二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
日時: 2017/01/16 20:03
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。

また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。


”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”



『星の英雄編』


 第一章:月下転生

Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25

 第二章:一角獣

Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48

 第三章:骸骨龍

Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73

 第四章:長靴を履いた猫

Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114

 第五章:英雄集結

Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204


『列島予選編』


 第六章:革命への道筋

Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦

Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261

Act8:次なる舞台へ
>>262


 第七章:世界への切符

Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352


『侵略世界編』


 第八章:束の間の日常

Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393


 第九章:侵略の一手

Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃 
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416


 第十章:剣と刃

Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444


短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。

短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65

短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103

短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126

短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156

短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176

短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422

エイプリルフール2016
>>299 >>300

謹賀新年2017
>>443


登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします

オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。

お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新

短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル) ( No.121 )
日時: 2015/07/10 00:57
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「ううう……あんたら、何で来ちゃうのよ……」
『コトハ様! お気を確かに!』

 顔を真っ赤にして、コトハは言った。また、彼女の腰にあるデッキケースの中から声が聞こえてきた。ニャンクスも一緒らしい。

『あ、ヒナタ様! レン様! おはようございますにゃ!』
「あ、ああ……お前、すっげえ態度変わったつーか……いや、あれは別人だったから当然か」
「あー、もうっ! 絶対似合ってないって、こんなの!」

 どうやらコトハは、ヒナタとレン、それもこの2人に同時に見られた、というのが恥ずかしかったらしい。
 どうやら彼女は、フジからは何も聞かされずにこの席に向かわされたらしかった。
 単にメイド喫茶の給仕をやるところまでは良かったのだが、これはかなり精神的に来るものがある。特に彼女の性格から考えれば。

「あ、注文はハムサンド2つとミルクティー2つだ」
「あんたもあんたでスルースキル高すぎよ、レェェェン!! 少しは気にしてよ!!」
「僕はメイドというものに萌える趣味は、生憎持ち合わせていないのでな」

 至ってクールに彼は言った。しかし、乙女心は複雑で。これはこれで少し残念というものである。
 
「---------」

 ふと、彼女は視線に気付いた。
 ヒナタがこっちを見ているのである。少し顔を赤くして。

「ばっ、何こっちをガン見してんのよ!」
「や、悪い……」

 申し訳なさそうに彼は言うと、ポリポリ頭をかきながら言った。


「フツーに可愛かったから、な……」


 しばらく、その場に沈黙が漂った。
 そして、赤い果実のように熟れ上がったコトハの顔が、何か言葉にならないような声を紡ぐが、それ以上の言葉が出ないようだった。
 何となく気まずい空気になる。
 そこで話題を変えようと乗り出したのは、意外にもレンであった。

「そ、そういえば今日はノゾムを見ないな。1回生は確か、ステンドグラスを作ってたから、彼はフリーのはずだが」
「あ、あああ、そうだな」
「……え」

 それを聞いてか、コトハは更に顔を険しくした。
 今度は何というか、悪いものを隠そうとするような、決まりの悪そうな、そんな顔だ。

「コトハ、何か知ってんのか」
「い、いや、その……」

 はぐらかそうとしているのか、先ほどのがまだ尾を引きずっているのか。今日の彼女は勢いが少しないように感じる。


「おいいい、嫌だぞ、オレはあああ」


 と、コトハが「あー、その」と言い淀んでいる間に、何やら騒がしいことに気付いた。どうやら、教室の調理スペースとなっている衝立の先にある一角から聞き覚えのある声がしている。
 
「やめてください、先輩ぃぃぃ!! オレは絶対、ここから外には出ないって決めたんですからぁぁぁ!!」
「出やがれ、この駄メイド!! 俺様の命令を聞きやがれ!!」
「ほらっ、早くしてくださいよ! 先輩方に接待をしないと!」
「何で!? オレの味方居ないのコレ!! ちょ、やめ----------」
「はーい、野郎共、フロアにメイドさん1人追加でーす」

 などと白々しく言うフジの声と共に、半ば放り出されるように出てきたのは小柄な女子生徒であった。
 ぱっと見は、少しボーイッシュな印象を持たせる、人形のような黒髪を下ろした彼女は、女子生徒という目で見れば結構可愛い方ではないであろうか。
 凛々しくも少し幼さを残す顔と、困り顔が相まって、人気が出そうな感じはする。
 ただし。問題はその前髪がどっからどう見ても見覚えのある白のメッシュだったことか。
 この世の終わりのような表情を浮かべた少女の正体は-----------何となく察しがついた。
 しかし、その瞬間、反射的にヒナタとレンは少女から目をそらした。まさか、である。あの彼がそんなことをするわけがない、と。

「いやー、すまん。余りにも手が足らなくてな(適当)」
「ねぇ、先輩。本当に手ェ足りてないんですよね、この状況」
「そこで、こいつ色々”手を加えたら”いけるんじゃね? と面白全部---------じゃなかった面白半分でスカウトして投入させて貰ったわ」
「……つーことは先輩? こいつって----------」
「あ? 違うぞ?」

 フジは白々しく言った。


「この娘は十六夜ノゾムなんかじゃありませーん、メイドの国からやってきたメイドのノゾミちゃんだ」


 一瞬、その場は凍りついた。
 
「……ひなたせんぱあああい」

 泣きそうな顔で、”彼”は若干べそをかいていた。
 この瞬間、ヒナタとレンは察した。
 目の前のこのメイド姿の女子生徒は女子生徒ではない、と。
 間違いない。
 誰かの悪ふざけで”女装させられた”十六夜ノゾム本人だ、と。

「……すまん、ノゾム……不覚にも似合っていると思ってしまった俺は末期だ」
「おい貴様、単にメイドだったら何でもOKなだけじゃないのか」
「それはねーわ、ノゾムだって分かった瞬間若干引いたし」
「ちょっ!? 傷口に塩を塗って抉ってからまた塩塗るのやめてくださいよ!!」

 そして、1つだけ言えることは、フジの分析が正鵠を射ていたことであろ--------「射てねーよ! このドクサレが!!」---------うん、すまなかった。

「まさかお前まで捕まっていたとは……」
「面白いから、何でもOKというスタンスだからな、俺様は。後、どっかの弾幕シューティングゲームに十六夜って苗字のメイドが居たからな」
「オイ、先輩。それ以上はいけない」
「鬼!! 悪魔!! ブラック社長!!」
「はははは、ノゾムよ。その程度では俺様は折れんぞ」

 ま、そういうわけですからー、と再び聞き覚えのある声が聞こえた。
 次の瞬間、パシャパシャ、と連写音が聞こえる。
 そこには、カメラを掲げた眼鏡のメイドさんの姿が。

「おい、ホタルまでどうしたんだ」

 どうやら彼女も、フジに捕まった1人らしかった。
 しかし、問題はその手にカメラが掲げられており、先ほど連写音が聞こえたことであろうか。

「とにかく、ノゾムさんの今の写真クラスの人に見せて、誰か分かるか見せてきますね! ちょっと休憩とりまーす!」
「おーう、お疲れい」
「待てぇぇぇ!! ホタル、ストォォォーップ!! お前は悪鬼か悪魔かぁぁぁ!!」
「嘘ですよ、ノゾミちゃんにそんなことするわけないじゃないですか」

 にこにこ、と目の前で画像を消去するホタル。しかし。クラスメイトの格好に流石に興奮を隠せないようであった。
 かなりテンションがあがっている。

「悪意だ! 悪意を感じるよ!」
「ふーむ、まあノゾミで良いんじゃね、今日1日は」
「ふざけんな!! 絶交ですからね、先輩!!」
「まあ、良いではないか。こんなことが出来るのもスネ毛が生えるまでだぞ、ノゾミ」

 悪乗りするのは、至って無表情で淡々と残酷な宣告をするレンであった。

「その呼び方定着しちゃったんすか!? 認めませんよ、レン先輩!!」
「まあ、何であれだ。面白いからこのままで居ろ。多分ばれん」
「ちょ、ヒナタせんぱああああああい!!」

 こうして、十六夜ノゾミの憂鬱な1日はスタートをきったのであった。

短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル) ( No.122 )
日時: 2015/07/15 08:12
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ----------一旦、店は1時間の休憩となった。夕方の営業で、再び大々的に売り出したいからである。食材の準備もあり、こればっかりはシフトでどうこうなる問題ではなかった。

 ***

 鎧龍で最初に会った時のノゾムの第一印象は、”生意気な若侍”であった。
 それも、どこか子供っぽさを残したような。いや、それもそのはずである。彼は同学年の男子に比べ、少々背が低い上に顔もやや幼いのだ。
 その癖、髪をいつも後ろに束ねているので、見方を変えれば女子に見えないこともない。
 つまり、何が言いたいのか。男っぽい格好をさせれば男らしく見え、女っぽい格好をさせれば、女っぽく見える。それが十六夜ノゾムという少年であった。納得しただろうか。

「納得できるか、バーロー!!」
「さっきから地の文に突っ込むのやめましょうよ……」
「ギャラを50%増しにしてやるから、それで許せ」
「そ、そんなぁ……」
『似合ってるよー、のぞむー!』
「クレセントまで……」
「ノゾミちゃん、可愛いです! 似合ってますよ!」
「ホタルワレェ……後で覚えとけよ」

 さて、とフジは割って入るように続けた。

「ついでにだが。お前に折り入って頼みたいことがある」
「これ以上、オレに何をしろと!?」
「ノゾミちゃん、てめーは黙ってろ」
「酷いです、ヒナタ先輩!!」
「それはだな、これだ」

 フジが取り出したのは、1枚のポスターであった。
 そこにはでかでかと、大きな文字でこんなことが書かれていた。


”チキチキ女装コンテスト! 優勝者には最新パック20枚贈呈!”


「ふーざけるなああああああああああああああああ!!」


 叫んだノゾムの思わず振り上げた拳が、すぐ近くにいたヒナタに炸裂した。

「理不尽っ!?」
「はっ、すいません、ヒナタ先輩!?」
「いやさー、俺様自体、男の娘だとかそういうのには全然興味ないんだけどね? ただ、試せるもんは一通り試しておいた方が良いよね?」
「嫌ですよ、こんなん!!」

 そんなこんなしていたら、休憩時間は終わってしまった。
 しかし。先ほどあれだけ大盛況だったメイド喫茶は-----------


 ***



「人……来ないっすね」
「ああ」

 まさかの閑古鳥が鳴いてしまっていた。先ほどまで、あれほど人がいたというのに。
 この状況に、一番腹を立てたのはフジであった。

「お、おいいい!! どうしたんだぁぁぁ!! 休憩時間の間に、一体何があった!!」
「落ち着いてください、武闘先輩!!」
「おのれ、こんなん落ち着いてられるかああああああああ!!」

「大変だ、武闘!!」

 教室の外から駆けて来たのは、フジを呼び捨てで呼んでいる辺り4−Aと思われる男子生徒と思われた。 
 
「きゃ、客が、どんどん4−Dの教室に吸われていくんだ!!」
「な、何ぃぃぃ!?」

 その報告を受け、驚いた表情をフジは浮かべた。

「ば、馬鹿な---------4−Dは唯の喫茶店で、俺達に比べてインパクトは薄かったはず---------なのに、何故!?」
「おい、あっち面白そうだぞ、いってみようぜ」
「すっげー可愛いぞ、おい!」

 客達がどんどん、別の教室へ向かっていく。

「ば、馬鹿な……メイドに勝るモノなど、この世に存在するわけがない!! 行くぞ、お前ら!!」

 フジの声に続き、ヒナタ達も急いで4−Dに向かったのだった。

「あ……オレ、メイド服のままだった」

 気付いた時には既に遅かったのである。


 ***


「……なん……だと?」

 何と言う事だろうか。先ほどまで、閑古鳥が鳴いていた4−Dの喫茶店、”オプティマス”はこの1時間の間に大盛況となっていた。
 一同はこの世が終わったような顔で立ち尽くしていた。
 ヒナタとレンとコトハとノゾムとホタル以外。

「おいいい、ちったぁ心配しろてめぇらぁぁぁ」
「いや、だってさっきまで儲かっていたんだし……」
「許せん……俺様のクラスの出し物が一番だということ、その事実が揺るぐワケが-------------」


「力の逆位置……”人”任せにするからこんなことになるのさ。ははは、ザマァないな、フジ。やっぱりお前もその程度か」


 つかつかと歩いてきたのは、黒髪にニヒルそうな笑みを浮かべ、タロットカードを持った少年であった。
 
「あれって、星目先輩!?」
「知ってるんですか、ヒナタ先輩!」
「嗚呼」

 星目テツヤ。それが目の前に立つ少年の名前であった。
 数年前、海戸で起こったカード事件をフジ、そして現在は転向している無頼シントと共に解決した1人。
 そして、鎧龍決闘学院での異名は”ハイドロ・ブレイン”。または”コンボの鬼”。
 その名の通り、ループ系のコンボを平然とした顔で使用する、エイリアンとグレートメカオーと光と水を愛する男である。
 フジとは別次元の天災的な頭を持っており、まずその思考は”ドS”、”鬼畜”の一言。相手をストレスの渦に巻き込むような戦術しか思いつかない根っからのSである。根が善人なだけまだマシな方か。
 ちょっと前まで見かけなかったのは、病気の治療をしていたからなんだとか。その間、鎧龍には一時的に”鬼”の片方が消えて安堵と平和が戻っていたが----------こうして復活しちゃったんだからしゃーない。同学年の面子は彼とフジに当たるのを恐れる毎日が戻ってしまったのだった。

「えええ、この人も相当の実力者じゃないですか!」
「くくく、この俺の戦術は完璧かつ最高だ。それはリアルに於いてもな!」
「何っ!?」

 フジは看板の方を見た。
 そこには-----------


『”猫カフェ”オプティマス、ただいまよりリニューアルオープン! 可愛い猫ちゃんとにゃんにゃんしながらゆっくりいていってね☆』


「ね、猫カフェだとおおおおおおおお!?」
「はははは、お前達が悠々と休んでいる間に、近所から野良猫拾って衛生のために体を洗いまくる作業は大変だったぞ……!」
「何が大変だっただ、この鬼ぃぃぃ!! 働いてたのは俺らじゃねーか!」

 そう教室の中から突っ込む4Dの生徒だが、

「黙れ、アニメVS3のデュエルゾーンに引きずり込んでイメンループとラララオプティマスとシューゲイザーと天門ループとヘルゲートムーンライブラリアウトとジェームズゾルゲ順番に決めてからてめぇの脳みそKOされてぇか」
「ヒイイイイイ!!」
「えげつねえ……やってることがえげつねぇ……つか、色々アウトじゃね?」
「はははは、それでは俺は調理に戻るとするよ」

 流石のヒナタもドン引きである。

「お、おのれ……そうだ、良い手段があるぞ!!」
「え?」

 フジはコトハの方を見て、にやり、と勝利を確信した笑みを浮かべた。


「如月、ちょっとニャンクス貸せやお前」

短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル) ( No.123 )
日時: 2015/07/15 08:20
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ***

「……大変だ、星目!!」
「何だ騒がしい。俺は勉強で忙しい----------」
「馬鹿やろー!! てめぇが読んでんのは漫画だろうがあああ!! そうじゃなくて、働けよ!! じゃなかった、向こうのクラスを見ろ!!」

 調理スペースで漫画を読み、クズっぷりを発揮していたテツヤ。しかし、同級生のその言葉に何かを感じたのか、すぐさま案内された4−Aの教室に。

「ば、馬鹿な!!」

 その人だかりに、テツヤは驚愕した。4−Aの前に、再び客が戻ってきているのだ。
 一体、何をしたんだ、と教室を覗く前に何やら軽快な曲が流れてくる。


 ----------君にドキドキしてる心の奥で、ちょっと不安、だから武装しちゃう、カワイイ自分が大好き、天然のフリで、巻き込んじゃう ごめんね、キミに武器武器Love----------


 教室を覗いて見ると、そこには見覚えのない少女がフリルのついた可愛らしい服を着て、片手にマイクを持って歌っていたのだった。
 そして、席では客が(主に男だが)ペンライトを持ってエールを飛ばしていたのだった。


「はははは、テツヤよ、分かったか!! これが進化した喫茶店、”アイドル喫茶”だぁぁぁ!!」

 
 ドヤ顔で、苛立ちを隠せない表情のテツヤに、フジは追い討ちをかけた。

「くくく、テーマパークでは、よくショー付きのレストランとかがあるだろう? それを応用したのさ!!」

 つまり。そういうことである。教室の外からも聞こえる曲が客寄せの効果も持っており、入ってみたら可愛い少女が歌って踊っていたら尚更。
 確かに、ありそうで無かった発想ではある。後で五月蝿いと苦情が来るような気がしないでもないが。

「ば、馬鹿な!! この少女は誰だ!! 一体、どこから持ってきた!! うちの生徒か? いや、馬鹿な! 別のクラスにしたって、あんなにアイドル映えした生徒は見覚えがないぞ!」
「それは企業秘密だ-----------! ちなみに曲は、腹の色真っ黒クローバーXのキミに武器武器ラブを使わせて貰ったぞ」
「お、おのれ……」

 
 ***


「いやさ、こんなに上手くいくとは思わなかったよな」

 目の前の少女が歌っているのを見ながら、ヒナタは言った。
 そうね、とコトハが頷く。
 
「全く、アイドルなんて俗的なものには興味ないのだがな。というかこれ、もう喫茶店って言えるのか?」
「ま、オレはメイド服から解放されただけで十分っすけどね!」
「えー、残念でしたよー。ノゾミちゃん可愛かったのに」
『私はクレセントの方が……うーん』
『あーもう! 白陽の浮気ものー!』
『ち、違う! そういう意味ではないのだ!』
『ほっほっほ、なかなか良いものじゃのう、あいどるというものも』
『ふむ、ハーシェルよ。貴様もそう思うか』
『うむ。おぬしとは良い酒が飲めそうじゃわい』
『白陽の馬鹿ー!』
『いや、大丈夫だ。クレセントの方が100倍可愛い……多分』

 ま、何であれ、とコトハは呟いた。


「ニャンクスがこの曲”覚えてて”良かったわー」


 そのまま視線を目の前で歌っている少女-------------もとい、ニャンクスに移したのだった。

「胸部装甲も分厚いからな」
「締め上げるわよヒナタ、どこ見てんの」
「ん……そういえば、フジ先輩はどこ行った?」


 ***


 始まりはフジの提案だった。それは、ニャンクスの武装後の姿を事件の後に直接調べ、知っていたフジだからこそ言えたことであった。
 あの後、全員は一旦、使われていない空き教室へフジに案内させられた。
 
「----------ニャンクスを貸してって先輩、何に使うんですか!?」
「簡単だ。ニャンクス。お前、この状態で星芒武装は出来るか?」
「え、む無理ですにゃ! 現実世界でそんなことは!」
「それじゃあ、”恐竜にもなれるんだから”、”人間には薬で”なれないのか?」

 はっ、とこのとき、コトハは気付いた。

「ニャンクスをメイドに使うんですか?」
「え? こいつって人間になれるのか?」

 ヒナタが問うと、コトハは頷いた。

「ええ。武装後のカード見せなかったかしら?」

 そういって、彼女の武装後のカード、《ニャンクス・ミラージュ》を見せる。
 全員は此処でピンと来た。ニャンクスは武装後に、クリーチャーとはいえ人間の少女と見紛うくらい似た姿になる。猫耳に尻尾つきであるが、十分にいけるだろう、と。
 武装は出来なくとも、薬で人間の姿になれるのならば、尚更である。

「確かに、これならば人から人気を得ることは容易いが---------」
「ああ。今のままだと、恐らく誰も来ない。そこで、だ」

 性格の悪そうな笑みを浮かべ、フジは言った。


「お前には急遽、アイドルになって貰う!!」


 え、と全員は耳を疑った。

「い、いやいや、無理でしょ!? どうやって今から振り付けとか歌とか覚えるんですか!?」
「------------いや、無理ではないわ」

 え、とコトハを除く全員は困惑の表情を浮かべた。無理だ。幾らなんでも。クリーチャーとはいえ、短時間の間に振り付けや歌を覚えるのは難しいのではないか、と。
 事実その通りである。しかし、コトハは全員を納得させる答えを出した。

「ハラグロXって知ってる? 今人気アイドルの」
「あ、ああ……デュエマにも売り出していた、あのアイドルか。一応知ってはいるが」

 ハラグロX。正式名称、腹の色真っ黒クローバーXのことだ。
 オープンに腹黒さを押し出すことで、逆に受け、一躍大人気となったアイドルグループである。
 しかも、デュエマのカードにも彼女達をクリーチャー化したものが存在するのである。

「ええ。この子、テレビで前にハラグロXのライブ見てから、何故か気に入ったみたいで、あたしのスマホで勝手に動画を繰り返し見てたわ」
「ご、ごめんなさい、コトハ様……だって、ついつい憧れちゃって。歌詞の意味はよく分かんなかったけど、とりあえず歌える程度には覚えたんですよ」
「ええ、一生歌詞の意味は分からないままで良いわ」

 理由は歌詞も腹黒感満載だからである。

「踊りまで覚えたんですよ、コトハ様♪」
「女の子っぽいんだな、この辺は」
「ふっ、完璧だ。後は、衣装を用意して会場を再び準備するだけか-----------」

 こうして、アイドル喫茶作戦が決行されたワケである。
 クラスメイトには、「自分の従兄弟だ、大丈夫バレなければ」とフジが説明し、後はその財力でそれっぽい服をゲット。
 こうして、客を取り返すべく発動したこの作戦は、大成功を収めたのだった。


 ***


「フジ先輩ー」

 食事を終え、ヒナタ達はさっきまで近くに居たフジを探し、教室の外へ。するとそこには----------

「おのれこのインチキ御曹司があああ!!」
「黙れ、腐れドS野郎が!! てめーなんざ、キャラ薄すぎて読者の誰にも覚えて貰ってねぇだろうよ!!」
「うるせぇぇぇ、俺にはドSと鬼畜コンボ使いという特性があるだろうがああああ!!」

 ---------口汚く罵り合う上級生約2名の姿があった。 
 
「ぜぇぜぇ……おのれ……」
「はぁはぁ……やるじゃねえか」

 こうなったら、と2人は口を揃えて言った。


『デュエマで決着を付けるぞ!!』


 -----------いきなりカードゲーム小説っぽくなったな。
 -----------無理矢理すぎませんか? ヒナタ先輩。
 -----------でも、先輩2人のデュエマを見られるのはなかなか無いな。
 -----------不毛すぎるわ、これ
 -----------とりあえず、記事に纏めておきますね!
 こうして突如、フジとテツヤのデュエマが始まったのだった。

短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル) ( No.124 )
日時: 2015/07/14 16:28
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

『えぇー、ご来場の皆様。これより急遽、この特設ステージで鎧龍でも最強、いや最凶クラスのド畜生……じゃなかった、実力者2人によるエキシビションマッチをお送りします』

 その後、一悶着あり。わざわざD・リーグ専用、立体ホログラム付きフィールドでフジとテツヤによるデュエルが始まることになった。
 最新鋭の立体ホログラムが見れると聞き、観客達も集まったのであった。
 
「この大会場で、晒しモンにしてやるさ。俺の完璧な戦術でな!」
「はっ、世迷い事を。俺様のデッキで叩き潰してやるぜ!!」

 当然、ヒナタ達も(半ば仕方なく)観戦しに来たのであった。

「この勝負、一体どっちが勝つんでしょうか?」
「どーでも良いわ、うん」
「完全に興味無さそうっすね、先輩」
「見るだけ不毛だっつーの」
「しかし、あの星目先輩……一体、どのようなコンボを使うのか見ものではあるな」
「おっそろしいとは聞いているわよ? 無限ループばっかり使うって」

 そうこう言っているうちに、フジもテツヤも準備は整ったようであった。


『デュエル・スタート!!』


 ***


「俺様のターン、《ピクシー・ライフ》でマナを加速、ターン終了だ」
「俺もマナを加速し、ターンエンドだ」

 フジは序盤、大量のマナ加速カードを使い、マナを7枚までに増やしていた。
 一方のテツヤは----------此処まで、ほぼ動きなしだ。1度、《フェアイー・ライフ》を使ったっきりである。
 マナゾーンのカードを見ても、《メカピン》、《ミスキュー》、《ダキテー・ドラグーン》etc……どう見ても事故ったようにしか見えない。
 
「では、そろそろ動くとしようか!!」

 フジが叫ぶ。
 遂に来るか、と観客達は期待に身を振るわせた。

「呪文、《戦慄のプレリュード》! 効果でコストを5下げ、現れるが良い、俺様の切札!!」

 フジの叫びに呼応するかのように、フジの頭上に穴が裂け、1体の巨人がバトルゾーンへ現れた。
 

「《「武」の頂 マキシマム・ザ・マックス》、召喚!!」


「武」の頂 マキシマム・ザ・マックス P(R) 無色 (10)
クリーチャー:アンノウン/ゼニス 12000+
パワーアタッカー+12000
ワールド・ブレイカー
エターナル・Ω


「何て巨大なクリーチャー……!」
「あれがフジ先輩の切札! ホログラムで見たのは初めてだぜ」
「ターボゼニス……あれが先輩の本来のデッキだというのか」

 現れたのは、ゼニスの中で唯一ワールド・ブレイカーを持つクリーチャー、《マキシマム・ザ・マックス》であった。
 そのパワーは最大で24000まで上昇し、まさにゼニスの中ではおぞましいほどの火力を誇るのである。
 ただし、言い方を変えればパワー馬鹿になってしまうのであるが。

「ターンエンドだ!」

 勝利を確信したような笑みを浮かべるフジ。その自信が全てを物語っている。
 慢心は最大の敵だ、と。

「俺のターン。もう勝った気でいるとは、流石お坊ちゃまは違うね」
「何?」
「教えてやる。俺のコンボをな!」

 カードを引いたテツヤは、更に1枚をマナに置く。
 これにより、テツヤのマナのカードは6枚となった。


「連鎖しろ、それが水の流儀! 現れよ、知識の侵略者、《ガチャンコ ガチロボ》を召喚だ!!」


ガチャンコ ガチロボ SR 水文明 (6)
クリーチャー:グレートメカオー/侵略者 6000
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時または攻撃する時、自分の山札の上から3枚を見せる。それがすべてコストが同じクリーチャーであれば、バトルゾーンに出す。それ以外なら、好きな順序で山札の一番下に置く。
相手のシールドが2つ以下なら、自分の水のクリーチャーは攻撃もブロックもされない。
W・ブレイカー


 現れたのは、青い装甲に身を包んだ、子供のおもちゃのようなデザインをした巨大なロボであった。
 そして、膝にはガチャの取っ手らしきもの、腹部にはカタパルトが装備されていた。

「《ガチロボ》の効果発動! 山札から3枚を捲り、それが”同じコスト”のクリーチャーならばバトルゾーンに出しても良い!」
「同コスト------------はっ!!」

 フジは気付いたようであった。
 テツヤのマナゾーンには、”コスト6”のクリーチャーのみ。
 つまり、テツヤは------------

「俺はデッキのうち、32枚をコスト6のクリーチャーにしている!! こいつの効果が不発に終わることは殆どねぇ!!」
「これがてめぇの新デッキだって言うんだな?」
「無限ループにも飽きちまってな。そろそろ、俺はこういうのを使いたかったんだよ!! 出て来い、クリーチャー!!」

 山札が3枚捲られた。
 現れたのは-------------


「《アクア・サーファー》、《GENJI・XX》、そして《ガチャンコ ガチロボ》を召喚だ!!」


 ----------全てコスト6のクリーチャーだ。

「な、馬鹿な---------!!」
「2体目の《ガチロボ》の効果を使用し、再び3枚を捲る! 《ムラマサ・リザード》、《幻影 ミスキュー》、《龍覇 メタルアベンジャー》!」
「な、一気にクリーチャーが7体に増えただとぉ!?」

 余りの展開力に、流石のフジも驚愕せざるを得なかった。まずい。自分のデッキに、このクリーチャー達を止められる術はあったような無かったような---------状態である。

「そして、《メタルアベンジャー》に《エビデンス》を装備! そして、《幻影 ミスキュー》の効果発動!!」

 
幻影 ミスキュー VR 自然文明 (6)
クリーチャー:ミステリー・トーテム/侵略者 3000
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、クリーチャーを1体選び、持ち主のマナゾーンに置く。その後、そのプレイヤーは自身の山札をシャッフルし、上から1枚目を見せる。それがクリーチャーであれば、バトルゾーンに出してもよい。


「こいつ自体をマナに送り---------!!」

 次の瞬間、《ミスキュー》がマナゾーンへ送られた。
 それと同時に、テツヤの山札から、更に1枚が捲られる。
 そこから、更なるクリーチャーが現れる-----------!!

「現れろ、3体目の《ガチャンコ ガチロボ》!!」

短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル) ( No.125 )
日時: 2015/07/31 15:01
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「三体目の効果で、更に現れろ!! 俺のクリーチャー!!」

 連鎖するように、3体目の効果が発動した。
 山札が再び3枚捲られ、現れたのは-----------


「《GENJI・XX》、《メカピン》、《龍覇 グレンモルト》召喚!!」


 この3体であった。
 
「《グレンモルト》に《銀河大剣 ガイハート》を装備----------この意味、分かるよな?」
「《ガイハート》……そんなものまで手に入れていたのか、お前は」
「さて。これで連鎖は終了だ--------しかし!! お前も同時に終わるのさ!!」

 叫んだテツヤは、まず《GENJI・XX》でシールドへ攻撃を浴びせた。
 残り、3枚。しかし、割られたシールドがカードなり、再びバトルゾーンへ現れた。
 S・トリガーだ。

「《フェアリー・ライフ》でマナを加速する!」

 しかし。それも単にマナを1枚増やしただけ。テツヤからすれば痛くも痒くもない。

「その程度か? それでは《グレンモルト》でシールドをブレイク!! そして、このターン2度目の攻撃を行ったので、《ガイハート》は攻撃の後に龍解するぞ!!」
「くっ、トリガーなしか----------!!」

 ふっ、とテツヤは馬鹿にするように笑った。


「龍解!! 赤き熱血龍よ、この俺に力を貸せ!! 《熱血星龍 ガイギンガ》!!」


 ***


「武闘先輩は、かなり危ない状況だ」

 レンは、冷静に考察した。フジのデッキ、ターボゼニスには大量のブースト呪文と巨大クリーチャーが入っている。
 しかし。トリガー呪文は入っているかどうか、謎である。
 はっきり言って、スパーク系呪文などで止められても、次のターンに手札に握られているカードでは対処できない。
 しかも、テツヤの手札には追い討ちと言わんばかりに4枚目のガチロボがあった。

「いや、いつからフジ先輩応援する流れになったんだコレ」
「知らん」
「でも、えげつないものを見せてくれたわね、星目先輩」
「そうですね。とりあえず、記事にしましょう!」

 待ってください---------と言ったのはノゾムであった。


「オレには、フジ先輩がまだ何か隠しているように見える-----------!!」


 ***


熱血星龍 ガイギンガ  ≡V≡≡V≡  火文明 (7)
ドラグハート・クリーチャー:ガイアール・コマンド・ドラゴン 9000+
スピードアタッカー
W・ブレイカー
このクリーチャーが龍解した時、相手のパワー7000以下のクリーチャーを1体破壊する。
バトル中、このクリーチャーのパワーは+4000される。
相手がこのクリーチャーを選んだ時、このターンの後にもう一度自分のターンを行う。



「Wビクトリーカード、《ガイギンガ》。元はシントの奴から郵送で借りた奴だ」
「くそ、あの野郎……余計な事を」
「ははは、もう遅い!! 《GENJI》でシールドをW・ブレイク!!」

 シールドは残り0枚。
 そして、《ガイギンガ》は選ばれたらエクストラターンを持ち主に与える効果を持つし、そもそもこの状況、除去カード1枚では止められない。
 しかし。それでも天運はフジに勝機を与えたのだ。


「S・トリガー、発動!!」


 それは、恐ろしく自信に満ちた笑みであった。
 屍鬼の死の宣告であった。

「何!? 今更この状況を、お前はどうやって引っ繰り返すつもりだ!! お前のデッキカラーと構築を見れば一目瞭然だぞ!!」
「ゼニスデッキには”是非入れておきたいカード”があってだな--------!!」

 S・トリガーとして現れたカードが、突き付けられる。
 

「呪文、《天運ゼニス・スクラッチ》!! 俺様はこの1枚に全てを賭すぜ!!」


天運ゼニスクラッチ R 無色 (7)
呪文
S・トリガー
自分の山札をシャッフルし、その後、一番上のカードをすべてのプレイヤーに見せる。そのカードがゼニスであれば、コストを支払わずに召喚してもよい。ゼニスでなければ、そのカードを手札に加える。


 会場には緊張が漂っていた。
 山札がシャッフルされ、全ての運以外の要素は排除された(そもそも山札操作も何も行われていないが)。
 まさに天運に全てを賭すに等しい状況だ。
 《ゼニス・スクラッチ》は山札をシャッフルした後に一番上のカードを全てのプレイヤーに見せて、それがゼニスならばコストを支払わずに召喚できる呪文だ。
 つまり、ゼニスの召喚時効果も使える。場合次第では一発逆転も可能。
 しかし。外れればただのスカ。
 しかも、仮にゼニスだったとしても、この状況を引っ繰り返せるかどうかは別問題となる。
 それも承知で、フジは山札の一番上を捲った。


「俺様に応えろ!! 出て来い、ゼニス-------------!!」


 カードが会場の全員に向けられる。
 そして、そのカードは----------------


「来たぞ、《「修羅」の頂 VAN・ベートーベン》ッ!!」


 ----------紛うことなき、ゼニスであった。
 その瞬間、会場から歓声が上がる。
 
「嘘だろ---------!? よりによって、そんなカードを!?」
「《VAN》の効果発動!! 相手のクリーチャーを全て、持ち主の手札に戻す!!」


「修羅」の頂 VAN・ベートーベン SR 無色 (11)
クリーチャー:キング・コマンド・ドラゴン/アンノウン/ゼニス 14000
このクリーチャーを召喚してバトルゾーンに出した時、相手のクリーチャーをすべてバトルゾーンから持ち主の手札に戻す。
相手がコマンドまたはドラゴンをバトルゾーンに出す時、相手はそのクリーチャーをバトルゾーンに出すかわりに墓地に置く。
T・ブレイカー
エターナル・Ω(このクリーチャーがバトルゾーンを離れる時、かわりに手札に戻す)


 これにより、何体ものクリーチャーは一瞬で無に返された。
 
「タ、ターン終了……!! くそっ、悪運の強い奴!! どの道、次のターンに《ムラマサ・リザード》でダイレクトアタックで決めてやるさ!!」
「まだだぜ? てめぇに散々やられた分、此処でたっぷり返す!!」

 叫んだフジはターンの最初にマナを加速。
 そして-----------今引いたのか、とっておきのクリーチャーを繰り出す。

「お前が殴ってくれたおかげで、マナが増えたぜ。まず、3マナで《戦慄のプレリュード》を使う!!」
「ば、馬鹿な!!」

 見れば、天井には既に巨大な穴がホログラムで投影されていた。雷が鳴り響き、強大な存在の登場を予感させる。


「修羅の力と鬼の力、全てを融合させ、天頂の大戦に勝利せよ!! 
現れよ、俺様の切札!! 《超絶奇跡 鬼羅丸》!!」


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