二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 短編小説 *BSR Fate*
- 日時: 2014/04/21 17:22
- 名前: ☆Milk☆ (ID: EM3IpZmD)
こんにちは!
題名とか親レスとかが色々変っちゃってごめんなさい(汗)
前は主にバサラとバサラクロスオーバー専用でしたが最近fateが増えてきたためfateも題名に加えちゃいました←
そんな感じに意味が行方を失った短編小説始まります
ごゆっくりどうぞ
※リクエスト受け付けてます。長くなりそうなリクエストや、あまりに抽象的なリクエストはバッサリ無視いたしますので悪しからず。
※荒らし、チェンメ、悪コメはご遠慮ください
※バサラは主に伊達軍、fateは槍兵と弓兵を偏愛してます
※私のオリジナル小説、『僕と家族と愛情と』とリンクしてる時も多々。
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- Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.322 )
- 日時: 2014/09/23 09:34
- 名前: ナル姫 (ID: aU3st90g)
ディルムッドの父親が死の神であるという説があると聞いて。
身長:184cm、体重:61kg
血液型:不明
誕生日:不明
属性:中立・悪
イメージカラー:灰色
好きなもの:人の苦しむ無様な様子、(彼にとって)美しい死に様
苦手なもの:騎士道、立派な生き様、潔い死に方
天敵:セイバーを初めとする騎士
パラメータ
筋力:D-
耐久:E
敏捷:C
魔力:A
幸運:D-
固有スキル
愛の黒子:C
魔力を帯びた黒子による異性への誘惑。ランサーと対峙した女性は彼に対する強烈な恋愛感情を懐いてしまう。対魔力スキルで回避可能。対魔力を持っていなくても抵抗する意思を持っていれば、ある程度軽減することが出来る。
神性:D+
死神と人間の混血である事から。北欧にて死神は神としてランクが高いが日本での知名度が低いためこうなった。また、実父である死に神だけでなく養父である愛と若さの神によるものでもあるが、やっぱり知名度の低さでこうなる。
精神汚染:B+
自由気ままに人を殺す性格になっている。また、見ている対象が必死になって足掻いたりする無様な姿を見るのを楽しみとしている。この精神汚染は騎士として生きながら死に神を親に持つという自虐精神から起こるもので、聖杯の汚染による影響はわずか。
宝具
死に神の鎌:A
本来は彼のものではないが、彼がキャスターとして召喚される際実父から預かるもの。心を静め、相手の胸を浅くでも刺せば、必ずその者は死ぬ。また、傷が深ければ即座に、浅ければ何日もかけて苦しみながら死ぬ。
妖精王の子:C
妖精王の子供と言う立場のために得た妖精使役の宝具。ジェニー、ドビー、ショート・ホガーズ、ゴブリンなど質が悪い妖精を多く使役する。ショート・ホガーズは何もしないが、大体彼の周りをうろついている
補足。
キャスタークラスで現界。
マスターは原作通り龍ちゃんで、彼のアート制作を見るのが大好き。人生観にも納得している。
セイバーとか騎士を見た瞬間めちゃくちゃ嫌悪丸出しの顔をする。
チートっぽく見えるが動きなどはそこまで素早くないので背後に注意さえすれば結構大丈夫かも。
神の混血なので赤目。だがギルとかみたいな深紅ではなく汚れた赤。灰色のローブを来ていて皮と骨だけの勢いで細い。髪が少し白髪が多い。
爪は勿論めっちゃ伸ばしていて緑色に塗ってある。首からドクロの首飾りを下げていて、緑色に光る。
宝具が自分の立場利用しまくっている。
真名はディルムッド・オディナ。フィオナ騎士団第一の騎士として名を馳せた美貌の騎士で忠義に厚い性格だったが、後に団長の花嫁と駆け落ちをし悲劇的な最期を迎えた。死の神ドゥンを実父に、妖精王であり愛と若さの神のオェングスを育ての親に持つ。騎士でありたい彼は自分の親が死の神であることに劣等感を抱いている。キャスターとして召喚された彼は、神の息子である立場に完全に頼っている状況で、騎士を毛嫌いしている。
キャスターとして召喚される際、実父に肉体を預ける変わりに鎌を借りるためあの容姿。それでも愛の黒子の効果は変わらない。良く使う妖精がジェニーやドビーと言うだけで、他の妖精も時と場合によって使う。
- Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.323 )
- 日時: 2014/08/11 13:33
- 名前: ナル姫 (ID: O0NjrVt8)
追記
ディルの使う妖精
ショート・ホガーズ
洗礼を受けずに死んだ赤ちゃんの霊。
得に何もしないがいつもディルの周りをうろうろしている。見た目はただの白いふわふわしたもので、見分けがつかない。ディルは仕種で見分けているが、ディル以外には何が違うのか分からない。言葉を話さないがディルは何て言ってるか分かる。
リリー:女の子。やんちゃ。興味を持ったものに何でも近づく
シアーシャ:女の子。恥ずかしがり屋で、ディルの後ろに隠れること多々。
キアン:男の子。ちょっとふてぶてしく、ディルの言うことを聞かないことがある。
ジェニー
緑の髪に緑の歯を持つ水の妖精。子供を河に引きずり込む。子供さらうために良く使う。二匹いて、どっちも女の子。
アイリーン:いつもニヤニヤしている。
ライアン:いつもつまらなそうにしている。
ドビー
醜い妖精でものを壊したりめちゃくちゃにしたりする。主に対セイバー用に使う。男の子三人。いずれも女の子好き。
メイソン:口笛をいつも吹いている
ドナカ:しっかり者だがそれ故に悪戯が一番酷い
ジャック:ケタケタと笑っている
エルフ
家に良いことがあるとエルフのお陰。アートを作るときに呼ぶ。そのためいつもアトリエには特定の場所にミルクが置いてある。女の子。
セーラ:誠実な子。本当はこんなことで呼ばれたくないけど相手が相手なので逆らえない不憫
パック
焼き林檎に化けてビールのジョッキに飛び込んだり椅子に化けて誰かが座ろうとしたら消えて転ばせたりする。ディルがたまに龍之介に使って笑ってる。男の子
レクシ:ディルと性格が似てる。龍之介をいじりたい方向で大好き。
スプリガン
巨人の魂から生まれた妖精。巨人になれる。
ザック:男の子。戦闘要因。元気はつらつ。
キーヴァ:女の子。龍之介の護衛要因。龍之介ラブ。
ゴブリン
非常に醜く、悪さをする。龍之介の護衛要因。勿論龍之介には害をなさない。男の子。
リアム:毒舌でちゃっかりしてる。龍之介と仲良し。
サラマンダー
火の妖精。火を操る。男の子。
ショーン:せっかちな性格。負けず嫌い。
ニンフ
水の妖精。水を操る。男の子。
コナー:大人しい性格。冷静。
ノーフ
地の妖精。地面(コンクリート含む)を操る。男の子。
ダニエル:少々怠け者。でもやるときはやる。
シルフ
空気の妖精。風を操る。女の子。
ソフィー:男子に厳しい。女の子には優しい。
- Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.324 )
- 日時: 2014/08/12 11:53
- 名前: ナル姫 (ID: eD.ykjg8)
戦場に子供の悲鳴が聞こえたのは、セイバーがランサーに渾身の一撃を放とうと、その黄金の剣を頭上に掲げた時だった。二人のサーヴァントとそれぞれのマスター達は即座に反応し、一斉に声が聞こえた河口付近へ目をやった。
「……アイリスフィール」
「えぇ、分かっているわセイバー」
「ランサーにそのマスターよ、一時休戦だ。異議はあるまい」
「その方が良さそうだね、そうだろうマスター」
『あぁ、そのようだ』
セイバーとアイリスフィールは互いに頷き、河口へ急いだ。ランサーとケイネスもそこへ向かう。衛宮切嗣は、ここでケイネスを狙おうとしたがどうやらランサーに位置がばれているらしく睨まれ、狙撃を諦めた。
「……チッ、誰だ? こんな夜中に……」
河口では5歳くらいの少年が必死になって岸に上がろうとしていた。セイバーが子供の手を取る。
「力を抜いて! 今助ける!」
「引っ張られる! 女の子に引っ張られる!!」
必死の形相で訴える子供だが、夜中ということもあり水の中は暗くて見えない。確かに、子供を引き上げようとしても重りがついているのかと言うほど持ち上がらなかった。
「ランサー! 私が水の中を見る! 子供を!」
「あ、あぁ!」
セイバーは水に顔を突っ込み、絶句した。ブリテン出身の彼女は、実際には見たことはないが物語の中で知っているものだった。顔をあげる。
「ジェニー……! ランサー、お前は霊等を払う札を持っていたよな!?」
「え、うん、持ってるけど……」
「それは妖精も払えるか!?」
「そりゃ、払えるさ」
「妖精は二人だ、払ってくれ!」
「わ、分かった!」
今度はランサーがセイバーに子供を預け、札を出して何か唱え、水へ入れた。途端、ふっと子供が軽くなる。
「よかった……無事か? 人の子よ」
「う、うわぁぁぁんっ、うわぁぁぁん!」
安心したのか、子供はセイバーにしがみついて泣いた。だが子供を慰めるより、やることがある。セイバーは子供をアイリスフィールに預けた。
「誰だ! ジェニーを召喚し子供を河へ沈めたのは!」
セイバーの激昂。精神を集中させ、サーヴァントの気配を探る……そして。
「そこかッ!」
河の向こう側を見据える。霊体化していて人には見えないその姿が、ふっと現れた。
「あーあー、マスターへのお土産が一つ減ってしまったな」
「名乗れ下郎! 聖杯に招かれその召喚に応じておきながら子供を襲うとは何事だ!」
「下郎呼ばわり? 残念だ、さっきの光見てお前の正体は分かったけど……そうか、ブリテン王は口が悪いんだなー」
言いながらその大鎌を水の中へ入れ、引き上げる。そこには少女がぶら下がっていた。
「貴様ッ!」
「おおっと、近付くな? 殺しちゃうぞ?」
ニコニコしているのは口を見て分かった。顔はローブで良く見えない。病的に青白い肌、骨と皮でのみ作られているような腕、灰色のローブ、禍々しい大きな鎌、彼の周りをうろつく白い何かーーきっと目は赤いのだろう、だが目なんて見なくても分かる。
「……死神」
ランサーが呟く。
「悪戯に子供を殺すというか、高貴なる神よ!」
「高貴、なぁ……高貴、高貴……うん、良い響きだけど、残念ながらそんな柄じゃないしな。とりあえずマスターへのお土産は出来たしとっとと帰って……」
言いながら子供を抱き上げた。そして。
「あれ、逃がさない感じ? 参ったなぁ、なぁリリー? ん? どうかしたのかキアン? 見せてやれって? もしかしてキアンもう飽きてる? どうしようかシアーシャ。あ、見せる方向で? それで良いかリリー……そう、じゃぁそうしようか」
キャスターは言うと、子供の胸部に本当に浅く、切り傷をつけた。そして何かを呟き妖精を喚び、河の向こうに子供を運ばせた。
「……ニンフか」
「コナーっていうんだ」
「聞いてないんだよ魔術師」
睨みつけるようにランサーが言う。その間にニンフはアイリスフィールに子供を預け、消えた。
「覚えてやってよ、そうだ、ついでに紹介しておこう。この子がリリー、それでこの子がキアン、それで……ほら、出て来な、この子がシアーシャだ。見た目じゃ中々区別つかないけどまぁそのうち分かるだろう」
「ふざけているのかッ! 死神!!」
怒るセイバーの横でアイリスフィールは子供を治癒していた。浅い傷なら簡単に直る。だが……これだけで終わるとは考えていない。
- Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.325 )
- 日時: 2014/08/12 11:57
- 名前: ナル姫 (ID: eD.ykjg8)
「は、ぐっ……!?」
「!? な、何だ何事だ!?」
急に苦しみはじめた子供。子供は泡を吹き、白目になって悶え苦しんでいた。灰色のサーヴァントは自分の鎌をまじまじと見つめながら、早いなぁ、と呟いていた。その言葉をランサーは聞き逃していない。
ーー自分の鎌の効力が分かっていない……?
その間にも子供は苦しみ、遂に息堪えた。
「貴様この子供に何をしたッ!?」
「何って、死神の力見せるために犠牲になってもらった? 子供だからあっさり死んじゃったな」
あはは、と朗らかに笑う灰色に対する怒りが限界に達したのだろう、セイバーは黄金の剣の風を消し、上に掲げた。全ての生命が呼応するように、光が集まる。
「セイバー、ここではっ……」
代理マスターの言葉を聞かず、彼女は放とうとした。
「約束された(エクス)ーー……!」
……が。
「ーーッ! な、な!?」
セイバーには、いつの間にいたのか三匹の醜い妖精が彼女の動きを封じていた。
「これは……ドビー!?」
「メイソン、ドナカ、ジャック、頼んだよ」
「ご子息様の御意のままに!」
三匹はセイバーにくっついて離れない。ランサーとアイリスフィール、ケイネスが引き剥がそうとするが、彼らはがんとしてセイバーを離さなかった。
「っ、気色が悪い……!」
「酷いこと言うなよ、セイバー」
途端、強く風が吹いた。そして灰色のキャスターの顔が晒される。
オールバックだが、一筋だけ落ちた前髪、くしゃくしゃとうねった後ろ髪。灰色の髪には所々に白髪が混ざっており、髪だけ見れば老人のように見えるかもしれない。だがそれにしては若く端正過ぎる顔。垂れ目に汚れた赤の瞳、長い逆さ睫毛、形の良い唇、そしてーー右目の下の、泣き黒子。
セイバーは彼の真名に思い当たる節があった。妖精が言った『ご子息様の御意のままに』という言葉。妖精の上に立つのは、愛と若さの神、妖精王オェングス。緑色はケルトにおいて死の象徴。そして、チャームの魔術。
妖精の王の子と言えば、たった一人の騎士だけだ。彼を象徴する武器は今ないが、それでも確信できた。
ーー騎士でありながら、死の神の子供ということか……!
「あっはははははは! 良いぞ良いぞその苦しそうな顔! お前は嫌いだけどその顔は最っ高にクールだ!」
「初対面で随分な物言いね、キャスター!」
アイリスフィールの声にはぴくりとも反応しない。ただセイバーを言葉で侮辱した。
「あーあ、残念だなセイバー! 聞かせてくれよ! どうだ、子供を目の前で殺されてそれに反撃できない屈辱! 悔しいだろ? なぁ、悔しいよなぁ?」
「黙れ!」
二人のやり取りの最中に、使いたくないけど、と言ってランサーはまた札を取り出した。そしてドビーが消える。
ーー厄介な道具を……あのランサー、見たところ騎士ではないな……何者だ?
ーー何にしろ、騎士は嫌いだ。
「堕ちたなフィオナの騎士よ! 貴様の根はやはり死神ということか!」
ーー刹那、彼の顔から笑顔が消えた……だが。
「ーー『堕ちた』? 違うな、元々堕ちてるんだよ」
フードを被り直し、その口元を歪ませる。
「それじゃ、また今度」
手を振り、消える。
「待てッ!! キャスター!!」
キャスターの気配が急激に遠ざかる。死んだ子供と助かった子供を抱いて、全員がただ呆然としていた。
「……興ざめだ、帰りましょうアイリスフィール」
「え、えぇ……」
アイリスフィールは死んだ子供を抱いて、どうしようかと困っていた。それに気づいたランサーが口を出す。
「……どうしようか、この子の家も知らないし、ここに置いておくわけにもいかないし……助かった方の子供だって、家を聞いて送り届けるわけにもいかない。キャスターがまだうろついている可能性がある」
出た結論は、教会への連絡だった。生きている子供をセイバーが、死んだ子供をアイリスフィールが抱いて、四人は無言で教会へ歩く。
「……セイバー、セイバーはキャスターの正体が分かったのか?」
「……あぁ、妖精に『ご子息様』と呼ばれていたし、何よりあの黒子……だがまさか、あの英雄がキャスターとして召喚されるなんて……」
- Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.326 )
- 日時: 2014/08/12 12:02
- 名前: ナル姫 (ID: eD.ykjg8)
言峰神父に事情を話し、彼らは帰った。そして、誰が言い出すということもなく、四人はそれぞれの中で同じ結論を生み出していた。
キャスターの討伐が最優先、そしてそれまでは共闘するのが良いだろう、と。
ーーきっちり言いくるめてやるからな、ケイネス。覚悟しておけ。
ーーアイリスフィールから切嗣に取り次いでもらわなければならないが……きっと事情を話せば切嗣とて納得しないことはない筈だ。
「帰ったぞ龍之介……龍之介? いないのか?」
キャスターが拠点に帰ると、そこにいるはずのマスターがいなかった。護衛につけた二匹の妖精は消えていない筈だし、まぁ無事ではあるだろう。コンビニにでも言っているのだろう、とキャスターは考えた。血生臭い拠点には、龍之介の作成中アートが沢山ある。
机の上にはマスターが使ったであろう長めの工業用ナイフが置かれていた。手に持ち、一瞬ナイフに自分の瞳が映ってーー。
「ーーッ!」
一瞬怯え、また机の上に置いた。
「……違う」
『堕ちたな、フィオナの騎士よ!』
「俺は……」
『は、始めまして、ディルムッド・オディナと申します!』
『君がディルムッド君か、儂は団長のフィン・マックールだ。そして君と同い年の孫、オスカーだ』
『はじめまして! これからよろしく!』
『は、はい! お願いします!』
『今回もお前が1番の功績をあげたな、ディル!』
『ディアリンだって頑張ったじゃないか!』
『ディルムッドは暴れただけだしな』
『ファーガス酷いけど正論だな』
『コナンひっでぇぇ!』
『ディルムッド、妖精王に育てられたお前にはあるだろ、この断崖絶壁を上る方法が』
『……でも、そしたら皆は……』
『後から追いかけるさ、ほら、早く!』
『あのままじゃダメだ! 投げろディルムッド! お前ならできる!』
『っ……頼む、敵だけ貫けェェェェッ!!』
『我が愛と引き換えに貴男は聖誓を負うのですーー愛しき人よ、どうかこの忌まわしい婚姻を破棄させて、私を連れてお逃げください! 地の果ての、そのまた彼方まで!』
『許さぬぞディルムッド……この裏切り者め!』
『聞いてくれグラニア! フィンがとうとう俺達の仲を認めてくれたぞ!』
『耳、と……尾のない猪……』
『忘れたわけではあるまい? 我が妹の子である以上……お前もその猪も、儂の甥だ』
『そんな……まさか、フィンッ!!』
『くくくっ……さぁ、どうする? あぁ、お前には猪を狩ってはならない聖誓があったなぁ!』
ーーあぁ、ごめんな、そうだ、生まれてから今まで……苦しかったよな……今、楽にするからーー……。
『ディルムッド! ディルムッド! ダメだ目を開けてろ! 今爺さんが水持ってくるから! 俺は助けを呼んで来る! 頼むから生きろ!』
『くくくっ……忘れたわけではあるまい? なぁ、ディルムッド、儂は忘れておらんぞ? おおっと、水が零れてしまった』
『そん、な……フィ、ン……』
『憐れだな、息子よ』
『……誰、ですか』
『お前の実父、とでも言っておこうか』
『実父……? 死の、神……?』
『あぁ、そうとも。どうだ、騎士が憎いか?』
『……俺は……』
『さぁ憎め! 怨め! さすればいつかお前が英霊の座へ召された時、その力を必要とされたとき、この鎌を貸してやろう。ただしその時はーー……』
「……何が……」
ーー何が騎士だ、何が正々堂々とした戦いだ!
ーー特に、ブリテンの王……あんな奴とはもう二度と会いたくなんかない!
歯ぎしりをする。様々な言葉や行動が脳裏を過ぎり心臓が痛い。エルフのセーラが退屈そうにこちらを見つめていた。その時、ショート・ホガーズの一匹が彼の頬に擦り寄った。
「……あぁ、大丈夫だよシアーシャ……あ、こらリリー、龍之介のアート壊すなよ? って触れないんだけど」
と、その時だった。
「たっだいまー死神の旦那ー! って何、どうしたの旦那? 何か凄く辛そうだけど」
「……いや、何でもないぞ。さて龍之介。オルガンの方は順調か?」
「頑張ってるよー! そういや旦那! 子供さらってきた?」
「それが邪魔が入ってな、ごめんな」
「そっかー、まぁ良いよ。とりあえずオルガン完成させよー!」
このキャスターが龍之介から武士の存在を聞くのはもう少し後の話。
それを聞いた闇に堕ちた騎士は、武士が苦痛に顔を歪ませる時を想像し、口角をあげた。
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