二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
日時: 2017/01/16 20:03
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。

また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。


”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”



『星の英雄編』


 第一章:月下転生

Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25

 第二章:一角獣

Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48

 第三章:骸骨龍

Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73

 第四章:長靴を履いた猫

Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114

 第五章:英雄集結

Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204


『列島予選編』


 第六章:革命への道筋

Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦

Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261

Act8:次なる舞台へ
>>262


 第七章:世界への切符

Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352


『侵略世界編』


 第八章:束の間の日常

Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393


 第九章:侵略の一手

Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃 
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416


 第十章:剣と刃

Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444


短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。

短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65

短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103

短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126

短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156

短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176

短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422

エイプリルフール2016
>>299 >>300

謹賀新年2017
>>443


登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします

オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。

お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新

短編5:恋情パラレル ( No.157 )
日時: 2015/09/28 20:03
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

「あーあー! もう、”オーロラ様”なんか大っっっ嫌いっ!! うるさいし、やたらしっかりしてるし! あたし達は妖精なんだよ? 悪戯の1つや2つやったって良いじゃないのよぉーっ!!」
「……それは流石に、あんたが悪いと思う。あんな化物呼び出すとか」
「うるさいうるさいうるさいーっ! 最近のオーロラ様、ずぅぅぅっとしかめっつらしてたから、あたしが気を利かせて、ちょっと景気づけにびっくりさせてやろうかと思ってたのに!」
「……はぁ。それで怒られて拗ねて飛び出して来たんだ……どっからどう考えてもあんたが悪いでしょ」
「良いもん、良いもん、良いもーん! あたしは人間界で好き勝手してやるんだからっ!」
「それに付き合わされるあたしは一体……」

 ふよふよ、と2つの光の弾が漂うように空中を彷徨っていた。それらは、地上を見下ろすようにしてしばらく眺めていたが、ぴたり、と静止した。

「ふぅーん?」

 まるで品定めでもするかのように、地上の1つの目標に視界を合わせると、”彼女”は悪戯っ子のように笑った。

「あの子とか良いじゃない? ”内に秘めてるラブパワー”が押さえ込まれてて、可愛そう」
「あのしかめっつら……オーロラ様に似てる」
「良いじゃん、良いじゃーん! あたし達の力で、恋のパワーを最大出力まで上げたら……どうなるだろうね? あの、いかにもツンケンしてる顔がぶっ壊れるのが、楽しみ楽しみ楽しみ〜!」
「嫌だよ、最近人間界にもおっかないクリーチャーを従えた人間がいるって……あたしはやらな---------」
「あ、この間美味しそうなアイスクリーム屋さん見つけたんだけど」
「やる。何でもやる。あたしがんばる」
「とにかく、あの子をつけてみましょ? ね?」

 1つの光は、自分が見定めた少女に向かって追うようについていく。
 この姿ならば、誰にも感づかれない、気づかれない。

「で? どうするの、もしも厄介なことになったら」
「あんたは相変わらず心配性ねー? 何のための召喚術だと思ってるのよ! あたし達2人が組めば最強、でしょ?」
「まぁ、そうだけども……」

 それじゃ、と片方の光は勢いよく飛んでいく。


「悪戯といこうかしら!」
「待っててば……」

 
 ***


「火を入れても良いかもしれないわね……。準緑単とか」
『それも良いですけど、コトハ様ー? これとかも面白いですよ』
「そうね。この間、星目先輩も使っていたしね」

 カードショップの一角で、如月コトハはデッキを組んでいた。ニャンクスも一緒だ。
 ----------ヒナタの奴……また強くなっていたわね……あたしだって負けてらんないんだから!
 ただ問題が1つあるとすれば。

「……おい、レン。何分経った?」
「一時間だ。これは長丁場になりそうだな」
「とっくに長丁場なんだよ……考えすぎなんだ、コイツ」
「貴様が考え無しなだけだ」

 友人2人-----------暁ヒナタと黒鳥レンを早一時間の間、待たせていたことであろうか。
 ----------さあ、後はこれで----------
 コトハがデッキに、最後のカードを押し込んだそのときだった。彼女の頭の上に、光のようなものが降りた。しかし。コトハやニャンクスを初めとした誰も、何が起こったのか気づかなかった------------


 ***


「……クリーチャー? またか?」

 いつもの武闘ビルにて。武闘フジはPCに向かいながら、タブレットで会話をしていた。PCには、某艦船ゲームの画面が移っていた。

「最近は多いな。やはり、向こうで馬鹿でかい戦争が起こっている影響もあるのだろうが。しかし、こちらから介入することは許されていない。向こうのことは向こうで解決するとのことだが……こうも侵入クリーチャーが多いとなるとだな」

 はぁ、と彼はため息をついた。連日のクリーチャー事件に頭を悩ませているのである。

「まぁ、良い。面白いから、放っておく」

 いや違う。この色々危ない現状をどう楽しむか考えているのだ。やっぱりこの男は天災であった。
 

 ***


 通算5度目の試合。今回、ヒナタとコトハはこの近辺にあるカフェの名物スイーツを巡って対決をしていたのだった。
 勝った方が、負けた方に奢って貰うという、如何にもといった勝負であった。
 コトハは、大のスイーツ好きだ。そしてそれは、ヒナタも同じであった。
 しかし、特に彼女は月1度の限定販売品であるこのパフェに命すら賭けているのである。幾らヒナタが相手といえど、いや相手がヒナタだからこそ退くつもりは更々無かった。
 ただでさえ値段の張るこのパフェを奢って貰える。こんな2つの意味で美味しい勝負、受けないわけが無かったし、負ける気等毛頭無かった。
 
「出来たわよ! 今度こそギッタンギッタンにしてやるわ!」
「此処まで2勝2敗……つーか連戦の途中でデッキ変えるとか」
「あんたにゃ言われたくないわよ!」
「チッ、バレたか」

 いつも通り、不敵な笑みを浮かべるヒナタ。
 いつも通り、気難しそうなしかめっ面を浮かべるコトハ。
 テーブルにカードを並べ、2人は向かい合う。

「全く、好い加減にしろ……」

 関係ないのに付き合わされているレンが呆れてたように言うも、がうっ、と吠えるように2人は食って掛かった。

「うるせぇーっ! お前にボルバルザーク・紫電・パフェの何が分かる!!」
「そうよ!! あんたには分からないでしょうね!!」
「何でこの街には、微妙なネーミングのスイーツがありふれているんだ、おかしい!!」

 レンの至極全うな突っ込みを無視し、早速コトハは最初のカードをマナに置き、ゲームを進めてしまう。
 ----------絶対、負けないわよ、ヒナタ……!!
 そう強く念じ、彼の顔を見た。それ自体は、何気ない普段どおりの動作だった。
 しかし。今回ばかりは違った。

 
 -----------可愛そうに。こんなに熱い感情が押さえ込まれてるなんて。
 -----------今、あたし達が解き放ってあげるから。
 

「!?」


 何かの声が聞こえたような気がした。
 そして次の瞬間、コトハは突如、胸が燃えるような感覚に襲われた---------------

短編5:恋情パラレル ( No.158 )
日時: 2016/08/28 09:59
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

----------今の……何?
 感じたことの無い動悸に襲われたコトハは、視界が揺らぎ始める。
 それも、ヒナタの顔を見ただけなのに。
 いつもはどうということは無い、ヒナタの顔なのに。

「コトハ? どうした?」

 ----------お、おかしいわよ! た、確かに最近は意識してたところはあるかもしれないけど……おかしい! てか、あたしの馬鹿!! 意識なんて、元からしてないっ!!

「何でもない! 続けるわよ! 《霞妖精 ジャスミン》召喚! 破壊して、マナを1枚……」

 再び、ヒナタの顔が視界に入る。
 どうやら、心配してこちらの顔を覗き込んでいるようだ。
 
「お前、顔真っ赤だぞ、熱でもあんのか?」
「なななな、無い!! 断じて!! 無い!!」
『コトハ様? 大丈夫ですかにゃ?』
「うるっさい! 大丈夫じゃないことない! ターン終了!」
「はぁー、無理すんじゃねえよ。とりあえず、この1戦をやるだけやって、解散すっか今日は……」

 ---------あうう……ヒナタやさしい……じゃなくて! これくらい普通よ、普通!!
 次のヒナタのターン、彼はマナをチャージしただけで終えた。しばらく、何も起こらずにターンが過ぎていったが------------

「あ、あ、あたしのターン……」

 ---------あうう……くらくらする……あたし、風邪引いちゃったの……ヒナタ……ひなた……ひにゃた……
 だんだん、体の制御がきかなくなってくる。体がもう、動かない。
 ぽろぽろ、と握っていた手札が落ちた。

「おーい? 如月さん? 大丈夫か?」
「あひぇ……へーきだってばぁ……」

 言葉の呂律が回っていない。明らかにおかしい。さらに脳内が、1つの思考で埋め尽くされていく。
 ---------ひにゃた……ひにゃたのことしか考えられないよぉ……どうしてぇ……?

「大丈夫ではないだろう……」
『コトハ様! お気を確かにですにゃ!』
「へーきよ……あたしは……」

 しかし、その言葉には全く説得力が無い。顔は赤く、体は力が抜けてぐったりしていた。

「おいおい、本当に熱あるんじゃねえか?」
「ひゃうっ!?」

 コトハは悲鳴を小さく上げた。ヒナタがいきなり、額に手を当てたからだ。彼の肌が自分の肌に触れたということがトリガーになり、彼女の顔は沸騰したように熱くなっていく。視界はくらくらし、そのままぐったりと倒れてしまった。

「おい!! 大丈夫じゃねえだろ、これ!!」

 ---------どうしたのよ、あたしぃ……。
 それを見かねたか、とうとうニャンクスががうっ! と吠えるようにヒナタに叫んだ。
 
『ヒナタ様っ!! コトハ様はたった今、風邪を引かれましたのですにゃ!!』

 若干敬語がおかしいが、そこはスルーし、ヒナタは突っ込む。おかしい。明らかに違和感を感じる。

「ええええ!? ありえるの、そんなん!?」
『無 理 し て い た ん で す にゃ!!』
「僕からすれば、貴様のその理屈に無理が-----------」
『断じて無いのですにゃぁぁぁーっ!!』

 ざくり、と音がした。見ればレンの顔には、ピアノ線のような引っ掻き傷が何本も出来上がっていた。

「り、理不尽……」
『というわけで、本日は帰らせていただきますにゃ!!』

 そういうと、ぐったりしたコトハの背中にカード状態で張り付き、無理矢理背筋を伸ばして、ニャンクスは彼女を押す形で店から出て行った。
 ぱっと見無理のある光景ではあったが。

「おいおい、大丈夫なのかアレ」
「おのれ……あの糞猫……」


 ***


 ----------如月宅。

「ごめんね……ニャンクス、あたし風邪引いちゃったみたい……」
「大丈夫ですにゃ! 主人の身の回りの世話は当然の役目、お病みの際は尚更ですにゃ!」

 ベッドに寝転がり、力なくコトハは呟いた。
 ----------おかしい、おかしい、おかしいのですにゃ! 至って健康体だったはずのコトハ様が、いきなり風邪を引くなんて有り得ないのですにゃ!
 それは、医学に精通しているニャンクスが一番理解していた。
 そして、彼女の左胸に触れた。そこから魔方陣が浮かび上がる。
 ---------はにゃぁ〜、良い感触……ほどよい柔らかさ、大きさ、最高にゃあ……ってちがぁぁぁう!! 一体、何の病魔か呪いか、この僕が暴いてみせるのですにゃ!!
 一瞬、危ない道に逸れ掛けたが、本来の目的を思い出してニャンクスは魔方陣を広げる。そこから様々な術式を嵌め込み、症状から何が原因なのかを読み込んでいく。
 この方法は少し時間こそ掛かるが、普通の病気は勿論、それ以外の”呪い”や”呪文”などを炙り出し、それを対処する薬を精製することができるというニャンクスの得意技だ。ただし、いずれも外的要因が原因でなければ、薬を精製することはできないという弱点はある。決して、万能ではないのだ。しかし。逆に言えば、外的要因が絡む病気、呪いならば全て解除することができる、現代医学を超越したそれであることは間違いない。
 そして、間もなくそれが出てくる。
 ---------この僕の力をもってすれば、あらゆる病気を治せる!!
 さあ、導き出せ”アスクレピオスの魔方陣”!! 我が主を蝕む病魔の正体を暴くのですにゃぁーっ!!
 ニャンクスが掌に映した呪文を魔方陣に叩き込む。その瞬間、彼女の脳内にバチンッ!! と電気が走った。病魔の正体の情報が流れ込んできたのだ。
 同時に、それを治す方法を示す文が空中に浮かび上がる。
 しかし、それを理解した瞬間、彼女の脳内はフリーズした。
 ---------え?
 そして、今横たわっている自分の主の姿を見た。何か、言葉を紡いでいる。

「にゃんくすぅ……あたし、何も考えられない」

 彼女の顔が青ざめた。真っ赤に熟れているコトハとは対照的に。

「ま、まずいですのにゃ……」

 結果は呪い、であった。
 しかし、それだけではない。問題はその内容だ。
 


「あたし、ひなたのこと以外、かんがえられなひ……」



 顔が引きつった。
 ---------そ、そんな、馬鹿にゃぁーっ!! あのコトハ様が、そんなものに引っかかるなんてぇぇーっ!?
 聞いていない。こんなもの。一体、誰がやったというのだろうか。


「ふざけてるのですにゃ……”一目惚れの呪い”なんて……」

短編5:恋情パラレル ( No.159 )
日時: 2016/08/28 09:59
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

一目惚れの呪い 無色 (5)
呪(い)文
この呪いがかかった直後に最初に見た相手に好意を抱く。さらに、その好意に”素直”になる。つまり、時間が経つごとにどんどん隠せなくなっていく。
ツンツン気質な人は、頭がパンクして倒れることがある。しかし、次第にふらふらと立ち上がるので、身内は安心することができる。
最終的に理性が抑え切れなくなって、イベントシーン突入☆ なんてこともある。


「イベントシーンって何!? めっさアバウトにゃ!! 此処までアバウトなのは初めてにゃ!?」

 
補足:最悪は発禁になる。


「何の話にゃぁぁぁーっ!!」


 大人の話である。そしてこの小説の話である。
 ニャンクスは、魔方陣に映ったコトハの病魔の正体である”一目惚れの呪い”の効果を見ていた。
 が、しかし。このとおり、てきとーなことしか書いていなかったのだった。今までこんなことは無かったというのに。
 そもそも、こんな呪いを見るのは彼女も初めてだったのだ。
 赤面しながら、ヒナタの名前を連呼している主人の姿を見るのは堪えられない。さっさと終わらせてしまえ、とマナを使って製薬能力を発動する。
 アスクレピオニスの魔方陣により、マナは自分の思ったとおりの薬を作り出す。いつの間にか寝息をすやすや、と立てている主人を垣間見ながら、ニャンクスは集中して作業を進めていった。
 ----------これで-----------いける! 火のマナを2つ、水のマナを3つ、光のマナを1つ-------------!
 これで、終わらせられる。そう思ったときだった。


 ぱりんっ!


「にゃあ!?」

 窓が割れる音がした。思わず振り向く。見れば、窓に開いた穴から何かが伸びてくる。
 少し遅れて、それがニャンクスの体に絡みついた。手足が縛られ、製薬をそのままやめざるを得なくなってしまう。
 見れば、それは蔓のようなもの-----------いや、蔓そのものだった。しかも、彼女の記憶では、これはクリーチャーの生息する世界にしか存在しない植物である。

「だーめだよー、邪魔なんかしちゃあ」

 声が聞こえた。それも、少女の声だ。
 振り向けば、そこには少女の姿があった。それも2人。しかし両方共、民族的な衣装を身にまとっており、頭身こそ高いが普通の人間よりもその背丈は非常に小さい。目と鼻は仮面のようなもので覆われており、表情の全てを読むことはできない。
 所謂、”スノーフェアリー”と呼ばれるクリーチャー達であった。

「だ、誰にゃあ! 早く呪いを解かないと-----------」
「あらー? それは聞き捨てなら無いかなー? だってその呪いをその子にかけたのあたし達だもん」
「残念だけど、此処でお終い。恋の邪魔者には退場して貰う」
「愛を阻むものにはお仕置きあるのみー!」
「にゃぁぁぁーっ!! お前達は、何者にゃぁぁぁーっ!!」

 叫んだニャンクスの必死さを嗚呼哀れと言わんばかりの眼差しを向けたのが仮面の上からでも分かった。

「しっかたないなー。教えてあげるよ。あたしは愛妖精のミル! ぴっちぴちの、お茶目なスノーフェアリーでーす!」
「あたしは恋妖精のメル。この子の悪さに嫌々付き合ってる」
「もー、メルー。そんなこと言わないのー! あたし達は2人合わせて、《愛恋妖精 ミルメル》って名前でコンビ組んでるの!ふっふーん、よろしくー!」
「よろしくじゃにゃぁぁぁーい!! さっさと解くにゃぁぁぁーっ!! さもないと痛い目を-----------」 
「うるさいなー」
「どうする」
「そんなの、決まってるじゃん! 黙らせる! 力づくで!」
「……やな予感」
「でもでもー、こいつ結構強そうだしー? 今のうちにいじめておかないと、損ってもんでしょ!」

 今度は、ニャンクスの首に蔓が巻き付いた。
 驚いた表情が、次の瞬間には悶絶した苦しそうな表情に変わる。
 思い切り、蔓が首を締め上げたのだ。悲鳴をあげようにも喉が潰れて上手く声が出ない。

「にゃぎいいいいい!?」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ、死なない程度に締めるだけだから!」
「……もし死んだら」
「大丈夫だってー、そのときは運が悪かったと諦めるだけよ!」
「えげつない……」
「事実……こいつ、結構強いみたいだからね? あんたみたいな奴じゃないと、こんなことしないんだよ? 本当よ?」
「ぎ、ぎいいいい!! ……」

 声にならない悲鳴がしばらく続いていたが、そこで蔓が緩まった。
 げほっ、げほっ、と咳き込み、肺の中に新鮮な空気が入ってくるのを身に染みて感じたニャンクスだったが、それだけでは終わらなかった。

「相当、今ので弱ったみたいだねー? あたし達のペット、
《ラブ・エルフィン》ちゃんの養分吸収能力で、あんたのパワーはもう限りなく0に近いはずよ」
「こんなことをして……ゲホッ、許されると-------------!!」
「暴れないでね? 今度は勢い余って殺しちゃうかも」
「こいつ、どうする」
「そうねー。どっかにくくっちゃおうか!」
「賛成」
「にゃぎぃぃぃ……!!」

 最早、身体に力が入らない。そのまま、ニャンクスは意識を闇に落とした-------------


 ***


「------------というのが、お前が鎧龍の時計台の針に括り付けられるまでの経緯か、ニャンクス」
「れんしゃまぁぁぁ〜!! 怖かったですよぅぅぅ〜!!」

 泣きながら、ニャンクスはレンに抱き着いた。
 現在、昨日のいっけんから一夜明けて早朝。日直で早く鎧龍に登校してきたレンが、時計台の時計のど真ん中に括り付けられたニャンクスを発見した次第であった。

「全く、どう助けてやるものかと難儀したぞ。僕にはヒナタやノゾムのようにクリーチャーがいないからな。まあ、良かったよ。時計の整備のために、時計本体に窓がついていたからな」
「うえええん、レン様、恩にきりますにゃあああ、この恩は臓器を売ってでも、いや体を売ってでもお返ししますにゃぁぁぁ」
「重い!! 重すぎるから!! 誰もそんなこと求めてないから!! 貴様にこれ以上の災難と苦痛は求めてないから!!」
「ふにゃああああ、レンしゃまああああ、僕は昨日、貴方のお顔を引っかいてしまいましたにゃああああ、なのに助けてくださるなんてえええ」
「あー、そんなこともあったが」
「だから臓器か身体を----------」
「良いから!! いちいち重いから!!」
「レンしゃまああああ」
「よしよし、怖かったな……はぁ」

 -----------まさか猫のお守りまですることになるとはな……まあ、良いか。

「しかし、コトハが大変なことになっていたとは。これは、早めに手を打たねばまずいぞ。おいニャンクス。今から、例の呪いに対する特効薬は作れないのか?」
「……」
「わかった!! わかったから泣くな!! 休んでていいから!!」
「……しばらく抱き着いてていいですにゃぁ?」
「……構わん」

 面倒なことに巻き込まれた、とレンは常々感じていた。しかし、コトハは不本意な好意をヒナタに抱いてしまっているため、色々と面倒なことになりかねない。 
 呪いの性質上、例の馬鹿ップルの片割れの兎以上に重症化しかねない。
 -----------挙句、イベントシーンって……まずい。色々な意味でまずい。
 この事態をとめられるのは自分だけだ、とレンは不本意ながら使命感を抱いていたのだった。

短編5:恋情パラレル ( No.160 )
日時: 2015/09/14 01:29
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

「首が痛いですにゃ……レン様ぁ」
「仕方あるまい。蔓で締められたんだ」

 彼女を抱きかかえて首をみると、くっきりと毛の上からでも痕が見えた。例のクリーチャーの能力か、蔓が強く締め付けた場所からは、毒針でもついていたか、毛が抜けてしっていた。腫れた皮膚が浮き出ていた。もう、うぶ毛すら生えてこないようだった。

「薬で治せるから大丈夫ですにゃ」
「ならば良いのだが、無理はしてくれるなよ」

 しかし、と彼は続けた。

「一目惚れの呪いか……全く下らん」

 人の意思に直接干渉するなど以ての外、と彼は語った。
 うんうん、と彼女は頷いた。

「人の感情を、魂を、心を操作する類のものは、総じて汚らわしい。ゴミ同然だ」
「え」

 しかし、思ったよりもレンがそれを強く否定したので、少しニャンクスは驚いた。
 彼は構わずに続ける。

「人間の感情程、歪且つ美しいものは無い僕は思っている。まるでタマムシのように色にムラがあったとしても、混沌としていても、生のままの人の感情は醜く、そして美しい。生のままの人間の感情に、人間の感情や自然の力以外で干渉するのは余りにも愚かだ」

 まるで、何かを強く否定するかのように彼は言った。かつて、自分を操り、縛り付けていたものを強く、強く、否定したのだ。
 どこか感傷に浸った様子で、「そういえば」と彼は続けた。

「---------色んな人間を見てきたが、”あいつ”だけはどこか違って見えた」

 ぴたり、と彼は足を止め、空を仰いだ。

「例えるならば----------新月。光に背を向け、そこにあるはずなのに見えない月。つれない顔をして、誰にも本心を明かすことがない月」
「え?」
「……いや、何でもない。少し、旧友を思い出しただけだ」
「旧友、ですか?」
「彼女は僕のことを覚えていないだろうがな」

 ニャンクスは、その言葉で大分昔の友達なのだろう、と解釈した。しかし。
 ----------覚えていてくれるわけがない。僕はそれだけのことをしてしまったのだから。
 それは違っていた。
 ”彼女”の存在は、いつの日も彼の心に傷として残っていた。
 誰よりも自分に近いものを持っていた彼女の記憶を、この手で奪ってしまったのは紛れも無いレン自身なのだから。
 そして、彼女を想う度に胸が痛む。あの日死んだ自分の相棒と一緒に、2本の釘は彼の心を痛めつける。自責という、彼が自らに課した罰によって。
 ----------一目惚れの呪いか-----------今思えば、愚かな呪いにかかっていたのは僕の方だったのかもしれないな-------------


「これが恋の病、か------------本当に馬鹿らしい」


 *** 

 --------暁宅。朝のばたばたとした時間は過ぎ去り、家には他に誰もいなかった。
 ふぅ、と白陽は溜息を零す。目の前には、本棚に置いてあった本が山積みにしてあった。
 いつもならばヒナタに着いていくのを、今日は家にいることにしたのは、”本が読みたかった”、これだけである。

「今日は何を読もうか……」

 この人間界のことをもっと知りたい。そのためには字を勉強し、本を読むことが大切だ、とヒナタから言われた。ごもっともであるし、元々教養の高い白陽には余り難しいことではなかった。
 また、この世界の言葉は何故か理解できていた--------というよりは、自分の使っていた言葉が全て、この世界の言語に対応するようになっていた。これもクリーチャーの力か、それとも長年この世界に封印されていたからか定かではない。 
 それはともかく、元々書物を読みふけて時間を潰すのが好きだった彼は、すっかり時間を忘れてしまっていた。今頃ヒナタはバスで学校に向かっているだろう。昨日から、ヒナタはコトハの事をかなり心配していたが、今の白陽はそんなことなど忘れていた。クリーチャーさえ関係していないのならば、当の本人に任せるしかないのだから、と思いながらページを読み進める。
 ---------ふむ、これもなかなか面白いものだな。
 が、すぐに静かな時間は終わることになる。

「白陽ーっ! おっはよー!」

 白陽は1つ聞きたかった。何故お前が此処にいる、と。

「クレセント……私が家にいるのが何故分かった」
「えー? 白陽最近勉強熱心だから、此処にいるんじゃないかなーって、カードのまま入ってきちゃった! でもさー、白陽は本とあたしのどっちが好きなの? ねー、ねー?」
「うるさい、本に決まっているだろう」
「そんな嘘、簡単に分かるよー? 意地悪(意味深)しちゃうよ、はーくよーうー?」

 いつも通りのあどけない表情で、クレセントは白陽の首に抱き着く。構ってくれオーラを全力で出しながら、ハートを周りに飛ばしていた。
 が、一方の彼は今日に限っては、それを邪魔臭がるだけだった。
 それが気に食わなかったか、ぎゅっ、と自慢のたわわなそれを彼の背中に押し付け、彼女は甘ったるい声で言った。

「ねぇー、どうせご飯も何も食べていないんだよねー? どうする? ご飯食べる? それとも---------」

 彼の耳元で彼女は囁いた。



「--------------気をつけて。怪しい気配をこの近くで感じた」



 びくり、と彼は肩を震わせた。声の抑揚は、さっきまでの甘ったるいものとは一転し、真剣そのものだったからだ。

「……白陽も気づいていたんでしょ?」
「……いや、すまない」
「別に良いよ。あたしの方が敏感なだけだし、気にしないで。まあ、それだけなら良いんだけど、多分あたし達”見られている”よ」
「近くにいるのか?」
「ううん、多分もう張り付かれてる」

 小声で、体勢を崩さずに彼女は言った。

「それに気付いて此処に来たのか。流石だな。しかし、さっきので私が本当に”その気”になったらどうするつもりだったんだ」
「白陽はあたしに対してもガードが高いじゃん。意気地なし」
「すまんな」

 しかし。薄々、白陽は気付いていた。彼女の長い耳が、警戒するようにピクピク微動していたからである。さっきまでの行動は、全て外から見ている敵を騙すためのフェイク。演技だ。
 いつものクレセントは、完全にオープンガードなのだ。

「独断じゃなくて、ノゾムには言ってあるから。それに肉弾戦なら、あたし達が組めば最強でしょう?」
「ああ。分かっている。とりあえず、敵の位置を私も割り出す。話はその後だ」
「相手は素人みたいだよ? 隠れ方が好い加減だった」
「ならば、簡単に”引っかかり”そうだな」

 ***


「ふっふーん、まさかこんなところにまでクリーチャーがいるなんてね」

 狐と兎のクリーチャーを見ながら、メルは得意げに言った。今はバレない(はずの)ギリギリの位置から監視していた。

「どうする」
「邪魔っぽいしー? さっきのあの子がどうなるか見る前に、さっさとやっちゃおうか!」
「あ、抱き着いた」
「ラブラブだなー。……羨ましい」
「これが愛妖精とはこれ如何に」
「うるさい、うるさい、うるさい! 後ろ向いてるから、さっさと纏めて2人やっちゃうわよ!」

 さっ、と振り向き、ミルはメルに怒鳴った。
 はぁ、と呆れたようにその顔を見ると、彼女はもう一度その方向を覗く。見れば、狐と兎のクリーチャーがキスをしていた。

「あ、キスした」
「うああああーっ!! やっちゃえ、《ラブ・エルフィン》ーっ!!」

 蔓が伸び、家への進入経路を探る。そして、床下から突き破り、それが如何にもいちゃいちゃしているそれらに襲い掛かった-------------



「そこまでだ」



 低く、唸るような声が響いた。一瞬、どこからそれが聞こえたのかも分からなかった。


 ***


「-----------え?」
 
 妖精は驚いたような声を上げて、動かなかった。
 見れば、ラブ・エルフィンが締め上げた影は一瞬で崩れ落ちる。
 白陽はその首根っこを掴み、言った。

「囮だ。貴様が目を離している隙に仕掛け、その場を離れたのさ」
「な、何で……! そんな一瞬でそんなことが出来るというの!?」
「九尾の妖術を舐めるな」
「白陽ー? このおチビさん達どうする?」
「ふん、拘束するに決まっておろう。残念だったな。狙われていたのは貴様らの方だ。そもそも、そんな蔓如きでは私たちは倒せ---------」

 言いかけた瞬間だった。
 そこで白陽の言葉が止まった。見れば、尻尾に蔓が巻き付いている-----------

「あ」

 ぼん! という音と共に、彼の体が小さな狐のそれになってしまった。
 体躯も口調もすっかり幼くなり、殆どの術が使えなくなるデフォルメ形態である。

「な、何でっ……! オイラの弱点が----------!!」
「ばーか、魔力が過度に集中しているところって大抵は弱点なんだよねー……! イチカバチカだけど、あたって良かった」
「この隙に、逃げる」

 ひょいっ、と空中に上がり、2人の妖精はその場から逃げようとするが------------

「逃がさないよ!!」

 クレセントがそれを見逃すわけがない。普段、重い鎧、重い鉄槌に身を包んでいるから、生身の状態の彼女の機動力はかなり高くなる。
 ----------!?
 しかし。見れば、既に足にラブ・エルフィンの蔓が絡み付いていた。

「エネルギー、吸い取っちゃえ!!」

 目の前の妖精の声が響いた。
 一気に引きちぎろうとするが、時既に遅し。一気に足から力が抜けていき、クレセントはそのまま地面に落ちてしまう。

「むぎゅう……」

 きゅう、と目をぐるぐる回して気絶してしまった。一方の白陽も胴体を締め上げられ、そのまま抵抗できずに気を失った----------------

「---------く、くそがっ-----------!!」

 落ちていく意識の中で、無邪気に笑う敵を見ながら彼は舌打ちしたのだった----------

Re: デュエル・マスターズ D・ステラ ( No.161 )
日時: 2015/09/14 02:11
名前: Orfevre ◆ONTLfA/kg2 (ID: dUayo3W.)


こんばんは、アットスターへのコメントありがとうございます。

Orfevreです。

さて、最近の短編中心に感想を書いていくことにします。

テンザン編においてですが、《ストリーミング・シェイパー》は4枚ですね。

ミルメル編ですが、なんかカオスな流れになりそうな予感ですね。と、言いたいことろですが、メルちゃんはアイスクリームで懐柔されるという情けなさww

ここはこの2つの中で一番笑いました。

それではこの辺で


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