二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——完結——
- 日時: 2013/04/14 15:29
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=21394
今作品は前作である『ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄』の続きです。時間としては前作の一年後となっておりまして、舞台はイッシュの東側がメインとなります。なお、前作は原作通りの進行でしたが、今作は原作でいうクリア後なので、オリジナリティを重視しようと思います。
今作品ではイッシュ以外のポケモンも登場し、また非公式のポケモンも登場します。
参照をクリックすれば前作に飛びます。
では、英雄達の新しい冒険が始まります……
皆様にお知らせです。
以前企画した本小説の人気投票の集計が終わったので、早速発表したいと思います。
投票結果は、
総合部門>>819
味方サイド部門>>820
プラズマ団部門>>821
ポケモン部門>>822
となっています。
皆様、投票ありがとうございました。残り僅かですが、これからも本小説をよろしくお願いします。
登場人物紹介等
味方side>>28
敵対side>>29
PDOside>>51
他軍勢side>>52
オリ技>>30
用語集>>624
目次
プロローグ
>>1
第一幕 旅路
>>8 >>11 >>15 >>17
第二幕 帰還
>>18 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27
第三幕 組織
>>32 >>36 >>39 >>40 >>42 >>43 >>46 >>49 >>50 >>55 >>56 >>59 >>60
第四幕 勝負
>>61 >>62 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>72 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80
第五幕 迷宮
>>81 >>82 >>83 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90 >>92 >>93 >>95 >>97 >>100 >>101
第六幕 師弟
>>102 >>103 >>106 >>107 >>110 >>111 >>114 >>116 >>121 >>123 >>124 >>125 >>126 >>129
第七幕 攻防
>>131 >>135 >>136 >>139 >>143 >>144 >>149 >>151 >>152 >>153 >>154 >>155 >>157 >>158 >>159 >>161 >>164 >>165 >>168 >>169 >>170 >>171
第八幕 本気
>>174 >>177 >>178 >>180 >>184 >>185 >>188 >>189 >>190 >>191 >>194 >>195 >>196 >>197 >>204 >>205 >>206 >>207 >>211 >>213 >>219 >>223 >>225 >>228
第九幕 感情
>>229 >>233 >>234 >>239 >>244 >>247 >>252 >>256 >>259 >>262 >>263 >>264 >>265 >>266 >>269 >>270 >>281 >>284 >>289 >>290 >>291 >>292 >>293 >>296 >>298
第十幕 強襲
>>302 >>304 >>306 >>307 >>311 >>316 >>319 >>320 >>321 >>324 >>325 >>326 >>328 >>329 >>332 >>334 >>336 >>338 >>340 >>341 >>342 >>343 >>344 >>345 >>346
弟十一幕 奪還
>>348 >>353 >>354 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>376 >>377 >>378 >>379 >>380 >>381 >>382 >>383 >>391 >>393 >>394 >>397 >>398 >>399 >>400
第十二幕 救世
>>401 >>402 >>403 >>404 >>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>412 >>413 >>414 >>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>433 >>436 >>439 >>440 >>441 >>442 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447 >>450 >>451 >>452 >>453 >>454
第十三幕 救出
>>458 >>461 >>462 >>465 >>466 >>467 >>468 >>469 >>472 >>473 >>474 >>480 >>481 >>484 >>490 >>491 >>494 >>498 >>499 >>500 >>501 >>502
第十四幕 挑戦
>>506 >>511 >>513 >>514 >>517 >>520 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>534 >>535 >>536 >>540 >>541 >>542 >>545 >>548 >>549 >>550 >>551 >>552 >>553 >>556 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>568
第十五幕 依存
>>569 >>572 >>575 >>576 >>577 >>578 >>585 >>587 >>590 >>593 >>597 >>598 >>599 >>600 >>603 >>604 >>609 >>610 >>611 >>614 >>618 >>619 >>623 >>626 >>628 >>629 >>632 >>638 >>642 >>645 >>648 >>649 >>654
>>657 >>658 >>659 >>662 >>663 >>664 >>665 >>666 >>667 >>668 >>671 >>672 >>673 >>676 >>679 >>680 >>683 >>684 >>685 >>690 >>691 >>695
第十六幕 錯綜
一節 英雄
>>696 >>697 >>698 >>699 >>700 >>703 >>704 >>705 >>706 >>707 >>710 >>711
二節 苦難
>>716 >>719 >>720 >>723
三節 忠義
>>728 >>731 >>732 >>733
四節 思慕
>>734 >>735 >>736 >>739
五節 探究
>>742 >>743 >>744 >>747 >>748
六節 継承
>>749 >>750 >>753 >>754 >>755
七節 浮上
>>756
第十七幕 決戦
零節 都市
>>759 >>760 >>761 >>762
一節 毒邪
>>765 >>775 >>781 >>787
二節 焦炎
>>766 >>776 >>782 >>784 >>791 >>794 >>799 >>806
三節 森樹
>>767 >>777 >>783 >>785 >>793 >>807
四節 氷霧
>>768 >>778 >>786 >>790 >>792 >>800 >>808
五節 聖電
>>769 >>779 >>795 >>801 >>804 >>809
六節 神龍
>>772 >>798 >>811
七節 地縛
>>773 >>780 >>805 >>810 >>813 >>814 >>817
八節 黒幕
>>774 >>812 >>818
最終幕 混濁
>>826 >>827 >>828 >>832 >>833 >>834 >>835 >>836 >>837 >>838 >>839 >>840 >>841 >>842 >>845 >>846 >>847 >>849 >>850 >>851
エピローグ
>>851
2012年冬の小説大会金賞受賞人気投票記念番外
『夢のドリームマッチ ver混濁 イリスvsリオvsフレイ 三者同時バトル』>>825
あとがき
>>852
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171
- Re: 81章 災厄 ( No.161 )
- 日時: 2011/08/17 21:38
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
青紫色の炎の中から現れたのは、リオだった。
「……PDOヒウン支部統括、リオ。プラズマ団の活動を圧倒的な戦闘力で度々妨害。その実力は旧7P——旧名プラズマ団7幹部——のトップであるレンジ、プラズマ団の協力者であるメイルを撃退するほど。危惧ランクはSSオーバー……」
ハンゾウは袖口から巻物を取り出し、リオの詳細が書かれているらしいそれを読み上げる。
「ふむ、これは拙者の手におえる相手ではないな。主君のため、主君の命令でなければ勝てぬ相手と争うのは忍の理念に反する。では、拙者は退却させてもらうとしよう」
そう言い残し、ハンゾウは音もなく消えてしまった。
「……ミキちゃん、大丈夫?」
「はい、大丈夫です……ところでリオさんは、何故ここに?」
「あー……まあ、いろいろあってね」
真実を打ち明けると、リオは今までロクにバトルが出来なかった。
まず最初に潜入する時、下っ端を蹴散らして行ったはいいが、そのせいで一緒に行動していたユウナとはぐれてしまった。
まあこれだけならまだいいだろうが、問題はその先。リオはしばらくPベース内を歩いていたのだが、一向に敵が現れず、暇で暇で仕方なかった。
たまに見回りの下っ端を見つけるが、そんな雑魚ではリオも満足できない。
しかも途中でフォレスが遊び半分で仕掛けた罠を避けたり外したり掛かったりしながら進み、時にはガイアのハサーガがぶっ壊してしまった通路が塞がれて遠回りしていたら、偶然地下へと続く階段を発見。
降りてみると中は広い植物園で、進んでみると丸太小屋があり、中で誰かがバトルをしている模様。
それで聞き耳立てていると、戦っているのはミキと判明し、なにか危険な状態っぽいのでシャンデラの炎で小屋を燃やし、現在に至る。
「で、ミキちゃんはこんな密閉した空間で何やってたの?」
リオは今はもう焼け跡しか残っていない小屋を見つつそう言うと、ミキは思い出したようにハッとする。
「そうだった……師匠が今大変なんです!」
地面を崩されて地中に埋まってしまったイリスだが、運良く地中に空洞が出来ており、まだ窒息も圧死もしていない。
しかしそれでも密閉された空間、それも地中だ。そう長いこといればお陀仏だ。
「うぅ……」
イリスは全身強打した痛みに呻きつつ、周りを手探りで確認する。
すると指先に、土ではない硬い何かが当たった。
(これは……石……?)
イリスは気力を振り絞って顔を上げ、暗い中で目を凝らしてその石を見る。石には何か書いてあるようだ。
『災いの力、ここに眠る。もし仮にこの力を使いし者がいるならば、全霊を持って気をつけるべし。災いの力は災禍を予知するだけにあらず、その力は正に災い、化すれば災害の如し。その溢れんばかりの力は己にも降り注ぐ、諸刃の剣なり』
かなり擦れたり削れたり、土で汚れてはいるが、辛うじて読むことが出来る。
イリスはその石がまだ半分ほど地中に埋まっているのに気付き、うつ伏せのまま掘り返す。
どうやらその石は箱のようになっていて、文字が書かれている部分は蓋になっているようだ。
イリスは蓋を開けると、そこには見慣れた赤と白の球体——モンスターボールが入っていた。
(なんでこんな所にボールが……?)
イリスはそう思ってボールを手に取ると、どうやらその下にも文字が書かれているようだった。
『力なきもの、災いの化身を手懐ける事を禁ずる。災いの力は力なきものが使えば身を滅ぼし、世界を滅ぼす災厄となる。化生の力は混沌の災いと災害、善の心持つ者に従えば災いを悟り、人々を救う救世主となる。しかし悪の心持つ者に従えば災いを呼び起こし、人々を殺める魔王となる。災禍の石箱を開けし者に問う。汝は災厄の力を何に使うか。富のためか、名誉のためか。戦のためか、平和のためか。印のためか、刻のためか——』
(なんのためかって、そんなの決まりきった事だろ……)
イリスはボールのボタンに指を触れる。そして
(仲間のためだよ)
そしてイリスは、ボールを開く。
その頃フォレスは、倒れたイリスのポケモン達を一箇所に集めていた。
「さて、俺がかっちょよく勝利を収めたはいいが……こいつらどうすっかな……素材は悪くないから、このままプラズマ団の支給ポケモンにしちまうか? いや、アシドに引き渡して借りを作るのも悪くねえな……」
ぶつぶつとそう呟いていると、突然、先ほどイリスを巻き込んで崩れた地面が——吹き飛んだ。
「!? な、なんだ!?」
フォレスは慌てて身構える。
すると、フォレスの目の前に、一匹のポケモンが姿を現した。
美しく煌く真っ白な体毛。それと対をなすように、鎌のように湾曲した漆黒の角。尻尾も黒く、悪魔の羽のような形状をしている。
災いポケモンと呼ばれる悪タイプのポケモン、アブソルだ。
「フォレス、お前は勝利を収めたとか世迷い言をほざいてたけど、まだ勝負は終わってないよ」
アブソルが出て来た穴から、声がする。そして次の瞬間
「まだ僕には最後のポケモン——アブソルが残ってる!」
ほぼ垂直な壁を1mほど駆け上がって姿を現したのは——イリスだった。
「な、てめえ……まだ生きてやがったのか……!」
フォレスは驚きと悔しさと怒りが混じったような顔でイリスを睨み付ける。
「まあね、昔から強運でね、たぶん僕は寿命で死ぬよ」
イリスは軽く冗談を言って、すぐさま目付きを鋭いものへと切り替えた。
「フォレス、今度こそ決着だ。僕の最後のポケモン、アブソルでその四体を全滅させてやるよ」
今回はイリスの六体目のポケモン、アブソルの登場です。ちなみに何故アブソルの入ったボールがあんな所にあったのかは、後々明かしていきます。では次回はイリスvsフォレス、決着です。アブソルの意外な行動にご期待ください。では、次回もお楽しみに。
- Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 第二回? オリキャラ募集 ( No.162 )
- 日時: 2011/08/17 21:15
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: cebg9jtM)
アブソルキターーーーーー!
姿の描写の仕方が凄くカッコいいですねw
さらにアブソルは、ベガでは進化してよりカッコよく…!
- Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 第二回? オリキャラ募集 ( No.163 )
- 日時: 2011/08/17 22:20
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
パーセンターさん
はい、やはり悪タイプの代表と言えばアブソルでしょう。
姿の描写は出来るだけ格好良くしようと足りない知恵を振り絞り考えました。
アブソルの進化系、格好良いですよね。
- Re: 82章 怠惰 ( No.164 )
- 日時: 2012/07/10 22:28
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: QpE/G9Cv)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/124.html
「ぐっ……だが、相手はたかがポケモン一体。こっちは四体だ。負けるわきゃねえ」
フォレスはアブソルの登場に少々たじろいだものの、すぐに冷静さ取り戻す。
「コクジャク、ブレイブバード!サンドリル、ドリルライナー!マカドゥス、グランボールダ!アルデッパ、パワーウィップ!」
フォレスは四体の持つ最大級の技を一斉に指示し、アブソルに襲い掛からせる。
「アブソル、あれを喰らったらやばいぞ!まずは避け——」
と、イリスが言う頃にはアブソルは既に動いていた。
アブソルの漆黒の鎌が、襲い掛かる四体のポケモンを切り裂き、闇へと沈めた。
「んな!?」
フォレスは驚きのあまり、それ以上の言葉が出なかった。
それもそうだろう。フォレスといえど7Pでは序列三位、かなりの実力者だ。
そのポケモンが、たった一匹のポケモンに全滅させられたのだ。それも、一撃で。
「…………」
一方、イリスは宣言通りフォレスのポケモンを全て倒したと言うのに、浮かない顔——というより、苦い顔をしていた。
「アブソル、お前……」
アブソルはフォレスのポケモンを全て倒した。それは紛れもない事実で、アブソルの功績だ。
しかしイリスは、攻撃ではなく回避を命じた。
より正確に言うならば、アブソルはイリスの命令を聞かずに攻撃をしたのだ。
つまり、まとめると
アブソルはイリスの言う事を聞かないのだ。
アブソルは見つめるイリスを、赤い眼差しで見つめ返す。
「くっそ、作戦台無しじゃねえか!俺はこれからどの面下げてレイさんの前に立てばいいんだよ!」
……フォレスはそんな二人の事など全く気にせず、作戦失敗に嘆いていた。
その時
「フォレスまた負けちゃったのかー。仕方ないねー」
地面を這って現れたのは、赤い髪をロングポニーテールにし、簡素な淡いピンク色の浴衣、背中にはプラズマ団の紋章が入った団扇を差している少女。
7Pの一人、フレイだ。
「フレイ……!」
「だからフォレスは詰めが甘いって言ってるんだよー。まあ今回に限っては仕方ないだろうけどねー」
フレイは眠たげな声でそう言う。
「さてと、フォレスが失敗しちゃったらその後始末はあたしが引き受けるよー。そういうわけで、この7P序列二位のフレイちゃんが相手をするよー。ニートン、出番だよー」
寝転がったままフレイはボールを取り出し、ポケモンを繰り出す。
繰り出されたポケモンは、怠けポケモンのニートン。
壷のような体に、赤い縫いぐるみのような手足。雰囲気は如何にも怠けてます、といった感じで、フレイにはピッタリだ。
「お……おいおい、初っ端からそいつ使うのかよ……」
フォレスはニートンが繰り出されるのを見て、焦ったような声を出す。
「紛いなりにも相手はフォレスのポケモンを四体全滅させたポケモンだしねー。んじゃ、ニートン、シャドーパンチだよー」
フレイの気の抜けた指示に連動して、ニートンも気の抜けた感じに影の拳をロケットパンチのように放つ。
「アブソル、かわして——」
イリスもアブソルに指示を出そうとするが、それよりも早くアブソルは動き、独断で攻撃する。
アブソルは影の拳を切り裂き、ニートンに接近。さらに鎌のような角で、通り間際に切り裂く。あれは辻斬りだ。
「効果抜群は痛いねー。ならお次は危険な毒素でー」
フレイはその気の抜けた声とは裏腹に、危険そうな技名を指示する。
案の定、ニートンは如何にも危険そうな毒の塊を作り出し、アブソルに向けて放つ。
しかしそこは流石アブソル。その攻撃を疾風のような動きで回避した。
ちなみに毒素が当たった地面の草花は、一部は溶解、一部は腐敗した。やはり危険な毒素だ。
アブソルはさらに動きが鈍重なニートンの背後を取り、思念の頭突きをぶつける。
ニートンもカウンターのシャドーパンチを繰り出すが、アブソルはジャンプでかわし、壷の蓋みたいな頭にアイアンテールを叩き込む。
「あんまり強くないな……」
イリスはふと呟く。もしかしたらニートンは強いのかもしれないが、アブソルがそれ以上に強いのかもしれない。まあどっちにせよ、このままなら勝てるだろうと、イリスは楽観視していた。
だが相手は7Pだ。そんなに甘いはずがない。
「そんじゃーまー、そろそろ行きますかー」
フレイは気の抜けた声で、ニートンに指示を出す。
「ニートン、大欠伸だよー」
と、フレイが指示を出してすぐ、ニートンは大口を開けて欠伸をし出した。
正直イリスはふざけてんのか、と思ったが、そうではない。
その大欠伸を見てしまったアブソルは、足が崩れ、地面に倒れる。見れば目を閉じて寝息を立てて——眠っていた。
「!? アブソル!」
まさか欠伸で寝ると思わなかったイリスは驚き、アブソルに呼びかけるが、返事はない。
「大欠伸を舐めちゃいかんさー、これはかなり有用な技だからねー。というわけでー、決めちゃうよー。ニートン、アサルトエスだよー」
ニートンはフレイから指示を受けると、ゆっくりと立ち上がる。そしてのそのそと見ていてイラつくようなゆっくりとした動きでアブソルに近づく。
すると次の瞬間、ニートンはさっきまでの気だるげな雰囲気が嘘のように、アブソルを連続で殴打し始めた。タコ殴りである。
「あ、アブソル!」
しかしアブソルは起きない。
「無駄だと思うよー。大欠伸の催眠効果は高いから、そう簡単には起きないよー。そうして寝ているうちにニートンのアサルトエスでボコボコにして、起きた時には戦闘不能さー。あ、でも戦闘不能じゃ起きられないかー」
と、フレイは無気力だが、笑っている。小悪魔のようだ。
「さあ行くよニートン! 君の力はこんなもんじゃないさ!」
……イリスはふと思った。
「あいつ、性格変わってないか……?」
今回はアブソルでのバトルですが、アブソルはイリスの言う事を聞きません。そして遂に7Pの隠し玉、フレイ登場です。フレイの一番手はネタだと思うようなポケモン、ニートンです。ちなみにニートンの画像はいつも張っているURLには乗ってないので、今回に限って別に張りました。さらにラストではフレイの本性(?)が明らかに。……なんか、自分で作っておいてフレイがちょっと可哀想な子に、将来とか不安だ……。まあ、この作品自体創作なので、問題ないでしょう。ちなみに僕はインターネットスラング、ネット用語って言うんですかね?とかそういうのはあまり知らなかったりします。では、次回はフレイトのバトルが本格化(?)します。お楽しみに!
- Re: 83章 考古 ( No.165 )
- 日時: 2011/08/18 10:29
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/124.html
その後、アブソルは大欠伸による眠り状態から復活したものの、ニートンの意外な戦闘力に追い詰められていた。
あと、何故かフレイがやけにハイテンションになっている。
「フレイはなんというか……二次元の産物とでも言えばいいのか、そういうのが好きな奴なんだ」
ポケモンゼロでもう戦えないフォレスと、アブソルが言う事を聞かずに指示する意味のないイリスが、二人揃って木の幹に寄りかかって適当に駄弁っていた。
「あいつは生まれつき足の骨が異常に脆くてな、立ち上がっただけで、自重で骨が砕けるほどだ。だからいつも寝転がって、移動の時は他人のポケモンを使うこともしばしばだ」
「そうだったのか……」
プラズマ団にも、いろいろ事情があるようだ。
「そんな体質なもんだから、外で遊ぶ事などできない。で、俺が昔あいつに漫画を一冊貸してみたら……大いに嵌まり、エスカレートして現在に至るわけだ」
成程、とイリスは納得した。
「ちなみにあいつの伸ばした語尾はキャラ作りらしい。根っこは怠け者だから、気だるげなオーラとかは本当だけどな。……変な奴だよな、そんなにキャラ立ちしてなにが面白いんだか」
フォレスはそう言うが、7Pは結構皆キャラが濃いだろう、とイリスは言いかけて止めた。
二人は駄弁るのを止め、アブソルとニートン(フレイ)のバトル観戦に集中することにした。
「ニートン、シャドーパンチ!」
ニートンは拳に纏わせた影を、ロケットパンチのようにアブソルに放つが、アブソルはそれを回避。そして思念を込めた頭突きを喰らわせる。
「危険な毒素!」
次にニートンは毒性の高い毒の塊を作り出し、アブソルに向けて放つ。しかしこれもアブソルは回避し、今度は鋼鉄の如く硬化させた尻尾をニートンの顔面に叩き込む。
「ほら、あいつテンションが高いあまり、キャラ作るの忘れているだろ? あいつは波長の合うニートンでバトる時に限って、かなりハイテンションになるんだ」
確かにフレイは語尾を伸ばしていない。その上今までほとんど見せなかったエクスクラメーションマークまで出ている。まあ、寝転がっているから見た目は勢いなど感じないが。
「ニートン、大欠伸!」
ニートンは大口を開けて欠伸をし、アブソルの眠気を誘う。
だがしかし同じ轍は踏まないのか、アブソルはジャンプして大欠伸をかわす。
「ニートンはあいつの手持ちで二番目に強いが、今回は相手が悪かったな。ゴーストタイプのニートンじゃ、どうしたって悪タイプのアブソルには攻防ともに敵わねえ」
それはフォレスの言う通りで、ニートンが大欠伸をかわされて出来た隙をアブソルが目聡く見つけ、鎌のような角で切り裂いた。
辻斬りはゴーストタイプのニートンには効果抜群。さらに辻斬りの効果とアブソルの特性、強運により急所も切り裂いたので、全体的に能力が低めなニートンは戦闘不能となった。
「……あー、ニートン負けちゃったかー」
フレイはさっきまでのハイテンションぶりが嘘のように、気だるげな声となった。
「まーでもー、そのアブソルも限界みたいだしー、あと一発でも打ち込めば勝てるかなー」
確かに、アブソルはニートンとのバトルでかなり体力を消耗している。これ以上戦えばやられるだけだろう。
「というわけでー、やっちゃいますよー。あたしの次のポケモンはー——」
とそこで、フレイの言葉が途切れる。
『フレイ、聞こえますか!?』
フレイが耳に付けている無線機か何かから、声が聞こえてくる。この声と口調は7Pのエレクトロだが、彼らしくもなくかなり焦っているようだ。
『今すぐ撤退します!その場に誰かいれば、飛行できるポケモンに乗って脱出してください!』
「どうしたのエレクトロー? なにがあったのー?」
フレイはのんびりとした口調でエレクトロに問う。
『悠長に説明している暇はないのです!早く脱出しないと、彼女が——』
その時だった。
コンクリートの天井を突き破り、何かがこの地下植物園へと入ってきた。いや、突撃してきたと言えばいいのかもしれない。
「ふぅ……よかった、間に合って」
砂煙が舞う中聞こえてくるのは、落ち着いた女性の声だ。
「とりあえず、この砂煙が邪魔ね。ウォーグル」
姿の見えない女性がそう言うと、砂煙は一気に吹き飛んだ。
見えるのは鷲のような大型の鳥ポケモン、イリスも所持している勇猛ポケモン、ウォーグルだ。
そしてその傍らに立っているのは、なんとも美しい女性だった。長い金髪に黒いコート。特徴的な髪飾りをしている。
「な……あいつは……」
「これは……確かにやばいかも……」
その女性の姿を見るなり、フォレスとフレイは冷や汗を浮かべている。
「君がイリス君ね」
女性は呆然としていたイリスの傍まで歩み寄ると、イリスの名を呼ぶ。どうやらイリスの事を知っているようだが、イリスはこの女性を知らない。
「あの、あなたは……?」
なのでイリスはとりあえず名前を聞く。
「私はシロナ。シンオウ地方のチャンピオンで、今はイッシュの歴史について研究しているの」
その女性——シロナの言葉に、イリスは目を見開いた。
「シンオウ地方のチャンピオン!? なんでそんな人が、ここに?」
イリスは狼狽しつつそう訊ねるが、シロナは冷静に、短く返す。
「君を助けるため」
そしてシロナは、静かにボールを構えた。
今回は言わずと知れた親王のチャンピオン、シロナの登場です。いやあ、ダイヤモンドではかなり苦戦したものですよ。弱点なしのミカルゲとか、弱点突きまくってくるルカリオとか、攻撃と素早さが高いガブリアスとか。では次回はシロナ登場でフレイとバトるのか、次回をお楽しみに。
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