、呼吸を整える。過激に攻防を繰り返した二人の額には既に汗がうっすらと浮かんでいた。それでも口角は上がっている。先に動いたのは旦那だった。ガキ、と鈍く金属音が響く。黒子の旦那は器用に紅薔薇で二本の槍を受け止めていた。左手に持った槍を旦那が抜くと、今度は黄薔薇がそれを抑える。

「簡単に取らせては下さらぬな」
「こちらの台詞でもあるぞ、幸村」

弾く。火花が飛び散り、また交わって、弾く。一瞬黒子の旦那が砂に足を取られ転びそうになったのを、勿論旦那は見逃さない。だがそれも寸でのところで防御された。

「今のは危なかった」
「やはり、簡単ではない」

ここまで生き生きしてる人を見るのは正直人生の中で少ないだろうなぁなんて俺様は呑気に考えていたけど、ギャラリーはさらに熱くなっている。征服王なんかも超でかい声で応援中。どっちを応援してんのか知らないけどさ。
楽しい、と小さく聞こえた。一度呼吸を整えようと動きを止めた黒子の旦那から聞こえたと思う。彼の蜂蜜のような色の目は、しっかりと旦那の焦げ茶の目を見据えていた。本気か、と征服王が呟いた。

「今までのだって本気じゃないの?」
「『槍』はな。だが…奴は、恐らく本気で『脚』を使っておらんな」

『脚』、と脳内でその言葉を繰り返し、思い出す。黒子の旦那の敏捷性は最高クラス。旦那には悪いけど、旦那と互角なわけがない。

「楽しい、凄く楽しいぞ、真田幸村…だから、まさかーー」

「ーーこれで、終わりじゃないだろう?」
「ーーーーッ!!」

一際大きく響く金属音。旦那は地面に踏み止まれずに数歩後ずさった。何が起こったのか一瞬分からなかった。黒子の旦那は、言葉の続きを発する前には既に旦那の目の前に移動していた。フィアナ最強は伊達では無いことを改めて思い知る。さっきは闇婆娑羅相手に戸惑っていたけれど、こうなれば動きが早い黒子の旦那に分があるのは明らかだった。でもまさか……黒子の旦那の言う通り、これで終わりじゃないよね、旦那?
再び金属が交わる音が引っ切りなしに響きはじめた。周りの声援は届いているのかいないのか、とにかく二人はこれ以上無いくらいに楽しそう。と、黄色い薔薇が旦那の右の槍を空中に弾き飛ばした。でもそれで旦那が取り乱すわけもなく、左の槍を右に持ち替えて挑んでいく。

「槍が一つ飛んだ程度で変わりは無いか…良いだろう、その心意気、そして気合い!このディルムッド・オディナが受けて立つ!」

旦那の口角が上がった。ただやはり一本と二本では二本の方が有利で、黒子の旦那の紅い槍が旦那を貫こうと繰り出される。暇の無い攻撃に旦那はさっきの黒子の旦那のように砂に足を絡められ、それを見逃さない麗しの騎士に最後の抵抗として真っすぐ槍を繰り出した。
砂埃が起こる。その砂埃の中の二人は……黒子の旦那の黄薔薇が、もう少しで首に当たるというギリギリのところで旦那の槍を止め、紅薔薇が旦那の首筋に当たりそうになっているが少し届かない、という状況だった。

「引き分け、だな」

静まり返った現場に、薄く笑った緋色の声が渡る。

「ーーっはぁ、流石でござる、ディルムッド殿」
「楽しかった、またやろう幸村」

両者は互いに槍を下ろし、手を握る。それを見た征服王が大きな拍手を起こした。
この後、風呂を借りた黒子の旦那が、シャワーとシャンプーでさらにイケメンになってて腹立つとか緋色に言われて殴られてたのはまぁ蛇足だよね?

Re: 短編小説 *戦国BASARA* 【コメを!!リクを!!】 ( No.296 )
日時: 2014/03/14 18:36
名前: ナル姫 (ID: MjWOxHqS)

「頼む朝來!人数が足りないんだ!」

こんなキラキラした顔を前にして私にどうしろと言うんだ。困ったように眉毛を八の字にして、これでもかと言うほどに目からキラキラした光線を出すこいつはきっと無自覚だ。でもな、ディルムッド。今のお前の顔女子高生とか見たら発狂もんだから。
さて、私が頼まれているのはこいつらの休日のイベント、バスケ。このディルムッド含む近所の高校の男子バスケ一年部員は必ず休日が一致すればバスケをやる。が、今日は一人土壇場でキャンセルしたらしく、三対三ができないらしい。
…………冗談じゃない、このバスケ馬鹿ども。とは思うのだが、強い。こいつのキラキラが強すぎる。高校一年生、まだあどけなさが残る瞳が怖い。恐ろしい、末恐ろしい。断ったら私は鬼か何かか。

「……分かったよ」
「よっし!」


ーーー


「チーム分けしようぜー」
「ディルはこっちな!絶対!」
「いや俺オスカーのチームだから」
「じゃぁディアリンこっち入れ!」
「はいよ、コナン」
「ファーガスcome on!」
「妙に発音良いな相変わらず」
「じゃぁ私はこっち入れば良いのか?」
「あぁ、頼む!」

赤チーム(仮)は、私、コナン君、ディアリン君。青チーム(仮)はディルムッド、ファーガス君、オスカー君。
相手は現役男子高校生バスケ部。まぁ、いいや。一丁遊んであげますか。


ーーー


「オスカー!」
「おう!」

な……な……何なんだこの二人!?息ピッタリすぎて怖いんだけど!?

「ディアリン!オスカーのマーク!」
「ニートさんディル頼む!」
「私…!?」
「ディルムッドから来て俺から…ファーガス!」
「任せろ!」
「コナン!ファーガスのマーク!」
「おう!」
「あぁくそ!パスできる人が…なーんてな♪」

ファーガス君からいつの間にか私のマークから逃げ出していたディルムッドにボールが回る。

「足っ…早…!」
「諦めたらそこで試合終了なんだぞ!朝來!」
「お前みたいな安西先生なら要らん」
「朝來さんって本当容赦ないな。凹むなディル。誰だってそう思うさ」
「ファーガスは傷口に五寸釘を打ち込むつもりだな!?」
「その悔しさをバネにこれからも頑張ってくれ」
「あぁ頑張るよ!泣きたいけどな!」

そういった顔は酷く楽しそうですがね。あ、これは凄い技来るわ。

「朝來さん!マーク!」

無駄だと思うけど仕方ない。ディルムッドのマークについた、まさにその瞬間。

「ーーッ!」

風が吹き抜けた様に感じた。そこにもうディルムッドはおらず、後ろでリングが鳴った。後ろを見ると、右手でリングを握って宙に浮くディルムッドと、リングを通って地面に落ちたボールがあった。ディルムッドは右手を離し、地面に着地する。

「おいおい…反則だろ」

あまりの速さに苦笑いしか浮かばねぇじゃん。これがバスケ部最速の脚ってことか。……楽しくなってきたな。

「じゃぁ…本気出すかね」
「あれ、朝來。面倒じゃなかったのか?」
「気が変わった」

ったく、普段糞正直な癖にたまにそういう顔でそういう事言うから女をその気にさせて酷い目に遭うんだ。自覚しろ。

「反撃だ」


ーーー


ディルムッドにボールが渡った。こいつも目が本気だ。戦況は一進一退。五点マッチで三対四の接戦。
ディルムッドのダンクの弱点はもう分かった。こいつはスピードを出すために、パワーを捨てている。極力地面を軽く蹴っている。最後の踏み切りだけ強く蹴っているようだ。だから私のマークが失敗しても、他がマークを外れてディルムッドの前にすぐに入り込めばあいつは急に止まれず敵にぶつかる。で、パワーがないからあいつだけ転ぶ。そのうちにマークを元に戻せばディルムッドの最強の武器である速さは封じられたも同然。ディルムッドも馬鹿ではないから、その防御を二回使ったらむやみにスピードは出せない判断したのか、中々マークを抜こうとしなくなった。
二度に及ぶ転倒で相当体力を削られただろう(特に二回目な、膝打ってたしな)、息が切れている。全く、ニート相手に情けない。

「…どうしたディルムッド。ほら、足掻いてみな。勝ってるのはそっちだろうに」
「ッ……!」

何だその顔は。遊びのバスケ程度でむきになるなよ、どんだけ負けず嫌いなバスケ馬鹿だ。

「…封じたと思うな、朝來」
「!」

またマークを抜かれた。すかさずコナン君がマークに入る。だがディルムッドはそれさえ避け、次に来たディアリン君のマークすらかわし、左足で強く踏みきったのだが……。

「っ……!?……づっ……!!」
「!?ディル!?」

そのまま跳ねずに膝を着いたディルムッドに、オスカー君が慌てて駆け寄る。ジャージを膝上まで捲ったが、外傷は見当たらない。嫌な予感しかしないけど……まさか、なぁ?

「つか、ディル……顔真っ青だけど大丈夫か…?」

と、ディアリン君。なぁ、高校生よ、知っているかい。

「骨折するとさ…顔って青ざめるんだぜ……」


ーーー


「す、スマン、ディル…まさか骨折させてしまうとは…」
「いや…良いよ別に…」

気まずいぞこの野郎。てゆうか軽いとは言え骨折したままバスケしてたのかこの馬鹿は……しかも思いっ切り踏みきったらそりゃぁ折れるわ。しかも良いとか言ってる割には空気が重いし。

「ち、治療費は出すから…他にもできることあれば何でも…」
「あー、治療費は良い…代わりに、何だが…」
「な、何だ?」
「…父さんに、これ(骨折)上手く説明してくれないか?」
「……マジで?」

結果、それを引き受けた私がディルムッドが今後もバスケを続けられるようにこいつのお父さんを納得させるのに3時間かかったのはまた別の話。


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