二次創作小説(紙ほか)
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- デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
- 日時: 2017/01/16 20:03
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。
また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。
”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”
『星の英雄編』
第一章:月下転生
Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25
第二章:一角獣
Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48
第三章:骸骨龍
Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73
第四章:長靴を履いた猫
Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114
第五章:英雄集結
Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204
『列島予選編』
第六章:革命への道筋
Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦
Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261
Act8:次なる舞台へ
>>262
第七章:世界への切符
Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352
『侵略世界編』
第八章:束の間の日常
Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393
第九章:侵略の一手
Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416
第十章:剣と刃
Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444
短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。
短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65
短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103
短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126
短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156
短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176
短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422
エイプリルフール2016
>>299 >>300
謹賀新年2017
>>443
登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします
オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。
お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新
- Act2:追憶・白陽/療養・クレセント ( No.56 )
- 日時: 2015/05/24 16:50
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
***
「……すまない、ヒナタ。先ほどは取り乱した」
「謝るならテメェが噛んだノゾムに言え」
屋根の上で背中合わせに星を見る。どんなに喧嘩をした日でも、これが2人の夜の日課だった。海戸は星空を大事にするために”夜は極力電気を消そう”キャンペーンをやっている。
その成果あってか、曇ってさえいなければ、毎晩満天の星空が拝めるようになった。
だがそれとは反対に2人の表情は曇っていた。
「クレセントはやはり、ノゾムといるべきだ」
「何だ? すげぇ手のひらの返しようだな。返しすぎてドリルができるんじゃねえのか」
「実を言うとノゾムに言った言葉も半分は本心で半分は勢いで言っただけだ。クレセントとノゾム。この2人が一番適したコンビだってことも分かっている」
白陽は俯いて言った。二股首の蛇は、彼の首にもたれ掛って、もう寝ていた。
「……そろそろ話しても良い頃かと思う」
白陽はおもむろに口を開いた。
----------すまない、クレセント。
***
妖獣界(クリーチャー・ワールド)。カナを振ればそう読めるが、この世界は他の超獣世界とは全く違う環境にあったらしい。
タイムチェンジャーとか言うカラクリがそういっていた。
何より、クリーチャーの性質が全く違うという。
私は九尾と言う種族の次期長だった。
クレセントもまた玉兎の若き族長の妹だった。
外の世界からやってきた旅人は、我らをキュウビ・コマンド。そして玉兎をムーン・ラビーと呼んでいた。
古き時代から、2つの種族は山で挟んだ隣り合いの集落にあり、そして争っていた。
クリーチャーのサガという奴か、小競り合いを繰り返していた。大きな戦いにはなっていなかったがな。
そして玉兎は水文明の技術を手に入れて、格段にその力を拡大させていった。
我々も元から持っていた妖術に火文明の重化学を組み合わせて全く新しい戦法を編み出していた。
私とクレセントはそんな時代の最中、生まれたんだ。
話変わり、玉兎の集落と通じる山があった。2つの集落を分断する山があった。立ち入りは禁じられていたが、好奇心が旺盛だった私はいつもそこを出入りしていた。
ある日のことだった。
同じことを考えていたのか、美しい子供のクリーチャーが他の小さなクリーチャーと戯れて遊んでいた。
長い耳に混じり気のない純白の毛。話でしか聞いたことがない玉兎だった。
それも私と同じくらいの年齢に見えた。
玉兎と九尾は仲が悪いという話は何度も聞いた。
だが、幼ながらに彼女に興味を持ったのだろう。
話しかけた。
彼女は笑って答えてくれた。
聞けば、宮殿のようなところで暮らしているが、いつも退屈な生活をしているらしい。
だから度々抜け出してここに来ていたらしい。
名前を教えあった。
それから私達は2人で遊ぶようになった。
毎日遊んだ。
山の友好的なクリーチャーと戯れたり、駆け回ったり。
そしていつもすんでのところで自分達の里に帰っていた。
あるときのことだった。いつもの通り、遊んでいたときのことだった。
森の茂みから巨大な大蛇が現れた。
そしていきなり襲ってくる。長い尾で彼女は巻き上げられ、もう少しで口へ----------「白陽!! たすけて!!」この声で私は磨いた剣術を使い、一瞬で大蛇の頚動脈を切り裂いた。
大蛇は断末魔を上げると、動かなくなった。
彼女を怖がらせてしまったか、と思った。実際その通りだった。抱き着いてきた彼女の目には涙が。
「白陽、怖かったよう」
「……もう、大丈夫だぜ」
彼女の笑顔を守りたい。私はいつかしかこんなことばかり考えるようになった。
いつの日か、私は彼女の姿を見るだけで心臓が跳ねるような感覚を抑え切れなくなった。
そして悟った。
これが”好き”だという感情なのだと。
これが私の初恋だった。
だが、ある日を境に。何の音沙汰なしに少女は来なくなった。私も彼女がいないのにこの山に来る意味は無いと思っていつの間にか訪れなくなっていた。
***
---------数年のときが経った。私は青年になった。玉兎と九尾の戦いは日々激化していた。
小競り合いじゃすまないような戦いもあり、私自身が戦場に出向くこともあった。
陰口が度々聞こえる。父が死んで私が長となってから。こんな若造が長だなんて、九尾の未来はおしまいだ、と。現に皆、おじの言う事ばかり聞いて、私の言う事など表面で聞いているだけにすぎないのだ。
全く嫌な毎日だった。味方にも訳なく嫌われているというのは。
ある日、久々にあの山にやってきた。山の様子は何も変わっていなかった。
流石に--------名前も忘れかけているあの少女の姿は来ていないだろう、と思って帰ろうと思ったそのときだった。
「白陽! もしかしなくても白陽だよね!」
振り向いたら、そこには少女がいた。あのときと背丈は変わってしまっていたが、純粋な紅い瞳で分かった。
私は振り向いて、その名前を呼んだ。
震えてまともに声を出してくれない喉に力を入れて言った。
「クレ……セント?」
人違いなんかじゃない。そもそも私の名前を玉兎で知っている者は彼女しかいない。
私は一思いに駆け寄って、彼女を抱きしめた。
「もう、白陽ったら」
「お前のことが好きだったんだ! ずっと愛していたんだ! 種族なんか関係ない、お前が……お前のことが……」
「あたしもだよ、白陽。だいすき」
腕の中で甘く言った彼女の言葉に抑え切れず、私は彼女の唇を奪った。
***
---------また、私達はこの山で会うようになった。
激化する2つの種族の戦いの中でもそれは変わらなかった。
でも、その日はやってきた。とうとう、玉兎の長でありクレセントの実兄のカシマールという男が九尾に宣戦布告を仕掛けたのだ。
明日から、全面戦争が始まる。
2人がこうして会っているのもバレたら、2人とも殺される。
「……始まっちゃったね、戦争」
「そうだな」
哀しそうにクレセントが言った。
私も頷いた。
「ねえ、白陽……あたしの最後の我侭聞いてくれる?」
私は------全てを悟った。
彼女の全てを受け入れる覚悟をした。
***
一時的な幸せ、それは夢で見るまもなく打ち砕かれた。
玉兎軍は九尾領の屋敷周辺にまで押し寄せてきた。長であるこの私自身が出向き、敵を打ち払うという事態に。
だが、今日、この日、戦場で2人が合間見えている。
昨日愛し合ったばかりの恋人が敵として目の前にいる。
彼女は”武神”だった。玉兎の中でもとてつもない馬鹿力を持つ才能の持ち主だった。
戦場の真ん中で私は鉄槌を振るい、容赦なく襲い掛かってくる彼女を見た。
それを剣で受け止める。それだけで体中から血が吹き出た。筋肉が悲鳴を上げている。防御結界を張っていなければ、間違いなくミンチにされていただろう。
「ごめんね、白陽……ごめんね」
やめろ、そんな顔をするな。何で今から殺す奴に向かって--------そんな哀れんだ表情を向けるんだ。
「クレセントォーッ!!」
ガインッ、と剣で鉄槌を弾き飛ばす。そのまま炎を纏わせたそれを彼女の喉元に突き立てる。
だけど、もう一押し。もう一押しができない。
あと少しで彼女を殺せるのに。
玉兎は今まで何人も殺してきた。なのに、何でこの一押しができない。
私は九尾の長なのだぞ。こんなところで、一片の気の迷いで--------------いや、ダメだ。
私は彼女が生きた方が良い。
剣を、自分の喉に向ける。
「ダメだよ、はくよう……何でそんなことするの」
「お前に……生きて欲しいからだ」
「分かっている。分かってるわ。それでも、あたしは貴方が好きで仕方が無いの。たとえ、種族が違ったって、敵対していたって! だから……このまま貴方と一緒に死なせて!」
-------馬鹿な女だ。私なんかと愛し合わなければ、こんなことも言わなかったろうに。
さっきまで私を殺そうとしていたのに、何で私と一緒に死のうとするんだ。
……どうせ死ぬならば、最後まで足掻いたほうが良いだろうに。
「ならば私は--------お前と生きる”未来”を選ぶ!!」
押し倒していた彼女の手を掴んで引っ張りあげる。
そしてそのまま、炎を纏わせた大太刀を振るった。
「それ以上、近づくな! こいつには指一本触れさせぬ!! この私を誰だと思っている? この猛々しき黄金の九尾が目に見えぬというのか!! 白面陰陽九尾・白陽だぞ!!」
「白陽、お前何言ってるんだ? そいつは玉兎だ! 俺らの敵なんだぞ! そんな化物、とっとと切り捨て------」
「誰が化物だと?」
ざくり、と目の前の奴の口へ剣を突き立てた。そして上顎と下顎を切り裂き、払った。
さっきまで喋っていた奴は死体になって転がっている。
皆、口々に叫んだ。
「ら、乱心だぁー!! 族長が乱心だァー!!」
「もう良い、殺せ。所詮、我が甥はその程度だったのだ」
さらに、玉兎側もクレセントを裏切り者とみなしたのか、皆、私達に襲い掛かってきた。
だが私に迷いは無かった。自分の生まれた種族を捨てても、彼女を愛すと決めてしまったから。
クレセントも同じだった。もう、同属だからといって容赦は無かった。
「白陽、未来を掴み取ろう!」
「ああ!!」
胸が張り裂ける思いだった。でも、背中には愛する人がいる。迷いはもう、無かった。
***
何人殺しただろうか。
もう覚えていない。体力はもう、限界を超えていた。敵の数は---------無数。
「はくよう……」
「結晶石の妖術。魔物を封印するときに用いるのだが-----------これを使う」
「ここまでって、ことかな」
「死ぬよりはマシだ」
これによる封印はよほど強力な力でないと解けない。少なくとも、この星に生き物が栄えている間は。
互いに私達は向かい合った。敵が走って襲い掛かってくる。最後の抵抗とばかりに私達の周りを炎で囲った。
「死なない、つまり我々が生まれ変わることは無い。だから離れ離れになることも無い。私とお前は永久に一緒だ」
「嬉しいな、白陽。あたしはどこまでも着いていくよ」
音を立てて、体に水晶が張り付いていく。体と水晶が一体化していく。
最後に唇を重ねったきり-------もうその後は何も覚えていない。
まさかこうして現世に蘇るだなんて、思ってもいなかったしな。
- Act2:追憶・白陽/療養・クレセント ( No.57 )
- 日時: 2014/11/10 11:45
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sPkhB5U0)
話を聞き終わった後、ヒナタは言った。
「白陽。頑張ったんだな」
「私は心に決めたんだ。この手で彼女を守ると」
白陽の眼差しは真っ直ぐだった。
「なのに、その役割がノゾムに奪われたようで悔しかった」
情けないような、そんな顔で答える白陽。
が、それに水を差すようににやにやしてヒナタは言った。
「で、白陽君? クレセントの最後の我侭って何だったのかな? ん?」
その瞬間、白陽の顔が真っ赤になったのが分かった。
恥ずかしさを抑えられないような、そんな顔だ。
「そ、そんなこと、どうでも良いだろう!!」
あれー、どしたのかな、白陽くーん、とヒナタはからかうように言った。
--------言えない! あんなこと誰にも言うか! た、確かに最高だったが……。
むぐぐ、と何にも言えずにいる白陽にヒナタは笑って追い討ちを掛けた。
「へーえ。俺にも言えないことか? キスじゃねえなら何なんだ?」
「子供は知らなくて良い!」
「あー、もう分かった。そういうことにしてやるから。うん」
「何だその言い方は!」
ぷいっ、とそっぽを向いてしまった白陽はそのまま、ため息をついた。
「私は……クレセントに依存しきっていたんだ。あいつがいなくなるのが耐えられなかった。クレセントを自分のものだと思う自分がいる。違うんだ。クレセントは、クレセントは--------」
--------誰のものでもないのに。
それを言いたかった。
なのに。
それを許さない自分がいる。
「もう良い、白陽。ノゾムには謝れば良いだろ。俺も悪かったよ」
「ヒナタ……私はノゾムに嫉妬していたんだ。勝手な思い込みで自分勝手な思いであいつに当て付けていたんだ……!」
「もういいんだ。俺とお前はパートナーだ。クレセントの代わりにはなれないかもしれないけど、辛いことがあったらまた俺に言え」
気が付けば心なしか、気持ちが楽になっていた。
「なあ、ヒナタ。お前は、私のことを怒っていないのか?」
「あ? まあ怒ってはいたよ。だけどさ、星を見てたら、んなことはどうでも良くなった」
ヒナタは言った。
「俺は一番星になりたい----------デュエリストの中で一番輝ける一番星に。皆を照らせる太陽よりもでっかい一番星に」
***
次の日。ノゾムは学校を休むことにした。理由は体調不良とか色々云々と付けて置いた。
とりあえず、祖父の前で仮病を演じるのは気が引けたが、もちろんバレて怒鳴られる。でも正直に事情を話したら何か分かってくれたっぽい。良かったね。
これも、クレセントの看病に全部時間を捧げたいからだ。
獣医のところに行っても、動物とクリーチャーでは体のつくりが根本的に違う。
多分、頼るのは無理であろう。
「のぞみゅ……めいわくかけて……ごめん」
「バカやろ、今更何言ってんだよ」
幼児退行したような口調で小さなクレセントはやっと目を覚まして口をきけるようにはなった。
氷水に漬けたタオルを変えた頃には、またクレセントは寝てしまっていた。
ふう、と一息つき、ノゾムもまた壁にもたれ掛って休む。
そんな中、彼女の寝言が聞こえた。
「はくよう……だいしゅき……」
また、白陽だ。
やはり2人には切っても切れない絆があるのだろう。
「……オレは……クレセントにとっての何なんだ」
***
気が付けば寝てしまっていたことに気づいて飛び起きた。眼を億劫気に開ければ、そこには2対のルビーが。
ノゾムはぎょっ、としたが良く見たらそれは見慣れた彼女の顔だった。
「クレセント!?」
「あ、おきたー! ノゾム、あたしの看病してくれてたんでしょ?」
「馬鹿、まだ寝てろ」
やっとクリーチャーの姿で実体を保てるようになったらしい。
安堵の息をついた。しかし、
「まだ熱がある」
彼女の額に手を当てて言った。
「ばっかにしないでよね! これぐらい、全然動け……ふにゃあ」
立ち上がろうとしたクレセントは体のバランスを崩して倒れた。
慌てて駆け寄るが、怪我は無いようだ。布団の上だし。
「無茶すんな。お前が治らないと、白陽に怒られちまう」
「もう、ノゾム。白陽に何か言われたの?」
「……何でもねえよ」
はっきり言って言いたくなかった、というのが本音だが。
そして、今聞くのもあれだが、思い切って聞くことにした。
「なあ、お前にとって白陽はどういうやつだ?」
「あたしにとっての白陽?」
少し首をかしげたクレセントだが、間髪入れずに答えた。
「あたしの一番大好きな人。あたしが世界で、ううん宇宙で一番愛してる人」
まあ、そうなるよな--------とノゾムは返した。
「……じゃあ、クレセント。お前にとっての俺は?」
「え、ノゾム!?」
うーん、とノゾムかー、と頭を抱えて悩む彼女を見て、ノゾムはため息をついた。
病んでるときに難題ふっかけちまったなー、と少々後悔した。
すると、彼女は口を開いた。
「まだ、正直……分かんないかも」
「だよなー」
「あ、待って! でも一番何となく近い感じがするのは---------友達。地球で最初にできた友達だよ」
このとき、ノゾムは自分がどんなに馬鹿馬鹿しい質問をしていたか気づいた。
---------何で俺、白陽と自分を比べようとしてたんだろ。俺がクレセントの傍にいる理由-------んなもん、俺とこいつが友達だから、それだけじゃいけねえのかよ。
「そうだ、看病してくれたお礼もしないと」
「あ?」
いきなり何言ってんだこいつ、と思って彼女の顔を見上げると、彼女が膝立ちになっている。
「ハグ、してあげる!」
ちょ、おまえ、止めてくださいィィィ!! お前の腕力は異常-------ぎゃあああ、とノゾムの断末魔は家中に響き渡ったのだった。
ひくひく、と気絶して動けないノゾムを見て、クレセントは首をかしげていた。
「あり?」
自分の馬鹿力に対して、よっぽど自覚がないらしい。恐ろしい子である。
***
「ハグはやめようね、クレセントちゃん。ゲブホァッ、骨が折れるかと思った」
「ごめんノゾム……実はあたし、人より力がちょっと強いの」
「うん、知ってた。つーかちょっとのレベルじゃないのも知ってる」
ゲホッ、と咳き込んでノゾムはため息をついた。こいつ風邪引いてたんだよね、ねぇ? と。
くすくす、と笑うクレセントをしばらく膨れっ面で睨んでいたが、ふとおもむろに呟いた。
「……しっかしなー、何で白陽がお前を守りたがってんのかがよく分かったぜ」
「ふぇ?」
「お前の笑顔だよ。あいつが守りたがってんのは」
ノゾムは思い返した。白陽はクレセントが傷つくのも苦しんでいる姿を見るのも耐えられなかったのだ。
だからノゾムに文句を言ってきた。だからノゾムに徹底的に食い下がってきた。
これ以上、あいつの笑顔を奪うのはやめてくれ、と。
---------違うんだ、白陽。こいつの笑顔を守りたいのは、オレも同じなんだ。オレだって、クレセントを、友達を苦しめたくないんだ。
だが、どの道クレセントはヒナタに渡すつもりでいた。
---------それが一番、良いよな。
だからこそ、今だけでも--------ノゾムはクレセントと一緒の時間を過ごしたかった。
「やだ、何真顔で恥ずかしいこと言ってるの」
「お前には笑顔が一番似合うんだってこと」
「ばかっ、恥ずかしいって言ってるじゃん!」
あ、やべ。今度こそ彼は命の危険を感じた。
照れたクレセントが思いっきり自分の体を抱きしめたときは、死ぬかと思ったノゾムだった。
白陽なら、多分平気なのだろうけど。
「……友達、か」
もう1度その言葉を噛み締めた。
「オレには良い友達が……できたな」
- クリーチャー名鑑1:白陽 ( No.58 )
- 日時: 2016/02/07 13:41
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: S0f.hgkS)
「私は心に決めたんだ。この手で彼女を守ると」
白陽 男
容姿:陰陽師の服を身に纏った二足歩行の狐の獣人。烏帽子は緊急時にのみつけており、普段は被っていない。また、九本の尻尾を持つ。体形は痩せ型ではあるが、クリーチャーだからか、本来の姿のときは身長は2mと人間から見れば高い方ではある。また、体毛の色は黄金で綺麗ではあるが、自身が手入れを怠っていたからか、最初はくすんでいたらしい。今はヒナタが手入れしている。
性格:生真面目で、”基本は”謙虚な性格。戦いのときも常に落ち着き払っており、取り乱したところを窘めるなど、彼がヒナタを助けることが多い。しかし、普段は日常的に性格が反対のヒナタとはぶつかり合うことが多かったりする。一方で、恋人(獣?)・クレセントのことになると一転、普段の冷静さは失われ、暴走することもある。
また、照れ屋でもあり、押しの強いクレセントのアピールには参っている……が、実はむっつりスケベの気がある。
クリーチャーの性質として、よほどではない限り相手を殺すことには躊躇がないためか、残酷な一面を見せることも。
解説:陰陽術を心得ており、トリッキーな戦法や窄め手を沢山使う技巧派クリーチャー。クレセントとは幼馴染で恋人。しかし、両種族が敵対関係だったため、最後は互いに自身の種族を裏切り、”また2人で笑い合える未来”のために大戦闘の中、2人だけで反乱を起こす。しかし、裏切った味方の数は余りにも多かった。石化の妖術でクレセントと自身を封印し、永久を共にすることを決意していたが、現代に蘇ることに。最初は地球の邪気に汚染され、悪の心を持っていたが、ヒナタとの激闘を経て浄化されたことにより、元の心を取り戻す。そして彼の相棒となった。一体、誰が自身を蘇らせたのか、そして新たな力を与えたのかは分からないが、共に復活したクレセントのために今度こそ彼女を守ることを決意する。
毎晩、ヒナタと一緒に星を見るのが日課である。
陰陽術や妖術など、古来日本に伝わるような呪術を中心に扱い、また最大の能力は”イリュージョン・ペースト”。自身の放つ特殊な炎に”記憶”させた物を別のものに”貼り付けて”、あたかもそこにそれが存在しているかのように見せかける能力。また、例えば炎を人に貼り付けた場合、その人は自分が燃えたと錯覚するように、相手に精神的なダメージを与える能力でもある。これが”幻炎”と呼ばれる能力である。これを食らうと精神力が弱ければ、そのままショック死してしまう。
そして、最大の弱点は尻尾であり、これを握られると妖気が抜けて一気にただの子狐となってしまう。これは、九尾がクリーチャーとしての姿を妖気で保っているからである。
妖気が溜まるまでの間はずっとこの姿のままである。そしてヒナタからは首輪を付けられ、毎食ドッグフードを与えられるなど、完全にペットとしての扱いを受けている。性格も幼児後退したかのようになる上に、普段の冷静さはどこへやら、完全なオープンスケベに。
備考:九尾の種族の長。
尾英雄 開闢の「白陽」 火文明(7)
クリーチャー:フレイム・コマンド/アーマード・ドラゴン 7000
相手のドラゴン及びドラグナーは攻撃もブロックもできない。
W・ブレイカー
マナ武装7:このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、マナゾーンに火文明のカードが7枚以上あれば、このターン、自分のクリーチャー1体のパワー、コスト、シールドをブレイクする数は、バトルゾーンにいる相手のクリーチャー1体と同じになる。
- クリーチャー名鑑2:クレセント ( No.59 )
- 日時: 2015/09/28 21:07
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)
「……そうだよね、あたしが弱気になっちゃ、ダメだよね!!」
クレセント 女
容姿:混じり気の無い純白の体毛を持つ二足歩行の兎の獣人。胸周りにもふもふとした飾り毛が付いている。また、瞳はルビーと例えられるほど紅く、美しい。体形もやや女性的ではある。戦闘の際は毛皮の上に直接装甲を纏うが、極限まで動きやすくするために、纏われているのは胸と脚、腕のみ。また、それらにも隠し武器が大量に仕込まれている。
普段の服装は、黒のインナーシャツに半ズボンとかなりラフである。
性格:快活明朗で誰ともフレンドリーに接する気さくな性格。決闘空間では、精神的にまだ未熟なノゾムを隣からサポートする。幼い言動も少々目立つが、過去の数多の戦闘で鍛えられたのか、芯はしっかりとしており、多少のことでは動じない。また、走ってぜぇぜぇ言っているノゾムにスポーツドリンクではなくコーラを飲ませるなど、お茶目が過ぎるところも。
そして彼女もクリーチャー。よほどではない限り、相手を殺すことには躊躇はない。人間と違い、クリーチャーは戦闘生物。相手を殺すときの心のタガというものが存在しないのだ。
解説:その可愛らしい容姿からは想像も付かないほどの馬鹿力の持ち主。クリーチャーとの一騎打ちでは、それを生かした鉄槌による肉弾戦を行う水文明とは掛け離れた戦法を取る。装甲の技術の高さは水文明のそれだが。
かつて白陽と共に自らを封印したが、物語が始まる数百年前に、英雄の中で最初の復活を遂げる。十六夜家で代々家宝として祭られてきたためか、地球の邪気に汚染されなかった珍しいケース。だが、最初はカタコトで意識もはっきりとしていなかった。そして現代、打倒ヒナタのためにノゾムが彼女を持ち出したことで、物語は動き出す。白陽のみならず、ノゾムにハグなど、過剰なスキンシップを取ることが多いが、その馬鹿力の所為で気絶させてしまう。(白陽はクリーチャーなのか平気)
また、鉄槌攻撃の威力は、普通ならば受け止めることも叶わず、殴られた部分がそのまま抉られる程。白陽でさえ全身から血を吹き出した。(これは白陽が防御結界を張っていたからである)
また、彼女自身、この重い鉄槌を抱えたまま、自在に動き回ることができ、玉兎という種族の跳躍力、筋肉が他のクリーチャーとは一線を越えていることを示している。また、それのバランスもかなりよく、パッと見こそ華奢に見える。
備考:白陽LOVE。そして玉兎の族長の妹。
当初、種族はリキッド・ピープルとされていたが、それとは全く違う種族である、ムーン・ラビーであることが第二形態・クレセント・ニハルで判明。
月英雄 碧鎧のルーン・ツールC(クレセント) 水文明(7)
クリーチャー:リキッド・ピープル/クリスタル・コマンド・ドラゴン 6000
マナ武装7:このクリーチャーをバトルゾーンに出したとき、マナゾーンに水のカードが7枚以上ある場合、水のカードを2枚まで山札から手札に加える。その後、山札をシャッフルする。
相手はコスト6以上のS・トリガーを自分のターンに使うことは出来ない。
ブロッカー
W・ブレイカー
上弦の玉兎星 クレセント・ニハル 水文明 (7)
クリーチャー:ムーン・ラビー/クリスタル・コマンド・ドラゴン 7000
L・コア
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、超次元ゾーンからコスト5以下のステラアームド・クリーチャーをバトルゾーンに出しても良い。
マナ武装7:自分のマナゾーンに水のカードが7枚以上ある場合、ターンの終わりに相手のクリーチャーを2体選ぶ。そのクリーチャーはタップされ、次のターンアンタップできない。
- Re: デュエル・マスターズ D・ステラ 〜星々の系譜〜 ( No.60 )
- 日時: 2014/11/11 18:29
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: RHpGihsX)
いざコメントしようと思うと、毎回の如くどこから触れたものかと最後のモノクロの返信を辿ったら、最後のコメントが六月末で軽く驚いています。
まあ、あまり古い話になってもあれなので、アヴィオール戦あたりからコメントするとします。
そんなこんなでアヴィオール戦を読み返していたのですが……後味が悪くならないように、申し訳なく思いつつも先に目についた指摘の方からいきます。
まず《コッコ・ドッコ》で《アヴィオール》のコストを軽減と言っていますが、《コッコ・ドッコ》で軽減できるのはコマンド・ドラゴンなので、ドラゴン・ゾンビの《アヴィオール》のコストは軽減できません。前のターンに、本来4マナである《リバース・チャージャー》を2マナと言っているのが誤字であるなら、《コッコ・ドッコ》がいなくとも《アヴィオール》を召喚するためのマナは足りていますが、次のターンアヴィオールのマナが五枚になるという文から、《リバース・チャージャー》を唱えてから《コッコ・ドッコ》を召喚するにはマナは足りていませんね。《コッコ・ドッコ》がバウンスされた後のターンにチャージャー呪文を撃てば、次のターンには《アヴィオール》を出すだけのマナが溜まりますが、そうなると余ったマナで《ジェニー》が出せませんね。そして《コッコ・ドッコ》はなんで出てきたと言われるただのデコイに。
それと、《M・A・S》で《アヴィオール》をバウンスしている場面がありましたが、《M・A・S》でバウンスできるのはコスト6以下のクリーチャーなので、コスト7の《アヴィオール》はバウンスできません。恐らく、その先のデュエル展開で忘れ去られている感じの《ブラッディ・メアリー》ならバウンス可能ですが。というかたぶん、バウンス対象は《ブラッディ・メアリー》だけじゃないですかね、アヴィオールの場では。
そんなデュエル展開を根本から覆しかねないことを言いつつ、そのことは考えないで《アヴィオール》とその専用呪文っぽいカードについて触れますが、なかなかに強力なマナ武装ですね、《アヴィオール》。
上限のないパワー低下はあらゆる確定除去の上位互換になる能力ですが、マナ武装という難易度の高い条件が付くとはいえ、cipでそれが使えるのは強いです。《デスメタル・パンク》の十八番が一つ奪われましたしね。しかも自身のセイバーとリアニメイト能力が強烈にシナジーしているせいで、作中で見せていたように、最大で1ターンに二体も消し飛ばすというのは、なかなかに恐ろしいです。一度出てきたら早々止まりませんね、こいつ。
アヴィオールの専用技っぽい呪文《煉獄超技・髑髏方陣》の方も凄まじいです。水のお株を奪うようなドロー呪文、《トリプル・ブレイン》が5コストで三枚、《クアトロ・ブレイン》が6コストで4枚と考えれば普通ですが、一度手札をリセットするとはいえ、それで除去が行えるなら上位呪文に近い性能だと考えられます。しかもマナ武装を達成すれば《アヴィオール》も戻るので、手札のアドバンテージは《煉獄超技・髑髏方陣》の使用分も差し引いて+5、水文明も仰天ですね。単純比較はできませんけど。除去が目的というよりも、闇のドローソースのような使い方になりそうです……後にアヴィオール自身も、クレセントの呪文に対して少し触れていましたが、闇文明でありながら水の特徴が色濃く出ている呪文だと思います。
……ところで、ここまでで既に1400文字もあるんですけど……この調子で書きたいこと全部書いてたら、軽く更新一回分の文字数になりかねないのですけども。
そんな不安がありますが、とりあえず書けるだけ書きます。
アヴィオールの次はクレセントの専用呪文ですが、まず思ったのが、マナ武装は8なんですね。既存のマナ武装はすべて奇数だったので、というかアヴィオールの呪文がマナ武装5だったので、すべてマナ武装5で統一されているものとばかり。こういうのってできるだけ統一したがるモノクロはイレギュラーなんでしょうか?
それと、いずれの超技呪文も名前の指定が意味ありげですね……《アヴィオール》とか、《ルーン・ツール》または《クレセント》とか、名前全てではなく主要な一一部分だけというのが。まだ他にもその名前があるみたいな……クレセントに至っては二種類指定されてますし。
アヴィオールの言う、本来の姿ではない、という言葉はどのように回収されるのやら……
その超技呪文のお陰でアヴィオールの分身は撃破しましたが、まだ続くんですねやっぱり。
正直アヴィオールの方が気になるところではありますが、白陽とクレセントの過去も明らかですか……日本でいう、宮廷貴族の身分社会に縛られる恋慕と似ていますね。これがプロローグ冒頭の台詞になっていたわけですか……残っているのは、王国がどうこう言っているクリーチャーと、自らを罪人と自虐するクリーチャーですね。ハーシェルとアヴィオールは同じ世界にいながらも干渉し合わなかったようですが、こちらはそうでなはさそう……? 憶測の域を出ませんが。
憶測と言えば、白陽とクレセントの世界が妖獣界と呼称されているということは、やはり彼らの世界は和風のイメージなんですかね。妖狐とか月兎とか、如何にもそれらしいですし。そして一角獣のハーシェルと、(生前は)竜であったアヴィオールは、モデルが西洋や北欧の神話のよう……各世界ごとにモデルとなる神話や、世界観の雰囲気が存在しているように思えます。というかそう予想しています。そこから推測するに、残る二体のクリーチャーの世界は、天界という言葉から、聖書のような世界観なのでしょうか。もしくは王国という言葉が、巨大な一国独裁体制のような統治をしている世界か。なんにせよ、このような想像が止まりません。
しかし、なんかあれですね。白陽が火文明にしては陰陽道っぽかったり、クレセントが水文明のわりに馬鹿力だったり、こういう各文明の本来の特徴からずれたクリーチャー設定は、神化編のオリジンを思い出させますね。流石に無関係だと思いますが……たぶん、タクさんの世代ではなかったと思いますし。
アヴィオールがやたらと知的であるというのも、彼が元々火文明であったようであることを考えると、意図的にそうデザインされている気もしますけど。途中と最後はなんかキレてましたが、これはどちらかというと、タクさんの作品に共通するキャラクターの特徴ですし。ハーシェルは知りません。
それはさておき、ノゾムがクレセントとの関係を見つめ直していますが、こういう展開はいいですね。モノクロも自作品でこういうのはしたいのですが、メソロギィはまずもってキャラクターからして掘り下げが遅すぎたことがあり、AMはラヴァーとのあれこれが収拾ついていないので、なかなかそういう方面にシフトしていきづらいんですよね。主要なカードを絞ったとはいえ、十二種類は流石に多くて持て余し気味ですし。
あ、それと、恐らく白陽がクレセントの愛人であるというのは、愛している相手、恋人、のように使われていると思うのですが、一般的に愛人という言葉は、現代においては関係を持った浮気相手に使う言葉なので、人によったら誤解を招くかもしれません。
まあ偉い部族の族長らしいので、婚約者とかはいたのかもしれませんけど。
クレセントは武神と言われるだけあって、そちらの方が種族ぐるみとしては主だったっぽいですが……しかし武神というと、鉄筋コンクリート持ったあいつしか思い浮かばねぇ……
最後、白陽が自分を反省したり、ヒナタがさりげなく夕陽に宣戦布告してたり(度の過ぎた深読み)していましたが、まだ終わりじゃないんですよね……
こういう区切りはどことなくメソロギィっぽいですが、ともあれアヴィオールの暗躍と、それに立ち向かうヒナタたちに期待ですね。クレセントの処遇は……ま、決まり切っていますかね、この展開だと。
いつにも増して……どころではなく、ここまでで3000文字を超える、長文どころか超文になってしまい申し訳ない。これ、返信する側も大変ですよね……今後はできるだけ長くならないように気を付けます。それでは。
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