二次創作小説(紙ほか)
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- デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
- 日時: 2017/01/16 20:03
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。
また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。
”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”
『星の英雄編』
第一章:月下転生
Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25
第二章:一角獣
Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48
第三章:骸骨龍
Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73
第四章:長靴を履いた猫
Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114
第五章:英雄集結
Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204
『列島予選編』
第六章:革命への道筋
Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦
Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261
Act8:次なる舞台へ
>>262
第七章:世界への切符
Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352
『侵略世界編』
第八章:束の間の日常
Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393
第九章:侵略の一手
Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416
第十章:剣と刃
Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444
短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。
短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65
短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103
短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126
短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156
短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176
短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422
エイプリルフール2016
>>299 >>300
謹賀新年2017
>>443
登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします
オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。
お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新
- Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜 ( No.387 )
- 日時: 2016/09/24 00:17
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
「着いたぞ」
海戸地区の離れ。車で10分程の場所に海戸水産工場はあった。
以前はアンカが根城にしていたが——今回、その反応はない。
その代わり——今回は、光と闇の巨大な反応が辺りを支配しており、放置することは最早出来なくなっていた。
立ち入り禁止のテープを掻い潜ると、臭い匂いが鼻をつく。これは腐臭だ。かつて、水産工場だった頃の名残なのか、それとも——
「此処が廃棄されたのはとっくの昔、今の海戸ニュータウンが完成する前のことだ。にも拘らず——なぜだ?」
「うえ、気持ち悪い……」
入口からノゾムは工場の内部を覗き込んだ。荒れ切っている上に、明かりも無く、暗い。そしてやっぱり臭いモンは臭い。
「……先輩、これ中に入れるんすかねェ……?」
「いや、入れるはずだぞ——」
ぽん、とフジはノゾムの背中を押した——
「どわいい!?」
驚いたようなノゾムの声は——途中で吸い込まれるようにして消える。
「こ、これって」
「大規模な決闘空間がすでに中で展開されている。奴が力を付けている証拠だ」
「ともかく、俺達もノゾムに続くっきゃねぇみてーだな」
「そうですね!」
「続くっていうか、無理矢理押し出されたように見えたんだけどあの子……」
「コトハ、僕達も行くぞ」
「はいはい……」
***
なるほど、確かに中は決闘空間が広がっていた。
しかし——それ以上に、異質だった。
あちこちに黒い血がこびり付いているが——何よりも、ポッドのような機械があちこちに置いてある。
また、中央には巨大な装置があるものの、既に稼働を停止しているようだった。
「これって、研究施設か何かか?」
『いいえ。この工場全体に張り巡らされた決闘空間そのものが、アルゴリズムが精製した装置です。大量の血液を、仮死状態にしていた人たちから殺さないようにして吸い取っていたんですよ。そして、合成させ、魔力を混ぜたものが——アルゴ・アヴィオールという傀儡を動かすエネルギーとなった』
「アヴィオール……」
『いわば、この工場は——血液の永久機関とでも言っておきましょうか。奴は、生物を魂状態にして保存する能力を持っていたので、それで多くの人間をかき集めたわけでしょう。多くのマナを集める為、なるべく多くの人間が必要だったわけです——負の魂を抱えた人間をね。もっとも、此処がバレたあと、すぐ放棄する羽目になったようで、監禁した人々を全て魂にして保存していたようですが』
ホタルはぞっとしなかった。
あの戦い——もしもノゾム達が負けていれば、自分も、レンもアルゴリズムの作り出した血みどろの機関の1つに組み込まれかねなかったのだ。
『そしてドラドルインは、この機関によって生み出された産物と淡島ホタル、そしてハーシェルの心の闇を組み合わせて作られたステラアームド。本当にロクなものじゃないですねぇ』
「気持ちが悪いわね、なんていうか空気が……本当、此処でそんなことが行われてたって思うと……怒りが込み上げて来るわ」
「本当、許せねえな……」
「先輩も、っすか。オレも今、すっげー胸糞悪い気分っすよ」
「ったく、もっと早くこの場所に気付いていれば良かったんだけどねぇ……決闘空間で閉じられていた訳か」
口々に言いながら、ずんずん、と工場を突き進んでいく。
そんな中でホタルも、口にはしなかったが、何とも言えない感情を抱えていた。
……さて、近付くにつれて、どんどん、反応は大きくなっているらしいが、他のクリーチャーが潜んでいる気配は感じられない。
一応、クレセント、ニャンクス、ハーシェル、白陽が周囲の警戒に当たっているが——地図によると、あの大扉の先に巨大な反応があるという。既に稼働が停止した生産ラインを通る中——全員は黙り切っていた。が、
「ホタル」
「は、はい! 何でしょう、レン先輩」
しばらく続いていた静寂は、レンのホタルに対する問いかけで途切れることになる。
「貴様はドラドルインのことをどう思う?」
「ドラドルインのことを、ですか——?」
「そうだ。少し気になってな」
ホタルは、俯いた。
ノアは——彼女の事を不良品と言っていた。呪われたステラアームドと言っていた。
自分も現に、散々に痛めつけられた。自分の姿で悪さをされた怒りもある。
しかし、それ以上に——
(いつまで綺麗事で固めて嘘をつき続けるつもりなのかしら。そんな貴方から生まれた私は——貴方のことが大嫌いなのよ)
(仲間など最初からいなかった。全部、お 前 の 妄 想 だ っ た)
(さっき言った不良品のステラアームドと違って、暴走は起きないようになっているからね!)
——ホタルは押し黙った。
やはり、単純に憎み切れる存在ではない。
彼女もまた、自分の一部であり、自分から生まれた存在であるなら——
『ヌシだけではない。ワシも同じじゃて』
「ハーシェル」
『奴はヌシであり、そしてワシでもあるのだから——』
「そうですね。彼女もまた、私の一部分。私です。だから——放ってはおけないです」
「まあ、そこに気付いているのならば、何も言う事はない」
『そうですねえ。まあ、精々もがいて悩んで結論を出してくださいな』
「それに——とうとう、来たらしいぞ」
ぴたり、と全員の足が止まった。
「おいおいレン……てめーらが無駄口叩いてるから、敵さんやってきちまったじゃねえか」
「そうかそうか貴様はそういうやつなんだな、馬鹿め。元から正面突っ切ってカチ込んでいるのだ、今まで音沙汰無しだったのがおかしかったのだよ」
「あーもう! 今そんなこと言ってる場合!?」
「先輩たちはブレねぇっすね本当……」
「見えたぞ……よーやっと来やがったみてーだな」
見れば——虚空に、5つの影が浮かぶ。
それぞれ、《光器ペトローバ》、《光器 パーフェクト・マドンナ》、《光器セイント・マリア》、《天国の女帝 テレジア》、《天雷龍姫 エリザベス》——全てメカ・デル・ソルだ。
「ホタル!」
「は、はい!」
「此処はオレ達に任せろ! 先に行ってな!」
「ノゾムさん、それすっごい死亡フラグです!?」
ぐっ、と如何にも死にそうなセリフをドヤ顔で言い放つノゾムを心配するホタル。
しかし——ドラドルインを止められるのは自分しかいないのだ。
全員、やる気だ。ノゾム達は、言葉もなく襲い掛かってくる光器達に大立ち回りを演じる気なのだ。
『よし、いっくよノゾム!! 暴れるぞー!!』
「決闘空間を開くまでもねぇ!! ぶっ飛ばすぜ、クレセント!!」
『やるとするか。ヒナタ、準備は出来ているな』
「誰に向かって言ってんだよ。いつでも良いぜ!」
『コトハ様! 僕達もいきますにゃ!』
「ええ、パワーで劣るならあたし達は決闘空間で勝負するっきゃないわね!」
「俺様もそうなるな」
『さて、全機撃墜といきますかねぇ。こないだの汚名返上といきますか』
「汚名挽回にならないよう気を付けるんだな、アヴィオール」
『心配はご無用。それとハーシェル』
アヴィオールは、最後にハーシェルに呼びかける。
『特訓の成果——はともかく、ご武運を願っていますよ』
『……ああ、感謝じゃよ——アヴィオール』
「ホタル!! 貴様の実力、存分に奴に見せてやれ!!」
「はい! 先輩!」
もう迷いはない。
この先の扉に——彼女は、居る。
「ハーシェル!!」
『御意!!』
その声と共に、鋼の扉は打ち壊された——
- Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜 ( No.388 )
- 日時: 2016/09/25 00:17
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
鉄の扉をこじ開けた先には——少女が佇んでいた。
まるで、待っていたかのように。再び、この手で彼女に成り替わろうとする存在として——
「……やはり来たのね」
「……ドラドルイン……!!」
ホタルの姿のドラドルインは、残虐な笑みを浮かべると、何かが天井から降ってきた。
それは——邪悪なる一角獣、ハーシェル・ブランデだった。彼女の力が完全になるにつれ、まやかしに過ぎないはずのこの獣も、徐々に真なる魔獣へとなりつつあるのだ。
「オリジナルは私……貴方の根源たる感情より生まれ出でた私こそが、淡島ホタルに相応しいのですわ……ふふふ、おほほほほ」
「確かに、貴方は元々私の心に巣食っていた負の念……私の言わば悪い面の根源が具現化した存在……」
『ワシらがワシら自身で忌むべきところが、具現化したようなもんじゃからのう』
だからこそ、とホタルは一歩踏み出し——彼女に”伝える”。
「……私は、貴方のことがほっとけない!!」
次の瞬間——黒い靄が現れる。
そして、2人と2体は決闘空間に包まれたのだった——
***
ホタルとドラドルインのデュエル。
ホタルは1ターン目からクリーチャーを展開していき、《予言者クルト》で早くもドラドルインのシールドを1枚、ブレイクすることに成功する。
《ハーシェル・ディストーション》の対策として、ノア戦に引き続き、ホタルはコスト踏み倒しを光単連鎖程使わない《サザン・ルネッサンス》を中心にしたデッキを使用していたのである。
その一環で、序盤の《ヘブンズ・ゲート》を威圧するために《オリオティス》も2ターン目から出していたため、安心して殴ることが出来たものの——
「《墓守の鐘 ベルリン》召喚。ターンエンドよ」
ドラドルイン:山札28 手札5 マナ0/2 墓地0
ブロッカー、《ベルリン》の登場で迂闊には殴れなくなってしまった。
これにより、ウィニーでの攻撃をホタルは躊躇してしまうことに。
「……これは困りましたね……でも、まだまだです! 私のターン、ドロー!」
カードを引くホタル。序盤からビートダウンして、《ハーシェル・ディストーション》の弾を減らす、または出される前に倒すという線は薄くなってしまうものの、想定内だ。
そのまま、3枚のマナをタップした。
「3マナで《信頼の玉 ララァ》を召喚! ターンエンドです!」
今度は、光のコマンド・ドラゴンのコストを最大で2減らす《ララァ》を彼女は繰り出した。
すでにプランは出来上がっている。
そして——《オリオティス》がいる以上、相手は早期に大型を踏み倒すことが出来なくなっているのだ。
まだ、恐れることはない。
ホタル:山札28 手札1 マナ0/3 墓地0
「……私のターン、ドロー。3マナで《コアクアンのおつかい》を唱えるわよ。山札の上から3枚を捲り、光と闇のカードを手札へ」
一方のドラドルインは、更に手札を整えるつもりらしい。
捲られたのは《光器 パーフェクト・マドンナ》、《フリーズ・チャージャー》——そして、《ハーシェル・ブランデ》の3枚だ。
「おーっほっほっほっほ!! 3枚とも、光と闇のカードだから手札に加えますわ!! ターンエンド!!」
ドラドルイン:山札24 手札6 マナ0/3 墓地1
見えたのはチャージャー呪文。
これで彼女はマナを増やすつもりなのだろう。
しかし、ホタルの方が一手先だ。既に、キーカードを出す準備は整っている——
「私のターン——行きますよ! このまま攻めます! シンパシーで3コスト、《ララァ》の効果で2コスト軽減して——2マナで《共鳴の精霊龍 サザン・ルネッサンス》を召喚!!」
共鳴の精霊龍 サザン・ルネッサンス VR 光文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 7000
ブロッカー
シンパシー:光のコスト3以下のクリーチャー(このクリーチャーの召喚する時支払うコストは、バトルゾーンにある自分の光のコスト3以下のクリーチャー1体につき1少なくなる。ただし、コストは1より少なくならない)
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある自分の光のコスト3以下のクリーチャー1体につき、カードを1枚引いてもよい。
W・ブレイカー
現れたのは、黄金の鎧に身を包み、槍を掲げた精霊龍の指揮官。
小さきもの達と共鳴を繰り返し、彼の龍はより迅速に戦場へ駆けつけた。
「その効果により、私の場にあるコスト3以下のクリーチャーの数だけカードを引きます!」
場には、《クルト》に《オリオティス》、そして《ララァ》の3体。これにより、ホタルが引くカードは——3枚だ。
一気に手にカードが戻ってくる。
しかし、ホタルはさらに展開をしていく。
「そして——残る2マナで、もう1体の《サザン・ルネッサンス》をバトルゾーンへ! 効果でもう1回、コスト3以下の光のクリーチャーの数だけカードを1枚引きます! 3枚、ドロー!」
とはいえ、場には《ベルリン》が居る。
攻め込むのは次のターンからになりそうだったが、今の手札を合わせてみても、余裕がありそうだ。
「ターンエンドです!」
ホタル:山札21 手札5 マナ0/4 墓地0
場にはパワー7000のブロッカーである《サザン・ルネッサンス》が2体。更に、《オリオティス》、《ララァ》、《クルト》の3体が揃い踏み。
1ターンで盤面と手札のアドバンテージを増やしたホタルは、序盤を上手く運べていると言えた。
「私のターン」
しかし、ドラドルインはそれにも動じた様子が無い。
それもそのはず——彼女もまた、この盤面を覆すカードを手に握っていたのだから。
3枚のマナをタップすると、静かに、そして残酷に女神は微笑んだ。
「呪文、《オリオティス・ジャッジ》」
次の瞬間。
天から光が降り注いだ。
ホタルは思わず、眩いそれに目を覆ってしまう。
しかし——再び目を開けた時、2体の《ルネッサンス》は忽然と場から消えていた。
「こ、これは——!!」
「おほほほほほほほ。《オリオティス・ジャッジ》の効果発動。互いのマナゾーンの枚数以下のコストを持つクリーチャーは全て、持ち主の山札の一番下へ送られるのですわ!」
オリオティス・ジャッジ R 光文明 (3)
呪文
S・トリガー
各プレイヤーは、自身のマナゾーンにあるカードの枚数以上のコストを持つクリーチャーをすべて、好きな順序で自身の山札の一番下に置く。
不正は許さない、《オリオティス》の不屈の意志を感じられるこの呪文。要は序盤にコスト軽減やコスト踏み倒しで現れたクリーチャーを一挙に処理することが出来る強力なカードだ。
——コスト踏み倒しのみならず、コスト軽減まで封じて来るとは……私の動きを徹底的に妨害するつもりですね……!
「ターンエンドですわ」
ドラドルイン:山札23 手札5 マナ1/4 墓地2
「……私のターン——!」
カードを引くホタル。《オリオティス・ジャッジ》の存在がある以上、こちらもマナチャージをしないわけにはいかない。
幸い、先ほどの《ルネッサンス》2体のおかげで手札は大量にある。
後は、更に大量展開するための布陣を整えるだけだ。
「《ララァ》でコストを軽減して、5マナで《真・龍覇 ヘブンズロージア》を召喚!」
次の瞬間、超次元への門が開く。
そして、8枚のカードの中からホタルが選び取ったのは——
「その効果で、私は《太陽槍 ラヴァリテ》を超次元ゾーンで《白夜教会ブランノワール》に2D龍解させ、フォートレス状態でバトルゾーンに出します!」
- Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜 ( No.389 )
- 日時: 2016/09/29 07:00
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
白夜教会 ブランノワール P 光文明 (4)
ドラグハート・フォートレス
自分の光のクリーチャーが攻撃する時、コスト3以下のクリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
龍解:自分のターンのはじめに、バトルゾーンに自分の光のクリーチャーが4体以上あれば、このドラグハートをクリーチャー側に裏返し、アンタップしてもよい。
現れたのは、永遠に訪れない夜の教会。
闇を照らすかのごとく、それは突如、宙に現れる。
自分の光のクリーチャーが攻撃するたびに更に増援を送れるこのカードであるが、更にターンはじめに光のクリーチャーが4体以上あれば龍解するという代物だ。既にホタルの場には、4体のクリーチャーがある。次のターンの始めまで、何もなければ、龍の要塞はその真の姿を現す。
そのまま彼女はターンを終えたのだった。
——次のターン、《ジャッジ》か別の呪文で《ロージア》が除去されても、更に展開出来るので問題ないです! むしろ、この子は龍解しない方が展開力は高いですし……。
ホタル:山札22 手札4 マナ0/5 墓地0
「私のターン、ドロー」
カードを引くドラドルイン。
此処で彼女がどう動くか——それに懸かっている。
「呪文、《魂と記憶の盾》——その効果で《オリオティス》をシールドに封じ込めますわ」
「ッ!!」
魂と記憶の盾(エターナル・ガード) VR 光/水文明 (3)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
進化ではないクリーチャーを1体選び、裏向きにして、新しいシールドとして持ち主のシールドゾーンに置く。
※殿堂入り
次の瞬間、凄まじい魔力が《オリオティス》に襲い掛かる。
成すすべ無く、白翼は魂もろとも盾となって封じ込められた。
これにより、ドラドルインは自由にクリーチャーを踏み倒せるようになったと言える。
「ターンエンド」
ドラドルイン:山札22 手札5 マナ0/5 墓地3
「……っ私のターン——でも、これでシールドを更に削っていきます!」
カードを引くホタル。
そして——再び、5枚のマナをタップした。
「闇を制圧してこの世界から悲しみを消してください——《支配の精霊龍 ヴァルハラナイツ》!」
現れたのは、支配を司る精霊龍。
それは再び、ホタルに力を貸すために現れたのだ。
「……もう1度私に、力を貸してください——《ヴァルハラナイツ》!! 《ヴァルハラナイツ》の効果で《ベルリン》をフリーズします!!」
「っそいつは……!!」
「そして、《ヘブンズロージア》で《ベルリン》を攻撃——するときに、手札から《ティグヌス》を出します!」
さらに軍勢を増やし、今度は《ヘブンズロージア》が《ベルリン》を槍で突き貫く。
「このまま、シールドを叩き割ります!! 《ララァ》で攻撃——するときに、《ブランノワール》の効果発動!! これで、手札から《牛歩の玉 モーギュ》を出します!」
此処でドラドルインは、トリガーで《ヘブンズ・ゲート》が出したとしても《ヴァルハラナイツ》と《ブランノワール》のコンボによって致命打を受けるのは間違いないだろう。光のクリーチャーが攻撃するたびにコスト3以下の光クリーチャーが手札から現れ、そしてこちらのクリーチャーはフリーズされていくのだから。
しかし。
「S・トリガー、発動——!!」
割られた盾は、光となって収束する。
「《ヘブンズ・ゲート》!! 効果により、《勝利の女神 ジャンヌ・ダルク》に《天国の女帝 テレジア》をバトルゾーンへ!!」
「なっ!?」
次の瞬間、天空に門が開いた。
そこから——2体の光器が舞い降りる。
同時に、光が《ヴァルハラナイツ》と《ティグヌス》を縛り付けた。
ホタルは戦慄する。よりによって、このタイミングでトリガーを踏んでしまとは——と。
「おほほほほ……これでもう、攻撃は出来ないでしょう」
これ以上の攻撃は旨みが無い。《ジャンヌ・ダルク》でブロックされれば、せっかく出したクリーチャーもタップされて出てしまう。
もう、ホタルに出来ることはなかった。
「……っターンエンドです」
ホタル:山札21 手札1 マナ0/6 墓地0
此処で《ヘブンズ・ゲート》を踏んでしまうとは思わなかった。
少々勇みすぎたか、とホタルは自分の行動を悔やむ。しかも、こちらのクリーチャーがタップされたことで、攻め手も途切れてしまったのだ。
「私のターン——ターンの始めに、《惨劇の一角星 ハーシェル・ブランデ》を《テレジア》の効果でバトルゾーンへ!!」
天国の女帝 テレジア VR 光文明 (8)
クリーチャー:メカ・デル・ソル/ハンター 8000
ブロッカー
自分のターンのはじめに、「ブロッカー」を持つ光のクリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
W・ブレイカー
とうとう、現れてしまった。
邪悪に染まるバトルゾーン。そして、禍々しくも雄雄しい一本角。光と闇のマナを纏い、魔方陣と共に現れた。
それは、まさに負の化身、血の化身、破滅の化身——《ハーシェル・ブランデ》が地獄の門より現れる。漆黒に染まった体に黄金の装甲を身に纏った猛々しくも邪悪な一角馬だ。
そして、更に後に続くようにして——目の前の、ホタルの姿をしていたドラドルインの体が歪んだ。
「《ハーシェル・ブランデ》の効果により——超次元より、U・コアを持つステラアームド・クリーチャーを1体、バトルゾーンへ……!! 勿論、出るのはこの私、《鋼神姫 ドラドルイン》ですわ!!」
ピキピキ、と皮が剥げ落ち、そして鋼で構成された鋼鉄の処女が姿を現す。
そこに血は通っておらず、ただただ咎人の血を求めるのみ——慎ましく、そして悍ましく、それは佇んでいた。
鋼の門に艶やかな女体像が伸びたそれは、一見すれば美しい。
だが、変わらずその門は絶えず開閉しており、拷問と処刑を司るクリーチャーであることを意味している。
「そして私は、《光器パーフェクト・マドンナ》を召喚ですわ! これで場には、5体の光と闇のクリーチャー!! 次のターンのはじめに、私は武装することが出来る!! 手始めに——《テレジア》で《ヴァルハラナイツ》を攻撃して破壊ですわ!」
法衣を纏った光器が、支配の精霊龍を一瞬で打ち砕く。
「《ドラドルイン》の効果発動!! 自分の光か闇のクリーチャーが攻撃、またはブロックしたとき、相手の手札を1枚選んで破壊ですわ!」
「……っ残念でしたね、《ティグヌス》の効果で私の手札は捨てられません!」
「あら。それもそうでしたわね。では、《ジャンヌ・ダルク》で《ヘブンズロージア》を攻撃ですわ!! 効果で《クルト》をタップ!!」
今度は、勝利の女神による熾烈な熱線が《ヘブンズロージア》を焼き切る。
これにより、ホタルの主力カード2体は破壊されてしまったのだった。
「ターンエンド、ですわ」
ごくり、とホタルは息を呑む。
今の彼女の手札には、《ダイヤモンド・ソード》があるものの、今この状況を打開出来るものではない。
この圧倒的な軍勢を前にして——再び、ホタルは押し潰されそうになっていた。
『ホタル』
声が聞こえた。
ハーシェルのものだ。
優しく、包み込むような——そんな声に、震えていた手が収まった。
「……ハーシェル。私は弱い自分が、卑怯な自分が、矮小な自分が嫌いでした」
『ワシもじゃ、ホタル。傲慢で、卑俗で、小心者の自分が何よりも嫌いじゃったよ』
「でも——それも含めて、全部私、なんですよね。それをノゾムさんたちと一緒に関わるうちに分かっていたはずなのに——何で忘れてたんでしょうか」
『……さあのう。ワシらは本当、光なんてものからは外れた愚か者じゃわい。だが、そんなことは関係ない』
「そうです。私達がやってることは、信じてきたものは——間違ってなんかなかった」
それは、仲間達が、先輩達が証明してくれた。
迷わずカードを引く。
そこには——思った通り、彼の姿があった。
「……それにハーシェル。誰が何と言おうと、貴方は私の騎士(ナイト)ですよ」
『……ああ。ワシが悩む必要などない。ヌシが決めたことだ。ワシは——後悔しておらんよ。むしろ、居場所をくれたヌシに感謝すらしている』
「なら——行きましょうか、ハーシェル」
『……御意』
ハーシェルのカードが光った。
そして——新たなる姿となり、産み落とされる。
「……私のターン、7枚のマナをタップして——召喚」
迷わず、手札のカードをマナゾーンに置き、7枚のマナをホタルは生み出した。
「——純潔と誠実の一角獣よ、今こそ私の命の下に顕現しなさい!
召喚、《純白の騎光星 ハーシェル・シュヴァリエ》!」
- Act7:武装・天命の騎士 ( No.390 )
- 日時: 2016/09/29 07:02
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
場は一瞬、大きな光に包まれた。
そして——そこには、猛々しい角を携えた、雄大な一角獣の姿があったのである。
白金の鎧に身を包み、純白の毛皮は触れることすら躊躇するほど美しい。
周囲には2体の衛星が浮かんでおり、常に彼を守っている。
「……ハーシェル」
自分の知っている彼よりも、今目の前にいる彼はとても大きく成長していた。
黄金の鬣を靡かせ、一息つくといつもの口調で彼は呟く。
『やっと、この姿に戻れたか……長かったのう、随分と』
しかし、そこに何処かあった幼さはもう無い。
老練とした、頼もしい一角馬がそこにあった。思わず、見惚れてしまう。
これが、純潔を司る聖なる獣の真の姿だったのだ。
「いきますよ。《ハーシェル・シュヴァリエ》の効果で、超次元ゾーンからU・コアを持つクリーチャーを1体、バトルゾーンへ!」
超次元の門が開いた。
そして、そこから聖なる乙女が姿を現す。
白き翼を連ね、銀色のランスを握る戦乙女だ。
「出てきなさい、ステラアームド・クリーチャー、《聖印の翼 アーク・ルミエル》!!」
「っ……だけど、《ハーシェル・ブランデ》の効果で破壊ですわ!」
ステラアームドを出したものの、《ハーシェル・ブランデ》には、相手がコストを支払わずにクリーチャーをバトルゾーンに出したとき、そのクリーチャーを破壊するという効果が付いている。
すぐさまそれを見過ごさず、突貫するが——
「《ルミエル》の効果発動です!」
次の瞬間、《ルミエル》はその姿を晦ませ、《ハーシェル・ブランデ》の一突きを避けきる。
そして、ホタルは自身のシールドを1枚選んで、手札に加えた。
「こ、これは——!?」
「《ルミエル》は、エスケープ持ちのクリーチャー。破壊される代わりにシールドを1枚、手札に加えます!」
「ッ……小癪な!!」
「ターンエンドです」
淡々、と彼女はターンの終了を宣言する。
エスケープ。即ち、それは破壊されるとき、代わりに自分のシールドを手札に加えるという能力だ。
しかし、いきり立ってドラドルインは叫ぶ。
「それがどうしたというんですの!? 私はすでに、武装の条件が整っていてよ!!」
次の瞬間。ドラドルインの門がガバァッ、と音を立てて開いた。
そこへ、《ハーシェル・ブランデ》が飛び込み——重い音を立てて、閉じた。
『これで……これで終わりにしてやる……!! ターンの始めに場に、光と闇のカードが5体以上あるとき——この私は星芒武装する!!』
女体像が崩れ落ち、門は鎧となり、腕が生え、巨大な甲冑が現れる。そして暗黒の騎士としての姿を象っていく——それは、破滅の騎士の光臨を意味していた。
「《串刺しの騎士(レイニーズデイ) ハーシェル・ディストーション》、武装完了!!」
現れた最悪の根源にして、血の化身は大きく吠えた。
血みどろのランスを掲げ、自らのシールドを薙ぎ払い、《ハーシェル・ディストーション》と化したドラドルインはその槍に憎悪の力を貯め込んだ。
「《ハーシェル・ディストーション》の武装時効果により、我がシールドを全て墓地に置き——その中のクリーチャーを回収!!」
回収されたのは——《クイーン・アルカディアス》と《強欲ジェラシー・キャン》だ。
そして、その数だけ憎悪の槍がホタルのクリーチャーを襲う。
「ッでも、U・コアを持つクリーチャーは《ルミエル》の効果でクリーチャー効果では選ばれませんよ!」
「ならば《ハーシェル・ディストーション》の効果で、《モーギュ》と《ティグヌス》を破壊!!」
その槍によって、惨殺されていくクリーチャー達。ぐっ、と吐き気をこらえた。
——ごめん、《ティグヌス》、《モーギュ》……!!
しかし惨劇はこれだけでは終わらない。
「《テレジア》の効果で、手札から《ジェラシー・キャン》を召喚! 更に6マナで《クイーン・アルカディアス》に進化——!!」
これで、多色以外の呪文も封じられる。
「そして、《ディストーション》の効果で、すべてのクリーチャーの攻撃制限は解除され、召喚酔いも解除される!!」
殺戮体制。
これに尽きた。
今、ドラドルインの場には《ハーシェル・ディストーション》と《テレジア》、《ジャンヌ・ダルク》、《パーフェクト・マドンナ》、《クイーン・アルカディアス》の5体が居る。
対するホタルの場には、《ハーシェル・シュヴァリエ》と《ルミエル》、《ララァ》が居るものの——大打撃を受けるのは間違いないし、ホタルのシールドは残り4枚しかない。
更に、《ディストーション》と《クイーン・アルカディアス》の効果でS・トリガーや革命0トリガーは実質封じられたようなものなのだ。
「《ジャンヌ・ダルク》でシールドを攻撃!!」
「《ハーシェル・シュヴァリエ》でブロック!!」
《ハーシェル・シュヴァリエ》のパワーは8000。一方的に《ジャンヌ・ダルク》を突き貫き、破壊することに成功する。
しかし、これで残るブロッカーは《ルミエル》のみになってしまった。
「《ハーシェル・ディストーション》でシールドをT・ブレイク!!」
「《ルミエル》でブロックします! エスケープで破壊を回避!!」
突貫する暗黒騎士だったが、再び姿を消した《ルミエル》は槍を回避しつつ彼を翻弄し、その突貫を封じてしまった。
が——もう、残るブロッカーはもういない。
《クイーン・アルカディアス》と《パーフェクト・マドンナ》、《テレジア》。打点は十分に足りていた。
「《クイーン・アルカディアス》で攻撃——は、はははははは!! 消え去るが良い!!」
エスケープによって減ったため、残り2枚のホタルのシールドを狙い——鎧亜の女王が雷撃を放った——はずだった。
「《ハーシェル・シュヴァリエ》の天命(ヘブン)マナ武装5発動——自分のシールドゾーンからカードが離れたとき、このクリーチャーがタップされており、尚且つマナゾーンにエンジェルかジャスティスが5枚以上あれば——このターンだけ、このクリーチャーのパワーを+4000し、アンタップします!!」
「……なっ!?」
その攻撃は、通らなかった。
再び、盾の力を糧にして起き上がった《ハーシェル》が受け止めてしまったからだ。
更にそれだけではない。パワーを下回っていたはずの《クイーン・アルカディアス》を一方的に突き倒してしまったのである。
純白の騎光星 ハーシェル・シュヴァリエ 光文明 (7)
クリーチャー:ユニコーン・コマンド・ドラゴン 7500
U・コア
このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、またはシールドゾーンにカードが置かれたとき、自分の場にステラアームド・クリーチャーが無ければ、超次元ゾーンからU・コアを持つステラアームド・クリーチャーをバトルゾーンに出しても良い。
天命マナ武装5—自分のシールドゾーンのカードが離れたとき、マナゾーンにエンジェルかジャスティスが5枚以上あり、このクリーチャーがタップしていれば、このターンこのクリーチャーのパワーを+4000し、アンタップする。
W・ブレイカー
ブロッカー
シールドがシールドゾーンから離れるとき。
それは、シールドがブレイクされたときと——エスケープなどの効果によって離れる時だ。
最早、この状態のハーシェルを止めることは出来ない。ドラドルインの有する残る攻撃できるクリーチャーは2体。
たとえ、《ルミエル》を攻撃してもエスケープで防がれるため——ここはもう、シールドに攻撃を通すしかないのだ。
「《テレジア》でシールドをW・ブレイク!!」
「《ハーシェル・シュヴァリエ》の効果が発動し、アンタップしてパワーを+4000します!」
『ワシの堅牢さを甘く見るなよ!!』
もう、ドラドルインの攻撃は通らない。
1体で3体の攻撃を食い止めた《ハーシェル》の堅牢さは、まさに強力の一言だ。
「だが、次のターン——!! 再び攻め込めば——」
「やれるものなら、やってみてください」
ホタルは言い放つ。
「《ルミエル》の武装条件は、ターンのはじめに私のシールドの枚数が貴方と同じか、少なければ——私のシールドの枚数は1枚、貴方は1枚——これで、武装条件達成です!!」
『さあ、そろそろ行こうかのう!!』
聖印の翼 アーク・ルミエル 光文明 (5)
ステラアームド・クリーチャー:ジャスティス・ウィング 5500
U・コア
相手のクリーチャーの効果によって、自分のU・コアを持つクリーチャーは選ばれない。
相手の光以外の呪文を唱えるコストは1大きくなる。
星芒武装—ターンの初めに自分のシールドが相手と同じか少なければ、このクリーチャーを裏返し、「ハーシェル」とあるクリーチャーの上に重ねる。
ブロッカー
天空の戦乙女は、光輝くオーブとなって一角獣の体に埋め込まれる。
その体は、鋭く、そして美しく——白金の鎧を身に纏い、真なる騎士として戦場に降り立った。
誰よりも自分が嫌いだった。
だが——自分を嘆くだけでは何も変わらない。
全ての道を指し示す者として——彼は翼を広げる。
「天に導かれし命よ、今こそ聖なる先導を受け、暗闇を切り裂け——星芒武装!!」
解き放たれた。
その真の姿が露わとなる。
ホタルは——目の前のドラドルインを、いや、自分の片割れを見据え——告げた。
「——それは華麗なる旋律、《天命騎龍王 ハーシェル・リダクション》!!」
- Act7:武装・天命の騎士 ( No.391 )
- 日時: 2016/09/29 07:06
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
身につけられた白金の鎧、細身の体。そして、両腕には2本の巨大な槍が掲げられていた。
甲冑に包まれた頭部、曲線の多いライン。
重騎士のような印象を与える《ディストーション》とは対照的だった。
そして、大きく、白い翼を広げる。
『我が天空の槍が全てを貫く、覚悟するがよい!!』
「《ハーシェル・リダクション》の効果発動——武装時に、相手のタップされているクリーチャーを1体選び、持ち主のシールドゾーンへ送ります! 送るのは、《ハーシェル・ディストーション》です!!」
「ッ……!!」
第一の槍が放たれる。
それが、暗黒の騎士の胴を貫く。呻き声を上げると共に、闇の騎士は崩れ落ちていく——
「ぶ、武装解除!!」
次の瞬間、闇の騎士の体が光り、《ドラドルイン》と《ハーシェル・ブランデ》が分離して、《ドラドルイン》のみが超次元ゾーンへ送られる。
更に——これだけでは終わらない。
「そして、今度は相手のクリーチャーを1体選んで、持ち主のシールドゾーンへ送ります!」
「ま、また!?」
放たれるのは第二の槍。
それが、今度は《ハーシェル・ブランデ》を突き貫き——根源へと帰す。
「これでもう、踏み倒しをする上で懸念する要素は消えました——さあ、いきましょうか!!」
ホタルはカードを引く。
そして——7枚のマナをタップした。
「まずは、《支配の精霊龍 ヴァルハラナイツ》を召喚!! その効果で、《パーフェクト・マドンナ》をフリーズ!」
「ッ……馬鹿な……!!」
次の瞬間、完全なる光器の動きが停止する。
がくり、と首をもたれて動かなくなった。
更に——ホタルは展開を続けていく。
「そして——ターンの最初に光のクリーチャーを召喚したとき、《ハーシェル・リダクション》の効果が発動します!」
『我が先導に導かれよ、精霊達よ!!』
《ハーシェル・リダクション》が拳を突き上げた。
同時に——山札の上からカードが2枚、引かれる。
そして、頭上には天国への門が開いた。
「私はカードを2枚引き——その中から、コスト8以下の光のクリーチャーを1体、手札からバトルゾーンへ出すことが出来ます!!」
天命騎龍王 ハーシェル・リダクション 光文明 (15)
スターダスト・クリーチャー:ユニコーン・コマンド・ドラゴン/ジャスティス・ウィング 14500
U・コア
このクリーチャーが武装したとき、相手のタップされているクリーチャーを1体選んで、持ち主のシールドゾーンに裏向きにして置く。その後、相手のクリーチャーを1体選んで、持ち主のシールドに裏向きにして置く。
このターン、初めて自分がクリーチャーを召喚したとき、カードを2枚引く。その後、コスト8以下の光のクリーチャーを手札から1体選び、バトルゾーンへ出す。
T・ブレイカー
武装解除
「お願いします、《革命龍 スターリースカイ》!!」
現れたのは、3本の角を携えた白翼の精霊龍だった。
「そして今度は2マナで、《ティグヌス》を召喚! そして、《ヴァルハラナイツ》の効果で、《テレジア》もフリーズ!」
「そ、そんな馬鹿な——!!」
「そのまま、《ハーシェル・リダクション》で《テレジア》を攻撃——するときに、《ブランノワール》の効果で、手札から《モーギュ》を召喚!」
突貫すると同時に、純白の教会から白翼のオーブが更に姿を現す。
そして、《ハーシェル・リダクション》の槍が、再び彼の手元に現れ、今度は法衣を身に纏った狩人の女神を撃ち貫いた。
「クッ……この私が……そんな馬鹿な……!! 許されませんわ……!!」
「ターンエンドです」
淡々と告げるホタル。
キッ、と彼女を睨むドラドルインは——何とか逆転の一手を探そうとする。
そして——カードを引くと共に、再び笑みを浮かべたのだった。
「呪文、《ヘブンズ・ゲート》ですわ!! その効果で、手札より《光器パーフェクト・マリア》2体をバトルゾーンへ出しますわ!!」
光器 パーフェクト・マリア VR 光文明 (7)
クリーチャー:メカ・デル・ソル 7000
ブロッカー
W・ブレイカー
このクリーチャーが攻撃する時、光以外のクリーチャーをすべてタップする。
このクリーチャーがバトルゾーンを離れる時にアンタップしていたら、離れるかわりにとどまる。
天国への門が再び開かれた。
そこから2体の光器が姿を現す。織姫のような法衣を身に纏った光器は、一際存在感を放っていたが——降り立った時、既に2機は機能を完全に停止していた。
ピクリとも動かないのだ。
「は、ははは——な、なぜ!? 馬鹿な、これは——」
ドラドルインは盤面を見る。
そして戦慄した。
すでに、場に出たときに2体はタップされていたのである——つまり、タップインだ。
「……《革命龍 スターリースカイ》の革命2で、貴方のクリーチャーはタップしてバトルゾーンに出ます。もう、クリーチャーを出しても無駄ですよ」
革命龍 スターリースカイ VR 光文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン/革命軍 7500
ブロッカー
W・ブレイカー
自分のターンの終わりに、このクリーチャーをアンタップする。
革命2−相手のクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のシールドが2つ以下なら、そのクリーチャーをタップする。
「ッあ、ああ——馬鹿な——!!」
そのまま、彼女は何もすることが出来ずにターンを終える。絶望、失意、そして無念が襲い掛かる。
もう、成すすべはない。
もっとも、この軍勢を前に《パーフェクト・マリア》2体では覆りようがなかったのも事実であるが——
「私のターン、ドロー」
カードを引いたホタルは、とうとう詰めの準備に入った。
同時に——場にある光のクリーチャー達の力を借りて、《ブランノワール》が目覚める。
「場に光のクリーチャーが4体以上あるため、《ブランノワール》を3D龍解——《日蝕の精霊龍 ソレイルノワール》に!!」
日蝕の精霊龍 ソレイルノワール P 光文明 (7)
ドラグハート・クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 7000
W・ブレイカー
自分のクリーチャーが攻撃する時、コスト3以下のクリーチャーを1体、自分の手札または墓地からバトルゾーンに出してもよい。
現れたのは、宝杖を構え、太陽を背にした精霊龍だった。その力は光にしては禍々しく、死者の領域にまで干渉する。
そして、最早マナをタップすることもなく、1枚の呪文を唱えた。
「呪文、《ミラクルストップ》をG・ゼロで唱えます。これであなたは呪文を唱えることが出来ない」
「ぎ、ぎぎぎぎぎ!! こんな、ことが——!!」
「そして、《ソレイルノワール》で攻撃——するとき、手札か墓地からコスト3以下の光のクリーチャーを出せます! 私は墓地から《モーギュ》をバトルゾーンへ!」
更に軍勢が並べられていく。
墓地よりよみがえった《モーギュ》の力を受け、《ヴァルハラナイツ》がその輪刀を《パーフェクト・マリア》に放った。
縛り付けられた彼女は、もう起き上がることはないだろう。
そして——残る2枚のシールドが割られる。
「S・トリガーは——あ、ああ——!!」
確かにS・トリガーはあった。
しかし、手札に来たのは《ヘブンズ・ゲート》。ブロッカーを出したところでタップインされるのみだ——
「悔い改めなさい、ドラドルイン!! 《ハーシェル・リダクション》でダイレクトアタック——!!」
『これで、お終いだ!!』
最早、ブロッカーも、何もない。
そこへ——聖騎士が駆けて、槍を放つ。
「馬鹿な……私は、私は——何なの……!?」
そんな言葉をかき消すかのように、槍はドラドルインを無慈悲に貫いたのだった——
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