二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——完結——
日時: 2013/04/14 15:29
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=21394

 今作品は前作である『ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄』の続きです。時間としては前作の一年後となっておりまして、舞台はイッシュの東側がメインとなります。なお、前作は原作通りの進行でしたが、今作は原作でいうクリア後なので、オリジナリティを重視しようと思います。
 今作品ではイッシュ以外のポケモンも登場し、また非公式のポケモンも登場します。

 参照をクリックすれば前作に飛びます。

 では、英雄達の新しい冒険が始まります……

 皆様にお知らせです。
 以前企画した本小説の人気投票の集計が終わったので、早速発表したいと思います。
 投票結果は、
総合部門>>819
味方サイド部門>>820
プラズマ団部門>>821
ポケモン部門>>822
 となっています。
 皆様、投票ありがとうございました。残り僅かですが、これからも本小説をよろしくお願いします。

登場人物紹介等  
味方side>>28  
敵対side>>29
PDOside>>51
他軍勢side>>52
オリ技>>30
用語集>>624

目次

プロローグ
>>1
第一幕 旅路
>>8 >>11 >>15 >>17
第二幕 帰還
>>18 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27
第三幕 組織
>>32 >>36 >>39 >>40 >>42 >>43 >>46 >>49 >>50 >>55 >>56 >>59 >>60
第四幕 勝負
>>61 >>62 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>72 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80
第五幕 迷宮
>>81 >>82 >>83 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90 >>92 >>93 >>95 >>97 >>100 >>101
第六幕 師弟
>>102 >>103 >>106 >>107 >>110 >>111 >>114 >>116 >>121 >>123 >>124 >>125 >>126 >>129
第七幕 攻防
>>131 >>135 >>136 >>139 >>143 >>144 >>149 >>151 >>152 >>153 >>154 >>155 >>157 >>158 >>159 >>161 >>164 >>165 >>168 >>169 >>170 >>171
第八幕 本気
>>174 >>177 >>178 >>180 >>184 >>185 >>188 >>189 >>190 >>191 >>194 >>195 >>196 >>197 >>204 >>205 >>206 >>207 >>211 >>213 >>219 >>223 >>225 >>228
第九幕 感情
>>229 >>233 >>234 >>239 >>244 >>247 >>252 >>256 >>259 >>262 >>263 >>264 >>265 >>266 >>269 >>270 >>281 >>284 >>289 >>290 >>291 >>292 >>293 >>296 >>298
第十幕 強襲
>>302 >>304 >>306 >>307 >>311 >>316 >>319 >>320 >>321 >>324 >>325 >>326 >>328 >>329 >>332 >>334 >>336 >>338 >>340 >>341 >>342 >>343 >>344 >>345 >>346
弟十一幕 奪還
>>348 >>353 >>354 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>376 >>377 >>378 >>379 >>380 >>381 >>382 >>383 >>391 >>393 >>394 >>397 >>398 >>399 >>400
第十二幕 救世
>>401 >>402 >>403 >>404 >>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>412 >>413 >>414 >>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>433 >>436 >>439 >>440 >>441 >>442 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447 >>450 >>451 >>452 >>453 >>454
第十三幕 救出
>>458 >>461 >>462 >>465 >>466 >>467 >>468 >>469 >>472 >>473 >>474 >>480 >>481 >>484 >>490 >>491 >>494 >>498 >>499 >>500 >>501 >>502
第十四幕 挑戦
>>506 >>511 >>513 >>514 >>517 >>520 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>534 >>535 >>536 >>540 >>541 >>542 >>545 >>548 >>549 >>550 >>551 >>552 >>553 >>556 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>568
第十五幕 依存
>>569 >>572 >>575 >>576 >>577 >>578 >>585 >>587 >>590 >>593 >>597 >>598 >>599 >>600 >>603 >>604 >>609 >>610 >>611 >>614 >>618 >>619 >>623 >>626 >>628 >>629 >>632 >>638 >>642 >>645 >>648 >>649 >>654
>>657 >>658 >>659 >>662 >>663 >>664 >>665 >>666 >>667 >>668 >>671 >>672 >>673 >>676 >>679 >>680 >>683 >>684 >>685 >>690 >>691 >>695

第十六幕 錯綜

一節 英雄
>>696 >>697 >>698 >>699 >>700 >>703 >>704 >>705 >>706 >>707 >>710 >>711
二節 苦難
>>716 >>719 >>720 >>723
三節 忠義
>>728 >>731 >>732 >>733
四節 思慕
>>734 >>735 >>736 >>739
五節 探究
>>742 >>743 >>744 >>747 >>748
六節 継承
>>749 >>750 >>753 >>754 >>755
七節 浮上
>>756

第十七幕 決戦

零節 都市
>>759 >>760 >>761 >>762
一節 毒邪
>>765 >>775 >>781 >>787
二節 焦炎
>>766 >>776 >>782 >>784 >>791 >>794 >>799 >>806
三節 森樹
>>767 >>777 >>783 >>785 >>793 >>807
四節 氷霧
>>768 >>778 >>786 >>790 >>792 >>800 >>808
五節 聖電
>>769 >>779 >>795 >>801 >>804 >>809
六節 神龍
>>772 >>798 >>811
七節 地縛
>>773 >>780 >>805 >>810 >>813 >>814 >>817
八節 黒幕 
>>774 >>812 >>818

最終幕 混濁
>>826 >>827 >>828 >>832 >>833 >>834 >>835 >>836 >>837 >>838 >>839 >>840 >>841 >>842 >>845 >>846 >>847 >>849 >>850 >>851
エピローグ
>>851

2012年冬の小説大会金賞受賞人気投票記念番外
『夢のドリームマッチ ver混濁 イリスvsリオvsフレイ 三者同時バトル』>>825



あとがき
>>852

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171



Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 ( No.449 )
日時: 2011/11/04 07:58
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

大光さん

イリゼは結構気まぐれなところがりますから、何となくでミヤマを向かわせたのでしょう。でもまあ、結果だけを見ればイリスも成長できる(はず)でしょうから。

Re: 362章 野火 ( No.450 )
日時: 2011/11/05 18:57
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「出て来い、メタゲラス!」
イリスの二番手は、鋼・地面タイプのメタゲラスだ。
毒は鋼で無効、地面で弱点を突けるため、モアドガスには攻防ともに有利だが
「イリスさん、わたくしのモアドガスの覚える技の一つをお忘れですか? モアドガス、大文字!」
モアドガスは大の字の巨大な炎を放つ。
そう、ミヤマは毒タイプ使い。なので毒技を無効化する鋼タイプへの対策も、当然してあるのだ。
「忘れてなんていませんよ。メタゲラス、大地の怒りだ!」
メタゲラスは大地を踏み鳴らし、地面から大量の土砂を噴出する。
これが当たればモアドガスは大ダメージだろうが、しかし距離が遠くて当たらない。
だがそれでも構わない。何故ならイリスの思惑はモアドガスを攻撃することではないからだ。
「!? 炎が……!?」
メタゲラスが噴出した土砂は襲い掛かる大文字に降りかかり、炎を消していく。
野火に砂をかけて消すのと同じ要領だ。
「そこだメタゲラス、メガホーン!」
メタゲラスは剣のような角を構え、モアドガスに突進する。
「くぅ、ならばモアドガス、サイコバレットですわ!」
モアドガスは銃弾のような念動力を連射してメタゲラスを銃撃するが、メタゲラスの鋼鉄の装甲はそれらの銃弾を弾く。
そしてメタゲラスの強烈な一突きがモアドガスに突き刺さる、モアドガスは悪タイプも持ち合わせているので効果は半減されない。
「メタルブラスト!」
メタゲラスはメガホーンを喰らって怯んだモアドガスを、光線状になった大量の鋼を撃ち出して吹っ飛ばす。
「モアドガス!」
モアドガスは数秒の滞空時間後、地面に落下。三つの顔は全て目を回しており、戦闘不能だ。
「戻ってくださいませ、モアドガス」
ミヤマは慈愛に満ちた表情でモアドガスをボールに戻し、次のボールを構える。
「あなたの鋼は相当硬いようですが、ですがわたくしの鋼もなかなかですよ。それを今からお見せします。おいでませ、アーボスク!」
ミヤマの二番手は、コブラポケモンのアーボスク。顔のある胴体がやけに太い大蛇のようなポケモンだ。
「毒と鋼か。だったらメタゲラスの格好の獲物だ。メタゲラス、大地の怒り!」
メタゲラスは大地を踏み鳴らして大量の土砂を噴射する。
「アーボスク、とぐろを巻く」
アーボスクは太い胴体でとぐろを巻き、降り注ぐ土砂攻撃に備える。
アーボスクは土砂に埋まったものの、とぐろを巻くで物理能力と命中率を上げており、山のように積もった土砂から平然と飛び出す。
「効きませんわよ。アクアテール!」
アーボスクは尻尾に水を纏わせ、大きくジャンプしてメタゲラスの脳天にその尻尾を叩きつける。
「くぅ、メガホーン!」
メタゲラスは乗りかかるような体勢のアーボスクに角を突き出して引き剥がすが、効果は四分の一なので大したダメージはない。
「ストーンエッジ!」
「メタルブラストです」
メタゲラスが放つ無数の尖った岩を、アーボスクは大量の鋼を撃ち出して全て粉砕する。
「ドラゴンダイブ!」
そしてそのまま凄まじい殺気を発しながらメタゲラスに突撃。重量級のメタゲラスを吹っ飛ばした。
「メタゲラス!?」
流石にこれには驚いた。アーボスクも相当重いが、メタゲラスとは100kg以上の重量差があるので、吹っ飛ばすなんて芸当を容易ではないはずだ。
「くぅ、メタゲラス、大地の怒り!」
「アーボスク、とぐろを巻く」
メタゲラスは地面から大量の土砂を噴射するが、アーボスクはとぐろを巻いてその攻撃を耐え切る。
「メタルブラスト!」
メタゲラスは土砂に埋まったアーボスクに向かって大量の鋼を撃ち出す。するとアーボスクを埋めていた山のような土砂は吹き飛んだが、アーボスクは平然としていた。
「ふふ、その程度じゃ効果はありませんわよ。このアーボスクはモアドガス同様、防御方面に特化させております。ですが悪タイプのモアドガスより鋼タイプのアーボスクの方が防御力は上、さらにとぐろを巻くという物理防御を高める技を覚えさせることにより、より一層防御に磨きが掛かりました。今のアーボスクは、少々の攻撃ではやられませんよ」
確かにミヤマのアーボスクは硬い。それはイリス、いやメタゲラスが最もよく分かっている事だ。
「そして勿論、攻撃面もモアドガスより上です。アーボスク、ドラゴンダイブ!」
アーボスクは凄まじい殺気を発しながらメタゲラスに突撃する。
「メタゲラス、大地の怒り!」
メタゲラスは大地を踏み鳴らして地面から大量の土砂を噴出し、アーボスクの攻撃を止めようとするが、アーボスクは止まらない。
「くっそ、だったらメガホーンだ!」
止まらないなら迎え撃つ。ということでメタゲラスは角を構え、突っ込んでくるアーボスクを迎え撃つように突進する。
両者激しくぶつかり合うが、しかし競り合うような事はなく、結果としてメタゲラスが呆気なく押し負けた。
「そこですわ、アクアテール!」
アーボスクは水を纏わせた尻尾を、地面に落下したメタゲラスに振り下ろし、叩き込む。
「これで終了です。メタルブラスト!」
アーボスクは尻尾を叩きつけた反動を利用して上空へと跳び、上からメタゲラスに大量の鋼を放つ。
「メタゲラス!」
メタルブラストの直撃を受けたメタゲラスは、またも吹っ飛ばされ、地面を転がる。
最終的に仰向けになったメタゲラスは、完全に目を回しており、戦闘不能だった。
「くっ、戻れメタゲラス」
イリスはメタゲラスをボールに戻す。
毒タイプ使いのミヤマに対して、攻撃面で有利な地面タイプ、防御面で有利な鋼タイプ、その両方を兼ね備えたメタゲラスを失うのは、大きな損失だ。
「……でも、そんなこと嘆いたってしょうがない。メタゲラスの頑張りを、無駄にせず次に繋げる」
イリスは次なるボールを握り締め、ミヤマとアーボスクを見据える。



今回はイリス対ミヤマ、その二です。イリスの二番手、メタゲラスはモアドガスを下し、アーボスクと奮戦しますが、あえなくアーボスクには敗れてしまいます。モアドガスとのバトルを読めば分かるでしょうが、イリスのメタゲラスは大地の怒りを使うことにより苦手な炎タイプ技を克服しています。具体的には大地の怒りで噴射した土砂を炎に降りかけて炎を消します。今回描写したように、野火を砂で消すのと同じです。では次回はイリス対ミヤマ、その三です。お楽しみに。

Re: 363章 頑強 ( No.451 )
日時: 2011/11/04 20:00
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「出て来い、ディザソル!」
イリスの三番手はディザソルだ。
素早い動きで撹乱しつつ、怒りの炎で弱点を突く作戦だ。
「行くぞディザソル、まずは神速だ!」
ディザソルは神の如きスピードでアーボスクに突撃する。しかし硬い鋼タイプのアーボスク、それもとぐろを巻くで防御が上がっているアーボスクに、ノーマルタイプの技はほとんど効いていない。
「ツヴァイテール!」
ディザソルは激突した衝撃を利用して空中に跳ぶと、硬化させた刃のような二又の尻尾をアーボスクに叩きつける。
これも、効果は薄い。
「その程度では、アーボスクは倒せませんよ。アーボスク、アクアテール!」
アーボスクは尻尾に水を纏わせて薙ぎ払うが、ディザソルは俊敏な動きでその攻撃をかわす。
「怒りの炎!」
ディザソルはアーボスクに接近したまま怒り狂ったように燃え盛る炎を出現させ、アーボスクを包み込む。
「アーボスク、お気になさらず。ドラゴンダイブですわ!」
アーボスクは燃え上がったまま凄まじい殺気を発し、ディザソルに向かって突っ込む。
「かわして怒りの炎!」
ディザソルはアーボスクの単調な突撃を事も無げにかわすと、再度憤怒の炎を放ってアーボスクを攻撃。
いくら防御の高いアーボスクでも、この炎は堪えるだろう。
実際、炎が消えたアーボスクの顔は、疲弊で満ちていた。
「もう一押しか……ディザソル、神速!」
ディザソルは超高速でアーボスクに突撃する。
「辻斬り!」
そしてそこから頭の二つの刃、尻尾の二つの刃、合計四つの刃でアーボスクの急所を四度切り裂く。
「くっ、アーボスク、アクアテールですわ!」
アーボスクは水を纏った尻尾を振り回してアブソルを引き剥がそうとするが、ディザソルはアーボスクに接近したままだ。
「メタルブラスト!」
アーボスクは口から光線状になった大量の鋼を撃ち出すも、ディザソルには当たらない。
「そろそろ決めるよディザソル、怒りの炎!」
ディザソルは怒り狂ったように燃え盛る憤怒の炎を放ち、アーボスクを炎で包み込む。
「アーボスク!」
するとアーボスクは遂に力尽き、その場に崩れ落ちて戦闘不能となる。
「……戻ってくださいませ、アーボスク」
ミヤマはモアドガスの時と同じように、慈愛に満ちた表情でアーボスクをボールに戻し、次のボールを構える。
「それでは、わたくしの次のポケモンをお見せしましょう。おいでませ、ニドキング!」
ミヤマの三番手は、紫色のゴツゴツした鎧のような体を持ち、背中には無数の棘、額にも一本の長い棘が生えている、怪獣のようなポケモン。ドリルポケモンのニドキングだ。
「行きますよ。ニドキング、ファイターショック!」
ニドキングは拳を握り、思い切り拳を振り抜いて衝撃波を飛ばす。
「懐かしい技が出たな……ディザソル、かわしてツヴァイテール!」
ディザソルは跳躍して衝撃波をかわし、ニドキングに硬化させた尻尾の二連撃を喰らわせる。
「怒りの炎だ!」
ディザソルは一旦ニドキングから距離を取ると、憤怒の炎を出現させ、ニドキングへと放つ。
「ふふ、効きませんよ。ニドキング、大地の怒り!」
ニドキングは大地を踏み鳴らし、地面から大量の土砂を降り注いで怒りの炎を消し去ってしまう。
「これは……!」
「お分かりですよね。あなたの戦法、真似させて頂きましたわ」
相手の炎に噴射した土砂を降りかけて消す。イリスのメタゲラスが使う戦法だ。
ミヤマはたった一度それを見ただけで、完全に真似てしまった。
「一回でも見れば、十分すぎますわ。ニドキング、アイアンテール!」
ニドキングは太い尻尾を鋼鉄のように硬化させ、ディザソルに近づき振り回す。
「くっ、ディザソル、かわして怒りの炎!」
ディザソルは後ろに跳んで鋼鉄の尻尾をかわし、憤怒の炎を放つが
「大地の怒り!」
ニドキングは地面から大量の土砂を噴射し、炎に降りかけて消火する。
「お次はファイターショック!」
ニドキングは素早く拳を振り抜き、闘魂の衝撃波を飛ばす。
「ディザソル、神速!」
ディザソルは神の如き超高速で衝撃を回避し、そのままニドキングに突撃。しかしニドキングは、眉一つ動かさない。
「残念ながら、このニドキングも防御を重点的に育てていますの」
このニドキングも、先ほどのモアドガスやアーボスクのように硬いようだ。
「ですから、何度も言うように生半可な攻撃は効きませんよ。ニドキング、アイアンテール!」
「そうですか、ディザソル、ツヴァイテール!」
ニドキングが薙ぎ払うような軌道の鋼鉄の尻尾を、ディザソルがそれを突き上げるような軌道の硬い二又の尻尾をそれぞれ繰り出す。
しかしニドキングの尻尾は予想以上に重量があり、ディザソルは突き上げられず吹っ飛ばされてしまった。
「なっ……ディザソル!」
ディザソルは地面を激しく転がり、体勢を大きく崩してしまう。
「今ですわニドキング、ファイターショック!」
ニドキングは拳を振り抜いて強烈な衝撃波を飛ばし、ディザソルを攻撃。
まだ戦闘不能ではないようだが、大ダメージだ。もうほとんど体力は残っていないだろう。
「さて、これで止めですわ。ニドキング、ポイズンスピア!」
ニドキングはそのゴツイ体にしては素早い動きでディザソルに接近し、猛毒を帯びた長い角を突き刺す。
「ディザソル!」
ディザソルは痙攣したように大きく仰け反ると、バタリとその場に崩れ落ちる。
「遂に戦闘不能か。戻ってくれ、ディザソル」
イリスはディザソルをボールに戻す。
「さて、ニドキングか。毒と地面タイプ……」
イリスはしばし考え込み、次のボールを手に取る。
「やっぱここは、定石どおりに行くか。出て来い、エルレイド!」
イリスの四番手はエルレイド。エスパー技だけでなく、氷技も覚えているので地面タイプの弱点を突ける。
「ふふ、これはまた華奢なポケモンが出てきましたわね。……いいえ、見た目で判断してはなりませんわ。厳しさの中に優しさ、穏やかさの中に激しさを持ち合わせている……」
ミヤマは思い出すように呟く。
「それでは今度こそ本当の、激しい毒の嵐、とくと味わってくださいまし!」
「善処しますよ」
燃えているミヤマの言葉を、クールに返すイリス。
なにはともあれ、ここからが、ミヤマの本領発揮ということとなる。



今回はイリス対ミヤマ、その三です。ミヤマの三番手は懐かしきニドキング。そして懐かしき技、ファイターショックを使用します。ミヤマのポケモンはここまで全て防御が高い設定ですけど、こうなると他のポケモンも全て硬いような気がしますね。まあ、どうなるかは次回以降のお楽しみです。では次回はイリス対ミヤマ、その四ですね。僕の見立てでは、次回、その次、そのまた次くらいで決着にすると思います。ですからあと三回ですね。では、次回もお楽しみに。

Re: 364章 父母 ( No.452 )
日時: 2011/11/04 21:01
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「行くぞエルレイド、アイスブレード!」
エルレイドは両肘の刃を氷結させ、ニドキングに斬り掛かる。
「ニドキング、ポイズンスピア!」
ニドキングは自身が切り裂かれるのも厭わないかのように、毒を帯びた長い角を突き出す。
結果、エルレイドの刃はニドキングを切り裂いたが、ニドキングの角もエルレイドの体に突き刺さった。
「くっ、エルレイド、サイコカッター!」
エルレイドは返す刀で念動力を纏わせた刃を振り、ニドキングを切り裂く。
「ドレインパンチだ!」
さらにニドキングの懐へと素早く潜り込むと、淡く発光した拳を腹に叩き込む。
流石のニドキングも腹部への攻撃は効くのか、少しよろけてしまい、その隙にエルレイドは一旦ニドキングから距離を取る。
「よし、とりあえずは一定距離を保ったままにして、攻撃時に接近。すぐに身を退くのが最善かな。エルレイド、サイコカッター!」
エルレイドは肘を振り、刃状の念動力を高速で飛ばす。
ニドキングは突撃などのスピードはそこそこ高いが、小回りは利かない。なのでその刃も避けれずに切り裂かれる。
「リーフブレード!」
そしてエルレイドはその隙にニドキングに接近し、草木の力を宿した刃で切り裂く。
「くぅ、ニドキング、アイアンテール!」
ニドキングは鋼鉄のように硬化させた尻尾を薙ぎ払うように振るが、エルレイドは素早く後方に跳び退ってその攻撃を回避する。
「ならば、ファイターショックですわ!」
ニドキングは拳を振り抜いて強烈な衝撃波を飛ばすが、これもエルレイドには当たらない。
「エルレイド、連続でサイコカッター!」
エルレイドはとにかく念動力の刃を無数に飛ばす。
ニドキングは単発のサイコカッターも避けられないのに、これだけの量の刃を回避するなんて不可能だ。なのでニドキングは、その数多の刃に切り刻まれた。
「アイスブレード!」
エルレイドはそんなニドキングの隙を見つけては接近し、氷結した刃で切り裂く。効果抜群なので、結構効いているだろう。
「もう一発、ドレインパンチ!」
エルレイドは体を屈めて、ニドキングの顎に淡く光る拳をアッパーカットのように叩き込む。
ニドキングは重量があるので吹っ飛びこそしなかったが、大きく仰け反った。
「さらに一発!」
そしてその隙をイリスが逃すわけもなく、エルレイドは再度淡く光る拳をニドキングに叩き込む。
しかし

「ニドキング、大地の怒り!」

ニドキングはエルレイドの拳を受け止めると、エルレイドの手を掴んだまま大地を踏み鳴らしてエルレイドの真下の地面から大量の土砂を噴出し、エルレイドを吹っ飛ばす。
「しまった……エルレイド!」
エルレイドは思わぬ反撃に受身も取れず、地面に叩きつけられるように落下した。
ニドキングの攻撃力はそれなりに高く、さらにこのニドキングの特性は同じ性別のポケモンと戦う時に攻撃力が上がる闘争心。それにタイプ一致も相まって、相当なダメージになっただろう。
「エ、エルレイド、大丈夫か?」
エルレイドは今の一撃で全身ズタボロになったが、なんとか立ち上がる。しかしそれでも、もはや満身創痍。気力だけで立っているようなものだ。
「あらあら、思いの外打たれ弱いのですね。その辺りは見た目通りですか……それではそろそろ決めましょう。ニドキング、ポイズンスピア!」
ニドキングは毒を帯びた長い角を突き出し、エルレイドへと突進する。
ニドキングは重量級だが、それは突進する場合に限っては非常に有利なのだ。何故なら重いということは、勢いさえつけば速度が増す。つまりありていに言えば、重さを速さに変換しているのだ。
「くぅ……エルレイド、サイコカッターだ!」
エルレイドは刃に念動力を纏わせ——ようにも、体力の限界が近いためか、その念動力が安定しない。
そうもたついている間にもニドキングは迫ってくる。その距離、約5m。
4m、3m、2m。
ニドキングはどんどん迫ってくるが、エルレイドの念動力は全く安定せず、これでは攻撃どころか防御もできない。
絶体絶命の危機。
ニドキングとの距離が遂に1mを切り、ニドキングの毒の角が、エルレイドの体に突き刺さる——

ガガガガガガガガッ!

——直前に、エルレイドの真正面で何かが弾けた。
ただ小気味良い音とともに、ニドキングが吹っ飛ばされたのだ。
「なっ!? ニドキング!」
地面に叩きつけられるように落下したニドキングは、どんな攻撃を受けたのか、腹部に無数の弾痕のような痕があるだけだった。
「……お戻りくださいませ、ニドキング」
ミヤマは先の二体のように、慈愛に満ちた表情で戦闘不能となったニドキングをボールに戻す。
「あなたがどのような技を使ったかは存じませんが、しかしわたくしのニドキングを倒すほどの大技である事は推測できます」
ミヤマは言う。
だが当のイリスも、エルレイドが新技を習得したらしい以上のことは分からない。
「父の無念は母が晴らす。ニドキングの遺恨は、このポケモンが引き継ぎます。おいでませ、ニドクイン!」
ミヤマの四番手は、ニドキングに似た、しかしニドキングと違って母性的なポケモン。体は青い鱗で覆われ、角は短く、女性的なシルエット。
ニドキングと同じドリルポケモンと分類されるポケモン、ニドクインだ。
「……へぇ、ニドキングと対になるポケモンか」
イリスは図鑑でエルレイドの新技を調べながら、ニドクインを見遣り、そう呟く。
「それでは参りますわ。怨恨織り交ぜた激しい毒の嵐を、とくと味わってくださいまし!」
本日三度目のミヤマの台詞。
それにイリスは
「父が来ようと母が来ようと、全部返り討ちにしてやりますよ。……、まあ、父親よりも母親の方がやりにくいかな」
ミヤマをけしかけてきたイリゼの事を思い出しながら、(分かり難いが)憤慨するのであった。



今回はイリス対ミヤマ、えーっと、その四ですね。エルレイドはミヤマのニドキングにやられそうになりますが、この土壇場で新技習得。ニドキングを撃退しましたが、お次はニドクインの登場です。ちなみにエルレイドの新技は一つではなかったりします。まあそれは次回ですね。エルレイドがニドキングを下した技はなんなのか。……まあそれは、ニドキングの傷跡を見ればおおよそ予想はつきますがね。ということで、次回もお楽しみに。

Re: 365章 慈愛 ( No.453 )
日時: 2011/11/04 22:43
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「ニドクイン、地震!」
ニドクインは大地を激しく揺さぶり、小規模な地震を引き起こす。
「エルレイド、かわしてアイスブレード!」
エルレイドは跳躍して地震を回避し、ニドクインを肩から脇腹にかけて袈裟懸けのような斬撃で切り裂く。
「マグナムパンチ!」
そしてすぐさま拳を構え、大砲のような破壊力でニドクインを吹っ飛ばす。
効果はいまひとつだが、結構効いている。
「くっ、思った以上にやりますわね……ならばニドクイン、サイコパンチ!」
ニドクインは拳に念動力を纏わせ、勢いよく振り抜いてロケットパンチのような拳を撃ち出す。
「切り裂け、アイスブレード!」
エルレイドは氷結した刃でサイコパンチを切り裂く。
「ニドクイン、ベノムクロー!」
ニドクインは猛毒を帯びた爪を構え、エルレイドに突っ込む。ニドクインもニドキング同様、重さを速さに変換しているので、結構なスピードだ。しかし
「エルレイド、影討ち!」
エルレイドは影を伸ばし、影の中に潜り込み、影を伝ってニドクインの背後に回る。
そして肘の刃による斬撃でニドクインを切り裂く。
「くぅ、ニドクインの攻撃が当たらないなんて……いえ、まだわたくしもニドクインも終わっていませんわ。ニドクイン、アサルトエス!」
ニドクインは相手をいたぶるかのような激しい拳を繰り出すが、エルレイドはそのデタラメな拳を全て捌く。
流石は格闘タイプ、そしてエスパータイプだ。
格闘の動体視力と反射神経、エスパーの予知と予測。その両方を使いこなす事によって、エルレイドは並大抵の接触技なら見切れる。
「マグナムパンチ!」
ニドクインが意地になって拳を繰り出す中、エルレイドは一瞬の隙を見つけて大砲のような拳を叩き込む。
「アイスブレード!」
そして氷結した刃による斬撃も追加。ニドクインの体力はどんどん削られていく。
「ニドクイン、こちらもやられっぱなしではいけませんわ。ベノムクロー!」
「残念、影討ちです」
ニドクインは猛毒を帯びた爪でエルレイドを引き裂こうとするが、エルレイドは影を伝ってニドクインの背後に回り、刃の一撃を入れる。
「さらに、マグナムパンチ!」
エルレイドはニドクインの背中に大砲のような拳を叩き込んで、吹っ飛ばす。
「ニドクイン、地震!」
ニドクインはなんとか立ち上がり、大地を揺さぶって地震を引き起こす。
「だから、当たりませんよ。エルレイド、アイスブレード」
エルレイドは跳躍して地震を回避。最初のようにニドクインを袈裟懸けのように切り裂く。
「次は恐らくマグナムパンチ……ならばニドクイン、ベノムクロー!」
ニドクインはマグナムパンチが放たれる前に猛毒の爪でエルレイドを引き裂こうとするが
「外れですよ、ミヤマさん。影討ち」
エルレイドは影に入り込み、猛毒の爪を回避。そしてニドクインの背後から出て来ると、ニドクインの背中を刃で切り裂く。
「くっ、ニドクイン、サイコパンチですわ!」
ニドクインはすぐさま振り向いて拳に念動力を纏わせたロケットパンチを放つが、エルレイドは簡単にその攻撃を避ける。
「そのニドクインは、これまでの例に漏れず防御が高いようですが、攻撃も高い。しかしそれも当たらなければ意味がありません。エルレイド、マグナムパンチ!」
エルレイドはニドクインのどてっ腹を思い切り殴りつける。
「影討ち!」
そしてすかさず背後に回って攻撃。
どんな生き物でも自分の背後に立たれては反撃が難しい。エルレイドはそれを利用し、相手からの反撃を受けないようにしているのだ。
「当たらなければ意味がない。確かにその通りですが、それなら当てればいい話ですわ。そのエルレイドはニドキングとの戦いで相当消耗しています、ならばあと一撃でも入れれば倒れるはず。ニドクイン、地震!」
ニドクインはエルレイドに背中を見せながら地面を激しく揺さぶり、地震を引き起こす。
「かわせ、エルレイド!」
だがエルレイドに地震は通用しない。セオリー通り真上に跳躍して地震を回避する。
「ふふ、掛かりましたわね」
しかしミヤマの表情は、笑っていた。
「どんなポケモンでも、地に足をつけているポケモンならば、跳べば完全に無防備な状態となる。その無防備となった所を、ニドクインの爪は狩りますわ。ベノムクロー!」
ニドクインは猛毒の爪を構え、落下するエルレイドを待つ。
エルレイドが落ちてきた時。それがニドクインが勝利する時なのだが
しかしその時は訪れなかった。

「エルレイド、サイコバレット!」

エルレイドは両肘の刃を振るい、そこから銃弾のような念動力を、無数に発射する。
「な……っ!?」
上空から放たれる銃弾は全てニドクインを撃ち抜き、ニドクインはその場に崩れ落ちる。
「これは……ニドキングを倒した技……!?」
「その通りですよ」
イリスはミヤマの言葉を肯定する。
つまりニドキングは、ポイズンスピアを決める直前に至近距離からのサイコバレットを喰らったようだ。
サイコバレットはエスパー技。毒タイプのニドキングやニドクインに耐えられるはずがない。
「……お戻りくださいませ、ニドクイン」
ミヤマは今までのポケモンと同様に、慈愛に満ちた表情でニドクインをボールに戻す。
これでミヤマのポケモンは、残り一体。
「……ふぅ、まさかこのポケモンを使うことになりますとは。聞いていた以上の力ですわね」
億劫そうにミヤマは溜息を吐き、ボールを構える。
「しかしバトルは全力を注ぐもの。ですからわたくしも、全力を出し切りますわ。おいでませ、コモラゴン!」
ミヤマの最後のポケモンは、毒トカゲポケモン、コモラゴン。
その巨躯はトカゲと言うより、もはや龍だ。
「またでかいのが出て来たな……でも、生憎そのポケモンは既に攻略済み。速攻で決めてやりますよ。エルレイド、サイコバレット!」
エルレイドは刃を振るい、念動力で生成された無数の銃弾を放つ——

「コモラゴン、龍の舞」

ヒュンッ、とコモラゴンが消えた。
「え……?」
そして次の瞬間、エルレイドの正面に、巨大なトカゲ……いや、龍が立っていた。
「ぶち壊す」
さらに次の瞬間、コモラゴンの巨大な拳が鉄槌のように振り下ろされ
「エルレイド!」
エルレイドは叩き潰された。
勿論比喩だが、そう思えるようなやられ様なのだ。
「くっ、戻れエルレイド……!」
イリスはエルレイドをボールに戻す。
「なんてスピードだ……攻撃力ならまだしも、あの巨体であのスピードはどう考えても——」
「それがわたくしのコモラゴンです」
ミヤマは、イリスの言葉を遮って言う。

「言っておきますが、わたくしのコモラゴンは、わたくしのポケモンの中で最も早いポケモンですわ」



さて、今回はイリス対ミヤマその五なんですが、色々書きたい時に限って本編が長く、多く書けないという……。まあ、そうですね、では要所だけを書きましょう。ミヤマの切り札、コモラゴンは超速いです。何故かは次回をお楽しみに。


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