二次創作小説(紙ほか)
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- デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
- 日時: 2017/01/16 20:03
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。
また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。
”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”
『星の英雄編』
第一章:月下転生
Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25
第二章:一角獣
Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48
第三章:骸骨龍
Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73
第四章:長靴を履いた猫
Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114
第五章:英雄集結
Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204
『列島予選編』
第六章:革命への道筋
Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦
Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261
Act8:次なる舞台へ
>>262
第七章:世界への切符
Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352
『侵略世界編』
第八章:束の間の日常
Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393
第九章:侵略の一手
Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416
第十章:剣と刃
Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444
短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。
短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65
短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103
短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126
短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156
短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176
短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422
エイプリルフール2016
>>299 >>300
謹賀新年2017
>>443
登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします
オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。
お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新
- Re: デュエル・マスターズ D・ステラ ( No.212 )
- 日時: 2015/10/27 23:40
- 名前: Orfevre ◆ONTLfA/kg2 (ID: YgiI/uLg)
さて、書いていた感想が消えていたので書き直しです。
レンVSアルゴリズムですが、どちらもアヴィオールを軸にした黒単コントロールというわけですが、かなりアヴィオールの毛色が違いますね、じわじわと追い詰めるタイプのレンのアヴィオール(光)と、一気に制圧して建て直す前にフィニッシュするタイプのアルゴリズムのアヴィオール(影)、どちらがいいとは一概に得ませんが専用デッキではどちらも見劣りしないですね。
アヴィオールは元に戻り、レンはトラウマや心の闇と再び立ち向かう決意をして大団円という形で終わりましたが、ハクレ以外の3人(?)は闇落ちして別のステラアームドが武装してますね、ハクレにも存在するのでしょうか、仮に存在したとしてものんたんは薄いですが。
そして、新キャラクターのコロナとアマツカゼ、レッドゾーンと共に颯爽と登場しましたがそのあとのアマツカゼの性癖、あれで一気に読者が覚えたと思います。やはり、インパクトというのは重要だと改めて思いました。
そして、現実のデュエマと違ってカードの開発競争が凄そうですね、数年後のカードを試験的に使ってるという設定でしたが、正式に開発されないカードとかも存在しそうです。
そして、革命と侵略ですがアットスターと違って侵略が明らかに悪役ですね、あっちは三つ巴の戦いになってますけどwこちらは二項対立ということで今後に期待です。
これくらいですかね、この辺で失礼します
- Re: デュエル・マスターズ D・ステラ ( No.213 )
- 日時: 2015/10/28 18:40
- 名前: ценж (ID: 6vxFia0Q)
こんにちはценжという者です
D・ステラいよいよ一旦キリのところまで来ましたね
おめでとうございます
個人的にはレンVSヒナタが一番燃えました
王・龍覇からのバトライ武神、覇そしてヒナタの新たな相棒である白陽へと繋がるバトン
更にそこからの白陽の超技呪文
一部始終に思わず引き込まれてしまい、一気に読み切ってしまいました
ホタルとノゾムのデュエルも興奮しましたね
明らかにオーバースペックなハーシェルと絶望的なブロッカー軍団をQED+とアマテラジアル、そしてクレセントによって乗り切った様はなかなか感動的でしたね
ラスボス戦は…正直少し、いやかなり気が抜けました
なんというか…わざとなんでしょうがセリフの端々から発せられる小物臭が…
まぁそのおかげで安心して読むことが出来ましたが。
対レン戦と対ホタル戦が緊迫しすぎてたおかげでリラックス出来て丁度いい感じでした
例えるなら北斗の拳で例の曲が鳴った時みたいな
しかしアヴィオール本体が復活出来て良かったです
暴れてたのがまさか偽物(?)だったとは思わなかったですけど
仮にも英雄と呼ばれてたクリーチャーがこんなことするなんて…と密かに憤っていたのでこの結末は非常に満足です
これでD・ステラ終わり…という訳はなく寧ろこれからが本番なんですね
どうやら次は侵略が敵らしいですね
そしてなんだこのアマツカゼとかいう奴…
変態じゃないですかやだー
……アマツカゼのキャラは置いとくとしてこれからの展開非常に気になります!
これからの更新楽しみにしてますね!
それでは。
- Re: デュエル・マスターズ D・ステラ ( No.214 )
- 日時: 2015/10/28 22:32
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)
Orfevreさん
コメントありがとうございました。
今回のレンVSアヴィオールに於いては、とにかく対比をしたかったのが武装後のアヴィオールの能力の違い、ですね。
野蛮かつ徹底的に壊すのがゼノンだとすれば、逆にデスロードはゆっくりと、そして確実に導くように敵のクリーチャーを破壊していく……って感じですかね。
確実なのは、両方共今作のスターダスト・クリーチャーの中では、かなり強めに能力を設定しています。が、しかし、なかなかその専用デッキを組むのが上手くいかないところではあるんですがね。
アルゴリズムの消滅、そして再び集まる仲間、ここからが真のD・ステラの始まりと言っても過言ではないですね。役者は皆揃いました。が、しかし、残るステラアームドとか、気になるところも多いのではないでしょうか?
ハーシェル、ニャンクス、アヴィは闇墜ちバージョンが存在する……というか、ここでステラアームドが変われば戦法も大きく変わるということを見せておきたかったのもありますがね。白陽とクレセントにもあるか? それはお楽しみです。
後、コロナとアマツカゼ。悪い意味で印象残しちゃいましたね。いや、あんまし自分のは慣れないうちは真似しない方が無難だとは思いますがね……。どちらにせよ、強敵となることは間違いないでしょう。てか強敵になるの? いや、強敵に……なるんじゃないの? おかしい、作者だけど不安になってきたぞ。
そして、この世界のカードは、特に戦争の如き開発サイクルが存在しているという設定です。好い加減? ガバガバ設定? 知らね。まあ、今世に出ているカードのプロトタイプ的なものとかも出そうとは思ってはいます。
そして、D・ステラを軸にした抗争では、革命対侵略という構図になりました。なってしまいました。去年までは完全にDSムードだったのに……いやさ時間が経つのって速い。
こちらも読者の期待に沿えるものを書いていかねば。精進する限りです。アドバイス等あればよろしくお願いします。ありがとうございました。それでは。
ценжさん
どうもはじめまして。タクというものです。いや取り合えず、ありがとうございます。やっとここまで来たという感じです。何であれ、こんな稚拙な小説にコメを頂き、作者は嬉しい限りでございます、はい。
王・龍覇からのバトライ武神、そして覇への流れるような勝利へのルートは、今作におけるささやかながらのDS編の集大成といったところでしょうか。ドラグハートだとか、そういうのをここまで大きく取り上げるのも、これが最後になるかもしれませんね。件の邪悪龍を除けば。
そして、そこから白陽に繋がる流れ、最後に必殺の超技呪文。全てにおいて無駄なことは1つもないということを体言した試合であったことを伝えられたならば作者としては満足です。
ヒナタとレンという、今シリーズにおいて最初のライバル同士による戦いですからね。ヒナタの信念を賭けた大きなバトルであったことは言うまでもなく。恐らくアニメだったら、これで1期終わってます。いや、実際はまだあるのですが。
そして、対するノゾムVSホタル戦のテーマは、”ヒーローのあり方”でしょうか。
破壊の権化、恐らくチートスペックであろうディストーション、そしてブロッカー軍団。これらを乗り切ったのは、最初はヒナタへの対抗、そして憧れ、最後にそこにオリジナルを見出したノゾムの此処までの集大成でしょうか。アマテ・ラジアルは、ヒナタの最初の切札であるアマテラスのリメイクカードなので、そこにも注目してくださると嬉しい限りです。
ラスボスっていうか……まあ一章という形で括るなら、そうなるんですかね。まあ、なんていうかあれですよ。こいつの恐ろしさって底無しの狂気みたいなところにある……嘘です、大嘘です、すいませんでした。
何であれ、小物臭漂うアルゴリズムでしたが、これはこれでって作者としては思っています。弱者や関係の無いものを、自分の欲望のままに操り、踏みにじる権化。そして何より、1人では何も出来ないという、まるで子供のような幼稚な敵を此処で出したかったのも事実。
まああれですよ。こういう腹の立つ敵をぶっ飛ばすのってスカってするでしょ? 最後の最後で。つまりはそういうことなんです。北斗の拳でてれってーが鳴ったときとか、ジョジョ三部で承太郎がオラオララッシュに入ったときとか……そういう爽快感を出したかったんですよ。
だってこいつ、何度も言うけどラスボスじゃないから!
というわけです。彼らを待つ真の敵は、こんなもんじゃあないってことですかね。
……いや、でも一応反省してはいますよ? こんなんを最後に置いて大丈夫か? って何度も思いましたしね。
アヴィオールも、完全に乗っ取られていただけなんで、やはり彼も善人なんですよ。てか、今作のクリーチャーでニャンクスと並んで常識人かつ良識人なのは彼くらいじゃないですかね。
今度の敵は侵略、というかそれが加わったということですね。アマツカゼは……うん、変態になってしまったんだ。でも、このキャラ付けも全く意味が無いというわけではないので、その辺もお楽しみに。
ともかく、ありがとうございました。作者もまた、精進していこうと思います。それでは。
- Act2:開幕 ( No.215 )
- 日時: 2016/01/02 00:09
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: S0f.hgkS)
「——今年の鎧龍サマートーナメントのチームは、前期の1〜3年生までの5人に加え、優秀な成績を持つ後期生1人のリトルコーチが付きマス」
淡々と原稿を読み上げる外国人とハーフの老校長・瓜生崎は続ける。
七時間目。科目・全校集会。
この時間には、今年の夏休み前の大イベント、鎧龍サマートーナメントのルール発表が毎年行われる。
が、しかし。
場にはピリピリとした雰囲気が漂っていた。
今回の鎧龍サマートーナメントは只事ではない、と上級生の多くも解していたのだ。
「そして、今回の鎧龍サマートーナメントで優勝したチームは、D・ステラ——即ち世界デュエリスト養成学校連盟合同大会の日本予選で我が校の代表として出場することになるのデス」
次の瞬間、歓声が上がる。
世界大会。
その言葉に、全生徒が沸いていた。
「世界だって!?」「D・ステラってうちの学校も出場するのか!?」という声が上がる。
しかし、それだけではなかった。
「よって、今年のサマートーナメントは例年のそれとは違い、所謂D・ステラの校内予選となり、出場する生徒は限られているのでご了承くだサイ——というのも既に、出場する生徒は決定しているのデス。選手団、入場——」
ばっ、とアリーナの後ろの扉が空気を吐き出すように開いた。
そこから後期生、即ち普通の学校で言えば高校生に相当する生徒を先頭に、前期生、即ち中学生に相当する生徒5人のチームが順に規則正しい行進で現れた。
そして、その中に——満面と愉悦に満ちた顔を浮かべた武闘フジと、暁ヒナタ達の姿もあったのだった——
——何でこうなったんだぁぁぁぁーっ!?
——思ったよりも、いや此処まで大事とは……。
——もうやるっきゃないんじゃないの……。
——世界か……オレなんかで大丈夫なのか?
——卒倒しそうです……。
——良き哉、良き哉、ガキ共め良い表情(カオ)してやがるぜ……だから覚悟しとけと言ったのさ!
時は遡る。
それは、数時間前——
***
何故、朝っぱらから呼び出されねばならないのだろうか。学校の会議室に。
しかも、この厄介なトラブルメーカーの先輩に。
いや、問題はそれだけではない。
呼び出されたのが自分だけではないということだ、と暁ヒナタは改めて辺りを見回す。黒鳥レン。如月コトハ。
そして——
「お、遅れてすいません!!」
その後輩である十六夜ノゾムに淡島ホタルも呼び出されていたのだった。
「す、少し寝坊してしまって……」
「ノゾムにしては珍しいじゃねえか」
「い、いや、あははは……」
「2分遅れだ、あまり問題ねぇよ。”あまり”な」
呆れたように言ったフジは、一度咳払いをした。
あまり気にしていないようだったので、ノゾムは思わず安堵の息をついたのだった。
部屋の空気はぴりぴり、としていた。
流石理事長の息子、こうして相対すると圧倒的な威圧感を感じる。
いや、約半分はこのヤンキーのような風体のせいでもあるのだが。
「さて、全員そろったところで、てめぇらに一言言っておく」
来た、と全員は感じた。
この男は、いつも重要なことを言うときは、この嫌な笑みを浮かべるのだ。
「世界に、行きたくないか?」
しばらく、沈黙がその場を包んだ。
当然といえば当然であった。
「いやさ、先輩。いったい何を……」
「順を追えば、だ。今年の鎧龍サマートーナメントのルール。先に説明しておく必要があるな」
どさっ、と何処から取り出したかプリントの山を、彼は乱雑に置く。
「上から1人3枚だ、さっさと取れ」と命令し、プリントが行き渡ったのを見ると彼はつづけた。
「前年は、前期生生徒3人、リトルコーチ1人という編成だったが——今年は前期生徒5人、リトルコーチが1人というチーム編成なのさ」
「リトルコーチって何です?」
去年はまだ入学していなかったノゾムが真っ先にそれを問うたが、ヒナタが「後期生が前期生のチームの指導役になるんだ」と説明する。
こくり、とフジもそれに頷いた。
「そしてこの編成は——D・ステラのものと同じだ。”どういう意味か分かるな”」
ビキン、と頭に電気が走った。
全員に。
「でぃ、D・ステラって——」
「世界デュエリスト養成学校連盟合同大会。そして、デュエル運営機構、DASHのDから取って、D・ステラだ。要は世界大会だな」
「え!?」
全員が衝撃に襲われた。
そして、いよいよ自分たちが何のために呼ばれたのかを察し始めたのである。
特に、キイチからその言葉を聞いていたヒナタとノゾムは、いよいよそれが間近に迫っていることに気付き始めていた。
実感の無かった世界という領域。
そこに、フジが引き込ませようとしているのだ。
「鎧龍は前回の大会には参加していないというか、そもそもまだ学校が出来る前だったからな。前の大会は——5年前だったか。あの時はまだ、そこまで大規模な大会ではなかったからな。しかし——この5年間でデュエル・マスターズを取り巻く世界事情は大きく変動した」
デュエルの大幅な国際化。
つまり、多くの国でデュエリスト養成学校が開校したり、また大幅な教育プログラムの改正を行ったりとテコ入れが行われたのだ。
「D・ステラ……そういう大会があったのは知っていたが、あまり騒ぎにならなかったのはそのためか」
「確かにそうね。鎧龍が出来たのはかなり最近で、当時のあたしたちには縁のない話だったし……」
「丁度5年前。前期生、後期生両方の生徒を集い始めたのがそのころだ。前の大会から同じ年なのさ」
さて、と彼は続けた。
「今回のサマートーナメントは、選ばれた後期生のみチームの編成が可能だ。成績優秀者、だな。俺様を含み」
「自分で言いますかそれ」
「事実だバカ」
色々危ないものを持ち込んで、周りを容赦なくトラブルに巻き込み、何事も無かったかのように責任を丸投げする人を選んで大丈夫なのかと全員は戦慄する。いや、理事長の息子なのもあるだろうが。
「そして俺様は、テメェら5人を世界に送り込んでやろうと思ってチームを編成した。文句あっか」
堂々とした言い方に、反論ができない。
いや、言いたいことは山ほどある。なぜ、直前になって言い出したのだろうか、だとか。
幾らなんでも急すぎやしないか、とか。
「そ、そんな——だって、私に至ってはまだ1年生で——そこまでD・リーグの戦績が良いわけでもないし——」
「そ、そうです! 幾らなんでも——」
「黙れやコラ。何の考えもなしに言ってるんじゃねえ。テメェらじゃねえといけない理由があるんだ」
どこか真剣さを含んだ物言いに、今度こそコトハもホタルも黙らざるを得なかった。
それだけ、今回のフジの語り草は強烈で静かな風格を漂わせていたのだ。
「——お前ら5人に通じることは何だ?」
「お、俺達5人——?」
ピキン、とこの瞬間。全員の顔が引き攣った。
「ま、まさか先輩……」
「僕たちが英雄の所持者という理由でチョイスしたんですか、世界大会のメンツまで!?」
「こ、ここまでハチャメチャとは……」
「ええい、うるさい!! 最後まで聞け!!」
そのまま、流れるようにフジは続けた。
「お前たちには、才能が間違いなくある!! 何故ならば、お前たちが英雄に選ばれた人間だからだ!!」
びしぃ、と言い放つフジ。
さらに、反論の余裕を与える間もなく、彼は続けた。
「クリーチャーは必ず、才能の眠る者しか選ばない。無意識だろうが意図的だろうが関係なく、な」
「で、でも先輩が何故あたしたちに拘るのか……」
「そもそも、先輩が俺達を世界に連れて行ってどうするつもりなんです?」
「あれ? お前ら世界に行けるのが嬉しくないの?」
——”あんたの場合、絶対ウラがあるでしょ……”
個性的なメンツではあるが、このときばかりは思考が一致したのだった。
「ならば仕方ない。教えてやろう。俺は、武闘財閥の次期社長としての目的がある。だが、それはお前らにも関わりのあること」
別に頼んではいないが、このままでは納得もいかないので全員は黙って聞いていることにしたのだった。
そのまま、フジは指を突き上げて高々と叫ぶ。
「デュエマ革命、そして邪悪龍だ——」
- 今回の小説大会の結果について ( No.216 )
- 日時: 2016/01/04 01:06
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: S0f.hgkS)
どうも、作者のタクです。
最近は別の作品にかまけて、D・ステラは余り更新できていませんでしたが、今回の小説大会の結果には驚きすら感じております。
銀賞。自分でも今でも信じられない気分です。
今までカスりもしなかったような自分のようなしがない作者が、とってもいいのだろうか、と。それも作品の多い激戦区と言える二次版で。
ともかく、この結果は読者の皆様が応援してくださったからだと思っております。
一時腐ったときもありました。完全に性根が腐っていたときがありました。
それでも、諦めずに読者を信じて続けていてよかったと思っています。
今回の結果を受けて、より一層精進していくので、これからも『デュエル・マスターズ D・ステラ』をよろしくお願いします!
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