二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
日時: 2017/01/16 20:03
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。

また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。


”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”



『星の英雄編』


 第一章:月下転生

Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25

 第二章:一角獣

Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48

 第三章:骸骨龍

Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73

 第四章:長靴を履いた猫

Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114

 第五章:英雄集結

Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204


『列島予選編』


 第六章:革命への道筋

Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦

Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261

Act8:次なる舞台へ
>>262


 第七章:世界への切符

Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352


『侵略世界編』


 第八章:束の間の日常

Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393


 第九章:侵略の一手

Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃 
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416


 第十章:剣と刃

Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444


短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。

短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65

短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103

短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126

短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156

短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176

短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422

エイプリルフール2016
>>299 >>300

謹賀新年2017
>>443


登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします

オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。

お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新

Act10:決戦へ ( No.182 )
日時: 2015/10/04 14:37
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

***


 
 ——だぁぁぁーっ、畜生!! 授業に集中できねえ!!
 ノゾムは、やはりホタルの身を案じていた。一度は自分が助けた存在。
 なのに、また連れ去られてしまった。それが彼に自責を生んでいた。
 だからか、授業もまともに聞いていられる状況ではなかった。
 
「十六夜! 十六夜!」

 ——大体、これも全部アヴィオールの奴が悪——
 しかし。やはり、授業を聞いていなかったのはまずかった。


「当てたのが聞こえなかったか、十六夜!!」


「どわっ、はいいい!!」


 幾ら6時間目だからってぼーっとすんじゃないぞ、と注意され、ノゾムは溜息をついたのだった。


 ***



「……結局先生に怒られちまった……」
『大丈夫ー? ノゾムー?』
「ああ、一応……」

 放課後。部活に入っているわけではないノゾムは、さっさと帰ろうとしていた。
 が、その前に意気消沈、といった表情でノゾムは冷水機の水を飲みに行こうと、体育館への廊下に向かっていた。
 ——武闘財閥は、確かに頼もしいのは頼もしい……だけど、そうじゃねえんだ。オレ達の仲間なのに、オレ達が何も出来ないのが一番悔しいんだ……!
 と、そのときだった。
 いつもの放送の掛かるチャイムの音が鳴った。今度は誰が呼び出されるんだ、と彼は特に気にしないまま冷水機の水を口に含むが——


『1−Aの十六夜ノゾム、2−Cの暁ヒナタ、2−Dの如月コトハ。帰ろうとしてるところ申し訳ないが今すぐこの武闘フジのところに来い。場所は会議室だ。繰り返す——』


 思わず、その水を噴出しそうになった。
 何があったのか知らないが、言えることは唯一つ。呼ばれた面子からして、只事では無いということだった。
 しかもこの声。明らかにフジのものだ。
 
「何なんだ、一体……まさか」

 ——ホタルが見つかったんじゃないか!?
 そんな淡い期待を抱きながら、彼は会議室に駆けていった——



 ***


 ——ノゾムの淡い期待は、早々に打ち砕かれた。
 一緒に来たヒナタとコトハも、苦い表情をしていた。

「先程、欠席の黒鳥レンの家から決闘空間が開かれたという反応が現れた、と報告が来た。それも、2時間くれー前にな」
「なっ!?」

 フジは淡々と告げたが、これはかなりまずいのではないか、と3人は青ざめていた。
 つまり。何者かが、クリーチャーだか何かは分からないが、彼を襲撃したことになる。

「じゃあ、家に居たレンが誰かに襲われたってことじゃないですか!!」
「んなこたぁ、言わなくても分かる。んでもって、最悪なのは——俺様名義で連絡を何度取っても連絡が取れねぇんだ」

 ツー、ツー、と音を静かに鳴らすタブレットを見せ付けながら、フジは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、溜息をついた。
 もう、ここまで来ると、ヒナタもコトハもノゾムも、顔を真っ青にしていた。

「じゃ、じゃあレンは……やられたってことなの!?」
「あいつの家は共働きで、出張が多い。あいつが家で1人の時も多い。まあ何が言いたいかって——正直、かなりやばいってことだな……!」
「で、でもまだ、レン先輩がやられたって断定はできないんじゃ……」
「いや、間違いねぇ。調査員が調べたが、家の中に誰も居なかったみてーだからな……!! 少々、この調査に時間が掛かって、お前らに連絡するのが遅れた、すまん。事実を確認しないまま、お前らを動かすのは危険だからな」
「そ、それはそうですが……調べたって」
「企業秘密だ。バレなきゃ犯罪じゃねえ」
「おい大丈夫かよ、本当に」

 軽く犯罪染みたようなことを言ってのけるフジ。クリーチャーによる事件は、法に縛られていては解決できないとは彼の父の言葉らしいが、今回ばかりはそれが不幸か幸いか、割と早いうちに事件があったことを見つけるきっかけになった。
 が、悪い知らせはそれだけではなかった。

「それだけじゃねえ」

 フジはぽりぽり、と頭を掻くと「こっから”も”重要だ」と言った。
 もう、3人には嫌な予感しかしなかった。
 しかし。それは予想を遥かに超えた知らせだった。



「その際観測された強力な光のクリーチャーの反応——あれは、ハーシェルの物と見て間違いねぇってことが、観測結果の分析を行ったところ、明らかになった」



 一瞬、ノゾムは彼が何を言ったのか、全く分からなかった。
 ハンマーで殴られたような感覚だった。
 しかし。確かに彼は言った。
 ”決闘空間が開かれた場所で、ハーシェルの反応が観測された”と。

「ちょ、ちょっと待てよ先輩……まさか、ハーシェルが……!!」
「一緒に連れ去られたホタル以外が、ハーシェルを使えるとは考えにくい」
「あ、ありえない!! ホタルが、ハーシェルが先輩を襲うなんて……!! もしそうだとしても、信じたくなんか……!!」

 ノゾムとしては、絶対にあって欲しくなかった。
 レンは自分の先輩だ。ホタルは自分の同級生だ。
 互いが傷つけ合っただなんて、考えたくなんかなかった。

「恐らく——アヴィオールに操られているって考えた方が良いかもしれないわ。もしかしたら、そいつがハーシェルの力に目を付けたのかもしれない」
「そ、それでもオレは……!! あいつがそんなことをしただなんて……考えたくない!!」
「気持ちは分かるぜ、ノゾム」

 ぽん、とヒナタはノゾムの肩に手を置いた。
 彼の目は——静かな怒りで燃えていた。

「フジ先輩。俺らにそれだけを伝えに来たんですか?」
「アホか。こうなった以上は、てめぇらにも動いて貰う」

 それに、と彼は続けた。

「都合の良いことに、悪い知らせばかりでもねえ。奴の反応はその後、まるで見せ付けるかのように移動し、そして留まっている。まるで挑発するようにな」
「じゃ、じゃあ、それを追えば!」
「ここまであからさまだと、罠って可能性もあるわね」
「そ、そりゃそうですけど……」



「罠でも何でも良いだろうが」



 言ったのはヒナタだった。



「それしか手がかりがもうねぇなら、方法がそれしかねぇなら、多少のリスクや危険があったって手段を選んでる暇は無い——あんたの言葉だぜ、フジ先輩。レンも、ホタルも、俺達の手で助け出せるチャンスってことじゃないですか? もう、1秒が惜しい、そんな状態だってこともな」
「分かってるじゃねえか、ヒナタ」



 いつものような嫌な笑みを、フジは浮かべた。しかし。今回ばかりは心底から笑っていられるような状況ではないことは確かだ。
 「オレだって!!」と後に続くように彼が言った。



「今度も、絶対にホタルを、オレ達の仲間を助け出すって決めたんです!! 今度こそ、決着をつけてやる!!」



 はぁ、と溜息をついたコトハも進み出た。



「まぁ、修羅場も正念場も今まで幾つも乗り越えてきたしね。今度も厳しい戦いになるでしょうけど」



 3人は既に、チャンスを逃す気など毛頭無かった。
 不屈と絶対の意思が、そこにあった。
 フジはそれを確認しただけで十分だった。
 と、次の瞬間だった。彼のタブレットに着信が入る。
 そして、淡々とその連絡を聞いていたフジだったが——更に眉間に皺を寄せた。
 連絡を切り、3人に彼は言い放つ。

「もっと大変なことになった。とうとう、連中は仕掛けてきやがったぜ。クリーチャーの反応が、海戸3区に大量に出現した」
「なっ……!?」
「とうとう、本性を剥き出しにしてきたってことか」
「大変なことになったわね……」
「そこで、だ」

 決意を固めたように、フジは告げるように命じた。
 これが最後と言わんばかりに。




「今度の今度こそ、だ。アヴィオールの奴と決着を付ける。これ以上は奴らの好き勝手にさせねえ。そして、捕らえられた人々を救出する!!」
『はいっ!!』

Re: デュエル・マスターズ D・ステラ ( No.183 )
日時: 2015/10/04 20:45
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: arA4JUne)

 週一規定によって現れました、モノクロです。

 そろそろ前置きの言葉を長々と語る癖も直したいところなので、いきなり本題の感想に入りますが、ミルとコトハの対戦は、なかなかに興味をそそられる内容でした。
 メルの対戦の時点で、普段あまり活用しないカードを多用しているという点で面白かったのですが、今度はゴッド、それもゴッド初登場期の連中を引っ張り出してきますか。いやぁ、懐かしい。レオパルド&ペガサスとか、オットー&ドッコイとか、モノクロの現役時代のゴッドたちを思い出します。
 今回出て来たのは、《コマンダー・テクノバスター》らでドローロックをかけられるキキ&カイカイなわけですが、こいつらのデザインは結構好きです。ドローロックまでするとつまらないですが、やや受動的ながらも、継続的に相手の手札を奪って行ける能力は、やっぱり強力ですよね。特に相手が、手札の枯渇に悩みがちな自然単だと。
 まあ、それでも流石に、《ボアロアックス》に連なるクリーチャーの踏み倒し連打に対しては、対抗できなかったようですが。連中は手札がなくても、マナさえあればガンガン出て来ますからね……いやさ恐ろしい。
 そういえば、どうせあまり意味もないので、指摘するのもどうかと思ったんですが……《ノーブル・エンフォーサー》がジェネレートされているため、ミル側もパワー2000以下のクリーチャーは攻撃とブロックができないので、《ギラン》でブロック仕様とすること自体、無理なんですよね……《ジラホン軍曹》がいるので、《リアーナ》でブロックしようが、どの道アンブロッカブルに違いはないわけですが。
 それと、久々に通常《ニャンクス》を見ましたが、こいつのマナ武装も地味に強いですよね。自己強化はともかくとして、呪文限定アンタッチャブルを味方全体に付加するって、かなりのものですよ。《カンクロウ・ブラスター》の例があるので、意外というほどでもないですが、それでもやはり、強いですね。
 うーん……それにしても、今回のコトハの対戦は、緑単サソリスのようでありながら、イメンループのようでありながら、薫風武装のようでもあり、なかなかに不思議な動きでしたね。《サソリス》から《ボアロアックス》を出したと思ったら、《次元流の豪力》で《勝利のリュウセイ・カイザー》出してコストを水増ししますし、S・バックで《オチャッピィ》からの《ボアロパゴス》の効果を誘発させて《ジラホン軍曹》を出しコストを揃えて3D龍解したり。
 まあ、これが《ボアロアックス》らしい動きではありますけども。

 とりあえず、これで一度短編は終わり、本編が戻ってきましたが……うん、まあ、やっぱそんな空気になりますよね。
 そしてここでは、以前も仰っていましたが、ヒナタたちに増援のフラグが……なんかここに来て急に組織感出してきましたね、武闘財閥も。
 一方、レンの方は……あー、まあ、分かっちゃいましたけど、これは随分と酷くやられてますね、精神が。
 彼の不幸は今に始まったことではないというか、確かにこうして列挙すれば、ヒナタに対してレンの活躍ぶりはというと、なかなかに酷いものですね。あくまで、単純に列挙して比較すれば、ですけど。
 そしてねじ曲がっていく心……フォールダウンというか、ダークサイドというか、暗黒面がどんどん剥き出しになっていきますね、彼も。
 フォールダウンと言ったら、やはり最も注目すべきは、唐突に不法侵入してきたホタルですか。いやまあ、予定のある不法侵入なんてないですけど。
 そんなことはさておき、明らかに洗脳とかその手の類のなにかを受けているホタルですけど、なんか妙に艶めかしくなっていますね。モノクロ、結構こういう操られて蠱惑的になる、みたいな展開は好きです。なんかドキドキします。そんなことを言ってる場合でもないようですけども。

 そして、いよいよ二人の対戦に突入、と。レンはここ最近の対戦回数自体は増えて来ていますけど、結果は……
 とりあえずそれはさて置いて、ホタルのデッキはネクラカラーですか。色を揃えたら結果的にそうなっただけでしょうけど、種族的にはハンターが軸ですね。
 それに、二体の《ジャンヌ・ダルク》が揃う姿はやはり、神々しいです。一時期メカ・デル・ソルにちょっと嵌ってた時期がモノクロにもあったのですが(姫乃登場回あたり)、《ジャンヌ・ダルク》は勝利でも破滅でも、わりと好きなクリーチャーなので、少し嬉しいです。無論、作品としてはそんなことを言う暇はないわけですが。
 切り札の《キラー・ザ・キル》を呼び出して、《ジャンヌ》を破壊しても、《ジェラシー・シャン》が睨みを利かせているせいで殴りかかれないレン。スレイヤーって厄介ですね、本当。しかも除去耐性があるせいで、一回きりの確定除去も撃ちづらいですし。少数精鋭で、強力な切り札単騎で斬り込むことも多い革命編のエースアタッカーたちからすれば、スレイヤーブロッカーってなかなかに強力なんですね。
 そんな隙のうちにホタルが呼び出した《ハーシェル》……いやさ《ハーシェル・ブランデ》ですか。
 影は光が強ければ強いほど濃くなるもので、いくら光があっても必ず影も存在している、とはよく言いますが、ホタルとしては真っ黒に染まった闇よりも、光の影となる闇を選びますか。
 《ドラドルイン》は、いわゆるアイアン・メイデンがモデルのようですが、《串刺しの騎士》と言われてしまうと、やはり串刺し公が想起されますね……串刺し公ヴラド・シェペツ。血が取れないとか、貫くという表現から、もしかしたらこちらもモデルになっているのかもしれませんが。
 《ハーシェル・ディストーション》自体の能力は、運が絡むとはいえ場をリセットし、サルベージとシールド追加でアドバンテージはどうしたって失わないようにできているのが強力ですね。サルベージした数が多ければシールドが展開できないけども、その分クリーチャーが多く破壊できる。サルベージする数が少なく相手クリーチャーがあまり破壊できなくても、その場合はシールド追加枚数が多くなるため攻撃を防ぎやすい。いやはや、上手く噛み合わさってますね。こういう噛み合いのいい能力は好きです。弱点を補完し合う、とでもいうんですかね。
 さらには踏み倒し規制にダイヤモンド状態まであって、色んな能力がてんこ盛りですね。攻撃から防御から制圧まで、完璧ですか。その分、武装条件はやや厳しめに設定されているようですが。
 こうして、結局レンは敗れてしまいましたか。

 ただ、向こうも動き出したことで、事態も活発化し始めているようですし、ここがアヴィオールらとの最終決戦、という流れに乗ってきたようですね。
 まだ連中の詳細がいまいちよく分からないので予想は立てづらいですが、その分、どういった奇抜な展開が待ち受けているのかを楽しみにするとします。
 ではでは。

Act10:決戦へ ( No.184 )
日時: 2015/10/05 18:56
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

「しっかし奴さん、とうとう動き出しちまったみてえだけど、確実に町に被害は出るよな、これ!!」
「大騒ぎですよ、そんなことになったら!! ホタルやレン先輩は勿論ですが、他にも被害が出るかもしれない!!」
「やばいわね、そうなったら……!!」
「うるせー、うるせー! ちったぁ静かに出来ないのか、てめーら!」

 現在、ヒナタ達は迎えに来た武闘財閥のワゴン車で3区へ急いでいた。しかし。考えられる限り、確実に町に被害は出る。
 フジ様、と運転手が告げる。どうやら、もうすぐ着くようだ。
 住宅街である3区への被害は何とでも抑えなければならない。

「なぁ、さっきから空の色おかしくないですか、先輩」
「本当だな……まるで、シャボン玉の表面みてーにムラが出来てやがる」
「ねえ、あんたら何処を見てんのよ……」

 ——空にムラが出来ている、だぁ?
 フジは眉間に皺を寄せた。
 ——まずいかもしれねぇな、これは——!!

「おい、ガキ共!! 準備は出来——」


 ガコンッ!!


 巨大なワゴン車がゆれた。おかしい。平坦な道路を走っていたはずなのに。
 見れば、ワゴン車は急停止したようだった。

「おい、急ブレーキなんかかけてどうしたんだ!!」
「も、申し訳ありません、フジ様!! 窓の外を——!!」
「何ィ!?」

 見れば、そこには竜人のクリーチャーが車を押さえていた。《凶戦士 ザビ・クロー》だ。巨大な鉄の塊を受け止めるとは、改めてクリーチャーの馬鹿力を思い知る。

「うわあああ、車を止めに来やがったのかぁ!?」
「邪魔をするつもりね!!」
「此処はクレセントに任せてください!! 頼むぞ!!」
『うんっ! こんな奴、楽勝だよ!』

 車の窓を僅かに開けて、そこからクレセントのカードを投げた。
 すぐさま実体化した彼女は「せぇぇぇいっ!!」の一言で鉄槌をぶん回し、一瞬でザビ・クローを文字通り吹き飛ばす。
 
「ねえ! 此処、決闘空間に似てる気がするよ!」

 ふと、辺りを見回したクレセントが言った。

「はぁ? 此処は海戸3区だぞ? 只の街だぜ?」
「いや、あながち間違っていないぞ」
「え?」

 フジの言葉に、ヒナタは変な声が喉の奥から出た。

「そ、そんな、ここは現実世界ですよ?」
「いや、よく辺りを見てみろ。さっきお前らが言ったとおり、空が淀んでみえるが——それだけじゃねえ。俺様達以外の人っ子1人、居る気配が無い」
「じゃ、じゃあ、ここら一帯が本当に決闘空間みたいになっているんですか!?」
「フジ様。向こうと連絡を取ったところ、巨大な結界が3区に張られていることが分かりました」
「結界——? そうか。俺達は今、この街の別空間に隔離されたってところか」
「え? え? 閉じ込められたんですか?」
「いや、違う。むしろ”迎え入れられた”というところか」

 全く意味が分からない、という顔をするヒナタとノゾム。コトハでさえも、少し参っているようだった。
 まあ、どっちにせよ、だ、とフジは難儀しながら言った。

「今回の敵の誰かが、無関係者を巻き込むのを嫌ったみたいだってことだが——どうしてだ? 連中なら躊躇無く一般人を巻き込んでもおかしくはねえが」
「フジ様。再度、レーダーの反応に急ぎます」
「あ、ああ……頼む。それと、だ」

 助手席から振り向いたフジは、3人に呼びかけた。

「白陽——はまだ最後まで休ませておいて構わんが、クレセントとニャンクスを護衛につけてくれ」
「あ、はい! 頼まれてくれるか? クレセント」
「あたしはOKだよ!」
「ニャンクス、頼んだわ」
「了解ですにゃ!」
「ま、白陽はまだ寝てるしな……よっぽどだぜ、こりゃ」

 

 ***


 
 案の定、その後もクリーチャーは襲い掛かってきた。しかし。鬼の如き強さを持つクレセントと、薬で変幻自在の戦い方を持つニャンクスの敵ではなかった。
 そうこうしているうちに、ようやくレーダーの示した座標に辿り着いたのだった。

「どうやら、本当に招き入れられたって感じがしますね」
「本当、不気味ね……やっぱり罠なんじゃないかしら」
「何が相手だろうが、もう此処で退けないだろうが」
「おい、レーダーの反応は此処で合っているのか?」
「間違いありません。ですが——もう1つ。闇のクリーチャーの気配がこの区域の奥に潜んでいます」
「よし、まずは先に目の前の奴から——」

 と、フジが言いかけたそのときだった。

「ノゾム! 何か来るよ!」
「コトハ様! ワゴン車を下げさせてくださいにゃ!」

 次の瞬間。フジも嫌な予感がしたのか、叫んだ。



「バックだ!! 全速後退しろ——!!」



 きっ、とバックアクセルを踏む運転手。
 次の瞬間、黒い塊が目の前に落ちてくる。
 それを、クレセントが鉄槌、ニャンクスが強化された右腕で受け止めた。
 見れば、それは漆黒の体に黄金の鎧を身に纏った一角馬であったが——その姿はノゾムには見覚えがあった。

「ハーシェル……!?」

 その名を呼び、ようやく確信した。今目の前にいるのはハーシェルだと。
 そして、その背中に跨る少女。
 余りにも、それは厳しい現実を突きつける結果となってしまった。



「——ホタル——!!」



 しかし。自分の知っている彼女とは違い、今のホタルは目が暗かった。

「ホタルの奴——此処で本当に対峙することになるなんてな」
「あの子と戦いたくは無かったわね……」

 そして、彼女は軽薄な笑みをずっと浮かべていた。まるで、嘲笑うように。
 衝動的に、ノゾムはワゴン車を飛び出した。
 それをヒナタは「おい馬鹿、あぶねーぞ!!」と止めようとするが、もう彼は聞かなかった。

「先輩達は先に向かってください!! 近くにアヴィオールがいるかもしれない!! ホタルは、オレの同級生のことはオレに任せてほしい!!」
「だ、だけどな——!!」
「危険よ、ノゾム君!!」
「まあ、待て」

 それを止めたのはフジだった。

「お前ら。あいつの眼をよく見やがれ」
「で、ですがフジ先輩——、1人で行かせるのは危険すぎる!!」
「俺様はね、ああいう”覚悟”のある奴は嫌いじゃないぜ? お前もどうせ、レンを見つけたらアヴィオール相手に単騎で突っ込んでいくくらいの覚悟を持ってきてるんだろ? 人の事を言うんじゃねえ。少なくとも、俺様はお前がそこまでクールな奴じゃねえって知ってるぜ」
「くっ……!」
「男っつーのは、誰しもが蛮勇ってのを持ってんのさ。それが真の覚悟に昇華するか、それとも蛮勇のままかはそいつの成長次第よ」

 言われてみれば、そうだ。
 つい心配になって引き止めてしまったが、それは彼の覚悟を踏みにじることになるのではないか。
 自分が今朝言ったことと矛盾するのではないか。
 ヒナタは堪えた。

「分かりました。此処はノゾムに任せましょう」
「ちょっとヒナタ!?」
「俺らに水を差す無粋な権利はねぇよ」
「……もう! 男子って皆馬鹿なんだから!」
「そうだな。だが、逆に言えば馬鹿じゃねえと突破できねえこともあるから、男子はここぞって時に頼りになるもんだぜ。覚えときな、如月」
「先輩まで!」
「とにかく、アクセル全開!! もう1つのクリーチャーの場所に急ぐぞ!!」
「了解です。フジ様」

 小さくなっていくノゾムの背中を見ながら、ヒナタはひしひしと感じていた。
 ——無茶しちまうのは玉に傷だが……この少しの間に、随分と頼もしくなったもんだぜ!!
 後輩の成長を。

Act10:決戦へ ( No.185 )
日時: 2015/10/08 03:16
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

 ***


「ふふ……やっぱり来たんですね、ノゾムさん」
「アヴィオールの野郎……!! ホタルに何をしやがったんだ!!」
「そんなことはどうでも良いじゃないですかぁ」

 妙に艶やかな笑みを浮かべた彼女はノゾムに、静かに歩み寄った。
 何故だろうか。
 今の彼女は、とても危険な雰囲気を放っていた。

「ノゾム、気をつけて! 来るよ!」
「あ、ああ……!!」

 しかし。彼女は未だにデッキを出す気配が無い。
 戦う意思が無いと言うのか。

「ノゾムさん——私、貴方が好きです」
「あ?」

 いまいち、今の”好き”の意味が掴めないノゾム。彼に色恋沙汰を持っていっても無駄なのは、クレセントも知っていたので、こんな安っぽい手は通用しないと思っていた。
 しかし。次の瞬間、ホタルは一気に間を詰めた。慌てて、クレセントが彼に呼びかける。

「ノゾム!!」
「特に、純粋で闇を知らないところとか……!」

 次の瞬間。
 彼女は更にノゾムと間合いを詰めた。

「—————!!!」

 顔が、とても近い。眼を瞑った彼女の綺麗な顔が至近距離で、尚且つダイレクトに焼き付けられる。
 ——な、何考えてんだ!?
 ノゾムはこのときは、純粋にホタルが何を仕掛けてくるのか、そればかりを考えていた。何かの作戦か? と。
 しかし。
 彼女の行動は、彼の理解を超えていた。



「ノゾムさん。大好きですよ」



 拒む間もなく。
 彼の唇は、彼女の柔らかいそれを受け入れた。
 



 つまり——キスだった。




 —————!!
 一瞬、何をされたのか。全く分からなかった。
 しかし。ノゾムの明晰且つ優秀な頭脳は完全にフリーズした。動かそうとしても動かない。
 顔は真っ赤に染まっていく。まして、クレセントの前でこんなことをされたのだ。
 血がマグマのようの体の中を駆け巡り、もう何も考えられない。
 ——お、おれ、い、今何されて——柔らかいのがおれの唇にちゅっ、て——えええええーっ!?

「わーお……」

 と、クレセントの方も頬を赤らめていた。
 そのままノゾムはへなへな、と全身から力が抜けてその場にへたり込んでしまった。
 はっ、と我に返ったクレセントはノゾムに駆け寄った。

「ノゾム!? 大丈夫!? ……人間の女のコってすっごい大胆……」

 よく分からないところに感動しながらもクレセントは彼の様子を見たが、それ以外には異常は見あたらない。
 ホタルの意図が全く読めない。

「あ、あう、あう……」

 口をパクパク、とさせながら彼は放心状態になっていた。
 しかし。
 問題はそれだけでは終わらなかった。
 ——っ!?



「ごほっ!! げほっ、げえええーっ!!」



 直後。言葉にならない苦しみが、自分の喉の奥からこみ上げてくるのをノゾムは感じた。
 さっきまでの羞恥心など、全部かなぐり捨ててしまうほどに。
 ——何だこれっ!! 気持ちが悪いっ!! 胸の奥がずたずたにされていくようだっ!!

「げほっ、げほっげほっ!!」
「ノゾム!?」

 慌てて彼女は彼を抱き寄せた。
 一転、非常に気持ちの悪いものがこみ上げてくるのをノゾムは辛すぎる程に感じていた。
 それを吐き出さんと、追い出さんと体の防衛本能が”咳”という形で表面化したのだ。
 
「一体、ノゾムに何をしたのさ!!」
「あはは、やっぱり簡単に引っかかりましたね。今、私がノゾムさんにキスをしたときに、闇の力を肺に直接送り込んだんですよ。これは、相手の心の隙に付け込んで侵入する一種の病魔のようなもので、キスで頭はふらふら、そしてこれで体もふらふら」
「な、何て卑怯な……!!」
「卑怯も何も、踏み込んできたのは貴方達じゃないですか。アウェーはそっちだと思いません?」

 ——やられた!! 全部罠だったのかよ——!! 
 彼女はデッキを取り出した。ハーシェルが、カードとなってその中に吸い込まれていく。
 これにより、彼女の”武器”は完成した。

「さっき、純粋な貴方が好きって言いましたけど……もしも、闇に墜ちてくれたなら、私、もっと貴方が好きになっちゃいそうです」
「こいつ……!! まだノゾムを……!!」
「ま、待てクレセント、ホタルに非は無——げほっげほっ」

 にこにこ、と彼女は艶やかな笑みを浮かべた。
 
「ふふ……悔しいですかぁ?」
「ノゾムから、離れなさい!!」

 威嚇するように、クレセントが鉄槌を振り上げた。あくまでも威嚇だが、それ以上何か言われたら、本当に振り下ろしてしまいそうな剣幕だった。
 
「ねえ、ノゾムさん……もしも私が貴方に勝ったら、キスよりも凄いこと、しても良いですよね? 暗黒面に墜ちきって絶望した貴方を私が助けてあげますよ」
「はぁぁ!?」

 叫んだのはクレセントだった。
 キスよりも凄いこと、キスよりも凄いこと……。流石の彼女も顔が真っ赤になってしまう。
 ——駄目!! そんなの、絶対駄目!! ノゾムには早すぎる!!
 
「クレセントちゃんもまさか知らないわけじゃないですよねえ?」
「幾らあんたでも……ノゾムに変なこと吹き込んだら許さないわよ!」
「へーえ。でも、貴方如きが私達に勝てると思ってるんですかぁ?」
「思ってるに決まってるだろうが……!!」

 彼は、立ち上がった。
 喉の奥が酷く苦しく、まだ胸もばくばく言っている。
 しかし。


「”勝てるよ”って言われた勝負じゃなきゃ受けないような奴に、勝つ権利なんか元からねえってじいちゃんが言ってた……!! オレはお前らがどんなに強かろうが、このデッキの中のカード40枚と超次元の力をフルに使って勝つ!! それだけの話だ!!」
「はぁー。本当に馬鹿ですね、ノゾムさん。頭は良いはずなのに。貴方、力量差ってのも計算できないわけじゃないでしょう?」



 「ま、そういうところも含めて好きですけど」と色っぽく言ったホタルは、ハーシェルに目配せした。

「この黄金の鎧、そして完全に成長しきった凛々しい肉体、そして闇に染まった漆黒の魂!! 全てに於いて完全、そして完璧……!! これが、新しいハーシェルの力!!」
『ワシの力は最強……もう、ワシの罪と罰の力には、白陽も、ニャンクスも——そしてクレセント、貴様も太刀打ちすることは出来ぬ……!! 怯えろ、死の淵で……!! 我らの力、思い知るが良いわ!!』

 しかし。その言葉に対して吐き捨てるようにノゾムは反論した。
 そんなこと、納得してたまるものか、と。

「偽りの闇の力で得た姿なんざ、所詮は虚にすぎねえ……!! オレが暴いてやる、その闇の力の正体を!!」
「目を覚まさせてあげるんだから! あたし達の方が強いもん!」
「光あるところに影あり……光が強くなる限り、影もまた強く、濃くなる……誰の言った言葉だか知りませんけど、アヴィオールは私に確かに教えてくれました。そして私は惹かれたんです」

 まるで、最高の愉悦に浸るように彼女は言った。



「その光の影になるであろう”闇”に!! ああ、何て禍々しいんでしょう……美しくて、強くて、もう最高じゃあないですか……!!」

  
 
 なら、と彼は負けじと言った。



「オレは、その闇の力をお前から引き剥がす!! 絶対に、今度もお前を助け出してやる!!」


 
 こんなホタルは見たくは無かった。しかし。彼女がアヴィオールに操られているなら、それを断ち切るのは自分の使命だ、と彼は決意した。体はふらふら、心も正直まだ動揺したままだが、それでも彼の意思は揺るがなかった。
 最後に、と彼女は告げた。



「こんな罠に本当に引っかかってくれてありがとう、と礼を言いますか——ノゾムさん」



 そして次の瞬間。
 黒い靄と共に、決闘空間が開かれた——

Re: デュエル・マスターズ D・ステラ ( No.186 )
日時: 2015/10/05 03:07
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

モノクロさん


どうも、コメントありがとうございます。
ああ、よかった。ラストストームの後の奇奇怪怪だったので、少々インパクトが薄れると言いますか、地味なんじゃないかと気にしていたんですよ。気に入ってくださったなら幸いです。
また、コトハ側もコトハ側で、どうやって勝たせるか相当難儀したのですが、結局こういう形に落ち着きました。ありがとうございます。
今回の彼女のデッキは、結局サソリスボアロなのか、イメンループなのか、薫風武装なのか、自分でも分からなくなりましたが、こういうデッキということで容赦ください。
初めて、味方として通常ニャンクスを出しました。今回はドーピングこそ使っていませんが、作者としてもこいつは強力だと思っています。
《ボアロアックス》から、こいつが出てくる恐怖よ。

楽しい楽しい短編の次は、笑顔の絶えないにこにことした本編の始まりです。はい、案の定こうなりました。
彼の不幸は前作1話からなんですよね、思えば。列挙すれば列挙するほど、彼が酷い目に遭っているのが分かります。そりゃこうなるわ。
フォールダウンしてダークサイドに走っていく彼の行く末は如何に。まあ、この辺は最近の自分の心境からも描いていった場面ではあるんですよね。辛い目に遭うと、どうしても自分だけが、自分だけが、という思いに囚われがちですからね人間。
明らかに洗脳を受けているホタルですが、やはりそう思いますか。洗脳されて蠱惑的になるのって良いですよね。というか、前の短編もそれを意識しようと思ったんですけどね。
いや……そうじゃなくて、いや合ってるけども。それに触発された結果がこの最新話だけども。
唐突に不法侵入……本当、どうやって入ってきたんだろうね、ホタル。まあ、そこはクリーチャーの力、呪文の力云々で片付く範囲ではありますが。

さて、最近は短編で勝ちまくってたレンですが、はい結果はお察しの通りです。正直、自分としても彼を負け続けさせるのは気が引けたんですけどね。
まず、ホタルのデッキはその通り、ネクラです。手札補充もマナも伸ばせて、案外良いんじゃないかと思います。手札は数より質だよドロマー。
2種類の《ジャンヌ・ダルク》は1回やってみたかったんですよ。
2体とも種族を生かせばかなり強いはず。
更に、書いてて《ジェラシー・シャン》の強さにも気付きました。
そして、今回の最大のポイントである《ハーシェル・ブランデ》は、今までの連中と違って除去耐性を持ちませんが、一度武装してしまえば、シールド尽きぬ限りアドを取りにかかるおっそろしいカードです。まあ、除去耐性欲しいなー、と思う場面もあるわけですが。
そして、他の効果も強烈。まさに仰せる通り、攻守、制圧において隙がありません。まさに敵に破滅あるのみ、なカードです。
尚、《ドラドルイン》のドラドはスペイン語で金色、ルインには破滅という意味もあります。まさにアイアンメイデンなネーミングということで。武装の際も、武装元のクリーチャーを、その棘で処刑していますし、やっぱ恐ろしい。
そして、《ハーシェル・ディストーション》の名前の由来は正しく串刺し公です。劇中でもレンのクリーチャーを尽く虐殺して、串刺しの騎士の名に恥じない戦いっぷりを見せています。
ハーシェル自体も、前世で人々を皆殺しにしていますしね。こいつ、やっぱり怒らせたらいけない類のクリーチャーなんですよ、一応。
武装条件厳しめなんですけど、実は結構並べること自体は難しくないっていうね……。光と闇ってだけで、制限ないですから……。
また、その能力もシールドが無ければ殆ど意味を成しませんからね。やはり、シールドを何が何でも守らなければいけないという欠点はあります。その上でクリーチャーも揃えなきゃいけない。困ったもんだ。と、バランスは取れているはずです。
それでも凶悪なことには変わりありませんがね。シナジーが無いとはいえ、強力な効果をぶっこんだクリーチャーなので。

そんなわけで、動き出した最終決戦。今後の更新に乞うご期待です。それでは、また。


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