二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——完結——
日時: 2013/04/14 15:29
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=21394

 今作品は前作である『ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄』の続きです。時間としては前作の一年後となっておりまして、舞台はイッシュの東側がメインとなります。なお、前作は原作通りの進行でしたが、今作は原作でいうクリア後なので、オリジナリティを重視しようと思います。
 今作品ではイッシュ以外のポケモンも登場し、また非公式のポケモンも登場します。

 参照をクリックすれば前作に飛びます。

 では、英雄達の新しい冒険が始まります……

 皆様にお知らせです。
 以前企画した本小説の人気投票の集計が終わったので、早速発表したいと思います。
 投票結果は、
総合部門>>819
味方サイド部門>>820
プラズマ団部門>>821
ポケモン部門>>822
 となっています。
 皆様、投票ありがとうございました。残り僅かですが、これからも本小説をよろしくお願いします。

登場人物紹介等  
味方side>>28  
敵対side>>29
PDOside>>51
他軍勢side>>52
オリ技>>30
用語集>>624

目次

プロローグ
>>1
第一幕 旅路
>>8 >>11 >>15 >>17
第二幕 帰還
>>18 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27
第三幕 組織
>>32 >>36 >>39 >>40 >>42 >>43 >>46 >>49 >>50 >>55 >>56 >>59 >>60
第四幕 勝負
>>61 >>62 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>72 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80
第五幕 迷宮
>>81 >>82 >>83 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90 >>92 >>93 >>95 >>97 >>100 >>101
第六幕 師弟
>>102 >>103 >>106 >>107 >>110 >>111 >>114 >>116 >>121 >>123 >>124 >>125 >>126 >>129
第七幕 攻防
>>131 >>135 >>136 >>139 >>143 >>144 >>149 >>151 >>152 >>153 >>154 >>155 >>157 >>158 >>159 >>161 >>164 >>165 >>168 >>169 >>170 >>171
第八幕 本気
>>174 >>177 >>178 >>180 >>184 >>185 >>188 >>189 >>190 >>191 >>194 >>195 >>196 >>197 >>204 >>205 >>206 >>207 >>211 >>213 >>219 >>223 >>225 >>228
第九幕 感情
>>229 >>233 >>234 >>239 >>244 >>247 >>252 >>256 >>259 >>262 >>263 >>264 >>265 >>266 >>269 >>270 >>281 >>284 >>289 >>290 >>291 >>292 >>293 >>296 >>298
第十幕 強襲
>>302 >>304 >>306 >>307 >>311 >>316 >>319 >>320 >>321 >>324 >>325 >>326 >>328 >>329 >>332 >>334 >>336 >>338 >>340 >>341 >>342 >>343 >>344 >>345 >>346
弟十一幕 奪還
>>348 >>353 >>354 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>376 >>377 >>378 >>379 >>380 >>381 >>382 >>383 >>391 >>393 >>394 >>397 >>398 >>399 >>400
第十二幕 救世
>>401 >>402 >>403 >>404 >>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>412 >>413 >>414 >>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>433 >>436 >>439 >>440 >>441 >>442 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447 >>450 >>451 >>452 >>453 >>454
第十三幕 救出
>>458 >>461 >>462 >>465 >>466 >>467 >>468 >>469 >>472 >>473 >>474 >>480 >>481 >>484 >>490 >>491 >>494 >>498 >>499 >>500 >>501 >>502
第十四幕 挑戦
>>506 >>511 >>513 >>514 >>517 >>520 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>534 >>535 >>536 >>540 >>541 >>542 >>545 >>548 >>549 >>550 >>551 >>552 >>553 >>556 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>568
第十五幕 依存
>>569 >>572 >>575 >>576 >>577 >>578 >>585 >>587 >>590 >>593 >>597 >>598 >>599 >>600 >>603 >>604 >>609 >>610 >>611 >>614 >>618 >>619 >>623 >>626 >>628 >>629 >>632 >>638 >>642 >>645 >>648 >>649 >>654
>>657 >>658 >>659 >>662 >>663 >>664 >>665 >>666 >>667 >>668 >>671 >>672 >>673 >>676 >>679 >>680 >>683 >>684 >>685 >>690 >>691 >>695

第十六幕 錯綜

一節 英雄
>>696 >>697 >>698 >>699 >>700 >>703 >>704 >>705 >>706 >>707 >>710 >>711
二節 苦難
>>716 >>719 >>720 >>723
三節 忠義
>>728 >>731 >>732 >>733
四節 思慕
>>734 >>735 >>736 >>739
五節 探究
>>742 >>743 >>744 >>747 >>748
六節 継承
>>749 >>750 >>753 >>754 >>755
七節 浮上
>>756

第十七幕 決戦

零節 都市
>>759 >>760 >>761 >>762
一節 毒邪
>>765 >>775 >>781 >>787
二節 焦炎
>>766 >>776 >>782 >>784 >>791 >>794 >>799 >>806
三節 森樹
>>767 >>777 >>783 >>785 >>793 >>807
四節 氷霧
>>768 >>778 >>786 >>790 >>792 >>800 >>808
五節 聖電
>>769 >>779 >>795 >>801 >>804 >>809
六節 神龍
>>772 >>798 >>811
七節 地縛
>>773 >>780 >>805 >>810 >>813 >>814 >>817
八節 黒幕 
>>774 >>812 >>818

最終幕 混濁
>>826 >>827 >>828 >>832 >>833 >>834 >>835 >>836 >>837 >>838 >>839 >>840 >>841 >>842 >>845 >>846 >>847 >>849 >>850 >>851
エピローグ
>>851

2012年冬の小説大会金賞受賞人気投票記念番外
『夢のドリームマッチ ver混濁 イリスvsリオvsフレイ 三者同時バトル』>>825



あとがき
>>852

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171



Re: 407章 積極的 ( No.545 )
日時: 2012/12/07 23:21
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「メタゲラス、大地の怒り!」
「メタグロス、地震です」
 メタゲラスが大地を鳴動させ、土砂を吹き出そうとするが、メタグロスの地震で相殺されてしまい、失敗に終わる。
「思念の頭突き」
「メガホーンで迎撃だ!」
 メタグロスは思念を頭に集中させ、宙に浮きながら突っ込んで来る。メタゲラスも角を構えて突進、メタグロスと激しく競り合う。
「地震攻撃」
 しかしメタグロスはすぐに切り替えしてきた。折り畳んだ足を一本元に戻し、勢いよく地面に叩き付けて地震を起こす。
 至近距離から強い衝撃波を喰らい、メタゲラスは大ダメージを受けるとともに、態勢も崩してしまう。そしてその隙に、メタグロスの追撃の手が伸びる。
「スプラッシュ」
 飛沫を散らしながら激しく渦巻く水流を纏った足をメタゲラスに叩き込む。弱点を突く連撃。どうやら、このメタグロス、かなり積極的なアタッカーのようだ。
「もう一度思念の頭突き。そしてスプラッシュです」
 メタグロスは態勢の崩れたメタゲラスに頭突きを決め、怯ませてから飛沫を上げた一撃で吹っ飛ばす。
「メタルブラスト」
 さらに追い打ちで光線状の鋼を発射。メタゲラスはさらに吹っ飛ばされる。
「やば……」
 出て来て早々、メタゲラスの体力はほとんど持っていかれてしまった。まさか最初からここまで強いポケモンが出て来るとは、イリスも予想していなかったようだ。
「強すぎるだろ、このメタグロス……!」
 体感的には、フレイのメタグロスよりも強い。アクティブな分、メタゲラスでは対応しにくいところがあるのだ。
「当然ですわ。メタグロスはアタクシの手持ちのナンバー2。単純な力だけなら一番……そしてアタクシの手持ち同士で戦わせたなら、相性的にメタグロスが最も強い……」
 どうやらカトレアの作戦は、最初に強いポケモンでこちらの戦力を削ぐことらしい。流石にエースは最後まで残しておくようだが。
「さあ、攻撃の手を緩めてはなりません。メタグロス、地震」
「くっ、メタゲラス、大地の怒り!」
 メタグロスが放つ地面を伝う衝撃波を、メタゲラスは大地の怒りで相殺する。
「もう一発、大地の怒り!」
 さらにメタゲラスは、間髪入れずにもう一度大地を揺るがし、地面から大量の土砂を吹き出す。
「スプラッシュ」
 だがメタグロスは動じることなく、その土砂を身に纏った水流で流すが、
「もう一発!」
 メタゲラスは三度目となる大地の怒りを放ち、再び大量の土砂を吹き出す。
 さしものメタグロスも、大地の怒り二発分の土砂は流せず、ダメージを受けてしまった。
「この隙に攻撃だ。メタルブラスト!」
 追撃として、メタゲラスの口腔から光線となった大量の鋼が発射され、メタグロスを撃ち抜く。
「一気に攻めるぞ! メガホーン!」
「させません。メタグロス、地震」
 角を構えて突貫してくるメタゲラスに対し、メタグロスは地面を大きく揺らし、強力な衝撃波でメタゲラスの動きを止めてしまう。
「スプラッシュ」
 さらにメタゲラスの動きが止まったところで、全身に水流を纏い、突撃する。効果は抜群だ。
「続けて思念の頭突き」
「そう何度も喰らってたまるか、メガホーン!」
 メタグロスは思念を集中させた頭突きを繰り出すが、同時にメタゲラスも角を勢いよく突出し、メタグロスを突き飛ばす。しかし、メタゲラスも思念の頭突きで後退した。
「メタグロス、メタルブラスト」
「メタゲラス、メタルブラスト!」
 メタグロスとメタゲラスが、同時に鋼エネルギーを発射する。しばらく双方ともに競り合っていたが、やがて両方とも打ち消された。しかし、
「メタルブラストです」
 切り返しが早かったのはカトレアのメタグロスだった。一撃目が相殺されると、素早く二撃目を発射し、メタゲラスを攻撃。さらに、
「そろそろ終わりにしましょうか。メタルブラスト」
 三撃目を発射し、メタゲラスを吹っ飛ばす。
 地面を盛大に転がったメタゲラスは、完全に目を回しており、戦闘不能だった。
「くっ……戻れ、メタゲラス」
 流石に圧倒的すぎる。技やスタイルの相性が悪かったとはいえ、メタゲラスの攻撃が通ったのは僅か三回。怒涛の攻撃により、こちらを攻撃に転じさせないこのメタグロスは、攻撃は最大の防御という格言を、そのまま体現しているかのようだ。
「あのメタグロスを突破するのに必要なのは、怒涛の連撃をかわせるスピードと、硬い装甲を破る高火力。それを併せ持つポケモンといったら……」
 イリスはしばし悩み、次なるボールを手に取る。
「本当はもっと後に出したかったけど、しょうがない。ここを突破できなきゃ、どっちみち後はないんだ。頼んだぞ、ディザソル!」
 イリスが繰り出すのは、悪タイプのディザソル。本来なら、悪タイプを弱点とするエスパータイプにぶつけたいが、現状このポケモンが、最も小さな被害でメタグロスを倒せると判断しての選択だ。
「ディザソル、怒りの炎!」
 ディザソルは大きく吠えると、周囲から怒り狂ったように燃え盛る炎を出現させ、メタグロスへと放つ。
「メタグロスにこの技があるのを、もうお忘れになって? スプラッシュ」
 そう、このメタグロスは厄介なことに、炎を打ち消すスプラッシュを覚えている。身に纏った水流で、怒りの炎も消火してしまった。
 しかし、まさか本当に、イリスがスプラッシュの存在を忘れていたなんてことが、あるはずがない。
「ディザソル、スプラッシュ!」
 ディザソルは攻撃後、メタグロスの動きが止まった一瞬のすきを見計らい、こちらも水流を纏った尻尾を、鋼鉄の体に叩き込んだ。
「さらに辻斬りだ!」
 加えて鎌による斬撃も行う。急所を切り裂いたのか、メタグロスは少し苦しそうな呻き声をあげた。
「そのメタグロスは強いし、連続攻撃を喰らったらひとたまりもない。けど、そんなメタグロスでも、突撃系の攻撃の後には隙ができる。その隙があれば、ディザソルなら攻められる! 怒りの炎!」
 攻撃後の僅かな隙を狙ったディザソルの連撃の締めは、怒りの炎だ。燃え盛る業火がメタグロスの体を包み込んでいく。
「…………」
 そしてメタグロスが焼かれていく様を、カトレアは無言で見つめていた。



最近、表現力は多少なりとも上がったと思うんですけど、そのせいで文字数制限がかかって、終わりが微妙になっている気がします。そんなことはともかく、今回はカトレア戦その二です。メタグロスの強さが半端ないです。イリスはこれをどう攻略するのか……って、今ディザソルが頑張ってますけど。では次回はカトレア戦その三。お楽しみに。

Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——再開します—— ( No.546 )
日時: 2012/12/08 02:19
名前: プツ男 (ID: EEdB3Qa9)

どもども!お久しぶりでございます!
夏休みが終わってから全く時間がなく、こちらを閲覧するまで頭が回りませんでした....
白黒さんのペースで、完結まで頑張ってくださいね!
応援しています!

ってギーマ戦終わっていましたね...何時の間にか四天王戦も最後のカトレア戦となっていますね
ディザソルさんの出番じゃないですか!と思ったのですけど、よく考えたら悪対策してくるエスパータイプなんていくらでもいましたね.....
ランクルスとかランクルスとかランクルスとか....おだのサメハダーが叩きになってしまっただ.....
カトレアさんの先発はメタグロス....ああ、某浴衣7Pを思い出しました(笑
メタグロスの反撃きますかね....?ミラーコートは確か使えないはずだし......
あれ?怒りの炎って物理でしたっけ?

Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——再開します—— ( No.547 )
日時: 2012/12/08 20:23
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

プツ男さん

 お久しぶりです。
 こちらも、高校入学辺りから、ほとんど更新できていませんでしたし、お気になさらず。
 正直、先々まで考えている脳内プロットでは、まだ結構長く続くんですが、なんとか完結させるよう、頑張りたいと思います。
 応援ありがとうございます。

 とりあえず、だらだらと引き伸ばしになってる四天王戦はさっさと進めてしまおうと思っています。
 そうなんですよ。カトレア戦でディザソルのターン、と思いきや気合球が飛んできます。まあ、その辺は使用ポケモンの都合でなんとでもなりますが。
 メタグロスが反撃に出るかは、次回明らかになります。
 怒りの炎は何故か物理技です。エフェクト見れば理由がわかりそうなものですけど……

Re: 408章 歪み ( No.548 )
日時: 2012/12/09 15:29
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「スプラッシュ」
 刹那、メタグロスを包んでいた炎が消し飛んだ。
 だがこれは、まだイリスの想定の範囲内。問題はここからどう動くかだ。
「メタグロス、メタルブラスト」
 メタグロスは光線状となった大量の鋼を発射する。
「神速だ!」
 だがその光線はディザソルには届かない。ディザソルはメタグロスの攻撃に合わせて地面を蹴り、鋼鉄の体に激突した。
「攻めるぞ。連続で辻斬り!」
 ディザソルは攻撃の手を休めることなく、メタグロスの鋼鉄のボディを幾度となく切り裂き、切り刻んでゆく。往復しながら、回りながら、飛び跳ねながら、その身体に傷をつけていく。
「よし、スプラッシュだ!」
 そして最後に、反撃し難いであろう背後から、水流を纏った尻尾をメタグロスに叩き付ける。大きく飛沫を散らし、メタグロスは前の足を一本折り畳むように倒れ込んだ——ように、イリスは見えた。
 しかし、

「メタグロス、回転してスプラッシュ」

 メタグロスは右前の足を拳のように固め、右後、左前の足を邪魔にならないよう折り畳み、残る左後の足を軸にして一回転——水流を纏った拳を、ディザソルに叩き込んだ。
「ディザソル!」
 予想外の反撃だった。このメタグロスなら真後ろにいる相手への反撃は、よくても地震くらいなものだと思っていた。しかし叩き込まれたのは、スプラッシュ。
 このメタグロス、切り返しがやたら速い。攻撃の際は休む間もなく攻め続け、受けても避けても二撃目が飛び、攻撃されても反撃される。このすぐに攻撃に移ることのできる力が、メタグロスの強さの秘訣のようだ。
「追撃なさい、メタルブラスト」
「くっ……怒りの炎!」
 メタグロスは追い打ちの鋼エネルギーを発射し、ディザソルは少しでも威力を弱めようと燃え盛る炎を、盾のように前方へ放つ。
 しかし結果は見えていた。メタルブラストが難なく炎を突き破り、ディザソルを撃ち抜いたのだ。
「もう一撃。メタルブラスト」
「神速!」
 メタグロスが第二射を発射するが、それよりも速く、ディザソルは動き、メタグロスに突撃する。
「一旦引け、ディザソル」
 しかしディザソルは追撃せずに、一歩後ろに下がった。すると予想的中というのか、飛沫を散らしながら、文字通りの鉄拳が目の前を通過していった。
「もう一度、神速!」
 再びディザソルは突っ込む。至近距離からの突撃を、攻撃が空振ったせいで後ろを向いているメタグロスに喰らわせる。
「メタグロス、もう一回転して引き剥がしなさい」
「ディザソル、跳べ!」
 メタグロスは再度回転して水流の拳を叩き込もうとするが、今度は上に逃げられる。そして、
「怒りの炎!」
 ディザソルは燃えたぎる業火を放ち、メタグロスを包み込む。メラメラと燃える炎は、確実に鋼鉄の体を焼いていき、炎による傷を負わせる。
「これでとどめだ、スプラッシュ!」
 そして最後に、全身全霊で水流を纏った尻尾を叩き込み、炎もろともメタグロスを吹っ飛ばす。
 火傷と今までのダメージが蓄積し、限界を迎えたメタグロスは、遂に戦闘不能となった。
「戻りなさい、メタグロス」
 カトレアはメタグロスをボールに戻すが、焦りや悔いの感情は見られない。
 それもそのはず、メタグロスはこちらの手持ちの一匹を戦闘不能、二匹に決して小さくない手傷を負わせているのだから、十分な働きをしたと言えるだろう。
 カトレアは次のボールを手に取る、二番手を繰り出す。
「麗らかな時間を頂戴……フォリキー」
 カトレアの二番手は、未来予知ポケモン、フォリキー。ノーマル・エスパータイプで、キリンリキの進化系。尻尾の真っ黒な頭が特徴だ。
「フォリキー、瞑想」
 フォリキーは静かに目を閉じ、戦神を研ぎ澄まして特殊能力を上昇させる。能力を上げて、一気に攻め込む気なのだろうか。
「だったらディザソル、神速!」
 向こうが大技で来るのなら、こちらは手数で攻めるということで、ディザソルは超高速でフォリキーに突っ込んだが、
「ハイパーボイス」
 衝突間近というところで、大音量の声の衝撃波を喰らい、足を止めてしまった。
「くっ、まだだ! 怒りの炎!」
「ハイドロポンプ」
 ディザソルは負けじと燃え盛る炎を放つも、薙ぎ払うようにして放たれた水流でその炎は消され、ディザソルも大きく後退する。
「フォリキー、瞑想」
 しかしフォリキーは追撃するようなことはせず、瞑想してひたすら精神集中に励む。使用技からして、やはり大技で一気に決めるつもりなのだろう。
「ディザソル、怒りの炎だ!」
 ディザソルは大きく吠え、たぎる業火をフォリキーへと放つが、
「ハイドロポンプで迎え撃ちなさい」
 薙ぐようにして放たれた超高圧水流によって、またも消化される。
 だがしかし、二度も同じ手が通用するほど、イリスも馬鹿ではない。
「神速!」
 消火時に発生した煙に紛れ、ディザソルは神がかったスピードでフォリキーに突撃する。そして、
「辻斬りだ!」
 煙に身を隠しつつ、漆黒の鎌を振るい、フォリキーを切り裂かんとする。物理技で、効果抜群の攻撃だ。かなりの大ダメージが期待できる——

「フォリキー、ワンダールーム」

 その瞬間、空間が歪んだ。
 いや、イリスからは煙で視界が悪いから、ただの目の錯覚かもしれなかったが、一瞬だけ、ディザソルとフォリキーの周りの空間が、捻じれるように歪んだ気がしたのだ。
 だが、そんなことは後回しだ。今まさに、ディザソルがフォリキーの胴を切り裂いた。瞑想の影響を受けない物理技で、効果抜群。これで急所にでも当たれば儲けもの。倒れなくても、このまま一気に決めよう。そう思っていたのだが、しかし現実はその予想は大きく外れていた。
「フォリキー、ハイパーボイス」
 イリスは愕然とした。
 突如、フォリキーは大声を上げ、その衝撃波でディザソルを吹っ飛ばす。かなりの威力だ……いやいや、威力が高いのは、瞑想で能力を上げていたのだから当然だ。だからイリスが驚いているのは、そこではない。フォリキーがどこ吹く風で、悠然と立っていることだ。
「そんな、馬鹿な……」
 効果抜群の物理技、それも攻撃力の高いディザソルの技を受けて、ほとんどダメージが通っていないように見える。ノーダメージではないようだが、しかし効果は薄い。
「どうなっているんだ……!?」
 イリスが愕然と目を見開いているなか、カトレアは、超然とその場に佇んでいた。



さて、四天王カトレア戦その三です。なんていうか、あれですね。メタグロス強すぎですね。確かに強化後のカトレアの切り札ですが、これってもう、フレイのメタグロスより強いんじゃないですか?それはさておき、カトレアの二番手はフォリキー。読者の皆様にはもうからくりが分かってしまったと思いますが、なぜディザソルの攻撃がフォリキーに通じなかったのか。謎解きは次回、カトレア戦その四です。お楽しみに。

Re: 409章 空間 ( No.549 )
日時: 2012/12/10 13:40
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「瞑想です」
 ディザソルと距離を取ってから、フォリキーは再び目を瞑り、精神を研ぎ澄ます。
 だがそんな能力上昇なんかよりも、イリスには気がかりなことがある。
(さっきのフォリキーのダメージの少なさは、どう考えてもおかしい。決まりが浅かったとか、咄嗟に防御したとか、そんなレベルで片付けられるようなダメージ量じゃなかった。ほとんどノーダメージだ)
 兎にも角にも、その謎を解明しなければ、ディザソルに勝ち目はない。
「ディザソル、神速だ!」
 ディザソルは地面を蹴り、神がかった超スピードで突貫、フォリキーに激突するが、初撃よりも遥かに効き目は薄い。まるで防御力が上がっているようだ。
「辻斬り!」
 そのままディザソルは鎌でフォリキーを切り裂くが、やはりこちらもあまり効いていない。それも、さっきの辻斬りよりも効き目が薄いように見える。
「ハイパーボイス」
 フォリキーは大音量の声による衝撃波で、ディザソルを引き剥がす。
(なんだ、まるで瞑想で防御力を上げているみたいに効き目が薄いじゃない……か……?)
 そこで、イリスは気付いた。いや、一つの仮説に辿りついたと言うべきか。
「まさか……!」
「気付きましたか」
 焦るようなイリスとは対照的に、カトレアは静かに言葉を発する。
「フォリキーが先ほど使用した技は、ワンダールーム。空間を歪め、しばしの間、互いのポケモン防御と特防を入れ替えます」
 つまり、現在フォリキーは瞑想で特殊防御を高めている。しかしそれは、ワンダールームの効果で物理防御と入れ替わっているため、今のフォリキーは物理防御が上がっている状態となる。どうりで物理技の辻斬りや神速が効かないわけだ。
 しかし、からくりが分かればもう対処できる。
「ディザソル、交代だ。休んでてくれ」
 イリスはディザソルを戻し、別のボールを構えた。
「成程、確かにエスパータイプは特防より防御が低いポケモンが多い。それを積み技と変化技で補うなんて、凄い発想です。でもその作戦には穴がある」
 自信満々にボールを突き出したイリスは、そのボールを投げ、次なるポケモンを繰り出さんとする。
「それは、それで補えるのは物理防御だけだということ。一度入れ替えれば、しばらくはリセット不可能なはず。なら、今度は特殊技で攻めるだけです。出て来い、デンリュウ!」
 繰り出されたのは、出番は少ないものの、イリスの手持ちで一位二位の特殊攻撃力を誇るポケモン、デンリュウだ。
「フォリキーは今、防御は高いけど特防はそのままの状態なはず。だったら、高火力の特殊技で攻め落とす! デンリュウ、雷だ!」
 デンリュウは上空へと電撃を放ち、そこから轟く稲妻を、フォリキーへと落とす。
 当のフォリキーは鳴り響く轟音に驚いているのかなんなのか、黒い頭の尻尾をガチガチと鳴らし、数歩後退しただけだった。
 そして雷が、激しい稲妻が、フォリキーへと突き刺さる。
(もしこれで倒せないにしても、フォリキーは相当なダメージを喰らうはず。激流や深緑が発動したダイケンキとリーテイルには叶わないけど、それを除けばデンリュウの雷はは僕のポケモンの技の中で最も高火力な特殊技だ。そう簡単に耐えられるはずがない)
 そう思い、イリスはデンリュウに二撃目を放つ準備をさせていたのだが、しかし、イリスの予想はことごとく外れていく。

 突如、大量の水流が飛び、デンリュウを押し流した。

「なっ……デンリュウ!」
 その虚を突くような攻撃に、デンリュウはかなりのダメージを受けてしまう。瞑想で特攻を底上げしているのだから、当然と言えば当然だが。
「いや、それより、なんで……!?」
 そう、そんなことより、重要なのはさっきの攻撃だ。あんな精密かつ高威力の技を、すぐに切り替えして撃てるはずがない。デンリュウの雷の直撃を受けて、無事でいられるはずがない。そう思っていたのに、なぜかフォリキーは、ほとんどダメージなど受けていないかのようにピンピンしていた。
「な、なんでだ……」
「特別にお教えしましょうか」
 もはや絶望とも言えるような状況のイリスに対し、、カトレアはまるで、眠気を飛ばすためのお喋りをするように、言葉を発する。
「フォリキーの尻尾の頭は、闇をも喰らう。空間を削り取る口を有しています。それがあれば、歪んだ空間の一部を、元の状態に戻すことも簡単でしょう」
 それはつまり、フォリキーは自身が発生させたワンダールームを、自分の尻尾に喰わせて、一部分だけ削り取ったのだ。そして雷が当たる直前にその元に戻った空間に移動し、攻撃を受ける。戻った空間では、入れ替わった防御と特防も元に戻る。つまり特防が高い状態になるため、雷によるダメージは軽減された。
 雷が当たる直前に尻尾の口をガチガチさせたり、数歩だけ後ろに下がったのは、そのためだったようだ。
「ってことは、物理技も、特殊技も、効かないのか……!?」
 実際は全く効かないわけではないが、効果が薄いことは確かだろう。しかもフォリキーが使用する瞑想は、特攻も高める。そして攻撃能力はワンダールームの効果に干渉しないため、特攻が高まった状態で攻撃を撃てる。理解すれば、なんと恐ろしい作戦だろうか。
 ポケモンの特徴と技の効果を最大限に生かした戦術。心理的な読み合い長け、それを利用するギーマは勝負師としては超一流だが、それになぞらえて言えば、カトレアはトレーナーとして超一流だった。
「ふゎ……」
 カトレアは話を終えた後に、大きく欠伸をする。まるで、勝負に退屈しているかのように。
「……舐められっぱなしってのも、癪だよなぁ」
 そんなカトレアの姿を見て、イリスは静かに拳を握りしめるのだった。



四天王カトレア戦その四ですが、まだ二番手すら倒せていません。この戦い、意外と長引きそうです。というか今回、戦闘描写少ないな……それはともかく、フォリキー強くないですか? というかもう瞑想三回積んでるから、この時点でももう既にヤバいのに、ワンダールームとフォリキー自身のコンボで物理も特殊もダメージが通りにくい状況となっています。……こいつどうやって倒すんだろ……。まあ、彼のことだから、なんとか機転利かせて頑張ってくれるでしょう。そんな強敵フォリキー攻略は次回、カトレア戦その五です。お楽しみに。


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