二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——完結——
日時: 2013/04/14 15:29
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=21394

 今作品は前作である『ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄』の続きです。時間としては前作の一年後となっておりまして、舞台はイッシュの東側がメインとなります。なお、前作は原作通りの進行でしたが、今作は原作でいうクリア後なので、オリジナリティを重視しようと思います。
 今作品ではイッシュ以外のポケモンも登場し、また非公式のポケモンも登場します。

 参照をクリックすれば前作に飛びます。

 では、英雄達の新しい冒険が始まります……

 皆様にお知らせです。
 以前企画した本小説の人気投票の集計が終わったので、早速発表したいと思います。
 投票結果は、
総合部門>>819
味方サイド部門>>820
プラズマ団部門>>821
ポケモン部門>>822
 となっています。
 皆様、投票ありがとうございました。残り僅かですが、これからも本小説をよろしくお願いします。

登場人物紹介等  
味方side>>28  
敵対side>>29
PDOside>>51
他軍勢side>>52
オリ技>>30
用語集>>624

目次

プロローグ
>>1
第一幕 旅路
>>8 >>11 >>15 >>17
第二幕 帰還
>>18 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27
第三幕 組織
>>32 >>36 >>39 >>40 >>42 >>43 >>46 >>49 >>50 >>55 >>56 >>59 >>60
第四幕 勝負
>>61 >>62 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>72 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80
第五幕 迷宮
>>81 >>82 >>83 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90 >>92 >>93 >>95 >>97 >>100 >>101
第六幕 師弟
>>102 >>103 >>106 >>107 >>110 >>111 >>114 >>116 >>121 >>123 >>124 >>125 >>126 >>129
第七幕 攻防
>>131 >>135 >>136 >>139 >>143 >>144 >>149 >>151 >>152 >>153 >>154 >>155 >>157 >>158 >>159 >>161 >>164 >>165 >>168 >>169 >>170 >>171
第八幕 本気
>>174 >>177 >>178 >>180 >>184 >>185 >>188 >>189 >>190 >>191 >>194 >>195 >>196 >>197 >>204 >>205 >>206 >>207 >>211 >>213 >>219 >>223 >>225 >>228
第九幕 感情
>>229 >>233 >>234 >>239 >>244 >>247 >>252 >>256 >>259 >>262 >>263 >>264 >>265 >>266 >>269 >>270 >>281 >>284 >>289 >>290 >>291 >>292 >>293 >>296 >>298
第十幕 強襲
>>302 >>304 >>306 >>307 >>311 >>316 >>319 >>320 >>321 >>324 >>325 >>326 >>328 >>329 >>332 >>334 >>336 >>338 >>340 >>341 >>342 >>343 >>344 >>345 >>346
弟十一幕 奪還
>>348 >>353 >>354 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>376 >>377 >>378 >>379 >>380 >>381 >>382 >>383 >>391 >>393 >>394 >>397 >>398 >>399 >>400
第十二幕 救世
>>401 >>402 >>403 >>404 >>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>412 >>413 >>414 >>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>433 >>436 >>439 >>440 >>441 >>442 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447 >>450 >>451 >>452 >>453 >>454
第十三幕 救出
>>458 >>461 >>462 >>465 >>466 >>467 >>468 >>469 >>472 >>473 >>474 >>480 >>481 >>484 >>490 >>491 >>494 >>498 >>499 >>500 >>501 >>502
第十四幕 挑戦
>>506 >>511 >>513 >>514 >>517 >>520 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>534 >>535 >>536 >>540 >>541 >>542 >>545 >>548 >>549 >>550 >>551 >>552 >>553 >>556 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>568
第十五幕 依存
>>569 >>572 >>575 >>576 >>577 >>578 >>585 >>587 >>590 >>593 >>597 >>598 >>599 >>600 >>603 >>604 >>609 >>610 >>611 >>614 >>618 >>619 >>623 >>626 >>628 >>629 >>632 >>638 >>642 >>645 >>648 >>649 >>654
>>657 >>658 >>659 >>662 >>663 >>664 >>665 >>666 >>667 >>668 >>671 >>672 >>673 >>676 >>679 >>680 >>683 >>684 >>685 >>690 >>691 >>695

第十六幕 錯綜

一節 英雄
>>696 >>697 >>698 >>699 >>700 >>703 >>704 >>705 >>706 >>707 >>710 >>711
二節 苦難
>>716 >>719 >>720 >>723
三節 忠義
>>728 >>731 >>732 >>733
四節 思慕
>>734 >>735 >>736 >>739
五節 探究
>>742 >>743 >>744 >>747 >>748
六節 継承
>>749 >>750 >>753 >>754 >>755
七節 浮上
>>756

第十七幕 決戦

零節 都市
>>759 >>760 >>761 >>762
一節 毒邪
>>765 >>775 >>781 >>787
二節 焦炎
>>766 >>776 >>782 >>784 >>791 >>794 >>799 >>806
三節 森樹
>>767 >>777 >>783 >>785 >>793 >>807
四節 氷霧
>>768 >>778 >>786 >>790 >>792 >>800 >>808
五節 聖電
>>769 >>779 >>795 >>801 >>804 >>809
六節 神龍
>>772 >>798 >>811
七節 地縛
>>773 >>780 >>805 >>810 >>813 >>814 >>817
八節 黒幕 
>>774 >>812 >>818

最終幕 混濁
>>826 >>827 >>828 >>832 >>833 >>834 >>835 >>836 >>837 >>838 >>839 >>840 >>841 >>842 >>845 >>846 >>847 >>849 >>850 >>851
エピローグ
>>851

2012年冬の小説大会金賞受賞人気投票記念番外
『夢のドリームマッチ ver混濁 イリスvsリオvsフレイ 三者同時バトル』>>825



あとがき
>>852

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171



Re: 487章 世代 ( No.710 )
日時: 2013/02/23 08:02
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: u.mhi.ZN)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「勝った……?」
 ぽつりと、イリスは呟く。
 目の前には、倒れそうになりながらも体を支えているダイケンキ。そのずっと先には、伏せた姿勢で目を閉じているヒードラン。
 誰がどう見てもダイケンキの勝利だが、イリスにはその事実が呑み込めない。しかし、少しずつ、それを受け入れていく。
「勝ったのか、僕が、父さんに勝ったのか……ダイケンキ!」
 ダイケンキも、いつもの貫禄のある表情ではなく、いつもよりも柔和な、優しげのある笑みでイリスに応える。
「……負けちまった。悪ぃ、ヒードラン。お前を負かしちまったのもそうだが、負けても俺、全然悔しくねぇわ」
 イリゼはヒードランをボールに戻さず、歩み寄り、しゃがみ込んでヒードランに寄り添う。
「自分のせがれに超えられるっていうのも、存外悪くねぇ。ヒードラン、お前には血の繋がりもなにもねぇが、お前と激闘を繰り広げた奴は、れっきとしたお前の後継者だ。そいつに負かされるっつーのは、どういう気分なんだ?」
 イリゼの言葉に、ヒードランは低く唸り声を上げる。
「ははっ、相容れねぇってか。やっぱ悔しいか。そうだよな、だったらリベンジしようぜ。この戦いが終わった後にでもな」
 そう言ってイリゼはヒードランをボールに戻し、イリスの方へと向き直る。
「イリス」
「父さん……」
 イリスもダイケンキをボールに戻し、自分よりもずっと背の低い父親に目線を向けた。
「約束だ。教えてやるよ、英雄っつーのがどういうもんかを、その真相をな」
「英雄の、真相……」
 そして、イリゼは語り始めた。彼の言う、英雄の真相を——



 さて、教えてやるとは言ったものの、どこから話せばいいのやら……そうだな。まずは英雄がどういう存在かを整理するか。
 お前も知っての通り、大昔、イッシュでは争いがあった。その代表格が、初代英雄だ。この英雄は双子で、もともと一体だったポケモンを、レシラムとゼクロムというポケモンに分け、それぞれ従えた。兄は真実を、弟は理想を求め、戦い合ったんだ。
 その後、二人は戦いを収めたが、その子孫が再び争ったせいで、レシラムとゼクロムは怒り、イッシュ全土を焦土に変えた……と、いうのがイッシュで伝えられている神話だな。ここまではいいか?
 おう、いい返事だな。つまりだ、英雄には子孫が存在するんだが、実はこの子孫というのは血統ではなく、素質みてぇなもんのことを表しているんだ。
 あ? どういう意味かって? それを今から説明すんだよ、ちっと待てよ。
 英雄には選ばれる条件みてぇなものがあるんだが、それが英雄たる素質ってわけだ。この素質さえあれば英雄になることができるが、そんな奴はそういねぇ。
 だが、一定周期ごとに『英雄の素質』を持つ人間が生まれてくることは確かだ。つまり、いつの時代も、英雄になれる人間は必ず存在していたんだ。お前も、その周期に合致したから、英雄になれた。
 ん? いや、当然ながら周期だけで英雄になれるわけがねぇよ。お前の場合は、稀有なパターンだが血統が関係してんのさ。
 そう、察しがいいな。俺が前世代の真実の英雄だよ。つまりお前は、俺の後継者ってわけだ。
 ちなみに、理想の英雄はロキだ。笑っちまうだろ? あいつのどこが英雄なんだって言いたくなるよな。それでも俺とあいつは英雄だったんだ。
 だがな、俺はお前みてぇに悪の組織とバトったことなんざねぇぜ? 普通にイッシュを旅してたさ。その途中でお前のかあさんと出会ったんだが……まぁ、その話は置いておくか。
 えーっと、俺がなにを言いたいかっつーとだな、英雄は確かにいつの時代でも存在していたが、必ず英雄として活動していたわけじゃねぇっつーこった。つーかここまで大々的に英雄として戦ってんのはお前らくらいなもんだろ。
 今までの話をまとめると、一定周期で『英雄の素質』を持つ人間が生まれることで、英雄という存在はいつの時代でも存在している。しかしその英雄たちが、英雄として戦ってきたかというとそうではない。火のない所に煙は立たぬっつーが、火の必要ない所には火気も必要ねぇんだよ。
 俺は自分が英雄だと知れたのは、俺の親友……ロキと繋がりがあったからだ。ま、親友っつーか、幼馴染、いっそ悪友と言った方がいいかもな。俺とあいつはヤマジで育ったんだ。あ? 言ってなかったか? 俺はヤマジタウン出身だぜ?
 それはともかく、以上が俺の知る英雄のシステムだ。俺は前世代の英雄で、お前は俺の息子だったからこそ、今世代の真実の英雄になりえたんだ。つっても、元々素質があったんだろうがな。特にあのNって奴は、ヤバいぜ。一歩間違えれば破滅寸前の理想を持ってやがる。通りでロキのせがれが選ばれないわけだぜ。ま、その辺はお前が矯正したんだろうがな。よくやったぜ。
 とりあえず、俺の話はこんなもんだ。これが、英雄選別のシステムの全容だぜ。



 イリゼの話を聞き終えたものの、イリスはいまだ納得しかねるものがあった。
「うん……父さんが前世代の真実の英雄だとか、英雄はどの時代にもいたんだとか、僕が英雄になれたわけとか、その辺はよく分かったけどさ……じゃあ、父さんは今までなにをしていたの?」
 イリスにとってはそちらの方が重要だった。何年も家を空け、姿をくらませていた父。それほど事態の真実に近づいておきながら、今まで音沙汰がなかったのもおかしい。
 そんなイリスに対し、イリゼは
「そうだな……いい機会だ。それも、今から話してやるか。俺だけじゃねぇ。俺やロキたちのことも……俺たちの、過去の話をな」



今回はバトルのない回です。そんでもって、かなり短いです。とりあえず英雄のシステムが判明、ついでにイリゼとロキについても判明ですが、ううむ、やっぱりバトルがないと上手く書けている気がしませんね。特に今幕はバトルが少なめになる予定ですので、これは由々しき事態です。では次回も恐らくバトルはないでしょう。次回語られる、イリゼやロキ、そしてもう一人、重要人物の過去とはなにか。お楽しみに。

Re: 488章 真相 ( No.711 )
日時: 2013/02/23 08:05
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: u.mhi.ZN)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

 過去というと、今からどれくらい時をさかのぼるのかな。ボクぐらいの歳になると、その辺の感覚がすれちゃってね。え? そんなのはボクぐらいなものだって? ははっ、ザキくんは厳しいねぇ。
 まあともあれ、ボクとイリゼの昔話さ。でも、この物語にはもう一人の登場人物が出て来るんだよ。それはきみたちもよく知っている女性さ、当時は女の子だけどね……うん、そうだ。きみたちの母親で、僕の最愛の人、ユキちゃんだ。
 ボクとイリゼはヤマジ出身だったけど、彼女はセッカの出身だったんだ。だけど彼女は両親の仕事の関係で、たびたびヤマジに足を運んでいたよ。その時、ボクらと彼女は知り合ったんだ。
 ボクらの少年時代を語ってもいいけど、今はさして重要でもないから割愛しよう。
 実は、何を隠そうボクらが『英雄の素質』を持つことに気付いたのは、ユキちゃんのお陰なんだ。彼女の家系は代々預言者でね。その力を持って、ボクらの『英雄の素質』を見抜いたんだ。
 とはいえさっきも言ったように、ボクらは『英雄の素質』があったところで、特別なにをしたわけでもない。普通に旅をしていたさ。
 でもある時、ちょうどミキちゃんが生まれたぐらいかな? そのくらいの時に、ユキちゃんは新しいことを予言したんだ。
 ユキちゃん曰く、予言は感覚として言い渡されるらしいから、詳しい事は分からないみたいだったけど、近いうちにイッシュに戦争が起こると、彼女は予言したのさ。
 うん、そう。今まさに、プラズマ団と戦っているよね。たぶんそのことだ。
 ボクらはその戦いを止めようとした。未然に防ごうとした。手始めにボクらは、ライトストーンとダークストーンを隠したんだ。
 でもね、聞いてくれよ。ボクはちゃんとリュウラセンの塔の最上階に安置したのに、イリゼときたら、リバースマウンテンの溶岩の中に投げ捨てたんだよ。
 あの時はボクでも怒ったね。もしストーンが壊れて、レシラムが死んだらどうするんだって。
 でも彼は格好良いね。その時なんて言ったと思う? 「戦の種になるくらいならレシラムも死んで本望だろうぜ。それにもし本当にレシラムが死んだのなら、俺が生涯をかけて償ってやる」だよ。いやはや、彼には恐れ入るよ。
 ま、そんな彼でも、後でシッポウ博物館に展示されるとは微塵も思わなかったみたいだけど。
 それからボクらは戦の種になりそうなことを片っ端から消していった。それは、ボクらの旅路を消すようなものだったよ。
 それでも戦いは起こってしまったけどね。やれやれ、骨折り損のくたびれ儲けとはこのことだよ。でも、保険は役に立ったみたいだけどね。
 なんのことかって? 今から説明するよ。
 ボクは正直、この戦いを未然に防ぐなんて出来るとは思っていなかった。ユキちゃんの予言によると、相当大きな戦みたいだったからね。ボクらがちまちま小細工したところで、どうこうできるものとは思っていなかった。
 ボクらの次の世代が戦うことは避けられないと、ボクは思っていたんだよ。次の世代、つまり、ミキちゃんやザキくん、そしてイリスくんなんかだ。
 イリスくんはイリゼに任せて、ボクはザキくんとミキちゃんを、PDOに入れようとした。ユキちゃんには反対されたけど、プラズマ団が本格的に動き出す前に、プラズマ団を撲滅する組織で活動し、プラズマ団と関わることはきみたちにとってプラスになると考えたんだ。
 特にミキちゃん、きみをイリスくんと一緒に行動させたのは正解だった。英雄に最も近い者ということで、きみの力の伸びは半端じゃない。正確には、素質の伸び、かな?
 あまりまとまってなくてゴメンね。ボクはお喋りだけど、要領よく話すのが苦手でね。
 え? イリゼはなにをしていたのかって? 彼もボクと大差ないよ。というか、ボクがお願いしたんだ。ユキちゃんを一緒に探してくれってね。彼もちょうど、イッシュから出ていく用があったみたいだし。
 まあ、彼の場合は出ていく用というか、イッシュから出ることそのものに意義があったんだけどね。ユキちゃん曰く、イリゼは英雄としての影響が大きいらしいよ。それはイリスくんも同じだね。だからイリゼは、幼いうちからイリスくんに影響を及ぼすと、今後に支障をきたすかもしれないって言って、自らイッシュを出て行ったんだ。いずれ戻ってくる時に、息子の成長を確かめるためにね。
 そうそう、言い忘れていたよ。ユキちゃんの所在についてだ。
 って、おおぅ!? そんなにがっつかないでくれよ。ボクは今から期待外れのことを言うんだから。
 はっきり言って、ボクはユキちゃんの所在を知らない。今まで姿をくらませていたのは、彼女を探すためなんだが、どのに言っちゃったんだろうね。
 でも、彼女は生きてるよ。なにせあのプラズマ団の襲撃も、彼女は予言していたんだから。彼女は元々どこかに消えるつもりだったみたいだけど、きみたちがいたからいまいち踏み切れなかったんだろうね。
 変な言い方だけど、絶好のタイミングでプラズマ団が襲ってきたお陰で、ユキちゃんはプラズマ団の襲撃という隠れみのを使い、姿をくらませた。彼女がどんな意図があってそんなことをしたのかはボクにも分からないけど、それでも彼女は生きている。
 だから安心してよ。きみたちの行いは決して無駄じゃない。彼女を探す努力は、いずれ報われるんだ。いつか、家族四人で暮らす可能性も、そんな理想も、存在するんだよ。 
 


 ロキの話を終え、ミキとザキはしばし沈黙する。その沈黙を最初に破ったのは、ミキだった。
「お母さんは……生きてる……」
「うん、そのはずだよ。だから泣かないでおくれ。きみは昔からそうだったねえ。小さい時は本当に泣き虫だったよ」
「俺が泣かしてたんだけどな」
 ロキに横入りするように、ザキは言葉を挟む。
「ザキくんは、なにもないのかい? ユキちゃんについて」
「ねぇな。母さんが死んでいると思って探す息子がいるかってんだ。言っとくが、俺は親の骨なんざ死んでも拾わねぇぞ。また母さんと、四人で暮らすんだからな」
 そう言うとザキは立ち上がった。そして、
「だから、さっさとプラズマ団をぶっ倒す。そのためにももっと強くならなくちゃならねぇ。親父、これで特訓が終わったと思うなよ」
「勿論だよ。ほら、ミキちゃんも」
「……うん」
 三人はみな立ち上がると、それぞれモンスターボールを手に取る。
 母親を見つける。その一つの思いが、ミキとザキの原動力だった——



「以上だ」
 イリゼはそう言って話を締め括る。
「はっきり言って、俺はなにをしていたと言われてこうしていたと言えるほど、なにかをしていたわけじゃねぇ。とりあえず、イッシュから離れることが出来ればなんでもよかったんだ。ま、その過程で色々あったけどな」
「……すべては僕のため、ってこと?」
「まぁな」
「…………」
 両者の間で沈黙が起こる。
 しばし経つと、イリゼが歩を進める。
「んじゃ、行くか」
「え? 行くって、どこに?」
 唐突なイリゼの言葉にイリスがそう返すと、イリゼは、
「おいおい、どこにはないだろ。お前の目標は、俺を倒すことじゃないだろ。俺なんざただの通過点だ。お前が乗り越えなきゃいけないのは、ユキの予言したこの戦いだ。そしてこの戦いを乗り切るためには、今以上の力が必要だ。お前も、俺もな」
 つまり、とイリゼは続け、

「修業だ。俺が今まで経験し、身に付けた事をすべて叩き込んでやる」

 と、言い放った。
「ま、もっとも俺の特訓についてこれる根性があるならの話だがな。言っとくが、俺は見込みのない奴は切り捨てるぜ」
「……上等。僕はもう父さんを超えたんだ。修業くらい余裕さ」
「言ったな。途中でへばんなよ?」
 そして二人は肩を並べ、リバースマウンテンから去っていく。新旧二人の英雄が行く先を知る者は、誰もいない——



やっと終わった……とりあえず、これで十六幕の第一節が終了、第二節に移行します。今回はミキとザキの母親の名前が明らかになりました。こうしてみると、男二人は即死呪文や神様みたいな名前なのに、女二人は普通の和名ですね。全員最後にキが付く二文字の名前ということにしたら、いつの間にやらこんなことに。ともあれ次回、第二節からはプラズマ団にスポットを当てていくつもりです。たぶん、六節くらいまで続くと思います。それでは次回、第二節 苦難。最初は氷霧隊からです。お楽しみに。

Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——再びお知らせです—— ( No.712 )
日時: 2013/02/23 13:07
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: u.mhi.ZN)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

イリゼ 男 39歳
容姿:青い半袖Tシャツにベーシュの半ズボン。こげ茶色の髪を長いポニーテールにしている。年齢からは想像つかないほど背が低く幼い顔立ちをしており、少女にしか見えない。
性格:傲岸不遜、大胆不敵、豪放磊落という言葉が似合うくらい勝ち気で豪快、快活な性格。口調も粗雑で、語尾に〜ぜと付くことが多い。しかしその一方で物事の真実を見極める観察眼にも優れ、イリスに足りないものを指摘したりしている。今回の戦いの深い部分まで知っているが、あまり積極的にはならず、自分の息子たちの役目だと言い、最低限の助力しかしない。かなり多くのポケモンを持っており、イリスのポケモンすべてを対策するなど、必要に応じて使い分けている。ヤマジタウン出身でロキとは幼馴染。他の地方にも長期間足を運んでいたためか、知り合いが非常に多い。イリスの父親であり、前世代の真実の英雄。

手持ちポケモン

ヒードラン・♂
技:マグマストーム、マグマアクセル、スターダスト、ソーラービーム
特性:貰い火

エルフーン・♀
技:ソーラービーム、コットンガード、宿木の種、身代わり
特性:悪戯心

カイリュー・♂
技:ドラゴンダイブ、エアスラッシュ、十万ボルト、炎のパンチ
特性:マルチスケイル

オニゴーリ・♂
技:絶対零度、大爆発、地震、ウェザーボール
特性:ムラッ気

リーフィア・♀
技:リーフブレード、電光石火、剣の舞、バトンタッチ
特性:葉緑素

カンカーン・♂
技:フレアドライブ、ウッドハンマー、サイコバレット、ぶち壊す
特性:日照り

ゼブライガ・♂
技:ギガスパーク、オーバーヒート、守る、電磁波
特性:草食

トリトドン(東の海)・♀
技:ポイズンバブル、大地の力、自己再生、とおせんぼう
特性:呼び水

グライオン・♂
技:ハサミギロチン、砂かけ、追い風、ロックカット
特性:砂隠れ

ジバコイル
技:電磁砲、ラスターカノン、リフレクター、ロックオン
特性:磁力

ダグトリオ・♂
技:潜る、不意討ち、命懸け、ストーンエッジ
特性:蟻地獄

アズマオウ・♀
技:アクアテール、ドリルライナー、吹雪、高速移動
特性:避雷針

ケンタロス・♂
技:ゴッドホーン、アイアンテール、ストーンエッジ、思念の頭突き
特性:威嚇

オムスター・♂
技:ハイドロポンプ、冷凍ビーム、原始の力、殻を破る
特性:すいすい

アリアドス・♂
技:クロスポイズン、襲撃、辻斬り、喰らいつく
特性:不眠

ネンドール
技:リフレクター、シグナルビーム、シャドーボール、大地の力
特性:浮遊

ジュカイン・♂
技:ハードプラント、シザークロス、龍の波動、影分身
特性:深緑

テツカブリ・♀
技:鉄壁、火炎放射、大地の怒り、原始の力
特性:炎の体

Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——再びお知らせです—— ( No.713 )
日時: 2013/02/23 21:26
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: u.mhi.ZN)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

ホミカ・女
容姿:黒いタンクトップに水色と紫のストライ柄の肩出しワンピース。鼻の下にそばかすがある。厚底ブーツを履き、白い髪を頭頂部で縛っている。毒々しいデザインのベースを左向きに持っている。
性格:少々口は悪いが意外としっかり者で、ミュージシャンとジムリーダーの二足わらじ。『爆裂ッ』が口癖で、ポケモンを繰り出す時に変化形を交えつつ叫ぶように言っている。快活で好戦的な態度から、攻めのバトルスタイルを好み、毒や猛毒を追加ダメージとして扱う戦法を取る。
二つ名:ポイズンライフ ポイズンライブ!

手持ちポケモン

ドガース・♀
技:ヘドロ爆弾、熱風、シャドーボール、ジャイロボール
特性:浮遊

ペンドラー・♀
技:メガホーン、アクアテール、地震、毒菱
特性:毒の棘

クロバット・♀
技:クロスポイズン、アクロバット、鋼の翼、思念の頭突き
特性:精神力

ハブネーク・♀
技:ヘドロウェーブ、アイアンテール、火炎放射、噛み砕く
特性:すり抜け

ドクロッグ・♀
技:毒突き、クロスチョップ、ストーンエッジ、バレットパンチ
特性:毒手

ダストダス・♀
技:ベノムショック、ドレインパンチ、サイコキネシス、ロックブラスト
特性:悪臭

Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——再びお知らせです—— ( No.714 )
日時: 2013/02/23 16:10
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: u.mhi.ZN)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

シズイ・男
容姿:褐色肌に白い斑点のある青い髪。ヒレの付いた水色と白のボーダーの水着を着ており、首からは水中用ゴーグルを掛けている。バトルの際はどこからかボールの入った網を持ってくる。
性格:南方訛りの口調が特徴で、一人称は『おい』二人称は『おはん』。陽気で明るく、小さなことにはこだわらないが、自分なりの信念と流儀を持っており、それとなく他人に助言することもある。街の住民や親しい者からはシーちゃんという愛称で呼ばれ、イリゼのことをイーちゃんと呼ぶ唯一の人物。
二つ名:海よりも海な男

手持ちポケモン

ブルンゲル・♀
技:???、???、???、???
特性:貯水

ママンボウ・♂
技:アクアジェット、アクアリング、ミラーコート、リフレッシュ
特性:潤いボディ

オクタン・♂
技:オクタン砲、火炎放射、チャージビーム、アシッドボム
特性:吸盤

ホエルオー・♂
技:滝登り、地震、思念の頭突き、ヘビーボンバー
特性:水のベール

マンタイン・♂
技:追い風、波乗り、シグナルビーム、エアスラッシュ
特性:貯水

ブルンゲル・♂
技:ハイドロポンプ、シャドーボール、ギガドレイン、締め付ける
特性:呪われボディ


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