二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——完結——
- 日時: 2013/04/14 15:29
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=21394
今作品は前作である『ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄』の続きです。時間としては前作の一年後となっておりまして、舞台はイッシュの東側がメインとなります。なお、前作は原作通りの進行でしたが、今作は原作でいうクリア後なので、オリジナリティを重視しようと思います。
今作品ではイッシュ以外のポケモンも登場し、また非公式のポケモンも登場します。
参照をクリックすれば前作に飛びます。
では、英雄達の新しい冒険が始まります……
皆様にお知らせです。
以前企画した本小説の人気投票の集計が終わったので、早速発表したいと思います。
投票結果は、
総合部門>>819
味方サイド部門>>820
プラズマ団部門>>821
ポケモン部門>>822
となっています。
皆様、投票ありがとうございました。残り僅かですが、これからも本小説をよろしくお願いします。
登場人物紹介等
味方side>>28
敵対side>>29
PDOside>>51
他軍勢side>>52
オリ技>>30
用語集>>624
目次
プロローグ
>>1
第一幕 旅路
>>8 >>11 >>15 >>17
第二幕 帰還
>>18 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27
第三幕 組織
>>32 >>36 >>39 >>40 >>42 >>43 >>46 >>49 >>50 >>55 >>56 >>59 >>60
第四幕 勝負
>>61 >>62 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>72 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80
第五幕 迷宮
>>81 >>82 >>83 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90 >>92 >>93 >>95 >>97 >>100 >>101
第六幕 師弟
>>102 >>103 >>106 >>107 >>110 >>111 >>114 >>116 >>121 >>123 >>124 >>125 >>126 >>129
第七幕 攻防
>>131 >>135 >>136 >>139 >>143 >>144 >>149 >>151 >>152 >>153 >>154 >>155 >>157 >>158 >>159 >>161 >>164 >>165 >>168 >>169 >>170 >>171
第八幕 本気
>>174 >>177 >>178 >>180 >>184 >>185 >>188 >>189 >>190 >>191 >>194 >>195 >>196 >>197 >>204 >>205 >>206 >>207 >>211 >>213 >>219 >>223 >>225 >>228
第九幕 感情
>>229 >>233 >>234 >>239 >>244 >>247 >>252 >>256 >>259 >>262 >>263 >>264 >>265 >>266 >>269 >>270 >>281 >>284 >>289 >>290 >>291 >>292 >>293 >>296 >>298
第十幕 強襲
>>302 >>304 >>306 >>307 >>311 >>316 >>319 >>320 >>321 >>324 >>325 >>326 >>328 >>329 >>332 >>334 >>336 >>338 >>340 >>341 >>342 >>343 >>344 >>345 >>346
弟十一幕 奪還
>>348 >>353 >>354 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>376 >>377 >>378 >>379 >>380 >>381 >>382 >>383 >>391 >>393 >>394 >>397 >>398 >>399 >>400
第十二幕 救世
>>401 >>402 >>403 >>404 >>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>412 >>413 >>414 >>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>433 >>436 >>439 >>440 >>441 >>442 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447 >>450 >>451 >>452 >>453 >>454
第十三幕 救出
>>458 >>461 >>462 >>465 >>466 >>467 >>468 >>469 >>472 >>473 >>474 >>480 >>481 >>484 >>490 >>491 >>494 >>498 >>499 >>500 >>501 >>502
第十四幕 挑戦
>>506 >>511 >>513 >>514 >>517 >>520 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>534 >>535 >>536 >>540 >>541 >>542 >>545 >>548 >>549 >>550 >>551 >>552 >>553 >>556 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>568
第十五幕 依存
>>569 >>572 >>575 >>576 >>577 >>578 >>585 >>587 >>590 >>593 >>597 >>598 >>599 >>600 >>603 >>604 >>609 >>610 >>611 >>614 >>618 >>619 >>623 >>626 >>628 >>629 >>632 >>638 >>642 >>645 >>648 >>649 >>654
>>657 >>658 >>659 >>662 >>663 >>664 >>665 >>666 >>667 >>668 >>671 >>672 >>673 >>676 >>679 >>680 >>683 >>684 >>685 >>690 >>691 >>695
第十六幕 錯綜
一節 英雄
>>696 >>697 >>698 >>699 >>700 >>703 >>704 >>705 >>706 >>707 >>710 >>711
二節 苦難
>>716 >>719 >>720 >>723
三節 忠義
>>728 >>731 >>732 >>733
四節 思慕
>>734 >>735 >>736 >>739
五節 探究
>>742 >>743 >>744 >>747 >>748
六節 継承
>>749 >>750 >>753 >>754 >>755
七節 浮上
>>756
第十七幕 決戦
零節 都市
>>759 >>760 >>761 >>762
一節 毒邪
>>765 >>775 >>781 >>787
二節 焦炎
>>766 >>776 >>782 >>784 >>791 >>794 >>799 >>806
三節 森樹
>>767 >>777 >>783 >>785 >>793 >>807
四節 氷霧
>>768 >>778 >>786 >>790 >>792 >>800 >>808
五節 聖電
>>769 >>779 >>795 >>801 >>804 >>809
六節 神龍
>>772 >>798 >>811
七節 地縛
>>773 >>780 >>805 >>810 >>813 >>814 >>817
八節 黒幕
>>774 >>812 >>818
最終幕 混濁
>>826 >>827 >>828 >>832 >>833 >>834 >>835 >>836 >>837 >>838 >>839 >>840 >>841 >>842 >>845 >>846 >>847 >>849 >>850 >>851
エピローグ
>>851
2012年冬の小説大会金賞受賞人気投票記念番外
『夢のドリームマッチ ver混濁 イリスvsリオvsフレイ 三者同時バトル』>>825
あとがき
>>852
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171
- Re: 524章 影 ( No.775 )
- 日時: 2013/03/19 23:07
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
ダンカンスはウッドハンマー受けて戦闘不能になったが、同時にその反動でカンカーンも戦闘不能となってしまう。
ダンカンスが倒れた影響か、水は引き、強化ガラスの柵も地面へと潜っていった。
「戻れダンカンス。お前の役目は終わりだ」
「お前もだ、カンカーン。後は任せな」
お互いポケモンをボールに戻す。両者相打ちで始まったバトルは、中堅の戦いへと移行する。
「2ndトライアル。実験スタートだ、オンネット!」
「ぶちかませ! カイリュー!」
アシドの二番手は、操りポケモン、オンネット。
真っ黒な体で、人型だが小柄な割に頭が大きく、腕も太い。
イリゼが繰り出すのは、ドラゴンポケモン、カイリュー。
大きくがっしりとした体つきに、優しげな瞳を持つポケモンだ。
「オンネットか……またぞろ面倒そうなのが出て来やがったぜ。カイリュー、まずはエアスラッシュ!」
カイリューは体に反して小さな翼を羽ばたかせ、大きな空気の刃を五、六発ほど飛ばす。
「オンネット、影討ち!」
だが空気の刃はオンネットを捉えない。オンネットは影に身を潜ませてエアスラッシュをやり過ごすと、カイリューの背後に現れて太い腕の一撃を叩き込む。
ただ、初撃なのでカイリューの特性、マルチスケイルが発動。よってカイリューの受けるはずのダメージは半減された。
「サイコバレットだ!」
だが直後、オンネットが至近距離から念力を固めた銃弾を連射し、カイリューの背に直撃させる。流石のカイリューも、この攻撃は効いただろう。
「ちっ、炎のパンチ!」
「影討ち!」
カイリューは裏拳のように炎を灯した拳を振るうが、オンネットは影の中に潜って裏拳を回避。今度はカイリューの真正面に現れ、太い腕を叩き付ける。
「怒りの炎!」
そしてオンネットは怒り狂うように燃え盛る憤怒の業火を放つ。業火は日照りの影響を受けて攻撃力が上昇しており、カイリューを容易く呑み込む。
「日照りを逆に利用されるとはな……だがそれでも効果いまひとつだぜ。カイリュー、振り払ってドラゴンダイブ!」
カイリューは急上昇して炎を振り払い、全身に龍の力を纏ってオンネット目掛け急降下する。
が、しかし、
「影討ち」
カイリューの攻撃はオンネットには当たらず、オンネットは影から這い出て来ては太い腕をカイリューに叩き付ける。
「ギガスパーク!」
そして今度は巨大な電撃の球体を生成する。大きく膨れ上がったそれを、オンネットは投げ飛ばすようにしてカイリューへと放った。
「カイリュー、こっちも十万ボルト!」
カイリューも強力な電撃を放ってギガスパークに対抗するが、ギガスパークの方が僅かに強く、十万ボルトは押し切られてしまった。
「まだまだ! サイコバレット!」
「かわしてエアスラッシュ!」
直後、オンネットは追撃にと念力を固めた銃弾を乱射する。しかしカイリューは大きく旋回して銃弾を回避。スピード重視で空気の刃を一発だけ飛ばし、オンネットを切り裂く。
「今だカイリュー! 炎のパンチ!」
そしてオンネットが怯んだ隙に、日照りによって強化された炎のパンチをオンネットに叩き込む。
その一撃をまともに受け、オンネットは地面へと叩き落とされた。
「追撃だ! ドラゴンダイブ!」
カイリューは攻撃の手を緩めず、龍の力を纏ってオンネットの落下地点に向けて急降下する。
「迎え撃て! オンネット、ギガスパーク!」
オンネットもなんとか立ち上がり、巨大な電撃の球体を生成し、盾のように構える。
もう修正の利かないカイリューは、そのまま雷球へと突っ込んでいった。なかでバチバチと激しく電気が弾ける音が響く。そして、やがて雷球は爆散し、カイリューも弾き飛ばされる。
「くっそ、失敗か。カイリュー、十万ボルト!」
「オンネット、怒りの炎!」
カイリューは十万ボルトの電撃を放ち、オンネットは憤怒の業火を放つ。双方ともに激しくぶつかり合うが、日照りで強化された怒りの炎が十万ボルトを上回り、電撃を飲み込んでカイリューへと迫る。しかし、
「その攻撃もらった! カイリュー、炎のパンチ!」
カイリューは拳に炎を灯し、襲い掛かる怒りの炎を吸収してしまう。日照りと怒りの炎で、カイリューの拳に灯った炎はかなり大きくなった。
「行け、カイリュー!」
カイリューは爆炎の拳を振りかぶり、一直線にオンネットへと突っ込む。そして、拳を振り下ろすが、
「効かねえなぁ! オンネット、影討ち!」
オンネットは影の中に潜り込んでしまう。よってカイリューの拳は空振り。直後、影から出て来たオンネットの攻撃が、カイリューを襲う。
「怒りの炎だ!」
続け様にオンネットは憤怒の業火を放つ。効果いまひとつでも日照りの影響を受けて増大した炎は、確実にカイリューの鱗を焼き焦がしていく。
「オンネットは攻撃力がずば抜けているが、それ以外の能力は言うほど高くねぇ。エアスラッシュと炎のパンチを一発ずつまともに叩き込んでるから、あと一発、クリーンヒットさせれば勝てそうなんだがな……」
しかしその一発を当てるのが難しい。
カイリューの技は大振りで大味なものが多い。ゆえに攻撃が読まれやすく、小回りも利きづらいため、攻撃がかわされやすい。
そうでなくともオンネットの影討ちが非常に厄介だ。威力自体はさほど高くないが、一度影の中に潜られてしまえば手も足も出ない。こちらの攻撃を完全にかわしてしまうところが、この技の強みだ。
「オンネット、ギガスパーク!」
オンネットは巨大な電撃の球体を生成し、投げつけるようにカイリューへと放つ。カイリューは旋回してその攻撃をかわすが、
「サイコバレット!」
直後に念力の銃弾が乱射され、カイリューは撃ち抜かれてしまう。
「ぐっ、カイリュー、十万ボルト!」
「オンネット、影討ち!」
反撃に放ったカイリューの電撃も、影に入り込んでオンネットは回避。背後からカイリューは襲われる。
「サイコバレットだ!」
「カイリュー、急上昇! とにかくかわせ!」
オンネットが乱射する念力の銃弾を、カイリューは急上昇して回避する。オンネットは執拗に、狙い撃つように銃弾を連射するが、カイリューは必至でかわしていく。
カイリューの耐久力は、イリゼの最強メンバーの中でもかなり高い。特性で能力が著しく変動するオニゴーリは除くとして、三番目に堅いエルフーンと差をつけ、最も強固なヒードランに迫る耐久力を誇っている。が、それでも攻撃の高いオンネットからこうも強力な攻撃を連続で浴びせられれば、限界が来るのは必然。実際、カイリューはかなり消耗していて、もうあと何発か撃ち込まれれば戦闘不能になってしまいそうだ。
「オンネット、ギガスパーク!」
オンネットは巨大な雷球を生成し、カイリュー目掛けて放つ。
「カイリュー、かわして十万ボルト!」
カイリューは旋回してギガスパークをかわしつつ、強力な電撃を放つが、
「影討ち!」
影に潜り込んだオンネットに電撃は当たらず、カイリューはオンネットの拳を受けてしまう。
(ん……? 待てよ)
ふと、イリゼはオンネットの行動パターンに疑念を抱く。
(こいつ、さっきから影討ちでしか攻撃をかわしてなくないか……?)
思い返してみれば、確かにオンネットはカイリューの攻撃をかわす時には、必ず影討ちを使用してかわしていた。迎撃や相殺は他の技を使うが、回避だけは影討ちを使用している。
それは、つまり——
「……そういうことかよ。だったらカイリュー、炎のパンチ!」
カイリューは拳に炎を灯し、オンネットに殴り掛かるが、
「当たらねぇつーの! オンネット、影討ち!」
オンネットは影に潜り込んでカイリューの背後に回り、拳を回避。そのまま太い腕を叩き付ける。
しかし、
「後ろだ! 十万ボルト!」
直後、カイリューは真後ろに向かって電撃を放つ。オンネットはその電撃を避けられず、直撃を受けてしまう。しかも運の悪いことに、麻痺状態になってしまった。
「お前のオンネットは攻撃をかわす時、必ず影討ちを使う。それ以外の攻撃にしたって、オンネット自身はほとんど動かなかった。つまりよ、お前のオンネット、鈍いんだよな」
オンネットは今まで、影討ち以外ではカイリューに接近することはなかった。それはつまり、動きが鈍いから、先制技の影討ち以外では、カイリューを追えないのだ。
「だったら動きを止めればそれで片付く! カイリュー、ドラゴンダイブ!」
カイリューは急上昇し、龍の力を身に纏って急降下する。
「ちっ、オンネット、影討ち!」
アシドはそう指示を出すが、麻痺が発動し、オンネットは動けなかった。
そのためカイリューのドラゴンダイブがオンネットに直撃。オンネットは大きく吹っ飛ばされて戦闘不能となった。
「……戻りな、オンネット。お前の番はもう終わりだ」
アシドはオンネットをボールに戻す。これで、アシドの使用ポケモンは残り一体となった。その最後の一体が入ったボールを手に取る。
「あと……一体か」
最後のボールを握り締め、アシドはそれをジッと見つめる。それは彼らしくもない、どこか感傷的な雰囲気を感じさせる眼差しだった。
「これが、僕のプラズマ団としての最後の一戦——」
アシドは思い返す。自分がプラズマ団に入る前のことを。孤独で孤高の、科学者だった過去を——
- Re: 525章 格技 ( No.776 )
- 日時: 2013/03/20 02:07
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「メタグロス、出番だよー」
フレイの二番手は、鉄足ポケモン、メタグロス。
四本の足を持つロボットのような姿をしており、顔面にはX字型のプロテクター。青色の鋼鉄の体を持つポケモンだ。
「遅さで言えば、メタグロスもニートンとそんなに変わんないんだけどねー。でも硬さで言えば圧倒的にメタグロスが硬い。それにハンタマの弱点を突けるから、出すとしたらメタグロスしかないよねー」
「……でも、私のハンタマにはこの技があるんだよ。ブレイズキック!」
ハンタマは地面を蹴って飛び出し、炎を灯した足でメタグロスを蹴りつけるが、
「っ、硬い……!」
メタグロスは身じろき一つせず、ハンタマのブレイズキックを耐え切ってしまった。
「だーかーらー、言ったじゃんさー。あたしのメタグロスは硬いんだよー。ま、ストータスほどじゃーないけどねー。んじゃメタグロス、反撃のコメットパンチだー」
メタグロスは足を一つ折り畳むと、流星の如き勢いで拳を突き出した。ハンタマは反射的に跳び退ってその攻撃をかわしたが、地面が盛大に抉れている。流石はメタグロスというべきか、攻撃力も半端ない。
「ハンタマ、シャドーパンチ!」
ハンタマは遠くから影の拳を振り抜き、二発同時に飛ばした。シャドーパンチはまっすぐにメタグロスへと向かっていき、直撃するが、やはりダメージは少ないようだ。
「離れてちまちま攻撃する気かなー? そーいうのも場合によっちゃーありなんだろーけど、今の君たちは急いでるんじゃないかなー? それにあたし、バトルにしろゲームにしろ何にしろ、ちまちまプレイするのって嫌いなんだよねー。どかんと一発、大きいのをかましたい性質なんだー……サイコバレット!」
メタグロスは念力を固めて銃弾を生成する……が、その作業が普通のポケモンよりも異様に遅い。だが銃弾の一発一発は大きく鋭い。そしてその数も、膨大だ。
「うちかたー……始めー」
気の抜けたフレイの号令で、メタグロスは銃弾を乱射する。入念に固めた銃弾は弾幕となり、高速でハンタマに襲い掛かる。
「避けられるかな……ハンタマ、マッハパンチ!」
ハンタマは拳を構えた状態で弾幕に突っ込み、襲い掛かる銃弾をかわしていく。
とはいえ、全ての銃弾を完全に避けることは出来ない。何発かはハンタマを掠めていく。銃弾そのものが大きいので、それだけでダメージは結構ある。
しかし下手に相殺しようとしなかったのが良かったのか、ハンタマは弾幕を最小限の被害で突き抜け、メタグロスの顔面に拳を叩き込んだ。
「ブレイズキック!」
続けて足に炎を灯し、メタグロスの足を払うような回し蹴りを喰らわせる。
「ぶち壊す」
だがメタグロスはまったく堪えておらず、すぐさま足を振り上げ、ハンタマ目掛けて振り下ろした。ハンタマは咄嗟に身を退いたのでノーダメージだが、鋼鉄の足が叩きつけられた地面は、大きく陥没していた。さっきのコメットパンチの比ではない。
「コメットパンチだよー」
「かわしてマッハパンチ!」
メタグロスは続けてコメットパンチを繰り出すが、ハンタマは素早く動き回ってメタグロスの拳を避け、高速でメタグロスを殴りつける。
「シャドーパンチ!」
続けて影を纏わせた拳も叩き込み、
「ブレイズキック!」
炎を灯した足からの正面蹴りも喰らわせた。
だが、強固なメタグロスはビクともしない。硬いのは最初から分かっていた事だが、それにしても硬すぎる気がする。
「メタグロス、コメットパンチだよー」
メタグロスは反撃の拳を突き出すが、ハンタマは後ろに跳んでそれを回避。
「んじゃ、地震だー」
メタグロスは続けて地揺れを引き起こし、地震を発生させるが、これもハンタマにはかわされる。
「サイコバレット」
続けて念力の銃弾を連射。今度は念入りに銃弾を強化したりはせず、スピード重視でひたすら撃ちまくるだけだ。
「かわしてマッハパンチだよ!」
だがそれでも、ハンタマを捉えられない。メタグロスの側面まで移動したハンタマは拳を突き出してメタグロスを殴りつける。
「うーん、どーもこーも泥試合って感じだなー。お互い耐久型ってわけでもないのにねー。メタグロス、地震だよー」
「ハンタマ、かわしてブレイズキック!」
メタグロスが地震を発生させるも、ハンタマは跳躍してそれを回避。宙返りをしつつ、炎を灯した足でメタグロスの脳天に踵落としを叩き込む。
「マッハパンチ!」
続けて体をばねのように跳ね上げ、もう一回転してから高速の拳をメタグロスに突き込んだ。
「次はシャドーパンチ!」
ハンタマは一度メタグロスから離れ、影を纏った拳を連続で振り抜き、飛ばす。
「ブレイズキック!」
そして地面を思い切り蹴り、飛び蹴りの要領で炎の足をメタグロスの顔面へと叩き込む。
さらに直後、ハンタマの飛ばしたシャドーパンチがメタグロスに追い打ちをかける。
怒涛の連続攻撃を叩き込んだハンタマ。だが、しかし、
「メタグロス、コメットパンチ」
メタグロスは余裕の表情で拳を振りかざし、ハンタマへと迫る。
攻撃自体は簡単に回避できるが、やはりこの硬さが厄介だ。いくら攻撃しても、全然体力が減らない。
(どうしよう、このままだとハンタマのスタミナが先に尽きちゃう……交代させてもいいけど、できれば最後のストータスのために、ポケモンは残しておきたいし……)
ミキは現状をどう打開するかに頭を悩ませるが、そんなことなどお構いなしにメタグロスは攻撃を仕掛けてくる。
「ぶち壊すだよー」
全ての足を折り畳んで浮かび上がり、凄まじい殺気を発しながらメタグロスはハンタマへと突っ込んでいく。
「っ、ハンタマ、かわしてブレイズキック!」
跳躍してメタグロスの突撃をかわし、真上から流星蹴りのような鋭い一撃をメタグロスの脳天に叩き込む。
その時、メタグロスに変化が起きた。
(っ? 効いた……?)
ハンタマのブレイズキックがヒットした瞬間、メタグロスの体が揺れたように見えたのだ。一瞬だったので見間違いかもしれないが、確認するために試す価値はあるだろう。
「……ハンタマ、マッハパンチ!」
ハンタマはメタグロスに急接近し、拳を突き込む。するとすぐに跳躍して、メタグロスの上を取った。
「ブイレイズキック!」
そしてそのまま落下の勢いを乗せた炎の流星蹴りを、メタグロスの脳天に直撃させる。
その一撃を受けて、今度は明らかにメタグロスがグラついた。顔も少し歪んでおり、ダメージが通っていることは確定的だ。
「効いてる……! ハンタマ、このまま攻めるよ! マッハパンチ!」
ハンタマは高速で動き回り、メタグロスの死角を見つけては拳を突き込んでいく。一撃一撃は小さいが、どういうわけか、最初に比べればダメージが通っているように感じられる。
「うーん、ダメージ溜まってきたなー。耐久力も落ちてきたしー……ま、しゃーないかー。メタグロス、コメットパンチ」
メタグロスは流星の如く拳を振るうが、ハンタマを捉えることはない。全ての攻撃は空振っている。
「シャドーパンチ!」
次の瞬間、メタグロスの顔面にハンタマの影の拳を叩き込まれる。急所に当たったのか、メタグロスの顔は大きく歪み、ガクッと態勢も崩してしまった。
「今がチャンスだよ! ハンタマ、ブレイズキック!」
その隙にハンタマは炎の足を振り上げ、袈裟懸けのような浴びせ蹴りをメタグロスに喰らわせる。
「シャドーパンチ!」
そして滞空した状態のまま、影の拳を連続で飛ばし、一旦着地。
「マッハパンチ!」
地面を蹴ってメタグロスの顔面に再び拳を突き込み、直後に襲い掛かる影の拳で追い打ちをかける。
最初はあまり効果のなかったこの連続攻撃だが、今度のは効いている。大ダメージと言うほど大きくはないが、確実にメタグロスの体力を削っていると感触がある。
「あんまり近いとサイコバレットも撃てないしなー。メタグロス、ぶち壊す」
「ハンタマ、かわしてシャドーパンチ!」
メタグロスの鉄鎚を潜り抜け、ハンタマは影の拳をメタグロスに突き込む。
「地震」
「マッハパンチ!」
メタグロスは地面を踏み揺らして地震を起こすが、やはりハンタマには当たらず、脳天にマッハパンチがヒット。
「ブレイズキック!」
続けて炎の踵落としも決められ、メタグロスの体力はガンガン削られていく。
「メタグロス、コメットパンチ」
「ハンタマ、マッハパンチ!」
メタグロスの流星のような勢いで放たれる鉄鎚をかわし、ハンタマの超高速の拳がメタグロスの顔面を捉える。
「シャドーパンチ!」
続いて影の拳も叩き込んでメタグロスの足が折れ、態勢も崩れた。
「そこ! ブレイズキック!」
体制が崩れた時が、最も大きな攻撃を決めるチャンス。ハンタマは両足に炎を灯し、一発目は回し蹴り、二発目は宙返りからの踵落とし、三発目は着地してからのサマーソルトキックと、ブレイズキックの三連コンボを決めて、遂にメタグロスは崩れ落ちた。
目を閉じて全く動かないところを見ると、戦闘不能になったのだろう。
「うーん、やられちゃったかー。ありがとね、メタグロス。戻っててー」
フレイはメタグロスをボールに戻し、自身の傍らにコトリと置く。
「まさかハンタマ一匹に二体もやられちゃうとはねー」
言いながらフレイは、次なるボールを手に取った。
- Re: 526章 光輝 ( No.777 )
- 日時: 2013/03/20 03:44
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「……戻ってくれ、マイハニー。よく頑張ってくれたよ」
ロキは雷に貫かれ、戦闘不能となったアメリシアをボールに戻す。
「相性が良かったとはいえ、ボクから先手を取るなんて、やるじゃないか」
「何が相性が良かっただよ。結果的にはあんたのミスじゃねえか」
さりげなく言い訳をするロキを、フォレスが鋭く指摘する。
「ふふふ、でも君、本当に強いよ。前に戦った女の子は四番目に強いらしいけど、彼女よりも強いんじゃないのかな?」
「女の子……? レイさんのことか? あの人、そんな風に呼ばれるほど幼くもないだろ。女は歳多く見られるのを嫌うっていうが、幼く見られるのみ嫌らしいぜ」
「へぇ、そういえばユキちゃんもそんなこと言ってたね。乙女心は複雑ってことなのかな」
「まったくだ」
うんうんと頷き合い、変な所で気の合う二人だった。
「……序列については、一応、俺よりもあの人の方が強いよ。だがそれも、俺たち7Pが決定した時につけられた序列だがな」
「てことは、今は君の方が強い可能性もあるってことだね」
だったら真面目にやらないとなぁ、と今までは不真面目だったのかと問いただしたくなるようなことを呟いて、ロキは次のボールを手に取った。
「ま、なにはともあれ、続けようか。おいで、マイフィアンセ、ランターン」
ロキが次に繰り出すのは、ライトポケモン、ランターン。
チョウチンアンコウのようなポケモンで、魚に酷似した流線型のボディ。頭部から伸びる触覚のようなものは先端が球状になっており、光り輝いている。
「ランターンも雷を使えるけど、さっきみたいなヘマはもうしないよ」
「そもそも電気タイプに電気技を撃つ方がどうかしてんだけどな」
なぜか自信満々のロキに、あくまでも冷静なフォレス。
「ランターン、ハイドロポンプ」
ランターンは大きく息を吸い、大量の水を噴射する。雨の影響で威力の増大したハイドロポンプの勢いは、相当なものだ。
「ランターンなら、特性は蓄電だろうな……マカドゥス、かわしてダイヤブラスト!」
マカドゥスはハイドロポンプをかわすと、ランターンに接近し、煌めく爆風を放とうとするが、
「怪しい光」
ランターンは突如、触角の先にある球体を怪しげに発光させ、マカドゥスの目をくらます。そして同時に、マカドゥスを混乱状態にした。
「ランターン、ハイドロポンプだ」
そしてそのままランターンはハイドロポンプを噴射。混乱して正常な行動を取ることできないマカドゥスは、その直撃を受けて吹っ飛ばされた。
「っ、マカドゥス!」
天候の恩恵も受けた効果抜群の攻撃を直撃され、マカドゥスはあえなく戦闘不能。フォレスはマカドゥスをボールに戻す。
「俺のポケモンは全体的に水タイプに弱いからなぁ。電気まで複合したランターンなんざ、天敵みたいなもんだ」
と言うものの、フォレスにはランターンを打倒できるポケモンがいないわけではない。
「……ま、とりあえずはこいつにしとくか。出番だ、サンドリル!」
フォレスの二番手は、ドリルポケモン、サンドリル。
ハリネズミのような出で立ちのポケモンで、背中の棘は頭に沿って上向きに逆立っており、両手はドリルになっている。
「ふぅむ、地面タイプかぁ。君はどうしても、ボクに雷を使わせたくないみたいだね」
「別にそんなつもりはないが……」
ロキのいちゃもんじみた言葉に、困り気味に返すフォレス。
「ふふ、まあいいよ。雷がなくとも、マイフィアンセは十分強い。ランターン、ハイドロポンプ」
ランターンは大きく息を吸い、大量の水を噴射する。
「サンドリル、かわしてドリルライナー!」
俊敏な動きで水流をかわしたサンドリルは、ドリルを回転させ、ランターンへと接近。ドリルを突き込んできた。
「おおぅ? ランターン、かわすんだ」
ランターンは咄嗟に身を退くが、完全にはかわせず、掠めるようにしてドリルの攻撃を受けてしまう。
「速いねぇ。ランターン、吹雪」
「かわしてシザークロスだ!」
ランターンは雨にも関わらず猛烈な吹雪を放つが、サンドリルは大きく跳んでこれを回避。上空から、ドリルの先端を交差させてランターンを切り裂いた。
「ぶち壊す!」
さらにサンドリルは、凄まじい気迫でドリルをランターンへと突き出し、追撃をかけるが、
「流石にこれ以上は喰らいたくないなぁ。ランターン、怪しい光」
ドリルがランターンに触れる直前で、ランターンは不気味な閃光を発し、サンドリルを混乱状態にする。よってサンドリルの攻撃はランターンには当たらなかった。
「ハイドロポンプだ」
直後、ランターンは雨で強化されたハイドロポンプを噴射するが、
「くっ、かわせサンドリル!」
混乱のまま、ふらふらとした足取りでサンドリルは足場を移し、なんとか水流を回避する。
「ストーンエッジ!」
そして周囲に鋭い岩を浮かべ、ランターン目掛けて一斉に発射。何発かは明後日の方向へと飛んで行ったが、残りはすべてランターンへと飛んで行く。
「雷だよ」
だが、ランターンは激しい稲妻を放って襲い来る岩を全て破壊。そして、
「吹雪だ」
今度は猛吹雪を放つ。雨粒を凍らせることで、水技ほどではないが威力の増した吹雪が、サンドリルに襲い掛かる。
「サンドリル、回避だ!」
混乱を振り払い、サンドリルは大きく横っ飛びすることで吹雪を回避。そして同時に、ランターンへの攻撃チャンスを得た。
「ドリルライナー!」
ドリルを回転させながら、サンドリルはランターンへと突っ込む。
「怪しい光」
ドリルライナーが当たる直前に、ランターンはまたしても怪しい光でサンドリルの攻撃を阻止しようとする。しかし今回は完全に軌道を逸らすことは出来ず、直撃ではないがドリルの攻撃を受けてランターンは弾き飛ばされる。
「追撃しろ、ストーンエッジだ!」
今回はいち早く混乱から立ち直り、サンドリルは鋭く尖った岩を発射する。弾かれたランターンはまだ態勢が整っておらず、尖った岩が体に突き刺さった。
「ぶち壊す!」
「ハイドロポンプ」
続けてサンドリルは、ドリルを構えて特攻。凄まじい勢いでドリルを突き出すが、ランターンも同時に水流を放っており、ぶち壊すとハイドロポンプがぶつかり合う。
しばらく競り合っていたが、素の攻撃力はサンドリルの方が上とはいえ、雨とタイプ一致で強化されているランターンのハイドロポンプに分があり、最終的にサンドリルは押し戻されてしまった。
「よし、いいよランターン。そのまま吹雪だ」
ランターンは続け様に猛吹雪を放ち追撃をかける。
「通じる攻撃技は全部効果抜群だからな……かわせサンドリル!」
フォレスの言うように、ランターンが持つ攻撃技でサンドリルに通るのは、ハイドロポンプと吹雪のみ。だがどちらもサンドリルの弱点を突くタイプなうえ、威力が高い。ハイドロポンプに至ってはタイプ一致に天候の恩恵まで受ける。物理技ならまだしも特殊技では、そんな高火力の攻撃をサンドリルが耐えられるはずもない。
なのでサンドリルは跳躍して吹雪を回避。ランターンの上を取った。
「シザークロス!」
そしてドリルの先端で、ランターンを十文字に切り裂く。
そしてそのまま追撃をかけたいところだが、サンドリルは深追いせず、あえて身を退いた。
「……怪しい光を警戒してるみたいだね」
「まあな。一回目は痛い目見てるし、二回目は運が良かっただけだ。次にあれを喰らえば、今度はやられちまいそうだしな」
サンドリルが追撃しなかったのは、怪しい光を警戒したため。ここぞという時に放たれる怪しい光は、こちらを混乱状態にする。混乱はポケモンの正常な行動の妨げになるため、かかりたくない状態異状だ。
「賢明というべきか、臆病というべきか。ま、無謀よりはいいのかもしれないけどね。ランターン、吹雪」
「サンドリル、かわしてストーンエッジ!」
ランターンが放つ吹雪を、サンドリルは跳躍して回避。上空から鋭く尖った岩を発射してランターンに突き刺す。
ランターンは体力が多いものの、それ以外の能力は平凡だ。一度に受けるダメージ量が多いため、そろそろ体力も限界近いだろう。
なのでロキも、勝負に出る。
「ランターン、ハイドロポンプ」
最初の吹雪はブラフ。ランターンは尖った岩の直撃を受けたものの、すぐに軌道を修正して目標を捕捉。狙いを定め直した。
そして直後、ランターンは大量の水を噴射する。
「っ、サンドリル、ドリルライナー!」
空中では身動きが取れないため、攻撃はかわせない。だがサンドリルは諦めず、咄嗟にドリルを回転させ、襲い掛かる水流を散らそうとする。
しかし水の量は膨大だ。二つのドリルでは抑えきれない。だがそれでも、サンドリルは必至で耐える。
「ぶち壊す!」
危険を冒し、サンドリルは片手を振り上げ、凄まじい勢いで振り下ろす。すると刹那、水流は四方八方に飛び散る。文字通り、ぶち壊されたのだ。
「……っ」
流石に驚きを隠せないロキ。だがその間にも、サンドリルはランターンを狙っていた。
「とどめだ! サンドリル、ドリルライナー!」
着地した瞬間、サンドリルは勢いよく地面を蹴って突貫。高速回転させたドリルをランターンに突き込む。
「っ、ランターン——」
効果抜群の直撃を急所に受け、ランターンは戦闘不能となった。
- Re: 527章 不可視 ( No.778 )
- 日時: 2013/03/20 13:38
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
闇の咆哮が少しずつ水流を押し始め、やがて大洪水は完全に消し飛ばされてしまった。
「今だ! ヘルガー、放電!」
大洪水を打ち破った瞬間、ヘルガーは電撃を撒き散らしてヤミクラゲを攻撃。何重にも重ねられた電撃を受け、ヤミクラゲは戦闘不能となった。
「……戻ってください、ヤミクラゲ」
レイはヤミクラゲをボールに戻す。結局、ヘルガーの特攻は最大まで上昇し、レイにとっては非常にまずい状況となった。
しかしそれでもレイは、静かに次のポケモンを繰り出す。
「おいでなさい、テッカニン」
レイの二番手は、忍ポケモン、テッカニン。
蝉のような姿をしたポケモン。外見的特徴はそれだけだ。
「ここでテッカニン……能力の上がったヘルガーを、スピード勝負で倒すつもりか」
今のヘルガーに、火力で勝負するのは無謀だ。かといって耐久型のポケモンでも、そのまま押し切られる可能性が高い。
ならば攻撃を受けないことを前提とし、手数で勝負を決めた方が勝率が高いと、レイは判断したのだろう。
「だがそれは、裏を返せば一撃でも入れられれば俺の勝ちってことになる。決めるぞヘルガー、火炎放射!」
ヘルガーは燃え盛る火炎をテッカニンへと放つが、
「テッカニン、高速移動です」
刹那、テッカニンの姿が消えた。
「……!」
ザキは視線をあちこちへと向けるが、テッカニンの姿は見えない。そして、
「連続切り」
次の瞬間、ヘルガーの体に一筋の切り傷ができていた。傷自体は浅いが、攻撃の瞬間が全く見えなかった。気付けば傷ついていた、という感覚だ。
「流石に、テッカニンは速ぇぜ……」
うんざりしたように呟くザキ。
テッカニンの特徴は、その類まれなるスピード。目視すらも難しい超スピードで動き回り、相手を攪乱する戦い方で、手数で攻めるのが基本だ。
「火炎放射がダメなら、これならどうだ。ヘルガー、放電!」
ヘルガーは四方八方に電撃を撒き散らす。特攻マックスの状態で放たれる電撃は相当広い範囲に撒かれ、普通のポケモンなら回避などほぼ不可能だ。
しかし、テッカニンは別である。
「高速移動」
残像も残らないほど高速で、もういっそ光速と言ってもいいくらいのスピードでテッカニンは動き回り、放電を回避している。姿が見えないので、もしかしたら放電が届かない場所にいるだけかもしれないが。
「燕返しです」
そして次の瞬間、またしてもヘルガーの体に切り傷ができていた。さっきのものよりも深い傷だ。
「テッカニン、継続して連続切りです」
さらに次の瞬間、またまたヘルガーの体に傷が生まれる。その次の瞬間も、さらに次の瞬間も、そのまた次の瞬間も、ヘルガーは斬撃を受ける。しかも、傷は一瞬ごとに深くなっている。
一秒どころか一瞬経つたびに攻撃を受け、ヘルガーは手も足も出ない状況だ。羽音と斬撃の音だけが連続して鳴り響き、ヘルガーはなす術もなく連続切りを受け続けるだけだ。
「テッカニン、潜るです」
そして最後に、テッカニンは一瞬で地中に潜り、一瞬で地上に這い出て来て、ヘルガーを吹っ飛ばす。正直ザキには、普通に下から突撃してきたようにしか見えなかった——というか、そもそもテッカニン自体見えなかったので、ヘルガーが一人で勝手に吹っ飛ばされたようにしか映らない。
「……戻れ、ヘルガー」
長く感じた攻撃だが、実際の時間は一分に満たない。それほど、テッカニンの機動力は優れているのだ。
「あのスピードは厄介すぎる……さて、どうするか」
テッカニンの攻撃力は、正直に言って大したことがない。ヘルガーを倒すのに相当数攻撃していたようなので、防御に関してはあまり考えなくていいだろう。どう足掻いても、ザキのポケモンではテッカニンに弱点を突かれる。
となると、次はどうやってテッカニンに攻撃を当てるかだ。どのポケモンを繰り出せば、テッカニンに攻撃を当てられるか。ザキはしばし熟考し、
「……決めたぜ。次はお前で行く」
と言って、次なるボールを構えた。
「出て来い、ブーバーン!」
ザキが繰り出すのは、爆炎ポケモン、ブーバーン。
卵型のずんぐりした体躯で、両腕はバズーカ砲のように筒状となっている。両肩は揺らめくように燃える炎。
「ブーバーンで来ましたか。以前は大地の怒りでやられてしまいましたが、今回はどうでしょう。テッカニン、潜る」
「ブーバーン、大地の——」
テッカニンが地中に潜るのなら、地面から引きずり出せばいい。そう思ってブーバーンは大地を鳴動させ、土砂を噴射しようとするが、出来なかった。
というより、ザキが指示を終える前に、テッカニンは地中からの攻撃をヒットさせていたのだ。
「連続切りです」
そして直後、ブーバーンの体に何重にも重ねられた切り傷が生まれる。テッカニンに姿は、いまだ見えない。
しかし、
「……?」
「んだ? ありゃ……」
空中に、うっすらとした一筋の光が見える。光の筋は一定の長さを保っており消えた側からまた生まれている。その様子はまるで、蝋燭を持って走った時、その炎が揺らめいて線を描いているかのようだ。
「……! そうか、火傷……!」
ザキは気付いた。テッカニンは火傷しており、その時に生じる弱い炎が、高速で動き回るテッカニンに引っ張られて揺らめき、一筋の線に見えるのだ。
火傷になったのは、ブーバーンの特性、炎の体によるものだろう。炎の体は直接攻撃を受けると、攻撃を仕掛けたポケモンを火傷状態にすることがある特性。さっきの連続切りを、文字通り連続で繰り出した時に、テッカニンは火傷を負ってしまったのだろう。
「……問題ありません。それなら、テッカニンが火傷で力尽きる前に、ブーバーンを倒せばいいだけのこと。テッカニン、燕返し!」
次の瞬間、ブーバーンの体に新しい傷が出来る。やはり攻撃は見えない。見えないが、
「もう一度、燕返しです!」
「ジオインパクト!」
姿は見えないがテッカニンの攻撃が当たる直前、ブーバーンは銀色のオーラを身に纏う。本来ならここで目標に向かって突撃するのだが、今は攻撃すべきテッカニンの姿が見えないので、オーラを纏うだけ。しかしそれだけで、テッカニンから受けるダメージが大幅に減少する。しかもオーラは盾になるだけでなく、上手く行けばテッカニンの体力を、少量でも削る剣にもなりえるのだ。
「……潜る!」
攻撃を重視し始めたテッカニンは、地中に潜り、すぐさま飛び出して死角からブーバーンを襲う。効果抜群だが、火傷で攻撃力も下がっているため、そこまで大きなダメージは期待できない。
「つっても、ジオインパクトだけじゃ限界があるよな……ブーバーン、ダイヤブラスト!」
ブーバーンは四方八方に向けて宝石のように煌めく白色の爆風を連続して放つ。この攻撃が当たるとも思わないが、テッカニンの接近を止める程度の効果は期待できるだろう。
そう思っていたが、
「高速移動!」
テッカニンは超高速移動で爆風を突き抜け、容易くブーバーンに接近してしまった。
「燕返しです!」
そして鋭い爪で切り裂く。ダメージ量は大したことがないが、ブーバーンの体力は確実に削られている。
「くっそ、オーバーヒート!」
「テッカニン、潜る!」
ブーバーンは周囲を取り囲むような爆炎を放つが、テッカニンは地中に潜ってしまう。しかも今回はすぐには飛び出さず、炎が収まるのを待ってから、ブーバーンへと突撃。
「連続切り!」
そして直後、ブーバーンの全身をくまなく切り刻む。一瞬後にはもう攻撃されているため、潜るで素早さを下げられたブーバーンでは、どう足掻いても反応できない。
「引き剥がせ! オーバーヒート!」
「潜るです!」
ブーバーンは爆炎を発射するが、テッカニンは地中に潜って炎を回避。炎が鎮火した瞬間に飛び出して、ブーバーンに突撃する。
今の一連の動きを見て——テッカニンは黙視できないが——ザキはある事に気付く。
(こいつ、オーバーヒートだけは潜るでかわすな……)
それに気付くと、ザキはすぐに行動を開始した。
「決めるぞブーバーン、オーバーヒート!」
ブーバーンは燃え盛る爆炎を放つ。これほどの炎を避けるのはテッカニンでも難しいのか、それとも熱気自体がダメなのか。それは定かではないが、この攻撃に対するテッカニンの行動は決まっている。
「テッカニン、潜る!」
テッカニンは地中へと身を潜めてしまう。それによって爆炎はテッカニンには届かない。が、それこそがザキの狙いだった。
「ブーバーン! 最大火力でオーバーヒート!」
ブーバーンは再び、しかし今度は今まで以上の火力で爆炎を解き放つ。勿論いくら火力を上げようとも地中にいるテッカニンに炎は届かない。しかし逆に言えば、炎は届かない。つまり、炎以外なら、届く。
「っ! まさか、熱気で……!」
ブーバーンの炎は、よく見れば下向きに放射されている。つまり最初から炎を直接テッカニンに当てる気はなく、炎による熱気をテッカニンに浴びせるつもりだったのだ。
しばらく、長い時間、炎は燃え盛っていた。その炎が消える時、牢獄の氷はあまり溶けていなかったようだが、もぞもぞと地面から這い出て来た何かは、焼け焦げていた。
「テ、テッカニン……!」
熱気を浴びて体力を根こそぎ奪われたテッカニンは、地中で蒸し焼きにされた挙句、戦闘不能となった。
- Re: 528章 修復 ( No.779 )
- 日時: 2013/03/20 19:02
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「……戻って、プリン」
プリンの恩返しとファントマの熱風。どちらも攻撃を決めれば相手を倒せるという状況。一瞬の差で決まる勝負を制したのは、ファントマだった。
リオはプリンをボールに戻し、次のボールを手に取った。
「次はあなたよ、リーフィス!」
リオが次に繰り出すのは、観葉ポケモン、リーフィス。
植物の体はガラス鉢に守られており、分類通り観葉植物のような出で立ちのポケモンだ。
エレクトロはそんなリーフィスに反応を示した。
「おや? そのリーフィス……鉢は修復したのですね」
「まあね。粉々に粉砕されたから随分時間が掛かっちゃったけど、なんとかこの時までには間に合ったわ」
「刺々しいですね。根に持っていらっしゃいましたか」
「恨みを買ってないとでも思った?」
「まさか」
そんなやり取りの後、両者は動き出す。
「ファントマ、熱風!」
「リーフィス、大地の怒り!」
ファントマが放つ熱風を、リーフィスは土砂を噴出して防御。一緒に高級そうなテーブルやカーペットが吹き飛んで行ったが、今更気にするほどのものではないだろう。
「大成長!」
リーフィスは熱風を防ぐと、今度は無数の根っこを呼び出してファントマを攻撃。ファントマを絡め取り、動きを止めた。
「もう一度、大成長!」
さらに植物を呼び出し、ファントマに叩き付ける。効果はいまひとつだが最初の大成長で特攻が上がり、そうでなくともプリンとのバトルで消耗していたファントマは、その攻撃で戦闘不能となった。
「ふむ……まあ、こんなところでしょう。戻りなさい、ファントマ」
エレクトロは何と言うこともなく、ファントマをボールに戻した。
「さて、相手がリーフィスならこちらのポケモンは決まっています。今日の私は調子がいい。過去最大の解放率で、お相手しますよ」
「最初からそのつもりだったけどね。最高状態の貴方を倒さないと、それは相手を倒したことにはならない」
「左様でございますか……では。戦の時間です、ハッサム!」
エレクトロが次に繰り出すのは、鋏ポケモン、ハッサム。
赤い鋼鉄の体を持ち、両手には目玉模様のある鋏。背中には薄い翅がある。
「ハッサム、今度は修復が不可能なほどに破壊して差し上げましょう。ぶち壊す!」
ハッサムは地面を蹴って飛び出し、リーフィスに接近。そして凄まじい勢いで鋏をリーフィスのガラス鉢に叩き付けた。
ガイィンッ! という甲高い音が響き渡るが、リーフィスのガラス鉢には傷一つつかない。どころか、
「っ 光……?」
リーフィスのガラス瓶は、白く光り輝いていた。
「今までずっと休養してたけど、リーフィスだってただ寝てただけじゃないのよ。あの家で、この子なりに強くなってる。リーフィス、ハイドロポンプ!」
リーフィスは勢いよく水を噴射し、ハッサムを押し飛ばした。水量も発射までの時間も、以前より強化されている。
「そちらも本気というわけですか……いいでしょう。ハッサム、バレットパンチです!」
ハッサムは弾丸の如きスピードでリーフィスに接近し、鋼鉄の拳を叩き込む。
「リーフィス、大成長!」
「アクロバット!」
リーフィスは素早く植物を成長させて攻撃を繰り出すが、俊敏なハッサムの動きで回避され、頭に鋏の一撃を喰らう。
「ハッサム、ぶち壊す!」
着地したハッサムはガラス鉢に鋏を叩き付ける。弾き返されるということはないものの、やはり鉢には傷一つつかない。
「やはり硬度が上がってますね……無理に破壊すべきではありませんか。ハッサム、バレットパンチ!」
ハッサムは弾丸のようなスピードでリーフィスを殴りつけるが、効果はいまひとつだ。
「ハイドロポンプ!」
「かわしてアクロバット!」
リーフィスは勢いよく水を噴射して反撃するが、ハッサムも身を捻って水流を避け、鋏をリーフィスに叩き付ける。しかし、
「宿木の種!」
「っ!」
直後、リーフィスは何発もの種を発射し、ハッサムに植え付ける。これで、ハッサムは継続的にリーフィスから体力を奪われることとなってしまった。
「……以前はハイドロポンプに仕込ませていたはずですが、今度は直接撃ってきましたか」
「種を水流に紛れ込ませる手は、もう知れ渡っちゃってるみたいだからね」
宿木の種を植え付けられるだけで、リーフィスの有利不利は大きく変わる。
ここからは競争だ。宿木でハッサムの体力が尽きるのが先か、ハッサムがリーフィスの体力を削りきるのが先か。
「リーフィス、大成長!」
「ハッサム、虫食い!」
リーフィスは大量の植物を呼び出してハッサムを襲わせるが、ハッサムは鋏をガチガチと鳴らし、襲い来る植物を毟り取っていく。
「バレットパンチです!」
そして植物を毟り終えると、鋏を拳のように固め、弾丸の如きスピードでリーフィスを殴りつける。
「ハイドロポンプ!」
「アクロバット!」
リーフィスが放つ水流を、ハッサムは跳躍して回避。リーフィスの脳天に鋏を叩き付ける。しかし、
「大地の怒り!」
次の瞬間、地面から土砂が噴出し、ハッサムはなす術もなく吹き飛ばされてしまう。
「っ、ハッサム、攻撃の手を緩めてはなりませんよ。バレットパンチ!」
なんとか着地したハッサムは、すぐに地面を蹴ってリーフィスに特攻。弾丸のような拳を叩き込む。
「ぶち壊す!」
続いて全てを破壊するような勢いで鋏を突き出し、ガラス鉢に叩き付ける。鉢を破壊するのは無理そうだが、衝撃自体は内部にも通る。ノーダメージということはない。
「もう一度ぶち壊す!」
「させない! 大成長で捕まえて!」
ハッサムは連続で鋏を突き出し、ガラス鉢を攻撃。しかし直後に大量の植物がハッサムを取り囲み、ハッサムを拘束していく。
「この程度の縛り、私のハッサムには通用しませんよ。虫食い!」
ハッサムは鋏を鳴らし、襲い来る植物を引き千切っていく。そして、
「アクロバットです!」
一気に跳躍してリーフィスの真上を取り、脳天に鋏を叩き付けた。
「続いて虫食い!」
ハッサムの猛攻は止まらず、さらにハッサムはリーフィスの体へと鋏を伸ばすが、
「それだけはさせない! 大地の怒り!」
リーフィスは土砂を噴き出して強引にハッサムを引き剥がす。ガラス鉢の中はリーフィスの弱点。そこだけは、どうしたって克服できるものではないのだ。
「リーフィス、ハイドロポンプ!」
「ハッサム、ぶち壊す!」
リーフィスが放つ水流を、ハッサムは鋏を突き出して文字通りぶち壊す——ことはできなかった。
水の勢いが強すぎるため、散らし切ることができず、ハッサムは弾き飛ばされてしまう。
「大成長ですか……ハッサム、起きなさい。バレットパンチです!」
ハッサムはすぐに起き上がると、弾丸の如きスピードでリーフィスに接近。拳を突き込む。
「虫食い!」
「大成長!」
続けて鉢の内部に鋏を伸ばすハッサムだが、地面から這い出て来た大量の根っこにより阻まれてしまう。
「ならば、毟り取ってからアクロバットです!」
ハッサムは襲い掛かる根っこを鋏で毟り取り、一息で跳躍。宙返りをしつつ、リーフィスの脳天に鋏を振り下ろす。
「続けてぶち壊す!」
着地したハッサムは続けて鋏を突き出し、ガラス鉢に思い切り叩き付けた。
「バレットパンチです!」
ハッサムの攻撃は止まらず、さらに弾丸の如き拳でリーフィスの顔面を殴りつける。
ここまで、怒涛の攻撃でハッサムが押しているように見えるが、実際はそうでもない。リーフィスはハッサムからガンガン体力を奪っていくため、ハッサムの攻撃を受けた側から回復していく。逆にハッサムはいくら攻撃してもリーフィスの体力はなかなか減らず、対照的に自分の体力はどんどん減っていく。
リーフィスが強固かつ高耐久であることも相まって、ハッサムは限界ギリギリまで追い詰められていた。
「攻めているのに追い詰められるというのもおかしな話ですね。ハッサム、虫食い!」
「リーフィス、ハッサムを避けつけないで! ハイドロポンプ!」
ハッサムは鋏を伸ばすものの、リーフィスが放つ水流に押し流されてしまい、攻撃は届かない。
「大地の怒り!」
そして地面から大量の土砂を噴出するが、
「アクロバットです!」
大きく迂回してハッサムは土砂を回避。横からリーフィスを攻撃する。
「もう一度アクロバット!」
そこから跳躍し身を捻り、リーフィスの脳天に鋏を振り下ろした。
「バレットパンチです!」
着地すると、今度はアッパーカットのように弾丸のような拳を叩き込む。特性、テクニシャンで強化されたバレットパンチは、効果いまひとつでもそこそこのダメージはあるはずだが、リーフィスはまったく堪えず、
「大成長!」
地面から大量の根っこを呼び出し、反撃に出る。
「またですか……ハッサム、虫食い!」
ハッサムは襲い来る根っこを鋏で千切って毟り取っていく。その時だった。
「ハイドロポンプ!」
直後、大量の水がリーフィスから噴射される。幾度と発動した大成長の追加効果で特攻が上がったハイドロポンプの威力は凄まじく、容易くハッサムを吹き飛ばす。
「ハッサム!」
宿木の種で体力を奪われ続けていたハッサムは、その一撃で、遂に戦闘不能となった。
リーフィスは倒れたハッサムを見ると、嬉々とした声を上げる。
「……リベンジ、達成」
そしてリオも、小さく、静かに呟くのだった。
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