二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——完結——
日時: 2013/04/14 15:29
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=21394

 今作品は前作である『ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄』の続きです。時間としては前作の一年後となっておりまして、舞台はイッシュの東側がメインとなります。なお、前作は原作通りの進行でしたが、今作は原作でいうクリア後なので、オリジナリティを重視しようと思います。
 今作品ではイッシュ以外のポケモンも登場し、また非公式のポケモンも登場します。

 参照をクリックすれば前作に飛びます。

 では、英雄達の新しい冒険が始まります……

 皆様にお知らせです。
 以前企画した本小説の人気投票の集計が終わったので、早速発表したいと思います。
 投票結果は、
総合部門>>819
味方サイド部門>>820
プラズマ団部門>>821
ポケモン部門>>822
 となっています。
 皆様、投票ありがとうございました。残り僅かですが、これからも本小説をよろしくお願いします。

登場人物紹介等  
味方side>>28  
敵対side>>29
PDOside>>51
他軍勢side>>52
オリ技>>30
用語集>>624

目次

プロローグ
>>1
第一幕 旅路
>>8 >>11 >>15 >>17
第二幕 帰還
>>18 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27
第三幕 組織
>>32 >>36 >>39 >>40 >>42 >>43 >>46 >>49 >>50 >>55 >>56 >>59 >>60
第四幕 勝負
>>61 >>62 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>72 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80
第五幕 迷宮
>>81 >>82 >>83 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90 >>92 >>93 >>95 >>97 >>100 >>101
第六幕 師弟
>>102 >>103 >>106 >>107 >>110 >>111 >>114 >>116 >>121 >>123 >>124 >>125 >>126 >>129
第七幕 攻防
>>131 >>135 >>136 >>139 >>143 >>144 >>149 >>151 >>152 >>153 >>154 >>155 >>157 >>158 >>159 >>161 >>164 >>165 >>168 >>169 >>170 >>171
第八幕 本気
>>174 >>177 >>178 >>180 >>184 >>185 >>188 >>189 >>190 >>191 >>194 >>195 >>196 >>197 >>204 >>205 >>206 >>207 >>211 >>213 >>219 >>223 >>225 >>228
第九幕 感情
>>229 >>233 >>234 >>239 >>244 >>247 >>252 >>256 >>259 >>262 >>263 >>264 >>265 >>266 >>269 >>270 >>281 >>284 >>289 >>290 >>291 >>292 >>293 >>296 >>298
第十幕 強襲
>>302 >>304 >>306 >>307 >>311 >>316 >>319 >>320 >>321 >>324 >>325 >>326 >>328 >>329 >>332 >>334 >>336 >>338 >>340 >>341 >>342 >>343 >>344 >>345 >>346
弟十一幕 奪還
>>348 >>353 >>354 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>376 >>377 >>378 >>379 >>380 >>381 >>382 >>383 >>391 >>393 >>394 >>397 >>398 >>399 >>400
第十二幕 救世
>>401 >>402 >>403 >>404 >>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>412 >>413 >>414 >>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>433 >>436 >>439 >>440 >>441 >>442 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447 >>450 >>451 >>452 >>453 >>454
第十三幕 救出
>>458 >>461 >>462 >>465 >>466 >>467 >>468 >>469 >>472 >>473 >>474 >>480 >>481 >>484 >>490 >>491 >>494 >>498 >>499 >>500 >>501 >>502
第十四幕 挑戦
>>506 >>511 >>513 >>514 >>517 >>520 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>534 >>535 >>536 >>540 >>541 >>542 >>545 >>548 >>549 >>550 >>551 >>552 >>553 >>556 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>568
第十五幕 依存
>>569 >>572 >>575 >>576 >>577 >>578 >>585 >>587 >>590 >>593 >>597 >>598 >>599 >>600 >>603 >>604 >>609 >>610 >>611 >>614 >>618 >>619 >>623 >>626 >>628 >>629 >>632 >>638 >>642 >>645 >>648 >>649 >>654
>>657 >>658 >>659 >>662 >>663 >>664 >>665 >>666 >>667 >>668 >>671 >>672 >>673 >>676 >>679 >>680 >>683 >>684 >>685 >>690 >>691 >>695

第十六幕 錯綜

一節 英雄
>>696 >>697 >>698 >>699 >>700 >>703 >>704 >>705 >>706 >>707 >>710 >>711
二節 苦難
>>716 >>719 >>720 >>723
三節 忠義
>>728 >>731 >>732 >>733
四節 思慕
>>734 >>735 >>736 >>739
五節 探究
>>742 >>743 >>744 >>747 >>748
六節 継承
>>749 >>750 >>753 >>754 >>755
七節 浮上
>>756

第十七幕 決戦

零節 都市
>>759 >>760 >>761 >>762
一節 毒邪
>>765 >>775 >>781 >>787
二節 焦炎
>>766 >>776 >>782 >>784 >>791 >>794 >>799 >>806
三節 森樹
>>767 >>777 >>783 >>785 >>793 >>807
四節 氷霧
>>768 >>778 >>786 >>790 >>792 >>800 >>808
五節 聖電
>>769 >>779 >>795 >>801 >>804 >>809
六節 神龍
>>772 >>798 >>811
七節 地縛
>>773 >>780 >>805 >>810 >>813 >>814 >>817
八節 黒幕 
>>774 >>812 >>818

最終幕 混濁
>>826 >>827 >>828 >>832 >>833 >>834 >>835 >>836 >>837 >>838 >>839 >>840 >>841 >>842 >>845 >>846 >>847 >>849 >>850 >>851
エピローグ
>>851

2012年冬の小説大会金賞受賞人気投票記念番外
『夢のドリームマッチ ver混濁 イリスvsリオvsフレイ 三者同時バトル』>>825



あとがき
>>852

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171



Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——再びお知らせです—— ( No.655 )
日時: 2013/02/02 15:42
名前: アンバー (ID: TdOACXKk)

白黒様はじめまして!アンバーという者です。
前作から白黒様の小説を拝見させていただいていたのですが、パソコンの使用を
制限されていて、なかなかコメントを打つ事ができませんでした。

しかし風の噂で人気投票の事を聞き、どうしても!参加したいと思い、このような形での参加となりました。


総合部門(お二方選ばせていただきました!)

イリゼ
講評・・・外見が幼い女性は多い。しかし外見が幼い男性、おじ様は珍しい・・・!
     そんな思いから投票しました。かわいい容姿に似合わずバトルが強いってトコも素敵です。

リオ
講評・・・白黒様の前作から活躍してる子なので、特に思い入れが強いです。
     第一印象は強くて格好イイ女の子でしたが、今作では更にかわいさもプラスされて、ますますキャラが魅力的になったと思いました。
     次にエレクトロと戦うことがあれば是非とも勝って貰いたいです!


味方部門(お三方選ばせていただきました!被っている子が一名・・・)

イリス
講評・・・クールだけど熱くて優しい、沢山の物を背負って戦う姿に心打たれました。
     強敵が多いですがポケモンたちと、仲間たちと一緒に頑張って貰いたいです。

リオ
講評・・・同上です。

アキラ
講評・・・最初見た時は軽くて女の子に目がない男の子だな、なんて失礼なことを思ったりしましたが
     バトルになると一変してマジメだし、遠く離れていてもリオを常に心配してて
     ずぶ濡れでリオの元へ走ってきた姿を見て印象がガラッと変わりました。
     いい意味でいろいろと裏切ってくれたキャラなので投票しました。


プラズマ団部門(迷いましたが、お二方選ばせていただきました!)

フレイ
講評・・・まったり、のんびりしたフレイのキャラその物が好きで投票しました。
     フォレスとの掛け合いも面白いですし、癒されます。

フォレス
講評・・・フレイと同じくキャラその物が好きで投票しました。
     好きな人には無視されるのに、逆に好きじゃない子から猛アタックされる。
     敵なのに憎めない、それがフォレスのいいトコだと思いました。


ポケモン部門(特に好きな子を選ばせていただきました!)

イリスのディザソル・・・格好イイです!イリスとの絆の強さは手持ち一かもしれません。
リオのシャンデラ・・・かわいくて強い!全力で本気になったシャンデラを見たいです!
アキラのホムロソク・・・リオのシャンデラに対抗意識を燃やしてるのがかわいいです。


かなり長くなっちゃいましたが以上となります。


Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——再びお知らせです—— ( No.656 )
日時: 2013/02/03 02:36
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

アンバーさん

 初めまして、作者の白黒です。
 僕なんぞの小説を読んでくださり、ありがとうございます。コメントがなくとも、その事実だけで白黒は嬉しいです。
 しかし、風の噂とな。タイトルに書いてるわけでもないのに、噂になってるんですか……いや勿論、言葉の綾でしょうけど。

 そうですね。昨今の漫画やライトノベルでは幼い外見の女性は溢れ返ってますね。なのでちょっと一捻り加えてみたら、こんな風になりました。
 イリスのひとまずの目標ですし、イリゼはかなりの猛者です。さてイリスはリベンジなるでしょうか。というか、戦える日は来るのでしょうか。

 リオの実力は、おそらく本作の敵を除くキャラクターの中で五指に入るでしょう。
 リオは結構正義感とか、そういったものが前面にでているように感じていたので、可愛いと言われると、そういう風にも捉えて頂けるんだな、と少し嬉しく思います。

 アキラは扱いが難しいと最初は思っていたのですが、リオが絡むとすらすら書けます。
 あのシーンはどこまでアキラとリオのやり取りを書こうか悩みましたが、結局は最後まで書かず、ぼかすことにしました。
 次こそ、エレクトロの因縁を果たす時……になるかもしれません。

 クール、ですか。正直イリスのキャラをそういう風には捉えていなかったので、ちょっと意外でした。
 ちなみにあまり関係ないですが、イリスのキャラは白黒の性格を幾分積極的かつ好意的にしたものです。

 フレイはやっぱりフォレスとの絡みが多いですが、最近はレイも多いですね。
 こののんびりしたキャラは書いていて楽しいので、どうしても彼女はバトルより会話が多くなってしまうんですよね……

 フォレスはフレイと漫才するためにだけいるような存在ですしね……嘘です。彼にも彼の事情とか色々あります。
 とはいえ少し前まではかなりギャグ色の強いフォレスでしたが、最近は変化が現れつつあります。今後の彼の活躍をお楽しみに。あるかどうかは知りませんが。

 確かに、ディザソルは唯一イリスに反発していたポケモンですしね。そういう観点から見れば、絆は一番強いかもしれません。

 そういえばシャンデラが本気になったのって、前作のレンジのワルビアル戦だけでしたね。しかもかなりカットしてしまいましたし……今度はちゃんと書こう。

 このホムロソクがいるので、リオはアキラと一緒にいる時は不用意にシャンデラが出せなくなりますね。とはいえ、ホムロソクも十分強いのですが。いや、マオに負けたのは相性と雨が……

 長くても大丈夫、というより、白黒の返信の方が圧倒的に長いので、お気になさらず。投票ありがとうございました。

Re: 455章 毒蛇 ( No.657 )
日時: 2013/02/03 02:55
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

 砂煙が晴れた時、そこには地面に仰向けになっているクロバットの姿があった。ビルドアップの二回掛けを得たウォーグルのブレイブバードに耐え切れず、戦闘不能だ。
 そしてウォーグルもしばし羽ばたいていたが少しずつ下降していき、やがて地に落ちる。クロバットの連撃と毒のダメージで削られ続け、ブレイブバードの反動で遂に体力が尽きたようだ。
「燃えたよ空中戦。戻りな、クロバット」
「よくやってくれたよ、ウォーグル。戻ってくれ」
 互いにポケモンをボールに戻し、三体目のポケモンが繰り出される。
「いよいよバトルも間奏に入って来たね。このままAメロBメロ突っ走って、ガンガン盛り上げていくよッ! 爆裂ッ! ハブネーク!」
 ホミカの三番手は牙蛇ポケモン、ハブネーク。ハブのような長い胴体には金色の模様が規則的に並んでおり、尻尾の先端は刀のように鋭い。
「…………」
 対してイリスはポケモンを繰り出さない。ジッとハブネークを見据え、なにか思索を巡らせているようだ。
(まさかこんなに早くメタゲラスとウォーグルが倒されるなんて……あと残ってる飛行タイプはリーテイルだけど、ハブネークは毒単タイプだから相性は悪い。あまり出したくないな)
 予想外に早く毒菱の影響を受けない二体がやられてしまったため、イリスは繰り出すポケモンが制限されてしまった。毒菱のことだけを考えるならリーテイルを出すが、ハブネークがどんな技を使うか分からない以上、無闇やたらに出したくはない。
 しばし考えた末、イリスはボールを一つ握り込んだ。
「しょうがない、リーテイルはもう少し見送るか」
 とりあえずリーテイルはまだ出さず、猛毒状態になる覚悟で次のポケモンを繰り出す。
「速攻で決めるよ、エルレイド!」
 イリスの三番手は、毒タイプの弱点を突けるエルレイド。
 エルレイドはフィールドに立った瞬間、顔を歪ませ、苦しそうに体を小刻みに震わす。二回掛けされた毒菱の効果で、猛毒状態になったのだ。
「今度はエスパータイプで来たね。もう毒菱の効かないポケモンがいなくなったのか、それとも別の意図があるのか。なんにしても、エスパータイプにむざむざと負ける、あたしのポケモンじゃないよ」
 それは分かっている。ホミカのバトルを最初に見た時、ホミカはエスパータイプのポケモンを容易く下していた。おそらく彼女は、毒タイプ使いであるが故に、エスパータイプのポケモンとのバトルに慣れているのだろう。
(ドガースもシャドーボールを覚えてたし、きっとエスパータイプ対策はきっちりしてるんだろうな)
 しかしハブネークは防御が低い。エルレイドの火力で攻めれば、倒せない相手ではないはずだ。
「そんじゃあトークはこの辺にして、バトル再開だ。ハブネーク、ヘドロウェーブ!」
 ハブネークは顎が外れているのではないかと思うくらい大きく口を開き、大量の毒液を津波のように放つ。
「エルレイド、サイコバレットで相殺だ!」
 エルレイドもすぐに念動力で生成した弾丸を乱射し、毒液の波を散らす。
 サイコバレットは自身を火傷状態にしかねないリスクのある技だが、猛毒状態の今、そのリスクは働かない。代わりに時間が経過するたびにどんどん体力を削られてしまうので、短期決戦に持ち込む。
「影討ち!」
 エルレイドは影に入り込んでハブネークの背後を取る。そこに鋭い肘の刃を振り下ろすが、
「後ろからなら当たると思った? 甘いね! アイアンテール!」
 ハブネークは振り返らずに尻尾を後方に突出し、刺すようにエルレイドを押し飛ばした。
「噛み砕く!」
 そして今度は振り返り、鋭い深紅の牙を剥いてエルレイドにかぶりつく。
「エルレイド、引き剥がせ! マグナムパンチ!」
 エルレイドも大砲の如き勢いで拳を繰り出すが、ハブネークはなかなか離れず、しっかりとエルレイドに喰らいついている。
「そのまま離すんじゃないよ! ハブネーク、火炎放射!」
 ハブネークはエルレイドに噛みついたまま、燃え盛る炎を放つ。そうなれば当然、エルレイドは零距離で炎の直撃を喰らうこととなり、大ダメージを受ける。
「ぐぅ……アイスブレード!」
 エルレイドは比較的特防が高めだが、それでもこんな距離で火炎放射を喰らい続ければまずいことになる。毒でも体力を削られるのでなおさらだ。なのでエルレイドは両肘の刃を氷結させ、ハブネークの胴体を切り裂いた。
 するとハブネークは、バッと飛び退ってエルレイドから距離を取る。案外あっさり離れたものだが、イリスにとっては好都合だ。
「いまのうちに攻めるぞ! エルレイド、サイコバレット!」
「甘い甘い! ヘドロウェーブだ!」
 エルレイドは念力を固めて銃弾を生成し、機関銃のように乱射する。しかしハブネークもすぐさま毒液の波を放ち、弾丸を全て飲み込んでしまう。
「もう一発ヘドロウェーブ!」
 続け様に放たれる毒液の津波。サイコバレットを撃った直後であったこともあり、相殺する暇もなくエルレイドは毒液に飲まれてしまった。
「エルレイド!」
 ヘドロウェーブに飲み込まれたものの、エルレイドはまだ戦闘不能ではない。両肘の刃を構え、攻撃の意志を見せる。
「ヘドロウェーブをモロに喰らっても意気消沈しないその姿勢、好感が持てるよ。あんたたちの勝ちたいってエネルギー、ビンビン伝わって来る。こっちも本気も本気、ガチガチのガチで行くよ! ハブネーク、アイアンテール!」
 ハブネークは跳び上がり、鋼鉄の如く硬化させた尻尾を太刀のように振り下ろす。
「アイスブレードで迎え撃て!」
 エルレイドも氷結させた刃で尻尾を受け止めるが、その一撃はかなり重い。片腕では支えきれず、両腕を交差させるようにしてなんとか受け切る。
「火炎放射!」
 しかしそこに灼熱の炎が放たれ、エルレイドの姿勢は崩れてしまい、ハブネークの尻尾に切り裂かれる。
「まだまだ! アイアンテール!」
 今度は横から薙ぐような軌道のアイアンテールが繰り出された。
「アイスブレードで受け止めろ!」
 薙ぎ払いなら振り下ろすよりも威力が低くなるため、今度は片腕でもなんとか受け止めることができ、そのままもう片方の刃でハブネークに切りかかるが、
「っ! 逃げられたか……」
 ハブネークは素早く後退してアイスブレードを回避。エルレイドの攻撃は空振った。
「ハブネーク、噛み砕く!」
「エルレイド、マグナムパンチ!」
 牙を剥くハブネークを、エルレイドは大砲の如き拳で殴り飛ばす。直撃はしたが効果はいまひとつ、きれいに受け身も取ったので、ハブネークへのダメージはさほど大きくない。
「アイアンテールだ!」
 またしてもハブネークはアイアンテールを繰り出す。今度は斜めからの袈裟懸けのような軌道で襲い掛かってきた。
「かわしてマグナムパンチ!」
 エルレイドはサッと身を退いて斬撃のような尻尾をかわすと、握り込んだ拳を勢いよくハブネークへと突き出す。
「火炎放射!」
 だがそこでハブネークは炎を放ち、エルレイドの動きを止めてしまう。
「アイアンテール!」
 その隙にハブネークは態勢を整え、鋼鉄のように硬化させた尻尾の先端をエルレイドに突き刺した。
「くっ、アイスブレード!」
 ひとまず引き剥がそうとエルレイドは両肘の刃を凍結させる。が、するとハブネークはぐるっと回るように後退し、エルレイドから距離を取った。
「……?」
 イリスはそこで違和感を感じる。最初の頃は特になんとも思わなかったが、流石にもう気付いた。
(なんだこのハブネーク、エルレイドの攻撃を……いや、アイスブレードを極端に避けている……?)
 ハブネークはエルレイドがアイスブレードを繰り出そうとすると、ほぼ必ず身を退いている。確かにマグナムパンチは効果いまひとつ、影討ちは威力が低く、サイコバレットは相殺しかないとはいえ、それでもアイスブレードを病的なまでに避けている。イリスには、そのように見える。
「……エルレイド、影討ち!」
 エルレイドは影に潜り込み、ハブネークの背後に回って刃を振るうが、
「ハブネーク、アイアンテール! エルレイドを投げ飛ばしな!」
 刃はハブネークの尻尾に防がれ、そのまま絡め取られて投げ飛ばされた。
「アイアンテール、GO!」
 蛇行しながら迫ってくるハブネークは、足首を刈るように低い姿勢で鋼鉄の尻尾を薙ぎ払う。
「跳んでサイコバレット!」
 エルレイドはジャンプでアイアンテールをかわすと、念力の弾丸を連射し、ハブネークを攻撃するが、
「ヘドロウェーブ!」
 毒液の波に飲まれ、弾丸は全て相殺されてしまう。
「エルレイド、アイスブレード!」
 そこでエルレイドは凍てつく刃を構え、落下の勢いも合わせてハブネークに切りかかる。
 しかしハブネークはまたしても大きく後退し、エルレイドの斬撃はかわされる。が、これでイリスは確信に至った。
(分かった……!)
 攻撃範囲を自在に切り替える難敵、ハブネーク。イリスはその攻略法を、見つけた——



ホミカ戦その四、相手はハブネークです。個人的にハブネークはわりと好きです、あの尻尾が格好良いので。毒と連撃で追い詰められるエルレイドですが、そこでイリスが見つけたハブネークの攻略法とは。まあ、普通に読んでいれば分からなくもなさそうですがね。ヒントはハブです。それでは、次回をお楽しみに。

Re: 456章 毒蛙 ( No.658 )
日時: 2013/02/03 15:56
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

 ハブネークの攻略法は理解した。確証こそないが、まず間違いないだろう。
「ハブネーク、アイアンテール!」
 ハブネークは刀のような尻尾を鋼鉄のように硬化させ、薙ぐように振るう。
「かわしてマグナムパンチ!」
 エルレイドは一度下がって斬撃をかわし、すぐに前進。固めた拳を大砲のような勢いに乗せて突き出し、ハブネークを殴り飛ばす。
「火炎放射で反撃しな!」
 だがハブネークもただではやられない。空中で態勢を整えると、燃え盛る火炎を放ち、反撃に出る。
「サイコバレット!」
 エルレイドも同時に念力を固めた銃弾を連射し、火炎放射を打ち消す。さらに銃弾は炎を突き破り、一部ハブネークにヒットした。
「攻めるよエルレイド。アイスブレード!」
「! ハブネーク、アイアンテール! エルレイドを寄せつけるな!」
 エルレイドは凍てつく刃を構えて突貫するが、そこにハブネークの尻尾による斬撃が繰り出され、攻撃は失敗。
 ハブネークの厄介な点は、やはりアイアンテールだ。伸縮自在のリーチに加え、薙いだり突いたりといった様々な攻撃パターンがあるので、対応が難しい。
 さらにヘドロウェーブ、火炎放射、噛み砕くの三つの技も、それぞれその場その場に応じた距離で攻撃を行えるため、隙がない。
 近、中、遠の全ての距離で自在に戦え、しかもその距離を変える芸当をも持ち合わせているのがこのハブネークの強み。決まった間合いをメインとするポケモンにとっては、厳しい相手だ。
「影討ち!」
 エルレイドは影の中に潜り込み、すぐさまハブネークの背後に現れるが、
「後ろだよ、噛み砕く!」
 ハブネークもすぐに振り向き、鋭い牙でかぶりつく。
「アイスブレードだ!」
 ハブネークを引き剥がそうと、エルレイドは刃を氷結させる。そして今まさに振り下ろそうとした瞬間に、ハブネークは口を開き、エルレイドから距離を取った。
(間合いを自由に調整できるってことは、こっちが攻撃を仕掛けても簡単にかわせるってことだよね……弱点は分かったけど、これは当てるのが難しそうだ)
 こっちの攻撃が通らなければ、ダメージも与えられない。エルレイドは猛毒状態で体力もあまり残っていないので、早めに決めたいところだ。
「エルレイド、サイコバレット!」
「ハブネーク、ヘドロウェーブ!」
 エルレイドは念力の銃弾を乱射して攻撃を仕掛け、ハブネークは大量の毒液を大波のように放つ。銃弾は毒液に飲み込まれて相殺されてしまった。
「そろそろエルレイドの体力も尽きる頃、一気に決めるよ! ハブネーク、アイアンテール!」
 ハブネークは一気に高く跳び、落下の勢いも合わせた渾身のアイアンテールを繰り出す。
 ここでエルレイドがこの斬撃を防御しても、受け切ることは難しいだろう。なのでエルレイドは、別の道を取る。
「影討ち!」
 エルレイドは影の中に潜り込んだ。直後、ハブネークの鋼鉄の如き尻尾が地面を抉ったが、エルレイドには当たらない。そして次の瞬間、エルレイドはハブネークの背後に現れ、刃の一撃を叩き込む。
「行くよ、アイスブレード!」
 さらにエルレイドは両肘の刃を氷結させ、影討ちを受けて怯んでいるハブネークに一閃する。するとハブネークは目を見開き、声にならないような呻き声をあげ、よろよろと地面に倒れる。まだ戦闘不能ではないようだが、見るからに弱っている。
「やっぱり」
 そこに、イリスの声が響いた。
「そのハブネークは、寒さ……冷気に弱いんですね。エルレイドがアイスブレードを使うと、病的なまでに避けていたものですから、変だと思いましたよ」
「ちぇ、やっぱバレたか」
 イリスの指摘に、ホミカは口を尖らせた。
 なにはともあれ、ハブネークはアイスブレードの冷気に当てられ、上手く動けないようだ。体が温まるのを待っているのか、地面に這いつくばったまま動きが見られない。
「これで決める! エルレイド、サコバレット!」
 そこにエルレイドは、念力を固めた銃弾を連射し、ハブネークを撃ち抜いた。
 サイコバレットは威力が高い技、加えてタイプの弱点を突かれたハブネークは、その攻撃に耐えられず戦闘不能となった。
 同時にエルレイドも、猛毒のダメージが重なり、地面に倒れて戦闘不能。
「お疲れ、ハブネーク。苦手なタイプ相手に、よくやってくれたよ」
「戻れ、エルレイド。猛毒状態の中、よく頑張ってくれた。一体倒しただけでも上出来だよ」
 お互いポケモンをボールに戻す。これで残るは二体。
「にしても、やるねぇ、イリス。イリゼから話は聞いてたけど、正直ここまでとは思わなかった。あたしも今までにないくらいガチで行ってるのに、敵わないや。でもあたしにもジムリーダーとしてのプライドくらいはある。まだまだ負けてらんないよ!」
 一際強く弦を弾き、ホミカは四体目のポケモンが入ったボールを構える。
「じゃあ行くよ、あたしの四体目! めっちゃ爆裂ッ! ドクロッグ!」
 ホミカの副将は毒突きポケモン、ドクロッグ。
 直立した蛙のような姿で、目を引くのは首元の赤い毒袋と、四指のうち一つだけ赤く、爪のように長く鋭い指。
 毒・格闘という珍しい複合タイプを持っているが、この時イリスは、内心でガッツポーズをしていた。
(来た!)
 今までホミカに対してやることなすこと裏目になりがちだったが、ここに来て温存していたポケモンの出番がやって来た。
「さあ、ここからはお前の独壇場だ。頼んだよ、リーテイル!」
 イリスの四番手はリーテイル。飛行タイプなので毒菱の影響は受けないが、草タイプなので今まで出し難かった。しかし格闘タイプを併せ持つドクロッグになら、ある程度は有利に戦える。
「へぇ、リーテイルか。もう飛行タイプは尽きたのかと思ったけど、少しでも有利な相手が出るまで待ってたのね。でも、あたしのドクロッグは弱点を突いたくらいじゃ、そう簡単には倒せないよ」
 ビシッとピックを突き出し、ホミカは言う。そして直後、ドクロッグが動き出した。
「ドクロッグ、ストーンエッジ!」
 ドクロッグは周囲に鋭く尖った岩を多数浮かべ、それらをリーテイルへと一斉に発射する。
「リーテイル、エアスラッシュだ!」
 リーテイルも空気の刃を連射して岩を全て撃ち落とし、そのままドクロッグも切り裂いた。
「やるねぇ。だったらドクロッグ、バレットパンチ!」
 今度は拳を構え、弾丸のようなスピードで跳び上がってリーテイルに接近。ドクロッグはそのまま拳を突き出すが、
「リーフブレード!」
 リーテイルはすぐに尻尾の葉っぱを振るい、拳を弾いてしまう。
「続けてドラゴンビートだ!」
 そこに龍の鼓動のような音波を放ち、ドクロッグを地面に落とす。至近距離からまとも喰らったので、ドクロッグの受けたダメ—ジは大きいだろう。
「ストーンエッジ!」
「エアスラッシュだ!」
 ドクロッグはすぐに立ち直って尖った岩を無数に発射するが、リーテイルの飛ばした空気の刃によって全て相殺されてしまう。
「ストーンエッジが通じないと、やっぱ戦いにくいね……ドクロッグ、バレットパンチ!」
 地面を蹴り、弾丸のように一直線にリーテイルの下まで跳び上がるドクロッグ。固く拳を握り締め、勢いよく突き出すが、
「リーフブレード!」
 またしてもリーフブレードで弾かれる。が、ドクロッグも負けてはいなかった。
「毒突きだよ!」
 弾かれたのは右手。ドクロッグはもう片方の左手——その鋭い指に猛毒を含ませてリーテイルへと突き出した。
「っ! ドラゴンビートだ!」
 咄嗟にリーテイルは激しい音波を放つが、少し遅い。結果的にドクロッグは地面まで吹っ飛ばされたものの、リーテイルは毒突きを掠めてしまい、毒状態になってしまった。
「やりぃ! あたしのドクロッグの特性は毒手。だから接触攻撃に限り、通常よりも毒状態になりやすいのさ」
 得意げになるホミカ。猛毒よりはマシだが、それでも毒状態になってしまったのは、ホミカ相手には大きな失態になるだろう。
「……一気に決めるよ、リーテイル。エアスラッシュ!」
 リーテイルは背中の葉っぱを羽ばたかせ、無数の空気の刃を飛ばす。
「かわしてバレットパンチ!」
 ドクロッグも弾丸のようなスピードで空気の刃をかわし、そのまま跳び上がって拳を繰り出す。
「リーフブレード!」
 ドクロッグの拳は、再三尻尾の葉っぱで弾くが、やはりドクロッグはまた次の手に出る。
「クロスチョップ!」
 弾かれた手ともう片方の手を手刀のように構えて掲げ、交差させてリーテイルへと振り下ろした。
「間に合え……! ドラゴンビート!」
 リーテイルは龍の音波を放ち、ドクロッグを攻撃。運よく手刀が届くよりも早く、音波がドクロッグを吹き飛ばしたので、リーテイルにダメージはない。
「これで決める! リーテイル、エアスラッシュ!」
 リーテイルは思い切り背中の葉っぱを羽ばたかせ、空気の刃を飛ばしてドクロッグを切り刻む。
「ドクロッグ!」
 効果抜群の攻撃を受け、ドクロッグはそのまま戦闘不能となった。



ホミカ戦その五、ドクロッグがやられるのが早すぎますね。ちなみにハブネークの弱点については、ハブが沖縄=熱い所にいるのが理由です。はい、適当ですね。そもそも蛇は変温動物なので、極端な暑さにも弱いです。では次回は遂にホミカのエース登場です。お楽しみに。

Re: 457章 毒液 ( No.659 )
日時: 2013/02/07 21:11
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「戻りな、ドクロッグ」
 ホミカはドクロッグをボールに戻す。これでホミカの手持ちは残り一体。対してイリスの手持ちは二体。リーテイルが毒を負ったのは痛いが、どれでもほぼノーダメージなので、有利にバトルが展開できるだろう。
 しかし、それでもホミカは勝ち気な笑みを崩さない。むしろ不利な状況にも関わらず、自らの勝利を確信しているようですらあった。
「さあ、ライブもいよいよ大詰め。サビまで突っ切ってスパートかけるよ!」
 照明が強くなり、BGMのテンポが速くなる。それに合わせ、ホミカたちの演奏も激しくなっていく。
「これがあたしのエースだッ! 爆裂ッ! ダストダス!」
 一際大きな音が響いた瞬間、ホミカの最後のポケモンが繰り出される。
 ゴミ捨て場ポケモン、ダストダス。産業廃棄物が寄り集まったような巨体に、破れたゴミ袋覆面のようにかぶった出で立ち。二本の腕は細長く、右腕の指先には三つの穴がある。
「ダストダスか……」
 イリスは苦虫を噛み潰したような顔をする。
 かつてイリスは、とあるプラズマ団の科学者のダストダスに冗談でなく殺されかけたことがあるのだ。
 ジム戦なので危険な毒ガスなどは出さないだろうが、、その一件以来ダストダスはどうしても苦手意識を持ってしまう。
「……まあ、とにかくジム戦だ。リーテイル、後続のために少しでも削っておくよ。エアスラッシュ!」
 リーテイルは背中の葉っぱを羽ばたかせ、空気の刃を飛ばし、ダストダスを切り刻む。
「いい気になれるのも今のうちだよ! ダストダス、ロックブラスト!」
「かわせ!」
 ダストダスは指先の三つの穴から岩石を連射するが、リーテイルは横に逸れてかわす。そしてそのままダストダスへと接近する。
「ドラゴンビート!」
 そして龍の鼓動のような音波を発射するが、
「かわしな、ダストダス!」
 ダストダスは意外な跳躍力で跳び上がり、音波をかわしてしまう。さらに、
「リーテイルの上に着地!」
 着地点をリーテイルに定め、その巨体でリーテイルを押し潰してしまう。
「なっ……リーテイル!」
 ダストダスの下で必死にもがくリーテイルだが、ダストダスの重量では脱出はできない上、うつ伏せでのしかかられているので技を放ってどかすことも不可能だ。
「さあ皆! 楽しいパフォーマンスの時間だ!」
 突然ホミカがそんなことを言いだすと、会場が再び一気に沸き上がる。そしてダストダスは足の下のリーテイルを引っ張り出し、
「ドレインパンチ! ラッシュ!」
 伸縮自在の腕から放たれる拳でリーテイルを殴打する。それも四方八方から絶え間なく繰り出される乱打。ダストダスの性質をうまく利用した連続攻撃だ。
 ひとしきりダストダスのタコ殴りが終わる頃には、リーテイルはかなり疲弊していた。効果いまひとつの技でも、あれだけ喰らえばダメージも蓄積する。
 しかも、ダストダスの攻撃はまだ終わらなかった。
「サイコキネシス」
 念動力でリーテイルを持ち上げ、空中で動きを止める。ご丁寧に体を横に向けているため、エアスラッシュやドラゴンビートで反撃することもできない。この辺り、手抜かりはないようだ。
「これでフィニッシュだ! ダストダス、ベノムショック!」
 ダストダスは指先をリーテイルへと向け、三つの穴から今度は毒液を噴射する。
 それなりの勢いはあるが、ハブネークのヘドロウェーブとは比べるべくもないその毒液をリーテイルは浴びる。すると次の瞬間、リーテイルは甲高く絶叫し、それきり動かなくなった。
「!? リーテイル!」
 リーテイルは戦闘不能。だがイリスは納得がいかなかった。
 確かに毒技はリーテイルに効果抜群で、ダメージも受けていたが、あの程度の勢いの攻撃一発で戦闘不能になるなど、ありえない。
 そんなイリスの思いを察してか、ホミカはしたり顔で口を開いた。
「もしかしてベノムショックを知らない? この技はね、毒状態の相手にぶっ掛けると威力が倍になる超パンクな技さ。並大抵のポケモンじゃあ、まず耐えられないね」
 リーテイルは並大抵のポケモンではないと抗議したいイリスであったが、しかしベノムショックでやられてしまったことは事実だ。黙ってリーテイルをボールに戻す。
「さあさあ、お客さんがお待ちかねだ。早く最後のポケモンを出しなよ」
 ベースを弾きながら急かすホミカ。それを聞き流しつつ、イリスは次のポケモンをなににするか考えていた。
(どうする……毒菱がある以上、耐久型のデスカーンは使いにくい。ベノムショックは脅威だけど、猛毒もあるからここは耐久力のあるポケモンがいいな。となると、デンリュウ、ズルズキン……いや)
 考えをまとめ、イリスは最後のボールを手に取り、構える。
「やっぱり最後はお前だ。頼んだ、ダイケンキ!」
 イリスの最後のポケモンは、エースダイケンキ。
 ダイケンキはフィールドに出ると、顔をしかめる。毒菱を踏んで猛毒状態になったのだ。
 ホミカは場に出たダイケンキを一瞥すると、口の端を吊り上げる。
「へぇ……そのポケモンがあんたのエース?」
「? ええ、まあ……」
 いきなり言われたので口ごもるイリス。それと、少し違和感もあった。
 エースと言えばリーテイルもエースだ。毒こそ受けたが、ほぼ一方的にドクロッグを倒したのはなにも相性だけではない。それはホミカも分かるだろうに、ダイケンキだけを指してエースと言及するのは少し妙に思えた。
 だが余計な詮索は後回し、今はバトルだ。
「ダイケンキ、シェルブレード!」
 ダイケンキは前脚の鎧から一振りのアシガタナを抜刀し、ダストダスへと特攻する。
「迎え撃つよダストダス! ベノムショック!」
 対するダストダスも、指先の噴射口をダイケンキへと向け、毒液を発射するが、
「受け流せ!」
 ダイケンキは水のエネルギーを纏ったアシガタナの側面で毒液を受け、そのまま強引に横へ流してしまう。
「なにそれ!? ありえない!」
 その様子を見て、ホミカは驚愕する。
 そしてダイケンキはダストダスへと接近し、もう一振りのアシガタナも抜き、二刀流でダストダスを切り裂いた。
「メガホーン!」
 加えて勢いよく角を突き出し、ダストダスを壁まで吹っ飛ばす。
「まだだダストダス! ロックブラスト!」
「弾き返せ! シェルブレード!」
 ダストダスはなんとか立ち上がって岩石を連射するが、ダイケンキも後ろ足で立ち、器用にアシガタナを回転させることで岩石を全て弾き返してしまう。
「吹雪だ!」
 ロックブラスト発射後の隙に、ダイケンキの猛吹雪が放たれる。吹き荒ぶ雪の風に、ダストダスの体も凍りついていく。
「やっば……ダストダス、ドレインパンチだ!」
 ダストダスは拳を握り、まずは凍り始めた自身を殴って氷を粉砕。そしてそのまま腕を伸ばし、ダイケンキに乱打を浴びせようとするが、
「シェルブレード!」
 二刀流のアシガタナを構えたダイケンキは、四方八方から襲い掛かる拳を全て捌ききってしまう。ダストダスの拳は斬られ、突かれ、弾かれ、絡め取られ、ことごとく防がれてしまい、ダイケンキに掠りもしない。
 やがて乱打が止まり、ダストダスの腕もしゅるしゅると元に戻っていく。
「ダストダス、ベノムショック!」
「吹雪で迎え撃て!」
 ダストダスは指先の照準をダイケンキに定め、毒液を噴射。しかしダイケンキも同時に吹雪を放っており、毒液は吹雪で凍らされ、ダストダスも吹雪の余波を受ける。
「まだまだ! ロックブラストだ!」
「ダイケンキ、シェルブレード!」
 ダイケンキはシェルブレードを回転させながら突っ込み、ダストダスの放つ岩石を片っ端から弾いていく。そしてアシガタナの間合いまで接近すると、二連閃のシェルブレードでダストダスの巨体を切り裂いた。
「ドレインパンチ!」
 攻撃後の隙を狙ったつもりなのか、ダストダスの拳がダイケンキに襲い掛かる。しかしダイケンキは素早くアシガタナを引き戻して拳を弾く。
「ベノムショック!」
 続け様に放たれた毒液も、水のエネルギーを纏ったアシガタナで受け流され、ダイケンキはダストダスと距離を取った。
 どうやらダイケンキはこのダストダスとは相性が良いようだ。ダイケンキのアシガタナを用いれば、ダストダスの技のほとんどに対抗できる。
 だが、ホミカの表情は余裕、というより、突破口を見つけたと言うかのように口元が勝ち気に緩んでいる。そしてその口を開いた。
「あんたのダイケンキ、強いね。あたしのダストダスがここまで追い詰められるなんて思わなかったよ。でもそのダイケンキには穴がある。やっと攻略法を見つけたよ」
 ライブハウスに響き渡るように、強く激しくベースを弾き、ホミカは叫ぶ。
「行くよ! あんたのじょーしきぶっ飛ばして、新しい世界に連れて行ってあげる!」



ホミカ戦その六です。遂にホミカのエース、ダストダスの登場。ベノムショックでリーテイルを下しますが、ダイケンキに苦戦。しかしホミカがその攻略法を発見します。分かる人は分かるでしょうが、ダストダスのバトルスタイルはアニメ版からの引用が多いです。ただ往復ビンタだとちょっと威力が低いので、ドレインパンチの連打にしました。こっちなら体力も回復しますしね。では次回、ホミカ戦決着です。お楽しみに。


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