二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
日時: 2017/01/16 20:03
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。

また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。


”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”



『星の英雄編』


 第一章:月下転生

Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25

 第二章:一角獣

Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48

 第三章:骸骨龍

Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73

 第四章:長靴を履いた猫

Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114

 第五章:英雄集結

Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204


『列島予選編』


 第六章:革命への道筋

Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦

Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261

Act8:次なる舞台へ
>>262


 第七章:世界への切符

Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352


『侵略世界編』


 第八章:束の間の日常

Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393


 第九章:侵略の一手

Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃 
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416


 第十章:剣と刃

Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444


短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。

短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65

短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103

短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126

短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156

短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176

短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422

エイプリルフール2016
>>299 >>300

謹賀新年2017
>>443


登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします

オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。

お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新

Re: デュエル・マスターズ D・ステラ 【学校対抗予選編】 ( No.357 )
日時: 2016/08/26 23:29
名前: 月宮ハルト ◆LkjxtOn3PA (ID: zGyV0OIp)  

てことはG.リンク状態のG・イズモでないと敗北回避出来ないんですか。

Re: デュエル・マスターズ D・ステラ 【学校対抗予選編】 ( No.358 )
日時: 2016/08/27 00:01
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

月宮ハルトさん

置換じゃないので、そうなりますね。
ただし、G・イズモよりも条件を満たしやすい三界ブッディというのもいるので似たようなコンボをやるならこっち優先になるかもしれませんね。

Act1:揺らめく影 ( No.359 )
日時: 2016/08/29 01:38
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

「黒鳥レンんんんん……?」

 ずいっ、と彼の顔を眺めると、シュウヤは威勢よく詰め寄った。

「オイオイオイ、ちょっと調子乗ってんじゃねーの? D・ステラに出てるからってよォ。勝手なこと言われたら困るんだよ」
「デュエルによる決闘を申し込んだのはそっち——勝手なことばかりを言っているのがそちらだけでは、不公平ではないか」
「……まあ良いだろう。黒鳥レン、お前とは一度手合わせしたかったところだ!!」

 ——この男のこの自信は一体どこから沸いて来るのだろう……。
 デッキを取り出すシュウヤ。
 どうやらやる気らしい。若干、このノリの良さに自分から名乗りあげたものの引いてしまっていた。

「おいレン、良いのかよ、元は俺達の事だし——」
「これ以上貴様等に迷惑も掛けられん。それに——この人なら丁度良い。久々にアヴィオールの力を試せる」

 心配するヒナタを振り切るレン。
 次の瞬間、レンの背後からアヴィオールが現れる。

『黒鳥レン。最近ボクの出番が全く無いので退屈していたところですよ。全力でやってしまって構いませんね?』
「良いぞ」
「フッ、話は決まったな——決着は、この近くのカードショップで付けるとしようじゃないか」
「……揉め事をデュエルで解決しようとするデュエル脳……どうなのよコレ」
「……さあ、喧嘩になるよかマシなんじゃねーの?」



 ***



 ——カードショップ『WIN×WIN』のデュエルスペースの一角にて。 
 ヒナタとコトハが見守る中、黒鳥レンと如月シュウヤのデュエルが始まろうとしていた。
 

 
 黒鳥レン超次元
 《滅殺刃 ゴー・トゥ・ヘル》
 《極魔王殿 ウェルカム・ヘル》
 《悪夢卍 ミガワリ》
 《煉獄刃 ヘルフエズ》
 《獄龍刃 ディアボロス》
 《龍魂城郭 レッドゥル》
 《龍魂遺跡 グリーネ》
 《地獄龍星 メテオレイン》


 如月シュウヤ超次元
 《勝利のガイアール・カイザー》
 《勝利のリュウセイ・カイザー》
 《勝利のプリンプリン》
 《ヴォルグ・サンダー》
 《時空の凶兵 ブラック・ガンヴィート》
 《激天下! シャチホコ・カイザー》
《時空の喧嘩屋 キル》
 《時空の英雄 アンタッチャブル》

 
 超次元のカードを見た途端、ヒナタは「《ウェルカム・ヘル》?」と口にした。
 あれは元々、蓬莱学園の双子の片割れが持っていたドラグハートだ。本来ならば、まだ世の中にも、まして海戸でも解禁されていないカードのはずであるが——

「予選の後、鎧龍を通じて送られてきてな。僕に是非使って欲しいとの事だ。成程。無理にサイキックを入れるよりは、こいつの方が使いやすいかもしれん。安定感が全く違う」
「そ、そうだったのか……」
「何より、僕の革命にもこいつは合っている。遠慮なく、使わせて貰うとしよう!」
「ハッ、良いぜ。掛かって来いよ!」

 というわけで始まったレンとシュウヤのデュエル。
 序盤から《特攻人形ジェニー》を自爆させ、レンの手札を破壊するという戦術をとるシュウヤ。
 一方のレンも動じることなく《ブラッドレイン》を召喚して後続へ繋げる体制を整える。
 さて、ハンデスは基本、1対1交換。コイントスで後攻になってしまったシュウヤは、ハンデスをすれば自分も手札が無くなってしまうという状況にこのままではなりかねない。
 しかし——

「それが今までのハンデスの常識——しかし。先攻だろうが後攻だろうが、今後のハンデスは違う!! 新たなカードがハンデスデッキに革命を齎すのだ!! 3マナで《ブレイン・タッチ》を使用!!」
「っ……それは」



ブレイン・タッチ C 水/闇文明 (3)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
相手の手札を1枚見ないで選び、捨てさせる。
カードを1枚引く。



 再び、レンの手札が叩き落された。次のターンに出せたはずの《白骨の守護者 ホネンビー》だ。
 同時にシュウヤはカードを1枚引く。《ブレイン・タッチ》は多色ではあるもののハンデスしながらカードを引くことで一方的にアドバンテージを取りにいくことが出来る新たな呪文。
 つまり、今まで1対1交換だったのが、一方的に彼が手札を減らしにいくことが出来るという状況に。

「ターンエンドだ。さあ、どうする?」

 シュウヤ:山札32 手札3 マナ0/3 墓地2

「兄貴のデッキは変わらないわね、本当に……!」
「こうしてみると、やっぱ厄介だよなハンデス。しかも、先攻でも消耗が少ないのか……本当に、お前とは真逆だよな」

 観戦している2人は、やはり彼の実力の高さを評価する。
 性格に問題はあれど、かつてアウトレイジのカードに選ばれただけはあるのだ。
 かつて、ステロイドが中心だったコトハに対し、彼のデッキは水闇ハンデス。マナを加速させて攻める妹に対し、序盤から徹底的に妨害と手札破壊、手札補充を繰り返してアドバンテージをとっていき、弱ったところにトドメを刺すスタイルなのだ。

「僕のターン。——ハンデスか。だが無意味だ。《ブラッドレイン》でコストを下げて3マナで《暗黒鎧 ヴェイダー》を召喚」



暗黒鎧 ヴェイダー R 闇文明 (4)
クリーチャー:ダーク・ナイトメア 4000
ブロッカー
このクリーチャーは攻撃できない。
自分のターンの終わりに、自分の山札の上から1枚目を墓地に置いてもよい。それがクリーチャーなら、カードを1枚引く。



 レンの召喚した《ヴェイダー》は、闇の置きドローとして優秀なカードだ。
 ターンの終わりに山札の上から1枚目を墓地に置き、それがクリーチャーならばカードを1枚引けるというもので、墓地肥やしと手札補充を同時に行えるという優れもの。
 しかも万が一の時はブロッカーとしても機能する。

「ターン終了時に山札の上から1枚目を墓地に置く——それがクリーチャーならば」

 山札の一番上のカードが捲られた。
 落とされたのは——《龍覇 ニンジャリバン》だ。

「カードを1枚引ける。ターンエンドだ」

 レン:山札30 手札2 マナ0/3 墓地4

 これにより。
 ターン終了時に手札が無ければ覚醒する《ブラック・ガンヴィート》などを防ぐことも出来る。
 とはいえ、手札破壊を防ぐ根本的な解決には至ってはいない。
 闇は墓地を操る故に、ハンデスには強い方ではあるのだが——

「俺のターン。……少し手札がキツイな。まあ良い、《セブ・コアクマン》を召喚!! その効果で山札の上から3枚を展開だ!」



セブ・コアクマン C 水文明 (4)
クリーチャー:サイバーロード/エイリアン 2000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚をすべてのプレイヤーに見せてもよい。その中から光と闇のカードをすべて自分の手札に加え、残りを墓地に置く。



 展開されるのは3枚のカード。その中から光か闇のカードを手札に加えることが出来るが——捲られたのは《ブレイン・タッチ》に《超次元 リバイヴ・ホール》、《超次元 ミカド・ホール》の3枚。
 つまり、全て彼の手札へ直行することになるのである。
 
「これで手札は+4枚!! ザマァ見晒せ、黒鳥レン!! 此処から徹底的に追い詰めてやろう!!」
「……フン、何処からそんな自信が沸いて来るのやら」
「完全に調子に乗っているわね」
「……レンには頭が下がるなあ……本当」

 こんな時にも表情筋1つ動かさない彼の忍耐強さには尊敬すら感じる。
 とはいえ、幾ら《ヴェイダー》がいると言っても、破壊されてしまえばそれまで。次のターンに彼のマナは5マナになるが、超次元を使われれば《ミカド・ホール》からの《勝利のガイアール・カイザー》で今場にいる2体が破壊されることもあり得る。
 このままではじり貧は確定的だ。
 
 シュウヤ:山札28 手札5 マナ0/4 墓地3

「……僕のターン。やれやれ。気の早い奴め。3マナで《停滞の影 タイム・トリッパー》を召喚」
「なっ!!」

 しかし、そうはならなかった。
 次のターン、彼のマナが5枚になることはない。
 マナをタップインさせてしまう《タイム・トリッパー》がいるからだ。

「ターン終了時に《ヴェイダー》の効果発動。山札の上から墓地に置かれたのは——《龍神 へヴィ》だ。カードを引き、ターンエンド」

 レン:山札27 手札2 マナ1/4 墓地5

「くっ、おのれ——俺のターン、《ブレイン・タッチ》を使い、貴様の手札を1枚選んで破壊する!」

 すぐさま、手札補充と手札破壊に打って出るシュウヤ。
 ——このターンであの2体を全滅させ、手札もズタズタに出来るはずが——まあ良い、次のターンがある!!

 シュウヤ:山札26 手札5 マナ1/5 墓地4

「ターンエンドだ!」
「では、僕のターン——ドロー」

 向こうには大量の手札。
 しかし、こちらがズタボロにされなくて良かったと思っている。
 ——相手は何かを隠している——まあ良い。これでその策を全て無に帰すまで。
 4枚のマナをタップする。《ブラッドレイン》でわざわざコストを軽減するまでも無い。制圧の準備は、今始まった。



「——行け。4マナで、《爆霊魔 タイガニトロ》召喚」

Act1:揺らめく影 ( No.360 )
日時: 2016/08/28 00:35
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

爆霊魔 タイガニトロ R 闇文明 (4)
クリーチャー:ファンキー・ナイトメア 4000
マナ武装 5:自分のターンの終わりに、自分のマナゾーンに闇のカードが5枚以上あれば、相手は自身の手札から1枚選び、残りを捨てる。




「そ、そいつは……!!」
「たまにいるのだよ——ハンデスをしていて主導権を握ったと勘違いし、良い気になっている愚か者が。ならばそいつに教えてやりたいことがある。”窮鼠、猫を噛む”という言葉をな」
『何か、猫にはありがたくない言葉ですにゃ……』
「た、例えだから……」
「最も僕は、鼠の如く追い詰められているわけでも、まして勝負に対して自棄(ヤケ)を起こしたわけでもなんでもないが——只一つ言えるのは、此処から追い詰められるのは貴様の方だ。調子に乗って踏ん反りがえっている奴が、いつも痛い目を見るのでな」

 ターン終了時。
 まず、レンは《ヴェイダー》の効果を使って山札の上から1枚目を墓地に送り、それがクリーチャーの《凶殺皇 デス・ハンズ》なのでカードを1枚引く。
 更に——突き付けるようにしてレンは言った。

「《爆霊魔 タイガニトロ》のマナ武装5発動……僕のマナゾーンには闇のカードが5枚。よって、貴様には手札1枚を残してそれ以外を全て墓地へ捨てて貰おうか」
「ぐっ、こ、こいつ……!!」

 一気に4枚。
 一気に4枚のカードがシュウヤの手札から叩き落される。
 ——こ、こいつ……!! 折角の、折角の俺の完璧なハンデスライフを、おのれぇぇぇ!!
 次のターン、マナを溜めて何かをすれば、どうあがいても彼の手札は0になる。
 確かに手札補充をさっきのように行えば、手札は増えるが——《タイガニトロ》を倒さない限り、それが1枚を残して全て墓地へ叩き落されるという事実は揺るがない。

「ターンエンドだ」

 レン:山札25 手札2 マナ5 墓地5

 シュウヤ:手札1 墓地8

「流石だぜ、レン!」
「見事な切り返しだわ!」
「先攻ならば、逆にこちらが追い詰められていたかもしれんがな。そう、気を落とすな」
「お、おのれ……!!」

 こういった時の慰めの言葉は逆に煽りにしかならない。本人は善意で言っているのだろうが。
 手札を引くシュウヤ。
 そして——笑みを浮かべた。

「は、ハハハ!! 調子に乗っているのはお前の方さ!! このまま叩き潰してやる!! 5マナをタップ——呪文、《超次元 リバイヴ・ホール》」

 超次元呪文を唱えるシュウヤ。
 それも、闇の超次元呪文の中でも墓地からクリーチャーを手札に戻す《リバイヴ・ホール》だ。

「その効果で《復讐 ブラックサイコ》を手札に加え——そして、《勝利のガイアール・カイザー》で攻撃!!」
「!? そ、それは侵略のカード!?」
「嘘だろ!? お前の兄貴も持ってたのかよ!?」
「そうだとも!! 侵略は既に鎧龍さえも侵食しつつあるのだぁーっ!! これからは、侵略の時代、侵略者がデュエマの環境を牛耳るのさ!! ビートダウンも、コントロールもな!!」

 スピードアタッカー能力で《ヴェイダー》に向かって攻撃を仕掛けるシュウヤ。
 それと同時に——今手札に加えたカードをその頂へと叩きつける。



「——復讐、復讐、復讐!! 妹に付く悪い虫はこの俺がこの手で成敗する——《復讐 ブラックサイコ》、侵略進化ァァァーッ!!」



復讐 ブラックサイコ VR 闇文明 (5)
進化クリーチャー:デーモン・コマンド/侵略者 7000
進化−自分の闇のクリーチャー1体の上に置く。
侵略−闇のコマンド
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手の手札を2枚見ないで選び、捨てさせる。



 現れたのは地獄より現れた復讐の侵略者。
 その効果は突如姿を現し、手札を2枚見ないで選んで捨てさせるという凶悪なもの。
 しかも、《ガイアール》の効果でアンタップキラーは当然持続しており、そのままタップされていない《ヴェイダー》に狙いを付けたままだ。

「さあ、《ブラックサイコ》の効果でお前の手札を2枚選んで破壊だァーっ!」

 はらり、と2枚のカードがレンの手から墓地へと落ちた。
 これにより、彼もまた次のターンの自由を奪われたことになる。
 ——破壊しても、《リバイヴ・ホール》があれば疑似リアニメイト、しかも出てくるたびに《スケルトン・バイス》を放つ——厄介だな、これは……! 

「妹はこの俺が見守らねばならない!! 見守らねば、ならんのだよ、フハハハハ!!」
「っ……貴様のやっているのは、只の監視と統制だ。それは彼女の自由を妨げる以外の何者でもない」
「抜かせ! 《ヴェイダー》を一方的に攻撃して破壊……ターンエンドだ!」

 シュウヤ:山札25 手札1 マナ0/5 墓地9

「とはいえ、補給路は絶たれたか——ここからは、天運に賭けるしかないか」

 カードを引くレン。
 《ブラックサイコ》自体をどうにか出来るわけではないが——

「《龍覇 ニンジャリバン》召喚——その効果で、《龍魂遺跡 グリーネ》を出して山札の上から1枚目をマナゾーンへ。……ターンエンドだ」
「それだけか?」
「っ……」

 レン:山札23 手札0 マナ1/6 墓地7

 手札が1枚だけならば《タイガマイト》の効果も意味を成さない。
 そして彼自身も再び仕掛けに掛かる。

「呪文、《陰謀と計略の手》——! その効果により、《タイガニトロ》をバウンスし、そのまま手札から墓地へ叩き落す!」



陰謀と計略の手 UC 水/闇文明 (4)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
相手の進化ではないクリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻す。その後、相手の手札を1枚見ないで選び、捨てさせる。




 《陰謀と計略の手》は、相手をバウンスしつつもハンデスすることで実質破壊を狙うことが出来る呪文だ。本来はサイキック・クリーチャーの除去をすれば1ハンデスをオマケで狙うことも出来、一方的に2枚のアドバンテージを取れる呪文ではあるが。

「……!」
「ターンエンドだ……このままじわじわと追い詰めてやろう!」

 シュウヤ:山札24 手札1 マナ1/5 墓地10

「僕のターン……」

 《タイガニトロ》も墓地に送られ、これで手札の補充も許してしまう結果となった。
 今のレンには、もう手札が無い——
 ——さて。僕はどうだ?
 彼は目を瞑る。あの2人がいずれそうなることは分かっていた。分かってはいたが——それでもやはり取り乱した。
 何故? 何故? それは——疎外感を一瞬でも感じてしまったからだろう。
 
「成程、僕も取り乱していたとはいえ——友人の為に何が出来るのかを真っ先に考えるべきだったな。反省だ」

 繰り返すが、今のレンには、もう手札が無い——しかし。場のクリーチャーと、今手にしたカードがある。
 《ブラッドレイン》でコストを1軽減する。

「貴様”も”好い加減、目を覚ませ。自分のやっていることがどういうことなのか、今一度考えてみろ。脳味噌が付いているのならば——使わねば意味が無いな」

 6枚のマナをタップした。
 このくだらない因縁を——終結させるために。




「《極・龍覇 ヘルボロフ》、召喚」

Act1:揺らめく影 ( No.361 )
日時: 2016/09/03 21:17
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

 《極・龍覇 ヘルボロフ》。闇ドラグナーの中で最も重量であり、呼び出せるドラグハートの範囲も闇の中では最大だ。
 その効果により、山札の上から2枚。《ホネンビー》と《魔狼月下城の咆哮》が落とされる。
 更に、超次元ゾーンからレンは1枚のカードを取り出した。

「《ヘルボロフ》の効果で、コスト5以下の闇のドラグハートの《極魔王殿 ウェルカム・ヘル》を場に出す」
「フォートレス……!! 蓬莱の使っていたカードだが——そいつでどうすると言うのだ!」
「このフォートレスが場に出た時、墓地からコスト5以下の闇のクリーチャーを場に出せる——《暗黒鎧 ヴェイダー》をバトルゾーンへ出すぞ——そして、ターン終了時に再び《ヴェイダー》の効果発動」

 言ったレンは、墓地にカードを更に送り込む。手札に加えられたのは——《リュウセイ・イン・ザ・ダーク》のカードだった。
 自分のドラゴンが破壊されるたびに手札に戻る《イン・ザ・ダーク》は実質破壊しても意味を成さない——!

「ターンエンドだ」
「お、おのれ……!」

 言ったシュウヤは、カードを引く。
 しかし、この状況を打開できるわけではない。クリーチャーは合計で4体もいるのだ。
 これら全てを処理するのは容易いことではないだろう。

「と、とにかく召喚だ! 《アクア・ベララー》を出して、《特攻人形 ジェニー》を召喚! そのまま自爆して手札からカードを叩き落す!」
「おや、良いのか?」
「どの道、そっちにはドラゴンの比率が高くなさそうだからな——! 更に、《ベララー》の効果で山札の一番上をチェックする! そして、それを山札の上に置いたままにするか、下に置くか選べる!」



アクア・ベララー C 水文明 (2)
クリーチャー:リキッド・ピープル 1000
自分の他のクリーチャーをバトルゾーンに出した時、いずれかのプレイヤーの山札の上から1枚目を見る。その後、そのカードを持ち主の山札の一番下に置いてもよい。




 軽量の山札操作カード、それが《アクア・ベララー》だ。
 他のクリーチャーを場に出す度に、要は相手のトップを見て、それを山札の一番下に送ることができる、というもの。
 ハンデスの後の仕上げに使われることが多い。
 そして、彼の確認した山札は——
 ——ゲッ、また《ヘルボロフ》……! 送るしかない!

「それを山札の下に送れ!」
「っ……」
「ターンエンドだ!」

 ——恐らく、良い引きだったのだろうが——仕方あるまい。不幸、不運はよくある話だ。
 しかし、フォートレスがある分、それでもレンの方が有利だった。
 それを裏付けるかのように——彼は動き出す。

「僕のターン、カードをドロー——」

 そして、そのカードを見るなり、彼は6枚のマナを再びタップする。《ブラッドレイン》でコストを軽減したのだ。
 そのまま——迷わず召喚する。
 今、この場を一気に制圧するチャンスなのだから。




「——頼むぞ。《策謀の魔龍星 アヴィオール・ヴァイス》、召喚」



 まるで、引き寄せられるかのように——手札にやってきたのは《アヴィオール・ヴァイス》だった。
 
「ふ、ふふふ! 今更ステラアームド如きで驚きはしないぞ!」
『こんなことを言っていますよ黒鳥レン、どうしますか』
「それはどうかな? とでも返すのがお決まりらしいな。こういう奴には」
「何!?」
「まず、効果によって超次元から《地獄龍星 メテオレイン》をバトルゾーンに。その効果で山札の上から3枚を墓地へ送り、そして墓地から手札へ《ホネンビー》を加える。そして、ターン終了時に」

 しかし。これだけでは終わらない。レンは先ほど、《ウェルカム・ヘル》の龍解を敢えて行わなかった。それには理由がある。
 
「貴様に一気に2つ、地獄を見せてやろう。我が最強の地獄を一気に2つ——精々喜べ。《ウェルカム・ヘル》の効果発動。ターン終了時に《ヘルボロフ》、《ブラッドレイン》、《ニンジャリバン》、そして——《メテオレイン》を破壊」
 
 次々に自分のクリーチャーを破壊するレン。
 そして、《ウェルカム・ヘル》を裏返した。
 
「——裁きの門は開かれた。愚かなる罪人に死の祝福を」

 それは死を齎す最強の悪魔龍。
 そして、レンの最強のドラグハートとなるカード。
 見せつけるように、彼は宣告する。
 その切札の登場を。



「龍解——《極・魔界王 デスゴロス》」



 龍解した《デスゴロス》。
 その効果は、一瞬にして2つの命を葬るというものであった。
 
「《デスゴロス》の龍解時効果によって、《ブラックサイコ》と《ベララー》を破壊」
「っ……!!」
「そして、ドラゴンである《ヘルボロフ》が破壊されたので《リュウセイ》も手札へ加える」

 そして更に連鎖するようにして、彼はカードを裁いていく。
 その様は指揮官のようだった。

「更に此処で《メテオレイン》の効果も発動だ。ターン終了時に場を離れていたので——武装条件は達成された。超次元からこのカードを裏返し、《アヴィオール》に武装させる」
『死は連鎖します。貴方にも教えて差し上げましょう。ボクの死の指揮の一端を』

 誇らしげに言うアヴィオール。言う通り、ターンの終わりに発動する能力と言うのは、総じてトリガー能力だ。だから、ターンの終わりに発動条件を満たしていなくても能力が発動しないという訳ではない。実際には能力を発動する段階で条件を満たしていれば能力はトリガーする。そう、連鎖するようにして。
 《メテオレイン》を裏返し、《アヴィオール・ヴァイス》の頂きへ重ねた。
 そして——レンは宣言する。
 自らの最強の刃を。スターダスト・クリーチャーの力を。




「邪悪を照らす刃よ。高貴で美しき、死の武装を今——《殲滅の地獄軍師 アヴィオール・デスロード》」



 シュウヤは思わず、声が出なかった。
 圧倒的な力。覇気。それだけならば、自身の所持していたアウトレイジに似てさえいるということ。
 その効果は、慎ましく、そして鮮やかに、死の指揮官となったアヴィオールの下で振るわれていく。

「こいつが武装に成功した時、または攻撃する時、墓地からコスト5以下の闇のクリーチャーを場に出せる。《龍覇 ニンジャリバン》を召喚し、超次元から《悪夢卍 ミガワリ》を装備し、ターンエンドだ」
「あ、そ、そんな……巨大クリーチャーが2体も……!!」
「ついでに言うと、《アヴィオール・デスロード》の効果で自分のナイトが場を離れる時、代わりに相手のクリーチャー1体のパワーをゼロに出来る。更に貴様のクリーチャーは問答無用でタップインだ」

 まずいことになった。
 流石にこの2体を処理し、取り巻きも処理できるほどの余力は彼には残されていない。
 しかも《トリッパー》は生きているので、もうこれ以上のマナを増やすことも出来ないのだ。
 侵略をしようにも、まず侵略元が場に出した時にタップされるのでお話にならない。

「タ、ターンエンド……! そんな、こんな収拾がつかなくなるなんて……!」
「では僕のターンだな」

 カードを引くレン。
 そして——《デスゴロス》に手を掛けた。

「《デスゴロス》で攻撃——する時、山札の上から1枚を墓地へ置く。そして、闇のクリーチャー1体をリアニメイトする。墓地から《極・龍覇 ヘルボロフ》をバトルゾーンへ。墓地にはカードは置かず、超次元から《レッドゥル》を出して、効果で《ヘルボロフ》をSA化だ。そのまま、シールドをT・ブレイク」

 シールドが一気に3枚吹き飛ばされる。
 シュウヤはこの時悟った。
 このデュエル、逆転は不可能だ、と。破壊しても破壊しても、既に連鎖は始まってしまった。
 終わることのない死の連鎖が、恐怖の指揮官の下で——

「そして《ヘルボロフ》でシールドをW・ブレイク」
「や、やばい……S・トリガーは……ダ、ダメだ!!」

 これでシュウヤのシールドは0枚になった。
 ブロッカーは居ない。決着が付く。




「《アヴィオール・デスロード》でダイレクトアタック」


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