彼女が消えた理由。

作者/朝倉疾風



第3章 『影濁り、闇現る』1



「あの人」はいつも求めていた。

幼い頃に失った 「彼」 を。

僕にあるべき名前を捨てさせ、「彼」 として育てた。

やめろ。 僕は 「彼」 じゃない。

「あの人」 はどこか病んでいる。 普通じゃない。

ああだけど。

「あの人」 の血を継いでいる僕らも、化け物だ。

絶対に×××を見つけてやる。

見つけて、×××となった僕を愛しているのだと、

「あの人」 に言わせてやる。