二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
日時: 2017/01/16 20:03
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。

また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。


”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”



『星の英雄編』


 第一章:月下転生

Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25

 第二章:一角獣

Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48

 第三章:骸骨龍

Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73

 第四章:長靴を履いた猫

Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114

 第五章:英雄集結

Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204


『列島予選編』


 第六章:革命への道筋

Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦

Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261

Act8:次なる舞台へ
>>262


 第七章:世界への切符

Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352


『侵略世界編』


 第八章:束の間の日常

Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393


 第九章:侵略の一手

Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃 
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416


 第十章:剣と刃

Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444


短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。

短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65

短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103

短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126

短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156

短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176

短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422

エイプリルフール2016
>>299 >>300

謹賀新年2017
>>443


登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします

オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。

お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新

Re: デュエル・マスターズ D・ステラ ( No.162 )
日時: 2015/09/14 02:23
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

桜さん

コメントありがとうございます。シェイパーのドロー数はミスですね。修正しておきます。

さて、ミルメル編ですが、短編がカオスなのは今に始まったことではありません。後、メルちゃんはちょろ可愛い。クールな子がスイーツで釣られるのはよくある話。
後、クリーチャー世界にも《氷結カッチコチーン》とかがいるので、アイスくらいはあるんじゃないかと思っています。

それでは、また。

短編5:恋情パラレル ( No.163 )
日時: 2015/09/18 07:51
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

 ***

 一方。レンとニャンクスは、どうすれば良いか校庭で話していた。他の生徒もちらほらやってきており、余り人目につきたくは無い。

「しかしまずいな。手遅れになる前に何とかせねば。彼女のキャラにも関わってくるぞ」
「そうですにゃ。考えられる限りの最悪のパティーンは真面目堅物のコトハ様が、一瞬でクレセント様のようなデレデレキャラに」
「即落ち二コマのようだな」

 まさにその通りである。
 コトハとクレセントの性格は真逆のようなもの。
 そのコトハがクレセントのようなキャラになるなど、考えられなかなった。

「正気に戻ったコトハが、全部覚えていたら余りの羞恥で発狂モンだな。恐らく、ヒナタを殺してから自分も死ぬ」
「……性格的に有り得るから反論できないですにゃ」
「まあ、流石に今のは冗談だが-------------どうしたものか」
「しかも問題は、仕掛けた側のクリーチャーですにゃ」

 スノーフェアリーのミルとメル。そして、あのニャンクスが不意を突かれたとはいえ敗北した、ラブ・エルフィン。
 とりあえず、妖精2人はひっ捕らえてお灸を据えてやる必要があるようだ。
 大方まとまったところで、レンは思い出したように言った。

「ヒナタかコトハがいつやってきても良いように、バス停で待機しておかねば」
「……あ」

 ニャンクスの顔がそこで引きつった。

「どうした。何かまずいことでもあったか」
「い、いや、そういえば-----------」

 大時計をちらちら見ながらニャンクスの顔は青ざめていく。


「-----------僕、いつもコトハ様と、この時間帯のバスに乗るんでしたにゃ-----------」


 沈黙。そして、レンがニャンクスの頭を思いっきり鷲づかみにした。



「何でそんな大事な事ばかり忘れるんだ貴様はぁぁぁーっ!!」
「ごめんにゃさあああい!!」


 まずいことになった。それさえ知っていれば、さっさとバス停に駆けつけたものを。

「で、でも、結構準備に時間がかかって前後するときもありますにゃ」
「いや、それでもまずい! 話から察するに、あいつを公然大衆の前に晒すのはまずい! まして、ヒナタと巡り合ってしまったら-----------」

 
「----------おい、レン……」

 ふと、そこでヒナタの声が聞こえ、レンは振り返った。良かった、彼が先に来てくれたか、と安堵したレンであったが----------直後、表情が凍りつく。


「ひーなーたー♪ にゃへへへへぇ……」
「どうにかしてくれねぇかコレ……」


 多くの生徒の視線の中に。暁ヒナタと、その腕に蕩けたような表情ですがりつく如月コトハの姿があった。
 物分りの良いレンとニャンクスは、間違いなくこれが最悪の状況であることを知っていた。
 ああ、運命の神よ。そなたは馬鹿だ。とんでもねぇファッキン野郎だ。今すぐ辞職するがいい。
 何故、今このタイミングでこの2人を引き合わせてしまったのか。

「……あれ、何でニャンクスがレンのところに居るんだ」

 クリーチャーが見えるヒナタは怪訝な顔をする。
 一方のレンは彼を睨み付け、静かに語りだす。

「おいヒナタ、まず1つ言おう。事情は何であれ、1つだけ言わせて貰う」
「何だ、こちとら周りの視線が重くて仕方がねぇんだ早く言え美学馬鹿」

 ふぅ、と彼は息を吐き、言った。



「断じて!! 貴様にモテ期がやってきたとかそういうのではない、残念だったなリア充!!」
「間違っても、コトハ様は貴方等に好意など1mmも抱いていないのですにゃ、諦めるのですにゃ!!」
「醜い感情が見え隠れしてんだよ、分かりきってること言うんじゃねぇ!!」



 ぐぎぎぎ、とメンチを切り、互いの胸倉を掴みあう戦いが発生した。ニャンクスも、毛を逆立ててヒナタを威嚇している。まあ、この2人が並んだらしょっちゅうではあるのだが。
 何より驚きだったのは、ヒナタがコトハの異変に気付いていたということか。

「えへへぇ、ちゅーしてヒナタぁ……」

 と、どっかの兎のようなことを抜かし出すコトハを手で押えつけ、ヒナタは不機嫌な顔で言った。
 レンとニャンクスの顔は、更に険しくなる一方だが。

「おかしいって気付くわ、性格ブスのコトハが普通、1晩でこんなことになるわけねぇだろ」

 現に今、性格ブスと罵られたにも関わらず、デレデレとした表情を崩していない。確かにおかしいと流石のヒナタでも気付くか。

「貴様ならばこの状況で迎合してそのまま考え付く限りの淫行に走ると思ったのだが。……全く、悉く僕の予想を裏切ってくれるな貴様は」
「お前俺を何だと思ってんの!?」
「醜い欲望の塊、グラサンかっこいいと思い込んでいる典型的な中二、そして唯一つの変わらない馬鹿だ」
「キレるぞレン、後グラサンは俺のトレードマークだ」
「それはこっちの台詞だ。人目も憚らずにいちゃいちゃと」
「好きでいちゃついてんじゃねぇぇぇーっ!!」
「まずは、誰もいない場所に行きますかにゃ」

 次の瞬間、緑色のバリアのようなものがニャンクスを中心にして、ヒナタ達を覆うように広がった。

「……これは?」
「古流魔術の基本的なものの1つで、いわゆる”人避け”ですにゃ。周囲からの意識を誘導し、完全に意識から消えることができる代物ですにゃ」

 やはりこいつはクリーチャーだ、ヒナタとレンは改めて思った。

「そういうのってよぉ、基本技能の1つなわけ?」
「僕のような非力なタイプのクリーチャーなら、基本身に付けていますにゃ。戦場では身を隠すことが重要だから、隠蔽率を上げるのは基本中の基本ですにゃ」
「流石だな。では、旧校舎の近くにでも行くか」


 ***


「やっぱり、ねぇ」

 コトハに抱き着かれたまま、ヒナタは頷いた。此処は、余り人目の少ない体育倉庫の裏であった。

「呪いか。もうちょっと露骨じゃなかったら、危うく引っかかるところだったぜ」
「貴様な……!」

 いきり立ったレンを抑えるように、彼は続ける。

「……アホか、冗談に決まってんだろ。コトハは仲間だ。俺ん中じゃそれ以上でもそれ以下でもねぇ。それでも大切な仲間だ」
「……ならば良いのだが」
「不本意な好意程よ、辛いものはねぇと思うがな。まして、俺みたいにデュエマ以外何も取り得の無い馬鹿を無理矢理好きになっても仕方ないと思うぜ」
「そうか」

 ------------全く、貴様も鈍感が過ぎるぞ。
 当時、ヨミに取り込まれていたレンは直接知っているわけではないが、コトハは此処までで何度もヒナタに助けられてきている。特に、ヨミとの最初の戦いでは捕らえられてきたところを助けられたのだ。少しは彼への接し方が変わってきているのは、横から見てきたレンは知っていた。
 ------------ヒナタはまるで、異性の好意を避けているようにも見えるが---------


「------------邪魔」


 刹那。酷く冷たいコトハの声が耳に入った--------------

短編5:恋情パラレル ( No.164 )
日時: 2015/09/23 01:43
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

「----------!?」

 ふと、意識をコトハに移した。その顔は先程までのデレデレとした締りのないものとは一転、敵意を剥き出しにした猛犬のような表情であった。
 次の瞬間、空間が大きく揺れ、レンの体は吹っ飛ばされた。そのまま床に叩き付けられる。
 -----------これは-----------!?

「-----------あたしとヒナタの邪魔をするやつは許さない……!!」
「どうしたんだ、コトハ!!」

 そう言いかけたレンの頭に、「呪い」の二文字が浮かぶ。

「ニャンクス!! どうなっているのか説明しろ!!」
「は、はいですにゃ!! とうとう、”第二段階”に入ってしまったようですにゃ!!」
「第二段階だと!?」
「呪い自体が”マナ”を持っており、呪いにかかった相手に”力”を与える、と書いてあったのですにゃ!」
「具体的には!?」
「自分と呪いで惚れた人物に、他人が近づくことを極端に嫌い、即刻排除するようになるのですにゃ!」
「くっ、厄介な呪いを……待てよ、まさか」

 起き上がったレンの頭に嫌な文字が浮かんだ。

「は、はい……大抵の生き物は”あんなことやこんなこと”をするときは、本能的に天敵を避けるために、当然他の生物がいない場所に------------それは人間も例外ではなく」
「色んな意味でまずいだろう!!」
「ふふふ……ヒナタはあたしのもの-----------」
「くっ、まずい-------------ん? ヒナタ?」

 見れば、先程の衝撃波を至近距離でモロに食らっていた当のヒナタは泡を吹いて気絶していた。

「ヒナタァァァーッ!! しまった、忘れていた!!」
「恋は盲目とはこの事ですにゃ……」
「盲目にも程度があろうが!! 全く、肝心のヒナタを巻き込んでしまってどうするつもりだというんだ!!」
「ふふふ、ひーなーたー♪」
「おのれ……こんなときに、白陽は一体何をやっているんだ!!」

 暁宅の庭先でクレセントと仲良く気絶しています。 

「レン様、どうしますかにゃ!?」
「仕方があるまい-------------強行突破だ!!」
「そうだ! 決闘空間に引きずり込めば!」
「ああ! 手加減すれば、気絶させることができる!」

 ダイレクトアタックのダメージは、勝者がコントロールすることができる。ならば、最適解は1つ。製薬能力が疲労で使えないニャンクスに代わり、彼が前に出た。
 デッキを握ろうとしたレン。
 しかし。脳裏に、ある言葉が浮かんだ。


 ------------ありがとうございます、せんぱい……こんな私を最後まで……


 そこで、手は止まった。ぎりっ、と歯を食いしばる。
 忌まわしき過去。
 大切な者を失ったあの日。
 皆が居ない間に涙が枯れるまで泣いたあの日の記憶が蘇る。

「レン様!!」
「------------」

 ------------できない
 できるわけがなかった。
 もう二度と、味方に向けて決闘空間なんか開けなかった。
 自分は何も出来ない、ちっぽけで惨めな男なのに。

「ニャンクス!! 製薬能力は使えないのか!!」
「ええ!? この期に及んで------------!!」
「早く!! 出来るのか!! 出来ないのか!!」
「無理ですにゃ!! アスクレピオニスの魔方陣は、ある程度の魔力が残っていないと使えないのですにゃ!! しかも、隙が多くて、今使っても間に合わないのですにゃ!! 体力は回復しても、魔力を徹底的に搾られた今、これを使うにはもう少し時間がかかる上に……さっき見せた簡易魔術しか、使えませんにゃ!!」
「くそっ!!」

 次の瞬間。
 コトハの顔がすぐ近くまで迫った。
 -----------しまった!!
 速い。速すぎた。
 反応に少し遅れをとった。
 そのまま、レンは自分の顔面が彼女の拳に捕捉されたのが分かった------------
自分を呼ぶ声が聞こえたが、意識が離れていくのが分かった。
 -----------僕には、誰も助けることが-----------!!


 ***



「------------おーきーてー? ヒナタ」

 甘ったるい声が聞こえた。
 目をあければ、何重にもブレた表情が見える。
 ------------お前は-----------
 記憶の隅に落ちていた、幼き日の少女の顔。今は亡き少女の顔。
 しかし。彼女の顔は何故か、今自分の近くにいる1人の少女に酷似していた。何故か、よく似ていた。
 世話焼きなところ、曲がったことを許さないところ、そして甘いものが好きで女の子のような可愛いところ。
 ------------俺は、何を見ているんだ----------

「------------ナナ------------」

 その名を呼ぶと同時に、一気に意識が覚醒した。
 違う。あの少女の顔ではなかった。亡霊など、いなかったのだ。
 ------------コトハ。
 安心感と同時に、また緊張感が襲い掛かった。
 彼女の様子は、先程よりも艶やかで、何かを求めるように貪欲だった。
 しかし、そんなことよりも1つの疑問に到達する。
 ------------俺は何で、こいつの顔に”あいつ”の顔を見たんだ-----------
 決して、似ているわけではない2人の顔。だが、何故自分が僅かに見えたコトハの顔から、記憶の中の今は亡き人物を連想したのか、全く分からなかった。
 同時に彼は、自分の肌を撫でる風に気付いた。そして、背中が堅い床に押し付けられていることも。
 ------------屋上、か。
 いや、そんなに落ち着いて状況を判断していられる状況で無いことは分かっていた。
 目の前の少女の眼はハートに溶けており、今にもこちらを食ってしまいそうな勢いだ。

「ねえ? ここ、誰もいないんだよ?」

 状況は分かった。今のコトハは呪いで頭がイってしまっており、完全に自分に依存しようとしていることが。普通の男子中学生なら、今の言葉でノックアウト物である。
 しかも、自分は押し倒されており、完全にいかがわしい本のシチュエーションのそれである。
 ------------こんなの、お前のキャラじゃねえっつーの。
 危機的状況に瀕したことで”逆に冷めていく”自分の頭で考えた。
 同時に。”覚めていく”頭に、これを突破するアイディアを求めた。
 ------------レンはあんなこと言ってたが-----------!!
 ぎりっ、とヒナタは歯を食いしばった。 
 ------------俺はコトハを大事な仲間だって思ってるんだ!! 絶対、こいつの意思を捻じ曲げた奴を許さねぇ!! こいつには、こいつなりに、お似合いの相手がいるだろうがってんだ!!

「わりーな、コトハ-----------後で好きなスイーツたらふくおごってやるからよ!!」

短編5:恋情パラレル ( No.165 )
日時: 2015/09/24 03:36
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

 ***


「----------レン様」

 声が聞こえた。見れば、ニャンクスが自分の顔を覗き込んでいる。
 しかし、顔が異様に痛い。

「う、動かないでくださいにゃ! 顔が腫れていますにゃ!」
「ニャンクス、教えてくれ……呪いというのは、必ずしも薬で解かなければいけないものなのか?」

 ふと、疑問に思った。呪いには元々の本来の解き方があるのではないか、と。

「い、一応、あったのですにゃ」
「何!?」
「で、ですが、普通に考えて無理なのですにゃ」

 汗をたらたらと流し、彼女は答えた。


「呪いを解くには、呪いに掛かった人間が惚れた相手を嫌いにならなければならないのですにゃ」


 レンは押し黙った。
 これは、無理だ、と。

「……まずいな。罵られていてもニコニコしているような精神状態では」
「難しいですにゃ」

 
 ***



「---------ねえ、1つになろ? ヒナタ-----------」

 妖艶な笑みを浮かべた彼女。
 しかし。彼はそれを拒否する。
 それは彼女が嫌いだからではない。
 彼女が仲間だから。大切な人だから。
 ---------もし、これが一目惚れの呪いだって言うなら。
 1つの案を思いつく。
 では、どうすれば良いか。はっきり言って、これは賭けに等しい。
 ---------普通に考えて、無理じゃね?
 まず。冷静な彼の頭脳は1つの結論を打ち出した。
 普段のコトハにならば、考え付くあらゆるセクハラで頭をフリーズさせることができる。そして、その場を脱することができる。
 直後にボコられるのは勿論だが、その瞬間は真面目な彼女にとっては最大の隙となる。
 考えてみよう。現在のコトハはどうだろうか。
 まず、その瞬間迎合の意を表したことになり、バッドエンド。
 ---------まずは絶対シタテには出ないこと
 次に単に悪口を言っても、今の彼女には通用しない。
 そこで、今のコトハの性格と、いつもの彼女の性格を考えてみる。
 ---------共通するのは1つ。コトハはプライドが高くて、とにかく負けず嫌いだってこと! あいつは呪いでこうなっても、そこだけは変わっていない! だから、そこを突く!
 最後に。それを崩すにはどうすれば良いか。
 彼のフル回転している頭は、すぐさま答えを出した。
 --------演技とはいえ……これは嫌なんだけどな……!
 正直、自分でも使いたくない手段になってしまったが。

「ねぇ----------ヒナタ、聞いてるの?」
「やっべー、そういえば思い出したー。頼むよ、コトハ。離してくれよ」

 慌てた表情を作り、ヒナタは言った。
 正直、これしかもう方法は無い。
 動揺し、一瞬の隙を突くことが出来れば。


「俺今日、デートの予定があるんだわ、頼むぜ」


 は? と彼女の顔が崩れ始める。

「な、何を言ってるのヒナタ、あんたに彼女なんか-----------」
「それもさ、すっげー可愛いの。お前なんかより顔も性格も可愛いしな。こないだ、ネットで知り合ったんだけどよー」

 勿論、嘘である。
 後、ネットで知り合った知らない人と会うのは絶対やめましょう。
 
「それにさー、此処もお前なんかよりでかかったしなー」

 つん、と彼女の胸を指でつつき、ヒナタは嫌な笑みを浮かべた。
 これがトドメになった。
 流石のコトハの表情が怒りに変わったのが目に見えて分かった。


「あんたってやつはぁぁぁーっ!!」

 
 ぐいっ、と魔力で強化された彼女の腕がヒナタの胸倉を掴み、引き上げた。同時にもう片方の手が彼の頬を捉えた。
 思い切り殴り飛ばされ、彼はコンクリートの地面に強く体を打ち付ける。
 しかし、これで間合いから離れることができた。体は痛いが、何とか起き上がる。無駄にしぶといのが長所なのだから。
 そして、コトハを見据えた。

「あんたがそんな奴だったなんて--------------!!」
「わりーな。俺はお前には似合わねぇよ」

 そう。所詮は一目惚れ。相手の内面をよく知らず、外面だけ見て好きになったに過ぎない。
 あくまでも、”一目惚れ”というところにヒナタは着眼し、そしてその心理を突いたのだ。
 つまり。この呪いの解除方法を、無意識にヒナタは掴んでいたのである。
 -----------一目惚れした相手の嫌な面を見て幻滅、なんてのはよくある話だからな! 浮気性の相手ならば尚更! 

「ヒナタ!!」

 声が聞こえた。振り返ると、そこにはレンとニャンクスの姿があった。顔は青く腫れてはいたが。

「これは-----------」
「作戦成功だ」

 にやり、と笑みをギリギリの精神状態で浮かべるヒナタ。
 グルルル、と獣のように唸るコトハ。
 
「あんたなんか------------あんたなんか------------大っっっ嫌いよ-------------!!」

 見ると。さっきまで怒り狂っていた彼女だったが、シュウウウ、と音を立てて、何かオーラのようなものが抜けていく。

「これは! 呪いが解除されていますにゃ!」
「何をしたんだ貴様は」
「あー? ちょいと嫌われもんになっただけだ」
「おいマジか」

 完全に呪いの波紋が消え、彼女の体が崩れ落ちた。

「コトハ!」

 それを見るや、ヒナタはすぐさま彼女に駆け寄って抱きかかえる。

「おい、しっかりしろ!!」

 返事はすぐには来なかった。しかし。彼女はまるで夢から覚めたようにゆっくりと目を開いていく。
 
「-----------ヒナタ」
「コトハ! 大丈夫か!」
「-----------あたしは-----------一体------------」

 そう言いかけた途端、かぁぁぁぁ、と彼女の頬が真っ赤に染まっていく。ああ、全部覚えてしまっていたか、とヒナタは頭を抱えた。
 

「ああああああああああああああああああああああああ!!」


 羞恥で絶叫した彼女はそのまま、顔を覆ってしまう。

「お、おい、大丈夫だ、コトハ。お前は悪い呪いに」
「うるさいうるさいうるさい!! 今あたしに優しくしないで!! もうお嫁にいけない!! 絶対、あたしのこと嫌いになったでしょ!! もうやだ、恥ずかしくて死んじゃうってば!!」
「コトハ!!」

 強く、彼女を呼んだ。
 動転していた彼女が目を見開き、ヒナタの顔を見る。

「馬鹿言ってんじゃねえ、お前のことが嫌いだったら助けてねーよ」
「……ヒナタ」
「仲間だからだ! 仲間を簡単に見捨てられるかってんだ」

 ----------馬鹿……そういうの……反則だよ。
 ヨミに連れ去られたあの日を思い出した。あのときも彼は助けに来てくれた。まるで、物語の中の王子----------
 そう頭に浮かんだ発想を振るい落とし、彼女は今までの件について説明を求めたのだった。
 ----------あたし、まだおかしくなってる……。

短編5:恋情パラレル ( No.166 )
日時: 2015/09/24 01:40
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

 ***


「スノーフェアリーの仕業、ねぇ」

 一通りを聞いたコトハは、はぁ、と溜息をついた。
 ようやく自分がおかしくなっていた理由が分かり、一安心しているのだ。

「全く、たっぷり恥をかかせてくれたお礼はしないとねぇ」

 コキコキ、と拳から音が鳴っている。

「怖い、怖いですにゃ!」
「いや、当然だと思うぞ」
「しかも、うちの可愛い猫に手ェ出してくれちゃって、いよいよ死ぬつもりかしら」
「そりゃキレるな」
「まあ、どっちにしてもあんた達には礼を言っとくわ。特に」

 振り返り、彼女はヒナタの顔を見ようとしたが、すぐに戻してしまった。
 まだ、彼の顔が直視出来ない。
 -----------アホでしょ、やっぱあいつ!! 何で真顔であんな恥ずかしいこと言えちゃうの!? ねえ、馬鹿なの!? 死ぬの!?

「おーい、どうした」
「ともかく!! そのスノーフェアリー共を叩きのめすわよ!!」
「全く、貴様も鈍感だな。---------しかし、連中がどこにいるのか」
「そうだな。白陽もいねえし、此処は------------」



「あああああ、もうっっっ!! 何でどいつもこいつも邪魔ばっかりするのよおおお!!」


 声が聞こえた。それも、小さな少女のような甲高い声が。
 その方向を見れば、2つの影が浮かんでいた。

「へへんっ、向こうから出てきやがったぜ!!」
「間違いない! 僕はあいつらにやられたのですにゃ!」
「あれは、《愛恋妖精 ミルメル》----------!?」

 どうやら、とうとう業を煮やして自分から姿を現してきたようだった。
 よっぽど自分達の力に自信があるようだ。

「折角、もうちょいで良い所だったのにぃっ!! 馬鹿馬鹿馬鹿ぁっ!!」
「どうする、ミル」
「決まってるでしょ! みーんな、やっつけちゃうんだからぁーっ!!」

 「やっつける?」とドスの効いた声が響いた。
 そこには、鬼悪魔修羅羅刹般若が裸で逃げ出しそうな表情をしたコトハの姿が。
 いっ、とヒナタは小さく悲鳴をあげ、レンでさえ顔が若干青ざめていたのは言うまでも無い。

「じゃあ、あたしも邪魔なのを倒す」
「何なら、この暁ヒナタ様が相手になってやるぜ!」

 堂々とコトハに並ぶように進み出るヒナタ。メルは、少し呆れたような顔をしたが、「受けて立つ」と答えた。
 しゅるる、と音がした。見れば、今まで彼女の影に隠れていたツリー・フォークのラブ・エルフィンも闘る気のようだった。

「では、こいつは僕が倒すとしよう。丁度相手がいないものかと思っていたからな」

 珍しく乗り気のレンも進み出る。仲間を酷い目に遭わされた鬱積は晴らさねば気がすまないのは彼とて同じだった。

「へーえ。人間のくせに生意気じゃないの」
「上等じゃない、散々あたしを弄んでくれた礼をしないと」
「ふーん? 人間があたし達に勝てると思ってるの?」
「1人じゃないわ! ニャンクス!」
「はいですにゃ! 昨日の借りはきっちり返しますにゃ!」
「あれれー? 昨日時計台に縛り付けた奴じゃーん、助けて貰えたんだ」
「……ミル、そろそろ」
「分かったってば」

 見れば、クリーチャー達の背後に黒い靄が広がっていた。
 
「こうやってよ。3人一緒に並ぶのはいつぶりだ?」
「ふん。とっくに忘れてしまったぞ」
「どうでも良いわ。こいつらにはたっぷりお灸を据えてやらないとね!!」
「コトハ様に好き勝手した罪、重いのですにゃ!」

 対峙する人間とクリーチャー。やることはたったの1つだった。


『決闘空間開放!!』


 次の瞬間、決闘空間が開かれた-------------



 ***


 レンとラブ・エルフィンのデュエル。現在、互いにシールドは5枚、まだまだ最序盤であるが、ここでこけると後々に響くので慎重だ。
 しかし。先に動いたのはラブ・エルフィンの方だった。
 自然のマナ2枚をタップし、自らの分身を召喚する。



ラブ・エルフィン C 自然文明 (2)
クリーチャー:ツリーフォーク 1000
このクリーチャーがバトルゾーンにある間、自分の呪文を唱えるとき、支払うコストは1少なくなる。ただし、コストが1のときは少なくならない。



 -----------ふむ。呪文のコストを軽減するクリーチャーか。どうやら、カードとしての奴はそこまで強くないようだな。
 顎に手を当てて考えていた彼だったが、勝利への道筋が整ったのか、迷い無くカードをさばいていく。

「僕のターン! 2マナで、《一撃奪取 ブラッドレイン》召喚!」

 そのままターンを終えた。
 ----------このまま、進化してビートをかける!
 《ブラッドレイン》でコストを下げていけば、切札を簡単に出せる。
 そう思っていた。しかし。
 次のターン。《ラブ・エルフィン》の蔓の体が光った。そして、1枚の呪文が唱えられる。
 
「エイショウ……《マナ・クライシス》……」

 ----------!!
 パァン、とレンのマナゾーンのカードが1枚墓地へ置かれた。完全にリズムを崩されたのだ。
 ---------そうか。これはきついな……!!
 呪文のコストを軽減させられたということは、1ターン早く強力な呪文が飛んでくるということ。しかも、《マナ・クライシス》によるランデスで、レンは大きくテンポアドバンテージを取られたことになる。

「僕のターン、呪文《ボーンおどり・チャージャー》! 山札の上から2枚を墓地に置くぞ! ターン終了だ!」
「ウギガガガ……!!」

 先程から、唸る様な声しかあげないラブ・エルフィン。しかし、ここで更に動いてくる。マナゾーンのカードは4枚。
 そして、まずは1枚がタップされた。

「エイショウ、《進化設計図》……!!」
「何!?」

 捲られる6枚のカード。そして、手札に加えられたのは、《大神秘 イダ》のカードであった。



進化設計図 R 自然文明 (2)
呪文
S・トリガー
自分の山札の上から6枚を表向きにする。その中から進化クリーチャーをすべて自分の手札に加え、それ以外のカードを好きな順で自分の山札の一番下に戻す。



 さらにそれだけでは終わらなかった。今度は《雪精 ホルデガンス》が残った3マナで現れ、マナゾーンにカードを1枚置いていく。マナゾーンのカードの枚数差はどんどん開けていくばかりだ。
 ---------奴が呪文のコストを軽減している所為で、どんどん奴の動きが円滑になっていく-----------!!
 しかし、レンとてもう黙ってはいられなかった。

「僕のターン! 5マナで進化! 《ブラッドレイン》を《悪魔龍王 キラー・ザ・キル》に!!」

 遂に、漆黒の地獄門から顕現した悪魔の龍王。その邪眼が、一瞬で《ラブ・エルフィン》を破壊した。

「シールドを、3枚ブレイクだ!!」

 レーザーのように射出されたそれが、一気にシールドを薙ぎ払う。
 しかし。そのうちの1枚から現れた無数の蔓が《キラー・ザ・キル》を大地へ封じ込めた。
 《ナチュラル・トラップ》だ。

「くっ……!! やられたか」

 まさか、切札が一瞬で蒸発するとは思わなかったレン。これはかなりの痛手だった。
 そして、ラブ・エルフィンのターン。
 ここで切札が現れることになる。

「シ……ンカ……マナノ《ポレゴン》ヲ……《大神秘イダ》ニ……!!」

 見れば、マナゾーンのスノーフェアリーが回収されていく。
 -----------成る程、《ラブ・エルフィン》で呪文サポートをしてこちらを妨害、または手札を増やしつつ、マナ進化でどんどん増殖していくデッキということか!!
 一気にシールドが《イダ》と《ホルデガンス》で2枚、3枚、と割られていく。しかし。
 
「----------S・トリガー発動!! 《凶殺王 デス・ハンズ》召喚だ!!」

 その程度はレンを倒すに値しない。所詮は下級クリーチャーなのだから。
 悪魔の手を内臓した闇の貴公子が、《イダ》を一瞬で粉砕する。
 そして。

「僕のターン、《死神封魔 ラヴァール》召喚! 効果により、進化クリーチャーのコストを1軽減し、《ラヴァール》を《夢幻騎士 ヴィシャス・デスラー》に進化!!」

 彼の気持ちに答えた闇の騎士が深淵より降臨した。
 《キラー・ザ・キル》がこじ開けた突破口は決して無駄にはしない。

「《ヴィシャス・デスラー》でシールドをW・ブレイク!!」

 残りのシールドが全て薙ぎ払われた。
 そして、目の前のツリーフォークをめがけて、悪魔の手が襲い掛かる。


「《凶殺王 デス・ハンズ》でダイレクトアタックだ!!」


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