彼女が消えた理由。
作者 / 朝倉疾風

第3部 第4章 『復讐者』3
△ △ △
復讐者になろうと、彼女は言った。
赤ん坊であるミユキを抱いて、彼女はうっとりと、幸せそうに。
「何年かかってもいい。 わたしは、あいつらに復讐するの」
「……どうやって?」
自分の声が震えるのがわかった。 とてつもなく大きな、漠然とした不安感。
「陽忍クンと関係を持つのは……どうかな」
「不倫疑惑で仲をこじらせようってか。 いいんじゃねえの」
恋人であるはずの俺の前で、堂々と他の男を寝取る話をするヒロカ。
彼女の考えはあまりにも浅はかで、幼稚で、酷く醜い。
人間の欲望を忠実に性格に表したような彼女。
「ねえ、×××」
彼女が、俺の名前を呼ぶ。
「アンタも、協力してくれるよね」

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