二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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短編小説 *BSR Fate*
日時: 2014/04/21 17:22
名前: ☆Milk☆ (ID: EM3IpZmD)

こんにちは!
題名とか親レスとかが色々変っちゃってごめんなさい(汗)

前は主にバサラとバサラクロスオーバー専用でしたが最近fateが増えてきたためfateも題名に加えちゃいました←
そんな感じに意味が行方を失った短編小説始まります

ごゆっくりどうぞ


※リクエスト受け付けてます。長くなりそうなリクエストや、あまりに抽象的なリクエストはバッサリ無視いたしますので悪しからず。
※荒らし、チェンメ、悪コメはご遠慮ください
※バサラは主に伊達軍、fateは槍兵と弓兵を偏愛してます
※私のオリジナル小説、『僕と家族と愛情と』とリンクしてる時も多々。

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Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.317 )
日時: 2014/07/21 11:52
名前: ナル姫 (ID: 5YBzL49o)

「なんと、ディルムッドとやら、貴様妹に何も教えておらんのか」
「……ディルムッド」
 父さんの声に顔をあげた。父さんは軽く首を振る。
「お前は五年間良く頑張ったよ……もう、良いだろう……全てを隠すことがリーゼにとって良いことであるとは限らない……いつかは知ることになるんだ……全てはいいから……少しでも教えてあげなさい」
 歯を食い縛った。リーゼは俺を見上げている。
「……あのな、リーゼ……お父さんは、俺達の本当のお父さんじゃないんだ。本当のお父さんは、リーゼがまだ赤ちゃんだった時悪いことをして捕まっちゃったんだ」
「そう、なの……?」
「うん……本当のお父さんとお母さんは、魔術っていう不思議な力を使える人で、リーゼも頑張れば使えるんだよ」
「まじゅつって、どういうの?」
 ーー俺の知る、『魔術』とは。
「……人を殺す、道具」
「聞き捨てならんなディルムッドよ。まぁ、貴様の父は貴様に魔術を教え儂を殺そうとした故、その認識は仕方ないといえばしかたないの。だが、人殺しの道具ではない」
 リンガル様は懐から折りたたみのナイフを取りだし、小さく指を切った。よく見よ、と言って魔術でそれを治して見せる。
「きずがなおった!」
「そう、これが魔術だ。例えばエステリーゼ、お前が魔術を会得すれば……」
 俺に近付く。そして俺の顎を持ち上げた。忌ま忌ましい、と小さく口に出したかと思うと、そのナイフで俺の頬を切り裂き、水の魔術で部屋の壁まで吹き飛ばした。
「がっ……!?」
「おにーちゃん!!」
「エステリーゼよ、お前がうちに来て魔術を得れば、あの状態の兄だって一瞬で治せるのだぞ?」
「汚い、ぞ……! リンガル・ブライト……!」
「どうする?」
「ダメだリーゼ! 魔術師にだけはなるな!!」
「なります! だから、おにーちゃんをたすけて!」
「ーーっ!」
 ふ、と鈍痛が消え失せた。リンガルは口角をあげ、それで良い、と言った。
「情けない兄だな、妹を自分の大嫌いな魔術師にし、その代わりに自分は頬の怪我を消すのか」
 お前がそうさせたんだろう、とか、言いたいことは沢山あった。反論の余地もまだまだあった。なのに何故か、俺はその場で震えるだけで、何も言えなかった。
「おにーちゃん、リーゼまじゅつしになるよ」
「っ……待てリーゼ! 考え直せ! 魔術師になったら二度と普通には戻れない! 絶対にダメだ! 魔術師だけは!!」
「だっておにーちゃんがたいせつだもん。リーゼおにーちゃんまもるもん」
 俺がリーゼを守るのだと思っていた。
 なのに、俺がリーゼに守られてしまった。
「リンガルさま。でもねリーゼ、おにーちゃんといっしょにいたいから、リンガルさまのところにはいかないの」
「何……?」
「おにーちゃんとリーヴちゃんたすけるから、それでいいでしょ?」
 ……リーゼとしては、勿論庇護対象という意味で助けると言ったのだろう。だが当主の話をしに来た老人にとっては、リーヴが当主になった際の補助として助ける、という意味になるに決まってきた。リーゼの歳の子が、当主の補助なんて単語すら知らないのを知っていながら。
「おにーちゃん、リーゼがんばるね」
「リーゼ……」
 ゴメンと言いたかったのに、声が出ない。ただ俺は、リーゼを守るために彼女を縛るしか出来なかった。
「……分かった……でも、リーゼ。これだけは約束して……好きな人が出来ても良い。ただ……魔術師を好きにならないで」
 辛いことだろうとは、勿論承知していた。

 けれど、ごめん。

「お兄ちゃんの馬鹿! 吹っ飛ばすよ!?」
「ちょ、ストップストップリーゼ! 落ち着こう! 一旦落ち着こうか!」
「知らないもん! 魔術師以外なら良いって言ったじゃない馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ま、リーゼ落ち着けぇぇぇぇぇぇ!?」
「……何してんのお前ら」
「あ、リーヴ聞きなさいよ! お兄ちゃんがまた家に来た男子に酷いことするのよ!?」
「背後に気をつけろと忠告したまでだ」
「何言ってんのばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁか!」
「お前らうちで喧嘩するなよ……そんなことより用あんだけど」
「あぁ済まないなリーヴ。で、どうしたんだ?」
「お前じゃねぇよ」
「うん知ってる」
「じゃぁ口出しすんな。つか何で本家まで来てるんだよ帰れよ」
「お前段々辛辣だな」
「とにかくリーゼ、爺さんが呼んでる」
「分かったわ。行ってくるね、お兄ちゃん」
「……いってらっしゃい」
 ……別に、あの日頬を切られて水で攻撃されたことはトラウマにはなっていない。いまだ当主を担っているあの老人を怖いとは思わない。リーゼは結構立派に成長し、得に治癒魔術に秀でるようになっていた。確かに治癒は傷を癒す魔術だ。それでも、幼い頃植え付けられたイメージは消えなくて、俺の中で魔術は人殺しの道具だし、魔術師はろくでもない人間だ。
 そんな弱い俺は、君を守ると抜かしておきながら。
「……」


 今日も君に、守られる。

Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.318 )
日時: 2014/07/24 21:40
名前: ナル姫 (ID: UGFOyoFd)

※話の都合上、いろいろと設定が特殊です。


「おーおー、何だぁありゃ。随分派手にやってんなぁ。あんな路上で大丈夫か?」
 赤い槍を持った青い青年は民家の屋根の上で呟いた。視線の先では、青い光と深い緑色が熾烈に混ざり合っている。
「しかしまぁ、なんだ、あぁ言う戦い嫌いじゃねぇが、残念ながら混ざれる雰囲気じゃねぇよなぁ」



「はぁぁぁっ!」
 高い金属音が鳴り響く。
「セイバー!」
「ご心配せず、士郎!」
 少女の緑色の瞳は目の前の敵を捉えていた。見間違えるはずもない、二つの魔槍に右目の下の泣き黒子をもつ青年は、彼女にとって見覚えのあるものだった。
「ーーっ、どうして……」
 覚束ない足取りで敵は近づいて来る。
「相手は貴方を殺すことに積極的でないわ。やっちゃいなさい、バーサーカー!」
 白い少女の声に、それは確かに答えたのだ。
「ーー了解した、我が主よ」
 その声も、顔も、槍も、何も変わらないのに。確かにそれは言葉を持っていた。確かにそれは返事をした。確かにそれには理性があった。それでもそれは、確かに狂戦士だった。
「っーー何故だランサー! 本来狂戦士としてのクラスに据えられるべきではない貴方が、どうして!」
「くくっ……くははははははははっ!」
 病的な笑みを浮かべてそれは少女を攻めた。
「くっ……!」
 楽しそうに、苦しそうに、愉しそうにーー狂って。
「あぁ、楽しい、楽しいなぁセイバー! あはっ、あっははははははははは!」
 次々と繰り出される紅薔薇と黄薔薇。狂戦士に容赦も遠慮も、あるわけがなかった。

『貴様らは……そんなにも……そんなにも勝ちたいか!? そうまでして聖杯が欲しいか!?』
『この俺が……たったひとつ懐いた祈りさえ、踏みにじって……貴様らはッ! 何一つ恥じることもないのか!?』
『赦さん……断じて貴様らを赦さんッ!』
『名利に憑かれ、騎士の誇りを貶めた亡者ども……その夢を我が血で穢すがいい!』
『聖杯に呪いあれ! その願望に災いあれ!』
『いつか地獄の釜に落ちながら……このディルムッドの怒りを思い出せェ!!』

 ーーあの状況だ……勘違いされたって当然なんだ……。
 ーーけれど……わかってほしかった……。

『我が眼前で騎士道を穢すか、外道ッ!』

「ーーっランサー!」
 泣きそうな顔で槍を受けながら、彼女は彼に訴える。
「わかってくれ、ランサー! 私は……私は貴方を裏切るつもりなど毛頭なかった!」
「あはははははははっ!」
「私は……私は、貴方と堂々と決着をつけたくて……! 決して貴方を騙そう等と、考えていなかった!」
 必死に言っても、笑顔で攻めつづける美丈夫にその言葉は届かない。
「無駄よ。そいつ話せるけど、いつもそんな調子だもの」
 白い幼子は淡々と告げる。それでも。
「思い出してくれ、ランサー! あの倉庫街で……っ、貴方と私は騎士としての決着を誓ったではないか!」

『そこのセイバーとは俺との先約があってな』

「共にキャスターと戦ったではないか!」

『なおも貴様が引かぬとあらば、これより我が槍がセイバーの左手に成り代わる』

「未遠川の時も、貴方は騎士だった!」

『今勝たなければならないのは、セイバーか? ランサーか? 否、どちらでもない。ここで勝利するべきは、我らが奉じた『騎士の道』——そうだろう? 英霊アルトリアよ 』

「騎士道に則り、主に忠義を尽くすことを望んだ貴方が……狂戦士となった自身を許せると言うのか!?」
 ーーその瞬間。
「ーーーー黙れ」
「っ!!」
 唐突に下がった声のトーン。一瞬消えた笑み。だが次に顔を見たときには、彼は相変わらず病的に笑っていた。同時に繰り出された槍は自分を傷付ける直前にガードした。
「あはっ! はははははは、あははははははははははは!」
 激しい攻防。だが先ほどの声は?表情は?ーーまさか、と思いつつ少女は言った。
「ランサー! 私は貴方と騎士として戦っていたかった! 貴方は……貴方はそうではないというのか!?」
「あはははは!」
「もう正体を知っている者同士、尋常に名乗りを交わして……」

『フィオナ騎士団の双つ槍、ディルムッド・オディナ、推して参る!』
『応とも、騎士王、アルトリア・ペンドラゴが受けてたつ!』

「貴方とーーっ!」
 紅薔薇が頬を掠める。だが、分かる。もう少しだ、あと、少しでーー。
「目を覚ませ、ランサー……いや」
 パンッと武器が弾きあう。

「『ディルムッド』!!」

Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.319 )
日時: 2014/07/24 21:42
名前: ナル姫 (ID: UGFOyoFd)

 蜜のような瞳が見開かれた。笑みも消え、笑い声も止まった。四肢が震え、動かない。
 ーーやはり。
 ーー彼は元々バーサーカーになれない。
 ーー確かに、あの最期は酷かった。
 ーーそれでも、献身的で、責任感が強く、どこまで純粋に騎士であった貴方はーー

 ーー貴方が貴方自身を理性を捨てるように制さないと、バーサーカーになりきれない……。

 ーーきっと今も、あの時の惨劇を思い出して、無理に自分を憎しみで狂わせている。
 理性を捨てるのは許せなくて、だけど主への忠義というチャンスを無駄にしたくもなくて、なのにその主は自分をバーサーカーとして呼んでいて……少女が主なら、同じことを繰り返すこともないだろうと、理性を捨てる決意はしたけれど、どんなに辛い思いをしても、騎士でありたいという自分がそこにいてーー。
 その苦悩は、少女の声により制される。
「何をしているの! 早く殺しなさい、バーサーカー!」
 そして彼は、理性を手放そうとする。無理矢理、渋る自分を笑い声で黙らせて。
「ふはっ、あ、あははははははははははははは!」
 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ苦しみーー苦し、み?を?味あわせ、たい?
 ーーーー誰に?

 ーーーー無論、セイバーに。

「ではーーさよならだ、セイバー」

 ゆらゆら、ゆらゆら、不気味に笑いながら彼女に近づく。セイバーは、動くことすらできなかった。が、ここで赤い少女の声が響く。
「アーチャー!」
 セイバーが後ろを向けば、アーチャーが弓を引いていた。
「凜! いけない!」
「セイバー、こんなやり取り貴方の為にもバーサーカーの為にもならないわ!」
「お、おい遠坂!」
「その英霊は恐らく元々バーサーカーとは全く相容れない性格の持ち主よ! だからバーサーカーとして現界しても狂化仕切れないんだわ!」
「でも!」
 それくらいわかっている。本来彼をバーサーカーとして召喚しようなど不可能だろう。だが十年前、世界を恨んで、運命に嘆いて彼は死んだ。それで、バーサーカーとしての召喚が可能になった。中途半端に心を狂気に侵され、狂化しなければいけない、けれど騎士でいたい。マスターと騎士の自分に挟まれた存在であると。
 士郎とセイバーの声を聞かず、アーチャーが矢を放とうとした、その時だった。
「なーにやってんだてめぇら!」
「!?」
 声の主は、セイバーとバーサーカーの間に着地した。
「ら、ランサー!?」
「な、何をしているのだね?」
 士郎がしかめっ面している以外は、皆ポカンとした顔をしていた。ランサーはイリヤに振り向く。バーサーカーはランサーを睨んだ。
「んな顔するなよ麗しの若武者さんよ……て、言ってもお前何様だよって感じだよなぁ、まぁ顔は見たことねぇし当然、と……とりあえず、クー……それだけ名乗れば分かるだろ……と、雪の嬢ちゃん、アンタはパラメータ底上げされるバーサーカー選んだみたいだけど、人選を失敗したな。これ以上セイバーを攻めさせるなら俺はセイバーとアーチャーに味方するぜ?」
 ニッと笑う顔を睨みつけて、少女は歯を食い縛る。やがて。
「……一旦引くわよ、バーサーカー」
「……」
 バーサーカーはランサーに軽く目礼をし、イリヤの元へ行った。彼女を背負い、宵闇へかける。
「やー、悪いな、逃がして」
「な、何しに出てきたんだよ、お前」
「あいつ俺の後輩だからよ、しかも、狂気の弱いバーサーカーときた」
 苦笑するランサー。
「まぁ、あれだ。セイバーよ、あいつと知り合いなんだな?」
「……前の聖杯戦争で、好敵手と認め合った仲だ」
「なるほどなぁ……それならあれだ、アイツの騎士道を起こしてあげようとするのは止めとけ。アイツの騎士道はとっくに起きてる。でもアイツはそれを無視して一生懸命だぜ。なのにアンタがお前は騎士だー、なんて言ったらアイツは迷うばかりだ。本当にアイツのことを思ってんなら、全力で戦え。そんで、早いとこ座に還せ。全力で戦った末に還れたなら、アイツもまぁ、苦しむこともねぇだろ」
「……」
「俺からは以上だ。じゃぁな」
 ふ、とランサーが消えた。一同は顔を見合わせた。
「……士郎」
「あ……ん?」
「ランサー……いえ、バーサーカーは私が倒します。彼のためにも……だから」
 彼女は緑の瞳を彼に向けた。
「サポートを、よろしくお願いします」
「……あぁ」


 座に還るまでずっと、ランサーだった英雄は、狂気と騎士の狭間に立たされる。
 自分を騙しつづけながら、あの夜のことを思い出す。

Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.320 )
日時: 2014/07/30 20:54
名前: ナル姫 (ID: OK6L9khJ)

if時空です。伊達豊臣傘下設定というか豊臣天下統一達成時空←
ギャグ時空の何でもありなご都合主義注意。
ネタあり。
王様出番ほとんど無し。
捏造喜多さん登場。


「ってことは何だ!! 緋色って奴が戻ってこねぇ限り奈津はテメェにずっとfall in loveだっつーのか!?」
「まぁ、そういうことに……」
「shiiiiiiiiiiiiiiiit!!!」
 あぁもう、どうしてこんなことに……!
 俺はこの日豊臣にいた。奈津と成実連れて。それで、豊臣は面白いもんかってるらしいから、用事ついでに見せてもらった。そいつらは今一つの部屋にいるらしく、俺達はそこへ行った。そこには金髪編み込んだdressの少女、アルトリア、白髪に赤い服の男、エミヤ、全身goldの偉そうな奴、ギルガメッシュ、そして赤いlance持った青い服の男、クーがいた。おう、確かに面白そうだが待て、五人と聞いていたんだが四人しかいねぇぞ、と思ったその時。
「御子殿っ!」
「おー戻ってきたか」
 俺と奈津と成実が入ってきた襖を開けて、何と言うか……何と言うかとんでもねぇhandsomeが入ってきやがった。いやpartsを一つ一つよく見てみれば、垂れ目だしくせっ毛だしちょろ毛?だし、別にhandsomeでもない部分はあるんだが、やっぱり全体的に見ればとんでもない美人だったもんで、思わず注視してしまった。
「俺の顔に何かついているか?」
「え、あぁいや、何も……」
「? そうか……あ、もしやお前が主が言っていた客人か?」
「あぁ、そうだが」
「これは失礼した。俺はディルムッド・オディナという者だ。宜しく頼む」
「あぁ」
 あぁびっくりした。いつの間にか目の前にいやがったよ……。
 そいつは青い奴に寄り、何かをそいつと話していた。
 ふと奈津を見ると、なぜか奈津はさっきの緑色の奴を食い入るように見ていた……いや確かにbeautifulだけどよ……。
「奈津、行くぞ」
「え、あ、あぁ……」
「つかおい、大丈夫か顔真っ赤だけどよ……」
 俺が言うと、さっきの奴はバッと俺達の方に振り向き、段々顔が青くなった。
「お、おいディルムッド! 解呪解呪!」
「は、はい! 緋色! 緋色ーーーーッ!!」
 障子を勢いよく開きそのままどこかへ逃げるディルムッド……なんか、奈津がどこか惜しそうに、あ……と手を伸ばしたが遅い。何だったんだよ、つかまさか、奈津のこの反応はまさか……。
「なっちゃん、顔赤いよー? あ! もしかして恋とか!?」
「俺と同じ顔で変なこと言ってんじゃねぇ成実ぇぇぇぇぇぇ!!」
「あー終了終了、ここで喧嘩するなよ」
 成実の胸倉掴んでいるのを見てクーは数回頷き、にやりと口角をあげた。
「あー、なるほどな」
「んだよ……」
 クーは俺に耳打ちをする体制になった。
「アンタ、この女の子のこと好きなのか」
「んなっ!!?」
「あーあー、ディルムッドのあれはこの子には効果あったみてぇだなぁ、いやぁ残念だな坊主」
「いや待て! ちょっと待て! 何だ、効果って……!」
「それはアイツに直接聞きな……ほら、来たぜ」
 と、先ほどディルムッドが出て行ったのと同じ障子から、蝶が染め抜かれた黒い服を揺らして女が入って来た。何故か後ろから続いて来たディルムッドの右頬が腫れてる。
「いやぁ悪かったねぇ。こいつ自分の能力が操れないもんでね。さぁディルムッド。あとはあの青い眼帯に自分で説明しな。私はこれから四国へ行くからね」
「ままま待ってくれ緋色ーー! 俺も! 俺も一緒に行くからぁ!!」
「黙りなちょろ毛」
「あだだだだだだだ」
 ちょろ毛引っ張って去っていく女。丸で嵐。何なんだこれは一体。
「……ほら、ディルムッド。緋色が放棄したのだから君の口から説明したまえ」
「う……」
 ディルムッドは俺を別の部屋へ連れ、小声で説明を始めた。
「で、アンタには何か能力でもあるのか?」
「まぁ、な……この黒子がそうだ」
「黒子?」
「これは生まれた時妖精である養父につけられたもので……女性を魅了する力がある」
「へぇ、charmねぇ」
「…………」
「……あ? 何だよ」
「いや、お前……異国語話すのか……」
「悪いか?」
「悪くはないが……まぁ良い。とにかく、後は……察せ」
「察せと言われてもな……………………………………」

『こいつ自分の能力が操れないもんでね』

「……」
「おいアンタまさかとは思うが、その自分のcharmをcontrol出来ねぇのか!?」
「俺の支配下になくてな……緋色は何故か俺の黒子の呪いを一時的に解けるし効果がないから、女性の客人が来たときは極力顔を出さないとか緋色に解呪してもらうとかしているんだが……最近女性を見ないものでうっかりしていた……」
「ざけんな!! 俺らまだ豊臣にいるんだぞ!? どのくらいその解呪には効力あるんだよ!?」
「人に寄りけりだが……長くても、二日……くらい……」
「二日ァァァァァ!? 四国って二日で帰ってこれるのか!?」
「いや無理だろう」
「だよなぁ!?」
「ちなみに、伊達殿は何日間ここに?」
「い、五日くらい……」
「……三日か」
「いやふざけんなテメェェェェェェェェ!!」
 ……冒頭に至る。

Re: 短編小説 *BSR Fate* ( No.321 )
日時: 2014/07/30 13:19
名前: ナル姫 (ID: pymfwt0Q)

「へぇー魅了の黒子かぁ……面白いね!」
「面白いねじゃねぇよ馬鹿!!」
「まぁまぁ落ち着いてよ梵。なっちゃんが魅了にかかったって知ったときにすぐに逃げたってことは、少なくともあの人は女好きじゃないよ? だからきっとできる限りなっちゃんを避けてくれるよ」
「分かんねぇぞそんなん!!」
「えー、でもなっちゃんが引っ掛かったって分かった瞬間顔真っ青だったじゃない。きっと女難だよ女難。もしかして前世で、主が結婚することになったけど花嫁さんがそれを望まなくて、婚約の宴の時に花嫁さんが自分のところに逃げてきてやむを得ず逃避行的なこととかしてそうじゃん」
「どんな物語だよ!? あるか現実にそんなこと!!」
「あははごめんごめん。まぁちょっとそれはぶっ飛び過ぎだけどさ、とにかく信頼しなよ。俺伊達に大坂に着いた連絡書くからさ、ついでに書いておくよ」
「no thanks! 政道に嘲笑われる未来が見えねぇのか!!」

 そして望むより早い一日と半日で解呪は解けてしまった。それからと言うもの……。
「お、おい。ディルムッドさんどこにいるか分からないか……?」
「いや、見てないけどよ……」
「そう、か……」
 奈津がめちゃめちゃしょげてたり。
 ある朝には。
「あ、おはようございます伊達どっ……!!」
 といって後ろから奈津が来るの見てダッシュで逃げたり。
 しかも用事が中々済まず、俺達の滞在はかなり長くなりそうだった。

「もう我慢ならねぇ!!」
「そう、言われても……」
 苦笑いをするディルムッド。
「つーか拒否反応があからさま過ぎて奈津が傷ついてんだけど!! もうちょっとやんわり出来ねぇのかテメェ!!」
「す、済まないが元より女性が苦手でな……」
「女難くらい乗り切れ!! 俺だってそれなりに女難あんだよ!!」
「うぅ……し、しかし伊達殿は、まさか自分のことが好きな二人の女性が目の前で殴り合いをするなんて光景見たことないだろう?」
「……………………え?」
「あと、両手両足縄で縛り付けられるとか……」
「はぁ!?」
「挙げ句の果てに主の花嫁に迫られ逃避行とか……」
「嘘だろ成実bingo!!」
「……そんなことされたことあるか?」
「……ねぇな」
 なるほどな……これは確かに女苦手にもなるかもな……。
「と、とにかくもう暫し堪えてくれ! 緋色は当分戻らぬだろうからあれだろうが……」
「テメェっ……」
 と、その時だった。
「筆頭ーーーーーーーッ!!!!」
 と、複数の声。
「何事!?」
 思わず立ち上がり槍を持つディルムッド。そして襖を開け外を確認しようと思ったんだろうな、だが襖を開けるとそこには。
「な、奈津殿!?」
「あっ、でぃ、ディルムッドさっ……」
 予期せぬ事態に真っ赤な奈津。あぁ、何故か自分の軍が来ているのにjealousyが勝るとは俺って奴は……。
 と、そこにエミヤとアルトリアとクーが来た。
「お、おい、こいつは一体何の騒ぎ……」
 と、クーが言った瞬間。
「ヘタレ息子ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
「のああああああ!?」
 跳ね飛ばされるクー。
「ランサーが死んだ!!」
「この人で無し!」
 おーおー来やがった。我等が最強の母上。と、もう一度この図を確認するぜ?
 まず俺が襖の側に立ってて、その横で奈津がディルムッドにピッタリとくっついていて、そんでディルムッドが困惑しているがやっぱりhandsome、クーは……頭から天井に刺さってるな。エミヤとアルトリアは驚いて母上を見ていて、母上と政道はニコニコしてディルムッドを見ている。取り合えずディルムッド、アンタの犠牲は忘れねぇ。もう少しでアンタの気苦労も理解できそうだったがここで終わりだ。あと成実、後でしばく。
「ほう、御主が成実の手紙にあったディルムッドかの? 確かに美男子だの」
「そうですね母上。でもね、ディルムッドさん。いくら美しいからと言って姐さんをたぶらかすことは許されませんよ?」
「そうですね政道様。おい緑色の、奈津を横取りしようなんざ良い度胸しているじゃねぇか。姉上、アイツは殺して良い奴ですか?」
「勿論です小十郎。存分にやりなさい」
「ちょ、ちょっと待て! 貴殿等が誰だか分からぬ上俺は彼女をたぶらかしてなどいない!!」
「問答無用じゃ!! 行くぞ者共ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「話を聞いてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
 奈津を半ば押し付けるように俺に預け、緑の美男子は逃げた。キョトンとする奈津が可愛いぜ畜生thank youそしてgood bye。
 と、その時。
「やれやれ、これは一体何の騒ぎだい? 駄狗は刺さってるし、輝く騎士サマは追われているし」
「ひ、緋色!? 一体どうして……!」
「雨で山がとても通れる状況じゃなくてね。で、これは一体?」
「いや、俺にも何が何だか……」
「ふむ、まぁ、何だ。何にせよここで暴れさせるわけには行かないし、な? オシオキとしようか」
「あ、あの、緋色……」
 そして、緋色とか言う女の足元で影が疼いているのを見て背筋が凍る。
「『くぅくぅ、お腹が鳴りました』」
 影はディルムッドと伊達軍の先頭にいた何人かを飲み込んだ。エミヤとアルトリアがディルムッドぉぉぉぉぉぉおと叫ぶ。全員が真っ青になって怯えていた。まぁ当然だよな、うん。

 蛇足だが、ケルト人の中で緑色は死を象徴するらしい。


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