二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——完結——
日時: 2013/04/14 15:29
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=21394

 今作品は前作である『ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄』の続きです。時間としては前作の一年後となっておりまして、舞台はイッシュの東側がメインとなります。なお、前作は原作通りの進行でしたが、今作は原作でいうクリア後なので、オリジナリティを重視しようと思います。
 今作品ではイッシュ以外のポケモンも登場し、また非公式のポケモンも登場します。

 参照をクリックすれば前作に飛びます。

 では、英雄達の新しい冒険が始まります……

 皆様にお知らせです。
 以前企画した本小説の人気投票の集計が終わったので、早速発表したいと思います。
 投票結果は、
総合部門>>819
味方サイド部門>>820
プラズマ団部門>>821
ポケモン部門>>822
 となっています。
 皆様、投票ありがとうございました。残り僅かですが、これからも本小説をよろしくお願いします。

登場人物紹介等  
味方side>>28  
敵対side>>29
PDOside>>51
他軍勢side>>52
オリ技>>30
用語集>>624

目次

プロローグ
>>1
第一幕 旅路
>>8 >>11 >>15 >>17
第二幕 帰還
>>18 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27
第三幕 組織
>>32 >>36 >>39 >>40 >>42 >>43 >>46 >>49 >>50 >>55 >>56 >>59 >>60
第四幕 勝負
>>61 >>62 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>72 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80
第五幕 迷宮
>>81 >>82 >>83 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90 >>92 >>93 >>95 >>97 >>100 >>101
第六幕 師弟
>>102 >>103 >>106 >>107 >>110 >>111 >>114 >>116 >>121 >>123 >>124 >>125 >>126 >>129
第七幕 攻防
>>131 >>135 >>136 >>139 >>143 >>144 >>149 >>151 >>152 >>153 >>154 >>155 >>157 >>158 >>159 >>161 >>164 >>165 >>168 >>169 >>170 >>171
第八幕 本気
>>174 >>177 >>178 >>180 >>184 >>185 >>188 >>189 >>190 >>191 >>194 >>195 >>196 >>197 >>204 >>205 >>206 >>207 >>211 >>213 >>219 >>223 >>225 >>228
第九幕 感情
>>229 >>233 >>234 >>239 >>244 >>247 >>252 >>256 >>259 >>262 >>263 >>264 >>265 >>266 >>269 >>270 >>281 >>284 >>289 >>290 >>291 >>292 >>293 >>296 >>298
第十幕 強襲
>>302 >>304 >>306 >>307 >>311 >>316 >>319 >>320 >>321 >>324 >>325 >>326 >>328 >>329 >>332 >>334 >>336 >>338 >>340 >>341 >>342 >>343 >>344 >>345 >>346
弟十一幕 奪還
>>348 >>353 >>354 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>376 >>377 >>378 >>379 >>380 >>381 >>382 >>383 >>391 >>393 >>394 >>397 >>398 >>399 >>400
第十二幕 救世
>>401 >>402 >>403 >>404 >>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>412 >>413 >>414 >>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>433 >>436 >>439 >>440 >>441 >>442 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447 >>450 >>451 >>452 >>453 >>454
第十三幕 救出
>>458 >>461 >>462 >>465 >>466 >>467 >>468 >>469 >>472 >>473 >>474 >>480 >>481 >>484 >>490 >>491 >>494 >>498 >>499 >>500 >>501 >>502
第十四幕 挑戦
>>506 >>511 >>513 >>514 >>517 >>520 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>534 >>535 >>536 >>540 >>541 >>542 >>545 >>548 >>549 >>550 >>551 >>552 >>553 >>556 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>568
第十五幕 依存
>>569 >>572 >>575 >>576 >>577 >>578 >>585 >>587 >>590 >>593 >>597 >>598 >>599 >>600 >>603 >>604 >>609 >>610 >>611 >>614 >>618 >>619 >>623 >>626 >>628 >>629 >>632 >>638 >>642 >>645 >>648 >>649 >>654
>>657 >>658 >>659 >>662 >>663 >>664 >>665 >>666 >>667 >>668 >>671 >>672 >>673 >>676 >>679 >>680 >>683 >>684 >>685 >>690 >>691 >>695

第十六幕 錯綜

一節 英雄
>>696 >>697 >>698 >>699 >>700 >>703 >>704 >>705 >>706 >>707 >>710 >>711
二節 苦難
>>716 >>719 >>720 >>723
三節 忠義
>>728 >>731 >>732 >>733
四節 思慕
>>734 >>735 >>736 >>739
五節 探究
>>742 >>743 >>744 >>747 >>748
六節 継承
>>749 >>750 >>753 >>754 >>755
七節 浮上
>>756

第十七幕 決戦

零節 都市
>>759 >>760 >>761 >>762
一節 毒邪
>>765 >>775 >>781 >>787
二節 焦炎
>>766 >>776 >>782 >>784 >>791 >>794 >>799 >>806
三節 森樹
>>767 >>777 >>783 >>785 >>793 >>807
四節 氷霧
>>768 >>778 >>786 >>790 >>792 >>800 >>808
五節 聖電
>>769 >>779 >>795 >>801 >>804 >>809
六節 神龍
>>772 >>798 >>811
七節 地縛
>>773 >>780 >>805 >>810 >>813 >>814 >>817
八節 黒幕 
>>774 >>812 >>818

最終幕 混濁
>>826 >>827 >>828 >>832 >>833 >>834 >>835 >>836 >>837 >>838 >>839 >>840 >>841 >>842 >>845 >>846 >>847 >>849 >>850 >>851
エピローグ
>>851

2012年冬の小説大会金賞受賞人気投票記念番外
『夢のドリームマッチ ver混濁 イリスvsリオvsフレイ 三者同時バトル』>>825



あとがき
>>852

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171



Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 ( No.489 )
日時: 2011/11/23 23:07
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

アイリス・女
容姿:小さな矮躯に褐色の肌。濃い紫色の髪を二つに結い、余った髪はそのまま流している。
性格:無邪気で好奇心旺盛な子供。しかしポケモンの腕はジムリーダーに匹敵するほど。
二つ名:龍の心を知る娘

手持ちポケモン

オノノクス:♀
技:ドラゴンクロー、シザークロス、辻斬り、燕返し
特性:型破り

Re: 381章 救助 ( No.490 )
日時: 2011/11/23 23:58
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「出て来て、ポリゴンZ!」
ミキが繰り出したのは、奇怪な姿のポケモンだった。
水色のラインが入った赤い楕円形の体、そこには細い水色の楕円が手として二本、足として一本くっ付いている。頭部も赤く、アンテナのような突起と水色の嘴がある。
バーチャルポケモン、ポリゴンZ。ノーマルタイプのポケモンだ。
「ポリゴンZか、面白いポケモンだね。さてそのポケモンがそう戦うのか……出て来い、フィニクス!」
ソンブラが繰り出すのは炎・ドラゴンタイプの不死鳥ポケモン、フィニクスだ。
「フィニクス、ドラゴンビート」
フィニクスは大きく息を吸い、龍の鼓動のような音波を咆哮の如く放つ。
「ポリゴンZ、バグノイズ!」
ドラゴンビートに対し、ポリゴンZも狂ったような音波を放つ。そして互いの音波がぶつかり合う。すると双方の音波はすぐさま消滅した。
音というものは逆位相の音で迎え撃つと容易く消える。それが分かってて、ミキはこの技を指示したのだ。
「へぇ、思ったより賢しい娘だね。じゃあフィニクス、ダイヤブラストだ!」
次にフィニクスは、宝石のように輝く白色の光線を発射した。
「ポリゴンZ、十万ボルト!」
ポリゴンZは高電圧の強力な電撃を放って光線と競り合う。しばらく拮抗状態が続いたが、威力はどちらも同じのようで、やがて双方とも相殺されて消えた。
「そこだよポリゴンZ、ハイドロポンプ!」
ポリゴンZは水色のパーツの先端をそれぞれ合わせ、そこに水の渦を作る。すると渦の勢いはだんだんと強くなっていき、最終的には小型の渦潮のようになる。
「発射!」
ミキの指示と同時に、渦から大量の水が放たれる。水は一直線にフィニクスに向かっていき、直撃すれば大ダメージだろうが
「フィニクス、迎え撃つよ。テラブレイズ!」
フィニクスは膨大な燃え盛る灼熱の業火を放つ。業火は一直線に向かって来る水流を飲み込み、一瞬にして蒸発させた。
「嘘……!?」
流石のミキも驚きを隠しきれない。ハイドロポンプは水タイプでトップクラスの威力を誇る技。タイプ一致ではないとはいえ、特攻特化型のポリゴンZが放ったのだ。そんな攻撃を炎技で完全に打ち消されるなんて思わないだろう。
「残念ながら、これは現実だ。フィニクス、もう一度テラブレイズ」
フィニクスは再度灼熱の業火を放つ。業火はポリゴンZを包囲する様に襲い掛かり、逃げること許さない。
「うぅ……ポリゴンZ、一か八か。破壊光線!」
ポリゴンZは襲い来る業火に、破壊の力を秘めた極太の光線を発射する。光線は確かに正面の炎を消し飛ばしたが、テラブレイズはポリゴンZを包囲する様に襲ってきた。なので残りの炎はそのままポリゴンZに襲い掛かり、その人工の体を燃やしていく。
「……ふうん。耐えるんだ」
炎が鎮火すると、そこには辛うじて立っているポリゴンZ。威力は相当なものだったろうが、破壊光線で消し飛ばした炎の分、ダメージが少なく済んだのだろう。
「ポリゴンZ、バグノイズ!」
「ドラゴンビート」
ポリゴンZはせめてもの反撃にと狂乱の音波を放つが、同時にフィニクスも龍の鼓動のような音波を放ってバグノイズを相殺する。
「音は逆位相の音で迎え撃つと消える……君のポリゴンZのバグノイズが、僕のフィニクスのドラゴンビートを打ち消せるなら、その逆も然り。当然の理だね。フィニクス、決めるよ。流星群!」
フィニクスは遠吠えのような大きな鳴き声を発する。すると次の瞬間、虚空より無数の隕石、流星が群れをなしてポリゴンZに降り注ぎ——

”切り裂け、正義の刃!”

全て、切り落とされた。
「! 誰だっ!」
ソンブラは突如出現し、流星の群れを全て切り裂いた影に向かって叫ぶ。するとその影は次第に姿を現していき、やがて全貌が明らかになる。
”我が名はコバルオン。愛弟子の危機を感じ馳せ参じたが……どうやら、それには英雄達が動いているようだな”
現れたのは鉄心の救世主、コバルオンだ。どうやら自らの弟子の危機を察して駆けつけ、その途中でイリスの弟子であるミキを見つけ、助けたようだ。
「えっと、あなたは……」
”貴様は英雄の弟子だろう、奴から聞いている”
「そ、そう……」
コバルオンの鋭い声に、ミキは少し引け腰になる。
「えーっと、何かな。つまり君は僕らの邪魔をしようと、そういうわけだね?」
”そう解釈しても構わない”
「単身で乗り込んでくるなんて、随分余裕だね。今回の作戦は確かに団員をあまり引き連れてはいないけど、7Pが二人動員されているんだよ」
”我の知る所ではない。それに、我は一人で乗り込んでなどいない”
「……? じゃあ、なんで君は一人でここに? まさか手分けして探していたのかい?」
”当たらず。不正解だ。我は仲間とともに、仲間を助けに来たのだ。救世主故にな”



”降り注げ、礫の雪崩!”
リオが深い闇を凝視していると、突然、威厳あるそんな声が聞こえ、次の瞬間、岩が雪崩れ落ちるような激しい音が響き渡った。
「な、なに……!?」
突然の事態にリオが混乱していると、黒い霧が晴れていく。
霧が完全に晴れた時、そこには倒れたファントマの姿、そして
”某の名はテラキオン、岩窟の救世主なり。愛弟子の、そして英雄殿達の危機を感じ助太刀に参った”
そこには、屈強な体を持つ救世主のポケモン、テラキオンの姿。
「……これは驚きました。まさか救世主のポケモンが出て来るとは」
エレクトロはファントマを戻し、次のボールを二つ取り出しながら言う。
「では、次からは貴方も参加ということでしょうか?」
”左様……名前は存じぬが、御主。構わんか?”
「勿論よ。ありがとう、助かるわ」
シャンデラもリオと同様に、体を揺らして返答する。
「……これは、少々面白い事になりましたね」
エレクトロは、静かに微笑した。



”切り結べ、草木の刀!”
マカドゥスがユニサスに飛び掛かったその時、マカドゥスは突如飛び出した謎の影に切り裂かれた。
「マカドゥス! ちっ、何モンだ!?」
声を荒げてフォレスが叫ぶ。するとその影はフォレスの向かい側、キリハの傍に立ち、その姿を現す。
”私の名はビリジオン。草原の救世主、と呼ばれています。この度は、愛弟子と、仲間達の救出に参りました”
影、ビリジオンはそう名乗り、自らの目的を告げる。
「救世主……イリス君が言ってたポケモン達か。僕を助けてくれる、っていうことかな?」
”そういうことになりますね”
ビリジオンは、務めて静かに返す。
「くっそ、また面倒なことになりやがった……!」
対するフォレスは、荒い語調で、もう一つのボールを握り込む。



今回はミキとソンブラのバトル、そして救世主三人組の登場です。前回出て来た影は彼らでした。ミキの下にはコバルオン、リオの下にはテラキオン、キリハの下にはビリジオンです。それぞれ敵とのバトルを手伝ってくれるのですが……それでどう勝負が転ぶかは、分かりません。ではあとがきはこの辺で、次回もお楽しみに。

Re: 382章 若駒 ( No.491 )
日時: 2011/11/24 22:51
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

”英雄の弟子よ、一つ頼まれてくれるか”
コバルオンはソンブラとの戦闘中、ふとミキにそう尋ねた。
「な、何を……?」
”我らが愛弟子を迎えに行ってやって貰いたい。何があったのか、今我らは奴と連絡が取れない状況にある。だから、貴様に奴の所へ向かって貰いたいのだ”
「それって、私である必要はないんじゃないかな……?」
ミキの意見に、コバルオンは首を横に振った。
”否。奴に何かあったとすれば、それは恐らく、我々では手の施しようがない事態だ。それに、貴様は英雄の弟子なのだろう。だったら我らの愛弟子と、通ずる所もあるやもしれん”
コバルオンは一旦フィニクスとの距離を取ると、ミキの横目で見て、言った。
”……頼まれてくれるか?”
「……了解」
ミキが踵を返して駆け出すのと同時に、それを察したソンブラのいにクスが逃がすまいと炎を放つ。しかしその炎は、コバルオンが解き放った鋼の波動により相殺される。
「……逃がしちゃったか。まあいいや。救世主の一体でも首を落とせば、手柄としては十分だろう」
”それは叶わぬ。何故なら、首を落とすのは我が刃で、落ちるのは貴様の首だからだ”
互いに睨み合い、そして同時に、動き出す。



「暗いなぁ……層が深くなってきたからかな。ラルトス、大丈夫?」
ミキは足元で発光しているラルトスにそう呼びかける。ラルトスは気丈に振舞っているが、疲れたのか、その光は弱まっている。
しかしそれとは反対に、先に進むにつれて洞窟の闇は深くなっていき、視界も悪い。
「うーん、このままじゃ何も見えない……出て来て、ゴルドー」
ミキは火の鳥ポケモンのゴルドーを出す。ゴルドーの炎で周囲は多少明るくなり、幾分かマシになった。
「さて、進もうか」
そう意気込んでアルミを進めたミキだが、しかしその意気込みはすぐに消失した。
理由は二つ。
一つは少し歩みを進めた所に、目的地と思われる泉が見えたから。
決して広いとは言えない、地底湖のような泉。湧き水だからか水は綺麗に澄んでいて、泉の底がはっきりと分かる。
聞いた話によるとこの泉は神秘の泉と呼ばれているらしい。
いつものミキならその美しい景観に感動を覚えるだろうが、もう一つの理由のせいでそれも消失する。

泉の水際に、倒れたプラズマ団が大量に積み重なっていたのだ。

「こ、これは……!?」
その驚愕の景色に違う意味で目を奪われていると、泉の中央付近から何かが歩み寄ってくる。
そう、歩んでいるのだ。水上を。
”……今度は誰……?”
聞こえてきたのは、気の弱そうな少年のような声。その声には不安感や不信感が募っているようで、なおかつ怯えたような印象も受ける。
声の次は、その姿が明らかになる。それは当然ながらポケモンで、まるで子馬のような姿だ。尻尾と襟元には鮮やかな水色の毛、頭部には雄々しい鬣。頭からは角の様な剣が生えている。
”僕に何の用……?”
弱々しくも威圧的に、そのポケモンは言った。
「……君は、救世主と呼ばれていたポケモン達の、弟子、だよね」
”師匠達を知ってるんだ……。……そう、僕はケルディオ。いつだったか師匠達に技を教わり、彼らが眠ってから今まで、ここで自己の鍛錬をしていたんだ”
「この人たちをやったのも、君なの?」
ミキは周囲に積み重なるプラズマ団——よく見ると普通のトレーナーもいる——を横目で見つつ、ケルディオに尋ねる。
”そうだよ。大丈夫、殺してはいない。気絶させて、眠らせただけだから”
「何でこんなことを?」
次なる質問に、ケルディオはしばし口を閉ざした、しかしやがて口を開き
”……そこの彼らは、物珍しさに、自分の栄誉のために、邪魔だから……そんな理由で、僕に近づいてきた。勿論、襲い掛かってきた。僕はそれを撃退しただけ。人間達の世辞には疎いけど、こういうのは正当防衛って言うんだと思うよ”
「……眠らせたっていうのは? さっき言ってたよね」
”昔、草原の救世主と呼ばれていた師匠に教わった技の、応用。彼らを逃がしたら、またやってくる。だったら、ここで眠らせておいた方がいい”
「……そう。まあ、それは君の方が大体正しいかな。ただ、ちょっとやりすぎな感じがあるけど」
善悪で言ったらこの場合の善はケルディオにあるので、ミキは咎めない。
恐らくその辺に積み重なっているプラズマ団は、先駆けしてケルディオの捕獲に乗り出したが返り討ちにされた団員だろう。
ミキは疑問を払拭し、本題に入る。
「今、君の事を狙っている組織がいる。私達はその組織と敵対していて、君を保護しに来たんだ。だから——」
”一緒に来てくれとでも言うの? だったらお断りだよ。そう言って僕に近づいてきた人間は何人もいる。もう、誰も信じられない”
「君の師匠に、君の事を頼まれてるの。君を迎えに行ってくれって」
”それはまた、新しい切り口だね。でも、もう僕は引っ掛からないよ。今まで一番上手い嘘を吐いた人間は、僕をこの岩場の入口付近まで連れて行った。でもそこで口を滑らせて今はその辺のどこかにいるはずだよ”
取り付く島もない。ケルディオは違った方向で、師匠達と同じく人間不信になっているようだ。
「聞いて、ケルディオ。君の師匠は今、戦っている。救世主だからそう簡単にやられないとは思うけど、結構ピンチな状況で——」
”しつこい!”
ついに怒り出したケルディオは、大量の水を噴射してミキを威嚇する。
”もう人間は信用ならない。師匠達も人間を見限っている。今日はたくさん人間が来た。全部返り討ちにした。だからもう疲れた。本当は休みたいし戦いたくないけど、あんまりしつこいようならその辺に積み重なっている人間とおなじ目に遭わせるよ”
「せめて話しさえ聞いてくれれば……!」
しばし考え込んだが、こうなれば実力行使しかないと結論に至った。
「分かった。じゃあ勝負しようか。君が勝てば私を好きにしていい。私が勝てば、私の話を聞いてもらう。それで配当は決定だね」
ミキはボールを構え、目の前に佇む若駒を見据える。



今回は遂に救世主の愛弟子、ケルディオの登場です。ケルディオはまだゲームで未登場なので、設定等にはいくつか捏造部分が含まれていますが、ご了承ください。ちなみに神秘の泉と言うのは僕が半分適当に考えました。コバルオンが導の間、テラキオンが試練の室、ビリジオンが思索の原、なのでそれになぞらえてそれっぽいものにしてみました。では次回はミキとケルディオのバトル。ミキはケルディオの心を開く事ができるのか。次回もお楽しみに。

Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 ( No.492 )
日時: 2011/11/26 21:40
名前: プッツンプリン (ID: 50PasCpc)

ゲルディオが登場しましたか、
古生代ポケモン、救世主と登場したいうことは、
あの音符ちゃんもでてくるのでしょうか。
そういえば、この作戦は、7P全員動員されてるのでしょうか
見たところ、フレイが自爆で離脱、アシドが最弱の宿命、存在感の消滅、
エレクトロ、ドラン、フォレスが交戦中、レイとガイアがまだ出ていませんね。まぁガイアはフレイが居るような事をいっていたような気がしましたが

Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 ( No.493 )
日時: 2011/11/26 23:39
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

プッツンプリンさん

はい、遂にケルディオの登場です。
一応、イッシュのポケモンは登場、未登場関わらず全て出す予定ですので、彼女も何らかの形で登場するでしょう。
この作戦は重要ですが、裏設定としては全員が動員されているわけではなかったりします。
ガイアはそのうち出てくるでしょうが、レイはコバルオン達によって壊滅させられた予備基地の収拾に充てられている、という設定です。まあ、どうでもいいですけど。


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