二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 短編小説 *BSR Fate*
- 日時: 2014/04/21 17:22
- 名前: ☆Milk☆ (ID: EM3IpZmD)
こんにちは!
題名とか親レスとかが色々変っちゃってごめんなさい(汗)
前は主にバサラとバサラクロスオーバー専用でしたが最近fateが増えてきたためfateも題名に加えちゃいました←
そんな感じに意味が行方を失った短編小説始まります
ごゆっくりどうぞ
※リクエスト受け付けてます。長くなりそうなリクエストや、あまりに抽象的なリクエストはバッサリ無視いたしますので悪しからず。
※荒らし、チェンメ、悪コメはご遠慮ください
※バサラは主に伊達軍、fateは槍兵と弓兵を偏愛してます
※私のオリジナル小説、『僕と家族と愛情と』とリンクしてる時も多々。
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- Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.342 )
- 日時: 2014/08/30 12:14
- 名前: ナル姫 (ID: .9bdtmDI)
ディル前世組×リトル・マーメイドネタ
絶望人魚姫ルートも考えようとしたけど配役的に無理が生じました。
というわけでディルの前世救済ネタとなった×リトル・マーメイド
舞台はもっぱら陸。妖精界と人間界は繋がっているが、妖精界は妖精達の霊気によって守られている。対して人間界は争いがある上、危険な動物もたくさんいる。
ストーリー
妖精界で暮らす唯一の人間であり、妖精王オェングスの養子であるディルムッドは、八歳の時に偶然妖精界に迷い込んだコーマック・マック・アートの一行を目にする。その後、どんどん森へ迷い込む一行が心配になり、ディルムッドはその一行を出口まで案内した。その時に見た馬車に乗っていたグラニア姫に一目惚れし、彼女に焦がれるようになる。人間界へ強い憧れを抱くものの、ディルムッドに対し過保護なオェングスが危険な人間界へ彼を送ろうとはしなかった。
七年の月日が経ち、ディルムッドは十五歳になる。立派になった彼に、オェングスは初めてディルムッドの出生の話を聞かせた。父親が死の神であり、母親が自分の部下と不倫して子供を作ったが、それが父親に殺されてしまったこと。その殺された子供の怨霊が耳と尾のない猪となり、ディルムッドを殺すと言って去ったこと。オェングスはそのような事情から、ディルムッドを自分の側から離れることを善としなかった。
しかしディルムッドには七年前に見た彼女のことがあり、自分なら大丈夫だと言ってオェングスを説得し、妖精界から人間界へ行く。
だが困ったことに、人間と十五年間まともに関わったことのない彼は、人間との付き合い方がわからなかった。そんな彼の前に現れたのがチャクロと名乗る人物だった。チャクロはディルムッドに、飲めば三年間だけ人間と自然に付き合えるという薬を差し出し、その代わりにディルムッドの心臓を預かると言う交換条件を出して来る。また、愛するものと三年以内に結ばれ、キスすれば薬の効果は永年続く。ディルムッドは了承し、人間と付き合えるようになる薬を飲み、翌日からはフィオナの仲間達とうまく付き合えるようになった。
チャクロの正体はオェングスの部下でありディルムッドの母親チレンの不倫相手である、変装したロク。彼は我が子をドゥンに殺された恨みがあるが死の神には刃向かえず、ディルムッドの命を狙っていた。また、自分が幼少のディルムッドを殺そうとした際、激怒してディルムッドを庇ったオェングスのことも恨んでおり、ディルムッドの命を盾にしてオェングスから王位を奪おうとしていた。
目論見通り王位を手にしたロクはオェングスを監禁する。妖精達は逆らえず、ロクの支配下にあった。
一方、そんなことも知らずに騎士として武功をあげるディルムッド。憧れの姫にはまだまだ近付けず、悩む日々を送っていた。そんなある日、フィオナの頭領であり伯父であるフィンとグラニア姫の婚約が決まってしまう。だがフィンを嫌がるグラニア姫は、ディルムッドに自分を連れて逃げるように頼み込む。ゲッシュを課されたディルムッドは逆らえず、望まない形でありながらも姫を連れて逃げる。
薬を飲んでからもう少しで三年が経つと言う日、二人はディルムッドの養父に匿ってもらうために妖精界へ行く。だが妖精界はすでにロクの支配下におかれており、それを知ったディルムッドはブルー・ナ・ボーニャの地下に監禁されている父親を助け出すことを決意。
ブルー・ナ・ボーニャへ行き、そこでようやくディルムッドはチャクロがロクであったことを知る。心臓を預けてしまった限りロクには立ち向かえず、失意するが、ディルムッドが帰ってきたことで元気を取り戻した妖精達がロクに立ち向かい、オェングスを救出しディルムッドの心臓を奪い返す。そしてディルムッドはロクを倒し、妖精界は再び平和になった。
数日の後、ディルムッドとフィンは和解する。そして二人は三年の効果が切れるギリギリのところでキスをし、無事結ばれた。
妖精界を救ったこと、昔妖精界へ迷い込んだ自分たちを助けたのがディルムッドであることを知ったコーマックは、二人に妖精界で暮らすことを薦める。実は、フィンの息子のアシーンの妻は妖精であり、義理の娘がディルムッドに感謝していると言うことから、フィンもディルムッドに感謝していたのだった。
そして二人は平和な妖精界で幸せに暮らしましたとさ
登場人物
ディルムッド・オディナ
妖精王オェングスの養子で彼に溺愛される少年。人間でありながら人間界を知らないことを気にかけており、グラニア姫を見たときから彼女と人間界に強く憧れを抱くようになる。
とても立派な美少年で、右目の下の泣き黒子には女性を魅了する力がある。リトル・マーメイドでのポジションはアリエル。
オェングス
ディルムッドの養父。愛と若さの神であり、妖精王。ディルムッドに対し過保護で、彼を人間界へ出したがらない。ロクに捕われるが妖精達に救出される。ポジションはトリトン。
グラニア
ディルムッドが恋する王女。ディルムッドの黒子に魅了さ、駆け落ちを強制する。少々高飛車だが心優しい姫。ポジションはエリック。
セルティ
ディルムッドの親友。女性のデュラハンで、人間界へも沢山行っている。ディルムッドの人間界への興味を肯定してくれる。また、ディルムッドは彼女から人間の情報を得ている。ポジションはフランダー。
セーラ
しっかり者のエルフ。ディルムッドのお目付け役で、やんちゃなディルムッドに苦労させられるが何だかんだでお人よし。ポジションはセバスチャン。
フィン・マックール
ディルムッドの母方の伯父。グラニアと駆け落ちしたことでディルムッドを憎むが、その後妖精の国を救ったことでディルムッドを認める。
ロク/チャクロ
オェングスの元部下で、オェングスとディルムッドを恨む。ディルムッドを騙しオェングスから王位を奪う。
- Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.343 )
- 日時: 2014/08/30 22:53
- 名前: ナル姫 (ID: 0L8qbQbH)
本日、人間界に行きたいと父に言ったら、結構怒られた少年がいた。
「父さんの分からず屋……」
「『拗ねるなディルムッド。心配なのさ、王も……』」
不思議な声で話しかけて来る首無し騎士とその首を一瞥し、また背を向けた。草の上に寝っ転がり、溜息を吐き出す。仰向けになると、ちょうど雲に隠れていた太陽が現れ、木漏れ日の眩しさに目を細めた。
「ねぇ、セル姉……どうしてなのかな……」
「『……』」
「俺は人間なんだよ……? なのに、俺は人間界を知らない」
「『……この地が不満か?』」
騎士が尋ねると、少年は小さく否定した。
「ここは好きだよ……暖かくて、安心する……でも、人間の世界に行きたいんだ」
ふんわりと笑い、今度は俯せになる。
「俺は妖精のこと沢山知ってるけど、人間はどんなことを知っているのかな……俺達はサラマンダーが炎を出してくれるけど、人間は炎を出せない。サラマンダーがいなくても父さんが魔法でミルクを温めてくれるけど、人間はできない。ねぇ、人間はどうやって炎を作っているんだろう。冷たいミルクなんておいしくないよ……あぁ、あと、人間は槍を持って戦うんでしょう? それって怖くないのかな? 猪に襲われたらどうするんだろう。鹿が取れなくて食べ物がないときはどうするの? ……知らないことばっかりだ」
セルティはディルムッドを撫で、微笑んだ。
「『ディルムッド、お前は確かに人間の知ることを知らないが、お前は人間の知らないことを知っているだろう? それは強みになる……王だって、そのうち外へ行くのを認めてくれるかも知れない』」
「うん……」
浮かない返事をした瞬間だった。
「!」
「『……ひずめの音、だな』」
セルティが言う。
「……いっぱい馬いるよ、セル姉」
「『あぁ』」
ピクシーが動くのは夜だ。デュラハンはこんな大勢で動かない。では……?
「……!」
身を起こして凝視する。少し遠い場所にいたが、何なのかは理解できる。
「……人だ……セル姉、あれだれ?」
「『わからない……だが、客ではなさそうだな……』」
となると、明らかに迷い込んだ人達である。三匹の馬が引いている馬車に乗るのは髭が立派な男性。馬車の周りを取り囲む騎士らしき人が五人ほどいた。
「どういたしましょう……とうやら迷ってしまったようですね」
「ここは……もしかして妖精界か?」
「霊気が凄いし……恐らくな」
会話から迷子が確定した。ディルムッドは凍えでセルティに話しかけた。
「ど、どうしようセル姉、あの人達迷子だよ?」
「『う、うん、だが……』」
一度止まった一行はまた進み出した。だが彼らが向かう方向にはブルー・ナ・ボーニャがある。このままではどんどん妖精界の奥の方へ進んでしまう。
と、その時だった。黙って一行を見ていた妖精達が、ざわつきだした。恐らくブルー・ナ・ボーニャへ進んでいくからだろう。
「人間……」
「侵入者……」
「止めろ……」
「ヒト……」
「武器……」
「生活を……」
「脅かすもの……」
いつの間にか、人間の一行は沢山の妖精に囲まれていた。巨人化したスプリガンが三体、サラマンダー、ニンフ、ノーフ、シルフがそれぞれ四体、ドビー三体、ジェニー五体にゴブリンが二体だった。殺気立った顔で人間達を睨んでいる。
「よ、妖精……!」
「囲まれてしまいましたね……」
全員が槍や剣を構える。逆効果だ、とディルムッドはハラハラしてそれを見ていたが、サラマンダーが攻撃を仕掛けようとしたところで走り出した。
「くっ……」
「止めろ!」
「ご、ご子息様!」
ディルムッドの姿を見た妖精達が一斉にひざまずく。それを見た人間の騎士達は剣と槍をしまった。
「しかしご子息様、奴らはブルー・ナ・ボーニャへ向かっています!」
「この者達に危害を加える目的はない! 迷い込んだだけだ!」
ディルムッドが言うと、妖精が引いた。それを見たディルムッドが、人間に振り向く。
「妖精達が失礼しました」
「あぁ、いや……」
「ご立派ですわね」
突然聞こえたか細い声。誰の声だ?と思っていると、馬車から茶髪の女の子が出てきた。背が低くてさっきは見えなかったが。
「お礼を申し上げますわ。ご子息様?」
ニコッと笑った可愛らしい顔つきに、綺麗な声に、彼は一目で恋に落ちた。
「あ、うん……あ、案内します!」
そしてディルムッドは一行を妖精界の外へ案内した。一行は外に出るとすぐに霧で見えなくなってしまった。
それでも、小さく可愛い姫君の姿は、消えることがなかった。
「『ディルムッド、よくやったな』」
いつの間に来たのか、セルティが背後に来ていた。
「……セル姉」
「『ん?』」
「俺絶対いつか人間界に行くよ」
「『……あぁ』」
「あー! ご子息様! こんなところにいましたか!」
小さな体から大きな声を出すのはエルフのセーラだった。
「遠くに行かないでと何度いえばわかりますか!」
「はいはい、わかってるよ」
「全く……早く帰らないとまたドワーフ達におやつ取られますよ!」
「え!? もうそんな時間!? か、帰ろうセル姉!」
「『あぁ、わかった』」
小さな少年が、恋い焦がれる少女と再開するため、人間界へ出るのはもう少し後の話。
今はおやつのことで頭が一杯のようだった。
- Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.344 )
- 日時: 2014/08/31 20:50
- 名前: ナル姫 (ID: hSqi2epP)
七年後−−。
「……」
「……」
「今日ご子息様元気ないね」
「うん……どうかしたのかな……」
「セルティがいないからかな?」
「えー……でもあの凹みよう普通じゃないよ……」
浮かない顔で歩くディルムッド。周りにはショート・ホガーズが三匹ふわふわと浮いていた。
ディルムッドは十五歳になっていた。今日もまた懲りずに人間界へ行きたいと父親に言うと、父は今日違う反応を示した。
そして彼は、自分の出生の話を聞かされたのだった。
「……ご子息様、以下がなさいました?」
寄ってきたのはセーラ。ディルムッドは彼女の方へ振り向き、微笑んだ。
十五歳のディルムッドは、七年前と比べてますます美しくなっていた。身長は高く、スラリと手足が伸び、程よく筋肉がついている。色は白く、黒い髪がそれに良く映えていて、睫毛は長く足れ目。甘い密のような瞳には憂いが込められていた。
「いや、な……」
子供の高い声ではなく、低いながら綺麗な声。言いながら座る。
「父さんが……俺の出生のことを教えてくれた……」
「あ……お母様が、不倫をして……」
「そうらしいな……伯父さんがフィオナの頭領なんだって?」
「えぇ……年齢で言うなら、フィン様はご子息様の祖父世代に当たりますが」
「……知らなかった。凄いなぁ……」
それでも、彼の目はまだ輝かない。
「……あと」
「……ご子息様?」
彼は悲しそうに笑った。
「……俺、人じゃなかったんだな」
「!」
「半神、だったんだ……全然知らなかった」
−−幼い頃は、知るというのは楽しいことばかりだと思っていた……そう信じて疑わなかった。
−−疑わ、なかった。
「……知ると苦しいこともあるなんて……聞いてない……」
一つの白い霊がディルムッドの頬に擦り寄る。
「人間じゃない癖に俺、人間界に行きたいって……何言ってんだろう……そりゃぁ父さんにも反対される筈だよ……死神の子供が人間界に軽々しく行ける訳がないじゃないか!」
「ご子息様それは違います! 王がご子息様を妖精界から出さないのは、貴方が死神の子だからではありません! 間違いなく母君……チレン様とロク様の子息の怨霊から貴方を守るためです! それに王は、貴方を死神として見たことは一度もございません! 愛と若さの神の、本当に血の繋がった子のように思っていらっしゃいます!」
セーラが必死に説得する。ディルムッドは泣きそうだった。沢山の妖精が見守る。
「……ご子息様は、どうしたいのですか?」
「……どうって?」
「ここにいたいのか、人間界に行きたいのか……」
七年前の、少女の顔が脳裏を過ぎる。あれから長い月日がたって、どんな美人に成長しているんだろう。
「行きたい……」
「なら王を説得しましょう。フィオナの頭領が伯父なら大丈夫ですって!」
ちょこん、とセーラはディルムッドの肩に乗った。貯まった雫を拭い、ディルムッドは立ち上がった。そして突然笑う。
「ふっ……ふふふ、あははっ!」
「ご、ご子息様?」
「セーラ……昔は俺が人間界に行きたいなんて言ったら怒ったのになぁって、思ってな……ふふっ」
やっといつもの笑顔に戻ったディルムッドは、ショート・ホガーズの三匹も連れてブルー・ナ・ボーニャへ向かった。
- Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.345 )
- 日時: 2014/08/31 20:54
- 名前: ナル姫 (ID: hSqi2epP)
人間界へ行って騎士になると言った時の父親の反応は、予想とは違うものだった。諦めたように笑い、ついて来なさいと言ってどこかへ向かう。
向かった先は小さな部屋だった。そこにあったのは剣と槍、長い物と短い物が一本ずつ。
「……これ、は?」
「長い剣が『大なる激情』、短い剣が『小なる激情』。長い紅の槍が『破魔の紅薔薇』、短い黄色の槍が『必滅の黄薔薇』……どれも、マナナン様がお前のためにくれたものだ」
「マナナン様が、わざわざ?」
「あぁ、お前が立派な騎士になるようにな」
オェングスは槍を手に取り、ディルムッドへ渡した。
「お前が騎士になると言い出したら渡そうと思っていたのだが……思ったよりも早かったか」
「……父さん、じゃぁ……」
「……行ってきなさい、ディルムッド。立派な騎士になって、妖精界にまで届くような武功を立てなさい」
−−嬉しかった。
−−父さんは分からず屋じゃなかった。
「……はい!」
翡翠の装束に腕を通して。右の腰にはベガルタを、背中の左には右手で取れるようモラルタを。二本の細い槍は右手で持てば良い。
「……立派です、ご子息様」
「そ、そうか?」
「あぁ、立派さ」
オェングスはディルムッドの頭を撫でる。
「……もう、十五歳だもんなぁ……フィン殿に、宜しく頼むぞ」
「はい」
一歩前まで来る。今までだとここまで来てセーラに見つかって怒られるのが普通だった。
「……父さん」
「ん?」
「セル姉に、俺なら大丈夫って……お願いします」
「あぁ、わかった」
……見渡すと、なんて沢山の妖精達。オェングスの養子になってから今日まで、こんなに沢山の妖精に囲まれて、守られていたなんて。
セーラを初めとしたエルフには本当にお世話になった。スプリガンの肩に乗って妖精界を見渡したのも懐かしい。サラマンダーには炎を出してもらったっけかな。ニンフとは水遊びをした。シルフの風には少し苦労させられたなぁ。ノーフは土をいきなり動かして驚いた。パックには何度も転ばされたっけ。ジェニーには数えきれないほど川に沈められそうになって。ショート・ホガーズは俺の周りをふわふわと浮いていて可愛かった。ゴブリンやドビーには意地悪されて、ドワーフはちょっとおやつから目を離した隙におやつを盗まれて、全くもう……セル姉には、知らないうちに守られた。
……この地にはあまりにも思い出が多すぎる。
「っ……」
「もうご子息様、そんな泣きっ面で出ていくつもりですか?」
「うぅ、煩いっ……だって、仕方ないだろ……! なんか、わからないけど……涙止まらないんだよ……っ!」
クスクスと笑う妖精達。だが、ディルムッドをからかうセーラも、他の妖精達も涙目だった。
「セーラだって泣いてるじゃないか!」
「な、泣いてないです! 泣いてるのはご子息様でしょう!」
「お、俺はもう泣き止むんだよ!」
今度は笑い声が起こる。二人は顔を真っ赤にしていたが、涙はいつの間にか止まっていた。
「さぁ、行ってきなさい、早くしないと日が暮れるぞ」
「いってらっしゃいませ、ご子息様!」
「たまには帰ってきてくださいね!」
「怪我と病にはお気をつけて!」
「ここまで届く武功を期待しております!」
「……いってらっしゃいませ、ご子息様」
「あぁ……行ってきます」
一歩踏み出せばそこはもう人間界。七年前、人間の一行が帰って行った時のように霧に包まれた道。不安になるけれど大丈夫。
いつか、また……呟いて、霧の中を進んでいく。
皆が背中を押してくれる。
「ディルムッド・オディナ……死神の、ドゥンの……あの憎々しい男の子供……殺す、殺す、殺してやる……! くくくっ、なぁ? オェングス……お前にも復讐してやる……覚悟しろ……!」
- Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.346 )
- 日時: 2014/08/31 21:38
- 名前: 円卓の騎士 (ID: OROHjpgn)
初めまして円卓の騎士と申します!
小説を拝見させて頂きましたが面白かったです!
次回も楽しみにしています!
頑張ってください!
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