二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
日時: 2017/01/16 20:03
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。

また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。


”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”



『星の英雄編』


 第一章:月下転生

Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25

 第二章:一角獣

Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48

 第三章:骸骨龍

Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73

 第四章:長靴を履いた猫

Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114

 第五章:英雄集結

Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204


『列島予選編』


 第六章:革命への道筋

Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦

Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261

Act8:次なる舞台へ
>>262


 第七章:世界への切符

Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352


『侵略世界編』


 第八章:束の間の日常

Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393


 第九章:侵略の一手

Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃 
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416


 第十章:剣と刃

Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444


短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。

短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65

短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103

短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126

短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156

短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176

短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422

エイプリルフール2016
>>299 >>300

謹賀新年2017
>>443


登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします

オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。

お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新

Act5:天王/魔王VS超戦/地獄 ( No.298 )
日時: 2016/03/31 18:12
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: AfTzDSaa)

極魔王殿 ウェルカム・ヘル  ≡V≡  闇文明 (5)
ドラグハート・フォートレス
このドラグハートをバトルゾーンに出した時、または自分のドラグナーが攻撃する時、闇のコスト5以下のクリーチャーを1体、自分の墓地からバトルゾーンに出してもよい。
龍解:自分のターンの終わりに、自分のクリーチャーを4体破壊してもよい。そうした場合、このドラグハートをクリーチャー側に裏返し、アンタップする。




 地獄。
 フィールドが一気に暗い、地下のように暗くなる。
 会場全体が、薄暗くなる。
 そして、地中から顕現する地獄の神殿。
 それが、それこそが《ウェルカム・ヘル》だ。

「その効果により、墓地からコスト5以下の闇のクリーチャーをバトルゾーンへ。2体目の《ニンジャリバン》をバトルゾーンに出す!」
「ッ……何てタチの悪い……!」
「それだけじゃない。《ニンジャリバン》の効果により、《龍魂城郭レッドゥル》をバトルゾーンに出す!」

 再び現れる忍び装束のドラグナー。
 それにより、今度は巨大な城郭が天上より降臨した。
 そして、その加護を受けるのは——《ヘルボロフ》だ。

「《レッドゥル》の効果で、俺のクリーチャー1体はスピードアタッカーとなる! 効果を《ヘルボロフ》に使い、攻撃だ!」

 巨大な鎌を振り上げて飛び立つ《ヘルボロフ》。
 そのまま、それをシールドに向けて振り下ろす——狙うのはレンのシールドだ——

「そしてドラグナーが攻撃したので《ウェルカム・ヘル》の効果発動! 墓地より、《特攻人形ジェニー》を復活させる! ただし、今回は能力は使わない」

 ——ドラグナーの攻撃時にもリアニメイトするのか、こいつは——!
 驚きを隠せないまま、レンは唇をかみしめる。
 恐ろしくスペックの高いドラグハートだ、としか言いようが無い。その展開力には目を見張るものがあった。

「《ミラク》でブロック!」

 叫ぶホタル。
 《ミラク》が身を挺したことで、その攻撃は通されなかった。
 しかし、鎌に切り裂かれて《ミラク》は破壊されてしまう——と思われた。
 
「パワー7000と1500でバトル。こちらの勝ちだな。破壊する」
「エスケープ発動! シールドを1枚手札に加えれば生き残ります!」

 鎧龍シールド10→9


 先手を叩き込んだのは蓬莱、それも兄を押さえ付けていたジュンという結果に。
 あまり、シールドを減らすと言う意味では効果は無かったように思える。
 しかし。
 彼の目的は攻撃ではない。
 場のクリーチャーを増やすことにあったのだ。
 
「しぶといな。だが——今度は他を滅ぼす!! 《ウェルカム・ヘル》の効果発動、場のクリーチャー4体を破壊——」

 ジュンは、そのまま自分のクリーチャー全てを——墓地に置いた。

「え!? 折角展開したのに!?」
「狼狽えるな、ホタル。《ゴー・トゥ・ヘル》も似た要領だ。あれはタイミングは違うが……! これは——」

 次の瞬間、地獄の神殿は龍の口を開いた。
 そして、ガバアッとジュンの場に居たクリーチャーを全て丸呑みにしてしまう。 
 罪を食らい——彼の物は彼の者となり罰を下す——

「傲慢(Superbia)、嫉妬(Invidi)、憤怒(Wrath)、怠惰(Belphegor)、強欲(Avaritia)、暴食(Gluttony)、渇望(Asmodeus)——七つの原罪、全て彼の者は裁く——龍解」

 魔王の神殿は龍と化す。
 最強の悪魔龍、地獄の魔壊王として降臨する——




「——《極・魔壊王 デスゴロス》」





極・魔壊王 デスゴロス  ≡V≡  闇文明 (10)
ドラグハート・クリーチャー:デーモン・コマンド・ドラゴン 13000
このクリーチャーが龍解した時、相手のクリーチャーを2体まで破壊する。
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目を墓地に置いてもよい。その後、進化ではないクリーチャーを1体、自分の墓地からバトルゾーンに出す。
T・ブレイカー
龍回避−このクリーチャーがバトルゾーンを離れる時、バトルゾーンを離れるかわりに、フォートレス側に裏返す。 




 巨大な鎌を振るい、神殿より龍の身体が出現した。
 翼を広げ、天に向かって咆哮する——
 その余りにも強大すぎる姿を前にして流石のレンもホタルも怯んでしまった。
 他のクリーチャーとは一線を画す大きさは、広大なフィールドのおよそ四分の一の覆いつくす程だ。
 そして——その鎌を振るった。



「効果で《エメラルーダ》と《「四つ牙」》を破壊する。ターンエンド」




 ジュン
 手札1
 マナ0/7
 墓地7



 風が吹いた。
 その一瞬で、鎌に真っ二つにされて2体のクリーチャーは消し飛ばされる。
 跡形も無く、消滅したクリーチャーを眺めながら——レンは言った。




「……その程度か?」



 
 そう、言い放ってみせた。
 圧倒的な実力差だった。
 しかし。
 それさえも跳ねのけるかのように彼は言ったのだ。 
 ハッタリかもしれない。
 虚言かもしれない。
 それでも彼の言葉は、重い。

「な、なに……?」
「どんなに強い人間が強いカードを握っても——やはり、心が美しくないと意味が無いとはこの事だな」
「心が美しい、だと? 笑わせるな、黒鳥レン! 貴様の美学とはその程度か? 薄っぺらいんだよ、道徳の教科書じゃあるまいに!」

 今に分かる、とレンは返すと、カードを引く。



「裁くのは、僕だ。そして裁かれるのは——貴様の傲慢だ」



 カードを7枚タップし、彼は宣言した。
 そして、闇を基盤として暗黒に堕ちた天使が姿を現す。

「遍く罪に告白と懺悔を——《告白の堕天 ゼクシィ》召喚」



告白の堕天 ゼクシィ VR 闇文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド 8000
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時または攻撃する時、自分のシールドを好きな数、墓地に置いてもよい。こうして墓地に置いたシールドひとつにつき、相手は自身のクリーチャーを1体選んで破壊する。



 現れたのは、無表情で冷徹な音響の堕天使。
 ピアノの鍵盤の意匠を持つ杖を持ち、不協和音を奏でている。

「この堕天使は、登場時に自分のシールドを墓地に置けば相手を破壊する。墓地に置いたシールドの数だけな」
「……何!? 正気か貴様!!」

 タッグマッチにあるまじき暴挙に出たレンに、驚きの声をあげるジュン。
 シールドの数は共有で、自分のシールドを減らすにせよ、味方のシールドを減らすにせよ、自殺行為に変わりはないのだから。
 しかし、ホタルも全く気に留めている様子が無い。

「割るのは僕のシールドだ。後輩の足は引っ張らない。僕はシールド3枚を墓地に置く」




 鎧龍シールド9→6
 


「奏でろ、地獄の不協和音。貴様ら全員の冥土の土産だ、喜べ。《モルトNEXT》、《フォーエバー・プリンセス》、《デスゴロス》——」

 闇のエンジェル・コマンドに通じる事、それは自分のシールドを犠牲にして効果を得るということ。
 《ゼクシィ》の奏でる破滅の音階が巨大なクリーチャー3体を全て、絶叫と地獄の苦しみと共に死に追いやる。



「——破壊」



 レンが並べたシールドは残り2枚。
 しかし、《デスゴロス》は龍回避を持つドラグハート・クリーチャー。よって——フォートレスに戻れば生き残る。

「クソッ、やられた……! 《バトライ閣》があるからまだいいが……!! そして、《フォーエバー》の効果で墓地と山札を混ぜてシャッフルする——!!」
「こっちもそうだ。龍回避でフォートレス面になって生き残る、それだけの話だ!!」
「そうなるな。だが、貴様には次は無いはずだ。見たところ、《ウェルカム・ヘル》はもう超次元ゾーンにない。よって、2体目以降の《ヘルボロフ》は大きく弱体化したも同然」
「ッ……!」
「リスクを冒すタイミングを見誤ったな。シールドなど、貴様らに割られる前に自ら割っていくだけだ」

 そのままレンはターンを終える。
 


 レン
 マナ0/7
 手札1
 墓地12



 しかし。
 当然ながらこれだけで終わる訳は無かった。

「よくもよぉー? 弟の切札破壊してくれたじゃねーか。ジュン泣いてるじゃねーか、どうしてくれんだ」
「いや泣いてないし、龍回避したが」
「もう我慢できねぇ。テメェが良い感じにシールド破壊してくれたおかげで、こっちもようやく遠慮なくぶっ飛ばせそうだ——」

 言ったライトは——笑っていた。
 狂気に満ちた表情で笑っていた。
 その姿は、悦びに満ちた獣。
 戦いに飢えた狂戦士——

「俺のターン、ドロー——そして、《龍秘陣 ジャックポット・エントリー》を使う」

 6マナを払い、今引いたカードを使うライト。
 その呪文は、マナのドラゴンの数だけ山札を見て、その中からコスト8以下のドラゴンを出せるというものだ。
 そしてライトのマナには——

「ドラゴンは7枚中6体!! よって6枚を展開!!」

 山札から捲られる6枚のカード。
 そして、繰り出されるのは——

「《龍素記号Sr スペルサイクリカ》召喚! その効果で墓地から《ジャックポット・エントリー》を唱えて手札に加える」
「っ!? もう1回ってことですか!?」
「まずいな……流石に嫌な予感がする!!」

 展開される山札6枚。
 そこから現れたのは——



「2体目の《モルトNEXT》を召喚!!」



 ——悪夢、再びであった。
 同時に、龍の要塞が更に呼び出される。
 銀河と羅王。その2つを合わせた最強のドラグハート・フォートレスが——




「出て来い、コスト5以下の火のドラグハート——俺の熱い魂に応えろ!! 《闘将銀河城 ハートバーン》!!」

超・緊急☆告知!! ( No.299 )
日時: 2016/04/01 13:14
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: AfTzDSaa)

”史上最高に熱くハゲしかりしカードバトル、デュエル・マスターズ——略してデュエマ!! 此処、海戸には新たな波乱が生まれていた!!”


「デュエル・マスターズD・ステラ、まさかまさかまさかの新章突入!?」
「あの神話級シリーズとコラボをするらしいっすよ!!」
「神話級だと? 胸が熱いな」
「あたし知らないわよ!? 今これ連載中なのよね!? 新章突入とかどうすんのよ!!」
「とにかく、大大大スクープですよ!! こんなの聞いてません!!」

 以下、クリーチャーのコメント!!

『どうするんだクレセント、私は最近ただでさえ活躍出来てないのに』
『えー、その間白陽といちゃいちゃすればいいじゃんかー』
『安心しろそこの若造共。ヌシらの出番もあるらしいぞ』
『ということは、最近の出番の減りようもこれでカバーですにゃ!?』
『ボクの出番はあるんですかねぇ、これ。完全にボクの存在忘れられてません?』

 まさかまさかの、此処で新章突入ーっ!!?
 作者が銀賞取ったから調子乗りまくってるぞ、どうするんだ、大丈夫なのかぁぁぁぁーっ!?
 とにかく、今日はこの新章についてどんなところが凄いのか解説していくぞぉぉぉーっ!!
 解説はこの私、熱血ナレ太郎がお送りします!!
 


 ***


ポイントその1!!
新章は番外編方式で進む!!

新章の舞台は本編とは別の世界線!! つまり、パラレルワールドに飛ばされてしまったヒナタ達の戦いだ!!
デュエマの無い世界に突如現れたクリーチャー達!! それにヒナタ達はどう立ち向かうのか!!
かつてない絶望が襲い掛かる!!

「こいつらは——一体!?」


 ***

ポイントその2!!
出てくるクリーチャーが神話級!!

ぞくぞく登場する強敵達!! それらを統べるのが、神話級(メソロギィクラス)クリーチャーだ!!
何と!! この小説カキコでも連載されている神話級小説、『デュエル・マスターズ Mythology』から設定を借りての登場だ!!
これがその一部だ!!


「人類など、我々の手に掛かればゴミクズ同然……ふはははは」—《幻霧神話 ミストレス・クニノサギリ》



幻霧神話 ミストレス・クニノサギリ 水文明 (6)
進化クリーチャー:リキッド・ピープル/クリスタル・コマンド・ドラゴン/メソロギィ ????
詳細不明


突如現れた謎のクリーチャー!!
人類の文明を破壊し始めたぞ!! だけど、まだまだ裏には敵がいる!?



「お前達に、この再生する肉体を破壊できるのか?」—《蘇生神話 メディカル・アスクレピオス》


蘇生神話 メディカル・アスクレピオス 自然文明 (7)
進化クリーチャー:ビースト・フォーク/ジュラシック・コマンド・ドラゴン/メソロギィ ????
詳細不明



ニャンクスの居た世界でも祭られていた、彼女の尊敬する医学の神!! しかし、今度は人類を滅ぼす災厄として襲い掛かる!! 絶対に破壊出来ない不死身の身体の持ち主!!




「無差別召喚シタ神達ニ——恐レヲ為スガ良イ」—《機械神 IF》



機械神 IF 無色 (?)
進化クリーチャー:観測不能 ????
詳細不明



神を召喚したのはこいつの仕業!? 黒幕臭がぷんぷんするぞ!! あれ?これネタバレじゃね? 気にせず、次のポイントの解説だ!!


ポイントその3!!
ヒナタが別世界のヒナタに会う!?
以降、本編から切り取ったシーンだ!!



 ***


 驚愕していた。
 足が動かなかった。
 何一つが全て同じだ。
 暁 陽太(あかつき ひなた)は、目の前のサングラスを掛けた少年の顔が、身体が、何もかもが自分と同じであるという事実に驚きを隠せなかったのだ。

「お前は——俺なのか?」
「あ、ああ……」
「ねえ、ヒナ。どうしたの? って誰この人! ヒナに瓜二つだよ!?」
「!!」

 一方の暁ヒナタもそれは同じであった。
 しかし、驚きは倍以上だ。
 目の前に居る。
 自分の記憶では確かに死んでしまったはずのあの少女が、目の前の彼の隣にいる。
 ——良かった——!! この世界では、生きてたんだ!!
 そう思いながら——彼の意識は暗転していく。
 今までの疲れがどっと押し寄せていく。
 力が抜けていくように、そのまま地面に伏せたのだった——

「ってオイ!! 大丈夫か、グラサンの人!!」
「ヒナ、助けてあげないと!!」
「ああ、俺が負ぶっていく——」



 ***


 これからどうなってしまうのか!? そしてヒナタ達に何があったのか!?
 続報を待て!!
 


 ***


ポイントその4
ヒナタ達の新たな切札も登場だ!!


「行くぜ!! テメェら神様如きに人類滅ぼされてたまるかってんだ!! 《革命太陽 サンドラ》、召喚だ!!」
「先輩、オレも戦います!! 《アクア学長マスター インテリジェンス4G》を召喚!!」

 詳細は、続報を待て!! 伝説の龍・ボルメテウスに似た革命軍の新たなクリーチャー、そして名前に覚えのあるクリーチャー!? まさか最高にガチンコなあいつがエピソード2から帰ってくるのか!?



 ***



 最後になってしまったが、これから予告編的なアレを流していくぞ!!
 全員、明日からの更新に備えるべしっっっ!!
 


 ***



 ——絶望。
 とにかく、絶望的な状況だ。
 目の前の神話は、限界を語るかのように立っていた。冷たい眼差しを向けながら。
 だが、それでもヒナタは笑っていた。
 ノゾムも、笑っていた。


「しらねーよ、諦めろ、だなんて言葉——!! 絶対、諦めねえよ!!」
「がってん! オレだって、まだまだ行けますから!!」
「つまらん。まだもがくのか?」
「バーロー、なめんじゃねーぞ!! 」
「かってに人類の限界を決めるな!! オレ達は——絶対勝つ!!」


 全てを滅ぼさんとする神々。
 しかし、それでも活路はあった。

「このドローに全てを賭ける!! 俺は——俺達は活路を切り開く!!」

 


 ***



 それでは、4月2日の明日から早速更新開始だぁぁぁーっ!!
 題名は『デュエル・マスターズD・ステラ 〜復活!!メソロ・ギア!!〜』!!
 お楽しみに!!

※エイプリルフールです。新章なんかありません。 ( No.300 )
日時: 2016/04/02 00:00
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: AfTzDSaa)

やあ (´・ω・`)
ようこそ、武闘ビルの俺様のオフィスへ。
このパックはサービスだから、まず剥いてから落ち着いてほしい。

うん、「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

でも、この告知を見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい
そう思って、このスレを立てたんだ。

じゃあ、本編に戻ろうか。



ヒナタ「……」
コトハ「……」
レン「……」
ホタル「……」
ノゾム「……」


じゃあ本編に——



全員『大規模すぎだろうが、今年のエイプリルフールぅぅぅぅーっ!!』



はははははは、去年は何もしなかったからな。今年は俺様がツイッターまで使ってやらせてもらったぜ。

ヒナタ「待てぇ!! オリカも、パラレルワールドも、フルボイスも全部嘘だっていうんすかぁ!? >>299って全部嘘!?」


まあ、そうなるわな。


レン「僕が死ぬのは嘘で助かったぞ……」
コトハ「ド、ドキドキしたわ、流石に……」
ホタル「酷いですよぅ! 流石にこんなの!」
ノゾム「そーだそーだ!」


言っとくけど、エイプリルフールネタであることは分かったはずだぜ? これ。




「しらねーよ、諦めろ、だなんて言葉——!! 絶対、諦めねえよ!!」
「がってん! オレだって、まだまだ行けますから!!」
「つまらん。まだもがくのか?」
「バーロー、なめんじゃねーぞ!! 」
「かってに人類の限界を決めるな!! オレ達は——絶対勝つ!!」




これを縦読みしてみ?


ヒナタ「し、が、つ、バ、か……四月馬鹿(しがつばか)ぁ!?」
レン「つまり、エイプリルフールってことだな」
コトハ「だけど……だけど」
ホタル「乙女の純情を弄ぶなんて——!!」
ノゾム「あ、女子面子が」


コトハ「ニャンクス!!」
ホタル「ハーシェル!!」
コトハ・ホタル『やっちゃいなさい!!』



え、ちょ、おま——すんませんでし——



どごおおおおむ(爆音)



レン「女は怒らせたら、怖い、だな」
ヒナタ「さ、帰るか」
ノゾム「肝に銘じておきますね……」




 ***




 こうして、今日もまた社会のアホが処理されたのであった。
                     エイプリルフール2016(完)

Act5:天王/魔王VS超戦/地獄 ( No.301 )
日時: 2016/04/03 14:41
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: AfTzDSaa)

闘将銀河城 ハートバーン  ≡V≡≡V≡  火文明 (5)
ドラグハート・フォートレス
バトルゾーンにある自分のドラゴンはすべて「スピードアタッカー」を得る。
龍解:自分のドラゴンがアンタップされた時、このドラグハートをクリーチャー側に裏返し、アンタップする。



 現れたのは、巨大な龍の首を持つ銀河の城であった。
 その大きさは《ウェルカム・ヘル》に勝るとも劣らない。
 
「そしてぇーっ!! こいつの効果で俺のドラゴンはスピードアタッカーになる!! 同時に、俺のドラゴンがアンタップした瞬間に龍解するんだよ!!」
「え、今、何て——嘘でしょう!?」
「アンタップした瞬間——まずいぞ!!」

 思い当たる節があった。
 今まさに攻撃しようとしているクリーチャーを見る——

「《モルトNEXT》で攻撃!!」

 再び、超戦の闘士が拳を放つ。
 狙うのはホタルのシールドだ。
 しかし。同時に戦闘龍の天守閣から更なる龍が現れる。

「《バトライ閣》の効果で山札の上を捲り——《地掘類蛇蝎目ディグルピオン》を召喚!!」
「タ、ターンに二体目のドラゴン——!!」

 2人は戦慄した。
 ドラゴンは全て《ハートバーン》の効果でスピードアタッカーになっており、止まらなくなっているのだ。
 つまり、このターンに出た全てのドラゴンが打点となる。
 そして——何よりも、バトルゾーンにドラゴンが出た時、それがターンに最初のドラゴンでなければ《バトライ閣》は——




「《バトライ閣》3D龍解——《爆熱DX バトライ武神》!!」



 ——最強の戦闘龍となるのだ。
 そして、同時にホタルのシールドが二枚、叩き割られた。
 S・トリガーは——無い。

「っ——!!」
「それだけじゃねぇ!! 《モルトNEXT》の龍マナ武装5発動!! 攻撃終了時に、こいつをアンタップだ!!」

 悪い予感は当たった。
 起き上がる超戦の闘士の鼓動に呼応し、百戦錬磨の超戦覇龍が今此処に龍解する——

「駆けろ、駆けろ、駆けろ!! 龍の伝説(ドラゴン・サーガ)!! 今こそ此処に、頂点を極めて勝ち上がれ——龍解!!」

 龍の魂が昇っていく。
 そして、フォートレスはドラゴンとなった。
 銀河と羅王、2つの意思を受け継いだ、ドラゴン・サーガの最強の熱血龍として——




「——《超戦覇龍 ガイNEXT》!!」




超戦覇龍 ガイNEXT  ≡V≡≡V≡  火文明 (10)
ドラグハート・クリーチャー:ガイアール・コマンド・ドラゴン 17000
バトルゾーンにある自分のクリーチャーはすべて「スピードアタッカー」を得る。
T・ブレイカー
龍回避−このクリーチャーがバトルゾーンを離れる時、バトルゾーンを離れるかわりに、フォートレス側に裏返す。




 ——黄金の鎧、朱と蒼の主砲、そして銀河の大剣を手にして大地に降り立った。
 胸には伝説の龍・ガイアールの顔が付いており、咆哮する。

「これが蓬莱最強のドラグハート!! 本来なら《モルトNEXT》と合わせれば相手のシールドを5枚割ってそのままダイレクトアタックまでいける」

 その言葉に驚愕する2人。
 シングル戦ならば、既に倒されていたかもしれないという事実に。
 ——《モルトNEXT》、《ガイNEXT》、そして2度目の《ガイNEXT》でダイレクトアタック——何てカードだ! 
 恐ろしく高い攻撃力。
 ダブルビクトリーに恥じない強烈な破壊力と言えた。
 余計な能力は一切付けず、ただただ相手を殴り倒す事だけに特化したと言えるのだから。

「さあ、お前らのシールドは残り4枚!! まずは《バトライ武神》で攻撃!!」

 その時に、ライトの山札の上から3枚のカードが捲れた。
 《ニコル・ボーラス》、《ボルバルザーク・エクス》、そして——《熱血提督 ザーク・タイザー》。
 3体のドラゴンが現れる——

「《ザーク・タイザー》の効果で山札の上から3枚を捲り、3枚目の《モルトNEXT》と《不敗のダイハード・リュウセイ》を手札に加える。そして、《ニコル・ボーラス》の効果で手札を7枚、つまり全て捨てろ!!」
「っ! 手札が!!」



ニコル・ボーラス P 水/闇/火文明 (8)
クリーチャー:エルダー・ドラゴン/プレインズ・ウォーカー 7000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手は自身の手札から7枚選び、捨てる。
このクリーチャーが攻撃する時、相手のクリーチャーを1体、破壊する。


 
 時空間の狭間より現れたのは、最古のプレイング・ウォーカー、《ニコル・ボーラス》。最高位の悪の元凶にして、象徴だ。

「《ニコル・ボーラス》は蓬莱学園の誇る邪智と暴虐の悪龍! アタックトリガーで相手クリーチャーを破壊する能力も持つ!! そして、《バトライ武神》でT・ブレイク!!」

 大太刀によって一瞬のうちに、4枚のうちの3枚が削り取られた。
 最早、こちらに防御手段は無きに等しいのに。

「《ガイNEXT》で残るシールドをブレイク!!」

 次に襲い掛かるのは銀河の大剣だった。
 これで、最後のシールドが割られた。
 ——そう、《エメラルーダ》に仕込まれたシールドが。

「S・トリガー発動——《ドラゴンズ・サイン》! 効果で《革命聖龍 ウルトラスター》を出します! その効果でシールドを全て手札に加えて——といっても、無いですけど……山札からシールドを2枚追加します!」



革命聖龍 ウルトラスター SR 光文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン/革命軍 7000
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のシールドをすべて手札に加える。(ただし、その「S・トリガー」は使えない)その後、自分の山札の上から2枚を裏向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに置く。
革命2−自分のシールドが2つ以下なら、自分の光のシールド・カードに「S・トリガー」を与える。




「汝、我を守る盾となれ——革命2、発動!」

 次の瞬間、ホタルのシールドにS・トリガーのマークが付いた。

「これで私のシールドは全てS・トリガーです!」
「チッ、邪魔だぁぁぁーっ!!」

 叫ぶライト。
 そのまま、《ニコル・ボーラス》に手を掛けた。
 加えて、更にスピードアタッカー状態のドラゴンが4体いるのだから。

「《ニコル・ボーラス》で攻撃、アタックトリガーで《ウルトラスター》を破壊する!!」

 忘却の炎がホタルに迫った。それが《ウルトラスター》を焼き尽くす。
 革命の盾は一瞬で壊された。

「や、やっぱりダメ……!!」
「《ニコル・ボーラス》でシールドをW・ブレイク!!」

 悪龍が炎を放つ。鎧龍の勝利も希望も伝説も、全て打ち砕かんとばかりに——シールドは、もう無い——!!
 
「黒鳥先輩、私——!」

 敗北が迫る中、怯えた表情でホタルはレンの方を向いた。
 緊張で、唇が痙攣している。
 極度のプレッシャーに身体が耐えられなくなっているのだろうか。

「迷うな、ホタル」
「!」
「お前の誰かを思う事で得られる強さは、そんなものではない。絶対に、革命を起こす事が出来るはずだ」
「——!」

 彼は力強く続ける。




「貴様ならば、出来る。僕は信じている。貴様も僕を信じるんだ。貴様を信じる僕をな」




 こくり、とホタルは頷いた。
 もう、後には退けない。あの軍勢を追い払うには、これしかない。
 最初から考えていたシナリオなのだから。
 カードを手にしたとき、ある記憶が脳裏をよぎった——

Act5:天王/魔王VS超戦/地獄 ( No.302 )
日時: 2016/04/03 17:05
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: AfTzDSaa)

 ***




「絶対にぶれない芯って結局何なんですか」
「……」
「先輩は優しいけど意地悪です。何で教えてくれないんですか? デュエルの事はいっぱい教えてくださったのに」

 むう、とスパーリングを終えたレンはため息をついた。
 彼女がやっと自分に心を許した矢先の事であった。
 とはいえ、彼女も笑顔で言っているので、本気ではないのだろう。

「当たっていない事もないし、意地悪なのも否定はしないが……」
「え、いや、そんなつもりじゃ……てか意地悪だったんですか!?」
「昔も、妹分にそう言われた事がある。同級生というより後輩のようだった奴にな」
「い、いや……ごめんなさい。そういうつもりじゃなかったんです。でも、なんかあの時、はぐらかされた気がして、ちょっと仕返ししてみたくて……」
「僕は誰かを失って不安定になったことがあったからな。自分の中で絶対に消えない芯に縋ろうと思った、それだけだ」
「それって……?」
「理想だ」

 彼は言いきった。

「”こうなりたい”という自分の理想像が、人を強くする、僕はそう思っている」
「りそう、ぞう……?」
「ああ。僕は美しくありたいと思っている。正々堂々と、誇りを持つ。薄っぺらく聞こえるだろうが、大切な事だ。どんなに上面が良くても、心が汚くては意味が無い。僕を戒める理想像だ」

 彼が言うと説得力が増す。彼の美学の原点はそこにあるのかもしれない。
 ”美しくあれ”。
 不正を嫌い、厳格でも仲間想いな彼を現す言葉だった。

「……私にはまだ、そんなものはないです」
「そうか」
「……だから、私はノゾムさんに惹かれたのかもしれません。あんなに、人のために戦える人は見たことなかった。まるで、ヒーローみたいだったから」

 思春期という不安定な時期に、自分を見出すのはとても難しい。
 故に、彼女は十六夜ノゾムという少年に縋ったのかもしれない。

「でも、想えば想うほど、胸が苦しくて……だから強くなろうって思えるんです。あの小さな体に大きな魂を秘めたあの人に追いつくために」
「……成程」
「え?」
「貴様、そしてあのグラサン馬鹿のように、誰かを思う事で強さを求める者もいるということは分かっていた。だが——否定していた」

 彼は初めて、ホタルに笑みをこぼした。
 しかし、それは自嘲の笑みであった。
 本心から笑っているわけではない。

「いつ失ってしまうかも分からないものに、何故縋り、求め、想う事が出来るのか——それがずっと疑問だった。だけど、やっとわかった」

 彼は言った。

「その疑問こそが答えだということにな」
「……先輩の言う事は難しくてよく分からないです」

 むぅ、と若干拗ね気味に彼女は膝を抱えた。
 彼は気にせずに続けた。案外彼もマイペースなのだろう。

「要は、いつ無くなるか分からないものだからこそ、守り貫くために強くなろうとする。意思は同じでも、その強さは——恋い焦がれている貴様の方が上だ、淡島」
「ふぇっ!?」
「……いちいち反応が可愛いな、貴様は」
「い、い、い、意地悪!!」

 顔を真っ赤にして反論するホタル。
 それにレンは、あくまでも仏頂面で続けた。本人からすれば至極真面目のつもりで言っているのだろう。
 が、しかし、こちらとしてはさっきから気持ちがかき乱されている気がしてならない。

「褒め言葉として受け取っておけ。この黒鳥レンに褒められた、と誇りに思え」
「あんまり嬉しくない……」

 でも、合ってます、と彼女は続けた。
 レンの言っている事は図星だ。流石というべきだろう。
 顔を真っ赤にしながら、言葉を1つ1つ選んで紡いでいく。




「ノゾムさんは、自分の理想像を持ってる。だから私はこんなにあの人にあこがれて——好いてるんだと思います。ノゾムさんのことが……好きなんです」



 しばらく、沈黙が続いた。
 そして、先に吹きだしたのはレンの方だった。
 彼は素で笑ったのを、初めてみたのもあり、驚き、そして羞恥と怒りも混ざった感情で彼女は吠えた。

「ちょっ!? 何がおかしいんですか!?」
「い、いや、すまない。それをノゾムに言えば良いモノをだな。まあ、あの鈍感坊主が恋の味を知るのはもう少し先か」
「ひ、酷いです!! 人がこんなに真剣なのに!!」
「いや、だが、それで良いと思うぞ。自分の気持ちに自覚が持てているならな」
「じかく……ですか?」

 「ああ」と彼は返す。素直になれないあまり、恋の気持ちをこじらせている、あのポニーテールを思いだしながら。

「その気持ちを忘れるな。そして、守られるだけじゃなく、守れる人間になるが良い。淡島——」



 ***



 ——誰かを思う気持ちなら——誰にも負けない!! それが、私の力になる!!
 手札からカードを取り出す。
 これこそが、自分の考えていたシナリオだから。
 超戦覇龍の攻めに——奇跡の盾をぶつけるため。




「革命0トリガー発動——《革命の防壁》」 



 ——その前に、最後の防壁が立ちはだかった。
 攻撃が通り切らず、絶叫するライト。
 鎧龍の最終兵器・革命0。その詳細は火文明のヒナタのものしか聞かされていなかったのだろう。

「か、革命0トリガァァァーッ!?」
「私のシールドが0の時、貴方は私に攻撃しました。よって、革命0トリガーの条件が達成されたってわけです。私はこの呪文を手札からタダで唱えることができる!」





革命の防壁 R 光文明 (3)
呪文
革命0トリガー—クリーチャーが自分を攻撃する時、自分のシールドが1枚もなければ、この呪文をコストを支払わずに唱えてもよい。
自分の山札の上から1枚目を見せ、山札の一番下に置く。それが光のクリーチャーなら、自分の山札の上から1枚目を裏向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに置く。
この呪文を唱えた後、墓地に置くかわりに山札に加えてシャッフルする。 



「効果で、山札の上から1枚を見せて、それが光のクリーチャーなら《革命の防壁》は成功します!」

 ごくり、と生唾を飲む。
 賭けだ。クリーチャーの割合が多いとはいえ、失敗する可能性も無いわけではないのだから。
 ——だけど、賭けないと当たるわけがない!!
 捲られたカードは——《真・龍覇 ヘブンズロージア》だった。

「第一タスククリア! そしてこのまま第二タスク! 山札の上から1枚をそのままシールドゾーンに加えます!」
「ッッッ!! 《モルトNEXT》でブレイク!!」

 割られる最終防壁。
 まだ、攻撃できるクリーチャーは残っている。
 しかし。

「S・トリガー、発動! 《ヘブンズ・ゲート》! その効果で、《時間龍 ロッキンスター》と《エメラルーダ》を出し、手札から1枚をシールドに仕込みます!」
「ぐっ、だが、W・ブレイカーだからそのシールドもブレイクするぞ!!」

 ブロッカーに阻まれようとも、執念の拳を叩き込むライト。
 これで、正真正銘、最後のシールドが割られたのだった——それが、ホタルの仕込んだものでさえなければ、だが。

「S・トリガー発動、《DNA・スパーク》! 全クリーチャーをタップし、シールドを1枚追加します!」
「っ!?」

 まだ、防壁は残っていた。
 何重にも、何重にも——光の鎖が、全てのドラゴンを拘束した。
 あれだけの猛攻は経った今、終わったのだった。

「だ、だが、次のターンでお終いだ!! ターンエンド!!」



 ライト
 手札0
 マナ1/8
 墓地2
 next turn:ホタル

 ホタル
 手札5

 鎧龍シールド:1



 確かに傍から見れば、この状況は鎧龍が虫の息で生きながらえているだけのように見える。
 しかし。
 革命を起こすには、絶好のタイミングだ。

「私のターン——」

 もう、迷うことは何もなかった。
 マナをチャージし、全てのマナをタップした。
 奇跡は起こした。
 後はもう、迷わず戦うだけ。

「コストを2軽減し、6マナを使って《時の玉 ミラク》を進化——」

 正義の宝玉が大空へ飛ぶ。
 未来へ行くために、時さえも空間さえも超える天王へと昇華する。
 人を想う覚悟に、革命の時は未来より訪れた。

「時を超える天王よ、私の天命の下へ! 更なる未来を掴むため、革命を起こしなさい!」

 《時の玉 ミラク》は遂に超えた。 
 時間も空間も、すべての節理を超えて奇跡を起こす。
 未来の天王にして、伝説の革命軍が今、降り立つ——



「天高く舞い、歴史を変える奇跡となれ!!
《時の革命 ミラダンテ》!!」


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