二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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短編小説 *BSR Fate*
日時: 2014/04/21 17:22
名前: ☆Milk☆ (ID: EM3IpZmD)

こんにちは!
題名とか親レスとかが色々変っちゃってごめんなさい(汗)

前は主にバサラとバサラクロスオーバー専用でしたが最近fateが増えてきたためfateも題名に加えちゃいました←
そんな感じに意味が行方を失った短編小説始まります

ごゆっくりどうぞ


※リクエスト受け付けてます。長くなりそうなリクエストや、あまりに抽象的なリクエストはバッサリ無視いたしますので悪しからず。
※荒らし、チェンメ、悪コメはご遠慮ください
※バサラは主に伊達軍、fateは槍兵と弓兵を偏愛してます
※私のオリジナル小説、『僕と家族と愛情と』とリンクしてる時も多々。

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Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.422 )
日時: 2014/12/19 16:29
名前: ナル姫 (ID: gdK5hR0W)

直虎ちゃん→ディル(対抗心と勘違いなう)続き


「あ、来ましたね! 晴様とディルさんがお待ちですよ! 特にディルさんなんか落ち着かないんですから!」
「えぇ、私も今日を待ちわびていました。何と言っても久々の手合わせです」
「んー、ディルさんあっという間に負けちゃいそうなんですけどねー」
「あぁ……緋色のように、魅了封じをしてくれる人もいませんしね。侍女からの視線もさぞや熱いことでしょう」
「定期的に来てくれてはいるのですが……着きましたよ」


「く……マリアに言われて来てしまったが……何て言い訳をすれば良いんだ……!? まさかオディナ・ディルムッドに会いに来たとは言えんし……」
「あ、直虎さん来たんですね!」
「あ、あぁ鹿之助……あ、尼子に会いに来たぞ」
「? ……そりゃそうでしょうね? 他に理由ってありますっけ?」
「あ、いいいいや! ないがな!」
「? まぁ、とにかく晴様のところへ行きましょう!」


「朝から元気だなぁオディナ」
「当然です! 久々にサーヴァント同士の対決ができるのですから!」
「婆沙羅者もお前らと対等の力はあるけどな」
「えっ、あぁその、違うんです主や鹿之助殿で不足というわけでは……」
「ははっ、わかってるよ。騎士道の戦いがしたいんだろ?  正々堂々、一対一のさ」
「はいっ!」
「勝ってくれよ?」
「勿論です!」




「あ、尼子!」
「ん?」
 振り返る晴久が、声を出した人物に声をかける前にディルムッドから滝の如く汗が流れ出た。何故、何故今日ここに彼女がいるんだ。おい、何故だ俺が何をしたって言うんだ!
「お、おいオディナ・ディルムッド! て、手合わせをしな……」
 取り合えず言い訳として手合わせをしたいと言いかけた直虎の声を遮るように、女之助の声が聞こえた。
「ディールさーんっ、晴様ーっ! 連れてきましたよー! ってあれ、な、直虎お姉様!?」
 わたわたと女之助は慌てた。実は直虎の来訪は急で、女之助は知らなかったのだ。だがそれ以上にまずいことがある。直虎は無自覚だがディルムッドに惚れている。女之助が連れている客人を、彼女がどう思うか知れたものではない。
「な、直虎殿、俺は今日、貴殿の後ろにいる人と……」
 その声で直虎は、後ろを振り向いた。そこには、上杉の忍よりも綺麗な金の髪を丁寧に編み込んで、青い西洋風の武装というものだろうか、綺麗な服を来て、背は低いがとにかく美人な少女がいた。
「えっと……直虎殿……でしたか? 申し訳ございません、本日は元々私とディルムッドで戦う予定だったのです」
「……貴女は……?」
 直虎の疑問に、少女は答えた。
「これは失礼、豊臣から九州の島津へ派遣されました、アルトリア・ペンドラゴン……あぁ、この国では名前は後でしたね。ペンドラゴン・アルトリアと申します。ディルムッドの友人であり、好敵手……セイバーとお呼び下さい」
 ふるふると体が震える。女之助としては、大体この反応は予想通りだ。見た目ならば、アルトリアの方が断然上なのだから。直虎とディルムッド、アルトリアとディルムッド、どちらがお似合いかなど百人中百人が後者と答えるだろう。
「お、おおおおおおおおッ……!!」
「直虎殿?」
「オディナ・ディルムッドォォォォォッ!! お前という奴は! お前という奴はこんな美少女さえもたぶらかしてェェェェェェエエエエ!!」
「うわぁぁぁっ!? 誤解です! 誤解です直虎殿ッ! 俺は彼女をたぶらかしてなどいないッ!」
「初めて会った時には否めないと言ったではないか!!」
「不可抗力なんだ! 俺の泣き黒子には呪いがあるんだそのせいだ! それがセイバーには効かないからっ……」
「そんな変な言い訳聞くか!」
「事実だ養父のせいだぁぁぁっ! 第一俺には妻子がいたんだ!!」

 場が凍った。

「さ、さささささっ……!? あ、尼子!! それは本当か!?」
「おう、本当だぜ。つっても生前の話だけどな」
 実はサーヴァントのことを詳しく知らない直虎に、晴久は細かい説明をした。
「……そ、そういうことか……驚いた」
「……あの」
 セイバーが口を挟む。そういえば彼女はディルムッドと対戦をしに来たのだ。それなのに知らない女性一人のせいで先延ばしにするのは可哀相である。
「あぁ悪いなセイバー。道場使って良いぜ。ただしエクスカリバーは禁止だ。オディナも、ゲイ・ボウの開帳は禁止」
「ご心配なく、我々は武人として剣と槍で勝負をするのですから」
 セイバーの声にディルムッドが頷く。一人置いてけぼりになりそうな直虎に晴久が、見に行くかと声をかける。一応頷き、家臣の二人も一緒に道場へついて行った。道場に着くまでディルムッドはセイバーと楽しそうに話をしており、直虎は無自覚のまま少し口を尖らせたのだった。


 セイバーは来たままの服装で、ディルムッドは一瞬にして和服から戦闘装束になり、二人はそれぞれ槍と剣を構えた。
「フィオナ騎士団の双つ槍、ディルムッド・オディナ、推して参る!!」
「応とも、ブリテンの騎士王、アルトリア・ペンドラゴンが受けて立つ!!」
 初っ端から苛烈な金属の混じり合いが始まった。ディルムッドの槍をセイバーが寸でのところでかわし、セイバーの剣を一つの槍が受け止め、もう一つの槍を突き出したところを剣の鍔で器用に受ける。火花が散り、高い音がずっと鳴り響く。二人はこの上なく楽しそうだった。
「……凄い」
「すげぇだろ? しかも俺達みたいに、火を出したり風を操ったりはしてない……純粋な武器の交じり合い、俺達だってやろうと思えばできることだけどよ、こいつらには届かないだろうな」
 熱く、だが華麗に、激しく、だが可憐に。パンッと一度武器を弾き、空中で一回転すると片手をついて着地する。また走りだし、再び一進一退の攻防か始まった。

Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.423 )
日時: 2014/12/19 16:36
名前: ナル姫 (ID: gdK5hR0W)

「……かっこいい……」
 ポソ、と漏れた声に晴久が笑う。
「だろ? 正直男でも見惚れそうなくらいだからな、セイバーと戦ってるアイツは」
 刃に向いていた視線が、刃ではなく人物を追うようになる。高鳴る鼓動は、行われる手合わせがそれの範囲を越えた熱いものだからか、それとも……。
 ギィィィィンッ、と一度高く音が鳴り、場が静寂に包まれる。長槍と黄金の剣を一度離し、二人は今一度構え直す。
「……流石だ騎士王よ、そのぶれぬ剣筋、久々に相見えて嬉しく思うぞ」
「無駄な謙遜だ、ディルムッド。長さの違う槍であるにも関わらず何不自由なく使いこなす姿、素晴らしい」
 不敵に笑い、息を整える。
「いざッ!!」
 同時に言い、走り出す。キン、ガンッ、ガキンッと引っ切りなしに鳴り響き、実力はまさに互角と思えたのだが……。
「……」
 踏み込みが甘い、と直虎は思った。道場は滑って踏み込めないのか、右足がやや浮いている感じがある。そこの隙を見逃すほどセイバーは甘くなく、ここぞとばかりに武装を外しスピードをつけ、剣を思いっ切り振り下ろした。
「っ……!」
 寸でのところで避け、ディルムッドは体制を整える。
「どうしたディルムッド。踏み込みが甘いぞ。よもや今更、女子相手だからといって力を抜くわけではあるまい」
「……あぁ、当然だ」
 笑ってはいるが、伝説の騎士王を前にディルムッドは徐々に押され気味になった。
 ディルムッドは強い。だが、豊臣に召喚されたサーヴァントの中では弱いのだ。大先輩にあたるクーには槍裁きが遠く及ばないし、セイバーやギルガメッシュのような規格外の武器もない。宝具の開帳がないにしても、ディルムッドの槍裁きよりセイバーの剣裁きが上手なのは何となく見て取れた。エミヤに対しては善戦できるのだが、双剣相手にはどうしても隙ができ、その隙を弓で突かれる。槍を二つ使うのは彼の本気ではない。彼が戦場で使っていたのは、長剣のモラルタと長槍のゲイ・ジャルグだ。二本の槍は、使いこなしてはいるが彼の臨戦体制ではない。そんなこと、直虎の知ったことではないのだが。
 その後も、ディルムッドの右足の違和感はあった。遂にそれが勝敗を大きく分け、踏み込もうとしたが、力が抜けたように右膝カクンと折れた。隙を見たセイバーがその端正な相手の顔に向かって剣を繰り出す。ディルムッドは少し顔を逸らしたものの、頬に小さく傷を作った。
 セイバーが剣を下ろす。
「……どうしたんだディルムッド。いつもの貴方はこんなものの筈では……」
 いや、その、と言いながら和服に戻るディルムッドに、つかつかと直虎が歩み寄ってきた。直虎はディルムッドの右足の袴を捲りあげる。
「踵骨腱(アキレス腱)が切れているじゃないか!! 踏み込みが甘いと思ったら!」
「はぁ!? しょ、踵骨腱!?」
 ばれたか……と言いたげなディルムッドの頭を直虎が叩く。
「いつやったんだよこれ……」
「あ、もしかして昨日僕やおやっさんと修業してたときでしょうか?」
「あー、おやっさんのヒズメにやられたのかもしれませんね」
「おま、怪我したなら言え!!」
「いえその、たいしたことなさそうでしたし主は忙しそうでしたので言えなくて……」
「戦ってるうちに傷口開いたんですかね?」
「はい……」
 自分より他人、相変わらずのディルムッドを見てセイバーは苦笑した。
「全く、次は万全の状態で臨んでくれ、ディルムッド」
「あぁセイバー、済まなかった」
「……とりあえずあれだオディナ、後で治すから部屋戻ってろ」
「う、はい……」
 素直に返事をし、ディルムッドは霊体化してその場から去った。
「セイバーは怪我とか大丈夫か?」
「心配有りません。それよりお腹がすきました」
「ははっ、了解。そろそろ飯にするか」
 皆が楽しそうに話す中、直虎は道場からそっといなくなった。




 ……悔しかった。
 足の怪我があるからなんだと言うんだ。そんなの何の言い訳にもならない。
 どうして追いつけないんだろう。まだ何か……根本的な何かが足りないのだろうか。
 技とかそういうものではなくて、精神的な、何かが。
「……たしか、こっちだったよな? アイツの部屋は……」
 襖の前に立ち、耳を立てる。啜り泣くような音がしていた。
「……入るぞ」
 何の遠慮もなく襖を開けると、ビクンとディルムッドの肩が跳ね上がった。
「な、直虎殿……?」
「……ふはっ、ふ、ふふっ、な、何だ貴様その顔! ははは! 良い顔が台なしではないか! ははっ!」
「うぁ……な、何なんですか……セイバーに負けたのを馬鹿にしにきたのですか?」
「いや、悔しさで泣いていないか見に来ただけだ。案の定だがな」
 くすくすと笑いながら話す直虎に、ディルムッドは口を尖らせた。
「そう拗ねるな。というか、お前身体の不調も主に訴えないでどうするんだ。そのように優し過ぎては、そのうちその優しさがあだになるぞ」
「…………」
 こちらを見て嗤った、伯父の顔が脳裏を過ぎる。
 泣くのもやめ、黙って俯いてしまったディルムッドに、何か余計なことを言ってしまっただろうかと直虎は内心汗をかいた。だが悟られないよう、普通に振る舞う。懐から、袋を出した。
「食べるか?」
「……これは?」
「金平糖だ。……何だその目は、私が作ったわけではないぞ」
 失礼なことだがそれを言うと安心したのか、ディルムッドは袋を開けた直虎の手から一粒摘み、口へ含んだ。
「……甘いですね」
「あっ、済まない! 苦手だったか?」
「あ、いえ、そんなに沢山は食べられませんが……苦手ではないです」
「そ、そうか、ならよかった」
 思わずホッとし微笑んだ直虎に、妖精かそうでなければ天使が舞い降りたかのような柔らかな笑みで絶世の美男子が言うことには。

「……御優しいのだな、直虎殿」



【彼女が気持ちに気付くまで、あと−−】


鹿「あ、二人ともここですかね? 二人ともご飯−−」
女「ちょっ、まっ! 空気読め!」
晴「……口調戻ってんぞ女之助。でも鹿之助、今邪魔するのはやめような」
お「きゅうっ」
鹿「えー、おやっさんまで……」
女「良いから戻りますよっ!」

Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.424 )
日時: 2014/12/20 20:58
名前: ナル姫 (ID: 9hHg7HA5)

 泣いてしまった直虎にどうすれば良いか分からず、取り合えず傍にいた。泣かれるのは苦手だ。女性は中々泣き止まない。
 うずくまる直虎の隣、体育座りで溜息を吐き出した。
「……」

『私を連れてお逃げください』

 地の果ての、そのまた彼方まで−−。
 ようやく彼は、直虎が自分の魅了にかかってしまったということを自覚し、腕に顔を埋めた。その時。
「……オディナ」
「は、はい」
 慌てて顔をあげる。
「妻子がいたと言ったな」
「…………はい」
「……聞いたとき、目の前が暗くなった……もう駄目なんだって……思った。けれど私は……やっぱりお前が好きだ」
 私を連れて逃げろと彼女は言っていない。だが、付き合ってくれ……というのは、近くにいたいということと同意だろう。もしもの話、彼が直虎の城に移って、その後に晴久と直虎が対立せざるを得なくなったとき、自分はどうすれば良いのだろう−−自分はどちらを取るのだろう。主だと、胸を張って言えるのだろうか、それとも−−そう考えると、身体が震えた。

『裏切り者』

「……どうしたんだ?」
「え、あ……?」
「顔、真っ青だぞ……指も、震えているし」
 体温は高い方だ。手もいつも暖かいと言われる。だが、指先で頬をなぞってみると、ヒンヤリと冷たかった。召喚されて以来はなかったが、前にもこんなことがあった。何度か、本当に人生で数回くらいだったけれど−−。
 いつだ?
「……あ」

 父に一日中蹴られた時、戦いで危うく死にかけた時、逃避行中に熱を出したとき……腹を貫かれて、死ぬのだと、自覚したとき。
 −−身体が震えて、指先から冷たくなって、顔が青くなって−−。



 バシャン、と、水の跳ねる音がした気がした。



「ッ……は、はぁ……っ」
「お、オディナ?」
 いよいよ心配になり肩を揺らす。目を閉じて何かに堪えるように、苦しそうに息をする。
「お、おい! おい!」
「……むい」
「な、何だ聞こえない!」
「寒い……っ」
「寒いのか? えっと、これは……えっと、ど、どうすれば良いんだ!? と、取り合えず尼子のところに……! あっ、どう運べば!? 姫抱きで大丈夫か!? こいつ姫抱きしても大丈夫か!? ああもう悩んでいる暇ない!」
 小さく身体を丸めるディルムッドを仕方なく抱き上げ、直虎は走り出した。


「うわぁどうしたのですか直虎お姉様!?」
「あぁ女之助! 尼子に伝えて来てくれ! オディナの様子が変なんだ!」
「はっ、はい!」
 パタパタと女之助は晴久が執務をしている部屋へ駆けて行き、襖を開けた。
「晴様っ!」
「ん? どうした女之助」
「ディルさんの様子がおかしいって直虎お姉様が!」
「はぁ!? 何があったってんだ!」


 サーヴァントには、厳密には肉体がない。医者に見てもらっても意味がないため、取り合えず晴久に寄り掛からせておいた。
「……何がどうしてこうなったんだ?」
「……その……オディナに、告白したんだ」
 晴久は特に驚いた様子もなく頷き、続きを促した。
「最初、その……付き合えって言ったのが、手合わせの意味だと捉えられてしまって、何かもう、そう思われたのが悔しくて、泣きながら好きだと言った……それからこいつは、ずっと傍に、何も言わずにいて……段々、顔色が悪くなったんだ……何があったのか、全く……」
「……そうか」
 これだけでも、晴久には分かった。ディルムッドが、何を思っていたのか。どうしてこうなったのか。
「……まぁ、多分精神的に不安定になったたけだろ。嫌なことでも思いだしんじゃねぇかな」
「わ、私のせいか?」
「あぁいや、こいつは自分で自分を追い込んじまうような奴だから、お前が全部悪いわけじゃねぇけどさ……気持ちは、嬉しかったと思うぜ、少なくとも」
 ただ、不安なんだろうな、と晴久は続けた。
「…………?」
「……あのな、こいつは……オディナは、そりゃぁもう凄い英雄らしいぜ。生前所属していた騎士団で最強と謡われるくらいな。けれど、最期は酷かった……」
 そして、本人に無断ではあるが、晴久は彼のことを教えはじめた。父に酷く扱われ、家族が壊れ、妖精達に育てられた幼少期。槍や剣を扱う姿に憧れ、フィオナに入った少年期。フィオナ随一と恐れられ戦い、功績を残した青年期……だが、その時に暗転した人生。主であり伯父である人の花嫁に迫られ、逃避行を余儀なくされ−−掴んだ幸せも束の間、主の謀略に嵌められ、弟と戦わざるを得なくなり、大怪我を負った彼を、主は見殺しにした−−勿論、ディルムッド本人から軽く話をされた程度なのだけれど。

Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.425 )
日時: 2014/12/20 21:02
名前: ナル姫 (ID: 9hHg7HA5)

「そんな……」
 それでは女性が苦手にもなるはずだ、と納得した。しゅんと落ち込む直虎に、らしくねぇぞと笑う。
「言ったろ、こいつはお前を嫌っちゃいねぇって……俺はさ、こいつの生前の嫁……グラニアって言うらしいんだが、話で聞いただけでも酷い奴だと思った。けれどオディナは、家族をくれた大切な人だって言ってる。だから、女性としてグラニア以外を好きになることはないと思うけどさ……お前の思いは、大切にしてくれるんじゃないか。こいつは優しいから」
「…………尼子」
 もし私が、オディナと一緒にいたいと言ったら、どうする?彼女は彼にそう聞いた。
「……オディナが、お前といたいと言うなら止めねぇよ」
 苦笑して彼は返す−−勿論、ディルムッドが主から離れるつもりはないと言うことを見越しているのだが。
「……叶わないんだな」
「……そうだな」
 晴久が言ったとき、背中に変な圧力がかかる。
「ん……」
「お、起きたかオディナ」
「ふぁ………………!? あ、主ッ!?」
「おお悪い悪い。驚いたよな」
「お、俺は何を……?」
「突然具合が悪そうになったから連れてきたんだ」
 ふん、と妙に偉そうに直虎が言う姿に苦笑する晴久。
「あ……も、申し訳ございませんでした……」
「……いい。また出直そう。その時までに答を決めておけよオディナ」
「え、あの、直虎ど……」
 ディルムッドが言い終わる前に直虎は部屋から出て襖を閉めた。ふう、と一度空気を吐き出し、歩き出した。




 数週間後、直虎が来ると聞いたディルムッドは、この間のようにならないように精神統一をしていた。
 落ち着け、落ち着け、とにかく落ち着けディルムッド・オディナよ。大丈夫、直虎殿も子供ではあるまい、ちゃんと話せば分かってくださる筈だ。
「……」
 目を閉じる。一度息をつくと、同時に襖が開いた。来たぜ、と晴久が悪戯っぽく笑う。その背後から、直虎が現れた。直虎が部屋に入ると、晴久は襖を閉めた。まぁサーヴァントであるディルムッドには、晴久の気配が消えていない−−どころか、もういくつか……いや、いくつか所ではない。かなり人いないか?皆聞きたいのか気持ちが分からなくないが。
「……えっと、この間は失礼した、直虎殿」
「あぁいや、気にするな……それで、あの……もう一度言った方が良いだろうか?」
「い、いえ! 大丈夫ですので……」
 突然、しんとなる。襖の向こうの人達は、ヒヤヒヤしながら聞いていた。
「……え、えー、直虎殿。貴殿の気持ちは、とても嬉しいのだが……貴殿は今を生きる人、対して俺は過去を生きたサーヴァントですし、俺は主に……尼子晴久殿に忠誠を誓った身です。……貴殿の想いを受けとることはできません」
 はっきりと言ったディルムッドに、直虎は解りきっていたけれど、悲しいというような、それでいて諦めた顔をした。
「……俺の妻は、グラニアと言いました。彼女は俺の死後、俺の主の妻になったとも、俺を追って自殺したとも言われています。どちらが真実なのか、俺も知りません。けれど、少なくとも彼女は、逃避行中に俺以外を愛さないという誓約を自ら負ってくれました。その彼女の想いを、無駄にはできません」
「……そうか……そうだよな」
「……済まない」
「いや、良いんだ。お前は初めて会った時から、主ー、主ーって、主馬鹿だったからな」
 苦笑する直虎に、苦笑で返す。
「……直虎殿、きっとあの時、勇気を出して言ってくれたのだろう? 好きだと言ってくれて、本当に嬉しかったんだ。行為を抱かれることは多かったが、殆どは遠い憧れみたいに扱われていて……実は、ちゃんとその想いを伝えてきたのは貴殿が初めてだった」
「えぇッ!?」
「実は、前世から俺の女性が苦手なのは有名でな……」
 ははは、と眉を八の字にして笑う。
「普通に話せるのは……セイバー、世話になった妖精達、グラニア、娘……本当に、数える程しかないんだ。貴殿は、その中の一人になっていた……いつの間にか、な」
 ふんわり微笑んだその顔に、心臓が高鳴る。
「……だから、直虎殿、貴殿と親友でありたいという俺の気持ち……受け取ってはくれぬだろうか?」
 そういって右手を差し出すディルムッドに、一度訳が分からず戸惑い、そして握手がしたいのだと気づき、良いのだろうかと躊躇い−−。
「……仕方ないな!」
 その手を取った。
「私はお前の親友であろう、『ディルムッド』」
「……ありがとう、『直虎』」
 襖の向こうから、ディルさんがヘタレじゃない!とか、ディルったらモテモテですわねー、とか、友達になれたんですね!とか、あぁ、これが青春か……とか、まぁとにかく沢山何か聞こえてきた。
「さてディルムッド! 早速手合わせをするか!」
「よし、受けて立とう!」
「そうと決まればそこにいる尼子! 道場は空いているか!?」
「あぁ空いてるよ! 存分に使えでも壊すな!」
「よし、ディルムッド、今日は踵骨腱は万全か!」
「まだ覚えていたのか……万全だとも!」
 二人の笑顔は、何一つ無駄な感情のない晴れやかなものだった。


 この後国に帰った直虎に結果を聞いてきた養子の直政が、ディルムッドにちょっと殺意を持って、ディルムッドが悪寒を感じ取ったのはまた別の話。

Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.426 )
日時: 2014/12/23 13:47
名前: ナル姫 (ID: Rl7BkXtL)

馬鹿の昼休み


ディル「ギネス記録に挑戦しよう。何でもいいから」
ファーガス「いやわけわからねぇから」
ディア「何でもいいのか?」
ディル「おう!」
オスカー「そうだなぁ……」
コナン「何でもいいってのが1番難しいんだよな」
リガン「真剣に考えるなコナンこいつらの思う壷だぜ」
ディル「りっちゃん酷い」
ディア「あ、アルプス一万尺やりたい?」
オスカー「何で疑問形?」
ディル「何に挑戦すんのアルプス一万尺で」
ディア「最長記録!」
リガン「最短ならピラメキーノでやってたけど最長は初めて聞いた」
ディア「んー、違うんだよ何てゆうか……全部やるんだよ!」
コナン「は?」
ディル「全部って、あるぷすいちまんじゃーく、こやりのうーえで、あるぺんおどりをさぁおどりましょ、らーららーらryじゃないの?」
ファーガス「普通はな。あれ本当の歌詞は29番まである。歌詞は知らんが」
リガン「え、そうなのか?」
ディア「まじまじ」
コナン「何でお前らそんなこと知ってるの」
ディル「つかさ、アルプス一万尺の小槍って何?」
ファーガス「日本アルプスの槍ヶ岳の山頂付近にある岩。クライミング技術がないと登れない上に狭いから踊りは不可能」
コナン「だからどっから仕入れるんだその知識は」
リガン「で、なんだ、ディアリンは29番までやりたいって?」
ディア「うん」
ディル「歌詞知らないと無理じゃん」
ディア「覚えてくれば良い」
ディル「そんなことに脳細胞使いたくない」
オスカー「お前普段は無駄遣いばっかなのにww」
ファーガス「一理あるけどな……でもディアリン、お前は歌詞覚えてんのか?」
ディア「え? 覚えてるわけないじゃん」
オスカー「おまwwww」
ディル「ざwけwwんwなwww」
コナン「何なのwお前w」
リガン「ふっつーにww悪びれもせずにww覚えてないって言うか普通www」
ディア「てへぺろ☆」



オスカー「ディルー眼鏡貸してー」
ディル「ちょっと待って板書終わったら……おし、良いけどオスカー何に使うんだ?」
リガン「眼鏡を貸して何に使うんだって質問が出るのが既におかしいからねこれ」
オスカー「コナーン、ディルの眼鏡付けてー、黒縁だぞー」
コナン「黒縁だから何だよ……これでいいか?」
ディア「ぶっほぉっwwwwwリアルだwwwマジでww小太りボーイッシュメガネじゃんwwww」
ディル「ふっはwwwwマジだwこ、こぶと……ぶははっwwww」
コナン「何だよ小太りボーイッシュメガネって……」
リガン「……山崎シゲルか」
ディア「おまっ、コナン山崎シゲルの上司知らねぇのか!? つか山崎シゲル知らねぇのか!?」
コナン「誰だ!?」
オスカー「デスクをゼリー状にコーティングしたり回転を加えながら人の後頭部にくっついたり足が長い猫を会社の屋上で飼ってたりする人」
ディア「食パンで通勤して電車で帰って、電波から部長を守ろうとしたり結婚式の出し物で戦争をやめるように訴えようとする人」
ディル「レンコンの中に入ったり部長を傘で呼び止めたり二塁ランナーとか引ったくり犯とか野生の相撲取りとか拾ってくる人」
リガン「……おいちょ、何だてめぇらその視線は!? 何に期待してんだ!? ……くそ。……えっと、部長の肩にから揚げ乗せたり、でかいオカリナを使ったスポーツに部長を誘ったりする人?」
ディア「あとはー」
コナン「うんもう良いよ! 漫画の話なのはわかったから!」



ディア「大漁節やろうぜ」
ディル「はい知ってる人挙手ー」
『……………………』
ディル「ほら見ろ誰もいないじゃん俺も知らないから!」
ディア「じゃぁ去年文化祭でやったソーラン節やろうぜー」
オスカー「今から!? ここで!?」
ディア「北海道民は昼休み毎日やってるんだぜyou see?」
ファーガス「いややらねぇよ」
ディル「それにほら、CDないし。音ないと」
コナン「問題はそれだけか?」
ディル「振り付けもよくわからないし。つか文化祭でやってたけど俺達のクラスじゃないじゃん」
リガン「……なぁディルムッド、お前さ、前回のテスト何点?」
ディル「? 何のテスト?」
リガン「国数英」
ディル「国語百点、数学科九十二点、英語百てーん」
リガン「何で勉強できるのにお前はこんなに馬鹿なんだよッ!? ツッコミ所がさっきから違うんだよこの馬鹿ッ!」
ファーガス「勉強云々と頭の良さは違うんだよ」
オスカー「つまりそういうことなのだよ?」
リガン「るせー黙れ馬鹿どもッ!」



オスカー「ディル今日休みかー」
ディア「風邪かな」
ファーガス「だろうな」
リガン「あいつ馬鹿だけど風邪は引くよな」
オスカー「安心して夏風邪もひくよ、あいつは」
コナン「つまり馬鹿なんだな?」
オスカー「わかりきってたじゃん?」
ディア「つかディルがいないから女子暗くね?」
リガン「女子も何であんな馬鹿が好きになるかなー……」
ファーガス「むしろ馬鹿だからだろ」
コナン「完璧な奴には近づきがたい的な?」
ディア「ディル本当馬鹿でよかったな」

一方ディル自宅
ディル(な、なんか……凄いけなされてる気がする……)


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