二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
日時: 2017/01/16 20:03
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。

また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。


”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”



『星の英雄編』


 第一章:月下転生

Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25

 第二章:一角獣

Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48

 第三章:骸骨龍

Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73

 第四章:長靴を履いた猫

Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114

 第五章:英雄集結

Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204


『列島予選編』


 第六章:革命への道筋

Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦

Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261

Act8:次なる舞台へ
>>262


 第七章:世界への切符

Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352


『侵略世界編』


 第八章:束の間の日常

Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393


 第九章:侵略の一手

Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃 
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416


 第十章:剣と刃

Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444


短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。

短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65

短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103

短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126

短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156

短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176

短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422

エイプリルフール2016
>>299 >>300

謹賀新年2017
>>443


登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします

オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。

お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新

Re: デュエル・マスターズ D・ステラ 【学校対抗予選編】 ( No.322 )
日時: 2016/08/15 17:26
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: ugLLkdYi)

 お久お久のモノクロです。今夏中に番外終わり兆しが見えないですが、へばってきたのでこっち来ました。

 さて、どこからコメントしてないっけなー、と思いつつ遡ってみたら、思いのほか書くこと溜まってなかった。溜めこんでるのはPWの方か、と思いましたけど、それだけじゃなくて、クナイの話もカットされたんだったか……
 まあ作品の方針については黙しますけど、触れるとこが少なくなる分、好き自由に書けるのでよしとしましょう。

 ノゾムは結構気にしぃなんですねぇ……繊細というかナーバスというか。
 気持ちは分かるんですけどね。歳を取ると、気にしててもしゃーないって割り切って考えられるようにはなりましたが、そういう経験もしているので、なんというかこういうのを見ると……そういう年頃なんだなぁ、とか思っちゃうようになりましたね。
 それはそれとして、ノゾムも革命軍のカードをパイセンから貰いましたか。《シリンダ》にしろ《プラズマ》にしろ、レジェンドではなくても水の革命クリーチャーもなかなか強いと思うんですけどね。《シリンダ》はドローで戦線拡大しつつ相手を止めながら殴れて、《プラズマ》は重いけどトリガーで攻撃を反射できるあたりが。《エビデゴラス》の龍解補助にもなるし、どっちもトリビで大活躍。
 むしろ革命0というピーキーな能力の方が、扱いが難しいと思いますけどね……レアリティが強さでないことは、《ゴッドファーザー》や七英雄の面々が語ってくれる。
 水は不遇っていうか、下手に強化すると狂いだすから、過剰に慎重になってるだけだと思いますけどね。味方サイドでメイン張ってる文明でもないですし。そこを不遇と言われるとなにも言い返せませんが。
 あとはまあ、水っていうと敵対するほうが設定を生かせるから、とかかもしれませんね。水って手を組むよりも、敵であることの方が多いですし。主に火文明の視点から見ると。敵対色ですしね。
 革命ファイナルでも敵サイドの主要文明になってますしね。№2……《禁断機関 VV—8》。なかなか狂ってそうな奴が出て来ましたが、モノクロの願っていた火文明以外の禁断が出たので、とりあえず喜んでいます。
 というかフジパイセン、最初の超然としたというか、殺しても死ななさそうというか、どんな対応をしても無敵感溢れるオーラで唯我独尊してた雰囲気が抜けてきてますね……
 しかし、思いつめるなぁ、ノゾム。
 前にノゾムはアスリートだかなんだかと言った気がしますけど、ここまで自分に自信を喪失している様子を見ると、そうでもないのかも。アスリートって「俺様最強!」ぐらいに思ってる人の方が向いてるようですし。向き不向きが重要かどうかはさておき。
 キイチに負けたのだって、いつの話だよって感じだしなぁ……ここ最近、ノゾムってそんな大きな失敗もなかった気がするし。

 ところ変わってヒナタと白陽は遊んでますね。ポーカーか。
 あれって賭け金がないと面白くないんですよねぇ……出てくる役としては、1ペア、2ペア、3カードがいいとこですし。降りるか勝負するかの駆け引きはありますが、二人だとそれもあんま意味ないしなぁ。基本的に運のみで役を揃えるから、そこも面白くない。運ゲーが面白くないのは、ポケモン廃人とDMPなら理解してくれるはず。
 もっともこの対戦では、白陽が賭け対象の氷菓子をゲットしているようですが。よかったね。
 というかヒナタも、相手が交換しなかったなら強い役が揃ってるって分かれよ。降りて流す場面だろそこは。

 クレセントの仲介もあって、ヒナタとノゾムで師弟対決かぁ。変なルールがなかったり、現実世界にオリカがあったりすると、オリカ同士の対決がやりやすそうでいいですね……
 ヒナタのデッキは例のアレなんでしょうけど、青単にどう対抗するのかな、速度で決めるのかな、とか思ってたらカットされたし。え? マジで?
 対戦中に説教ぶちかましてなにかに気付かせる流れだと思ったのに、一方的にボコってから説教か……デュエマする必要あったのかな?
 とりあえずノゾムの内心を引っ張り出すところまでは来ましたけど、不安が残る現状。どこで立ち直るんだよこいつ……

 獅子怒さんの事前情報もザックリ聞いて、遂に大阪。
 ノゾムはまだ迷ってんのか……どこできっかけが訪れるものか。
 と思ってたら謎の美がつかない少女。
 普通とか言われるとうちの主人公……は、いいや。
 しかし、およそ小説と呼べる作品で関西弁を見たのは凄い久々、というか珍しいですね。関西弁、というか大阪弁って標準語(厳密な意味ではなく、一般的に話されている言葉という意味の標準語)をも侵食し始めている言語だから、もはやどこからが大阪弁でどこからが関西弁でどこからが標準語なのか分からなくなるんですよね。ちなみにすぐ北の京都に行くと、方言が消えるらしい。関西弁は残るそうですが。
 それにしても、ちっこい頭にでっかい頭脳って、頭でっかちって言ってるみたいですね……たぶんコナン君的な意味だと思うんですが。でも理屈こねこねしてるって意味では、頭でっかちというのも間違ってないのかも。
 いきなり現れては諭す少女ですけど、言ってることはかなり賛同。
 競技化しているゲームとはいえ、元々は遊戯ですし、楽しいからやってる、やってたわけですし、楽しめなきゃやってる意味はない、っ思っちゃいますね。
 楽しいと思えることは強さだ、ってどこかの記事で読んだこともあります。その物事が楽しいと思えるのは、楽しいと思えるようになるまで努力した証で、それは強さなんだとか。
 でまあ、少女がまさか一発キャラってこともないようで、再登場を予感させながら去っていきましたが……うん、とりあえず試合だな。
 その前に、ノゾムがヒナタにもう一度勝負を挑みますか。最初に対戦描写がなかったのはこのためか、と感心しました。

 と思ったらここもカットか! 随分と切りますねぇ……ちょっと切りすぎとちゃいます?
 なんて思ったりしますが、まあ、早め早めに獅子怒さんのスタイルが判明するということで、とりあえず飲み込んでおきましょう。
 超次元ゾーンの確認。二人とも概ね普通の超次元ですが……ヒナタに《ガイハート》がないですね?
 あのデッキで《ガイハート》抜きって、普通に辛い気がしますが……どうなんだろう。どうするんだろう。
 それと、対戦相手の二人の超次元ゾーンは見られないのか。あえて隠してるのかな。獅子怒さんはともかく、キイチの方は大体分かりますが。

 しかしキイチはキャラ不明だ……皮肉っていうか煽ってるようにしか見えないし。トラッシュトーク連射だし。
 対する獅子怒さんはどっしりと構えてますねぇ。威厳あって、こっちはらしいです。
 どーでもいいですけど、関東人をトウキョウモンなんて新種のデジモンみたいな呼び方する大阪人っているんですね……いるのかな? 

 で、対戦開始、と。
 獅子怒さんは前に見たあの気持ち悪いアリンコキメライオンか……
 なんというか、一つのテーマに沿ったオリカを軸にしてデッキにするって、遊戯王みたいですね。特に漫画版。主にGX。名称統一とかもそれらしい。
 遊戯王のそういうところ、実は苦手だったりするので、このままキメライオン連打されると、モノクロ的には残念な感じがありますが……とりあえず見てよう。
 そういえば聖羽衣二人の超次元は明かされてませんけど、この様子だと、《蟻獅子》の超次元呪文とか、サイキック・クリーチャーとか、ドラグハートとか、出て来てもおかしくなさそうだな……呪文以外全部《蟻獅子》とかもあるのかな……?
 それと、《メキラルコ》の能力って、エグザイルみたいに実質一体しか場に存在できないってことなんでしょうが、テキストに「“他の”《蟻獅子の呪縛 メキラルコ》が〜」ってないので、自身の能力で自身の能力が無力化されるうっかりさんになってます。
 《蟻獅子》連打の獅子怒さん。一方キイチはガチンコ・ジャッジで踏み倒し失敗して、《パクリオ》でハンデスされて、出鼻を挫かれたかと思ったら急に発狂大笑いして……もう僕には彼が理解できない。何キャラなんだ奴は……

 まとめ。
 見た感じ、聖羽衣は、キイチが前衛で攻撃担当、獅子怒さんが後衛で防御担当、って感じに、役割分担されていそうですね。獅子怒さんは天門ベースっぽいので、中盤から後半にかけては、大型クリーチャーに圧殺してきそうですけど。
 前半、キイチのビートダウンで崩した陣形に、獅子怒さんの大型クリーチャーを突っ込ませて、さらにキイチが追撃、ダメ押しするって感じの作戦なのかな?
 でもキイチも初っ端から《王牙》出そうとしてたしな……隙あらば大型を出すつもりか。
 一方、ヒナタとノゾムは、色、現状の盤面的には、ヒナタがオフェンス、ノゾムがディフェンスって風に見えますけど、ヒナタのデッキは赤でもアレだし、ノゾムのデッキも水の防御力なんてたかが……あぁ、でもあいつらは防御力高い方か。
 赤と青、赤は言わずもがなですが、青は隙を見ては即座に攻撃に転じてきそうな気配がありますから、結構注目ですね。

Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝 ( No.323 )
日時: 2016/08/17 17:49
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

 さて、《ジャッジメント・タイム》により、ヒナタとノゾムのクリーチャーは完全に足止めされたことになる。
 例え、クリーチャーを進化させたとしても、進化元に何らかの効果が掛けられている時、進化後のクリーチャーもそれを引き継いでしまうために手も足も出ないのが現状だ。
 


 獅子怒
 手札2
 マナ0/4
 墓地2
 next turn:ヒナタ



 ——ともかく、キイチの手札に何も来なければ、良いんだが——!
 ——手札事故祈りですかぁ!?
 ——いや、実際そうだろ!? もういい、とにかくどうとでもなりやがれ!!
 祈りながらもカードを引くヒナタ。
 そして——

「——呪文、《メテオ・チャージャー》! せめて、邪魔なそいつだけでも破壊する! 《メキラルコ》を破壊だ!」




メテオ・チャージャー C 火文明 (3)
呪文
相手の「ブロッカー」を持つクリーチャーを1体破壊する。
チャージャー




 次の瞬間、大量の隕石が《メキラルコ》へ降り注ぎ、粉砕する。
 更に、《マグナム》の身体も元の形へと戻っていく。虫の四肢は人形の手へと戻り、露出した腹部も元の大きさへと戻った。
 これにより、《マグナム》は本来の姿と力を取り戻したことになる。

「これで踏み倒しは使えなくなった! チャージャーでこのカードをマナに置いてターンエンドだ!」

 ヒナタ
 手札1
 マナ3/6
 墓地1
 next turn:キイチ

「——もうおせーよ」
「!」

 カードを引くキイチ。
 そして——1枚のカードを掲げた。

「《斬斬人形 コダマンマ》召喚!! こいつの効果で、さっき《パクリオ》で埋められたカードを手札に加える!!」
「っ……!! 何でそんなカードを——!!」

 キイチが出した《コダマンマ》は、本来ならば赤中心の速攻・ビートダウンで手札補充として使われるカードだ。
 しかし。

「対人メタって分かるか? 分かるよなあ。お前、獅子怒さんや俺が何らかの形でクリーチャーを踏み倒して来ること、そしてブロッカーを使うことを念頭に置いてそのデッキを組んだことはもう読めてんだよ」
「……!!」
「今回のテメェのデッキは革命軍を切札にした赤単メタビート! だが、同様に俺もお前らの対策をしてたんだよなぁーっ!! 例えば十六夜ノゾム。テメェが青単コン使いってのは知ってたから、《パクリオ》を使ってくるかもしれない——だからこのカードを入れたんだよ。手札に入れることさえ出来れば、《トラマル》の効果は意味を成す!!」

 大量に虚空へ撃ち放たれたミサイル。
 それらが大穴をこじ開ける——そこから大いなる存在が現れることを示唆するように。

「再び《トラマル GGG》で攻撃し、三連ガチンコ・ジャッジ!! 指定はお前だ、ヒナタッ!!」
「——ッ!!」

 1度目——ヒナタが《一撃奪取 トップギア》でキイチが《フェアリー・ライフ》で、同コストのためキイチが勝利。
 2度目——ヒナタが《エヴォル・ドギラゴン》に対し、キイチは《ダイハード・リュウセイ》。
 そして3度目——再三捲られる山札。
 しかし——




「残念だったな」




 ——キイチ、《罠の超人》でコスト9。
 ——ヒナタ——《燃える革命 ドギラゴン》、コスト7。

「あ、ああ——しまった、《ドギラゴン》が——!!」
「ほほう。そいつか。だけどこれで俺は3度のガチンコ・ジャッジに勝利し、お前は切札が山札の一番下へ送られた! さあ、ショータイムだ! 出でよ、俺の切札ァーッ!!」

 大穴から何本もの紫電が放たれる。
 そして、轟!! という音と共に、途方もなく巨大な太刀が降りかかり地面へ突き刺さった。
 同時に、現れた巨大な影がそれを握りしめる。
 
「天頂の力に目覚めし者よ、その太刀は大いなる牙——本能のままに暴れ、全てを狩りつくす王者となれ!!」

 純白の身体、宿すは黄金の精神。天頂に立つ者を意味するマーク。
 その名は——ゼニス。全てを統べる存在。
 



「現れ出でよ、《黄金龍ゴールデンドラゴン 鬼丸「王牙」》!!」




黄金龍(ゴールデン・ドラゴン) 鬼丸「王牙(オーガ)」  ≡V≡  無色 (11)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ゼニス/ハンター 13000
このクリーチャーを召喚してバトルゾーンに出した時、無色ではない相手の、このクリーチャーよりパワーが小さいクリーチャーをすべて破壊する。
スピードアタッカー
T・ブレイカー
バトルゾーンにある自分のハンターとエイリアンはすべて「エターナル・Ω」を得る。(「エターナル・Ω」を得たクリーチャーがバトルゾーンを離れる時、かわりに手札に戻す)




 思わず、絶句した。
 これが天頂を統べる者、ゼニスの迫力なのか、と。
 溢れ出る殺気と力を前にして、ヒナタもノゾムも全ての言葉を失う。
 同時に——

「《鬼丸「王牙」》の効果発動。振り下ろせ、狩人の大剣!! こいつよりもパワーの低い無色以外のクリーチャーを全破壊だッ!!」

 ——ヒナタとノゾムの場のクリーチャーが、その太刀の一振りで消滅した。
 それほどに圧倒的な力であった。並みのクリーチャーでは瞬殺され、跡形も残らない。
 それでも尚、抵抗するようにヒナタは叫んだ。

「《マグナム》の効果発動!! 《「王牙」》を撃ち抜けッ!!」

 死に際に放たれたか、《マグナム》の弾が《「王牙」》の胸を撃ち抜く——しかし。

「確かに《「王牙」》は効果こそ発動したものの破壊される——だが、此処でこいつの第二の効果ッ!! 俺のハンターは全て”エターナル・Ω”を得て、場を離れる時に代わりに手札へ戻す!! 勿論、自身も例外じゃねえんだよなぁ!!」
「ッ……!!」

 結晶のようなものに包まれたかと思えば、《「王牙」》はそのままキイチの手札へと送還された。
 あらゆる場を離れる効果に対し、”手札へ戻す”だけで済ませることが出来る能力、それがエターナル・Ω。不死身の力、そして天頂へ立つ者の特権であった。
 そう何度もキイチがガチンコ・ジャッジに3度連続で勝てるとは思わない。
 しかし。手札にある限り、いずれ《「王牙」》は戻ってくるだろう。

「さて、今度こそぶち抜く!! ヒナタ、テメェのシールドをW・ブレイク!!」

 《トラマル GGG》のミサイルが、ブロッカーのいなくなったシールドへ叩き込まれる。
 2枚が砕け散り、2枚共ヒナタの手札へ送還された。

 鎧龍シールド残り8:ヒナタ(3) ノゾム(5)

 ヒナタ手札1→3

「ターンエンド」

 それ以上の余計な攻撃はせず、キイチはターンを終える。今の間に、かなりボロボロにされてしまったが——

 キイチ
 手札1
 マナ6/6
 墓地1
 next turn:ノゾム

「オレのターン、ドロー!」

 カードを引く。
 しかし、こんな時に限ってバウンスカードが来ない。
 せめて、《アントニオ》さえバウンスすれば、まだ良かったのであるが——

「無いもんは仕方ない、か——!! オレはマナをチャージし、《ブレイン・チャージャー》を使用! 効果でカードを1枚引いて、チャージャーでこいつをマナに送り、ターンエンドだ!」

 
 ノゾム
 手札3
 マナ1/5
 墓地2
 next turn:獅子怒

 画して。 
 場が剥き出しのまま、ノゾムはターンを終えてしまうことになる。
 マナは溜まり、手札も安定しているのでまだいいのだが——

「私のターン」

 カードを引いた獅子怒は、呟くように言った。

「《アントニオ》を含む6枚のマナをタップ——」

 瞬間、虚空に穴が開く。
 さて、と獅子怒はヒナタとノゾムに語り掛ける。

「天国への門——我らが掲げる象徴、”サファイア・ウィズダム”へと繋がる礎——本来、天使とは純粋なる善である必要があるが、時としてこの世は”悪”という形で正すことも必要だ。それが、より確実で堅い支配へと繋がるのならば、猶更だ」
「何が言いたいんだ?」
「天使の本質は酷く歪で醜い存在だ。人間が、真実から目を背け、信仰のために今のような美しい姿としたのだ。本来、天使とは正しくも醜い存在なのだよ」

 2人は首を傾げる。宗教染みているからか、普段自分たちにはなじみがないからか、全く意味が分からない。
 しかし、構わずに獅子怒は告げた。




「我らの掲げる蟻獅子とは、天使のそういった面を誇張した象徴——見せて差し上げよう。鎧龍の者よ。これが、我ら聖羽衣の掲げる天使の真髄!!」



 
 次の瞬間——眩い光が場に満ちた。

「——呪文、《ヘブンズ・ゲート》!! 効果で手札から光のブロッカーをバトルゾーンへ出す!」

 そして、そこに暗い影が落ちた。
 何本もの紫電と共に、深淵から現れし天使が姿を現す。




「信心深く、謙虚に、そして勤勉であれ——神よ、醜くも正しき我が化身に祝福を!!」




 それは、異形であった。
 今までの蟻獅子とは桁違いに巨大な存在——





「出でよ、聖なる正義、《蟻獅子の聖霊 ミルメコレオ》!!」

コメ返信 ( No.324 )
日時: 2016/08/16 17:27
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

モノクロさん

コメントありがとうございます。いけねぇ…完全に見逃してた…。
いやぁ……もう、このままだと一生終わらん気がしてきてですね……あはは。もう、さっさと聖羽衣戦に入ることになりました。

いざ本番を前にすると、以前に失敗した記憶がフラッシュバックして尻込み……結構、あるあるな経験だと思います。
まあ、あれですね。他の先輩ら、まして同級生がレジェンド貰って、いざ期待してみたら自分は……ってなったら、初見はやっぱガックリすると思います。自分は。
尚、一番ピーキーで使い辛いのは、その一番尊敬してる先輩だというのは……。

水自体、確かに敵としての登場は多いですね。背景ストーリーでラスボスやったこともあるし。影も薄いし……だから、主人公格くらいにはしないと水居たっけ状態になってしまうと思ったんですよね、味方サイドは。
案外、ノゾムも理詰めに勢いを乗せるタイプだから、ヒナタとは対照的な部分も多かったり。
かなり、キイチ戦の事は彼も思い詰めてたってことですね。結局は。
尚。師匠は遊んでた模様。あっけらかんとしてるのは良いのか悪いのか……。

結局、恐怖だとか自信喪失だとかの負の感情がすぐに表に出るのがノゾムで、逆にそれを押し殺した所為で後で痛い目を見るのがヒナタ。と言った感じですね作者的には。

後、この辺は結構デュエルシーンのカットを多用してます。申し訳ない。作者自体、デュエルシーンが最近書きにくくなってることや、タッグマッチに時間を割きたかったのもあるんですがね。

最も、ノゾムもノゾムでどのように立ち直ったのかはまた近いうちに明らかになるでしょうね。あの少女が関係しているのは確実ですけど。
まあ、この台詞も結構耳が痛い話ではあるんですよねえ……。そんな少女が、一体次は何処で出てくるかは……お楽しみですがね。

さて、今回の聖羽衣戦。
かなーり苦労したところではあります。主に獅子怒のデッキ。DS期の頃は獅子頂点ライオネルを使わせるつもりでしたが、あれは突破が面倒過ぎて一編決めたら面白くなくなるのでボツになってしまうという結果に。タッグマッチならば猶更。
というわけで、キイチと吊りあいを取る意味合いで蟻獅子を使わせる事になったわけですね。まあ、確かに遊戯王っぽい感じにはなってしまいましたけども。

あ、それとキイチは情緒が不安定なところで安定してるってキャラです。作者の中では。クールかつ冷徹な皮肉屋だけど、煽るし昂ったら発狂するって、もうこれ分かんねえな。
生ら前回、アレな態度をとってしまったがために、今更後に戻れないってのもあるんですけどね。あ、戦闘狂っぷりは元から。

今回の更新で明らかになったと思いますが、キイチは《トラマルGGG》で大型を早期に出し、圧殺。そして防御を固めるのは獅子怒の役割ですね。ヒナタとノゾムは、まだ本格的に動き出しているとは言えないので、何ともですが。
とにかく、光の防御に闇の癖の強い妨害を組み合わせたのが蟻獅子なので、今回の最後に現れた《ミルメコレオ》がヒナタ達を苦戦させるのは確定ですがね。
両者の立ち回り、そして謎の少女。そして蟻獅子がどういう意図のカード群なのかに着眼して読んでいただければと思います。

それとテキストのミスの指摘、ありがとうございました。
そちらにもそろそろコメを送りたいところです。それでは、また。

Act7:青天霹靂 ( No.325 )
日時: 2016/08/17 16:39
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

「や、やべぇ……獅子怒さんの《ミルメコレオ》が……」
「あかん、あかんわ……こりゃ、終わったな鎧龍……」
「流石獅子怒さんやー、容赦なさすぎぃー! でもそこがええわぁー!」

 前にも増して大きくなる獅子怒コール。
 そして——ヒナタ達の前に現れたのは、今までのどの蟻獅子よりも強大な天使であった。
 しかし。天使というより、それは文字通りの魔獣だ。
 巨大な蟻の複眼と、獅子の単眼が目を引く顔面からは、嫌悪感を煽る触覚がぶら下がっており、四肢ならぬ六肢の先からは鋭い鍵爪が伸びている
 そして、胸部からは多数の棘が生えており、極め付けには大きく腫れ爛れたように太く、そして重い腹部。
 最後に天使のような羽根を広げるが、その1枚1枚はよく見れば薄い羽虫のもの。生理的な嫌悪がぞくぞく、と心の底から這い上がってくる。
 思わず、ヒナタとノゾムはその悍ましい怪物を前にして後ずさった。

「すまないな。こいつは少し、今までの蟻獅子とは違う。何せ、聖羽衣最高傑作にして禁断の一品——あの侵略にも対抗しうるカード。それが《ミルメコレオ》だ」

 表情を一切変えずに彼は言う。




「だから、この試合。あっさり終わってしまった時は——”堪忍やで”」



 ぞくり、と背筋が凍る。
 今、まさにこの男の本性を見た気がした。
 カリスマ、良き指導者としての貫禄と同時に——圧政を強い、捻じ伏せる支配者の貫録。
 決して悪人ではない。ないはずだが——今、一瞬だけ崩れた標準語を聞いた途端、ヒナタとノゾムは人の”素”というものがどれほど恐ろしいものなのかを思い知る事になった。
 この男は本気でこちらを叩き潰そうとしている。
 確実に、圧倒的な差で、叩き潰そうとしている。
 
「こいつの効果を教えてやろう。《ミルメコレオ》の最大の能力、それは——相手の場のタップされたクリーチャーは相手のターンの終わりに破壊される」
「!?」
「その凶悪な効果の代償か、こいつは他に《蟻獅子》とあるクリーチャーが場に居ないとき、我がターンの終了時に破壊されるという能力も持つ。言わば、凶悪ではあるが短命な蟻獅子の性質そのもの。しかし、蟻の性質とは何も短所ばかりではない。奴は一度場に出て、他に仲間がいれば確実に仕事をする。即ち——勤勉であることだ」
「……ちょっち意味分からねえなぁ……あんたの言ってることも、そいつの効果も……!!」

 苦笑いで返すヒナタ。意味が分からないとはこのことだ。光にしては余りにも暴力的な能力を前にして唖然としているのだ。
 ノゾムに至っては呆然と立ち尽している。
 ——マジかよ……!! 光には多くの除去耐性を付与するサポートカードがある……例えば《エバーラスト》だとか……こいつを強化させたが最期、オレらは、鎧龍はジ・エンドだ!! 幸い、こいつがアンタッチャブルも何も持っていなかったってのが救いだけど……オレのバウンスは光には余り通用しねえし……時間稼ぎにしかならねえ!
 タップ状態でターンの終わりに破壊されるということは、攻撃したが最後、攻め切れなければ即座に破壊されてしまう。どんな大型クリーチャーであっても、パワーの低いブロッカーで足止めするだけで破壊出来てしまう恐怖の能力。
 それが——《ミルメコレオ》の能力であった。
 そして、蟻獅子という名のカード群は只のカテゴリではない。《ミルメコレオ》の凶悪過ぎるスペックを制限するために作られた言わば枷だったのである。



蟻獅子の聖霊 ミルメコレオ 光/闇文明 (9)
クリーチャー:エンジェル・コマンド/キマイラ 11000
相手のタップされているクリーチャーは相手のターンの終わりに全て破壊される。
自分のターンの終わりに自分の場に他の《蟻獅子》とあるクリーチャーがいなければ、このクリーチャーを破壊する。
このデュエル中にこのクリーチャーが破壊されていれば、ターンの始めに《蟻獅子》とあるクリーチャーを1体破壊してもよい。そうした場合、このクリーチャーを墓地からバトルゾーンに出す。この効果は1ターンに1度しか使うことができない。
ブロッカー
W・ブレイカー



 獅子怒
 手札2
 マナ0/4
 墓地2
 next turn:ヒナタ
 
「だけどそれ、要するに攻撃するまでに破壊するか、ワンパンで倒せれば良いんだろ?」
「ブロッカー陣を全て破壊、または貫通してシールドを全部叩き割って勝つ——《ドギラゴン》で、だろ?」

 見透かすように言うキイチ。
 確かに、《ミルメコレオ》が居る限り、ヒナタはこの守りを潜り抜けて1ターンで攻め勝たなければ、並べても並べた軍勢が破壊されるという憂き目に遭う。
 しかし。肝心の切札は山札の底へ眠っている——

「クッ……」
「さあ分かったら、大人しくさっさと俺らに叩き潰されろ——」
「クククッ……」
「……ヒナタ先輩?」

 思わずヒナタの方を一瞥するノゾム。キイチも、顔を顰める。
 そして彼は——




「アッハッハッハッハッハ!! ひぃーっひっひっひっひ、ふふふふ……へへへへ……」



 大きく、身体を反らせ、笑い出したのだった。
 ——ヒナタ先輩ィィィィーっ!?
 思わず、愕然とするノゾム。さっきのキイチよりも、大きく、そしてわざとらしく、彼は笑い出す。
 余りのアレっぷりに、流石のキイチも青筋を立てた。
 
「何だテメェ、気でも違ったか!?」
「いや、誰も君に言われたくはないとは思うがね」

 的確かつ最もこの場に相応しいツッコミを入れる獅子怒をガンスルーし、キイチは厳しい視線をヒナタに再び向ける。

「テメェ、何がおかしい!!」
「いやさぁーっ、アレだよアレ……面白くなってきたな、ってな。やっぱキイチ。俺とお前は似たモン同士なんだよ——やっぱこれくらい面白くねぇとなぁ、デュエマは。最近色々殺伐としてて、麻痺してたけどやっぱこれくらいドキドキワクワクさせてくれねぇとなぁぁァーッ!!」

 カードを引くヒナタ。
 そして、迷わず2枚のマナをタップした。

「反撃、開始だ!! 俺の切札が《ドギラゴン》だけじゃねえこと、教えてやるぜ!! お前達の場にあるクリーチャーは6体、よって合計コスト−6、つまり2マナでこいつを召喚だぜ!!」

 次の瞬間、溢れ出る灼熱が現れる。浮かび上がったのは、炎のマナだ。



「燃え盛れ、灼熱の革命!! 絶望に抗い、反撃せよ!!
《メガ・マグマ・ドラゴン》、召喚!!」




 現れたのは、灼熱の巨龍。それが放つ熱戦と溶岩により、一気にキイチの場にあった《コダマンマ》、そして獅子怒の場にあった《マルコキース》、そして《アントニオ》は焼き尽くされる事になる。

「むぅ——!!」
「これでどうだ!!」



メガ・マグマ・ドラゴン SR 火文明 (8)
クリーチャー:メガ・コマンド・ドラゴン/革命軍 8000
このクリーチャーの召喚コストを、バトルゾーンにある相手のクリーチャー1体につき1少なくする。ただし、コストは0以下にならない。
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、パワー5000以下のクリーチャーをすべて破壊する。



「なっ、馬鹿な——!! そんなカードを入れて、味方が、いやまして、ウェポンを装備したドラグナーが居たら一緒に焼き尽くされ——こいつ、まさか!!」
「そして残りの5マナで進化だ!! 《メガ・マグマ・ドラゴン》!!」

 進化の炎が溶岩の革命龍を包む。そして炎が巻き起こった。
 より高く、より明るい太陽へ——




「燃え上がれ、強襲の炎! 革命の風を巻き起こせ、
《革命龍アサルト》!」



 ——現れるのは強襲の炎、そして革命の風を切る翼。
 それがヒナタの元に舞い降りた。彼に笑顔と、勝利への希望を運ぶために。
 
「ノゾム!」

 は、はいっ! といきなり話を振られた事に戸惑いつつも、返事を返すノゾム。

「表情がかてぇぞ!! 俺達は勝つ!! そうだろ!!」
「先輩……! お、オレは——」
「だから、俺の背中に付いて来い!! あんな戯言に、宗教染みた戯言なんざに、俺らは負けはしねぇ!! そうだろ!! もっと楽しもうぜ!! 断崖絶壁に追い詰められたこの状況、引っ繰り返してやろうじゃねえか!! それがデュエマの楽しさってもんだろうが!!」
「……は、はいっ!!」

 ——そうだ、怯えてなんかいられない!! ヒナタ先輩は——
 彼の表情を見る。

「《アサルト》の効果発動!! 山札から火の革命軍の進化クリーチャーを1体手札に加える!!」
「ま、まさか——」

 ——ヒナタ先輩は、こんなにも、楽しそうに——笑っているじゃないか!!



「俺が加えるのは《燃える革命 ドギラゴン》!! さっき、お前のガチンコ・ジャッジで埋められたカードだ!!」



 おおおおお、と歓声が上がった。
 見事切札をサルベージ、しかも聖羽衣の場を半壊させたヒナタに対して、だ。

「楽しもうぜッ、ノゾム!!」
「分かりました、ヒナタ先輩!! このデュエル、全力でオレも先輩に応えます!!」

 拳をノゾムへ突き出すヒナタ。
 そしてノゾムもまた——自分の拳を合わせる。ヒナタが道化を演じてくれたおかげで、気持ちに余裕が出来たのだ。
 ——?
 ノゾムは再び相手を見据える。
 さっき、ふと気付いた、ある違和感を敢えて口にせず——

Act7:青天霹靂 ( No.326 )
日時: 2016/08/17 15:40
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

 ヒナタ
 手札2
 マナ0/7
 墓地1
 next turn:キイチ

 場を壊滅させらたキイチと獅子怒——しかし。場にはまだ、《トラマル GGG》と《ミルメコレオ》が残っている。だが、《ミルメコレオ》も眷属が居なければターンの終わりに破壊されてしまうのだ。

「獅子怒さん——!!」
「……ふむ。この布陣を破るとは、流石革命軍と言ったところか」
「仕方ない。アレを使いますか、獅子怒さん」
「頼む」

 頷くと、カードを引くキイチ。そして——

「——よし、3体目の《モエル・ゴー》を召喚!! 効果で手札に《永遠のリュウセイ・カイザー》を手札に!! そして《トラマル GGG》で攻撃——する時に三連ガチンコ・ジャッジ発動!!」

 再び捲られる3枚の山札——そして、展開された結果は——
 1度目、キイチが《フェアリー・ライフ》でヒナタが《イフリート・ハンド》。ヒナタの勝ちだ。

「よし、勝った! 幸先良いぞコレ!」
「まだまだぁーッ!!」

 2度目。キイチが《ガチンコ・ルーレット》、対しヒナタが《勇愛の天秤》——

「ッ……だけど、後1回勝てば!」
「させねぇよ!!」

 3度目——キイチは《真実の皇帝 アドレナリン・マックス》。
 対してヒナタは——《ゴウ・グラップラー・ドラゴン》——敗北だ。

「ッ……!!」
「本当、肝心なところで負けてくれるよな、テメェは——助かったぜ!! 行け、《永遠のリュウセイ・カイザー》!!」

 2度のガチンコ・ジャッジに勝ったことにより、キイチの手札から更なるハンターが姿を現す。それはさっきの《鬼ライダー モエル》で手札に加えられたカードだ。
 現れたのは、あの時の戦いでノゾムを追い詰めたクリーチャー、《リュウセイ・カイザー》だったのだ。

「こいつの効果はもう分かるよなぁ!? 相手が場にクリーチャーを出すとき、そいつを問答無用でタップインする上に自軍を全員スピードアタッカーにする強力カード、グッドスタッフの極み、汎用性抜群のハンターの星!!」
「待てよ、タップイン——ってことは!?」

 クリーチャーがタップしてバトルゾーンに出る。
 即ち——場に出たクリーチャーは問答無用で《ミルメコレオ》の効果でターンの終わりに破壊されてしまうということ。
 《ミルメコレオ》の恐ろしさは、まさに随伴となるクリーチャー次第で幾らでも凶悪に成り得るということだったのだ。
 このままでは、出したクリーチャーは全て犬死にになってしまう。

「さて、シールドをW・ブレイク!! 狙うのはヒナタ、テメェのシールドだ!!」
「また、俺のシールドかよッ……!!」

 鎧龍シールド:ヒナタ(1) ノゾム(5)

 ヒナタ手札2→4

 叩き割られる2枚のシールド。
 次のターンが回るノゾムではなく、ヒナタのシールドから割っていくつもりらしい。
 ——キイチのことだ、まだ何かあるはずだが——!!

「ターンエンド」

 キイチ
 手札2
 マナ6/6
 墓地2
 next turn:ノゾム

「成程な……!! こういうことか。単なるタップ効果が此処まで脅威になることもねぇってことか!!」
「でも、場に他に何も居ない《ミルメコレオ》は次の獅子怒のターンの終わりに破壊されるはずですよ、先輩!」
「ああ、何も出なければ、だけどな——!!」
「とにかく、今度はオレの出番です! オレだって、いつまでも先輩の後ろを追いかけてるだけじゃないんだ!」
 
 カードを引くノゾム。
 そして、溜めに貯めた6枚のマナをタップした。
 
「《龍覇 M・A・S》召喚!! その効果でコスト6以下のクリーチャー、《トラマル》をバウンス!!」
「まあ、進化元がいるから時間稼ぎにしかならねーけどね」
「まだだ! バウンスだけじゃねえぞ! こいつはドラグナー、コスト4以下の水のドラグハートをバトルゾーンに出せるんだ!」

 タップされて場に現れたものの、ようやくノゾムの本領発揮と言わんばかりに《M・A・S》がドラグハートを引き連れる。
 超次元の門が解放され、そこから巨大なる龍の空母が降臨した。

「そして、出でよ!! 《龍波動空母 エビデゴラス》をバトルゾーンに!!」

 歓声が沸き上がる。
 鎧龍の切札とも言えるこの巨大なドラグハート・フォートレスは難攻不落。
 《ミルメコレオ》でクリーチャーを破壊できても、すべてのカードを破壊することは出来ないのだ。

「ターンエンドだ!!」
「——その時に《ミルメコレオ》の効果発動」

 ターンの終了をしようとするノゾムに獅子怒が静かに告げた。

「タップされた《M・A・S》を破壊」
「やっぱり、来るか……!!」

 《ミルメコレオ》の瞳が光る。
 次の瞬間、《M・A・S》の身体から無数の触覚、そして節のついた肢体が伸びていく。
 まるで、それはさっきの《マグナム》のように蟲へ変態していくようだった。しかし。今度は違う。

「いっ……!!」

 ノゾムは言葉を失った。今度はそのまま、《M・A・S》の身体が砕け散ったのだ。
 
「クリーチャーを出せるものならばやってみろ。攻撃できるものならばやってみろ。こうなるがね」
「……!!」

 ノゾム
 手札2
 マナ0/6
 墓地3
 next turn:獅子怒

「だが、フォートレスは噂通り厄介な代物だな……まあ良い。動いた時点で破壊されるだけだがね」
「ターン……エンド」

 獅子怒のターン。
 カードを引いた彼は——迷わず、たった1枚だけであるそれを使う。
 水の5枚のマナを消費して——

「呪文、《スクランブル・タイフーン》。その効果により、カードを5枚引くぞ。……そして、墓地に《ミルメコレオ》と《ボンソワール》、そして《アントニオ》を墓地へ——そして」

 告げるように彼は言った。

「G・ゼロ発動——墓地に《蟻獅子》が5体以上あるとき、私はこのクリーチャーのコストを支払わずに場に出すことができる」
「なっ!? まだ出すのかよ!?」
「これで最期だ。打ち破れるものなら打ち破ってみたまえ」

 次の瞬間、獅子怒の墓地のカードの中から《メキラルコ》、《マルコキース》、そしてさっき落とされた《ミルメコレオ》が現れる。
 そして、それらを重ね、頂に1枚のカードを叩きつけた。

「深淵なる創造主よ。真実とは酷く醜く、そして正しい——愚かなる悪魔共に裁きの一手を——墓地進化GV」

 墓地進化。
 この男は確かにそう言った。墓地のカード3枚を進化元にして現れる進化クリーチャーのことであるが——次の瞬間、蟻が次々に深淵の門から這い出てくる。
 そして、それが集まり——1つの形を成した。
 それは天使であり、そして創造主である。
 裁きの名のもとに、外道を持って外道を貫く深き者の正体——




「権限せよ、《超霊獣 レオニダス・キルギルティー》!!」




 ——それは獅子の頭を持つ天使であった。
 四肢こそ、蟲のものであったが今までの蟻獅子に比べれば、よっぽど天使に近い。
 それもそのはず。この天使こそが、あの魔獣達を創り上げたのだから——

「教えてやろう。この魔獣の能力を。《レオニダス》の効果発動、進化元の《蟻獅子》クリーチャー1体をバトルゾーンへ出す!! 現れよ、《メキラルコ》!!」

 地底の門をこじ開け、現れたのは、下等なる蟻獅子。しかし。その効果は、天を舞うヒナタの《アサルト》へ向かう。
 次の瞬間、革命の風は止んだ。
 革命龍は地に堕ち、そしてうねうね、と変わり果てた蟲の姿で蠢くのみ。
 
「クソッ、登場時に進化元を出す能力か——!!」

 ——まずい。サーチも出来なくなっちまった——!!
 一気に焦りを覚えるヒナタ。打点も、効果も失ったクリーチャーに何も意味は無い。
 しかも、今のままでは《ドギラゴン》を出しても無駄だ。

「まだ終わってはいないぞ?」
「!」

 ヒナタとノゾムは身構えた。
 次の瞬間、再び地底の門が開く——





「《レオニダス・キルギルティー》の効果は、ターン終了時にも発動する。出でよ、2体目の《ミルメコレオ》!!」




 次の瞬間。恐怖を振り撒く蟻獅子がもう1体。場に現れたのだった——


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