彼女が消えた理由。

作者/朝倉疾風



第3章 『この冷たい寂寞の闇』1



ミユキちゃんのおかあさんは、とてもきれいな人だった。

ヒロカという名前で、おれの名前にヒロカの漢字がつかわれてるって言った。

「千尋のおかあさんとは、すっごく仲良しなのよ」

そう笑って、おれの頭をなでてくれた。 おかしも作ってくれた。

海にも行ったし、お年玉ももらった。

だいすきだった。

「大きくなったら、ヒロカと結婚したい」

ミユキちゃんはすごく怒っていたけど、ヒロカは笑ってたんだ。

笑って、いいよって言ってくれた。

だから