二次創作小説(紙ほか)
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- デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
- 日時: 2017/01/16 20:03
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。
また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。
”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”
『星の英雄編』
第一章:月下転生
Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25
第二章:一角獣
Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48
第三章:骸骨龍
Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73
第四章:長靴を履いた猫
Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114
第五章:英雄集結
Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204
『列島予選編』
第六章:革命への道筋
Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦
Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261
Act8:次なる舞台へ
>>262
第七章:世界への切符
Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352
『侵略世界編』
第八章:束の間の日常
Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393
第九章:侵略の一手
Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416
第十章:剣と刃
Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444
短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。
短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65
短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103
短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126
短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156
短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176
短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422
エイプリルフール2016
>>299 >>300
謹賀新年2017
>>443
登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします
オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。
お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新
- Act3:警戒 ( No.131 )
- 日時: 2015/07/17 12:52
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
コトハのターン。
マナゾーンの自然のカードが7枚以上あるため、再び《ニャンクス》のマナ武装が発動する。武装解除しても、この能力は引き継がれるため、パワーは更に上昇し、T・ブレイカーとなった。しかし。ノゾムの場には《チュレンテンホウ》がいる。可能性は低いが、あまり動きたくはない。
マナを更に1枚置いた彼女は《ジュランネル》に加えて、さらに1体のクリーチャーを繰り出したのだった。
「《龍覇 サソリス》召喚! 《ジュダイナ》を装備するわ!」
「マナゾーンからドラゴンを召喚できる能力を持ったドラグハート……!!」
「そして、このターンにこの子を龍解させるわ!」
龍解条件はターン終了時にドラゴンが3体場に出ていること。それはノゾムでも知っていた。
確かに能力と噛み合ってはいる。さらに、マナを司る彼女は展開を進めた。
「《ディグルピオン》召喚! その効果で場にドラゴンがいるから生き残り、マナを1枚加速する! そのマナで、コスト1の《緑神龍 ドラピ》召喚よ!」
「こいつもコスト1のドラゴンなんですかぁ!?」
まずい。W・ブレイカーとT・ブレイカー、そしてワールド・ブレイカーの強力なドラゴンが一気に場に現れてしまった。
そして、彼女のターンが終わると同時に、《サソリス》が持っていた《ジュダイナ》が古代の脈動と同時に裏返る。
場には《ニャンクス》、《ディグルピオン》、《ジュランネル》、《ザールベルグ》の4体。
既に龍解条件は達成されていた。
「龍解!! 《古代王 ザウルピオ》!!」
《ザウルピオ》はシールドが0枚のときに、相手の攻撃を封じる効果を持つドラグハート・クリーチャーだ。
防御手段の薄い自然文明にとっては、優秀な壁。
「とはいえ、ただの気休めね、これは-----------!」
しかし。除去手段の多い水にそれが通用するかはわからないのだ。
一方のノゾムは---------最早、高揚とした気分を隠せなかった。
やはり、デュエマは楽しい。
「そうこなけりゃ、面白くはないってもんですよ、如月先輩!!」
「へーえ、この状況を見て面白いって言えるんだ」
-----------ハッタリだけどね。あたしの方が内心びくびくしてるくらいだわ!
「それで、どうやって逆転するの?」
「それは簡単な方程式を解くに等しいことですよ、先輩。非常に簡単なロジックだ!」
ノゾムのマナゾーンにカードが置かれた。
これにより、7マナだ。
そして、そのマナ全てがタップされた。
「呪文、《龍素解析》! カードを4枚引いて、手札からコスト7以下のクリスタル・コマンド・ドラゴンをバトルゾーンへ!」
嫌な予感がした。場には、呪文をもう1度使える《チュレンテンホウ》がいるではないか。
「まず、4枚をドロー! そして、《上弦の玉兎星 クレセント・ニハル》をバトルゾーンに出します!」
「その子もクリスタル・コマンド・ドラゴンなのね……!」
「さらに、こいつの効果で超次元ゾーンから《月影機構 ルーン・ツールS》をバトルゾーンに! 効果でコトハ先輩の手札を1枚シールドゾーンに置かせて貰います!」
『いっくよ! ノゾム! あたし達も武装するよ!』
これにより、彼女の手札は0枚になった。当然である。元々手札の少なかった彼女には追い討ちをかけるようなものであったが、ピーピングではない分、リスクの高い効果ではある。
「そして《チュレンテンホウ》による2度目の《龍素解析》! カードを4枚引いて、コスト7以下のクリスタル・コマンド・ドラゴンの《ν・龍覇 メタルアベンジャー R》をバトルゾーンへ! 1つ目の効果でカードを1枚ドローします」
「ドラグナー……! あたしのよりもやばそうなの持ってるじゃないの……!」
「驚くのはこっからですよ! 効果で、超次元ゾーンから《超龍素要塞 エビデシュタイン》をバトルゾーンに出します!」
ν(ニュー)・龍覇 メタルアベンジャー R(リベンジ) UC 水文明 (7)
クリーチャー:クリスタル・コマンド・ドラゴン/リキッド・ピープル閃/ドラグナー 6000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、コスト3以下のドラグハートを1枚、またはコスト5以下の水のドラグハートを1枚、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。(それがウエポンであれば、このクリーチャーに装備して出す)
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、カードを1枚引いてもよい。
W・ブレイカー
超龍素要塞 エビデシュタイン VR 水文明 (5)
ドラグハート・フォートレス
自分の呪文を唱えるコストを1少なくしてもよい。ただし、コストは1より少なくならない。
龍解:自分のターンの終わりに、そのターン中に呪文を3枚以上唱えていれば、このドラグハートをクリーチャー側に裏返し、アンタップする。
強力な置きドロー要因だった《エビデゴラス》と違い、こちらは完全な呪文サポートとなっている《エビデシュタイン》。
その龍解条件は、ターンの終わりに呪文を3枚使っているということであるが----------もう、彼のマナは1枚もない。
「このターンは龍解できないわね」
「本当にそう見えますか?」
「---------何が言いたいの」
「残念ながら、その程度の式ではオレの敗北を証明することはできないですよ、如月先輩!!」
ノゾムは手札から、”コストを支払わずに”カードをバトルゾーンに出した。
それは呪文のカードだった。
「《龍素力学の特異点》! G・0でドラグナーがいればタダで唱えられるんです!」
「う、うそ!? じゃあ、これでターンに3枚以上唱えたことになるじゃない!」
「効果で手札を2枚引き、1枚を山札の1番下へ! そして、《チュレンテンホウ》の効果でもう1回カードを2枚引いて山札の一番下に!」
一気にノゾムの手札が増えた。これでは攻撃しようと思っても迂闊に攻撃できない。
「ターン終了時に、《ルーン・ツールS》と《エビデシュタイン》の効果発動!」
ターンに3枚の呪文を唱えたこと。これがトリガーとなり、強大な要塞は最後の龍解を遂げる。
「その力を証明し、全ての弱者のために新たなる希望を証明せよ! 《ν・龍素王 Q‐END》、龍解完了!!」
そして、これだけでは終わっていない。今度は《ルーン・ツールS》の効果が発動した。それを裏返し、クレセントへと重ねた。
「その鉄槌で悪を砕け。正義を胸に今、ここに武装完了!!
《循環月影 クレセント・ベクトル》!!」
- Act3:警戒 ( No.132 )
- 日時: 2015/08/07 10:25
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
「これが、クレセントの武装ですよ、先輩!!」
時は既に遅かった。彼にマナを貯めさせたのはまずかったのだ。
--------確か、この子の効果って----------!!
武装時に、相手のクリーチャーを全てバトルゾーンに戻すというもの。
「さあ、クリーチャーを全て手札に戻してください、如月先輩ッ!!」
「あんた……!! やってくれるじゃない!!」
これにより、コトハの《ザウルピオ》は超次元ゾーンに送還され、他のクリーチャーは全て手札に戻ってしまった。
そのまま、彼女のターンに移行するが、一気に勢いを削がれ、彼女は焦っていた。
「とりあえず、あたしは《ザールベルク》を9マナで召喚! 効果であんたのマナを2枚、吹き飛ばすわ!」
再び、ノゾムのマナゾーンからカードが2枚、吹っ飛ばされた。
それだけでは飽き足らず、コトハは更にクリーチャーを展開した。
「更に、《ドラピ》2体と《ジュランネル》も召喚! ターンエンドよ!」
T・ブレイカーとワールド・ブレイカーの2体が完全に睨みを利かせている。野放しにしていては危険だ。
しかし。最早この程度、ノゾムの敵ではなかった。
「オレのターン!」
カードを引いたノゾムは、着実にコトハを追い詰めるために手を進めていく。
まだ幼げに見えるその容姿とは掛け離れた、その頭脳で。
「呪文、《幾何学艦隊 ピタゴラス》を使い、《ドラピ》を手札に戻します! 更に、マナ武装5で《ジュランネル》をバウンス!」
「うっ----------!!」
「更に、《Q-END》の効果発動! 墓地から、今唱えた《ピタゴラス》よりもコストの低い呪文を唱えますよ! 《スパイラル・ゲート》でもう1体の《ドラピ》も手札に戻します!」
これにより、再びコトハの場のクリーチャーはいなくなった。
「そして! 今がチャンスだ!」
高らかに叫んだノゾムは一気に決めにかかる。
現在、ノゾムの場には《チュレンテンホウ》、《スペルサイクリカ》、《メタルアベンジャー》、《Q-END》、そして《クレセント・ベクトル》の5体がいる。攻めきることは可能だ。
「《メタルアベンジャー》でW・ブレイク!」
シールドが2枚、ブレイクされた。トリガーを確認するが、生憎勝利の女神の機嫌が悪いらしく。
「《チュレンテンホウ》で更にW・ブレイク!」
さらにそこへ、《チュレンテンホウ》の攻撃が届く。
これで残り、シールドは2枚。先ほど、《ルーン・ツール》の効果で増えたとはいえ、雀の涙程度だ。
しかし。
此処で彼女に一気に勝機が沸いてきた。
「S・トリガー、《古龍遺跡 エウル=ブッカ》! 効果で-------------」
「《クレセント・ベクトル》の効果発動! 相手が呪文を唱えたとき、その効果が発動する前に多色ではない水の呪文を唱えます! 呪文、《龍脈術 水霊の計》で《ザールベルグ》を山札の一番下に!」
「で、でも! まだ終わっていないんだから! タップされていない《スペルサイクリカ》をマナゾーンに!」
-----------《Q-END》は呪文によっては選ばれない! だから此処は----------
「《クレセント・ベクトル》を超次元ゾーンに!」
「武装解除で生き残ります!」
「そうくるわよね……! しぶとすぎよ、本当----------!!」
「そして、武装解除した《クレセント・ニハル》でW・ブレイク!」
一気にシールドが2枚、消し飛ばされた。
シールドには2枚目の《エウル=ブッカ》。しかし。《Q-END》は呪文では選ばれない。
最早、コトハを守るものは1つもない。
ν(ニュー)・龍素王 Q‐END 水文明 (8)
ドラグハート・クリーチャー:クリスタル・コマンド・ドラゴン 11000
呪文の効果によって、相手がバトルゾーンにあるクリーチャーを選ぶ時、このクリーチャーを選ぶことはできない。
自分が呪文を唱えた時、それよりコストの小さい呪文を1枚、自分の墓地からコストを支払わずに唱えてもよい。そうした場合、唱えた後、墓地に置くかわりに自分の山札の一番下に置く。
W・ブレイカー
「楽しかったですよ、如月先輩!! 《Q-END》でダイレクトアタック!!」
***
「はぁー。完敗、ね」
溜息をついて彼女は言った。
「やっぱり、除去に耐性がないのはキツいか。いや、それを抜きにしてもノゾム君が強かった、それだけね。悔しいけど」
「あ、いや……」
「良いわ。遠慮しなくても。あたしは、自分が未熟だってことが自覚できただけでも、収穫だもの」
コトハは、ぽん、と彼の肩に手を置いて言った。
「ヒナタは良い後輩を持ったわ」
「……え?」
「実際、あんたは強いもの。”味方”なら頼もしい限り。”敵”なら脅威ね」
「そ、それってどういう意味ですか?」
「あら。知らない? 鎧龍サマートーナメント。チームを組んで戦う大会よ」
そういえば思い出した。来月、そういうイベントがあるらしいということは。しかし、いまいちチーム戦というものがピンと来なかったので、今の今まで流してはいたのだが。
「チームの編成条件は毎年変わるらしいからね。もしも敵同士になったときは、今度こそあんたに全力で勝つ! それだけなんだから!」
「-----------はい!! なら、オレは次も勝ちます!」
「生意気ねー。ヒナタからは聞いてたけど。ま、それくらい威勢が良いのが丁度いいかな? 本当なら、あんたみたいな奴とは何回でもやりたいんだけどねー、生憎こっちもそろそろ時間的にやばいから……」
「い、いや、すいません、邪魔してしまったようで……」
「あたしが誘ったんだから構わないわ。何であれ、次はあんたに勝つ! それだけよ!」
デュエルを通し、2人の間にはまた、ライバル意識というものが芽生えたのだった。
デュエリスト同士、己のデッキをぶつけ合うのが一番のコミュニケーションである。
その本能か。再戦の誓いを交わした2人は、闘争心で胸が昂ぶっていたのだった。
その後、コトハと別れたノゾムは、一通りデパートをクレセントと見て回り、そのまま今日という一日を終えたのだった。
- キャラクター名館4:如月コトハ ( No.133 )
- 日時: 2015/12/12 09:55
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: S0f.hgkS)
「あんた1人だけじゃない。あたしも一緒に戦うの!! これ、命令だからっ!!」
如月コトハ 女
年齢:14
容姿:茶色のかった髪をポニーテールにしており、明るいブロンドの瞳が目を引く快活そうな姿。スタイルも中学二年生の標準よりも抜群に良い。蝶を意識した模様のリボンで髪をくくっている。
性格:きびきびとしており、自他に厳しい真面目な委員長気質。そのためか、上から目線の物言いや、「命令」と称した高圧的な発言も多い。自分にも厳しく、日々精進を重ねる努力家で、そんな彼女の姿を知ってか慕う人間も多い。
世話焼きで、困っている人が居たら放っておけない。口は素直ではないが、行動で示すタイプ。
また、無類の可愛いもの好きで、それを前にしたり、その話になると、ヒナタ達の前でも”デレ”る。
解説:ヒナタのライバル第二号で、彼のストッパー。前作でヒナタ、レンと共にオラクル教団の脅威に幾度となく立ち向かっているため、クリーチャーとの戦いに躊躇はない。
何故かラッキースケベの被害によく遭う。
備考:鎧龍決闘学院二回生。成績優秀な優等生。運動は苦手だが、何故か鉄拳による非常に高い突っ込みスキルを持つ。
デュエリストとしての特徴:自然のドラゴンをメインにすえたデッキを使用しており、カチュアシュート、連ドラ、ビッグマナと枚挙に暇がない。以前はビートダウンも使用してはいたが、今は完全に自然のドラゴンをメインにしている。
切札
・《古代王 ザウルピオ》
・《界王類七動目 ジュランネル》
・《従順の山猫星 タスク・ニャンクス》
・《疾風迅雷 ニャンクス・ミラージュ》
- Act4:策略 ( No.134 )
- 日時: 2015/07/19 13:22
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
レンは1枚のカードを見ていた。
ヨミとの最終決戦の後。ヒナタに返して貰った《神青輝 P・サファイア》のカードだ。
最近、”彼女”へのせめてもの罪滅ぼしのために闇文明に転向したから、このカードを二度と使うことは無いと思っていた。
引き出しの中に閉まってはいたものの、まるで生命のような鼓動はカードを握る手から伝わってくる。
「《ボルメテウス》」
それでも彼は敢えて、かつてオラクルとの戦いで散った自分の切札の名をカードに呼びかけた。
《真実の名 ボルメテウス・ゼロ・ドラゴン》。
オラクルとの最初の戦いでレンが失ったカードだった。カードは買えば戻ってくるかもしれない。
かつて、友は散り際に「相棒なら戻ってきた」と言った。
この《サファイア》は本当に、あの《ボルメテウス・ゼロ・ドラゴン》なのだろうか。
いや、恐らくは違うかもしれない。それでも友は、彼を励まそうと、自分が居なくても大丈夫だと思わせようとする一心で最後に吐いた言葉だったのかもしれない。
正直、無色を完全に手放したのが正解なのか、今でも分からない。
これを知ったら、彼は何と言うだろうか。彼女は何と言うだろうか。
彼は悲しそうな顔をするだろうか。それとも、皮肉気に笑いながら「俺もデッキに入れろ」と言ってくるだろうか。
彼女は----------元から自分が闇を使っていると知って、それを後押ししてくれた。彼女から貰った《リュウセイ・イン・ザ・ダーク》は、デッキから外す事になっても首に通した薄いケースの中にお守りのようにして入れていた。
「強くならねば……」
うわ言のように呟いたその言葉は、今日何度目であろうか、もう覚えてなど居なかった。
***
フジはフランクに言った。
「悪かったな」
「それは構わないのですが……」
デパートを回った次の日であった。ノゾムは早速朝早くから、スマートフォンに入っていたメールで時刻を指定され、武闘ビルに呼び出されることになった。
今現在、この場を見渡してみると、コトハにホタルの2人が居た。フジの横にはヒナタが立っている。
「全く今日は疲れてるっていうのに、大変だったわ……武闘先輩、手短にお願いしますよ」
「皆さんを此処に呼び寄せたってことは、また何か重要な事でしょうか」
「うるせー、うるせー、今回の件、言いだしっぺは俺様じゃねえんだな、これが」
武闘の言葉に、ノゾムは耳を疑いたくなった。この人で無ければ誰だというのだ。
「俺だ」
手を上げたのはヒナタであった。
「え、先輩が!?」
「どうしたのよヒナタ。わざわざあたし達を此処に呼ぶなんて」
「昨日の晩にフジ先輩と話して決めたんだ」
「そういえば、レン先輩は?」
きょろきょろ、と辺りを見渡すホタルにヒナタが言った。
「いや、傷心状態のあいつに協力を頼む訳にもいかないだろ。あいつはクリーチャーを持っていないしな」
「え、えええ!? でも一応言っておいた方が良いんじゃ……」
「あいつがどんな無茶をするか、分かったもんじゃねえ。万が一死なれても困るんだっつーの」
口調こそラフだが、ヒナタの顔は真剣そのものであった。
「そこまで考えてるってことは先輩。只事じゃ、ねーみたいっすね」
「ああ。前置きはすっ飛ばしていうぞ」
彼は、重く口を開いた。
「アヴィオールの野郎が、交渉を持ちかけてきた」
全員に衝撃が走る。フジの方は前もって知っていたからか、動揺した様子は見せなかったが、それでも不愉快そうに舌打ちしたのだった。
「え、交渉って-----------!?」
「白陽に自分の仲間になれとの事だ。さもなきゃ、5日後にクレセントを浚うってな」
「そ、そんなの交渉じゃなくて脅迫じゃないですか!」
「先輩っ、何でそんなことオレ達に早く教えなかったんっすか!?」
「いや、すまねえ。一昨日徹夜してたから昨日は丸半日寝ちまってな。後は武闘先輩に相談していたんだ」
とはいえ、クレセントも『怖いよ、ノゾム……』と怯えたような声を上げており、今回の件がいよいよアヴィオールとの因縁の大詰めになっていることは言うまでも無い。
「こっちが白陽を易々と出すわけが無いだろう?」
「そ、そうですけど……じゃあ、今度はクレセントが」
「いや、クレセントは以前、お前と一緒にアヴィオールを倒している。あんなに損傷を食らった奴が、この期間の間にパワーアップを遂げているとは思えないな」
「そ、そうですね。じゃあ、クレセントを力づくで奪うなんて無理なんじゃ」
「だから、だ。それもブラフなんじゃねえか、って俺は考えた」
『奴は何をしてくるか全く分からないということだ』
「奴のバックには、誰かが居る。恐らく、クリーチャーに通じた何者かだ」
「それがアヴィオールの後ろ盾をしている、と」
「ああ。奴に邪悪な武装の方法を教えたのも恐らくは、そいつだ」
「で、どうするの。白陽をまさか連中に差し出す訳じゃないんでしょ」
「奴らはわざわざ自分達の根城まで教えてきた。だけど、罠かもしれねえ。つまり、下手にこっちから動くのは難しい」
「相手は断られることを前提に交渉を仕掛けてきているということだ」
つまり。白陽を差し出さないことも、こちらがクレセントを守るために手を尽くすことも見通しているのだとすれば。
相手は何を仕掛けてくるのか、それは全く見当が付かなかったのであった。
「じゃあ、どうすれば良いっていうんですか」
「相手の目的は、こっちへの報復か、あるいはクレセントか。どの道、相手の目的は白陽ではないような予感が俺様はしたぞ。根拠は、相手が以前にクレセントを付け狙っていたこと。そして、返り討ちにされたこと。なんらかの目的でクレセントを追っていたのは間違いないとは思うのだが」
「それは、アヴィオール本来の目的なのでしょうか」
「いや、奴の本来の目的は別のところにあるだろう。恐らく、クレセントは奴のバックにいる何者かが狙っているんだな」
そこで、だ。もしも相手の目的がクレセントだとしたら、である。
「お前らに頼みがある。今から言う作戦に協力してほしい」
言い出したのはヒナタであった。
「そ、そりゃ、クレセントも関係あるんですから、協力を惜しむわけにはいきませんが」
「どうするの、ヒナタ」
「相手は裏の裏をかいて行動をしてくる可能性があるんですよね?」
「ああ。だから、まずは引っかかってみようと思うんだ。白陽を例の工場に行かせる」
「例の工場……?」
怪訝な顔をしたノゾムに、彼は「奴らが指定した場所だ」と付け加えた。
そして次の瞬間、ヒナタは思いもよらなかったことを口走った。
にやり、と意地悪な笑みを浮かべながら。
「そこに白陽を1体だけで行かせる--------------------」
- Act4:策略 ( No.135 )
- 日時: 2015/09/25 07:12
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)
***
-----------東京都築地・旧海戸水産工場。既に寂れていたこの工場に、2体のクリーチャーが対峙していた。
「まさか、交渉を持ちかけた次の日に来るとは思いませんでしたよ」
「ああ。クレセントが危険な目に遭うよりマシだ」
アヴィオールは思わぬ来客に、逆に顔を顰めざるを得なかった。
目の前にいるクリーチャー-----------白陽に。
-----------おかしいですよね? あれですよね? これ絶対、周りに仲間がいるパターンですよね?
「-----------心配に及ばん、アヴィオール」
声がした。
振り向けば、そこにはローブを纏った男の姿があった。
その背後には-----------鳥の頭を持ち、羽毛の生えた翼を持つ龍の姿があった。
「お前には分からんだろうが、俺の”ソウルフェザー・ドラゴン”が確かに、周囲にクリーチャー及び人間がいないことを確認している。そいつはどうやら本当にクレセント惜しさにやって来たようだ」
男は嫌な笑みを浮かべた。ソウルフェザー・ドラゴンの瞳が怪しく光る。
次の瞬間、白陽の胸に服の上から焼印がついた。同時に、白陽はうなだれたように首をもたれてしまった。
まるで、人形のように。
「再び、ソウルフェザーの”龍魂同調”でこいつを乗っ取った。英雄達のことも全て喋くってくれるさ。お前は-------------再び俺の奴隷になるのさ。そして、クレセントを必ず”あの方”の元に。俺の目的は最終的にどう転ぼうがクレセントを手にすることだからな」
「ですが、貴方自身の目的もあるのでは?」
「……ああ!! 俺の目的は、全ての英雄を手にすることさ。クレセントこそ本命ではあるが、別にどれから俺の元に置いていっても良いだろう? クレセントに気を取られている隙に他の英雄から奪っていく……どうだろう、アヴィオール」
「私は貴方に恩がありますからね。どんな作戦でも従うまで」
「俺の作戦はな、失敗しても良いように二重、三重、四重、いやそれ以上に重ねてあるのさ。つまり、敵がどう動いても関係ねぇってことよ」
クレセントを狙うといえば、仲間想いで義理人情に厚い彼らならばどんな手段を講じてでも彼女を守ろうとするだろう。
しかし。守られる側は安全でも、”守る側”はどうだろうか。
当然ながら、まさか自分も狙われているとは思っていないので、不意を突いて奴らを襲えば良い---------そう男は考えていた。
そうして戦力の無くなったところで、クレセントを奪う。それが彼の作戦だった。
「さあ、吐いて貰うぞ白陽!! 英雄の居場所、そして能力、お前の意識記憶、無意識記憶関係なく、洗いざらい吐けぇぇぇぇぇーっ!!」
白陽に近づいた、そう男が叫んだ瞬間だった。
ドムッ!!
「---------------は?」
---------------白陽の頭部が----------------爆ぜ、大量の火花が男に降りかかったのだった-------------
***
「そこに白陽を1体だけで行かせる-------------------わけねぇだろヴァーカ」
「ねぇ、ぶん殴って良いかしら、あんた」
「あのさー、”本物”を出向かせる訳がねぇじゃんよー」
ヒナタの発言を聞いたとき、フジは耳を疑いたくなった。
武闘ビル、フジのオフィスにて、すぐさまヒナタは人形のようなものを取り出した。
ただし、それは紙切れで出来た薄っぺらい人形だったが、なにやら文字が書かれていた。
「何すか、先輩、コレは」
「昨日、残りは白陽と、これを作っていたんだ」
「ヒナタの発想には驚かされた。自分の姿コピーしたことなど私は無かったからな。余り意味が無いと思っていたのだ。そもそも自分の姿を映すなんてどうすれば、と」
「こいつの元居た世界じゃ、鏡っつーのは神聖なものらしくてな。無闇にクリーチャーを映せば汚れるって言われてたのさ」
「びっくりしたぞ。この世界では鏡がありふれているからな」
要するに、白陽が自分自身を能力でコピーできなかったのは、”視界にあるものしか”映せないからであった。鏡を使えば簡単ではあるが、白陽の居た集落では鏡こそあったが、神聖なものとされていたため、この手段が使えなかったのである。
「白陽の技の1つ、”イリュージョン・ペースト”は紙に自分の姿を”貼り付ける”こともできるんだ」
「てことは、それを向こうに送り込むの?」
「唯の人形ではない。遠隔操作も出来るように、”術”を吹き込んでおいた。視界もこれと共有をしている」
「つまり、高性能なロボットってことですね!」
『白陽さっすがー! イケメン! 頭良い〜!』
『考えたのは暁ヒナタじゃろうに、全くこの娘は……』
『ということは、これを送り込んでおけばバレないということですのにゃ?』
「いや、ぶっちゃけると分からん。気付かれる可能性だって十分にある」
そんな訳で、白陽人形を白陽自身が呪術で直接操作し、工場へ向かわせることになったのだった。
結果。
「----------あれは!?」
白陽の視界には見覚えのあるものが映ったらしかった。
「どうした白陽」
「”不死鳥座の男”だ------------!」
その場が戦慄に包まれた。アヴィオールと手を組んでいたのは、例のソウルフェザー・ドラゴンを操っていた男だったとは。
しかし、これで敵が何を考えているのか分かるはずだ。
「待て、奴が何か言っている、よく聞き取れんから黙っていろ」
呪印の浮かんだ耳をよく立てて、白陽は男の言葉に耳を傾けているようであった。
尚、操作は全て白陽の”頭の中で”行っている。イメージが全て式神を命令して動かす、下手なロボットよりも余程高性能なのだ。
「……りゅうこん、同調……?」
「何だ? 何するってんだ?」
「何かの術の名前であることは間違いないようだが……後は------------奴はどうやら、私やクレセントのみならず他の英雄を全て奪うつもりだったらしいな」
「成る程。それだけ分かれば十分だ。白陽。アレを使え」
「承知した」
「え? アレ?」
更に、1つ。ヒナタと白陽は罠を仕掛けていたのである。
それは----------
***
激しく首の断面から火の粉を吹き散らし、白陽----------と思っていたモノは倒れた。
「ば、馬鹿な、何で-----------」
「どうやら偽者だったらしいですね。精巧に作られたもの----------まさに狐に騙されたという所ですか。此処までとは予想外でしたよ」
妖術が解除され、唯の紙切れに戻った。
此処で男は、目の前の白陽が偽者であったこと。
そして、今まで自分は偽者を相手に愉悦の極みに立ち、大声で命令をしていたことに気付いた。
頭に血が上ってきた。殺意が沸いてくる。
「おのれ……この俺を馬鹿にしやがって、暁ヒナタ、白陽……!! 殺す!! ぶっ殺す!!」
***
「奴は驚いて声も出ないようだな」
「へっへーん、ブービートラップ大成功!」
-----------相手の男かアヴィオールが近づいたときに、人形の頭を破裂させる、というものだった。
「って、破裂させてどうするのよ!!」
「これ以上の情報収集が出来ないじゃないですか!!」
コトハとホタルから、ブーイングがとんだ。
「いや、どうせ近付かれたら感付かれたろうな。それでこの自爆トラップを仕掛けた訳だろう? そしてそれには、勿論意味があるんだろうヒナタよ」
フジだけが涼しい顔をして問うた。こくり、と白陽は術を解除したのか、体中に浮かんでいた呪印を消しながら、答えた。
「ああ、火花に追跡の呪印をつけておいた。火花が相手に飛び散った際、1つでもつけばそこが火傷の様な焼印になるというものだが、これが強力な呪紋(術を使った際に起こる波紋)を生み、私に敵の居場所を教えてくれるようになる。元は逃げた敵を追跡するためのものだ」
「これで奴さんが何処に行こうが関係ねぇ。後は今までやられた分をきっちり返すだけだ!」
そこで、周りから歓声があがった。よくもまあ、こんな作戦を完成させ、しかも成功させたものだ、と。
「作戦成功ってやつね」
「後はお前らに協力してほしいのは、奴らを倒すために一緒に戦って欲しいってことだ」
そんなの、答えは決まっていた。
「水臭いわ、ヒナタ!」
『コトハ様のご友人の頼み事を断る理由なんてありませんのにゃ!』
「あたしだって、お父さんとお母さんを取り返さなきゃいけないんです! こちらからもお願いします!」
『ワシらはそのために戦ってきたからのう。よろしく頼むぞ』
「オレも同意見です、先輩!」
『散々やられた分、返さないとね!』
「お前ら……」
『よし。早速奴らが手を打つ前に、動くぞ』
「おう!!」
こうして、いよいよ敵の居場所に殴りこむことが決まったのであった。
「……どーも、嫌な予感がするな」
-----------フジの心配を他所に。
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