二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
日時: 2017/01/16 20:03
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。

また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。


”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”



『星の英雄編』


 第一章:月下転生

Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25

 第二章:一角獣

Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48

 第三章:骸骨龍

Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73

 第四章:長靴を履いた猫

Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114

 第五章:英雄集結

Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204


『列島予選編』


 第六章:革命への道筋

Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦

Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261

Act8:次なる舞台へ
>>262


 第七章:世界への切符

Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352


『侵略世界編』


 第八章:束の間の日常

Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393


 第九章:侵略の一手

Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃 
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416


 第十章:剣と刃

Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444


短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。

短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65

短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103

短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126

短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156

短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176

短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422

エイプリルフール2016
>>299 >>300

謹賀新年2017
>>443


登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします

オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。

お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新

Act4:増殖 ( No.442 )
日時: 2016/12/04 16:08
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

「……《ヴェロキボアロス》でダイレクトアタック!!」
「……《ミラダンテ》でダイレクトアタックです!!」

 何とか、襲い掛かってきた人達の撃破には成功した。が、このままでは袋の鼠だ。流石に数が多すぎる。
 ——明らかに、自分の意思で動いているようには見えないわね……。

「とにかく、1人1殺で確実に数を減らすしかないわ!」
「そ、そうですね——」

 もう1度身構えて、デッキを握る。迫ってくる人影を蹴散らす為に。
 外の状況が心配だ。早く、終わらせねばならない。再びデュエルを始めようとした——その時だった。
 
「……!?」

 ぎゅるんぎゅるんぎゅるんぎゅるん……爆音が地下を揺らす。
 肌を痺れさせるような振動、急に焼け付くように熱くなる空気、そして背後から迫る衝撃——それは、地下鉄の線路を爆走し、やってくる。
 余りにも一瞬の出来事に目を疑ったが、コトハもホタルも、現れたそれを見て絶句した。
 蛇の胴と頭を模した両腕に、女型の機体。そして、それに掴まっている少女がいた。
 コキ、コキ、と首を鳴らすと、燃えるように赤い髪を揺らし、少女はホームへ降りる。
 そして、迫りくる人影の集団を一瞥した。
 次の瞬間、炎の柱がホームを包む。これにより、操られたらしい人々は足止めを食らわされることになる。

「あ、あんたは——確か、コロナ——!」

 コトハも、ホタルもしっかりと記憶に焼き付いていた。
 鎧龍サマートーナメントを妨害し、学校の屋上でヒナタを屠った音速の侵略者。
 その少女が何故、此処に来ているのかは甚だ疑問であったが。

「邪悪龍は、我々の共通の敵だ。その辺を勘違いするな。邪悪龍、もしくはその配下が現れたとなれば、排除しないといずれ脅威になる」
『やっぱり、怪電波を放っているのは、邪悪龍・ケフェウスの下僕らしいね』
「……! ケフェウスを知っているの!?」
「当然だろう。一度交戦したこともあるが、あいつとその使い手はなかなかにクレイジーだ」

 落ち着き払った様子でいうが、これは貴重な情報源だ。
 彼女はキングと戦ったことがあるのだという。

「キングは、元はテロ集団の一員だったらしい。イカれ度合いはリーダーと負けず劣らずで、とにかく戦闘を好み、世界中のありとあらゆる武器へのコレクター願望も持ち合わせていた。新しい火器を手に入れる度に、捕虜を使って試し撃ちしていたらしいな」

 ぞっ、と背筋にムカデが何本か走る。そういえば、中東でゲリラ活動を行っているテロ組織がいるという話を聞いたことがある。
 アンカといい、キングといい、邪悪龍の使い手というのは真っ当ではない人物が選ばれるらしい。あれほど凶悪なクリーチャーが、そんな人物たちに渡ったらどうなるか、分かったものではない。

「それが、いつの間にか行方不明になっていたらしい。恐らく、ケフェウスを所持してから勝手に離脱したのだろう。邪悪龍の使い手は徒党を組んでいるからな」
「……」
「そして、ケフェウスはかの英霊王さえも配下に置くほどの知略と狡猾さを持ち合わせた奸邪な龍。人型ではあるが、その本性は巨大な電脳龍。例え、自らが出ていかなくとも、その支配力は強力に働く」
「そ、それが、今のこの状況ってこと!?」
「そうだな。だが、今回の場合、恐らく配下のクリーチャーに中継役をやらせている」
「中継、役——!?」
「ああ。それさえ倒せば、何とかなるはずだが——」
「……何故、それをあたし達に教えたの?」
「今ここで敵対する理由も無い。私が欲しいのは、白陽だけだ。それも、”時が来る”までは役に立たん」

 いまいち煮え切らないが、思いもよらない加勢が入ってきた。

「それだけではない。厄介な事に、その中継役の正体はこの操られた人々の中でただ1人が所持しているカード。手当たり次第に倒し、それに当たるまでやるしかない。しかも、時間が経てば経つほど、決闘空間内の被害者は増殖。本来のターゲットが絞れなくなっていく。一度これにやられて、かなり痛い目を見たからな。結局、その時は運よく中継役を倒せたからよかったが」

 次の瞬間、炎の柱が消えた。
 そして——一気に人が飛んできた。
 シールドを展開し、1人ずつ潰していくことに。幸い、一度デュエルを始めれば、結界が現れて乱入が出来ないようになっているので、一対多をやらずには済むが。
 
「頭数を私が減らしてやるんだ。感謝しろ。そっちは適当に片づけておけ」
『コロナ。デッキを』
「アマノサグメ。頼むぞ」

 くるり、と踵を返すとコロナもデッキを握る。そして、不審な挙動のスーツの男を前に、立ちはだかった。

「——さて。どれが中継役かは知らんが、まずは新しいレッドゾーンの力でも見せてやるとしようか」

 シールドが5枚、一気に展開された。
 画して、デュエルが始まったのである。



 ***



「——分からんな」

 コーネリアの後ろを歩きながら、レンは言った。
 シャノンを負ぶったまま、彼女は受け応える。

「何がですか」
「貴様の真意も、そしてそのシャノンの事も、だ」
「……フン、だから言ったでしょう。私は——」
「発言に、いくつか噛み合わない所があるのでな。貴様、咄嗟の嘘が付けないタイプだろう」
「何が言いたいのです? 口数が少ないのを日本人は美徳と思っているのかもしれませんが——」
「論点をすり替えるなよ。今度は、僕が貴様に質問する番だ」
 誰も居ないオックスフォード・サーカス。
 そこで1人、レンは歩みを止める。咳払いをし、レンは口を開いた。



「何故、結界を破壊した?」



 コーネリアも足を止める。
 そのまま、その場に沈黙がのしかかった。

「あの結界は、人間には使えない。何か、別のモノに掛ける必要がある厄介な代物で、無関係者を決闘空間から遠ざける為のモノだ」
「……」
「だが、貴様はシャノンの結界を破壊した。そして、本当はこれが防護結界であることも最初から知っていたのではないか?」
「何が言いたいのです? あれは得体の知れないものだったから——」
「そうだ。魔法とは分かっていたはずだ。だが、仮にも武闘先輩が認めた『遊撃調査隊』の1人で、しかも星のカードの所持者である貴様が、何となくでもどんな魔法か本当に分からなかったのか? そして、独断で破壊した理由も分からないな。少なくとも、ビジネス上では武闘先輩に対して誠実な態度をとっている貴様が、先輩に結界について連絡1つ入れなかったのも不審だ。何故連絡しなかったのか。事後でも、事前でも」

 あるいは、とレンは続けた。



「——フジ先輩に、シャノンの事について連絡”出来ない”理由があるのか」

謹賀新年2017 ( No.443 )
日時: 2017/01/02 11:19
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

「貴様等、謹賀新年だぞ」
「……」

 レンの言葉に一同は黙りこくる。
 この1か月近くの間、更新が停止している間にいつの間にか革命ファイナルが本当にファイナルしそうだったり、更に1年明けてしまったという事実を前に戦慄を通り越して恐怖すら抱いているのであった。
 そして、今の彼らは謎空間で着物姿になり、新年ということで何をするか決めていたのだった。

「新年あけましておめでとうございます!!」
「今年もよろしくお願いします!!」
「って言ったのはいいけど、新年だからって何をするんですか先輩方にノゾムさん」
「んじゃ、今更だけど去年までの抱負と今年からの意気込みをそれぞれ言っていこうぜ」
「無難だな、ヒナタ。しかし、それがいいだろう」
『では、一応文明の並び順で言っていけばいいのではないか?』
「ああ、順番もそれが良いわね。後輩が先になるし」
「文明の並び順、っすか?」
「ええ。元になったカードゲーム、MTGにおける色の並びのことよ」

 それは即ち、白青黒赤緑、つまりデュエマでいう光水闇火自然の順番のことである。友好色の順にループしているのだ。
 
「じゃあ、私達からですねっ!」
『うむ。では、去年までの反省だな』
「はいっ!」

 


淡島ホタル去年の反省:闇堕ち形態強すぎすいませんでした



「ちょっと待てやオイ!! 色々おかしいだろうが!!」

 早速突っ込んだのはヒナタであった。
 おかしい。ちょっと色々おかしいのではなかろうか。

「ディストーションのスペックを考えれば妥当な判断だな。現に、作者は言っている。リダクションのスペックはぶっちゃけ、ディストーション倒せるように大幅に変えたとな」
「でしょう?」
「ねえ、ディストーションのスペックってぶっちゃけ、お前の一存で決められるものなの!?」
「お前がお前でそこに突っ込むのおかしくないか!?」
「確かにそうね。シールドを自分から焼き払って相手を焼き払うところまでは良いとして、明らかに余計な文が1行か2行あるわ」
「コトハさんんんん!? 君ディストーションと戦ってたっけ!?」
「ですが、過去を振り返っても仕方ありません!! 今年はしっかり頑張らないと!!」
「闇オチする前提で話を進めるんじゃねえ!! 作者、この作品のメカデルソルが破滅ジャンヌに毒されてるってどやされてたぞ!!」

 

淡島ホタルの今年の抱負:スキャンダルをゲットし、バーニングな一年を過ごす



「バーニングってそれただの炎上!! 頑張るってそっちかよ!!」
「はいっ! だから先輩達も油断したら、学校新聞で干されちゃうかもですよ?」
「ざっけんな! こんなに心を許せない味方は初めて見たわ!!」
「ある意味そこらのメディアよりタチが悪いわ!!」
『特技を生かすということは大事な事じゃからのう』
「じゃないだろう!! 色々おかしいぞ貴様等!!」
「あ、あの……」

 恐る恐る言うのはノゾムだ。

「つ、次、オレ行ってもいいっすかね……?」
「あ? ああ、良いぞ」

 ——しめた!! 常識人のノゾムなら、このアホみたいな大喜利ムードを軌道修正できるはずだ!!
 確かにノゾムは常識人だ。
 このメンバーの中では比較的落ち着いており、まともである。
 そう、彼の口からこの期に及んでボケた発言が出るわけがないのである。



十六夜ノゾムの去年の反省:身長が足りなかった事



 と思っていた時期がヒナタにもありました。

「テメェの身長は別にどうでもいいだろうがぁぁぁぁーっ!!」

 思わずヒナタはノゾムをどつきまわす。
 
「オ、オレは本気ですよ!! いけないんだ!! 身長が低い人馬鹿にしたら!!」
「アホかぁ!! それとこれとは話が別だろ!! もっと別に書くことがあるだろ!!」
『ちなみにあたしの反省は、”白陽とラブラブする時間が少なかった”だよ!』
「十分足りてるだろ、年中発情兎!!」
「そして、オレの今年の抱負はぁぁぁーっ!!」

 

十六夜ノゾムの今年の抱負:身長後10cm伸びろ



「伸びねーよ!! 少なくとも劇中の時間がサザエさん時空に入ってるうちは、どうあがいたってお前の身長は伸びやしねえよ!!」
「入ってないでしょ!! 単に作者の更新が遅いだけです!!」
「違うわ。ポケモンの小説を書き始めたからよ」
「大丈夫です! ノゾミちゃんが可愛いから何にも問題は無いですね!」
「それは問題あるけど!?」
『ちなみにあたしの今年の抱負は、”アイスをもっと食べる事”だよ!』
「腹壊すし、最早白陽関係ねぇ!!」
『色気より食い気だよ!』
「ああ、もう違う!! そうじゃねえ!! こういうのがやりたかったんじゃねえんだよ!! 来たるD・ステラ、俺は単にチーム全体の士気を上げたかっただけなのに!! たまにはリーダーらしくこういうことをやりたかっただけなのに!!」
「全く騒がしい奴だ」

 ばさり、と言って捨てるのはレンだ。

「此処は言い出しっぺであるこの僕がキッチリ、去年までの反省と今年の抱負を宣言してやろう」

 ——お、おおお、流石レン!! 普段はアレだが、締める時はきっちり締めてくれる頼もしい奴!!
 ライバルとして、そして頼れる仲間としてもヒナタは彼に——




黒鳥レンの去年の反省:美学



 ——最早反省でも何でもねーよ!!
 大きな信頼を抱いたのが間違いであったと反省したのはヒナタであった。

「ちょっと待てや!! この二文字の意味を解説しやがれ!! お前は反省の意味を辞書で引き直して反省してこい!!」
「何を言う、ヒナタ。思えば去年の僕は、調子に乗って美学美学連呼するキャラに再び成り下がっていたと思うのだ。はい、反省」
「言うてそれ番外編の短編だけだったと思いますが……」
「しかも反省してる様子が見られない!!」
『ちなみに、ボクの去年の反省は”出番”です』
「二文字だけで伝わってくる生々しい現状!!」
「さっぱり出番が少ないのは作者も理解しているらしいわね」
「そして、今年の抱負は——」




黒鳥レンの今年の抱負:美学



「嘗めてんのかテメェ!!」
「何だと貴様!! これは今年はちょっと美学を自重しようかなー、という心の現れだ!! それが何故貴様には分からん!!」
「常人に分かってたまるか!!」
「まあ、レンから美学取ったらただの五月蠅い三枚目だし、多少はね?」
「地味に酷いっすよコトハ先輩!!」
「ちなみにアヴィオールの今年の抱負は何なんですか?」
『ふふ、”出番”ですよ』
「二文字で分かる現状への飢餓感——!! これ以上更に出番が欲しいんですか! 貪欲なその姿勢、淡島ホタル、感激です!!」
「感激すんじゃねえ!!」
「あーもうどうするのよコレ」
『仕方ないので僕らでどうにかしますかにゃ』
「そうねえ……ニャンクスはまともで助かるわ」
『ち、ちなみに、僕としては、新年のコトハ様も麗しくて美しくて愛らしくて、ニャヒヒ……』
「ねえ、自重して!? お願いだからね!?」
『百合ノーカン、ノットNTR!!』
「それはギャグで言ってるのよね!?」

 呆れたように言うコトハ。
 目の前では既に、ヒナタとレンによる取っ組み合いが始まっていた。
 そしてそれを笑顔で写真で納めるホタルに、止めに行くノゾム。
 彼ららしい一幕ではあるのかもしれない。
 収拾のつかないまま終えるのもアレなので、コトハは振り向くと言った。
 自分と、ヒナタがまだ反省と抱負を言っていないが、どうせロクなことになる予感がしないのでやめておく。
 しかし、ある意味自分達らしい締め方だ。



「それでは、皆さんの今年の抱負は何ですか?」
『今年も一年、頑張りましょうにゃ!』

Act5:封じられし栄冠 ( No.444 )
日時: 2017/01/21 08:44
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

 コーネリアは黙りこくったままだった。
 そして、彼女は零すように言う。
 
「結界など、無駄だったのですよ」

 レンは一瞬、戸惑った。
 彼女はこちらを振り向くと、哀しそうな表情を浮かべた。

「——彼女は、戦う運命にあるのです。最初から、ね。でも、彼女にはまだ荷が重すぎる」
「どういう、意味だ」

 コーネリアの背後に、鎧を纏った影が現れる。



「あんな結界如きで彼女を守れるならば、私達は苦労していないのです!! 彼女こそが、この”冠座”のカードの適合者なのだから!!」



 カードに刻まれた文字。
 英語ではあったが、ある程度知識のあるレンには読み取れた。
 ”Knight of the sealed King of the swords(封じられし王剣の騎士)”——あまりにも、直喩的な名を持つカードには鎖で縛られた鎧の騎士のイラストが焼き付けられていた。

「彼女は、物心ついた時からこのカードを持っていました。孤児院から我々が引き取ったのは、2年前。私はライトレイに入ったばかりでした。そして、デュエルに関して天性の才能を持っていた彼女を、養子として我々が引き取ったのです」
「彼女もまた、ライトレイの生徒にするためか?」
「私の父は、教育者ではありますが、同時にプロのデュエルプレイヤーだったのです。その目論見もあったのでしょう。ですが、その頃、私の母と妹は既に他界していたので、私に埋め合わせをする形もあったのです」

 つまり、決して彼女をライトレイの傀儡にするためだけに養子に迎え入れたわけではなかったようだった。
 しかし。

「すぐに仲良くなった私達でしたが、ある日の事でした。このカードをデュエル中に使ったシャノンが、急に苦しそうに呻きだしたかと思ったら——」

 気が付けば、そこは惨状であった。
 部屋はぐちゃぐちゃに切り刻まれており、シャノンはぐったりとした様子で倒れていたという。
 すぐさま父に知らせた。
 カードから実体化したクリーチャーの仕業と判断した彼らは——ライトレイに出向いたのである。

「何故、カードの仕業だと分かった?」
「——私の母と妹が、何故死んだのか分かりますか?」

 ギリッ、と憎しみに満ちた瞳でコーネリアはレンを睨んだ。



「——鷲座の邪悪龍を持った、あのデュエリスト!! あの東洋の猿は、旅行していた私達を愉悦の為に襲い、そして母と妹を私達の目の前で引き裂いて殺したのです!!」



 鷲座のデュエリスト。
 そして、それは邪悪龍であり、コーネリアの家族の命を奪った張本人だったのだ。

「あの後、政府の関係者によって真実を知らされた、生き残った私と父は、衝撃で何も言えませんでした。そして、私は邪悪龍を根絶やしにするため、そして父は邪悪龍に対抗できるデュエリストを育てる為、この6年間、血がにじむような努力を続けてきたのです!!」
「つまり、星のカードを持つシャノンが家にやってきたのは、邪悪龍に対抗できる最高のチャンスだった、というわけか」
「ええ。あれだけの力があれば、邪悪龍を倒せる。少なくとも、あの研究者は言っていました。こんな覇気を放つクリーチャーは見たことが無い、と」

 まくし立てるようにコーネリアは続けた。
 
「ですが、彼女にその荷は重すぎる。彼女は、冠座を制御するのには、まだ未熟ということなのでしょうか……それまでは、私が彼女を守らなければならない。そして、彼女を一刻も早く強くせねばならない。時が来れば、彼女にこのカードを渡すつもりです。そうすれば、邪悪龍を、あの鷲座を——今度こそ、復讐が果たせるのです!!」
「——哀れだな」

 心底冷え切った声で、レンは言った。



「ライトレイの生徒と同じ、いやそれ以上だな。シャノンは、貴様等の復讐の傀儡というわけか。僕は人間として、心底哀れだ——貴様等、傀儡師がな」



 侮蔑の視線で、彼はコーネリアを睨む。

「守るだ何だと言っておきながら、貴様のやっていることは、復讐の道具を育てているだけに過ぎない。邪悪龍に大事な物を奪われた気持ちが分からんわけではないが——やり方が気に食わん。何も関係の無いシャノンを、貴様等の復讐劇に無理矢理巻き込んだ、そのやり方が」

 ギリッ、と歯をかみしめると、レンはありったけの怒りを彼女にぶつけた。
 拳は強く握りしめすぎた所為で、血が滲んでいた。

「——コーネリア。何も知らない彼女の手を、貴様は復讐で汚そうというのか? デュエル・マスターズを心から楽しんでいるシャノンに——そんな運命を辿らせたいのか!!」

 そう一言、咆えるように叫んだ。

「僕は心の底から貴様を軽蔑する。シャノンは言っていたぞ。貴様の事を恩人とな」
「……何とでも、言えば良いでしょう。私は、あくまでも彼女を強くする。彼女は私を敬慕している。私の言う事ならば、何だって聞く。だから、強くなった彼女を使い、冠座のカードを完全にすれば、悲願がかなうのですよ」
「……何処までも、哀れだな。コーネリア」

 吐き捨てるようにレンは言った、その時だった。
 暗雲が漂う。
 1人の男が、頭を抱えて、ふらふらとした足取りで現れた。レンは思わず身構える。また、あのデュエリストなのだろう。
 そして——甲高い笑い声を上げたかと思うと、黒い靄に包まれ——激しい光と共に、それは顕現した。

「クリー、チャー——!? あれは、《英霊王 スターマン》か——!!」

 大きな二本の角を持ち、右手には矛を、左手には碇の形をした光を纏わせた人型がこちらへ迫っていた。

「黒鳥レン。復讐の為に誰かを利用するやり方が気に食わないという貴方の美学は分かりました。しかし——貴方に分かるのですか?」
 
 シャノンを地面に降ろし、コーネリアはデッキを手に取る。

「目の前で、大切な家族を2人も殺された私の心が——私は、どのような、如何なる手段を用いても、邪悪龍に報いねばならないのです。貴方如きに、私の何が分かるというのですか」

 至って冷淡に、彼女は続ける。

「目の前で、人の形をした肉塊が裂けるのを見たことがありますか? 嘴で頭から脳味噌を貪られるのを見たことがありますか? バラバラに引き裂かれ、飛び散った血と内臓と骨を、貴方は見たことがありますか? 私は——見ただけで、気が狂いそうだった。今もこうして正気を保てている自分が恐ろしいですよ、私は」

 自虐するように言った彼女は、英霊王に相対し、譫言のように呟く。



「そうですね——憎悪の塊となってしまった私は、こうして糾弾されてもおかしくはないのでしょう。それもまた、運命(サダメ)」




 次の瞬間——黒い靄が、英霊王とコーネリアを包み込んだ。

Re: デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】 ( No.445 )
日時: 2017/01/21 18:26
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

「只の人間如きが、この私の目に付いたが100年目。星のカードごと、滅ぼしてくれようか」
 
 コーネリアとスターマンのデュエル。
 巻き込まれる形で決闘空間に飲み込まれたレンは、そのデュエルを見せつけられる形となった。
 冷淡に、彼女は言った。

「滅ぼされるのは、貴方です」
「言ってろ雑種。この私の膨大なる知識と全てをひれ伏せる支配力の前に屈するがいい」

 既に先攻1ターン目の段階で、《予言者クルト》を出していたスターマンは、速攻を仕掛ける。
 一方のコーネリアは、後攻2ターン目でようやく《オリオティス》を出す事に成功しており、一歩遅れを取っていた。
 シールドは現在、コーネリアが4枚、スターマンが5枚だ。
 この時点で、スターマンは《チェレンコ》も出して、シールド・プラス効果によるシールド操作を行っていた。

「私のターン。呪文、《コアクアンのおつかい》で山札の上から3枚を見ます。そして、《ボンソワール》、《不敗英雄 ヴァルハラ・グランデ》、《ヘブンズロージア》の3枚を手札へ」

 ターン終了、と彼女は告げる。
 こちらも手札は蓄えている上に、着々と準備は進めている。
 しかし、既にスターマンはビートダウンへの態勢を整えており。

「では、私のターン。2マナで呪文、《エマージェンシー・タイフーン》! その効果で、カードを2枚引き、手札から《英霊王スターマン》を捨てる」

 場には、《クルト》と《チェレンコ》の2体がおり、既に《スターマン》進化への道筋は整っている。進化元を消耗させるのを嫌い、殴りたくはなかったのだろう。

「……私のターン。2マナで《ティグヌス》を召喚し、ターンエンドです」
「フン、ブロッカーで守りを固めるなど、軟弱者のやることよ。我がターン、3マナで、呪文《湧水の光陣》を使用!!」



湧水(ゆうすい)の光陣 C 光文明 (4)
呪文
S・トリガー
バトルゾーンに自分の水または自然のクリーチャーがあれば、コスト5以下のクリーチャーを1体、自分の墓地からバトルゾーンに出す。なければ、コスト3以下のクリーチャーを1体、自分の墓地からバトルゾーンに出す。



 突如、バトルゾーンに黄金の魔法陣が現れた。
 そこから、《チェレンコ》と《クルト》を掴み、光臨する影。
 その王に取り込まれることで、有象無象さえもが栄光の知識の1つとなる。
 集積されし魔力の回路より、世界を滅ぼす英霊王が降り立った。

「《湧水の光陣》の効果で、場に水のクリーチャーがいるため、コスト5以下のクリーチャー——《英霊王スターマン》を《チェレンコ》と《クルト》を進化元にし、進化V(ボルテックス)!!」

 

英霊王スターマン SR 光/水文明 (5)
進化クリーチャー:スターノイド 9000
進化V−自分のライトブリンガー1体とサイバーロード1体を重ねた上に置く。
このクリーチャーが攻撃した時、またはバトルゾーンを離れた時、自分の山札の上から1枚目を、裏向きのまま自分のシールドに加える。
W・ブレイカー



 現れたのは、強大なる星の使徒。
 大きな二本の角を持ち、右手には矛を、左手には碇の形をした光を纏っており、かの賢者の邪悪龍と酷似している点が多数みられる。
 いや、むしろこちらをベースにしたというべきか。

「そして、そのまま我で攻撃!! その効果により、シールドを1枚追加するぞ!」

 英霊王スターマンは、5体の王の中でも最も堅実な能力を持つ。
 それは、攻撃時とバトルゾーンを離れたときにシールドを増やすという能力。
 自らへの攻撃を防ぐための防壁を築くのは、単純に強力だ。
 ビートダウンでありながら、持久力も高く、更に《湧水の光陣》で死んでもすぐに復帰できるのも強みだ。進化元こそ用意しなければならないが、コストがいずれも低いのでさして気にならない。

「その攻撃は通しません。《ティグヌス》でブロック」
「ターン終了だ」

 得意気に言い放つスターマン。
 しかし、コーネリアは動じてはいない。防御力の高い天門染みたデッキ柄というのもあるが——

「では、そろそろ切札を使うとしましょう。こちらも——」

 5枚のマナをタップする。
 そのまま英霊王に突きつけるように——龍の印は空に焼き付けられた。

「呪文、《ドラゴンズ・サイン》を使用」

 展開される呪印。
 これにより、コスト7以下の光のドラゴンを、コーネリアは出す事が出来る。
 しかし。彼女が出すカードは、光であって光ではないカードだった。



「——その効果により、手札から《”封じられし王剣の騎士”》をバトルゾーンへ」



 次の瞬間、王冠座が決闘空間に浮かび上がる。
 そして、印から現れたのは、全身を鉛のプレートアーマーで身を包んだ甲冑の騎士であった。その鎧には、太陽の如く輝くヘリオライトが幾つも埋め込まれている。
 しかし、背中からは大きな龍の翼が生えており、顔を覆う溝付き甲冑にも龍の牙が現れており、決して只の人型ではないことを窺わせた。
 だが、それ以上に、光のドラゴンを呼び出す《ドラゴンズ・サイン》で現れていながら、その騎士のカードは灰色。
 即ち、デュエマで言えば文明を持たないカードであることを意味していた。にも関わらず、今の《王剣の騎士》を纏うオーラは、光文明のそれだ。

「何だソレは——? 無色カードのはずなのに、文明がある——!?」
「このクリーチャーは手札と場にある時、マナゾーンにある最もカードの枚数が多い文明と同じ文明になります。手札にある時点で、私のマナのカードは光が一番多かったため、このクリーチャーは光文明となり、《ドラゴンズ・サイン》の効果で出すことが出来たわけです」
「マナゾーンのカードで、文明が変わるカード、だとぉ?」
「その通り。これが、王冠座のカードが最強である所以——と言っても、真の力が解き放たれた時の話です。所詮、今の状態では大地の力を借りることも出来ませんが——」

 つまり、それは既存の英雄とは、アピセリンともまた違った意味で逸脱した存在であることを意味していた。
 強力過ぎる力を、封じているが故に、今はかなり弱体化しているというのだ。
 しかし。それでも尚、騎士のクリーチャーからは尋常ではない覇気が漏れ出ていた。スターマンも、その迫力に動揺したほどだ。



「——この力は決してそこらのクリーチャーと同等ではない。早速見せてやりましょう。不完全ではありますが、約束されし勝利の宝剣の力を——」

Act5:封じられし栄冠 ( No.446 )
日時: 2017/01/22 20:33
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

「——《封じられし王剣の騎士》の効果発動」

 次の瞬間、コーネリアのマナゾーンのカードが2枚、アンタップした。
 
「このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のマナゾーンのドラゴンを全てアンタップし——その数だけ山札の上から1枚を見て、コスト7以下でこのクリーチャーと同じ文明のドラゴンを1枚選び、バトルゾーンに出します」



封じられし王剣の騎士 無色 (7)
クリーチャー:キング・コマンド・ドラゴン 7000
ブロッカー
手札とバトルゾーンにある、このカードの文明は自分のマナゾーンのカードの中で最も枚数が多い文明と同じになる。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、マナゾーンのドラゴンを全てアンタップする。その後、アンタップしたカードの数だけ、山札の自分の山札の上から1枚を見る。その中からこのクリーチャーと違う文明ではないコスト7以下の進化ではないドラゴンを1体、バトルゾーンに出してもよい。残りを好きな順序で自分の山札の一番下に置く。 
W・ブレイカー



 捲られる2枚のカード。
 そこから、コーネリアは約束された勝利の1枚を選び取る。
 
「——《真・龍覇 ヘブンズロージア》、現れなさい」

 その宣告と共に、光り輝く神槍の天使が降り立った。
 同時に、コーネリアの背後に難攻不落の龍の要塞・ドラグハート・フォートレスが現れる。
 その様を、レンはただただ固唾を飲んで見入っている。

「何だ、これは。これが、あの騎士の全貌——!!」
「いえ、黒鳥レン。あれは恐らく真の姿ではありませんよ。あの鎧は、あくまでも中に入っているクリーチャーの魂を封じ込める封印装置。あれが解き放たれればどうなるか——」



「その効果で、《天獄の正義 ヘブンズ・ヘブン》をバトルゾーンへ」

 光輝く、正義を執行する狂信の城塞。
 それは、神々しく光ると共に、竜による支配を齎す。
 手札の光のブロッカーを出すことが出来るこのフォートレスにより、コーネリアの盤面は固められていく。

「——現れ出でなさい。《不敗英雄 ヴァルハラ・グランデ》」
 
 その一声で、現れる強大な光の戦士。
 《ヴァルハラ・グランデ》の効果で、《スターマン》は凍結され、動くことが出来なくなってしまう。

「っおのれ——!!」
「所詮、貴方は邪悪龍の尖兵。この私には遠く及びません」

 流石のスターマンも、この兵力が相手では最早どうしようもないようであった。
 そして——

「《ヨーデル・ワイス》を出し、その効果で《アルプスの使徒 メリーアン》を出してターン終了——!!」



予言者ヨーデル・ワイス C 光文明 (5)
クリーチャー:ライトブリンガー/ハンター 500
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、コスト6以下の光のハンター・サイキック・クリーチャーを1体、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。
セイバー:サイキック・クリーチャー(自分のサイキック・クリーチャーが破壊される時、かわりにこのクリーチャーを破壊してもよい)



 ——何もできないまま、ターンを終えてしまう。
 憐憫の眼でスターマンを流すと、コーネリアはカードを引いた。

「——私の場には、ブロッカーが《ヴァルハラ・グランデ》と《オリオティス》、そして《王剣の騎士》の3体。よって——《ヘブンズ・ヘブン》の龍解条件は達成されました」

 主であるコーネリアの御言葉と共に、不沈の要塞は賛美の龍へ昇華する。絶対にして圧倒的な支配を築く為。



「崇めよ、称えよ、我が王道にして絶対なる正義を!! 天道に渾名す邪教に報復を!! 賛美、賛美、賛美——龍解、《天命讃華 ネバーラスト》!!」



 蒼き薔薇の龍が戦場に降り立った。
 聖職者のような法衣を身に纏い、黄金の聖槍を掲げ、自らの支配に渾名す邪教を撃ち滅ぼす。

「呪文、《DNA・スパーク》——これで、そちらのクリーチャーを全てタップします」
「ぐっ、おのれ——!!」

 所詮は、邪悪龍の尖兵。
 彼女の復讐心を満たすには値しない。
 宿命と報復の正義を掲げ、彼女は容赦なくスターマンの築き上げた防壁を突き崩す。
 《ネバーラスト》、《ヴァルハラ・グランデ》、《ヘブンズロージア》による一斉攻撃で、6枚に増えていたシールドも全て破壊。
 剥き身になった英霊王に、コーネリアは問いかける。

「——のこのこと現れた上に、わざわざやられに来てくれるとは。誰の差し金ですか? 鷲座の邪悪龍、ですか?」

 その問いに、スターマンは邪な笑みを浮かべた。

「フッ、ハハハハハハ!! 馬鹿な奴よ!! 我が主は、我の姿を象った邪悪龍!! ”無知”への怒りを司る邪悪龍よ!! ”命”への怒りを司る鷲座の龍とは力のベクトルが違うわ!! 力があるのは良いが、つくづく無知とは愚かよ、人間!!」
「そう、ですか」
「覚悟しておくんだな、人間。王たるこの我さえも、こうして尖兵として弄ぶことが出来るのが邪悪龍の恐ろし——ゲエ」

 言い終わるが前に、スターマンの口には龍の王剣が突き刺さっていた。
 そのまま、顎を切っ払うと英霊王はそのまま跡形もなくなった。王剣の騎士はコーネリアの方に向き直る。項垂れるように、彼女は言った。

「——またも、違いましたか——」

 決闘空間は、消失した——



 ***



「む、これは終わったのか」

 コロナはそう言った。
 しかし、周囲の襲い掛かってきたデュエリストは、既に彼女が片づけてしまった後だ。
 倒れている人間に駆け寄る人々。 
 決闘空間は、既に解除された後だった。
 コトハとホタルも、コロナに駆け寄る。

「これって——?」
「中継役が倒れたのだろう。オックスフォード・サーカスの決闘空間は解除されたとみて良い」
「……そう、ですか」

 しかし、2人共浮かない表情をしている。
 コトハは、思い切って口を開いた。彼女は敵か。それとも味方なのか。

「あんたは——何が目的なの? 何で今回は、あたし達を助けたのよ?」
「私の目的はあくまでも白陽。邪魔立てするというのならば容赦はしないが、利害が一致したならば話は別。忘れないで貰いたいものだな。私もまた、”星のカード”の持ち主だ。それに——」

 見せつけるように、彼女はそのカードを掲げる。
 《轟く侵略 レッドゾーン》。以前、その速度とパワーでヒナタを倒したカードだが、その下に重ねられているカードがあった。

「——《熱き侵略 レッドゾーンZ》……レッドゾーンのクローンだ。レッドゾーンにはこうした何機ものクローンが居る。盾突いたとしても貴様等に勝機は無いと思え」
「っ……!」

 身を翻すと——陽炎のように彼女の影がぶれる。
 そして、コロナはその場から姿を消したのだった。

『コトハ様……』
「レッドゾーンにクローン……!? あんな化物が何枚もあったら、どう勝てっていうのよ……!!」
『性能を変えた量産機か。良くも悪くも火文明らしいわい』
「これは、先輩達にも報告しないと、ですね……」



 ***



「何だ!?」
「先輩! 空間が!」

 ヒナタとノゾムは思わず声を上げた。
 オックスフォード・サーカスを覆っていた黒い靄は晴れており、いつの間にか人々や車の姿が見えていた。
 しかし、たちまち路上に倒れている人たちを見て、騒ぎになり始める。
 ——ひええ……車道に倒れた人らを戻しておいてよかったぜ……。
 危うく、大惨事であった。
 だが、すぐさま目の前の路上に対峙している2つの人影を認める。
 それは、レンと、少女を抱きかかえたコーネリアだった。

『白陽……穏やかじゃ、ないね……』
『……ああ。あの女の持ってるカード……何だ? 恐ろしい覇気だ』
「おい、レン!!」
「レン先輩!!」

 思わず彼の名を呼び、2人は駆け寄る。
 その姿を見てか、コーネリアが溜息をついたのが見えた。後でヒナタ達が聞いたことだが、スターマンを決闘空間で倒した後だったにも関わらず、その立ち振る舞いには危うさは無かった。

「——面倒な事になりましたが、まあ良いでしょう。全てはD・ステラの会場で決めれば良い事」
「ま、待て、貴様にはまだ聞きたいことが山ほど——!!」

 言うが早いか、そのままコーネリアは身を翻す。
 そのまま——文字通り、姿を消したのだった。
 
「……クソッ!!」

 彼らが見たのは一部始終のみではあったが——アスファルトに拳を打ち付けたレンの表情が鬼気迫るものだったことを、ヒナタとノゾムは忘れられなかった。


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