彼女が消えた理由。

作者/朝倉疾風



第2章 『青空のように心が晴れたなら』1



「彼」を探そうと思った。

あんなに苦しんでいる 「あの人」 を見るのはもう嫌だ。

「あの人」 が 「彼」 を求めているのなら、ぼくは探してやる。

つくりものの 「彼」 を。

ぼくと同じ名前を与えられた少年を。

探してやる。

そしてもし見つけることができたのなら、

血肉を喰らい、孕むまで貪って、「ぼく」 が 「彼」 になってやる。

そうしたら、 「あの人」 はきちんと 「ぼく」 を見てくれるだろうか。