二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——完結——
- 日時: 2013/04/14 15:29
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=21394
今作品は前作である『ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄』の続きです。時間としては前作の一年後となっておりまして、舞台はイッシュの東側がメインとなります。なお、前作は原作通りの進行でしたが、今作は原作でいうクリア後なので、オリジナリティを重視しようと思います。
今作品ではイッシュ以外のポケモンも登場し、また非公式のポケモンも登場します。
参照をクリックすれば前作に飛びます。
では、英雄達の新しい冒険が始まります……
皆様にお知らせです。
以前企画した本小説の人気投票の集計が終わったので、早速発表したいと思います。
投票結果は、
総合部門>>819
味方サイド部門>>820
プラズマ団部門>>821
ポケモン部門>>822
となっています。
皆様、投票ありがとうございました。残り僅かですが、これからも本小説をよろしくお願いします。
登場人物紹介等
味方side>>28
敵対side>>29
PDOside>>51
他軍勢side>>52
オリ技>>30
用語集>>624
目次
プロローグ
>>1
第一幕 旅路
>>8 >>11 >>15 >>17
第二幕 帰還
>>18 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27
第三幕 組織
>>32 >>36 >>39 >>40 >>42 >>43 >>46 >>49 >>50 >>55 >>56 >>59 >>60
第四幕 勝負
>>61 >>62 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>72 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80
第五幕 迷宮
>>81 >>82 >>83 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90 >>92 >>93 >>95 >>97 >>100 >>101
第六幕 師弟
>>102 >>103 >>106 >>107 >>110 >>111 >>114 >>116 >>121 >>123 >>124 >>125 >>126 >>129
第七幕 攻防
>>131 >>135 >>136 >>139 >>143 >>144 >>149 >>151 >>152 >>153 >>154 >>155 >>157 >>158 >>159 >>161 >>164 >>165 >>168 >>169 >>170 >>171
第八幕 本気
>>174 >>177 >>178 >>180 >>184 >>185 >>188 >>189 >>190 >>191 >>194 >>195 >>196 >>197 >>204 >>205 >>206 >>207 >>211 >>213 >>219 >>223 >>225 >>228
第九幕 感情
>>229 >>233 >>234 >>239 >>244 >>247 >>252 >>256 >>259 >>262 >>263 >>264 >>265 >>266 >>269 >>270 >>281 >>284 >>289 >>290 >>291 >>292 >>293 >>296 >>298
第十幕 強襲
>>302 >>304 >>306 >>307 >>311 >>316 >>319 >>320 >>321 >>324 >>325 >>326 >>328 >>329 >>332 >>334 >>336 >>338 >>340 >>341 >>342 >>343 >>344 >>345 >>346
弟十一幕 奪還
>>348 >>353 >>354 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>376 >>377 >>378 >>379 >>380 >>381 >>382 >>383 >>391 >>393 >>394 >>397 >>398 >>399 >>400
第十二幕 救世
>>401 >>402 >>403 >>404 >>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>412 >>413 >>414 >>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>433 >>436 >>439 >>440 >>441 >>442 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447 >>450 >>451 >>452 >>453 >>454
第十三幕 救出
>>458 >>461 >>462 >>465 >>466 >>467 >>468 >>469 >>472 >>473 >>474 >>480 >>481 >>484 >>490 >>491 >>494 >>498 >>499 >>500 >>501 >>502
第十四幕 挑戦
>>506 >>511 >>513 >>514 >>517 >>520 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>534 >>535 >>536 >>540 >>541 >>542 >>545 >>548 >>549 >>550 >>551 >>552 >>553 >>556 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>568
第十五幕 依存
>>569 >>572 >>575 >>576 >>577 >>578 >>585 >>587 >>590 >>593 >>597 >>598 >>599 >>600 >>603 >>604 >>609 >>610 >>611 >>614 >>618 >>619 >>623 >>626 >>628 >>629 >>632 >>638 >>642 >>645 >>648 >>649 >>654
>>657 >>658 >>659 >>662 >>663 >>664 >>665 >>666 >>667 >>668 >>671 >>672 >>673 >>676 >>679 >>680 >>683 >>684 >>685 >>690 >>691 >>695
第十六幕 錯綜
一節 英雄
>>696 >>697 >>698 >>699 >>700 >>703 >>704 >>705 >>706 >>707 >>710 >>711
二節 苦難
>>716 >>719 >>720 >>723
三節 忠義
>>728 >>731 >>732 >>733
四節 思慕
>>734 >>735 >>736 >>739
五節 探究
>>742 >>743 >>744 >>747 >>748
六節 継承
>>749 >>750 >>753 >>754 >>755
七節 浮上
>>756
第十七幕 決戦
零節 都市
>>759 >>760 >>761 >>762
一節 毒邪
>>765 >>775 >>781 >>787
二節 焦炎
>>766 >>776 >>782 >>784 >>791 >>794 >>799 >>806
三節 森樹
>>767 >>777 >>783 >>785 >>793 >>807
四節 氷霧
>>768 >>778 >>786 >>790 >>792 >>800 >>808
五節 聖電
>>769 >>779 >>795 >>801 >>804 >>809
六節 神龍
>>772 >>798 >>811
七節 地縛
>>773 >>780 >>805 >>810 >>813 >>814 >>817
八節 黒幕
>>774 >>812 >>818
最終幕 混濁
>>826 >>827 >>828 >>832 >>833 >>834 >>835 >>836 >>837 >>838 >>839 >>840 >>841 >>842 >>845 >>846 >>847 >>849 >>850 >>851
エピローグ
>>851
2012年冬の小説大会金賞受賞人気投票記念番外
『夢のドリームマッチ ver混濁 イリスvsリオvsフレイ 三者同時バトル』>>825
あとがき
>>852
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171
- Re: 439章 爪 ( No.610 )
- 日時: 2013/01/06 01:47
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
ムントとドランのバトルは、ドランが二番手に繰り出したマンムーがアギルダーを下し、ムントの二番手、ネクロシアが繰り出されるところまで来ていた。
「ネクロシア、まずはシャドークローだ!」
ネクロシアは両手に鋭利な影の爪を作り出し、マンムーへと突っ込む。
「迎え撃つよマンムー、スターフリーズ!」
マンムーも巨大な星型の氷塊を飛ばして迎撃を試みるが、ネクロシアは横にずれて氷塊を回避する。
「だったらこれだよ! ストーンエッジ!」
続けて無数の尖った岩を浮かべ、一斉に射出。数が多いため、避けきるのは至難だが、
「構わん、シャドークローで砕け!」
ネクロシアは出来る限り襲い掛かる岩をかわし、かわし切れないものは影の爪で切り裂いて砕く。そうしてネクロシアはマンムーへと接近し、シャドークローを見舞った。
「続けて辻斬りだ!」
さらに振り子を揺らすように自身を一回転させ、ネクロシアの刃がマンムーを切り裂く。
「アイスブレード!」
さらにもう一回転。凍てつく刃で切り裂く。
「クロスチョップだ!」
「流石にもう打ち止めだよ! マンムー、ぶち壊す!」
ネクロシアが手刀を交差に構えた辺りで、マンムーも動き出す。マンムーは全てを破壊するかのような重たい牙の一撃をネクロシアに叩き込み、吹っ飛ばした。
「追撃! スターフリーズ!」
そこにマンムーのスターフリーズが飛ぶ。巨大な氷塊はどんどんネクロシアへと迫っていくが、
「辻斬りだ!」
ネクロシアは空中で身体を一回転させ、下半身の鎌で氷塊を切り裂く。すると氷塊は、真っ二つになったと同時に砕け散った。氷塊の脆弱な部分を狙った攻撃だったのだろう。
「やるねぇ。でもでも、マンムーの攻撃はまだ終わりじゃないよ! ストーンエッジ!」
「かわしてシャドークロー!」
マンムーは一斉に鋭利な岩を発射したが、ネクロシアは最初と同じように岩をかわし、砕きながらマンムーに接近。影の爪でその巨体を引き裂く。
「クロスチョップ!」
続けて交差させた手刀もマンムーに叩き込む。高威力に加え効果抜群の攻撃に、マンムーはかなりのダメージを受ける。
「また近づかれちゃったかぁ……でも、マンムー、ぶち壊すだよ!」
マンムーは再び牙を突き出してネクロシアを引き剥がすが、今度はネクロシアも牙をいなしてダメージを軽減し、そのまますぐ距離を詰める。
「アイスブレード!」
そして凍てつく刃を振るってマンムーを切り裂く。
「……厚い脂肪か」
ぼそりとムントは呟く。
試しにと何度か氷技のアイスブレードを使用してみたが、この技だけ効き目が薄い。それはマンムーの特性、厚い脂肪によるものだと理解した。
厚い脂肪は、その名の通りポケモンの脂肪が厚いため、熱や冷気——つまり、炎タイプと氷タイプの技の威力を半減する特性。それによって、アイスブレードの威力を半減していたようだ。
「まーねー。でも、そのネクロシアで怖いのは、どっちかっていうと辻斬りとか、格闘技のクロスチョップかな。マンムー、ストーンエッジ!」
マンムーは、今度は地中から鋭く尖った岩を発射し、ネクロシアを攻撃。さらに、
「ぶち壊す!」
全身全霊の突撃をかまし、ネクロシアを吹っ飛ばす。
「さらにさらに、スターフリーズ!」
加えて巨大な氷塊を飛ばして追撃をかける。まだ態勢が整っていないネクロシアでは、この氷塊を避けることは出来ない。
「くっ……シャドークロー!」
辛うじて自由に動かせる両手に影の爪を生成し、氷塊を切り裂く。しかし氷塊の表面に傷がついただけで、そのままネクロシアは氷塊の直撃を受ける。
「ストーンエッジ!」
マンムーは続けて鋭く尖った岩を連射。どうやら向こうから近づく気はないらしい。
「チッ、シャドークロー!」
ネクロシアはやはりシャドークローで岩を砕きつつマンムーに接近しようとする。これがエレクトロ相手なら二回目の時点で対策されてしまうだろうが、相手はドランだ。同じ手でも、通じる時には通じてしまう。
「スターフリーズ!」
マンムーはストーンエッジが舞う中に巨大な星型の氷塊を投入し、ネクロシアを迎え撃とうとするが、それもネクロシアにかわされてしまい、結局は影の爪に引き裂かれた。
「辻斬りだ!」
「ぶち壊す!」
ネクロシアは一回転して下半身の鎌を振るうが、同時にマンムーも牙を突き出しており、ネクロシアは力負けして吹っ飛ばされた。
「スターフリーズだよ!」
続けてマンムーは星型の氷塊を飛ばす。またも態勢が整っていない状態でのスターフリーズを放たれたネクロシアは、
「ちまちま攻撃しても埒があかないな……一気に決めるぞネクロシア! クロスチョップ!」
交差させた手刀を氷塊に叩き付け、氷塊は砕け散った。それと同時に態勢を立て直し、マンムーに特攻をかける。
「もう一度クロスチョップだ!」
手刀を交差させたまま、ネクロシアの一撃がマンムーの額に直撃。効果抜群に加えて急所を狙った攻撃なため、相当なダメージだ。
「むぅ……マンムー、ぶち壊す!」
「させん! ネクロシア、辻斬り!」
マンムーが牙を突き出すよりも速く、ネクロシアは下半身の鎌を振るってマンムーの急所を切り裂く。
そして遂にマンムーは陥落。鈍いを音を立てながら崩れ落ち、戦闘不能となった。
「あーあー、マンムーもやられちゃったー」
ドランは軽い調子でマンムーをボールに戻し、次のボールを握り込んだ。
「そんじゃ、次にいっくよー! 病魔を放て、ドラピオン!」
ドランの三番手はドラピオン。毒と悪の複合タイプを持ち、地面タイプのみが弱点だ。
ドラピオンは場に出た瞬間、アギルダーの撒いた撒菱を踏んで顔をしかめる。
「こーいう小さなダメージが、意外と鬱陶しいんだよねぇ」
ドランは軽い調子だが、どこか憂鬱そうに言葉を発する。
「……戻れ、ネクロシア」
ムントは一旦ネクロシアをボールに戻す。マンムー戦では大きなダメージを受けていないものの、有効打となる技が少ない。そのため、一時的に休ませる意味も兼ねてネクロシアを交代させる。
「ドラピオンか……なら、出て来い、オノノクス!」
ムントがここで繰り出したのはエース、オノノクス。
鋭い眼光で、お互い睨み合う。
「オノノクス、ドラゴンクロー!」
「ドラピオン、辻斬り!」
オノノクスは龍の力を込めた爪を、ドラピオンは破壊力のある鋭い爪を、それぞれ構えて切り結ぶ。
「ドラピオン、そのままアクアテールだよ!」
ドラピオンはオノノクスと切り結んだまま尻尾を動かし、水流を纏わせて突き込むようにオノノクスの体に叩き込んだ。
「ぐっ、オノノクス、地震だ!」
効果いまひとつなこともあり、オノノクスは踏ん張ってアクアテールを耐え、すぐさま地面を踏み揺らして地震を引き起こす。
地面タイプはドラピオン唯一の弱点。効果抜群の一撃を至近距離で喰らったドラピオンだが、こちらも耐え切った。
「ふっふー。ドランのドラピオンの防御力を舐めちゃあいけないよ? クロスポイズン!」
「かわして龍の舞だ!」
ドラピオンは両腕を交差させて毒を含んだ爪で切りかかるが、オノノクスは後ろに一歩退いて攻撃を回避。そして龍のように力強く舞おうとするが、
「させないよ。ウッドハンマー!」
すぐさま腕を伸ばしたドラピオンの一撃が、オノノクスの顎にヒット。龍の舞は中断された。
「流石にドラピオンじゃあ、オノノクス相手の龍の舞はきついからねー。なんとしても阻止だよ! さードラピオン、クロスポイズン!」
ドラピオンは腕を引き戻して交差させ、毒を含んだ爪を構えて襲い掛かるが、
「オノノクス、地震!」
オノノクスがすぐに地面を揺り動かし、衝撃波でドラピオンを攻撃。動きを止めた。
「瓦割りだ!」
そしてそのまま一歩踏み出し、手刀をドラピオンの脳天に叩き込む。
「続けてドラゴンクロー!」
さらに龍の力を込めた爪を繰り出すが、流石にそう長く連撃を許すドランでもなかった。
「アクアテールで弾いて!」
ドラピオンはオノノクスの腕を尻尾で弾き、オノノクスとの間合いを調整して爪による攻撃を放つ。
「辻斬り!」
ドラピオンの鋭利な爪がオノノクスを切り裂く。
「引き剥がせ! ドラゴンクロー!」
オノノクスも突き込むような龍の爪の一撃をドラピオンに叩き込み、後退して二匹の間に距離が生まれる。
ムントはふと顔を上げ、ドランを見遣る。依然として顔は見えないが、その裏に何か恐ろしいものを宿しているような、そんな空気を感じた。
今回はムントとドランのバトル、戦況はドランがかなり押されていますが、余裕の表情です。これが意味することを考えれば、このバトルの結果も予想できるのではないでしょうか。ちなみにドランのポケモンですが、ドラドーンはドラゴンタイプ、マンムーはドラゴンを打倒しうる氷タイプだからという理由で、ドラピオンはなんかドランと名前が似てたからです。ワラガシラは適当、悪っぽいゴーストタイプが欲しかっただけです。一応、他の7Pのポケモンも選択の理由とかがあったりしますが、それはまた今度。さて次回は、中途半端なエレクトロやドラン戦をキリのいいところまで仕上げるか、他の誰かのバトルを進めるか、という感じです。では次回もお楽しみに
- Re: 440章 飛び火 ( No.611 )
- 日時: 2013/01/06 17:22
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「ヘルガー、火炎放射!」
「ヤミクラゲ、悪の波動」
ザキとレイのバトルは、どちらも一進一退という感じであった。どちらのポケモンもしぶとく場に居座り続ける。
しかし、悪巧みを二回使用しているヘルガーの火力はかなり強化されており、現状ではヘルガーが優勢とも言えるかもしれない。
火炎放射と悪の波動がぶつかり合い、炎が波動を飲み込んだ。
「続けてダークロアー!」
そのままヘルガーは闇の咆哮を発し、ヤミクラゲを攻撃。効果はいまひとつだが、悪巧みで特攻が上がっている今のヘルガーなら等倍以上のダメージを与えられる。
「よっしゃ、いい感じだ。ヘルガー、もういっぺん悪巧みだ!」
ヘルガーは三度脳を活性化させ、特攻をさらに上げる。これでヘルガーの特攻は最大限に達した。
「喰らいな。ヘルガー、火炎放射!」
ヘルガーは文字通り最大火力の火炎放射を放つ。辺り一面を焼き尽くしてしまうような業火だ。
「くっ……ヤミクラゲ、耐えなさい」
熱気がトレーナーにまで届いているのか、レイは眉根を寄せる。いや、熱気だけではない。火の手までもレイのところまで届きそうな勢いだ。
そして、事実それは起こってしまった。
ヘルガーの炎が、レイの長い髪に燃え移った。
「!」
「……っ!」
レイ、そしてザキも目を見開く。
身長とほぼ同じという長いレイの髪は、ヘルガーの放った火炎放射が飛び火してしまった。
しかしレイはすぐに体を丸めるようにしゃがみこんで、ヤミクラゲに指示を出す。
「ヤミクラゲ、大洪水です!」
ヤミクラゲの行動も早かった。体から河川が氾濫したかのような大量の水を放ち、燃え盛っていた炎を全て消火。そしてしゃがんでいたレイも水に飲まれる。
ヘルガーは炎を消しながら襲い掛かってくる大洪水を、跳んでかわそうとするが、
「動くなヘルガー!」
ザキが声を荒げてそれを制止。ヘルガーは動かず、そのまま大洪水に飲み込まれてしまった。
そして、大洪水によってもたらされた大量の水が引く。
「…………」
レイは無言で立ち上がった。全身ずぶ濡れになっていたが、確かに髪の炎は鎮火した。しかし燃えてしまった君の長さは背中くらいになってしまい、毛先も焦げている。
「……悪ぃ。まさか、こんなことになるとは思ってなかったぜ……」
ザキは声のトーンを下げ、気まずそうに頭をかく。しかしレイは気にする風でもなく、
「別に、気にしませんよ。正直、前の髪は長すぎて鬱陶しいと思っていましたから。散髪の手間が省けたと思っておきます」
いや、それでも焦げた毛先とかを切り揃えたりする必要があるのだが、レイは嘘か真か、そんなことを言う。
「もしそれほど気になるのなら、あなたのヘルガーでおあいこにしましょう……というより、わざと避けさせませんでしたよね」
「………」
レイの指摘に、ザキは黙り込む。
ヘルガーは大洪水の直撃を受け、倒れていた。効果抜群に加えて耐久力の低いヘルガーは、その一撃で戦闘不能だ。
ヘルガーは大洪水が来た時に、跳躍して避けようとした。しかしザキがそれを止め、結果的にヘルガーは戦闘不能となった。だがヘルガーが回避行動を起こそうとするより前に、ザキはレイの髪にヘルガーの炎が燃え移ったのを見ている。
「わたしに気を遣ったつもりなのか……まあ、関係ありませんけど。あなたは自分自身の首を絞めているだけです。悪巧みで特攻が最大限のヘルガーは驚異的、あのまま居座られてはどう対処したものかと悩んでいましたが、わたしにとってはとんだ好都合でした。しかし、あなたにとっては高火力の戦力を一匹失ったことになります。あなたの無駄な行いで、戦況はわたしに傾きましたよ」
淡々とした、それでいて鋭く冷たいレイの声が、サンギの町に響く。
「……人が黙って聞いてりゃぁ、言いたい放題言いやがるな。あれは俺が勝手にやったことだっつーの。他人がごちゃごちゃ口出ししてんじゃねぇ」
ザキは乱暴な口調で言って、次のボールを手に取った。
「次はこいつだ。出て来な、エレキブル!」
ザキの二番手は雷電ポケモン、エレキブル。黄色い体に黒い模様が規則的に浮かび上がり、電気コードのような尻尾は二又となっている。
「エレキブル、グランボールダ!」
エレキブルはヤミクラゲを囲むように大小様々な岩を浮かべ、それらを一斉にヤミクラゲへと放つ。
「全方位に悪の波動です!」
ヤミクラゲも襲い掛かる岩に向かって悪意に満ちた波動を連射するが、大洪水の反動で特攻が下がっているヤミクラゲでは、全ての岩を破壊することは出来ず、残った半分くらいの岩の直撃を受けてしまった。
「地震だ!」
さらにエレキブルは地面を揺り動かし、地を伝う衝撃波を生み出してヤミクラゲを攻撃。
ヤミクラゲは特防は高いが防御はそうでもない。ヘルガー戦でのダメージ、グランボールダと地震の連撃により、かなりダメージが蓄積されている。
「決めるぞエレキブル! ワイルドボルト!」
エレキブルは全身に弾ける電撃を纏い、ヤミクラゲに向かって全力疾走。水中ならいざ知らず、地上でのヤミクラゲの機動力などたかが知れている。
結果、ヤミクラゲはワイルドボルトの直撃を受けて吹っ飛ばされ、戦闘不能となった。
「戻ってください、ヤミクラゲ」
レイは淡々とヤミクラゲをボールに戻し、次のポケモンを繰り出す構えに入る。
「電気タイプ、そして岩タイプの技……となるとやはり、このポケモンしかいませんね。おいでなさい、ヨノワール!」
レイの二番手は、手掴みポケモン、ヨノワール。暗色のずんぐりとした体、腹には大きな口があり、頭にはアンテナ。顔はのっぺりとしており、かなり不気味な意匠だ。
「また変なのが出て来やがったな。エレキブル、グランボールダ!」
エレキブルは拳を地面に打ち付けて無数の岩石を浮かび上がらせる。そしてそれらを一斉にヨノワールへと放ち、ヨノワールを岩石で覆ってしまうが、
「ヨノワール、地震です!」
突如、ヨノワールを球状に覆っていた岩石が弾け飛んだ。ヨノワールは平然としいる。どうやらダメージはあまり通っていないようだ。
「もう一度地震!」
「ケッ、こっちも地震だ!」
ヨノワールとエレキブルは同時に地面を揺らし、地震を放つ。どちらも途中でぶつかり合い、せめぎ合うこともなく相殺された。
「怒りの炎です!」
ヨノワールは腹の口から燃え盛る業火を放つ。業かは怒り狂ったような蠢き、エレキブルへと迫っていく。
「突っ切れエレキブル! ワイルドボルト!」
エレキブルも弾ける雷電をその身に纏い、ヨノワールへと駆けていく。その途中で業火が襲い掛かるが、気にせず突っ切った。
「っ、サイコパンチです!」
怒りの炎を突っ切られたヨノワールは念動力を込めた拳を突き出すが、これもエレキブルを止めることは出来ず、ヨノワールはワイルドボルトの直撃を喰らう。
「もう一発くれてやるよ。ウッドハンマー!」
さらにエレキブルは、樹木の力を宿した拳を固め、思い切りヨノワールを殴りつける。しかし、ヨノワールも黙ってはいない。
「ヨノワール、喰らいつく!」
ヨノワールは腹の口をガバッと開き、エレキブルを飲み込んでしまうような勢いで喰らいついた。
「なっ……ちっ、エレキブル、引き剥がせ! ウッドハンマー!」
エレキブルは拳を何度もヨノワールに打ち付けるが、ヨノワールは頑として離そうとしない。
「わたしのヨノワールからは逃れられませんよ。そして、この距離なら外すことも相殺されることもないでしょう。ヨノワール、地震です!」
ヨノワールは大地を揺るがす一撃を秘めた拳を、エレキブルに振り下ろした。
エレキブルは絶叫する。当然だ、効果抜群となる地震の衝撃を直接体に叩き込まれたのだから。しかし、エレキブルはまだ戦闘不能に放っていなかった。
「しぶといですね。ですが次で終わりです。ヨノワール、地震!」
ヨノワールは再び拳を振り上げ、エレキブルへと振り下ろすが、
「エレキブル、ワイルドボルトだ!」
その瞬間、エレキブルは全身に激しい雷電を纏う。バチバチと弾ける電撃は、喰らいついているヨノワールにも伝っていく。それも、弱点となる腹の中へと流れていった。
弱点に流れ込んだ電流に驚いたのか、ヨノワールはバッとエレキブルから離れてしまう。地震は失敗、喰らいつくからも解放された。
「エレキブル、突っ込め!」
そしてそのまま、エレキブルはヨノワールへと突撃した。隙だらけだったヨノワールは吹っ飛ばされて地面をガリガリと削っていく。そして——
——エレキブルも、その場に倒れ込んだ。
今回はザキ対レイのバトルです。ちなみにレイは7Pの中ではわりと好きな方です。そういえば7Pって誰が人気なんでしょうか? 作者としては少し気になります。白黒は一番フレイ、二番レイ、三番解放状態のドランという感じです。ちなみにワースト一位はガイア。リーダーのはずなのに登場回数が一番少ない上に個性が薄くなってしまった……まあそれはさておき。前回はドランの手持ちについて書きましたが、今回はレイの手持ちについて。レジュリアは女性的かつ氷タイプという理由で。残り三匹は悪っぽいという理由です。テッカニンは微妙なラインですが。それでは次回も今回の続きになると思います。お楽しみに。
- Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——お知らせです—— ( No.612 )
- 日時: 2013/01/15 01:34
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
ドラン・性別不明・年齢不詳
容姿:大柄な体躯で、全身を覆う黒いローブをフードまでかぶっており、顔どころか肌すら見えない。フードからは藍色の長い髪が垂れ下がっている。フードにはプラズマ団の紋章がある。顔面にキュレムの顔を模した刻印が刻まれている。
性格:老若男女の区別がつかず、ノイズ混じりの合成音声を聞いているような声で、非常に奇怪な発音をする。口調はやや古風。解放すると一転し、男女の区別はつかないものの幼い声、及び幼い言動となり、一人称も『ドラン』。ドラゴンポケモンやソウリュウシティなどに何か思うところがある様子。
序列:7Pでは四番目に強い、解放状態なら序列二位。
備考:ドラン神龍隊を率いている。
名前の由来:龍を意味する英単語、dragonから。
手持ちポケモン
ドラドーン・♂
技:流星群、ハリケーン、ハイドロポンプ、アイスバーン
特性:威嚇
ドラピオン・♂
技:辻斬り、クロスポイズン、アクアテール、ウッドハンマー
特性:スナイパー
マンムー・♂
技:地震、スターフリーズ、ぶち壊す、ストーンエッジ
特性:厚い脂肪
ワラガシラ・♂
技:シャドークロー、ギガスパーク、アームハンマー、サイコバレット
特性:精神力
- Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——お知らせです—— ( No.613 )
- 日時: 2013/01/07 13:53
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
キリハ・男・19歳
容姿:背が高く精悍な顔立ち。灰色のショートヘアーで、同じく灰色のコートを着ている。
性格:優しく気が利いて、人をまとめるタイプだが苦労性。デスクワークや書類整理が得意で、その実力だけでPDO統括補佐まで上り詰めたが、決してバトルが弱いわけではない。
手持ちポケモン
ギャロップ・♀
技:フレアドライブ、ワイルドボルト、ドリルライナー、角ドリル
特性:貰い火
ユニサス・♂
技:メタルブラスト、サイコバレット、スプラッシュ、メガホーン
特性:威嚇
ペガーン・♂
技:ハリケーン、サイコバーン、ダイヤブラスト、シャドーボール
特性:自然回復
ドーブル・♂
技:スケッチ、ロックオン、キノコ胞子、絶対零度
特性:マイペース
- Re: 441章 土中 ( No.614 )
- 日時: 2013/01/08 13:55
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「……戻れ、エレキブル」
ザキは戦闘不能となったエレキブルをボールに戻す。ワイルドボルトの反動に耐えられなかったようだ。
これでザキの手持ちは残り二体、半分まで到達してしまった。
「次はお前だ。出て来な、ブーバーン!」
ザキの三番手は、爆炎ポケモン、ブーバーン。暖色の丸っこい体、両肩は燃える炎のようで、両腕はバズーカのような砲口となっている。
「とっとと決めるぞ、ブーバーン。ジオインパクト!」
ブーバーンは片腕を前に突出し、そこから銀色に輝くエネルギーを放射。自身をそれに包み込み、猛烈な勢いでヨノワールへと突っ込む。
「ヨノワール、地震です!」
ヨノワールは咄嗟に地面を揺るがす衝撃波を放つも、無駄だった。
ブーバーンは衝撃波を跳び越してダイブするようにヨノワールに突撃。ヨノワールを吹っ飛ばす。
また地面を削りながら吹き飛ぶヨノワールは、遂に戦闘不能。
「……戻りなさい、ヨノワール」
レイは倒れたヨノワールを一瞥し、ボールに戻した。そして二つのボールを取出し、交互に見つめる。どうやらどちらのポケモンを繰り出すか悩んでいるようだ。
「ブーバーンは炎タイプ、となるとどちらも不利。さて、どうしたものですか……」
目を瞑って長考に沈むレイ。しばらく経つと、片方のボールを収めた。繰り出すポケモンが決まったようだ。
「やはりこちらにしましょうか。多少リスキーでも、有効打があった方がやりやすいでしょう」
言ってレイは、残ったボールを放ってポケモンを繰り出す。
「おいでなさい、テッカニン!」
現れたのは蝉のような姿のポケモン、テッカニン。忍ポケモンと分類されており、特性、加速と合わせた高い機動力が強みのポケモンだ。
「テッカニン、襲撃です!」
テッカニンは目にも止まらぬスピードでブーバーンに接近し、背後から爪の一撃を叩き込む。
「燕返し!」
そしてそのままブーバーンの体を半周し、今度は前面を爪で切り裂く。
「ブーバーン、ダイヤブラスト!」
ブーバーンも負けじと腕の砲口から白色の光線を発射するが、テッカニンはそれを軽く回避。
「燕返しです!」
そしてブーバーンを切り裂く。攻撃が速すぎるため、その姿を視認することすら難しい。
「だが、テッカニンの耐久力は低い。一発ぶち込めれば終いだ。ブーバーン、連続でダイヤブラスト!」
ブーバーンは両腕を構え、四方八方に白色の光線を発射するが、
「テッカニン、全てかわしなさい」
残像が残るような動きで、テッカニンは発射される光線をことごとくかわす。
「くっ、だったらこれだ! ブーバーン、オーバーヒート!」
今度は両腕を揃え、砲口から莫大な火炎を放射する。広範囲に放たれた爆炎は、テッカニンが逃げる隙すら存在しないが、
「テッカニン、潜る!」
テッカニンは隙間を縫ってかわすようなことはせず、地面に突っ込んで地中に身を潜め、オーバーヒートをやり過ごす。そして炎が消えたと見るや否や、すぐに地面から這い出て来てブーバーンに突撃した。
「続けて襲撃です!」
そしてすぐさまブーバーンの背後に回り、爪の一撃を見舞う。
「燕返し!」
そしてすぐさまブーバーンの視界から外れ、体の各所を切り裂いていく。
一撃一撃の威力は低いが、テッカニンが速すぎるために鈍いブーバーンでは捕捉が難しい。加えてテッカニンは小型なため、ブーバーンの体格、及び攻撃方法ではどうしたってテッカニンを捉え切れない。
タイプ相性ではテッカニンが不利だが、種族としての相性ならブーバーンが不利。そして現状、ブーバーンが押されている。
「ブーバーン、ジオインパクトだ!」
ブーバーンは銀色のエネルギーをその身に纏い、意味もなく走り出す。これで一度テッカニンから距離を取って攻撃に移ろうという策であったが、テッカニンには通じない。
「テッカニン、潜る!」
テッカニンは地中に潜って移動し、ブーバーンのジオインパクトが切れた頃合いを見計らって飛び出し、ブーバーンを攻撃する。威力は控えめだが効果は抜群なので、ダメージは大きい。
「燕返しです!」
加速によってどんどん素早さが上昇していくテッカニンのスピードは、もう目で追えるようなものではなかった。残像すら視認できないほど高速で動き回るテッカニンは、ブーバーンの体を刻んでいく。
「くっそ、このままじゃ埒があかねぇ……!」
苛立ちながらザキは呟く。このままテッカニンにスピードを上げられては、そのうち勝ち目がなくなる。後に控えているポケモンも、テッカニンに対抗できるかと言えばそういうわけではない。なのでタイプ相性だけでも有利なブーバーンで、なんとかテッカニンを倒したいところだが——
「テッカニン、襲撃!」
背後に現れたテッカニンの爪がブーバーンに喰い込み、テッカニンはすぐさま姿を消す。
——現状でもテッカニンを倒すのは困難であろう。とにかく速い。それだけで、ザキは相当追い詰められていた。
(畜生が……どうしたもんか。しつこくまとわりついてくるからジオインパクトは使いずらい。ダイヤブラストも当たらない。オーバーヒートは潜るでかわされる……もうどうしようもねぇな、こりゃ)
半ば諦めかけているザキだったが、テッカニンの猛攻は止まらない。もはや残像すら残らない速度まで達しており、そのうち音速どころか光速をも超えそうだ。
「潜る!」
テッカニンは一度地中に身を潜め、すぐさま地上に飛び出してブーバーンに衝突。この潜るも厄介で、弱点を突くだけではなくブーバーンの素早さも下げるため、こちらの動きがますます鈍くなる。しかしテッカニンは時間が経つたびにどんどん速くなっていくので、その差は広げられる一方。追いつくことは叶わない。
だがこの時、ザキはテッカニンを倒しうる可能性のある策を見出していた。
(決まるかどうか分かんねぇし、一度使えば二度目はないような分の悪い賭けになりそうだが……今はこれに頼るしかねぇか)
腹を括り、ザキはブーバーンに指示を出す。
「やるぞブーバーン。オーバーヒート!」
ブーバーンは砲口から凄まじい勢いで爆炎を噴射する。悪巧みを三回使用したヘルガーの火炎放射以上の火力だ。
この莫大な炎に逃げる隙などはない。だが、テッカニンは裏技的な抜け道を知っている。
「当たりませんよ。テッカニン潜るです!」
テッカニンはすぐに地中に潜ってオーバーヒートをやり過ごす。炎が消えるまで、地面の中で身を潜めていれば安全だ。そう思っていたが、しかし、それこそが、ザキの思う壺であった。
「ブーバーン、大地の怒り!」
ブーバーンは大地を震撼させ、その怒りを解き放つかのように大量の土砂を噴射した。そしてそんなことをすれば勿論、地中にいたテッカニンは無理やり地上に引っ張り出されることになる。
テッカニンは飛行タイプも併せ持つためダメージこそ受けないが、土砂と一緒に吹き出されたために身動きが取れない。いや、まったく取れないわけではないが、動きが鈍るのは確かで、そこが隙となる。
そしてその隙を狙っていたのが、他でもないザキ。この一瞬の好機を、逃すはずがない。
「終わりだ! ブーバーン、オーバーヒート!」
ブーバーンは再び大火力の爆炎を放ち、噴き上げた土砂を炎で包み込む。
何分、砂と炎という相性のため、炎は比較的早く鎮火してしまったが、それでもテッカニンを戦闘不能にするのには十分な炎だった。
「ふぅ……戻りなさい、テッカニン」
息を吐いて、レイはテッカニンをボールに戻す。これでレイの手持ちは、残り一体。
「……これで最後、ですか」
レイは残った一つのボールをしばし見つめ、構える。
「それでは。おいでなさい、レジュリア!」
レイの最後のポケモン、レジュリア。スリムな体型の女性的な容姿を持つポケモンだ。
「最後はレジュリアか。なら、ブーバーンが有利、一気に決めるぞ。オーバーヒート!」
ブーバーンは、火力は落ちているものの強力な爆炎を発射。燃え盛る炎がレジュリアに襲い掛かるが、
「レジュリア、アイスバーン!」
手を振り、放たれた冷気の爆発がオーバーヒートを消し去ってしまった。
「なっ……!」
流石にザキも驚きを禁じ得ない。いくらテッカニンを倒すのに使い、火力が半減しているとはいえ、ブーバーンのオーバーヒートを氷技で完全に相殺されるなど。
驚くザキを余所に、レジュリアは動き出す。
「気合球です!」
掌に生成した球体をブーバーン目掛けて発射。潜るで素早さが下がっていたブーバーンは避けられずに直撃を受け、吹っ飛ばされた。
「ブーバーン!」
テッカニン戦で消耗していたこともあり、ブーバーンは戦闘不能となった。
これでザキの手持ちも残り一体となり、この戦いも、もうすぐ幕を降ろす——
今回も前回に引き続き、ザキ対レイです。思えばレイって不遇ですね。殴られたり髪燃やされたり。書いたのは僕ですが。物語もいいところまで来ましたし、人気投票でもやっていいかなーと思ったりしますが、投票数が少なすぎて話にならなさそうなのでやめます。ただ、コメントなどでさりげなく教えて頂けると嬉しいです。さて次回は、また別の誰か……といっても、順番的にはミキ対フレイになるでしょうが。それでは次回もお楽しみに。
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