二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
日時: 2017/01/16 20:03
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。

また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。


”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”



『星の英雄編』


 第一章:月下転生

Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25

 第二章:一角獣

Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48

 第三章:骸骨龍

Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73

 第四章:長靴を履いた猫

Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114

 第五章:英雄集結

Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204


『列島予選編』


 第六章:革命への道筋

Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦

Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261

Act8:次なる舞台へ
>>262


 第七章:世界への切符

Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352


『侵略世界編』


 第八章:束の間の日常

Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393


 第九章:侵略の一手

Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃 
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416


 第十章:剣と刃

Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444


短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。

短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65

短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103

短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126

短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156

短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176

短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422

エイプリルフール2016
>>299 >>300

謹賀新年2017
>>443


登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします

オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。

お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新

Act1:月と太陽 ( No.5 )
日時: 2016/10/22 12:01
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

 ***



「おらおらあっ! 《アクア・ビークル》でシールドをブレイク!」
 
 少年——ノゾムは序盤から小型のリキッド・ピープルを出していき、シールドを次々に叩き割っていく。ヒナタのシールドは残り3枚。場には《斬斬人形コダマンマ》。
 一方のノゾムの場にはさっき挙げた《アクア・ビークル》に加え、《アクア・ティーチャー》に《アクア艦長 イソロック》を出している。
 シールドは4枚だ。

「シールドチェック……くそっ、ダメか。おいお前! 何で俺に勝負を挑んだ?」
「簡単だぜ! 巷じゃ、あんたがすげーカード使うって噂だからな。だから、うちの家宝である変わったカードを直接見てもらいたかったんだ」
「直接? つまりデュエマでか」
「そうだ」
「てか変わったカードって?」
「そりゃあ、アウトレイジのバーンッて実体化するカードのことだ! さあ、とっとと見せな! オレのとっておきも見せてやるからさ!」

 随分と図々しい後輩である。
 ノゾムの言葉で、ああ、と思い出したかのようにヒナタは呟いた。

「わり、それなら無くしたっつーか、元の世界に帰ったっていうか」
「はぁ!? ふざけんな、オレはそのためにこの学校に入ったんだぞ!?」
「んなこと言われても……」
「なぁーにぃぃぃ!! もう許さねーぞぉ!!」
「ねえ、俺何かやったっけ!? やったっけ!?」

 ともかく、こいつは一刻も早く撃破しなければ、と滑らせるようにカードを操るヒナタ。
 ともかく、今のシールドブレイクで手札に来たクリーチャーを出す。

「よし、来い! 俺のターン。スピードアタッカー、《鬼切丸》と《ピアラ・ハート》召喚!」



鬼切丸おにきりまる C 火文明 (3)
クリーチャー:ヒューマノイド/アンノイズ 1000+
自分のマナゾーンのカードがすべて火または無色であれば、このクリーチャーのパワーは+3000され、「スピードアタッカー」を得る。



ピアラ・ハート C 火文明 (3)
クリーチャー:ファイアー・バード 1000
S・トリガー
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手のパワー1000以下のクリーチャーを1体破壊する。



「《ピアラ・ハート》の効果で《アクア・ティーチャー》を破壊! んでもって、《鬼切丸》で《ビークル》を攻撃して破壊!」

 槍が《アクア・ティーチャー》を、剣が《アクア・ビークル》を切り裂く。
 だが、それでも尚彼は不敵な笑みを浮かべていた。

「オレのターン、《アクア・ジェスタールーペ》召喚! 連鎖でこいつよりもコストの低いクリーチャーが山札の一番上にあれば出せるんだ! 《ジェスタールーペ》進化! 《クリスタル・ブレイダー》!」

 現われたのは、魔術師のような水棲人、《アクア・ジェスタールーペ》だ。さらに、水流と共に《ジェスタールーペ》は消え、《クリスタル・ブレイダー》が現われる。



アクア・ジェスタールーペ UC 水文明 (4)
クリーチャー:リキッド・ピープル 2000
M・ソウル
連鎖(このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から1枚目を見る。そのカードが、このクリーチャーよりコストが小さいクリーチャーであれば、バトルゾーンに出してもよい)
自分のターン中に、このクリーチャーまたは自分の他のクリーチャーをバトルゾーンに出した時、それがそのターンに出した2体目のクリーチャーであれば、カードを1枚引いてもよい。



クリスタル・ブレイダー R 水文明 (2)
進化クリーチャー:リキッド・ピープル 5000
進化−自分のリキッド・ピープル1体の上に置く。
ブロッカー



 ブロッカーにして、リキッド・ピープル進化クリーチャーの《クリスタル・ブレイダー》。進化であろうが、自身よりコストが小さければ《ジェスタールーペ》は出せるため、厄介なクリーチャーが出たといえる。

「《ブレイダー》で《鬼切丸》を破壊! さらに、《イソロック》でシールドブレイクだぜー! ターンエンドだ!」

 ——やばっ、こいつ強いぞ!!
 ヒナタがじりじりと焦燥感を覚え始めたのは言うまでもなかった。
 しかし。

「S・トリガー発動、《めった切り・スクラッパー》でコストが6以下になるように相手クリーチャーを破壊する! コスト2の《クリスタル・ブレイダー》とコスト3の《イソロック》を破壊!」

 S・トリガーが発動し、一気にノゾムの場のクリーチャーが焼き尽くされる。

「俺のターンだ! 《禍々しき取引 パルサー》を召喚!」

禍々しき取引(トランス・サクション) パルサー P 火文明 (3)
クリーチャー:アウトレイジ 2000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の手札をすべて捨て、その後、カードを2枚引く。 

 丁度手札がなくなっていたため、一気に2枚引くヒナタ。更に——

「んでもって、《一撃奪取 トップギア》も召喚だ!」

 一気に逆転された。クリーチャー3体が睨みを利かせる。

「ッ——!!」

『お前のデュエルなんざ、所詮、暁ヒナタの”真似事”だろ』
『そんなだったら、辞めちまえよ、デュエマ』

「くっそおおお!!」

 ノゾムの脳裏にふと言葉が蘇る。ギリッと歯をくいしばった。

「《コダマンマ》でシールドブレイク。ターンエンドだ」
「くそったれ!! あんたに恨みはねえが、ここでぶっ潰す」

 刹那、割られたノゾムのシールドが収束する。

「S・トリガー発動、《アクア・サーファー》で《トップギア》をバウンスだ!」
「チッ、しくじったか」
「俺のターン! 此処でオレがあんたに勝てば、オレがオリジナルだ。あいつらに真似事だと笑われたデュエルが本物になるんだ!!」
「? 何言ってるんだ」
「ほざきなっ!! オレのターン、こいつを召喚するぜ」

 カードが7枚、タップされた。否、それだけではない。マナゾーンのカード全てが青白く光っている。

「星の力を身に纏え! 蒼き装甲がすべてを物語る! 現われよ、玉兎の最終兵器!! 《月英雄 碧鎧のルーン・ツールC》召喚!」

 直後、ノゾムの真上に咆哮する龍——そして、鉄槌を振り回す兎の獣人が現れた。体つきは人間の女性に近いが、全身が白い体毛で覆われている。さらに、その上から幾多もの青い装甲で固められている。そして、周囲には龍が回っていた。

「ははははははは!! 玉兎の武神の降臨だあああ!!」

 ——何だあのクリーチャー! まるで、ホログラムの立体映像じゃなくて、本当に——
 そう、まるで生きているようだった。
 否、そんなことよりも重要なことがあった。浮かんでいる。ノゾムの髪をくくって剥きだしになった額に三日月のマークが浮かび上がっているのだ。
 さらに、目も全体的に青白く光っており、はっきり言って不気味である。

「へへっ、こいつぁ少しヤバ気だな……!」
「マナ武装7発動! 効果でカードを2枚手札に加える!」

 まずい。必要なパーツを、これで更に揃えられてしまった。

「くそっ、パワー6000のブロッカーか!」

 加えて、ノゾムの様子がおかしい。まるで、あの《ルーン・ツールC》がノゾムを糸で引っ張っているかのようだった。

『アイタイ。ドコ? ドコニイルノ?』
「喋った……やっぱりコイツ、クリーチャーか!」

 クリーチャーなのは当たり前なのだが、それ以上に”実体化”する本物のクリーチャーだということだ。

『ハ……クヨウ、コワイヨ……タスケテ……』

 バチバチ、とクリーチャー、《ルーン・ツールC》の周りから電気のようなものが走る。

「《アクア・サーファー》でアタック! 弾け飛びなッ!!」

 《アクア・サーファー》が突撃し、ヒナタのシールドを叩き割った。

「くそっ、俺のターンだ! 《極武者カイザー「斬鬼」》召喚!」



極武者カイザー「斬鬼」 P 火文明 (5)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン/ハンター/エイリアン 4000
パワーアタッカー+2000
このクリーチャーが攻撃する時、自分のシールドをひとつ手札に加えてもよい。ただし、その「S・トリガー」は使えない。このようにしてシールドを手札に加えた場合、相手のパワー6000以下のクリーチャーを1体破壊する。
W・ブレイカー



 ——だけど、こいつは今は使えない。
 クリーチャーには、召喚酔いというものがあり、「スピードアタッカー」という例外を除いてバトルゾーンに出たターンが攻撃できない。その点、手札に加えたシールドを捨てることで現われるS・バッククリーチャーや、S・トリガークリーチャー等は相手のターンに出るため、擬似的なスピードアタッカーとして活用できるのである。

「とにかく、次のターンでそいつをどかしから、一気に攻める!」
「出来れば良いなぁ。だけどよ、ちと遅すぎたんじゃねえのかァ!?」

 ノゾムの顔が歪んだ。それも、余裕綽々といった笑みだ。

「オレのターンだ! 《アクア戦闘員 ゾロル》2体と《アクア・ビークル》を召喚! そして、3体を進化元に——進化GV発動!!」

 3体のリキッド・ピープルが結集し、1つの結晶となる。結晶からは5体が生え、龍の形を作った。


「龍素抽出完了。勝利の連立龍程式は成立した! これより、証明に掛かる——《零次龍程式トライグラマ》!」

Act1:月と太陽 ( No.6 )
日時: 2014/05/29 20:22
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

「------------龍素抽出完了。勝利の連立龍程式は成立した! これより、証明に掛かる----------《零次龍程式トライグラマ》!」

 高らかなノゾムの宣言と共に、進化クリスタル・コマンド・ドラゴン、《トライグラマ》が美しい体と甲高い声を上げて現われた。

「な!? 一体、ドコにそいつを出すマナが……!」
「ご愁傷様でした! こいつは、自分の場に能力を持たないクリーチャーが3体以上居るとタダでバトルゾーンに出せるグラビティ・ゼロを持ってるんだぜ!」
「ま、まずい----------!!」

 結晶龍が咆哮を上げて迫る。そして-----------一気に光線銃がヒナタの残り少ないシールドを全て打ち貫いた。

「くそっ、たれ!! だけどな------------運は俺の方が強かったみたいだな!」

 直後、シールドが光の結晶となって集積した。

「S・トリガー発動! 《爆流剣術 紅蓮の太刀》ッ!!」

爆流剣術 紅蓮の太刀 P 火文明 (5)
呪文
S・トリガー
相手のパワー3000以下のクリーチャーを1体、破壊する。
マナ武装5:自分のマナゾーンに火のカードが5枚以上あれば、相手のパワー6000以下のクリーチャーを1体破壊する。

「マナ武装5発動! 効果でパワー6000の《ルーン・ツールC》を破壊!」
「なっ!?」

 直後、《ルーン・ツール》は悲鳴を上げて青い粒子となって消滅した。同時に、ノゾムの額に浮かび上がっていた三日月の紋章も消える。

「オ、オレは今まで------------」
「さあ、行くぜ! 俺のターンだ!」

 ここから、ヒナタのフィーバータイムが始まる。

「怒り爆発、大噴火!! 大地の力を武装し、先導せよ! 《怒英雄 ガイムソウ》召喚だ!」

撃英雄 ガイムソウ P 火文明(7)
クリーチャー:ガイアール・コマンド・ドラゴン
マナ武装7:火 このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のマナゾーンに火文明のカードが7枚以上あれば、《怒英雄 ガイムソウ》以外の自分の進化ではないクリーチャーを1体自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。そのクリーチャーは「スピードアタッカー」を得、ターンの終わりにバトルゾーンから手札に戻す。
W・ブレイカー

 現われたのは、武装を施した龍。だが、これだけでは終わらない。

「さらにっ! マナ武装7発動! 手札から、コイツを出すぜ!」

 焔がバトルゾーンに現われた。燃え盛る炎は、まさに怒りを表すかのようだ。

「《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》召喚! さらに、スピードアタッカーだ! シールドをW・ブレイク!」

 蒼き鎧に身を包んだ鎧龍が戦場を飛ぶ。そして、怒りの炎でノゾムのシールドを2枚、焼き尽くした。

「ッ!」
「《ボルメテウス》がブレイクしたシールドは直接墓地に送られる! つまり、トリガーも無効化だ!」
「ア、《アクア・サーファー》が!!」
「いっけえええ!! 《コダマンマ》と《ピアラ・ハート》で残りのシールドを全てブレイク!」

 続けて躍り出るクリーチャー。そして、最後に勝負を決めたのは----------------


「《極武者カイザー「斬鬼」》でダイレクトアタック!!」

 
 戦国の鎧に身を包んだ装甲竜だった。


 ***

「カードを見て貰いたい、なんて全部口実だったんだ」
「え?」

 ノゾムは、やや脱力した様子で、それでも楽になったのか息を漏らす。

「オレは、友達なんか居なかった。こんなんだから、どんどん人も離れていく。だけど、デュエマのときだけは違ったんだ」

 ぐっ、とデッキを握り締める。

「そして、必死こいて作った墓地ソースデッキで、やっと町の大会で優勝したんだ」

「だけど----------」と語るノゾムの顔は暗く曇った。


「それも全部、暁ヒナタの真似事だって言われて------------またオレには居場所が無くなった。あんたのことなんか、名前も知らなかったのに。オレのプレイスタイルは月みてえに、太陽の真似をして作った光に過ぎなかったんだ」

 彼は嘲笑していた。そして、続けた。

「オレはあんたがどんな奴か調べた。んでもって、あんたがオレより1歳しか違わないくせに、すげえ学校の中ですげえ人達をどんどん倒して言ってることも。オレは、あんたを憎む反面、憧れていた」

 そして再び、起き上がり、ヒナタと向き合った。

「そして数ヶ月前、家宝として飾られていたカードを調べたら、それがデュエマのカードだったってことに気付いた」
「それが《ルーン・ツールC》だった訳か」
「ああ、それでオレは今日、此処であんたを倒すことにしたんだ! もう、誰にもオレのスタイルがあんたの真似事だって言わせないようにな!」

「違う!!」

 ヒナタは一喝した。

「何で気付かねえんだよ。何で人の目ばっか気にしてんだよ! お前のデュエマは、人に笑われたくらいで揺れる安っぽいものだったのか? 違うだろ! お前と今、全力で戦った俺だからこそ言える! お前、すげえよ! はっきり言って、こんなに燃えるデュエマも久々だったぜ!」
「おいヒナタ、それ地味に僕を貶していないか」

 レンのドライな突っ込みを完膚なきまでにスルーし、ヒナタは続ける。

「誇りを持てよ! お前はこの、暁ヒナタと正々堂々ぶつかって、ここまで追い詰めたんだぜ! 月は確かに、太陽の光がねえと光らねえよ。だけど、それで良いじゃねえか!」

 ノゾムの呼吸が止まった。

「俺の真似事だ? 上等じゃねえか、掛かってきやがれ! どんなデッキだろうが、どんな戦法だろうが、デュエリスト同士で100%一致することは在り得ねえ!」

 ヒナタは、ふぅと息をつくと言った。

「ぐだぐだ言ったけどよ、俺が言いたいのは唯一つだ。”胸張って生きやがれ”! それだけだ!」
「---------ッ!」

 次の瞬間。ノゾムは膝を付き、土下座した。

「御見それしました、暁ヒナタ先輩ィィィ!!」
「ええええええ!?」
「一生付いていきますゥゥゥ!!」
「付いてこなくて良いんだけど!?」
「まずは、飲み物なんかパシってきますね、コーヒーが良いですか、うぉ〜い紅茶が良いですか!?」
「何で二択なんだ馬鹿野郎! コーラかファンタのどっちかにしろ!」
「炭酸は身体に悪いのでダメっす!」
「真面目か!!」

 その光景を見て--------------レンは呟いた。

「馬鹿がまた1人増えたってことで、良いな」

 月と太陽。この2人が真に相棒として共に戦うようになるのは、もう直ぐ先である---------------。

Act2:対価と取引 ( No.7 )
日時: 2014/05/26 20:16
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

 ***

 ---------時は、5月8日。

 始業式から、早1ヶ月が過ぎた。ドラポンは未だ帰ってくる様子が無い。
 というか、その代わりと言っては何だが……。

「ヒナタ先輩! ファンタ買ってきました!」
「そこらへんに置いておけ」

 非常にウザ……否、従順な後輩が出来たということだ。

 ***

 最初の戦いから1ヶ月、あれからノゾムは1度も《ルーン・ツール》のカードは使っていなかった。あのカードの魔力は凄まじい。
 飲み込まれてしまいそうなくらいに。
 この日は数学の問題集片手に、ずっとデッキの中のカードを眺めていた。
 放課後にも関わらず、校舎の中には人が沢山いた。
 あの後、祖父にこっ酷く叱られてから《ルーン・ツール》は1度も持ち出したことは無い。

「はぁ、じいちゃん大分怒ってたよな」

「あー! やっと見つけたですよ!」

 声だ。声が聞こえる。それも、普段、異性とは無縁のはずのノゾムの耳には聞きなれない、少女独特の甲高い声だった。
 今まで、廊下の壁に靠れて気付かなかったが、少女の姿を今一度確認する。
 きちんと着こなされた制服に、首からかけられたデジカメ、そして赤いふちの眼鏡に短く纏められた茶髪が特徴的な少女だった。

「誰だアンタ。ああ、そうか。オレのファンか! これでもオレ、D・リーグとかで結構名を売ってるからな」

 D・リーグとは、授業の時間に行われる対戦システムで、勝利した際のシールドの残り枚数でS・ポイントなるものが加算される。鎧龍では、このS・ポイントでカードや食堂でのやりくりをするのだが、無論現金も使える。
 強いものはとことん強くなる。それが鎧龍のルールだ。

「残念ながら違いますよ。私は新聞部1年の淡島ホタルと申します! 以後お見知りおきを♪」
「なーんだ、新聞部……つーことはオレに取材なのか? おおっ、それじゃあそこそこオレ、知名度があるってことだな!」
「ええ! 勿論! あの暁先輩とほぼ互角だったとも聞いておりますし!」
「いやー、全部その通りっすよハハハ」

「それより-----------」とホタルは切り出した。少女の凛とした瞳が迫る。「妙なカードを使うと巷では専らの噂ですが?」

「みょ、妙なカードと言うと?」
「ええ! 勿論、あの《ルーン・ツールC》ですよぉ」

 ----------いっ!? どっから漏れた!? って仕方ねえか、あんとき人もいっぱい居たしな。
 
「えーとな、《ルーン・ツールC》なんだが、オレ自身もまだ知らない事だらけなんだ。一体なんで家にずっと家宝として祭られていたか。まず、そっからだろうな」
「ほほう! ということは、家の方々が相当大事に」
「主にじいちゃんだけだけどな」

「それでは----------」とホタルは満面の笑みを浮かべた。その笑顔を見てノゾムは一瞬胸が跳ねたが、すぐに撤回することになる。


「《ルーン・ツールC》を見せていただけませんかね?」



 ***

 同時刻。帰宅部のヒナタとレンはとっとと帰り道を急いでいた。

「結局、何だったと思う? あのカード」

 ヒナタは溜息をつき、目の前の友人に向かって言った。やはり気になるところである。ノゾム曰く、祖父が昔から家にあった家宝と言っていたらしいが-------------。

「やはり、例の”武器”と関係があるのか-------------」
「ああ」
 ------------もし、ノゾムが持っていたカードと、”武器”が同一とするならば、武器が降ってきたのが数年前なのに対し、ノゾムの持っていたカードは昔から、つまり少なく見積もって数十年は経過していると考えていいから、やはり食い違いが生じる。
 と、ここで見たいアニメの事を何故か思い出した。

「やっべえ、今日はパチコンボールΩの最終回だった、早く帰らなねえと!」
「おい、貴様!」
「わり、もう俺帰るわ! じゃあな!」

 そう叫び、走るヒナタ。路地裏に入り込み、近道をして通る。しかし、相も変わらずうす暗いと言えばありはしない。

「ったくよォ、明らかに何か出てきそうじゃねえか!」

 確かに、気付かないうちに犯罪の温床になっていそうな所である。
 だが、それでも気にせずにびゅんと駆けて行くヒナタ。


「久しいな、暁ヒナタ」


 ふと、声がした。振り向けば、ひゅん、とカードが飛んでくる。思わず、それを避けた。

「おっと、挨拶にしちゃあ軽すぎるんじゃねえのか?」
「この半年間、お前に勝てるようになるまで必死で訓練をつんだからな」

 癖の無いストレートな茶髪、相手を威圧するためにあるような悪い目つき。そして無駄の無い細く、そしてしなやかな体つき。だが、全てに見覚えがあった。
 焔クナイ。都大会優勝経験も持つシノビの使い手だった。

「あーあ、そういやしばらく会わなかったもんな。2年になっても別のクラスだしよ。つーか何話ぶりだ?」
「まあ、野暮な話は置いておけ。今此処で丁度デッキを組み終えたところだったからな」
「何でまた、こんな場所で?」
「暗いところのほうが落ち着くからだ」
「あ、そ」

 だが、出会ってしまったからにはデュエリストの血が滾るというものだ。
 見れば、デュエルテーブルまで置いてある。クナイはいつも此処でデュエマの特訓していたのだろう。

「何なら、今此処でやるか?」
「ふん、俺は再び最強の名を手にするために、必死で頑張ったんだ。負ける気等、毛頭も無い!」

 互いにニッと笑いあい、デッキを取りだした。
 このとき、ヒナタは迂闊にも忘れていた。

 -----------今日がパチコンボールΩの最終回の日だという事を-----------------


 ***

「……つーか、しつけぇ!! 何でおめー、着いて来るんだよ!」
「でーすかーらー! 《ルーン・ツールC》を見せてもらうまでは絶対に貴方から離れませんよ!」
「だーかーらーよー! じいちゃんにあの後メッチャ怒られて、以来持ち出してねえんだよ!」

 ノゾムはホタルと言い合いをしながら帰宅していたのだった。
 まさか、下校後まで着いてこられるとは思わなかった。こんなにしつこく、そしてしぶといは思いもしなかったのだった。

「で、家宝なのは分かるんですけど。どうして、そうやって祭られてるんですかね?」
「ああ、あのカード。”光る”んだよ」
「光る? ホイルの反射ではなくて?」
「ああ。月にかざすと、本当に青白く光る。だけど、それだけじゃねえ。1ヶ月前、オレも身をもって体験したけれど、あのカードは間違いなく”生きてる”。とんでもない魔力を持ってしてな。唯の光るカードと思ってたオレは迂闊だったぜ」

 本当に迂闊だった。あのカードを召喚した途端、意識のすべてがあのカードに持ってかれた気がしたのだ。
 だが、同時にあのカードの中にいるクリーチャーの気持ちが少しだけ分かった気がした。
 寂しいのだ。あのクリーチャーは。
 精神的にガキの自分に完全に分かった訳ではない。しかし、それでも何となくは分かった。
 こいつは悪い奴じゃないと。
 ふと、辺りを見回す。妙に薄暗く、気味が悪い。まるで、何かに包まれているようだった。

「お前が十六夜ノゾムか?」

 声が聞こえた。ふと、コンクリート塀に立っている人影。ローブを被っており、全く素顔は分からないが、背格好は自分と同じ、いやそれよりも少し上くらいだ。
 だが、明らかに異常だったのは、その人影の周りに龍が舞っていたことだった。龍の大きさは、全長3メートル程度。そして羽根には羽毛を生やしており、頭も鳥を思わせる何かだった。
 -----------な、何だ、あれは!!
 周りに人はいないのか、と辺りを見回したが、ホタルを除いて誰もいない。

「ふ、ふえええ?! 何ですかあの化け物はあああ!!」

 ホタルは腰を抜かしている。

「お、落ち着け! こういうときは、素数を数えて、2、4、6、8、9、10、12、14、15、私の戦闘力は58万」
「それ全部素数じゃないですよぉ!!」

「うるせぇ!! そんなくだらないコント聞きに来たんじゃない! 《ルーン・ツールC》をとっとと出しやがれ!」

 ローブの男がブルーかつドライに突っ込んだ。

「悪いけど、生憎今は持ち合わせていねーよ!」
「そうか。ならば------------」

 直後、龍が飛んでいく。龍は一瞬でホタルの後ろに回ると、襟首を咥えてひょいっ、と自分の背中に放り投げた。そして、ローブの男も龍の背中に飛び乗ると、カードを1枚ほうった。直後、ホタルの体の周囲にはバチバチと光のラインが檻のように囲まれた。
 
「こいつを預かる。どの道、部外者だからな。人質には丁度良い」
「んなぁ!? そいつは関係ないだろ、離せ!」
「言っただろ。俺の目的は、《ルーン・ツール》だ。それをお前に確実に持って来させるための取引だよ。悪く思うな」
「くそったれ! 何て卑劣なまねをするんだ!」
「わぁー! すごいすごい! これ触ったらホントにビリビリしますよぉー! すごい記事になりそうです!」
「お前黙ってろ!」

 こいつ状況わかってねえだろ! とノゾムは若干キレ気味だった。
 この女は記事になりそうなものさえあればご機嫌らしかった。自分が人質にとられているときに呆れた女である。

「とにかく! 7時だ! 7時までに4丁目の廃ビルに《ルーン・ツール》をもってこい。さもなくば、女は俺の好きにさせてもらうぜ……!」
「くそっ、バーカ! バーカ! バーカ!」

 小学生並みの悪口で対抗しようとするノゾムだが、ローブの男は龍に乗ってすぐさまカードをほうる。

「呪文、《テレポーテーション》ッ!」

 叫び声と共に、男の姿は消えてなくなった。

Act3:焦燥と制限時間 ( No.8 )
日時: 2014/05/26 23:07
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

 ***

 現在、5時40分。タイムリミットは7時までの1時間20分。

 大変なことになった。今、目の前で同学年の少女が誘拐されたのだ。このまま見過ごすことなど、ノゾムには出来ない。
 しかし-----------警察に頼ることは出来ないと悟った。
 何故ならば、龍に乗った少年がいきなり少女を攫って言ったとなれば、これは余りにも非現実的すぎるのである。

「どうする? どうすりゃいいんだ!」

 ---------そうだ、ヒナタ先輩に連絡を---------
 プルルルル、とスマホでヒナタの番号に掛ける。しかし、何時まで経っても出る様子がない。

「くそっ、何で出てくれないんですか!」

 当然だった。何故なら、その時ヒナタは--------------。

 ***

「ニンジャ・ストライク発動、《威牙の幻 ハンゾウ》で攻撃してきた《ガイアール・アクセル》を破壊!」
「くそっ、やられたか!」
「さらにターンの終わりに、《ユウナギ》の効果で《ハンゾウ》をマナゾーンへ!」

 ヒナタが路地裏でクナイとデュエマしていたからである。そう、日陰になりやすいうえにこの辺りは電波が干渉を受けやすい地点のため、ケータイやスマホは圏外となっている。しかも、ホログラム発生プレイマットなるものを使用しているため、余計のめりこんでしまっているようだ。フィールドには実体化したようなクリーチャーが。
 現在、ヒナタのシールドは3枚。一方のクナイのシールドは2枚。場にはヒナタが《ギャノバズガ・ドラゴン》と《コッコ・ルピア》に対し、クナイが《薫風の面 ニャス》に《土隠妖精 ユウナギ》だ。 
 ヒナタのデッキはガラリと変わって装甲竜(アーマード・ドラゴン)中心の火単ドラゴンデッキ。
 一方のクナイは、今までのデッキにレインボーのサポートを入れたようだったが、ヒナタはまだそれを知らない。

「さあ、俺のターンだ。忍ッ! 呪文、《必殺! 絶対絶望!!》」
「はっ。その呪文は火、闇、水の3色レインボー呪文だぜ。どうやって唱えるんだよ!」
「お前の目は節穴か。暁ヒナタ。《ニャス》の効果発動。忍法、文明上書の術!」

 直後、クナイのマナゾーンのカードが5色に光る。

「《薫風の面 ニャス》がいる限り、俺のマナゾーンのカードは5文明すべてのカードとして扱う。つまり、レインボー呪文だろうがなんだろうが、唱えられるという寸法だ」

薫風の面(コートニー・スタイル) ニャス P 自然文明 (3)
クリーチャー:ビーストフォーク號 3000
自分のマナゾーンにあるカードを、すべての文明のカードとして扱う。

 仮面に呪術を吹き込んだ種族、”ビーストフォーク號(ごう)”は主にジュラシック・コマンド・ドラゴンのサポート種族として背景ストーリーでは位置づけられているものの、中には多色(レインボー)のサポートをするものもいるのだ。

「えっ!? マジかよ!」
「それだけではないぞ。《絶対絶望!!》はマナにある指定された文明のカードの数だけ、効果を増すが、今の俺は”唱えるだけで”その規定を満たしたことになる。さあ、吹き飛ばせ!」

必殺!絶対絶望!! R 水/闇/火文明 (7)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
自分のマナゾーンに水のカードが5枚以上あれば、カードを2枚まで引く。
自分のマナゾーンに闇のカードが5枚以上あれば、相手は自身の手札を2枚選んで捨てる。
自分のマナゾーンに火のカードが5枚以上あれば、相手のパワー6000以下のクリーチャーを2体破壊する。
 
「さあ、カードを2枚引き、お前は手札を2枚捨て、そして《ギャノバズカ》と《コッコ・ルピア》を破壊! そして、《ユウナギ》でシールドをブレイクだ!」

 シールドが割られる。さらに。

「《ニャス》も後に続け! シールドブレイク!」
「ちっくしょぉ!」

 シールドが残り1枚に。まずい。これはあまりよろしくないパターンである。
 ヒナタのターン。カードを引く。そして-----------


「俺のターン! 《爆竜バトラッシュ・ナックル》召喚! 効果で《ニャス》とバトルして破壊! ターンエンドだ!」
「ふっ、ではこれでお仕舞いにしてくれよう。俺のターン。《ニャス》と同じ効果を持つ《薫風妖精コートニー》召喚。さらに《飛散する斧 プロメテウス》召喚。効果で《ハンゾウ》を回収。そして、《ユウナギ》で最後のシールドをブレイクだ!」

 シールドがブレイクされた。
 そして刹那-----------クナイのクリーチャーが全て焼き払われた。

「S・トリガー、《火焔タイガー・グレンオー》でお前のクリーチャーを全部焼き払うぜ!」

火焔タイガーグレンオー R 火文明 (7)
クリーチャー:フレイム・モンスター/サムライ 2000
S・トリガー
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手のパワー2000以下のクリーチャーをすべて破壊する。

 クナイの場には、パワー2000以下のクリーチャーしかいない。よって、全て破壊されたのである。

「相も変わらず、運だけは良い奴だ……!!」
「運も実力のうちだぜ! 俺のターン!」

 バトルゾーンに激しく炎が渦巻く。

「白き装束に、紅き炎の魂を! 真実と未来を斬って知れ! 《爆竜GENJI・XX》召喚!!」

爆竜 GENJI(ゲンジ)・XX VR 火文明 (6)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン/フレイム・コマンド/サムライ 7000
K・ソウル
スピードアタッカー
このクリーチャーが攻撃する時、相手の「ブロッカー」を持つクリーチャーを1体破壊する。
W・ブレイカー 


 クナイの手札はたったの1枚だった。その中には、100%《ハンゾウ》が入っている。しかし、それだけで猛攻を止められる訳も無く--------------

「くっ、まずい-----------!!」
「どーしたクナイ! ポーカーフェイスが乱れてるぜ! 《バトラッシュ・ナックル》でシールドをW・ブレイク!」
「防ぐぞ! ニンジャ・ストライク7発動! 《威牙の幻 ハンゾウ》で《バトラッシュ・ナックル》のパワーを-6000して破壊!」

威牙の幻ハンゾウ VR 闇文明 (7)
クリーチャー:デーモン・コマンド/シノビ 5000
ニンジャ・ストライク7(相手のクリーチャーが攻撃またはブロックした時、自分のマナゾーンにカードが7枚以上あり、その攻撃中に「ニンジャ・ストライク」能力を使っていなかった場合、このシノビをコストを支払わずに召喚してもよい。そのターンの終わりに、このシノビを自分の山札の一番下に置く)
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手のクリーチャーを1体選ぶ。そのターン、そのクリーチャーのパワーは-6000される。
このクリーチャーが破壊される時、自分のマナゾーンに闇のカードがあれば、このクリーチャーのかわりに自分のシールドを1枚墓地に置いてもよい。
※殿堂入り

「よっしゃあ! 《GENJI》でW・ブレイク!」
「くっ----------あ」
「《タイガーグレンオー》でダイレクトアタ------------」
「まだだ!」

 クナイが余裕の笑みを見せて、カードを繰り出した。
 ---------しまった、さっきブレイクしたシールドの中に!

「ニンジャ・ストライク6発動! 《不知火グレンマル》で《タイガーグレンオー》を破壊、撃破!」

不知火(しらぬい)グレンマル UC 火文明 (7)
クリーチャー:フレイム・モンスター/シノビ 5000
ニンジャ・ストライク6
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手のパワー4000以下のクリーチャーを1体破壊する。

 瞬間、《タイガーグレンオー》は破壊された。同じフレイム・モンスターに破壊されるのは、何の因果か。

「え、えええ!?」
「俺のターン。《ニャス》を再び召喚」

 これで、再びマナのカードは全て全色になる。
「ちょ、おま、待ち」
「そして、《疾封怒闘 キューブリック》召喚。こいつの効果はお前が一番知っているはずだ。なぁ?」

疾封怒闘(スパイラルアクセル) キューブリック P 水/火文明 (7)
クリーチャー:アウトレイジ 6000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
自分のマナゾーンに火のカードが3枚以上あれば、このクリーチャーは「スピードアタッカー」を得る。
W・ブレイカー
このクリーチャーがどこからでも自分の墓地に置かれた時、自分のマナゾーンに水のカードが3枚以上あれば、バトルゾーンにあるクリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻してもよい。
※殿堂入り

「も、勿論……え、とマナゾーンに火のカードが3枚以上あれば-------------」
「スピードアタッカーになる、だ! ダイレクトアタック!」
「しまったあああ!!」

 まさか、以前自分が使っていたカードに止めを刺されるとは思っていなかった。
 結果、ヒナタは敗北を喫したのだった。

 ***

 というように、ヒナタが見たいアニメも忘れてデュエマに熱中しているので、ノゾムは彼を頼ることが出来なかったのだった。
 そんなこともいざ知らず。

「俺1人で行くしか-----------ないのか!?」

 意を決して、ノゾムは祖父の元に行くことにしたのだった。

登場人物紹介 ( No.9 )
日時: 2016/09/25 23:44
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

鎧龍決闘学院

暁ヒナタ  男
前髪のグラサンがトレードマークの本作の主人公。2回生。”水に炎を割った”と評されるような性格で、熱さと冷たさを併せ持つ。デュエマが好きだが同時に実力も伴って高い。また、何かと無茶をやらかしがちな上に巻き込まれ体質、更に狙われ体質で、結構色んな面子に命やカードを狙われていたりする。
デュエマでは基本、オールラウンダー。使えるならば、基本種族は問わない。現在は、火のドラゴンを切札にしたデッキを使っている。
>>20


白陽  男
クリーチャー。ヒナタの相棒となる九尾の青年。その中でも子狐座の力を持って復活した星の英雄。生真面目な性格だが、前世からの恋人である玉兎のクレセントとのことになると、取り乱すことがある。また、尻尾を握られるとただの子狐になってしまい、言葉こそ発せられるが精神面でも幼くなってしまう。陰陽道に精通しており、妖術や変身術のような技をデュエマでも使う。
>>58


十六夜ノゾム  男
上に大きく束ねた髪が特徴的な本作のもう1人の主人公。1回生。生意気でプライドが高い性格だが一度懐いた相手にはとことん懐く。
デュエマでは青単を使用。劇中では一貫してクリスタル・コマンド・ドラゴンなど、水文明のドラゴンを切札に据えたデッキを使っている。
実は理系で、計算や論理に長けており、理数系の教科に強いという一面がある。
>>24


クレセント  女
兎座のクリーチャー。ノゾムの相棒となる玉兎。かなり前に復活しており、数世代に渡って十六夜家で光る札として家宝にされてきた。子供っぽくて快活明朗な性格で、見かけは華奢で可愛らしいが、とてつもない馬鹿力の持ち主で、デュエマのみならず、リアルな戦闘でも巨大な鉄槌を振り回して戦うパワーファイター。白陽とは切っても切れない絆で繋がっている。
>>59


黒鳥レン  男
ヒナタのライバルを自称する少年で、2回生。拘りが強い個人主義者。クールで冷静な性格を装っているが、最近は突っ込み役や損な役に回っている所為で、見る影もなくなっている。
破壊と墓地戦略を多用した”美学の在るデュエル”を追求しており、無色から闇文明に転向したのもそれをさらに追う為と言っているが、本当はある友人の影響らしい。
>>40


アヴィオール 男
龍座のクリーチャー。英雄として、この世に生を受けたが——?
>>372


如月コトハ  女
堅物で意見を曲げないことで有名な2回生。世話焼きで、面倒見が良いものの、口調が厳しかったり、周りと衝突することもしばしば。感情が表情に出やすい。
ヒナタには何度も助けられている。自然文明の使い手で、巨大な恐竜クリーチャーを操り、圧倒的なパワーで盤面を一気に制圧する。
>>133


ニャンクス 女
山猫座のクリーチャー。コトハの相棒となる2頭身で二足歩行をする猫。中世風の貴族服に羽帽子、長靴といった出で立ち。従順かつ真面目な性格。魔力によって薬を精製する製薬能力を最大の武器としており、肉体強化のみならず、自然文明らしく恐竜や、人間の姿に一時的に姿を変えることが可能。
>>373


淡島ホタル  女
新聞部所属の1回生。好奇心旺盛な性格。ノゾムの持つ”玉兎”のカードに興味があり、ずっと彼に付きまとっている。
光文明の使い手で、タップキルや小型クリーチャーを並べて盤面を制圧する戦法が得意。大型のクリーチャーにより、最後のダメ押しを支援する。
>>394


ハーシェル  男
クリーチャー。装甲を纏った小さな一角獣。だが、威厳に満ちた風格を持つ。最初は地球の邪気に汚染されて性格も汚染されていたが、それでも自分と対等に向き合ってくれたホタルに惹かれて彼女の相棒に。
>>395


焔クナイ  男
強さを追い求めるドライなシノビ使い。2回生。打倒ヒナタを掲げているものの、そのヒナタとは今では良きライバルである。
奇襲と妨害を得意とするシノビを使用しているが、さらなる奥の手を隠し持っている。


武闘フジ 男
理事長の息子にして、ヒナタ達の先輩であり、協力者。”生きたカード”を通して、クリーチャー世界に通じているので頼りになる……が、色々適当でブラックな性格の上に、私事を含む面倒ごとを度々持ち込んでくるトラブルメーカー。腕っ節はすこぶる強い。


星目テツヤ 男
鎧龍きってのド畜生でドS。フジに並ぶ天災っぷりは主に超ドSなコンボ、ループデッキに現れている上に、見ていてスカッとするタイプのクズで性格は非常に悪い。根っこが善人なのが唯一の救い。キャラを立てるために、最近タロット占いを始めたらしい。フジとは、会えばデュエルの後にリアルファイトをやらかす仲。


聖羽衣決闘学園


槙堂キイチ  男
抜けたような言動が特徴的な2回生で、かつては鎧龍に所属していた。漢字で名前を書くと「喜一」になるが、全く笑わないし感情的になることも少ない。しかし、ヒナタの本気を引き出すために敢えて煽るなど、狡猾な面もある。また、好戦的な性格でデュエマになると性格が一変する。
使用デッキはハンター。非常に攻撃力と展開力が高く、一度攻め手を許せば最早、付け入る余裕を与えない。


獅子怒シド  男
冷静沈着な性格の3回生。がっちりとした体格でしかも巨体、さらにそこから感じられる支配者の威厳は、キイチを黙らせるほど。おっかない苗字に反してこちらも感情的になることは少ない。


蓬莱学園

龍門寺ライト 男
双子の兄。非常に攻撃的な性格で、火のドラグハートを使う。

龍門寺ジュン 男
双子の弟。聡明であるが毒舌。闇のドラグハートの使い手。


零央学園

有栖川ツグミ 女
おっとり天然でぽけぽけとした性格のオラクリオン使い。しかし、その行動には謎が多い。また、キス魔。


インベンテンズデュエルスクール

景浦ノア・アンダーソン 女
ヒナタのかつての後輩。とある目的で動いている。

ケルス 女
ケルベロス座のクリーチャーで、死神博士という人物を追ってこの世界に現れた。


アウトレイジ&オラクル連合

ドラポン 男
前作でのヒナタの相棒。冒頭で彼のデッキを持ち去ったのは、向こうの世界で正体不明の敵との戦争が起こったため。

オーロラ 女
ほぼ同じ理由で超獣界へ去ったコトハの前作の相棒。怒ると怖い。


ミル&メル 女
災厄しか起こさない2人組。悪魔神を戯れで召喚とかふざけてる。



所属不明

アンカ 男
星の力を持つカードを狙う少年。残虐で冷酷な外道。正体不明でローブをその身に纏っている。不死鳥座の邪悪龍の持ち主。


コロナ 女
白陽をつけ狙う冷淡な性格の少女。音速の侵略者の使い手であり、またアマツカゼというクリーチャーを従えている。尚、そのアマツカゼの扱いは大体本人が悪いものの、かなーりぞんざい。


アマツカゼ 女
元は妖獣界に生息していた高天原の蛇でコロナの相棒。嫉妬深い性格であり、ドマゾ。白陽が相手なら刺されても悦ぶ真のマゾ。ついたあだ名はアマゾカゼという始末。しかし、その身体には大きな力が秘められている。


??? 女
大阪でノゾムに接触した少女。その真意は——!?


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