二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
日時: 2017/01/16 20:03
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。

また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。


”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”



『星の英雄編』


 第一章:月下転生

Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25

 第二章:一角獣

Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48

 第三章:骸骨龍

Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73

 第四章:長靴を履いた猫

Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114

 第五章:英雄集結

Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204


『列島予選編』


 第六章:革命への道筋

Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦

Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261

Act8:次なる舞台へ
>>262


 第七章:世界への切符

Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352


『侵略世界編』


 第八章:束の間の日常

Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393


 第九章:侵略の一手

Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃 
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416


 第十章:剣と刃

Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444


短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。

短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65

短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103

短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126

短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156

短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176

短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422

エイプリルフール2016
>>299 >>300

謹賀新年2017
>>443


登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします

オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。

お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新

Act7:鎧龍頂上決戦 ( No.232 )
日時: 2016/02/03 23:27
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: S0f.hgkS)

***



「あがががが——」
「嘗め腐り過ぎよ。このあたしをね」

 堂々決着。
 勝者は言うまでもなくコトハであった。
 ——ま、攻めるのが遅れた」NEXビート如きに、負けるわけないんだけども。にしても、光のトリガーを積むとか、じみーに嫌なことしてくれたわね。
 落胆する相手を一瞥し、そのまま下がる。
 そして、控えているヒナタ達の方を見ると——意外な人物がそこに居るのを見た。
 



「……リョウ?」



 ***



「おい、オメー……こんなとこに来て良かったのかよ」
「随分とピリピリしてるね。ヒナタ君。だけど、今回ばっかりは残念としか言いようが無いな。是非とも君とは決着を付けたかったんだけど」

 色素の薄い髪に、華奢な体形。
 しかし、そこにかつての虚弱さは感じられない。
 そして、知的そうな印象を助長させるのは銀縁の眼鏡。
 如何にも秀才そうな雰囲気を漂わせているのは、1年前、最初に会ったころの茅山リョウの姿とは見違えていた。
 そして、相対するのは、勿論残りのチームの面子であった。



『それでは次鋒戦! チームF、淡島選手! チームB、敷波選手! ステージに上がってください!』



「あ、それじゃあ先輩、行ってきますね」
「ああ。じゃあ、ヒナタ先輩、オレもホタルの試合を見に行ってきます」
「そうか。頼む」

 何時になく険しい顔と、静かな口調で彼は言った。
 ホタルとノゾムが去り。
 そして、対戦を終えて帰ってきたコトハと、フジ、そしてレンが見守る中、リョウが再び口を開いた。

「悪いけど。今回の大会、僕たちが勝たせて貰うよ」
「ほーう。そんなことを言いに来たのか」
「ああ。何せ、このチームのデッキは全て、”僕がビルディング、及びチューン”してるからね。リトルコーチの命令で」
「負けてたじゃねえか」
「あの風間って先輩、かなり嫌な性格でね。しかも、勝手なことばかりするから他の先輩も困っていたのさ。案の定、勝手にデッキを変えていたよ。まあ、だから何だって話だけど」

 それは、さっきの慢心丸出しの台詞からも察することが出来た。
 コトハにばっちりシメられていたのが絵になっていた。
 とはいえ、上級生が下級生にデッキ構築を任せる、というのもかなり癪に障る話だったのだろう。

「それよりも、だ。僕としては例え相手が誰だろうと手を抜くつもりは無いよ。例え、君の後輩でもね。ヒナタ君」
「ああ、そうか」
「少し挨拶を済ませたかっただけだ。最近、コンテストで忙しくて君たちともロクに会えていなかったしね。それじゃあ」

 手を振ると、リョウはそのまま、向こうのチームの控え席の方に行ってしまった。
 しかし。
 やはりと言うべきか——

「変わった、わね。リョウ」
「それもそのはず、か。あいつもコンテストで精神が鍛えられたんだろ」
「それだけ、貴様と対戦出来なかったのが残念なようにも見えるが」
「まあ、それは仕方ねーよ。しかしやべーな……」
「ああ……」

 よくよく考えてみれば。
 チーム全員のデッキ構築を任される程に彼の技術は上がっていたことになる。
 選出されたのも納得と言えば納得だ。
 しかし。やはり周りのメンバーからの受けは良くないのだろう。 
 彼も彼で、冷めたような顔を浮かべていた。 
 あの顔に楽しさは無かった。

「まあ、だからと言って、俺達が負ける理由には——」


 
 ***



「そ、そんな、どうすれば——!」

 頭の中は完全に真っ白だった。
 最後のブロッカーも《最凶の覚醒者 デビル・ディアボロスZ》のアタックトリガーで殲滅されてしまう。
 S・トリガーで出たスパーク呪文で《ラスト・ストーム》によって現れた後続の攻撃を止めたところまでは良かった。
 が、しかし。
 持ち込んだ戦略は既に完全に破壊しつくされ、最早対抗策は無く——




「《デビル・ディアボロスZ》でダイレクトアタック!!」
「ま、参りました……」




 ——敢え無く、勝敗は決した。




『決着! 勝者、敷波選手!』




「……」
「……」
「……」
「……」

 全員は黙りこくった。
 見れば、ホタルが「うっ、うっ、すいません、皆さん……」と半泣きになって帰ってきた。ノゾムも一緒だ。
 ホタルが緊張していたのもあった。
 しかし、それ以上に——

「取り敢えず、先輩……あれはやべーっすよ」
「……」

 ノゾムの一言に、デュエル終了時のバトルゾーンを見る。
 圧倒的。
 その一言だった。
 余程回っていたのか、相手のドロマー超次元はホタルの動きを完封し、勝利してしまったのだった。

「これは、一筋縄ではいきそうにねーな……」
「ご、ごめんなさい……相手のプレイング、デッキビルディング、そして私の実力が足らなかったばかりに……」



「何を慄いている」



 はっきりと、言ったのはレンだった。
 ちゃかっ、とデッキケースにデッキを詰めて、彼はそのまま進んでいく。

「淡島。貴様は初めての大会でアガっていたのもあるのだろうが、気負う必要はゼロだ。デュエルに絶対は有り得ない。どんなに練度を積もうが、な」
「く、黒鳥先輩……」
「そうだ! あとはオレ達に任せとけって!」
「ノゾムさん……」
「しかし、完璧主義というべきか、非の打ち所がないデッキだった。恐らく、個々の個性に合わせたものをチョイスしているのだろう。しかし——そんなことは関係ない」

 ざっ、とステージに立つレンは言い放つ。



「デッキだけがデュエルを決めるものではないということを、リョウのヤツに教えてやらねばならんな」



 不安そうな顔を浮かべるホタル。
 自分が負けたのをまだ気にしているのだ。
 しかし、「心配はいらねえよ」と言ったのは、ヒナタだった。

「あいつを何で中堅に持ってきたと思ってる。どんな状況でもあいつは勝つ可能性があるからだ。もう、後は信じるしかねぇよ」
「そ、そうですね……」

 かくして。
 中堅戦が始まった——




 ***



『チームB、矢上サラ選手、チームF、黒鳥レン選手、一歩も譲らない堅実な駆け引きを繰り広げる! 互いに準備段階か!?』


「僕のターン。《ボーン踊り・チャージャー》を使用。ターンエンドだ」
「あんたがかつての無色使い、黒鳥レンね。正直、あんたには注目してたんだけど、残念だわ」
「……」

 相手は二年生の矢上サラだった。
 どうやら、無色を使っていた頃のレンに興味があったようだが、正直彼からすればどうでも良いことこの上なかった。
 さて、既にマナブーストによって、何枚かマナを加速させており、現在5枚。
 そして、そのマナゾーンには、《龍覇 トンプウ》や《龍覇 マリニャン》、《龍覇 レグルスフィア》などのコスト5のドラグナーが。
 ——このデッキ——、イマイチ確信は持てないが、D・コクーンの中で似たようなものを見たことがある——
 レンは、既に連戦の経験からデッキタイプの推測に移っていた。
 場には《暗黒鎧 ヴェイダー》を置き、堅実に手札と墓地を補充する。
 矢上は——

「私のターン。《フェアリー・シャワー》を使うわ。山札から2枚を見て、マナに1枚置き、1枚を手札に。ターン終了よ」
「ふむ……」

 ——次のターンで7マナになる。
 そして、此処まででハンデスなどの妨害工作に打って出ないレンを見ながら、ヒナタ達は彼を案じていた。

「——これは、分かっているの? レンは」
「分かってないはずがありません! つーか、オレ、あのデッキ回しましたよ!」
「だとすれば、ここで何もしなければ、黒鳥先輩はかなりまずいんじゃ……」
「ふん。黒鳥が何をするのか——あいつは十分にやってくれると俺様は思っているが」

 そんな中、彼は至って涼しげな顔で自分のターンを進めていく。
 まるで、相手の行動など意にも解していないかのようだった。
 それほどまでに清涼感溢れる眼差しで、そこに動揺の文字は無い。
 
「僕のターン。《暗黒鎧 ギラン》召喚。ターンの終わりに、山札から1枚目を墓地に置き、それがクリーチャーだからカードを1枚引く。ターンエンドだ」
「ふん、それじゃあ行くわよ!! 私のターン!!」

 矢上は、生き急ぐかのように、7枚のマナをタップした。
 そして——



「残念だけど、鎧龍最強の無色使いはこの私よ! 現れよ、《神聖麒 シューゲイザー》!!」

Act7:鎧龍頂上決戦 ( No.233 )
日時: 2016/01/24 12:26
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: S0f.hgkS)

神聖麒 シューゲイザー 無色 (7)
クリーチャー:オラクリオン 7000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、またはこのクリーチャーが攻撃する時、コスト5以下の進化ではないクリーチャーを1体、自分の手札またはマナゾーンからバトルゾーンに出してもよい。
W・ブレイカー(このクリーチャーはシールドを2枚ブレイクする) 



 現れたのは、伝説の聖獣・麒麟の姿を模した偽りの神だった。
 生命を司り、意思を扇動する。
 その能力の凶悪さは、ノゾム達も知っていた。
 まず、その理由は——
 
「さあ、教えてやるわ!! シューゲイザーワンショットキルの恐ろしさを!! 《シューゲイザー》の効果で、マナゾーンより《龍覇 レグルスフィア》を召喚! そして、その効果によって超次元ゾーンより《龍魂城郭 レッドゥル》をバトルゾーンに!」



龍覇 レグルスフィア UC 光文明 (5)
クリーチャー:ジャスティス・ウイング/ドラグナー 5000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、コスト3以下のドラグハートを1枚、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。(それがウエポンであれば、このクリーチャーに装備して出す)



 獅子座の星々が光る。
 そこから、激しい光と共に純白の天使が現れた。
 そして、更に矢上の背後に巨大な龍の城郭が。
 ドラグハート・フォートレス。
 浮沈の要塞であった。

「《レッドゥル》の効果で、《シューゲイザー》をスピードアタッカー化! そして、此処からどうなるかは分かるわよねぇ!!」
「——!! 来るか」
「《シューゲイザー》で攻撃! その効果により、手札から《逆転王女 プリン》をバトルゾーンに!! 効果で《シューゲイザー》をアンタップよ!」



逆転王女プリンセスプリン UC 無色 (5)
クリーチャー:ハンター/エイリアン 2000
S・トリガー
ガチンコ・ジャッジでこのクリーチャーを見せた時、またはこのクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにあるクリーチャーを1体選び、タップまたはアンタップする。



 これが、シューゲイザーワンショットキルとこのデッキが呼ばれる所以であった。
 このデッキは、端的に言えば《シューゲイザー》で延々と殴り続けるというものだ。
 手順としては、まず《シューゲイザー》は召喚時と攻撃時にコスト5以下のクリーチャーを呼び出せるので、召喚時に自身をSA化させるクリーチャーを呼び出す。そして攻撃時に自身をアンタップさせるクリーチャーを呼び出す。これを繰り返して相手をワンショットするのだ。
 
「つか、まずいんじゃないですか先輩!! これ、ブロッカーで防いでも、最後に《キリュー・ジルヴェス》を呼ばれたら残ったクリーチャーが大挙して襲い掛かってきますし!!」
「これ、結構危ないわね……」
「やばいどころの騒ぎじゃねーな……。S・トリガーが都合よく引ければ話は別だが——レンのマナゾーンを見てみろ。《デス・ハンズ》と《魔浪月下城の咆哮》がそれぞれ3枚と2枚落ちてる。序盤あいつがいつもよりも展開出来なかったのは間違いなくS・トリガーが手札に来まくった所為だ。それでも《ヴェイダー》引けただけでも上出来だぜ」
「あ、いつものレン先輩だった。って、えええーっ!?」
「これ、シールドにトリガー埋まってるのよね……」
「現実は非情である」
「武闘先輩ぃぃぃーっ!! それは言ったらダメな奴だ!!」

 不幸ながら。
 真に不幸ながら。
 レンは序盤にトリガーを引きまくっていた。
 それも手札に。
 使うに使えないのでマナの肥やしになっていたのは言うまでもあるまい。
 
「《シューゲイザー》でW・ブレイク!」
「ブロックはしない」

 パリン、パリン、とシールドが割られていく。
 レンのシールドは残り3枚。
 
「これ、やばくねーか? 完全に防ぐ手段が見当たらねぇからあいつトリガー頼みになっているだけじゃ——」
「あ、あははは……ブロッカーがいるのにブロックしない時点で、手札にニンジャ・ストライクを握ってませんよアレ」

 そして、今度は二撃目を放とうと《シューゲイザー》が襲い掛かる。
 
「はっ! ブロックすることも諦めたのね! あんたは所詮その程度! 《シューゲイザー》の効果で《プリン》をバトルゾーンに!」

 ——私の手札には《キリュー》がいる!! 《プリン》と《ソニックマル》が切れても攻撃を継続できる! 勝った!
 完全に勝ち誇っていた。自らの優位を確信していた。
 彼女は攻撃を仕掛ける。 
 レンのシールドを全て削り取らんとばかりに——!
 
「ブロックする? しても無駄だけどねぇぇぇーっ!!」
「2枚」
「——は?」
「2枚手札が入れば十分だ。《ギラン》でブロック」

 ギラリ。
 彼の瞳が獲物を狩る目をしていた——!!




「貴様の一人芸は見飽きた」



 次の瞬間。

「——は?」

 《シューゲイザー》の胸に《ギラン》の剣が刺さっていた。
 そして、先に《ギラン》が爆散する。
 しかし。
 《シューゲイザー》は動かない。

「え、今何が起こって——」
「マナゾーンの数からして、僕が《ハンゾウ》や《ゼロカゲ》も出せないと油断したな? この愚か者め」

 既に、バトルゾーンには現れていた。
 黒い霧を纏った暗殺者が、《ギラン》の剣に大物殺しの毒を塗っていたのだ。
 
「ニンジャ・ストライク2発動。《威牙忍 ヤミカゼ・ドラグーン》。僕のクリーチャー1体、《ギラン》はスレイヤーになっていた」




威牙忍ヤミカゼ・ドラグーン C 闇文明 (3)
クリーチャー:ティラノ・ドレイク/シノビ 2000
ニンジャ・ストライク2
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、そのターン、バトルゾーンにある自分のクリーチャー1体は、「スレイヤー」を得る。




「あ、そんな——!」
「さて。手札補充もさせて貰った。貴様の前のめりなプレイングを見れば、殴ってくることは予想済みだった。貴様のデッキがシューゲイザーと分かった瞬間、この戦略は既に完成していたというわけだ。最も。三流も甚だしい。浮かれているのか、デッキに飲み込まれているのかは知らんが、貴様のプレイングは無色使いとしては——」

 《シューゲイザー》が。
 偽りの神が崩れ落ちていく。
 そして、消滅した——



「——美学の欠片も感じられなかったということだ」



 ——彼の言葉が消えると共に。
 
「あ、そんな! あたしの切札が!!」
「ワンショットキルデッキの対策に少し積んでいたのは正解だったな。しかも、《ギラン》の効果発動。バトルに《ギラン》が負けた時、タップしてバトルゾーンに復活する。つまり、僕の損失は実質0だ」

 墓地から、再び暗黒の騎士が現れる。
 巨大な剣と禍々しい邪眼を掲げて。

「み、認めない!! 何であんたが無色使いから転向したのか——!! あんた程の実力者が何で——!!」
「さぁな——」

 瞳は冷たい。
 まるで、遠くのものを見ているように。
 語るように彼は答えた。




「——僕は狡い人間、それだけの話だ」



 彼はカードを引く。
 そして——

「僕のターン。7マナで《悪魔龍ダークマスターズ》召喚。貴様の手札3枚を見て、《キリュー》、《ソニックマル》、《プリン》を纏めて墓地へ」
「あ、ぐっ——!」
「これでもう、まともに動けまい。ターン終了時に《ヴェイダー》の効果で1枚山札から墓地に置き、それがクリーチャーの《暗黒鎧キラード・アイ》だから1枚ドロー」

 狡い人間。
 そうレンは自分を皮肉る。
 かつて彼女がそう言った通りだ。
 しかし。もうその瞳に、今までの負い目は無かった。

「私のターン!! 《龍覇 マリニャン》召喚! 効果で《龍魂教会 ホワイティ》をバトルゾーンに! 効果で《ギラン》をフリーズ! 残りのシールドだけでも、叩き割ってやる!! 《レグルスフィア》でシールドをブレイク!」
「トリガー無しだ」
「《プリン》で攻撃!!」
「《ヴェイダー》でブロックし、破壊」
「そして、2枚目の《プリン》でシールドをブレイク!」

 レンのシールドは残り1枚。
 しかし。もう彼の目には恐れも、焦りも無かった。
 
「僕のターン、ドロー。そして7枚のマナをタップ。墓地の《キラード・アイ》を進化元に——墓地進化!!」

 現れ出でるは、闇より這い出る蟲の統領。
 彼は掲げる。
 自らの下僕を。

「新月の宵闇を前に、断罪の時! 悔い改めよ、《黒蟲奉行》!」

 今回のレンのデッキは黒単進化ビート。
 それも、特に”墓地”をテーマにしたもので、墓地進化や《キラード・アイ》による墓地からの進化など、徹底的に彼の好みにカスタマイズされているのである。

「さて。まずは、《黒蟲奉行》の効果で進化ではないクリーチャーの《マリニャン》を破壊する。そして、《黒蟲奉行》で《レグルスフィア》を攻撃して破壊。更に《ダークマスターズ》で《プリン》も攻撃して破壊だ」
「あ、あああ——!!」

 完全に、これで主導権はレンが握った。《ヴェイダー》の効果で手札と墓地を増やし、ターンを終える。

「そんな、私は——! 貴方のプレイングを見ていた! 同じ無色使いであこがれて——! 《破界の右手 スミス》を——召喚!」

 最期の足掻きとばかりにクリーチャーを召喚する。
 黒いサングラスに、白髪。そして、機械の右手を持つアウトレイジだった。
 かつて。何度も共に戦ったカード。かつてのレンを象徴するカードだった。
 その姿が、余りにも懐かしすぎて——

「——物好きだな。わざわざそのカードをシューゲイザーに入れるとはな」
「笑いなさいよ……!! 存分に笑いなさいよ!! 私は——」
「——いや、すまなかったな」

 切なそうに彼は言った。



「もう、貴様が見ていた僕は居ない」



 レンのターン。
 6枚のマナを払う。
 そして——

「礼を言う。もう一度そのクリーチャーの姿を見せてくれて。だがもう——十分だ。僕は、あくまでも前を向く。それは誰のためでもない。他でもない僕のためだ。自分勝手で狡い僕だが、もう振り返らない。《ギラン》を進化——」

 ——暗黒騎士の頂に、悪魔龍の王を重ねた。



「《悪魔龍王 キラー・ザ・キル》」


 
 そして、その魔眼が《スミス》を貫き、破壊する。
 余りにも容赦なかった。
 それは、レンの決意を表していたのだ。

「これで——これで良かったんだ。《キラー・ザ・キル》でシールドをT・ブレイク」

 3枚のシールドを薙ぎ払う。
 そして、まだ猛攻は続いた。

「《黒蟲奉行》でシールドをW・ブレイク」

 ガラ空きになるシールドゾーン。
 もう、矢上を守るものは無い。
 そして、最後の一撃は——



「《悪魔龍ダークマスターズ》でダイレクトアタック」



 ——切なかった。 

Act7:鎧龍頂上決戦 ( No.234 )
日時: 2016/01/31 02:03
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: S0f.hgkS)

 ***



「……バカな……私のシューゲイザーが、たった1枚のカードに……落とされたって言うの?」
「全てこうなることは予想していた。美しく繋がっていたのさ」

 ふぅ、と息をついたレンは崩れ落ちる矢上の方を見た。
 
「……無色使い、黒鳥レン……あたし達無色使いの間では絶対に話題に上がる程だったのに」
「……そいつはびっくりだな。僕は生憎人の評価なぞに興味は無かったから知らなかったぞ」
「あんた結構、その辺では人気なの知ってる? 性格はアレだからなかなか爆発的に火が付かないだけで。イケメンだし」
「オイ。褒めているのか知らんが、別に僕は興味ないぞ」
「だけどやっぱり、無色を使わなくなったあんたに疑問を覚える人がいたのも確かだわ」
「……だが、それはさっきはっきり言ったはずだ。僕には僕なりの意地と意思の貫き方がある。僕はもう、振り返るわけにはいかない。それは僕のため、そして——」

 振り返った彼の先には、仲間が居た。
 皆、彼の勝利を喜んでいる。



「僕を此処まで助けてくれた仲間の為だ」
「……そうか。仕方ないわね」


 
 吹っ切れたように言った彼女は、立ち上がると言った。

「あーあ、フラれちゃったかあ。まあ、仕方ない」
「妙な言い方をするな」
「とにかく、またあんたとは戦いたいわ。今度は絶対に勝つ。絶対、いつかまた、ね?」
「……そうだな。受けて立とう。貴様のもてる美学と実力を持って、な」

 こうして。
 中堅戦はチームFの勝利に終わった。
 レンは、こうして残るノゾムにバトンを渡すことに成功する。
 そして、その相手は——



『副将戦! チームF対チームB! 何と、大健闘にして期待のルーキー、やんちゃな天才少年・十六夜ノゾム選手! そして、最高クラスのデッキビルダー、茅山リョウ選手! 両者、準備に入ってください!』



 ——ヒナタ達のかつての仲間にして、最高のデッキビルダー。
 席に戻ったレンは、その様子を今一度垣間見ていた。
 が、先にさっきの話をぶり返されていたのだった。
 
「お前、あれか。ファンクラブあったんだな」
「知らん」
「でも、レン程の実力者が有名じゃないっていうのもおかしい話だしね。まあ、妥当じゃないの?」
「ふん。言っただろう。僕は他のヤツのためにデュエルをしているのではない。己を磨くために、デュエルを、美学を極めている。さて——」

 並ぶ2人を見ながら、レンは続けた。

「ノゾム。リョウ。貴様らが何のためにデュエルを極めているのか、それはこのデュエルで分かる話。括目させて貰うぞ」
「何のために、か。案外そういうことって意識しねーうちに出来上がってるもんなんだよなあ。ノゾムが今までの経験を、リョウという強敵にどうぶつけるか。俺は先輩として見逃せないぜ」
「ノゾムさん……大丈夫でしょうか」
「なーに、あいつがそう簡単に負けるものか」
「あんたの出番を奪ってやるって意気込んでたものね」
「さて、頼むぜ、ノゾム——」



『それでは、両者。デュエル、スタート!!』



 ***



 副将戦。
 十六夜ノゾム対、鬼才・茅山リョウ。
 かつての朗らかな雰囲気は何処へやら。
 完全に凍てつくような、人を寄せ付けない空気を放つリョウを前に、彼と相対するのが初めてのノゾムでさえ、圧倒されていた。

「君がヒナタ君の後輩の十六夜ノゾム君か……がっかりさせないでくれよ、僕を」
「がっかり?」
「そうだ」

 ぎらり、と眼鏡の奥の瞳が刺すように光る。
 
「僕は嫌いなんだよ……つまらないデッキも、つまらないデュエリストも。そんな奴と戦うのは時間の無駄だからね」

 リョウのマナには、光や水、そして自然が置かれていた。
 所謂ネクラカラーと呼ばれる組み合わせである。
 そして、マナ加速によって、既にマナゾーンのカードはこのターンのチャージで4枚になっていた。

「4マナで《電脳決壊の魔女 アリス》召喚。効果により、僕はカードを3枚引いて、手札から2枚を山札の一番上に置く」




電脳決壊の魔女(カオス・ウィッチ) アリス R 水文明 (4)
クリーチャー:アウトレイジMAX 1000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、カードを3枚引いてもよい。そうした場合、自分の手札を2枚、山札の一番上または一番下、もしくはその両方に好きな順序で置く。



「アウトレイジ……」
「ただのアウトレイジじゃないよ。僕のデッキには、もっと凄いのが沢山いる」

 ——オレも昔使っていた……だけど、アウトレイジはデッキによって性質が大きく異なる……このデッキは、一体——!?
 リョウが豪語する”ただのアウトレイジではない”という言葉。
 それが気になった。
 それこそが、恐らく彼の自信を形成する切札のヒントなのだろう。

「オレのターン! こっちは、《アクア呪文師 スペルビー》召喚! 効果により、山札から3枚を墓地に置いて、その中から《龍素解析》を手札に! ターンエンド!」
「僕のターン。《全力艦長 イカリ》召喚。効果で《アリス》を手札に」



全力艦長(ハッスル・コマンダー) イカリ R 水文明 (5)
クリーチャー:アウトレイジMAX 3000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにあるクリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻してもよい。
シールド・ゴー(このクリーチャーが破壊された時、新しいシールドとして自分のシールドに表向きのまま加える。このクリーチャーが表向きでシールドゾーンを離れる時、かわりに自分の墓地に置く)
このカードが自分のシールドゾーンに表向きであれば、自分のクリーチャーが攻撃する時、カードを1枚引いてもよい。



 現れたのは、アウトレイジの2大能力の1つ、シールド・ゴーを持つクリーチャーだった。
 シールド・ゴー。それは、アウトレイジに大きく関わる”破壊”をトリガーにし、表向きのままシールドゾーンへ置かれるというもの。
 そして、シールドゾーンにある限り能力を発動し続けるというものだった。
 が、しかし。

「オレのデッキは水単色! シールド・ゴーは出来ませんね!」
「そうだね。君のデッキに、僕のクリーチャーを破壊するカードは無い」

 そのため、受動的にシールド・ゴーを狙うのはかなり難しいのだ。
 あくまでも、シールド・ゴーを発動するには”破壊”されなければいけないのだが、水の除去手段は主にバウンスと山札送還。破壊ではない。

「オレのターン! 《氷河フランツⅠ世》を召喚! そして、《ブレイン・チャージャー》を唱えて、カードを一枚引き、チャージャーで唱えたこの呪文をマナゾーンに置きます! ターンエンド!」
「僕のターン、ドロー」

 しかし。
 そのノゾムの考えは早速崩されることになる。




「教えてあげるよ。これが型破りのアウトレイジの力。そして、何で僕みたいな奴でも、ヒナタ君と一緒に戦えていたかを」



 ノゾムは、アウトレイジの本質を知らなかった。
 そう。
 彼らは既存の法則を壊す。
 それも、自らの立てた法則さえも、常識さえも、常に壊し続ける——



「反撃を司る弓の力! 専守を司る盾の力! そして、驚異的にして脅威的な陣形! 展開せよ必殺のタクティクス、《驚異的陣形 アレキサンドライト》!」



 会場の歓声と共に。 
 光の弓矢を掲げた軍神がホログラムによって、その姿を現した。
 神々しい鎧にその身を包んだ光の無法者は、余りにも輝かしい。
 これが、リョウの切札、《アレキサンドライト》だった。
 
「やべえ……出ちまったか……」
「む? あのカードは超獣界には帰らなかったのか?」
「分からねえ……ドラポンがオーロラと全部請け負った可能性はあるが」
「え? あのクリーチャーも”生きたカード”なんですか?」
「ああ。そうだな——」

 どちらにせよ。
 リョウが最も信頼する切札には変わりない。
 その陣形は、早速展開される。
 彼の驚異的にして脅威的な陣形が。
 
「さて、これだけでは終わらないよッ! 効果により、山札から6枚を見て——《凄惨なる牙 パラノーマル》をシールド・ゴー!」
「なっ!?」
「言っただろう。能動的に動かすものなんだよ、シールド・ゴーは。どんなギミックだろうが小細工だろうが、受け身の態勢では意味が無い。意味が無いんだ!!」

 


驚異的陣形(アメイジングアロー) アレキサンドライト SR 光文明 (6)
クリーチャー:アウトレイジMAX 6000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から6枚を見る。その中から「シールド・ゴー」を持つカードを1枚表向きにして、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。残りを好きな順序で自分の山札の一番下に戻す。
W・ブレイカー
「シールド・ゴー」を持つカードが自分のシールドゾーンに表向きであれば、バトルゾーンにある自分のアウトレイジはすべて「ブロッカー」を得る。




凄惨なる牙(タスク・プロデュース) パラノーマル R 闇文明 (7)
クリーチャー:アウトレイジ 7000
W・ブレイカー
シールド・ゴー
このカードが自分のシールドゾーンに表向きであれば、バトルゾーンにある相手のクリーチャーすべてのパワーは-3000される。



「さらに、《パラノーマル》がシールド・ゴーしているから、相手のクリーチャーのパワーはマイナス3000。《スペルビー》を破壊だよ」
「っ……!!」

 小型のクリーチャーは全て消される。
 パワー3000低下というのは、それほどまでに痛手だった。
 そして補足すると、《アレキサンドライト》の効果でアウトレイジは全てブロッカーになっているので、突破は難しくなるのだ。

「オレのターン! 《ν・龍覇 メタルアベンジャー R》召喚! 効果でカードを1枚引いて、《エビデゴラス》をバトルゾーンに! ターンエンド!」
「そっちも来たか。ドラグハート・フォートレス——だけど。僕にはまだ、君たちには見せていない切札があるんだ」

 リョウの言い方。
 そこには何かが含まれていた。
 想定外を引き起こすには十分過ぎる何かが。

「僕のターン——7マナをタップ」

 光を含んだ7枚のカードがタップされた。
 そして——最硬の陣形を完成させんと無法者が現れる——




「”シールドゾーン”の《パラノーマル》を進化元に——」
「——え?」



 一瞬、ノゾムには彼が何と言ったのか分からなかった。
 しかし。
 遅れて解した。
 今、この少年は確かにシールドゾーンのカードを進化元に、と言ったということ——




「シールド進化——《絢爛する盾刃マン・イン・ザ・ミラー アイドクレーズ》!!」

Act7:鎧龍頂上決戦 ( No.235 )
日時: 2016/01/30 19:39
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: S0f.hgkS)

 現れたのは、巨大な盾を両腕に掲げた人型のクリーチャーであった。
 しかし、その盾には無数の武器が装備されており、大砲、刃、そしてレーザー砲など様々だ。
 鈍重な容姿ではあるが、その姿を一言で言うならば——鉄壁の一言だった。
 そして未知の召喚法、シールド進化。
 只のアウトレイジではないことは間違いない。

「鎧龍が開発した試製カードのうちの”1つ”。それがこの《アイドクレーズ》だ」
「っ……!」
「そして、特筆すべきはこのシールド進化。通常は、裏向きのシールドを確認して進化元のアウトレイジかどうかを確認しなければいけないが、もともとシールド・ゴーで表向きになっているアウトレイジならば関係ない話」

 次の瞬間、リョウの裏向きのシールドが2枚墓地に置かれた。《守護すぎる守護 鋼鉄》、そして《正々堂々 ホルモン》だ。
 そして、彼は山札を見て、その中から2枚をシールドゾーンに置いた。
 両方とも、《パラノーマル》のカード——




「そして、《パラノーマル》の埋め合わせは——《パラノーマル》で埋めるだけの話だ」



 ——同時に、シールド・ゴーが発動する。
 そして、辺りに黒い霧が立ち込めて、ノゾムの場の《メタルアベンジャーR》は消滅した。

「っ!? 2枚、だとォ!?」
「パワー6000ダウン。《メタルアベンジャーR》を破壊。これが《アイドクレーズ》の効果だ。我ながらえげつないと思っているよ。登場時にシールド2枚を墓地に置けば、山札から2枚、”シールド・ゴー”を持つアウトレイジをシールドゾーンに表向きにして置くことが出来るんだ」

 まさに言葉の通り、とでも言うべきか。
 パワーダウンによる場の制圧、そしてブロッカー。
 水文明は軒並みパワーが低いので、かなり厳しい状況だった。
 ——バウンスでどかすことは出来ても、クリーチャーを展開できねぇってことだが——!!
 1つだけ、方法が無いわけではなかった。
 ——龍解した《Q.E.D+》なら、防御をすり抜けて、要塞化したシールドを叩き割ることが出来る!

「オレのターン! 《エビデゴラス》の効果で1枚ドロー! そして、ターンの初めのドロー! そんでもって、呪文、《龍素解析》を使用します! 効果で手札を全て山札に戻して、シャッフルし、カードを4枚引きます! そしてターンに5回、カードを引いたので——」

 龍の要塞が展開される。
 大いなる翼を持って。
 その魂に龍の正義を込めて——



「弱き者の盾となれ! そして世界を導け! 今、最期の龍解を成し遂げろ!!
《最終龍理 Q.E.D+》、龍解完了!!」



 ——解き放つ。
 最強の主砲を持つ結晶龍の王が、顕現した。
 ドラグハート・クリーチャー。
 龍の魂を解放した真の姿を前にして、会場が沸き立つ。

「こいつのパワーは11000!! マイナスされても破壊されない!! そして、ブロックもされない!! 《パラノーマル》のシールドを2枚とも叩き割ってやりますよ!!」

 意気込み、カードをタップするノゾム。
 そのまま、その驚異的な陣形をすり抜け、巨大な主砲でリョウを守る盾を撃ち貫く——

「……そんなこと、当の昔に分かっているさ」

 ——しかし、次の瞬間。
 リョウの残る”裏向きのシールド”が身を挺してシールド・ゴーした《パラノーマル》を守った。
 そして、それらが代わりにリョウの手札に送られる。

「はっ……!? 何が起こった!?」
「残念だけど、《アイドクレーズ》の効果発動。僕の表向きのシールドがブレイクされる代わりに、裏向きのシールドを手札に加える」
 



絢爛する盾刃(マン・イン・ザ・ミラー) アイドクレーズ 光文明 (7)
進化クリーチャー:アウトレイジMAX 9000
シールド進化—自分のシールドを1枚選ぶ。それが裏向きになっていれば表向きにし、それがアウトレイジならばこのクリーチャーの上に重ねて置く。
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のシールドを2枚選んで墓地に置く。その後、山札を見て、「シールド・ゴー」を持つアウトレイジを2枚選び、シールドゾーンに表向きにして置く。こうして山札を見ていた場合、山札をシャッフルする。
自分の表向きのシールドが相手のクリーチャーにブレイクされる時、かわりに自分の裏向きのシールドを1枚手札に加えてもよい。
メテオバーン—このクリーチャーが攻撃するとき、代わりにこのクリーチャーの下にあるカードを1枚選び墓地においてもよい。そうした場合、山札の一番上から1枚をシールドゾーンに置く。
W・ブレイカー




 一言で言えば。自分の表向きのシールドを身代わりにできる、というものであった。
 恐るべきと言うか、これによってアンブロッカブルが攻めて来たとしてもそれを防ぐことが出来るのだ。
 これにより。ノゾムの攻撃は《パラノーマル》の除去に失敗したことになる。
 とはいえ、リョウのシールドも残り2枚。
 再び龍解できれば、もう《アイドクレーズ》の効果も発動せず、そのままシールドを叩き割れる。
 そのはずだった。

「僕のターン。——今のは少し危なかった。だから、僕も僕なりのお返しをしよう!!」

 5枚のマナがタップされる。
 そして——

「進化、《アリス》を《守護大帝 ストーンゴルド》に!!」

 現れたのは、黄金の髪を持つ、”守護”の無法者。
 電気のように光り、迸るその身体は全ての攻撃を無力化する盾となる。

「まず、《アイドクレーズ》で攻撃——する代わりにメテオバーン発動」
「”代わり”に——!? 攻撃するんじゃないのか!?」
「ああ。効果で進化元の《パラノーマル》を墓地に置き、山札の上から1枚をシールドに。そして、《ストーンゴルド》で《Q.E.D+》を攻撃! その効果により——《守護すぎる守護 鋼鉄》を墓地からシールド・ゴー!」



守護大帝(ジェネラル・ガード) ストーンゴルド R 光文明 (5)
進化クリーチャー:アウトレイジMAX 6000
進化−自分のアウトレイジ1体の上に置く。
このクリーチャーが攻撃する時、「シールド・ゴー」を持つクリーチャーを1体、自分の墓地から表向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。
W・ブレイカー



「なっ、今度は墓地から、だと!?」
「そうだ。これが型破りのアウトレイジの戦い方だ。ターンエンド」

 ——とはいえ、あの要塞——やはり厄介……! 2度目の龍解は好ましくないな……。
 内心、やはり脅威を感じていたのだろう。
 出来ることはやったとはいえ、まだ勝利を確信できる段階ではない。
 このまま、何事も無ければいいのだが、と彼はこの先の展開を憂う。
 
「——オレのターン、《エビデゴラス》の効果で1枚ドロー。そして、《メタルアベンジャーR》を再び召喚! 効果で1枚ドローし、《エビデシュタイン》をバトルゾーンに!」
「だけど、パワーは0だからそのまま破壊だね」
「……ターン終了だ」

 何事も、無かった。
 最早、リョウに迷いはない。このまま、決めるだけの話だった。
 ——そろそろケリを付ける。悪いけど、此処で終わりだ!

Act7:鎧龍頂上決戦 ( No.236 )
日時: 2016/02/01 20:36
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: S0f.hgkS)

「僕の場には、《アイドクレーズ》、《ストーンゴルド》、《アレキサンドライト》の3体が居る……!! そして、こいつを出す!! 2体目の《アレキサンドライト》をね!!」
「っ……来たか!?」

 6枚のマナがタップされて、2体目の《アレキサンドライト》が現れる。
 そして、再びリョウは自らの山札の上から6枚を表向きにした。
 その中には——

「《進撃する巨砲 クロムウェル》をシールド・ゴー!! これで、僕のクリーチャーは全て、スピードアタッカーだ!!」

 ——彼の詰めを進めるには十分すぎるものが入っていた。

「全体除去は覚悟の上! だけど、この盤面でひっくり返されることは早々無い! 《ストーンゴルド》で攻撃! 効果で、《パラノーマル》を墓地からシールド・ゴー! これで君のクリーチャーのパワーはマイナス9000だ! いけぇっ!!」

 ノゾムのシールドが2枚、吹き飛ばされた。
 ホログラムで実体化したシールドが割れて、手札となって手に渡る。
 しかし、これしきの修羅場、彼は何度も潜り抜けて来た。
 
「S・トリガー、《幾何学艦隊 ピタゴラス》!! 効果で《アイドクレーズ》と《アレキサンドライト》をバウンス!」
「っ……! やるじゃないか……!」

 2体のクリーチャーが消えたことにより、これ以上の攻撃はリョウにとってうま味の無いものとなる。
 手札を安易に増やすのは良くない。現に、こちらにはまだ《ストーンゴルド》も《アイドクレーズ》も残っている。
 しかし。逆に言えば、速効性のある打点があるならば、やはり殴った方が良いのではないか。
 この場面の二択に悩んだ末——

「《アレキサンドライト》でシールドをW・ブレイクだ!」
「ぐっ……!!」

 ノゾム、残りシールド1枚。
 対するリョウ、残りシールド8枚。
 完全に、どちらが有利かは一目瞭然だった。
 ——まずい、あんな数のシールドを叩き割れるのか……!?
 完全に落ち着いて状況を見渡した。
 しかし。
 まだ希望は残っている。
 一つづつ、相手の手を潰していけば、まだ勝ち目はあるのだ。

「オレのターン! 《龍素知新》を使って、墓地から《龍素解析》を使用する!! 効果で、手札を全て山札に戻して——4枚ドロー! そして、カードをターン中に5枚引いたから、《エビデゴラス》の龍解条件クリア!」

 龍の要塞が再び、魂の鼓動と共に解放される。
 そして、撃滅の咆哮を上げた——

「もう1回頼むぞ《Q.E.D+》! そして、手札から《龍素記号Sr スペルサイクリカ》を召喚だ! 効果で墓地から、《ピタゴラス》を使って残りの《アレキサンドライト》もバウンス!」

 これにより、リョウの場にクリーチャーは居なくなった。

「場を真っ新にしたか……だけど、《サイクリカ》はパワー0で破壊される!!」
「破壊されるとき、《サイクリカ》は代わりに山札の一番下に置かれる! そして、今度は1マナで《エマージェンシー・タイフーン》を使用! カードを2枚引いて、手札から《ピタゴラス》を墓地に!」
「……何を考えている……!?」
「そして《Q.E.D+》で攻撃! 《パラノーマル》と《クロムウェル》のシールドを、W・ブレイク!!」

 これにより、リョウの残るシールドは6枚。そのうち、3枚が表向きのシールドであった。

「ターンを終了——」

 最悪の事態だけは回避せねば、とノゾムはパワーダウンの根源を墓地へ叩き込んだ。
 しかし、それでもまだ《パラノーマル》2枚と、《鋼鉄》のシールドが残っている。更に、加えて表向きのシールドも残っているのだ。

「——それじゃあ、僕のター——」
「——する時に」
「——あ?」
「オレはこのターン、3枚の呪文を唱えました。よって——」

 にやり、と悪戯っ子のような笑みを彼は浮かべた。



「その力を証明し、全ての弱者のために新たなる希望を証明せよ! 
出て来い、《ν・龍素王 Q‐END》、龍解完了!!」



 ざわっ、と会場は盛り上がった。
 そして、同時にリョウも表情に動揺が隠せなかった。

「ま、まさか、立てたというのか……!? あの一瞬の間に龍解のシナリオを!? だけど……どっちにしたって!!」
「マナゾーンのカード的に、茅山先輩は1体しか切札級のクリーチャーを出すことは出来ない」
「っ……!!」
「手札を温存するため、そしてそれ以上は必要なかったため、マナのカードを7枚前後で抑えていた。出すだけでそのマナの半分を使う、コスト5の《ストーンゴルド》は進化元と一緒に場に出せない。だから残る選択肢は《アレキサンドライト》か《アイドクレーズ》だけだ。だけど、《アイドクレーズ》は登場時にシールドを2枚焼かないといけない、という致命的な弱点がある上に、自身も進化するときにシールドを消費しないといけない。よって、必然的に出るのは——」
「っ……!! 《アレキサンドライト》、召喚!!」

 今回で、もう何度目になるだろうか。
 再び鉄壁の布陣を作らんとばかりに山札6枚からカードを展開しようとする。

「だけど、追い詰めていることには変わりないんだ! 《クロムウェル》をシールド・ゴー!」
「2枚目か……もう後は無いな」
「そして、そのままシールドをブレイク!! ……ターンエンドだ。だけど、《Q-END》だけでどうやって僕を詰ませるつもりだ? 次のターン、この理屈だと君はどうあがいても勝てない」

 次のターンではノゾムはリョウにダイレクトアタックが出来ない。よって、此処を耐えて凌げれば、リョウは例え《アレキサンドライト》が倒されても、《アイドクレーズ》でワンチャン掛けることが出来るのである。
 しかも、《アレキサンドライト》を倒すのに、《Q.E.D+》か《Q-END》のどちらかで殴らないといけないので、3枚ある表向きのシールドを全てブレイクするのは不可能だ。

「えっ!? ってことはノゾムはかなりやばいんじゃないの!?」
「トリガーは埋まっていなかった。そして、小細工をしようにもクリーチャーがパワー0になって破壊される。これは余り嬉しくない状況だな」
「ノ、ノゾムさん……」
「……なーに、俺の後輩がその程度で負けるわけねーだろ」
「同時に、茅山は仮にもてめーらと行動を共にした面子。そう簡単に負けてはくれねぇが」
「どーっすかね、フジ先輩。俺はノゾムに賭けますよ」

 そんな不安と期待などつゆ知らず。
 彼は余裕を見せる。
 水のように涼しげな余裕を。

「どーすっかね、茅山先輩。いよいよ、お楽しみの証明の時間ですから。それで全部分かる!!」
「じゃあ見せて貰おうか!! 君の証明とやらを!! 僕を、がっかりさせないでおくれよ!!」
「言われなくても!!」

 弾かれたようにカードを捲るノゾム。
 《Q.E.D+》の効果で山札の上から5枚を見て、4枚を山札に戻し、1枚ドローした。
 そして——

「オレのターン、ドロー!! これで決める!!」

 次の瞬間。 
 ノゾムのマナゾーンのカードが全てタップされた。
 9枚だ。
 9枚が水の魔力を生み出す。
 そして——

「呪文、《神々の逆流》!! 効果で、互いのマナゾーンのカードを全て手札に!!」

 ——必殺の呪文を唱えたのだった。
 
「——《神々の逆流》!? まさか——」
「成程——そういうことか。考えたなノゾムは!!」

 沸き立つ会場、そして、同時に全て残らず消し飛ぶマナゾーン。
 一瞬で、この数ターンの間に積み重ねていたものが全て崩れる。


神々の逆流 R 水文明 (9)
呪文
各プレイヤーは自身のマナゾーンにあるカードをすべて、手札に戻す。



「な、なにを考えているんだ——!?」
「そして、オレが呪文を唱えた時、《Q-END》の効果発動!! それよりもコストの小さい呪文を唱えることができる!! 呪文、《幾何学艦隊ピタゴラス》!! これでチェックメイトだ!!」
「なっ——!? そ、そんな、馬鹿なぁ!?」

 今度こそ、リョウの場のクリーチャーは消滅した。
 そして、もうリョウはクリーチャーを出すことが出来ない。
 完全に彼のクリーチャーは、手札という名の牢獄に閉じ込められたも同然なのだ。 
 手札があっても、カードを使うマナが無ければ意味が無いのだから。

「2連鎖——十分だ!! このまま決める!! 《Q.E.D+》で《パラノーマル》のシールドを2枚ブレイク!! そして、《Q-END》で《クロムウェル》と《鋼鉄》のシールドをブレイク!!」

 さらに、表向きのシールドも全て墓地へ叩き落される。
 残りシールドは2枚だけだ。
 ——マナゾーンのカードを根こそぎ持っていっただけじゃない——!! まさか、こちらのクリーチャーも徹底的に排除するなんて——!!
 
「ターン終了です、先輩」
「くっ——僕のターン! マナをチャージして、ターンエンドだ……!!」

 ——あと一歩、あと一歩なのに——!! 何故届かないんだ!! クソッ、クソッ!!
 しかし、消し飛ばされたマナは既に手札にある。
 同じマナが無いと言っても、ノゾムには2体のクリーチャーがいるのだ。

「これでお終いだ!! オレのターン、ドロー!! そして、《Q.E.D+》でシールドをW・ブレイク!!」
「くっ——!!」

 これにより、リョウのシールドは残り0枚に。
 絶体絶命であった。
 しかし、まだ終わりたくない。
 その意思が引き寄せたか。

「S・トリガー発動!! 《ナチュラル・トラップ》、《地獄門 デス・ゲート》!! 《Q.E.D+》と《Q-END》を除去——」

 2枚のトリガーがヒットした。
 そして、同時に結晶龍の王は空母の姿に戻ってしまう。
 しかし。途中で手が止まった。
 何とも無い。
 もう一方の《Q-END》は除去呪文を受け付けていない。

「《Q-END》の効果発動。こいつは呪文では選ばれません」
「あ、そ、そんな——!!」

 
 この日。目の前の少年の強さを彼は思い知ることになる。
 そして、この試合は茅山リョウという少年にとって、一生忘れられないものになる。
 何故ならば——



「《ν・龍素王 Q‐END》でダイレクトアタック!!」



 ——この少年の無限に等しい可能性を、直接叩き込まれたからだ——


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