二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——完結——
日時: 2013/04/14 15:29
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=21394

 今作品は前作である『ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄』の続きです。時間としては前作の一年後となっておりまして、舞台はイッシュの東側がメインとなります。なお、前作は原作通りの進行でしたが、今作は原作でいうクリア後なので、オリジナリティを重視しようと思います。
 今作品ではイッシュ以外のポケモンも登場し、また非公式のポケモンも登場します。

 参照をクリックすれば前作に飛びます。

 では、英雄達の新しい冒険が始まります……

 皆様にお知らせです。
 以前企画した本小説の人気投票の集計が終わったので、早速発表したいと思います。
 投票結果は、
総合部門>>819
味方サイド部門>>820
プラズマ団部門>>821
ポケモン部門>>822
 となっています。
 皆様、投票ありがとうございました。残り僅かですが、これからも本小説をよろしくお願いします。

登場人物紹介等  
味方side>>28  
敵対side>>29
PDOside>>51
他軍勢side>>52
オリ技>>30
用語集>>624

目次

プロローグ
>>1
第一幕 旅路
>>8 >>11 >>15 >>17
第二幕 帰還
>>18 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27
第三幕 組織
>>32 >>36 >>39 >>40 >>42 >>43 >>46 >>49 >>50 >>55 >>56 >>59 >>60
第四幕 勝負
>>61 >>62 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>72 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80
第五幕 迷宮
>>81 >>82 >>83 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90 >>92 >>93 >>95 >>97 >>100 >>101
第六幕 師弟
>>102 >>103 >>106 >>107 >>110 >>111 >>114 >>116 >>121 >>123 >>124 >>125 >>126 >>129
第七幕 攻防
>>131 >>135 >>136 >>139 >>143 >>144 >>149 >>151 >>152 >>153 >>154 >>155 >>157 >>158 >>159 >>161 >>164 >>165 >>168 >>169 >>170 >>171
第八幕 本気
>>174 >>177 >>178 >>180 >>184 >>185 >>188 >>189 >>190 >>191 >>194 >>195 >>196 >>197 >>204 >>205 >>206 >>207 >>211 >>213 >>219 >>223 >>225 >>228
第九幕 感情
>>229 >>233 >>234 >>239 >>244 >>247 >>252 >>256 >>259 >>262 >>263 >>264 >>265 >>266 >>269 >>270 >>281 >>284 >>289 >>290 >>291 >>292 >>293 >>296 >>298
第十幕 強襲
>>302 >>304 >>306 >>307 >>311 >>316 >>319 >>320 >>321 >>324 >>325 >>326 >>328 >>329 >>332 >>334 >>336 >>338 >>340 >>341 >>342 >>343 >>344 >>345 >>346
弟十一幕 奪還
>>348 >>353 >>354 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>376 >>377 >>378 >>379 >>380 >>381 >>382 >>383 >>391 >>393 >>394 >>397 >>398 >>399 >>400
第十二幕 救世
>>401 >>402 >>403 >>404 >>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>412 >>413 >>414 >>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>433 >>436 >>439 >>440 >>441 >>442 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447 >>450 >>451 >>452 >>453 >>454
第十三幕 救出
>>458 >>461 >>462 >>465 >>466 >>467 >>468 >>469 >>472 >>473 >>474 >>480 >>481 >>484 >>490 >>491 >>494 >>498 >>499 >>500 >>501 >>502
第十四幕 挑戦
>>506 >>511 >>513 >>514 >>517 >>520 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>534 >>535 >>536 >>540 >>541 >>542 >>545 >>548 >>549 >>550 >>551 >>552 >>553 >>556 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>568
第十五幕 依存
>>569 >>572 >>575 >>576 >>577 >>578 >>585 >>587 >>590 >>593 >>597 >>598 >>599 >>600 >>603 >>604 >>609 >>610 >>611 >>614 >>618 >>619 >>623 >>626 >>628 >>629 >>632 >>638 >>642 >>645 >>648 >>649 >>654
>>657 >>658 >>659 >>662 >>663 >>664 >>665 >>666 >>667 >>668 >>671 >>672 >>673 >>676 >>679 >>680 >>683 >>684 >>685 >>690 >>691 >>695

第十六幕 錯綜

一節 英雄
>>696 >>697 >>698 >>699 >>700 >>703 >>704 >>705 >>706 >>707 >>710 >>711
二節 苦難
>>716 >>719 >>720 >>723
三節 忠義
>>728 >>731 >>732 >>733
四節 思慕
>>734 >>735 >>736 >>739
五節 探究
>>742 >>743 >>744 >>747 >>748
六節 継承
>>749 >>750 >>753 >>754 >>755
七節 浮上
>>756

第十七幕 決戦

零節 都市
>>759 >>760 >>761 >>762
一節 毒邪
>>765 >>775 >>781 >>787
二節 焦炎
>>766 >>776 >>782 >>784 >>791 >>794 >>799 >>806
三節 森樹
>>767 >>777 >>783 >>785 >>793 >>807
四節 氷霧
>>768 >>778 >>786 >>790 >>792 >>800 >>808
五節 聖電
>>769 >>779 >>795 >>801 >>804 >>809
六節 神龍
>>772 >>798 >>811
七節 地縛
>>773 >>780 >>805 >>810 >>813 >>814 >>817
八節 黒幕 
>>774 >>812 >>818

最終幕 混濁
>>826 >>827 >>828 >>832 >>833 >>834 >>835 >>836 >>837 >>838 >>839 >>840 >>841 >>842 >>845 >>846 >>847 >>849 >>850 >>851
エピローグ
>>851

2012年冬の小説大会金賞受賞人気投票記念番外
『夢のドリームマッチ ver混濁 イリスvsリオvsフレイ 三者同時バトル』>>825



あとがき
>>852

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171



Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 ( No.374 )
日時: 2011/10/23 19:13
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: I7JGXvEN)

ゲーチス様初登場ですね。ガイアも暗躍してますね。
俺は7Pで一番好きなのはフレイかガイアですね。フレイはいい人オーラが出てる(気がする)し、ガイアは性格や口調が好きです。
それにしてもカセットが気になりますね。関係している古生代ポケモンは分かりますが、今後の展開にどう影響してくるのか…
アシドの「英雄のポケモンを使う」という言葉も気になります。
あとエレクトロはやっぱり強いですね。解放した時の序列一位の力は途轍もなさそうですね。
いずれにしても、今後の展開に期待です。

Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 ( No.375 )
日時: 2011/10/23 20:21
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

プッツンプリンさん

あのガイアがまさかの雑用です。まあ、集団行動ができない集団というキャッチコピーのプラズマ団ですから、部下を回収するのにも7P級の人が必要なのです。
その通りです。P2ラボは所詮は工房で、真の本拠地は別にあります。まあそれも後々明かされていくんですけどね。
設定の追加は構いません。


パーセンターさん

今まですっかり忘れてましたが、ゲーチス初登場です。ガイアも名目上は7Pのリーダーですので、ゲーチスに一番近い位置にいます。
フレイはこれを書くにあたって、真っ先に思いついたキャラです。逆にガイアは最後に思いついたんですよね……フレイはレドと真逆にしようと考えたのですが、ガイアはどうにも自分の中ではキャラが薄く……
カセットと古生代ポケモンはまだ先になりますが、アシドの言葉の真意はもうすぐ明らかに……と言っても、そんなに期待するほど大層なものでもないですが。
エレクトロはとにかく強いです。いつもは刻印と合わせて力を抑えていますから、本当に解放したら……大丈夫、きっと誰かが倒してくれます。序列一位のガイアも、まだまだ謎が多いキャラです。なのでその解放にも秘密が……

Re: 317章 部品 ( No.376 )
日時: 2011/10/23 21:16
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「くっ、コモラゴン……!」
ソンブラは悔しそうに、戦闘不能となったコモラゴンを見下ろす。
「……流石に、もう看過できないね」
不意に、ソンブラはそう言った。
「ゲーチス様も、エレクトロ様も、他の人達も、英雄にはまだ利用価値があるとか言ってるけど、もう限界だ。これ以上、自分の居場所を蹂躙されちゃあ、黙ってはいられない」
ソンブラはコモラゴンを戻したボールを、強く握り締める。
「聖電隊のモットーは、『全てを晒さない』。これは、自らの全力は早計に明かしてはいけないという意味だ」
確かに、エレクトロはいつもいつも、他の7Pが本気を出そうという時に現れては、止めにはいっていた。初めて解放を見せたのはエレクトロだったが、それでもいまいち全力を出しているという風にも見えなかった。
「だから僕もそれにならって、全力を抑えてきた……でも、もう我慢できない。プラズマ団を、僕達の居場所を踏み躙る君は、全力を持って叩き潰す!」
と、ソンブラが最後のボールを取り出す、その時だった

「コクジャク、電磁波」

どこからか微弱な、しかし人間一人を昏倒させるには十分な電磁波が放たれ、ソンブラの意識は闇に沈んだ。
即ち、倒れた。
「ったく、世話の掛かる奴だ。上司の命令も聞けないのか」
現れたのは、7Pフォレスと、そのポケモンであるコクジャク。
【仕方アルマイ。ソモソモ、全力ヲ見セナイトイウ『エレクトロ』ノ姿勢ガ異形ナノダ】
そしてもう一人、同じ7Pのドランだ。
「……7Pが二人も揃って、何のようだ」
フォレスはイリスの方を向くが、特に何も言わず、ポケットから携帯電話のような小型の機械を取り出す。
「ズルズキン、格闘と悪か……とりあえず、まずは二つか」
その機械を操作しながらフォレスは呟く。だがイリスには何を言っているのか不明だった。
「おい、一体何を——」
「うっせえな……わーったよ。今説明してやる」
フォレスは面倒そうに言う。
「俺達プラズマ団は今、古生代ポケモンというものを製造している真っ最中なんだ。このラボも、本当は俺らの拠点と言うより、工房だ」
「つまり、偽Nの情報はブラフだったと」
「そういうわけでもねえが、まあどう捉えようと構わん。で、その古生代ポケモンだが、こいつが曲者でな。そいつはカセットという部品みたいなのを装着しなきゃ、全力が出し切れねえのさ。カセットはいくつか種類があって、それぞれ効果が違うんだ」
フォレスは珍しく、長々と説明している。
「俺達は考えた。いっそカセットを一つに纏めてしまえばいいのじゃないかって。そしてその時から、数多にあるカセットの名称は、カートリッジとなり、それらを複合させた物をカセットと呼ぶことにした。俺達はカセットを作るべく、カートリッジを集めているんだが、そのカートリッジは全部で17ある……分かるか? ポケモンのタイプと同じ数あるんだ。で、俺達はポケモンからタイプごとに放出されている波動を集め、それを加工してカートリッジを作り、さらにそれを複合させてカセットを作る。ゲノセ……っと、古生代ポケモン自体はもうほとんど完成してるから、あとはカセットを作るだけだ」
フォレスは口を滑らせそうになるが、なんとか留まる。
「今んとこカートリッジは13個不足してる。だからその13タイプを収集するんだが——」
と、フォレスは手に持つ小型の機械をイリスに見せ付けた。
「これがその波動を収集する機械、名付けてPゲイザー。今お前のズルズキンから二つのタイプを収集したから、あと11だな」
なんだか知らぬ間に相手の計画が進んでいた。
話が長くなったが、つまりこのラボは重要ではあっても捨ててもいいような建物で、古生代ポケモンとやらの研究などが行われている。
そして今製造中なのが、カセットという古生代ポケモンには必須な部品。さらにそのカセットを作るためにはカートリッジが13個必要で、その13のカートリッジを作るためにフォレス達はポケモンから放出されるタイプごとの波動を集めていると。
「でも、それなら何で僕なんだ? お前らのポケモンを使った方が効率もいいだろうに」
確かにその通りだった。だがフォレスは間抜けに『あ、その手があったか』とか言ったりはしない。
「古生代ポケモンは対英雄用の兵器って名目で作られているからな。だったらお前のポケモンの力を使い、さらにそこに古生代ポケモンの力が加われば、お前よりも強くなるだろう?」
勿論そう単純な話でもないのだろうが、言いたいことは分かった。
そして、次にやることも。
「さあ、ばんばんポケモンを出してもらうぜ……コクジャク!」
【辛苦ヲ伝エヨ、『ワラガシラ』】
フォレスのコクジャクが下降し、ドランはワラガシラを繰り出す。
「7P二人……この状況は、きついな……!」
とイリスが思っていると

ズガァン!

爆音が響き渡り、P2ラボの壁は吹っ飛んでいた。
「な、何だ!?」
フォレスは慌てて吹っ飛んだ壁の方を見ると、そこには一つの人影があった。
「ムントさん……?」
それはムントだった。側には顎斧ポケモンのオノノクス。
「ちっ、こんな時に増援かよ。聞いてねえぞ。……?」
スッと、ドランが一歩前に出て、ムントに向かい合う。
「おいドラン……?」
フォレスがドランを呼びかけたその時

ドランの顔を覆うフードから、濁った藍色の光が迸る。

「お、おいドラン!」
フォレスは叫ぶが、ドランは全く相手にしない。
というか、ドランが解放した。
「……何がお前をそうさせたかは知らねえが、お前がその気ならそっちの奴はお前に任せる。英雄は、俺がやる」
言って、フォレスは左袖を捲くり、左腕に刻まれている、氷のような翼を露にする。刻印の形は、向き意外はフレイと全く同じだ。
「俺の左腕に刻まれているのは、キュレムの左翼。さあ、行くぜ」
そしてフォレスの左腕から、濁った緑色の光が放たれる。
「それじゃあ、プラズマ団の境界を、刻んでいくぜ」



今回はバトルのない回でした。フォレスはやたら長々と話していましたが、まあそんなに熱心に読まなくても構わないです。さらに最後の方ではムントが登場です。単独でP2ラボを探し、辿り着いたのです。そして7P、ドランが解放。ついでにフォレスも解放。次回はドランの意外な一面が見れるかも!?というわけで、次回もお楽しみに。

Re: 318章 驚愕 ( No.377 )
日時: 2011/10/23 22:10
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「さあ、頼んだぞ、サンダース」
戦闘不能になったハサーガを、アキラはボールに戻し、常時ボールから出ているサンダースをバトルに出す。
「何かと思えば、あのイーブイ?」
「覚えてるとは、意外だな。ああ、そうだよ。あの時のイーブイだよ」
アキラはリオと幼馴染。ならリオの実姉であるマオと面識があっても、当然のことだ。
「さあ行くぞサンダース、目覚めるパワー!」
サンダースは自分の周囲に青色の球体をいくつも浮かべ、ドレディアへと放つ。
「ドレディア、原始の息吹!」
ドレディアは太古の力が込められて息吹を放つが、目覚めるパワーを全て撃ち落すことはできず、その球体をいくつか喰らった。
「水……?」
球体を喰らったドレディアだが、しかしダメージはあまりなく、ドレディの体は濡れていた。
「そう、水。俺のサンダースの目覚めるパワーのタイプは水だ」
「へぇ。でも、水タイプじゃあ私のドレディには大したダメージは与えられないわよ?」
そのくらい、アキラにも分かっている。だからこれは、下準備でしかない。
「もう一度目覚めるパワー!」
サンダースはさっきよりも多量の球体を浮かべ、ドレディアを狙わず、とにかく乱射する。
「この程度の攻撃、いくら撃ち込んだって無意味よ。ドレディア、アクアボルト!」
ドレディアは電気を帯びた水を放つが、サンダースはかなり素早いポケモン。いとも簡単にその攻撃をかわす。
「だったらこれどうかしら? 花弁の舞!」
ドレディアは自分の周囲に無数の花弁を出現させ、それらを回転させながらサンダースへと放つ。
そして、瞬く間にサンダースは無数の花弁に包囲された。
無数の花弁はサンダースを切り刻もうと一斉に襲い掛かるが
「サンダース、ランチェーレ!」
サンダースは針のような鋭い体毛を一瞬で伸ばし、自らを防護する。
「雷だ!」
さらにそこに激しい落雷を落として、花弁を全て吹き飛ばす。
花弁の舞を完全に防いだアキラは、余裕の笑みを浮かべる。
「……いや、まだよ。花弁の舞は継続して放たれる。ドレディア、花弁の舞!」
ドレディアは再度無数の花弁出現させ——
「サンダース、雷!」
——る前に、サンダースが落とした落雷の直撃を受けた。
「ドレディア!」
ドレディの体は水で濡れていたため、より一層電流が通りやすくなっていて、雷がよく効く。
「終わりだ、破壊光線!」
そしてサンダースは、極太の光線を発射してドレディを吹っ飛ばす。
壁に叩きつけられたドレディア見ると、目を閉じて戦闘不能となっていた。
「くっ、こんな——」
マオが敗北に打ち震えていると、プツンと、糸が切れたようにその場に崩れ落ちた。
「!?」
そして倒れたマオの後ろには、ザンバとルナトーン。どうやらルナトーンが催眠術でマオを眠らせたようだ。
「タイムオーバーです。それに、一匹でもやられればバトルは終わりだと、エレクトロ様が仰っていました故……」
ザンバはそう呟きながら、ドレディアをボールに戻し、マオを抱えてルナトーンにしがみつく。
「お、おい!」
「私達はもう撤退します。それでは」
アキラを無視するように、ザンバはルナトーンとともに去っていった。



「君は龍の里——ソウリュウシティで会ったトレーナーだよね?」
少女とも少年とも取れる、変声期を迎えていないような子供の声が、イリスには聞こえた。
この場にいるのは、自分と、目の前のフォレス。乱入してきたムント。それからドラン。
この中に、子供などいない。いないのだが
「ここで会ったが百年目、なんて。まーこの前の続きをやろうよ。君もバトル大好きなんでしょ? なら——」
一拍置いて

「このドランが相手になってあげるよ」

「えぇえええええええええ!?」
イリスは絶叫した。かつてない驚愕に、絶叫した。
ドランはクルリとイリスの方を向き、言う。
「さっきからうるさいなぁ……英雄ちゃんは黙ってて」
「いやいやいや!お前ちょっとキャラ変わりすぎだろ!?」
どうやらこの子供のような声の主は、ドランのようだ。
しかし声は子供でも、見た目は変わらない。真っ黒なローブに身を包み、顔全体をフードで覆って、フードからは長い藍色の髪が垂れ下がっている。ちなみに身長は成人男性並み。
見た目がこんな不気味なのに、こんな声をされれば、ギャップというよりただただ気味悪いだけである。
「お、おい英雄。ドランばっか気にするな。お前の相手は俺だろ」
フォレスはそう言うが、それは『余所見をするな』というよりも、『あいつのことはあまり気にしないでやってくれ』と思って必死で話を逸らそうとしているようだった。
「で、どうするのかな? ドランの相手をする? しない?」
「……出て来い、ネクロシア」
ムントは、返答の代わりにポケモンを出すことでドランに答えを示す。
ムントが繰り出したポケモン、隙間ポケモンのネクロシアは、異形だった。一番上の悪魔のような頭は口に包帯を巻き、真ん中の黒い部分にも顔があり、腕も付いている。一番下にも目があるが、それよりも目を惹くのは鋭き鎌だった。
「ふうん、やっぱやるんだね。そうでなくっちゃ」
ドランも、ワラガシラに構えさせる。
「それじゃあ、プラズマ団の境界を、刻もうか」



今回は前半がアキラとマオのバトル。アキラはエースサンダースでドレディアを倒します。まあドレディアは連戦でしたし、しょうがないですか。そういえば関係ないですが、サンダースって変換するとたまに『三ダース』になるんですよね。鉛筆じゃあるまいし……まあ、炭素はよく電気を通しますが。後半は解放したドランの性格が明らかに。いやあ、凄いギャップですね、これ。もう僕、自分でこのキャラ作っておきながら、ドランが何かというのが分かんなくなってきました。でもドランは見た目が不気味なので、もはや恐ろしいキャラになっています。では次回からはムント対ドランのバトルも入りますので、お楽しみに。

Re: 319章 鹵獲 ( No.378 )
日時: 2011/10/23 23:15
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「ドルマイン、磁力線!」
「シャンデラ、サイコキネシス!」
ドルマインは強力な磁力の波でシャンデラを攻撃しようとするが、シャンデラは念動力でその波を相殺する。
「シャドーボム!」
「マインブラスト!」
シャンデラは黒い影の爆弾を発射するも、ドルマインが地雷のような爆発を起こしてその爆弾を破壊する。
「ドルマイン、十万ボルト!」
ドルマインは強力な電撃を放ち、シャンデラを攻撃。
「くっ、シャンデラ、大文字!」
シャンデラは大の字の巨大な炎を放ち、ドルマインを焼き尽くす。
だがそれでも、エレクトロのドルマインは倒れない。
「私のドルマインを甘く見てもらっては困りますよ。岩転がり!」
ドルマインは床に対して高速回転し、シャンデラへと向かって行く。
「シャンデラ、スタープリズム!」
シャンデラは冷気が詰まったガラス球を無数に降り注いでドルマインを攻撃するが、ドルマインは停止せず、シャンデラに激突する。
「もう一度です!」
ドルマインはそのまま折り返し、シャンデラに背後からもう一撃入れる。
「くぅ、シャンデラ、サイコキネシス!」
シャンデラは辺りにいくつもあるクロスが掛かったテーブルと椅子を念動力浮かべ、ドルマインに叩きつける。
「おやおや、物は大事に扱うべきですよ。ドルマイン!」
テーブルや椅子の下敷きになったドルマインだが、それらを跳ね飛ばして岩転がりを継続させる。
「シャンデラ、シャドーボム!」
シャンデラは影の爆弾をいくつもドルマインに放つが、ドルマインは止まらない。
「サイコキネシス!」
今度は直接念動力でドルマインを操作しようとするが、これもダメだ。ドルマインはすぐに念動力から脱し、シャンデラに突っ込む。
リオのシャンデラは相当強いが、しかし無尽蔵の体力があるわけではない。いつかは力尽きるのだ。
「ぐぅ……シャンデラ、大文字!」
シャンデラは折り返してくるドルマインに、大の字の巨大な炎を浴びせる。
するとやっとこそドルマンは止まった。
「ふふ、しかし私のドルマインは、止まっただけで行動を止めたわけではありません。ドルマイン、磁力線!」
「シャンデラ、サイコキネシス!」
ドルマインの磁力線を、シャンデラはサイコキネシスで操作し、逆にドルマインに当てる。
「スタープリズム!」
さらにこれ息が詰まったガラス球を無数に降り注ぎ、追撃。ドルマインの体力も減ってきた。
「そろそろ決めるよ、シャンデラ。大文字!」
「ドルマイン、迎え撃ちなさい。十万ボルト!」
シャンデラの業火と、ドルマインの電撃がぶつかり合い、火花を散らす。散った炎や雷が部屋のあちこちに飛び、テーブルや椅子を木っ端微塵に粉砕し、壁や床には大きな亀裂が入る。
そしていずれ、双方の技は混じり合い、爆発を起こす。
爆風とともに、二人の視界は煙で覆われていた。
「シャンデラ!」
煙が晴れると、シャンデラは倒れていた。いや、戦闘不能ではないようだが、数字で表せば残りHPは1以下の小数点だろう。もう戦闘不能と変わらない状態だ。
「……よくやりましたよ、ドルマイン」
だがドルマインは、完全に倒れていた。つまりこのバトルは、辛くもリオの勝利なのだが
「言い訳に聞こえるかもしれませんが、私とドルマインはまだ8割の力しか出していません。なので実質私の勝ちのようなもの……ふむ、この言葉はどうも小物に聞こえますね。では、こう言いましょう。私も貴方もまだ全てのポケモンは使っていない。なので次は、持てる力の全てを発揮して、戦いましょう」
エレクトロはドルマインをボールに戻すと。踵を返して去っていった。
この勝負、確かにリオの勝ちなのだが、総合的に見れば引き分けのようなものだろう。
リオは釈然としないまま、シャンデラらをボールに戻し、皆と合流することとした。



「フレイ殿!」
ザキとレイ、シルラとサーシャが戦う中、ハンゾウは音もなくその部屋に現れた。
二人はバトル中で、気付かない。
「あー、ハンゾウだー。来てくれたんだねー」
フレイは床を這いながら、ハンゾウに抱えてもらう。
「実は今すっげーピンチなんだー。レイは解放しちゃうしさー。あとでフォレスに怒られちゃうよー……」
「フレイ殿、自分の心配も必要ですが、現状は」
しゅんとするフレイはひとまず置いておき、ハンゾウはフレイにそう尋ねる。
「見ての通りだよー。本当はあたしも英雄のお弟子ちゃんとバトりたかったんだけどー、あのシスコン君がしっかり守ってて、近づけないよー」
フレイはレイと交戦中のザキを指差して言う。
「……でもあのシスコン君、妹ちゃんを助けるのに必死で妹ちゃんのポケモンのことなんて全然考えてないんだよねー」
フレイは浴衣の袖から三つ、もう片方の袖から三つ。合計六つのモンスターボールを取り出した。
「これが妹ちゃんのボールなんだけど、どうしよっかー?」
「……とりあえず、それが英雄の弟子の総力ならば、こちらがそれを鹵獲するのが得策かと」
「まあそうなんだけどさー」
フレイは間延びした口調で言う。
「なーんかそういうのって忍びないよねー……あ、でもハンゾウは忍者、忍だったねー」
そんなギャグを求めるハンゾウではなかったのだが、フレイは何が面白いのか、笑った。
「あたし個人としては返してもいいんだけどー、でも困らせたいって気もするしー……どうしよっかなー……こうしよっかなー?」
フレイは六つのボールのうち一つを適当に選び、懐に収め、残りはその場に落とした。
「んじゃ、この一体はあたし達が自由に使って、残りは妹ちゃんに返却しよっかー。これで向こうもあたし達からポケモンを取り戻すために、敵対せざるを得ないー。そんじゃ、あたしはやることやったし、ハンゾウ、適当にどっか連れてってー」
「……承知」
ハンゾウはフレイを抱え、音もなく消えた。




次回からはムント対ドランが〜とか言っておきながら、今回は前半にリオ対エレクトロのバトルです。ドルマインに苦戦するリオとシャンデラでしたが、なんとか勝利——引き分けまで持ち込みました。後半は一人残されたフレイの下に、ハンゾウが来ます。フレイはミキのポケモン六体のうち五体は返却(と言ってもその場に落としただけ)しますが、一体だけ鹵獲します。さて、この一体はなんなのか、それはいずれ明らかに。では、次回もお楽しみに。


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