二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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短編小説 *BSR Fate*
日時: 2014/04/21 17:22
名前: ☆Milk☆ (ID: EM3IpZmD)

こんにちは!
題名とか親レスとかが色々変っちゃってごめんなさい(汗)

前は主にバサラとバサラクロスオーバー専用でしたが最近fateが増えてきたためfateも題名に加えちゃいました←
そんな感じに意味が行方を失った短編小説始まります

ごゆっくりどうぞ


※リクエスト受け付けてます。長くなりそうなリクエストや、あまりに抽象的なリクエストはバッサリ無視いたしますので悪しからず。
※荒らし、チェンメ、悪コメはご遠慮ください
※バサラは主に伊達軍、fateは槍兵と弓兵を偏愛してます
※私のオリジナル小説、『僕と家族と愛情と』とリンクしてる時も多々。

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Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.327 )
日時: 2014/08/13 10:01
名前: ナル姫 (ID: YC5nxfFp)

オリキャラズを召喚/オリキャラズが召喚

伊達政哉
「召喚されたからには、精一杯の忠義を、マスター!」
鯖の場合(剣魔弓騎槍暗狂)
呼び出しそうな相手:士郎、桜、ウェイバー

「狙うのは聖杯だ、僕は僕の家族を取り戻す」
魔術師として呼び出しそうな相手:青セイバー、ディル、クー、イスカンダル、エルキドゥ、緑茶


伊達政宗
「この儂を呼び出したのは貴様か? 魔術師」
鯖の場合(剣弓狂槍騎魔暗)
呼び出しそうな相手:ケイネス、時臣

「儂の手となり足となれ。伊達の名に恥じぬ戦いを」
魔術師として呼び出しそうな相手:赤セイバー、メッシュ、エミヤ


伊達成実
「俺を喚んだのはアンタかい? まぁよろしく頼むぜ、マスター」
鯖の場合(槍弓剣騎狂魔暗)
呼び出しそうな相手:凜、バゼット、切嗣、ケイネス

「まぁあれだ、精一杯戦ってくれ、俺はそれで十分だ」
魔術師として呼び出しそうな相手:緑茶、クー、ディル、イスカンダル


木野定行
「さて、あの者は貫きますか? 焼きますか? 御命令を、我がマスター」
鯖の場合(魔狂弓暗剣槍騎)
呼び出しそうな相手:切嗣、イリヤ、雁夜、龍之介

「負けは許しません。確実に潰しましょうか」
魔術師として呼び出しそうな相手:メディア、ジル、ハサン


片倉小十郎
鯖化はしない
「舞いなさい、我がサーヴァント。いざ」
魔術師として呼び出しそうな相手:五次ライダー、ランス、青キャス


風水
「どうもー、こんにちは、俺を呼び出したのはお前?」
鯖の場合(暗狂弓剣槍魔騎)
呼び出しそうな相手:言峰、切嗣、ケイネス、バゼット、ウェイバー
鱒はなし


信也
「先に言うけど期待するなよ……アンタが、俺のマスター?」
鯖の場合(槍剣魔暗騎弓狂)
呼び出しそうな相手:ケイネス、士郎、ウェイバー
鱒にはならない


エステリーゼ
「我が兄の名にかけて、貴方に聖杯を、マスター!」
鯖の場合(槍魔剣弓騎暗狂)
呼び出しそうな相手:凜、桜、バゼット、士郎

「さぁ聖杯を獲りに行くわ! 準備は万全かしら?」
魔術師として呼び出しそうな相手:青セイバー、赤セイバー、メディア、五次ライダー

Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.328 )
日時: 2014/08/15 15:07
名前: ナル姫 (ID: h/hwr32G)

「さ、終わらせんぞキャスター、早く寝たい」
 ギリ、と死神が歯軋りをする。セイバーとランサー、対するのは最弱のサーヴァント一人。戦況の優劣は明らかだった。
「決めさせて貰うぞ、キャスター!」
 頭上に黄金の剣を掲げる。墓に眠る魂すらも共鳴するように、光が集まる。
「−−約束された(エクス)……勝利のカリバーァァァァァッ!!」
 黄金の光が放たれる。誰もがキャスターの敗退を想像した……が、光が消えた後、そこには確かにまだ、肩で呼吸するキャスターの姿があった。
「っ……ゲホッ! はっ……あー、良かった。さすがに死ぬかと思ったわー、いやー危ない危ない」
「な、一体……!?」
 血を吐き、フラフラと立っているキャスター。フードは脱げたのか素顔が見えるようになっていた。再びフードを被る。
「流石に折れるかと思ったけど……本当に頑丈だなぁ、俺嬉しい」
「まさか……セイバーのエクスカリバーをあの鎌だけで防いだと言うのか!?」
 ケイネスが信じられないと言うように口に出す。ゆらり、死神は笑って、それだけじゃないけどな、と答えた。
「スプリガン二体召喚したけど……すぐ消えちゃったな。お蔭様で随分威力は下がったけど、いやぁ、傷一つない」
 キャスターが愛でるように鎌を撫でた。確かに、傷は無かった。
「恐らくあの妖気だな……お前のお父さんの加護でもあるんだろ、キャスター」
「……お父さん? あ……あー……つーことは何、俺の正体に気付いちゃった感じ?」
「薄情な息子だな、何でお父さんに対する反応が遅いんだよ」
「いや、だってあれ家族とか言われて納得する方がおかしいかもだし? いや知らないけどさっ!」
 言いながら飛び掛かって来る。横降りの攻撃にランサーが飛び退いた。細い指で器用にクルクルと鎌の柄を回し、構え直した。
「ランサー、キャスターはとにかく耐性がない。懐に入り込んで攻めろ!」
「了解、我がマスター!」
 金属音が響く。セイバーも勿論加勢したかったが、一対一の勝負に彼女は割り込めなかった。そしてついに、競り合いに終止符を付けようとしたランサーが宝具を手から離した。キャスターの右斜め上からの攻撃を上手くかわし、がら空きの右膝におもいっきり拳を叩き込む。
「……っらぁっ!!」
「ぐッ!?」
 キャスターはそのまま地面に倒れる。耐性がない彼にどれ程の衝撃が入ったかは分からないが、立てないようだった。
「……ったく、手間掛けさせやがって……これで終わりだ、キャスター」
「っ……足がないなら呼べば良いんだよ!」
 と、現れる沢山の妖精。妖精の顔など見比べたことはないが、どうも先程と同じ顔がいるのを見ると、魔力がある限りは制限無く同じ者を呼べるのだろう。妖精達の瞳は殺意に満ちている。勿論小さいものが多いので蹴り飛ばすことも可能だが、可愛らしい妖精達を蹴り飛ばしたいとは思えなかった。仕方ない……と、一枚だけ残っていた札を取り出す。
 妖精達が一様に顔をしかめた。
「……ごめんな、けれど、この町の為にも、コイツは倒さなきゃ」
 すると妖精達から声が上がる。
「駄目ー!」
「ご子息様を傷付けるなー!」
「僕達を消すなー!」
「やめろー!」
「倒すなー!」
「近付くなー!」
「そ、それ以上近付いてみろ! お前を燃やしてやるからな!」
 前に飛び出して来たのは手の平の大きさの少年に紅い翼と尾の生えたサラマンダー。他の妖精も各々ランサーからキャスターを守るために構えていた。
 −−アンタは幸せ者じゃないか、キャスター……こんなに沢山の奴に想われている。
 昔の仲間を思い出し、少し札を握る手が弱くなった。と、少し強い風が吹く。
「あ……」
 札が飛ばされ、大鎌の上に落ちた。
 と、その時。
「う、ぐ、あっ……!?」
「ご子息様?」
 カクン、と急にキャスターが気を失った。妖精はいるし、魔力切れではない。
「ご子息様? ご子息様!?」
「な、何で、これ、急に……!」
「ご子息様!!」
「目を覚ましてください!! ご子息様!!」
「ご子息様! ご子息様ぁっ!」
 半泣きになる妖精達。見れば、子供を河へ沈めるジェニー、醜い顔のドビーも泣いていた。その光景を見ていられなくなったのか、ランサーが妖精を跨ぎキャスターを担いだ。
「な、何をするつもりだ!」
「安心しな、君らの大切なご子息様に手を出すつもりはないから……セイバー、ケイネス、こんな小さくて献身的な子達を傷付けようとは思わないだろ?」
「……貴様は甘いのだランサー」
「肯定ってことだよな、それ。つーか身長高い上に細くて担ぎづらッ! てゆうか軽ッ! えぇい文句言うなよ死神姫抱きで我慢しろ」
「……ランサー……敵とは言え一応男としての矜持とか……考えてやれ」
「こんな奴の矜持なんか知るか。つーか本当、無駄にイケメンだな、勿体ない」


「……で、どういうことか説明してもらおうか?」
 墓場では呼ばれなかった為か消えたままだったショート・ホガーズの三つ子も揃い、今はふよふよと彼の周りを浮いていた。
 拠点に連れてきて、恐らく札の影響だろうと考えたランサーが札を鎌から外すと、また妖気は戻りキャスターも目を覚ました。その直後にキャスターのマスターも、セーラが教えてくれたと言ってエルフと共にここへ来た。
「何を説明しろって?」
「お前のこと全部に決まってるだろ殴るぞ本気で。顔面陥没させてやろうか」
「じょーだん。骨脆いんだからやめて」
 降参するように首の高さまで手を挙げ手の平を向けた。骨が脆いのは本当らしく、ランサーが本気で殴ったところは複雑骨折という状態だった。アイリスフィールが治してはくれたのだが。
「とは言えどこから話せば良いのか分からないしさ」
 口を尖らせるキャスターにセイバーが言う。
「……では、キャスター。まずお前の真名についてだが……フィオナ騎士団随一の戦士、『輝く貌のディルムッド』……ケルトの英霊ディルムッド・オディナ……相違ないな? まぁ正直、こんな性格だとは思わなかったが」
「……あぁ、ないよ。性格についてはそんなこと言われたって知らないし」
「何故誇り高い騎士である貴方がキャスターに……」
「それはお前初対面で『貴様の根はやはり死神かー!』とか言ってたじゃん。そういうことだよ」

Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.329 )
日時: 2014/08/15 15:14
名前: ナル姫 (ID: h/hwr32G)

 セイバーに寄ると、ディルムッド・オディナはフィオナ騎士団というケルト神話に登場する騎士の集団に属していた者であったらしい。だが後年、騎士団の統領であり実の伯父でもある人に見殺しにされるという悲劇的な最期を迎えるそうだ。また、ケルトの死神、ドゥンを実父に持ち、妖精王であり愛と若さの神、オェングスを養父に持つという。今回の戦争で死神の力を、また妖精を使役する力を持って現れたのは実父と養父の影響だろう。クラスについてはマスターとの相性と力だ。勿論マスターに力とその気があれば、彼を騎士として召喚することもできたかも知れないが。
「まぁ俺はあの人父親とか思ってないけどね。ただ最期憐れに死んだ俺に力を貸してくれる親切さんだよ」
「……で、その鎌を借りていると言う訳か……その妖気はやはり父親……親切さんの加護か?」
「そーそー、妖気がないと死神としての効果発揮できないし」
「さっき突然気絶したのはどういうことだ?」
 ランサーの問いにキャスターお前のせいじゃん、と言った。
「お前が札を鎌に落とすから妖気吹っ飛んで気絶したんだよ俺」
「いや死神の体内構造とか分からないから」
 説明が面倒臭いのか、んー、と彼がどう話そうか迷っていると、龍之介の肩に乗っていたエルフが口を出した。
「……ご子息様は、ドゥン様から鎌をお借りする代わりに、自らの内臓や筋肉等を一時的に捧げていらっしゃいます」
「鎌を借りる代わりに?」
「死神であるドゥン様にとって、その鎌はとても大切な鎌です。なくすことは勿論、少しの破損すら許されません」
「スプリガン二体召喚したとは言え、エクスカリバーを防いでも傷が無かったでしょう? ドゥン様の加護もありますが、それ以上に元々物凄く頑丈なので、中々壊れないんですけどね」
 続けたエルフの後を一匹のジェニーが継ぐ。そしてその続きをニンフが引き継いだ。
「死神は自分で鎌を直せますが、ご子息様がドゥン様を親と思っていないように、正直ドゥン様もご子息様をちょっとした余興としか見ていらっしゃいません。余興が鎌を破損するなど許せることではありませんから、ご子息様の内臓等を預かり、破損したら瞬時に預かった内臓を破壊するおつもりです」
「……なるほど、さっきは私の札が妖気飛ばしたせいで、ドゥンとやらが鎌に何かあったと思って、コイツの内臓を破壊しようとしたと?」
「……また説明が面倒なんだけど、これは俺にしか話せないしなぁ……えっと、気管と食道は普通なんだけど、肺が普通の大きさの半分くらいで、胃腸に関しては一回の食事で豆腐一丁消化するのが限界くらいかな。肝臓とか膵臓とか……あと腎臓はよくわからない。あと必要最低限の筋肉以外は抜かれてる。骨も鳥より少し丈夫程度だし、対策とらないと骨粗鬆症が進行する」
 最後にキャスターが具体的に話す。想像すると気持ち悪い上に実父が予想を遥かに超えて酷い。
「あ、あと預けた内臓と今俺が持ってる内臓は神経とか何も繋がってないけど、半分弱預けた心臓だけ神経繋がっていて、さっきは心臓を素手で握られて目茶苦茶痛くて気絶した」
「……そういうことか、びっくりした」
 にしても、とキャスターは続けた。
「どんだけお人よしなの、アンタら」
「…………」
 一同が沈黙する。そのうちランサーが、うん、なんか、ごめんと小さく口に出した。
「いやなんか、お前の妖精達が凄い泣いてたから……なんかあのまま殺すのが気の毒過ぎて……」
「優しすぎやしない?」
「気の毒なのは妖精だお前じゃない」
 ランサーが言うと、ブーっと拗ねたように言う。とんでもなく面倒臭い死神だな、と今更気付くがもう遅い。
「……まぁ良いだろ。お前も色々と苦労してんのはよく分かったよ。今回は特別だ。早く帰りな」
「……とは言えなぁ」
 バツが悪そうに頭を掻く。
「何だ、なんか文句でも?」
「いや、借り作っちゃったし」
「……………………は?」
「『は?』って……何でそんな顔すんの」
 当然のように口に出す死神。精神汚染した奴に借りも貸しもあるものかとは思うが、思えば本来は騎士として召喚されるべき英霊だ。無意識にそういった思いはあるのかもしれない。同じことを思ったのか、セイバーが口に出す。
「……ディルムッド・オディナ」
「……何さ、ブリテン王」
「お前の今の在り方は、お前がそれで良いと思えるのか?」
「いやいや、良いと思えなきゃ召喚拒否するでしょ」
 何言ってんの、というように笑うが、その笑顔は引き攣り気味だった。ランサーも口を出す。
「どうせ良くねぇんだろ? 何で召喚に応じたのかは知らないけどさ」
「違っ……」
「じゃぁ何であの時、セイバーがお前を『フィオナの騎士』って呼んだときに笑顔が消えた?」
 キャスターが黙る、が、やがて口を出した。
「……目敏い奴ってきらーい」
「こっちは真剣に言ってんだよ、ごまかすな騎士」
「……騎士っていうなし」
 妖精が心配そうに主を見ていた。頬に擦り寄るショート・ホガーズを撫でる。
「じゃぁ笑い飛ばしてみろ、騎士じゃないっていうなら」
「何でそうなるの」
「できないだろ。お前のことは全て調べた。まぁ、最期とか、諸説あるみたいだけどな……お前は騎士として正し過ぎた。余りにも真っ直ぐな人間でありすぎた。だから自分の親が死神であることが許せなかったんじゃないか? ……異父弟も殺されてるしな」
「違う」
「だけど最期、信じていた人に見殺しにされた。その人が自分と異父弟の伯父だったにも関わらず、自分は意を決して憐れな弟を殺したにも関わらず、だ」
「信じてなんかいない」
「ならどうして狩り用の短槍と短剣しか持っていかなかった?」
「か、狩り場は神聖な場所だから戦用の物を持って行くわけには……」
 ここまで言って、キャスターが目を見開いた。
「ほら見ろ、もうボロが出た」
「あ……あ……」
「騎士として正しくなければ、裏切られると分かっていながら戦用の槍と剣を家に置いて来るなんてことしねぇよ……まぁお前は信じていたんだろうけど」

Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.330 )
日時: 2014/08/15 15:18
名前: ナル姫 (ID: h/hwr32G)

「……それとも、信じていたのはその孫の方か?」

『大丈夫だグラニア。何かあってもフィンがいるんだし……万が一フィンが裏切っても、オスカーがいる。それに、神聖な狩り場にゲイ・ジャルグとモラルタを持って行くわけにはいかない』
『……でも』
『大丈夫、絶対に生きて帰ってくるから』

「はたまた、死ぬつもりだったか……どれだ? 予想としては私は……伯父さんを信じていた、にファイナルアンサーだな」
「黙れ!」
「ビンゴ? やったー」
 キャスターに余裕が無くなって来たのが分かり、今度はランサーがふざけ出す。
「さぁ、再度問うぞキャスター……お前はそれで良いのか?」

『おはようディル!』
『よぉディルムッド!』
『おせーぞディル』
『やっぱりディルが最高の騎士だ!』
『お前すげぇよ、ディル!』
『俺ら一生の友達だもんな、ディル!』
『ディアリン! オスカー! ディル! テメェら怒るぞ俺!』
『ディルお前まさか妖精なんじゃ……!?』
『え? 死神? だから何? ディルはディルだろ?』

『ディル!』
『ディルムッドー!』
『ディルムッド』
『ディルムッドさん!』

 −−オスカー、ディアリン、コナン、ファーガス、りっちゃん、アシーンさん、ルガイドさん、ゴルさん、コナンさん、キーちゃん、リア……。

『頼んだぞ、ディルムッド』

 −−フィン…………。

「答えろキャスター。お前は……」
「黙れぇぇぇぇぇぇぇえええッ!!」
 鎌を振り上げ、ランサーに向かって振り下ろす。それをランサーが錫杖で刃を防ぐ。
「ランサーっ!」
「いや大丈夫だよセイバー。いくら女だからといってこんな細い腕には負けないさ」
 キャスターも大分力を入れているつもりなのだろうが、筋力はランサーをかなり下回るのだ、敵うはずがない。
「もう認めとけ。お前は騎士を捨てられない」
「うる、さい……だって、だって……! 仕方ないだろ! 何が騎士道だよ! 何が騎士の戦いだよ! 結局は人だ! 最期には欲に溺れて怨嗟に絡み取られて、惨めに死んでいくだけだろうが! 親が死神で、その立場に頼って何が悪い!? 言って見ろよ!! 何がいけないんだよ!? 俺にはわからねぇよ! …………嫌なんだよ……もう、裏切られたくないんだよ……でも、騎士をやめて、死神になる以外方法がわからないんだよ……本当は…………騎士でいたいのに……っ!」
 言っているうちに、彼は両膝を畳の上に付け、彼の濁った赤の双眼からは温かい雫が零れていた。妖精達は皆事情を知っていたのだろう。顔を背ける妖精も、泣いている妖精もいた。
 確かに、気の毒ではある。だが生憎、ランサーの中に、死神に転がり落ちた騎士に対する慈悲はなく、彼女の中ではこの騎士の更正方法は荒療治のみだ。また、彼女はそんなに気が長い人間でもなければ、女々しい男が好きでもない。寧ろ生きるのが不器用過ぎる騎士に苛立ちさえ覚えていた。そして。
「俺はっ……」
「ああああああもううっせぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「アガッ!?」
「ご子息様ーーーーーーー!!?」
「キャスターーーーーーー!!?」
「旦那ーーーーーーー!!」
手加減したのかさすがに今度は骨は折れなかったようだが、キャスターの端正な顔にはランサーの足の形が赤くなって付いていた。
「な、何を……」
「良いかテメェキャスターよく聞け! 確かにお前は裏切られて死んでスゲー悲しかっただろうよ! でもな! 私らの世界に裏切るとか裏切られるとか日常茶飯事だから! 裏切られて罪悪感とか全くないから! 武士を東洋の騎士だとか甘く思うなよ! 武士はお前ら騎士よりずっと汚いこと堂々とやって生き延びて来たんだよ! もっと上手く生きることを学べ! 良いか!?」
 呆気に取られ、目をぱちくりさせるキャスター。その顔は彼が笑っているときより無駄にキラキラと輝いており、彼女は今やっと『輝く貌』を理解した。
「キャスター、こうして説教してやったのも貸しに入れとけ。さぁ、どうやって借りを返す!?」
「え……え?」
「いや、あの、ランサー、いくらなんでもやり過ぎなんじゃ……」
 セイバーが控え目ながらオロオロと口を出す。アイリスフィールは苦笑い、ケイネスや切嗣は若干どころか大分引いていた。
「……ど、どうするかと言われても……」
「そうか。わからねぇか。なら私達に協力しろ」
「………………は?」
「私らバーサーカーも倒さなきゃで大変なんだよ。力を貸しておけ。セイバーとはバーサーカー倒すまで共闘する。あと勿論、キャスターのマスター、お前もだ」
「え、ちょっと待って、俺には何が何だか……」
「分かった率直に言う。暫くここにいろ。その間アートは作るな」
「えええええ!? な、何で!?」
「キャスター、マスターを黙らせろ」
「……分かった龍之介。レクシと遊んでいてくれ」
「マジで!? 俺あの子にいじめられるんだけど!?」
「じゃぁ分かった。今度人魚見せてあげるから」
「え、本当!? やったー! ありがとう旦那ー!」
「……黙ってないじゃねぇか」
「あれ以上どうしろっていうの」
「えっと、待て、これって同盟? なのか?」
「そういうことで良いだろ? なぁキャスター」
「いや、俺半ば無理矢理……」
「い、い、だ、ろ?」
「はい、良いです、ごめんなさい」


【騎士と武士と死神の同盟】


後日談
「おいキャスター」
「何ランサー?」
「お前さ、骨粗鬆症って何か対策しないと進行するって言ったよな? 何か対策してんの?」
「龍之介に言われて煮干し食べてるけど」
「し、死神と煮干し……何という組み合わせ……まぁ良い。煮干しだとよく噛まなきゃいけないから顎も疲れるしお前の内臓に余り入らないだろ。良いもん買ってきてやったぞ。コンビニで」
「……何これ。牛乳?」
「この時代は牛乳がこんな簡単に手に入る上にこんな便利な物に入っていて栄養も豊富らしい。飲むだろ?」
「……ランサー、お前さっき死神と煮干し変って言ったよな?」
「変とは言ってねぇぞ。どうかとは思うが」
「死神と牛乳ってどうなの」
「………………可愛いんじゃね?」
「何でさ、飲むけど」

Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.331 )
日時: 2014/08/18 22:00
名前: ナル姫 (ID: XQOK5vhS)

 嗚呼、ついていない。
 これは天罰だろうか。快楽のままに殺害してきたが為の罰なのか?
 まさか、朝起きたら沢山の銃を持った警察に囲まれていました、等と。
 包丁の一つも持っていないのに、子供も昨日さらってきたのに、本当に、運が悪い。
 あぁ、死にたくない。死神と世間で呼ばれた私は、ここで死んでしまうのだろうか?
 乾いた音がする。
 腕に鋭い痛みが迸る。
 畳に血がぽたぽたと染み込む。
 瞬間、右手の甲に痛みを感じた。
 見れば、髑髏を模したような赤い模様が浮かび上がっていた。
 血が染み込んだ畳の下が光る。
 警官達がうろたえる。
 現れた大きな鎌を持つ、白い何かを従えた灰色の男は、言った。

『ねぇ、死にたい? 死にたくない?』

 私は答えた。

『死にたく……ない』

 次の瞬間、私を囲んでいた警官はこの世からいなくなっていた。
 代わりに部屋が血生臭くなる。

「はーい、そんなわけでこんにちは、貴方に呼ばれた名も無き死神ですよ、マスター」
「マスター……?」
「はっはーん、アンタ、偶然俺を喚んだだけで何も分かってないね? じゃぁ説明してあげる」
 名も無い死神は、私に聖杯戦争なるものを教えた。
 願望器を奪い合う争いを。 
「そういうこと。わかった? わかんなかった? どっちでも良いけど」
「いえ、よくわかりました。説明がお上手なことで」
「ホント? ありがとうー! でも褒めても何もでないよ?」
 楽観的な死神は、ニコニコとその端正な顔立ちに浮かんだ表情を崩さない。
「さーて、遅くなっちゃったけど、アンタの名前何?」
「私? 私は−−」
 答えようとしたところで、テレビがついた。いつの間にいたのか、小さな妖精らしき何かがリモコンをいじっている。
「あ、こらキーヴァ! 勝手にいじっちゃ駄目だろ!」
≪……ち光秀容疑者の家に今朝突入した警官隊と連絡が取れなくなっていることが今わかりました。容疑者の自宅近くに済む住人は既に避難しており、何があったのか分からない状況で−−≫
 アナウンサーが話す斜め上には、『連続殺人犯『死神』明智光秀宅に突入』という文字が映し出されていた。
「……はぁん、アンタ、これなんだ? 死神、明智光秀ねぇ……うん、なるほどなるほど」
 マスターの名前だけ知っとくのもあれだし、俺も名乗ろうかな?と呟く死神。勿論、死神がこんな性格だとは思いもしなかったわけですけれど。
「さて問題! 俺の名前は何でしょうか?」
「名も無い死神と言っていたのにですか?」
「だって俺の名前有名じゃないんだもーん。アイルランドに行けば知ってる人多いけど! あ、今のヒントね!」
 アイルランド−−ケルト神話、でしょうか?しかしケルト神話に関する私のボキャブラリは少ないです。
「……さぁ、ヒント聞いても全く」
「ざーんねん! 正解は、母はダーナ神の王ヌアザと戦いの女神モルガンの曾孫、チレン。育ての親は最高神ダグザの子供、愛と若さの神妖精王オェングス、そして父は死神ドゥン……ケルトの英霊、ディルムッド・オディナって言います、マスター」
 全く聞いたことが無い名だ。
「ディルムッド・オディナ……」
「うーん、微妙な反応! 知らない感じ! 俺ショック!」
「申し訳ないですね」
「まぁ良いけどね。俺の伝説なんて伯父さんのおまけみたいなもんだし」
 ぶー、もふて腐れたように唇を尖んがらせる死神に苦笑。
「まぁ真名がばれると色々まずいし、キャスターって呼んでちょーだいね。んでもって目標を設置しよう光秀! 聖杯に何を叶えてもらう?」
「……そうですねぇ」
 特に叶えたいことは無い。
 あぁ、でも、何でも叶える願望器なのに、何も無いのは勿体ないですよね?
 では、大きすぎることでも祈っておきましょうか。

 私の口は答えを紡ぐ。死神はそれを満足そうに聞いていた。

「ふーん……死神は、人になりたいんだね」
「えぇ、そうですね。キャスター、貴方は?」
「俺? 俺はただこの戦争を楽しみにきただけー。願いとかないの」
 でもね光秀、光秀がそれを叶えたいなら手伝うよ。
「人になりたいねぇ……うん、良い願いだ」
 その濁った赤い瞳に悲しみの色が見えた瞬間、直感した。
 この英霊は、私と最も分かり合える英霊、且つ、私と最も相容れない英霊であると。
「あ、あとそうだ光秀」
 何かに気がついたように話し掛けられる。

「この辺ってコンビニある?」


【人になりたい死神と、騎士でありたかった死神】


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