彼女が消えた理由。

作者 / 朝倉疾風



第3部 第1章『その日、彼女が泣いた夜』5



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まともに学校なんか行ってなかった。

だから、時間も暇もある。

公園に行くといつもヒロカがいた。

「まだちっさいのに、髪の毛染めてる。 ナマイキ」

そう言いながら、初めて染めた髪をくいくいっと引っ張られて。

痛ぇよ、と言うと、子どもみたいに笑った。

「わたしより背が高いのもナマイキ」

酒を飲んだのも、タバコを吸い始めたのも、ちょうどそのころだった。

気づけば、俺の周りには同じような奴しかいなくて。

チビの時から仲が良かった奴らは、俺を避けるようになった。

少し寂しかったけど、俺は後悔してない。

「本当にナマイキだわ」

ただ、いままで生きてきた中で後悔したことが、ふたつある。


ひとつは、ヒロカと関係を持ってしまったことだった。


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