二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
日時: 2017/01/16 20:03
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。

また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。


”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”



『星の英雄編』


 第一章:月下転生

Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25

 第二章:一角獣

Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48

 第三章:骸骨龍

Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73

 第四章:長靴を履いた猫

Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114

 第五章:英雄集結

Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204


『列島予選編』


 第六章:革命への道筋

Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦

Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261

Act8:次なる舞台へ
>>262


 第七章:世界への切符

Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352


『侵略世界編』


 第八章:束の間の日常

Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393


 第九章:侵略の一手

Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃 
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416


 第十章:剣と刃

Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444


短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。

短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65

短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103

短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126

短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156

短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176

短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422

エイプリルフール2016
>>299 >>300

謹賀新年2017
>>443


登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします

オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。

お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新

Act7:鎧龍頂上決戦 ( No.242 )
日時: 2016/02/24 18:50
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: S0f.hgkS)

サイバー・G・ホーガン VR 水文明 (8)
クリーチャー:サイバー・コマンド 8000
M・ソウル
W・ブレイカー
激流連鎖(このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から2枚を見る。その中から、このクリーチャーよりコストが小さいクリーチャーを好きな数、バトルゾーンに出してもよい。残りを好きな順序で自分の山札の一番上に戻す)



 
 現れたのは巨大な砲丸を抱えた巨人のようなサイバー・コマンドであった。
 青の血潮、青のモノアイ、青の鉄槌。筋骨隆々のその体格は、まさに彼に相応しい切札と言えるだろう。
 ——ただし、会場のどっかから「オイ!! ハルク・ホーガンはボクシング選手じゃなくてプロレス選手だぞ!!」という声が上がったような気もするが、そんなこと気にせずに山札から2枚を捲る。
 バトルゾーンに激流が巻き起こった——

「激流連鎖発動!! 効果で、山札の上から2枚を捲り、それがクリーチャーならばバトルゾーンに出せる!!」

 2枚のカードが捲られた。
 そして、激流と共に場へ現れる。
 しかし、それはただのカードでは無かった。
 既存のそれを超える——試製カードの1つだ。

「くくく、来たかぁぁぁーっ! これが3枚目の、私の切札ですよぉぉぉっ!!」

 現れる。
 激しい稲光と、鬼のような眼光と共に。それも、とてつもなく強大なクリーチャーが——



「我が武器は鋼の礫!! さあ、大地を叩き割れ、大いなる海の拳王よ!!《電河棲龍 T・フューリー》!!」


 
 ——!!
 思わず、身構えた。現れたのは、巨大な拳を持ち、ヘッドギアを頭に付けた龍。《G・ホーガン》よりも一回り小さいが、まさに鉄槌を体言したかのような巨大な拳は大地を叩き割り、海さえも裂いてしまいそうな凄みを持っていた。

「くく、これこそが私の真の切札——! そしてもう1体は——チッ、《霞妖精ジャスミン》……まあ良いでしょう」
「な、何ですか、そのカードは……!!」
「おっと。連鎖はまだ終わっていないんですよねぇ!!」
「!?」

 安藤は更にカードを捲った。
 再び激流が巻き起こる——

「《T・フューリー》の”超連鎖・閃”発動!! 山札から2枚を捲り、その中からこのクリーチャーよりもコストが1大きい《サイバー・G・ホーガン》をバトルゾーンに!!」
「……えええ!?」



電河棲龍でんこうせいりゅう T・フューリー 水文明 (7)
クリーチャー:サイバー・コマンド・ドラゴン 7000
M・ソウル
超連鎖・閃(このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から2枚を見る。その中からこのクリーチャーよりもコストが少ない、またはコストが1大きい進化ではないクリーチャーを1体選び、バトルゾーンに出す。こうして、このクリーチャーよりもコストが1大きいクリーチャーをバトルゾーンに出したとき、自分のクリーチャーを1体選び、破壊する)
W・ブレイカー



「コストが1大きいクリーチャーを出したので、《T・フューリー》の効果で私の場の《ジャスミン》を破壊!! そして2体目の《G・ホーガン》による激流連鎖発動!!」
「ま、まだ連鎖するんですか!?」

 その様子を見ていたヒナタ達も、いよいよこれがまずいことに気付いた。
 
「俺と似ているって、そういうことかよ!! 《G・ホーガン》は俺が鎧龍に来た頃使っていた切札の1つ……! 加えて、あの《T・フューリー》は、連鎖に加えて、更に疑似的な《ヒラメキ・プログラム》まで内臓してやがる。出せるクリーチャーの範囲が決まっているとはいえ、2枚捲ってその中から選べる時点で、これはかなり強い……実質、《サイバー・T・クラウン》の上位互換じゃねえか……!!」
「ホーガンというデッキの特性を知り尽くしているな。《ホーガン》2体目が出れば、下手すれば大惨事になるぞ。あのデッキ、どうもフルクリーチャーで組まれているようだからな」

 そう言っている間に、2体のクリーチャーが唸りを上げて現れる——

「《嘘と盗みのエンターティナー》、《破壊者 シュトルム》をバトルゾーンに!」
「ッ……!!」

 これにより、安藤の場には《G・ホーガン》2体、《T・フューリー》、《シュトルム》、《エンターティナー》の5体が揃ってしまった。
 このままでは、普通に殴られてそのままダイレクトアタックに持っていかれるのは目に見えていた。
 
「私のターン……! この状況……どうにかしてみせます!! 《超過の翼 デネブモンゴ》を召喚です! 効果により、カードを1枚引いて《聖歌の翼 アンドロム》をバトルゾーンに! その効果で《サイバー・G・ホーガン》をフリーズ!」
「ほう。ですが、所詮は脆弱な軍勢……その程度の光で何が出来るというんですかねえ?」
「っ……!!」

 ——貴方の力は余りにも弱すぎる。その程度の光だの希望だのには——負けるわけにはいきませんねぇ?
 思い出す。
 あの時の記憶。
 アヴィオール——いや、それに取り付いていたアルゴリズムに負けた時の記憶が。
 あの時の自分は、心の闇にも自分自身にも負けた。
 負けて負けて——地に落ち果てた。
 仲間が敵になる。
 そんな絶望的な状況であの人は——
 ——今、助けてやるからな——!!
 


 ”絶対に諦めなかった!!”
 


「だけど……!! 抗える……!! どんなに小さな光だって——それが、蛍灯のようにどんなに小さく、どんなに淡くったって——暗闇を明るくすることが出来ないわけじゃない……!! まだ、戦える!! まだ、何も始まってなんかいない!! だから、まだ何も終わってなんかいない!!」
「ほーう」

 にやり、と笑みを浮かべた彼は——

「ならお望み通り、絶望の中に叩き落してやりましょう!! デスマッチの開始ですよォ!! 《魔龍バベルギヌス》召喚!!」



魔龍バベルギヌス VR 闇文明 (7)
クリーチャー:ドラゴン・ゾンビ/グランド・デビル 1000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、プレイヤーをひとり選ぶ。そのプレイヤーのクリーチャーを1体破壊してもよい。そうした場合、そのプレイヤーの墓地から、《魔龍バベルギヌス》以外の進化ではないクリーチャーを1体選び、バトルゾーンに出す。



「その効果により、《G・ホーガン》を破壊し、再び墓地から召喚!! そして、激流連鎖発動!! 山札の上から2枚、《ジョニーウォーカー》と新たなる侵略者、《獣軍隊 シュパック》召喚!!」
「——!!」
「良いことを教えてあげましょう。《シュパック》は相手のシールドが2枚以下ならばマナゾーンからクリーチャーを召喚することを可能にし、そして相手の呪文・クリーチャーの効果によって自分のクリーチャーがタップされたならば、自分のクリーチャーを全てアンタップさせることが出来るのです。これで光文明お得意の、残りシールド1枚でスパーク系カード、かーらーの逆転は不可能になったというわけですねえ。これぞ、攻撃に特化した侵略者の力!」




獣軍隊 シュパック VR 自然文明 (4)
クリーチャー:ゲリラ・コマンド/侵略者 4000
相手のシールドが2つ以下なら、クリーチャーを自分のマナゾーンから召喚したり、自分のターンの終わりに、進化クリーチャーを好きな数、自分のマナゾーンから手札に戻してもよい。
相手の呪文の効果またはクリーチャーの能力によって、自分のクリーチャーがタップした時、自分のクリーチャーをすべてアンタップする。




 ホタルは戦慄した。また、厄介なクリーチャーが現れてしまったことに。加えて、自分の行動範囲はどんどん狭められていく。
 刻々と敗北の時は近づいてきた。
 侵略者の登場によって。
 そして、電脳の使者によって——

Act7:鎧龍頂上決戦 ( No.243 )
日時: 2016/02/27 21:40
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: S0f.hgkS)

 安藤がどんどん詰めていく中、ホタルのターンになった。

「私のターン……《音感の精霊龍エメラルーダ》を召喚! その効果で、シールドから1枚を手札に——加えないで、手札から1枚をシールドに!」
「ほう……? 無駄な足掻きを。いい加減、諦めなさい」

 ——これは《ドラゴンズ・サイン》でも仕込んだのですかねェ? わざわざスパーク系は使わないでしょう。まぁ、出たところで破壊されるがオチ——とすると、相手ターンに破壊されない《高貴の精霊龍 プレミアム・マドンナ》でも出すつもりでしょうか。見え透いた手だ。
 もっとも、そんなことは彼には関係ない話であった。
 ——何せ《GENJI XXX》で他のブロッカーを殲滅してお終い、と行ったところでしょうか。まーあ、大したことは無かったですねえ。
 ふふ、と余裕の笑みを浮かべる安藤。既に手札には、ホタルを完全に詰ませる最終兵器が握られていた。
 ——このまま終わりにして差し上げましょう……!
 一方のホタルの方を見れば、その顔はさぞ焦燥に溢れているのだろうと思われた。しかし。
 ——む? 落ち着いている? 馬鹿な。逆転手段も封じられているのに、此処に来てとうとう覚悟を決めたか?

「ターンエンドです!」
「……私のターン」

 ホタルの意図が分からない。何を仕掛けてくるのか、全く分からない。
 しかし。それこそが本来の狙いではないか、と安藤は考える。
 ——いや、此処は敢えて引っかかってやることにしましょう。こうやって時間稼ぎをされたら元も子も無い。そうなる前に、逆転できなくなるくらいボロボロにしてやりましょうかねェ!! ひょっとしたら、本当にハッタリの可能性だってあるのだからにして。
 ターンが進めば進む程、分が悪くなるのはこちらだ。
 ならばその前に強引に倒すまで。《シュパック》がこちらに居る以上、スパーク系呪文で止められることは無いはずだ。

「《熱血龍 GENJI XXX》召喚! 効果により、場のブロッカーを全て破壊!」

 現れた熱血龍の一太刀が《エメラルーダ》と《アンドロム》を切り裂く。
 
「さあ!! 最終ラウンドだ!! 貴方を守るものは無くなった!! 《サイバー・G・ホーガン》でシールドをW・ブレイク!!」
「っ……!!」

 チェーンに繋がれた巨大な砲丸によって叩き割られる2枚のシールド。会場からはその迫力で歓声が上がっている。
 そして——

「2体目の《ホーガン》でシールドをW・ブレイク!!」

 続けるようにして2撃目が放たれた。
 これによって、《シュパック》の効果発動圏内に。
 これを見ていたヒナタ達も、焦りを隠せなくなってくる。

「や、やっぱり、プレッシャーで——」
「逆転は難しいな。”あのカード”でも入れていない限りは……だが、余りにもピンポイント過ぎる」
「さー、どーだろーな」

 不安を隠せないコトハとレンの言葉を断ったのは、フジだった。



「これしきで潰れててたら、革命なんざ起こせるわきゃねーだろ」




 ***



 
 ——セ、セーフ!! 危なかった……!! 此処まででスパーク系のカードが来たら全部お終い……!! だが、もうこれで心置きなく彼女を倒せる!!
 安藤は安堵を隠すことが出来なかった。
 それほどまでに上手く事は進んでいた。

「《T・フューリー》でシールドをW・ブレイク!!」

 高速の拳が次々に放たれる。
 2枚に連なるシールドを殴る殴る殴る殴る殴る——そのまま全て打ち砕いてしまった。
 
「は、ははは! 勝った! 有り得ないぞ、流石に——此処で私のクリーチャーが全て破壊でもされない限り」
 
 光が収束する。S・トリガーだ。
 しかし。考えつく手段では彼女が自分に逆転できるわけはない。そう考えていた。現に、激しい光が放たれているが、こんなものは《シュパック》の前では無力——ただし。それが本当にスパーク系の光であったのならば、の話であるが——



「S・トリガー発動」



 すべての理に従い、安藤の場のクリーチャーは全て光に包まれる。
 全てを消し飛ばす”熱”を持ったそれに——

「……はっ?」

 次の瞬間。
 見渡せば、場に居た安藤のクリーチャーは既に全滅していた。

「な、ば、馬鹿な——」



 パシャッ



「はーい、良い表情ですね。ベストショット、撮らせていただきましたよ、安藤選手」
「な、な——!!」
「S・トリガー発動……《アポカリプス・デイ》。場にクリーチャーが6体以上いれば、それらを全て破壊します」

 つまり。安藤がうっすら予想していた最悪の事態が起こってしまったのだ。彼のデッキにシールドを焼却できるようなカードは無い。よって、この事態はどうあがいても起こったと言える。調子に乗って展開さえしなければ、と言いたいところであるがそういうデッキだったので仕方がないのである。

「まー、これは愉快としか言いようが無かったですねー、本当」

 ホタルの口調がどんどん饒舌になっていく。手にはデジカメが握られていた。まさに今、新聞部としての本性を表したかのようだった。
 それは、ヒナタ達が見たことのない一面であり、普段の奥ゆかしい彼女とは違って見えた。

「何かホタルキャラ変わってなくねーか?」

 とは、一番近くで観戦していたノゾムの台詞である。
 しかし、よくよく考えてみればこの調子、どうも出会った当初に似ている気がする。後、文化祭の時とか。一緒に居るうちに気弱で大人しい娘と勝手に思い込んでいたようだが、恐らく勢いに乗ってくると大丈夫な、ノリに乗って行動するタイプなのだろう。
 ——だからすぐ便乗すんのなあいつ……。

「な、馬鹿な……!! そんな呪文をピンポイントで入れていたのか……!」
「なーに、1枚だけですけどね、これが良い感じに働く時があるんですよー、これに結構助けられた試合もありましたし。いやでも最っ高。さっきの驚いた顔。これは特ダネですわ、いっつも大胆不敵な安藤選手の隠された顔、なーんて」
「っっっ……!!」
「というわけで、反撃行かせて貰いますよ! 試合の後に、是非インタビューを聞かせて貰いましょうか!」

 ホタルのマナがタップされた。5枚が横向きに置かれる——

「まずは頼みましたよ! 呪文、《ドラゴンズ・サイン》! 効果によって手札から《赤薔薇の精霊龍 ジェネラローズ》を召喚! その効果により、カードを1枚ドローして手札より《龍覇 エバーローズ》を召喚!」



龍覇 エバーローズ R 光文明 (6)
クリーチャー:ジャスティス・ウイング/ドラグナー 4000
ブロッカー
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、コスト2以下のドラグハート1枚、または、コスト4以下の光のドラグハートを1枚、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。(それがウエポンであれば、このクリーチャーに装備して出す)



 赤薔薇の精霊龍と共に現れたのは天翼の戦士。
 大空より光の槍がその手に渡る。
 それは正義を執行するための獅子の魂が込められた槍——

「超次元ゾーンより、《百獣槍 ジャベレオン》を装備!」
「ぐっ、おのれ……!! このアマ……!!」
「おやー? 素が出てますよ? ボクサーは常に紳士たれ、がボクシング部の部訓じゃありませんでしたっけ」



百獣槍 ジャベレオン P 光文明 (4)
ドラグハート・ウエポン
これを装備したクリーチャーが破壊される時、かわりに自分のシールドをひとつ、手札に加えてもよい。ただし、その「S・トリガー」は使えない。
龍解:自分のターンの終わりに、自分のシールドが3つ以下であれば、このドラグハートをフォートレス側に裏返してもよい。



「さらにこれだけでは終わりませんよ! ターンの終わりに、私のシールドのカードが3つ以下ならば! 龍解します!」

 カッ、と獅子の槍が光り輝いた。
 その瞬間、槍が天へ上り、不滅の要塞と化す——



「これが私の2D龍解! 全てを守る神の礎になれ! 《百獣聖堂 レオサイユ》!」



 ——龍解、完了。
 獅子の顔はまるで、こちらを見通すかのような瞳で睨んでいる。
 それだけで、焦燥が募ってきた。今度はまるで自分が追い詰められているかのように安藤は錯覚しだしたのだ。
 ——何故だ……!! 何故だ!! シールドの数は勝っているはずなのに!! 手札には切札も握っているのに!! 

「私のターン! 《電河棲龍 T・フューリー》を再び召喚! 超連鎖・閃、発動!!」

 激流が再び巻き起こった。再び連鎖を起こすために。
 山札から捲られた2枚のカードを見て、その中から1枚を選んだ。

「連鎖によって《爆竜 GENJI XX》召喚!」

 ——このまま勝ってしまいたいが——!! 龍印で《ジェネラローズ》はこのターン、ブロッカー化している——!! まずい、まずいまずいまずいまずい——!! 龍解は、避けられない——!! だが、此処で殴らないと——!!
 この恐怖は、《レオサイユ》の更なる姿の力を知っていたから起こるものであった。
 先にクリーチャーを殲滅せねばならない。

「そして《XX》の攻撃時の効果で《ジェネラローズ》を破壊! そしてダイレクトアタック!」
「《エバーローズ》でブロックします!」

 ——だ、ダメだ——!! 勝ち切れない——!! 
 決められなかった。都合よく、《G・ホーガン》も《XXX》も来なかった。この時点で分かり切っていたことである。

「それでは私のターン——シールドゾーンのカードが0枚なので——《レオサイユ》の龍解条件クリア」

 ふっ、と一瞬笑みを浮かべた彼女はドラグハートを展開する。
 完全なる龍の姿へと——


「救いを求めなさい。光を求めなさい。そして只一つの勝利を求めなさい。私の世界、私の正義の前に全て叶えましょう——3D龍解」

 天命を授かり、解き放たれし断罪者が舞い降りた——
 


「——《頂天聖 レオザワルド》!!」

Act7:鎧龍頂上決戦 ( No.244 )
日時: 2016/02/27 00:19
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: S0f.hgkS)

頂天聖 レオザワルド P 光文明 (10)
ドラグハート・クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 13500
ブロッカー
T・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンを離れる時、自分のシールドがひとつもなければ、離れるかわりにとどまる。
自分がゲームに負ける時または相手がゲームに勝つ時、かわりに自分の、ドラグハートではないクリーチャーを1体破壊してもよい。



 幾多もの束ねた翼を背に、獅子の顔を持つ精霊龍が顕現した。
 下半身は巨大な聖堂そのものになっており、6本の腕はこの世のすべてを握らんとばかりに太い。
 そして、極めつけは幹のように太い指が絡んだ2つの投槍(ジャベリン)。正義を文字通り貫かんとばかりの鋭さだ。

「では、ドローして——《コマンデュオ》を召喚! その効果で手札を1枚ドローし、《レッドローズ》を召喚!」
「っ!! 光の連鎖コンボ……!!」
「そうです! まだまだ続きますよ! 今度は《レッドローズ》の効果で手札から《デネブモンゴ》をバトルゾーンに、そしてその効果で《アンドロム》もバトルゾーンに! 効果で《T・フューリー》をフリーズ! そして——」

 ホタルの声に合わせて、《レオザワルド》の腕が振り上げられた。
 そして、一気に爆竜の身体を八つ裂きにする。

「《XX》を破壊です!」
「ま、まずい、まずい……!」
「さーて、これでターン終了ですよ!」

 完全に焦っていた。
 しかし。最早、これしか無かった。

「ま、まだだ! 《バベルギヌス》召喚! その効果により、《T・フューリー》を破壊して再びバトルゾーンに! そして、超連鎖・閃で《サイバー・G・ホーガン》をバトルゾーンに! その効果で《バベルギヌス》を破壊!」

 なけなしの手札で再び場を再構築していく安藤。
 激流連鎖で再びクリーチャーが2体、《嘘と盗みのエンターティナー》と《熱血龍 GENJI XXX》がバトルゾーンに現れた。
 そしてホタルの場の《アンドロム》と《デネブモンゴ》を吹き飛ばす。
 が——

「それでどうするんですか?」
「うっ……!」
「《レオザワルド》が居るとき、自分の敗北をドラグハートではないクリーチャーの命と引き換えに回避できる。それは貴方も知っているみたいですからね」
「お、おのれ……!」

 此処で攻撃しても良い。
 しかし。アタッカーはどの道《GENJI》しかいないのだ。
 この際、次のターンに賭けてしまった方が速いが、問題はその前に殴り殺される危険性が非常に高いということだ。
 クリーチャーではない。
 安藤自身が。

「《XXX》でダイレクトアタック!」
「《レッドローズ》を生贄に敗北を回避します!」

 場数を減らすことは出来た。
 しかし。これは何の解決にもなっていないのだ。

「私のターン! 5マナで呪文・《聖歌の聖堂 ゾディアック》を使い、《G・ホーガン》、《T・フューリー》、《エンターティナー》の3体をフリーズ! そして——《レオザワルド》で《XXX》を攻撃して破壊です!」
「なっ——!!」
「そしてそして、《コマンデュオ》でシールドをW・ブレイク!!」

 手札は入った。
 しかし。このデュエルで既に切札を出し尽くしていた彼にとっては雀の涙も同然であった。
 当然である。あれだけフィニッシャークラスのクリーチャーを出したのだから。

「わ、私のターン……《サイバー・G・ホーガン》を召喚……」

 しかし、それでも4枚目の《ホーガン》を引き当てたらしい。
 だが、肝心のSA達は残りがマナゾーンに送られているのを見て、最早半ば諦めているように見えた。
 そして現れたのは——《ジョニーウォーカー》と《飛散する斧 プロメテウス》だった。

「だ、ダメだ……ターン終了……」
「それでは、此処で決めさせてもらいます! 私のターン、ドロー!」

 カードを引くホタル。
 そして——《コマンデュオ》の頂きに自らの切札をたたきつける。




「白き翼の聖なる王よ、今此処に現れ純白の奇跡を起こしなさい! 進化、《聖霊龍王 ミラクルスター》!」




 現れたのはホタルの最大の切札であった。
 神々しい翼を連ね、美しき瞳は邪悪を遠ざける。
 彼女が決闘空間以外のデュエルで最も信頼を置くクリーチャーの1体だ。
 次の瞬間、《G・ホーガン》と《XXX》の身体が金色の輪に縛られて動かなくなる。
 《ミラクルスター》の効果により、2体ともフリーズされたのだ。 

「これでいける! 《ミラクルスター》でT・ブレイク!」
「ぐっ……!」

 一気に3枚のシールドが、その蹄で蹴破られた。
 その破片に、S・トリガーは——あった。
 
「し、S・トリガー《凶殺皇 デス・ハンズ》! 効果で《レオザワルド》——はっ!! だ、ダメだ——」
「残念でしたね。《レオザワルド》が無敵たる理由の1つ、それは自分プレイヤーのシールドが0枚の時、バトルゾーンを離れる代わりに留まるということですから!!」

 無敵の凶殺皇の右手は、いとも簡単に跳ねのけられた。
 その絶対的正義、そして絶対的な守りの前に。
 最早懺悔の時間など無い。
 2本のジャベリンが安藤を目がけて飛ぶ——




「《頂天聖レオザワルド》でダイレクトアタック!」



 ***



『決着ぅぅぅーっっっ!! 勝者、淡島ホタル選手っっっ!!』



 アナウンスが響き渡り、へにゃり、とホタルは力が抜けてしまう。
 途中から完全にノリノリだったが、一歩間違えれば敗北は免れない戦いだった。
 強敵・安藤に苦戦しながらも打ち破ることに成功したのだ。

「まさか、この私が負けるとは……誇りに思って良いですよ」

 安藤は諦めたような笑みを自嘲気味に浮かべた。
 負けた。
 しかし、不思議と悔しくは無かった。

「え、えーと、いや、でも……その……」
「バカにしていて申し訳ない。デュエルは本気でしたが、やはりあなたのことを侮っていた。小さな体に大きな魂。素晴らしいじゃないですか」

 彼は後ろを向くと、そのまま去っていった。
 その姿も、誇らしげに見えたのだった。

「インタビューするまでも無かった、ですか。なーんて」



「おーい、ホタルーっ!! やったじゃねーか!!」




 声が聞こえる。
 あの少年の声だ。心の中で自分を励ましてくれた彼だ。
 大きく手を振り、彼女もまた、仲間達の元に戻っていったのだった。

Act7:鎧龍頂上決戦 ( No.245 )
日時: 2016/03/21 00:00
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: AfTzDSaa)

 ***



「で、良い感じに纏まったところまでは良かったんだ」



 機嫌が若干悪いのを隠せないようだった。
 ホタルが前哨戦で勝ったところまでは良かった。
 問題はその後の試合である。
 次鋒・レンは知新ロマノフにシールドを消し飛ばされるという結末に。
 中堅・コトハはギリギリのせめぎ合いの末、僅差でサバイバーに押し負けるという結果に。
 そして、副将のノゾムはと言うと——

「《Q.E.D+》でダイレクトアタック!」

 ——ばっちりと安定した勝利を決めてくれたのであった。

「流石に一筋縄ではいかなかったか……。相手のデッキもかなり強かった。恐ろしい程にな……」
「さっきホタルが勝ったのが凄いと思える程だ。此処まで来ると、最早相性勝負ってところだから気を落とすことはねェ」
「不甲斐無い……」
「あ、試合始まりますよ、先輩方!」
「全くもう……ギリギリとはいえ、あたしが負けるなんて……」

 コトハの方も悔しさを隠せない。
 そんな中でデュエルリングに立つ少年の姿を見る。
 サングラスを掛けた暁ヒナタの姿だ。
 ——ヒナタ……! 絶対に負けたら許さないわよ!

「とはいえ、あの天川のヤローが付いていた以上、一筋縄でいかねーのは分かり切っていたぜ。どんなにメタを張ろうが、あいつはその上を行く。後はヒナタがどれほど、ジェイコフ相手にアレの力を使いこなしてくれるか、だが」
「アレ、と言うと」
「ああ……」

 フジはヒナタの方を見る。
 その瞳には迷いはない。
 ——頼んだぞ、俺様が教える事はテメーには殆どねぇ。多分!!




 ***




『チームF対チームDの戦いもいよいよ大詰めになってきました! 互いにエース格である大将同士の戦いです!』



 アナウンスが響き渡る中、ヒナタはデッキをシャッフルしていた。
 そして、カードを並べていく。
 ——やーっと俺の出番か……だけど相手は——

『2回生、暁ヒナタ選手に対するは——』

 背の高いすらりとした白人の少年。
 彼は——



『3回生、ジェイコフ・クライニュー選手だぁぁぁーっ!!』



 ——かつて、鎧龍で熾烈な戦いを繰り広げたライバルだ。

「スパシーバ、ヒナタ。君と本当に戦えるなんて、カンゲキだよ」
「ああ、そうだな……ジェイコフ」
「ふふ、そんなにいきり立たなくったっていいじゃないか」

 柔和で物腰柔らかい印象を与えるが、油断してはいけない。
 彼はかなり我の強い人物であるということを常に忘れてはいけないのだ。
 その癖、彼は強力な大型使い。急いで倒さなければ蹂躙される。
 以前戦った時はゼニスを切札にしており、更に周りはキング・コマンド・ドラゴン達で固められていたのだから。
 ——以前は押し切って勝った……だけど今回も同じ手が通用するとは思えねえし、まして戦略の幅は俺の方が文明が少ない分狭い……だけど、一点特化で打ち勝つ!!




『それでは、デュエルスタートです!』




 ***




「——僕のターン。2マナで《メンデルスゾーン》を使用。その効果により、山札の上から2枚を表向きにして——ドラゴンの《不敗のダイハード・リュウセイ》をマナゾーンに。ターンエンドだ」

 ドラゴンデッキのエンジン、《メンデルスゾーン》を使うジェイコフ。これによって、マナゾーンのカードは3枚になった。当たり外れの激しいこのカードを積むということは、やはりデッキにかなりの枚数のドラゴンを積んでいると見て間違いなかった。
 長期的なアドを取りづらい火としては、さっさとケリを付けてしまいたいところである。
 先攻を取っていたヒナタの場には《ラブ・ドラッチ》が1体いるのみ。しかし、自分の革命軍の進化クリーチャーのコストをファイアーバード1体につき、1下げてくれるのだ。

「俺のターン、《ゴーゴー・ジゴッチ》を召喚!」



ゴーゴー・ジゴッチ P 火文明 (3)
クリーチャー:ファイアー・バード炎/革命軍 2000
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分の山札の上から5枚を見る。その中からドラゴンを1体選び、相手に見せてから手札に加えてもよい。その後、残りのカードを好きな順序で山札の一番下に置く。




「その効果により、山札の上から5枚を見て——《革命龍アサルト》を手札に! ターンエンドだ!」
「僕のターン」

 ——これでコストマイナス2か……まあ良い。
 ジェイコフのマナゾーンには、火と自然、そして闇の文明が揃っている。
 ここで更にマナゾーンのカードを増やそうとする——

「《エコ・アイニ—》召喚。効果により、山札の上から1枚をマナゾーンに!」
「ゲッ、そいつは確か——!」
「それがドラゴンならば——」

 マナゾーンに置かれたカードは——《偽りの王 ヴィルヘルム》。ドラゴンだ。
 これにより、《エコ・アイニ—》のもう1つの能力が発動することになった。
 山札からもう1枚がマナゾーンに置かれたのだ。これにより、ジェイコフのマナゾーンのカードは6枚。次のターンに7枚になる。

「——ふふっ、これで僕のマナは2枚増える。ターンエンドだね」
「っ……やっべー」

 一気にマナゾーンのカードを増やされ、焦りを隠せないヒナタ。ビートダウンをコンセプトにしたこのデッキであるが、それに追いつかれつつある。
 こちらも速く攻めねば、とヒナタはカードを引いた。

「俺のターン、ドロー! 《ジゴッチ》、進化だ!」

 3枚のマナが支払われた。そして、小さな火の鳥に龍の炎が宛がわれる。
 より高く、より明るい太陽へ——

「燃え上がれ、強襲の炎! 革命の風を巻き起こせ、
《革命龍アサルト》!」

 現れたのは、ヘリコプターのような装甲を身に纏い、星型のガトリングを放つドラゴンだった。
 そして、そのガトリングがヒナタの山札を狙い撃つ。一気に展開される山札、そこから1枚のカードが手札に加えられた。

「その効果により、山札を見て——《革命龍 ドラッケン》を手札に!」
「ほーう……」

 値踏みするような目でカードを見るジェイコフ。
 革命軍は、此処最近で鎧龍が発売しだしたカード。
 まだ生徒の間でも研究が進んでいないのだ。
 ——噂によれば、ピンチになればなるほど強くなるというけれど……蹂躙してしまえば問題ないか。

「まだだ! 撃ち貫け、《アサルト》! W・ブレイク!」
「ッ……」

 先制攻撃を放ったのはヒナタだった。
 ガトリングの集中砲火がジェイコフの2枚のシールドを打ち破る。
 ——リスクを考えずに殴るスタイル……! やはりビートダウンか、面白い!

「僕のターン、ドロー」

 打撃力、速攻性は流石にヒナタが上だ。
 しかし、あくまでもそれまでの話。
 マナゾーンにカードを置く。そして——

「7マナで、《蒼華の精霊龍 ラ・ローゼ・ブルエ》を召喚!」

 ——蒼薔薇を携えた天使龍を呼び寄せたのだった。



蒼華の精霊龍 ラ・ローゼ・ブルエ SR 光文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 7500
ブロッカー
自分のドラゴンが攻撃またはブロックした時、自分の山札の上から1枚目を裏向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。
W・ブレイカー
光以外の呪文によって相手がバトルゾーンにあるクリーチャーを選ぶ時、このクリーチャーを選ぶことはできない。




 ドラゴンの攻撃時にシールドを増やせる厄介なクリーチャー、《ラ・ローゼ・ブルエ》。同時に、次のターンでジェイコフのマナゾーンのカードは8枚になり、強大な切札の登場を予感させた。
 ——どうする俺……何か嫌な予感がする……!




「デュエマを制するのは、ダイチを制する者……ヒナタ。君に、今度こそそれを教えてやるよ……僕の新しい切札と共にね」

Act7:鎧龍頂上決戦 ( No.246 )
日時: 2016/02/29 04:11
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: S0f.hgkS)

 現在、ヒナタのマナゾーンのカードは4枚。
 このターン、マナチャージをすれば5枚になる。しかし、無暗にカードを使うのは危険だ。それが命取りになる可能性がある。

「どうする? さっき君が僕に見せた《ドラッケン》のパワーは11000……《ラ・ローゼ・ブルエ》のパワーを上回っているからね」
「……いや、出さねえ。その代わり——《ゴーゴー・ジゴッチ》をもう1回召喚だ!」

 現れた《ジゴッチ》の効果により、山札から5枚が展開された。
 そこから、《永遠のリュウセイ・カイザー》を手札に取り、そのままヒナタはターンを終えた。
 万が一のための牽制か、それとも他にめぼしいカードが無かったのか、それはヒナタの他に知る人は居ない。
 しかし、ヒナタが何を手札に加えようが彼は既に勝利へのシナリオを組み立てていた。
 
「ほーう。ハンデス対策と言ったところか——だけど、もう遅い! 僕のターン、ドロー——そして」

 マナゾーンにカードが1枚置かれた。これで8枚だ。
 それらすべてをジェイコフはタップする。
 自然と闇の文明マークが浮かび上がった。 
 ——火のクリーチャーじゃない……!?
 しかし、同時にホログラムの大地が揺らぐ。
 そして——王龍の咆哮が天を裂いた。




「それは破壊と誕生のラプソディ。《偽りの王 ハチャトゥリアン》」




偽りの王(コードキング) ハチャトゥリアン SR 闇/自然文明 (8)
クリーチャー:キング・コマンド・ドラゴン 11000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手のクリーチャーを1体破壊する。その後、そのクリーチャーとコストが同じクリーチャーを1体、自分のマナゾーンまたは墓地からバトルゾーンに出してもよい。




 王なる鎧を纏った龍、キング・コマンド・ドラゴン。その実態は、別の種族のクリーチャーがゼニスの鎧を身に纏った、言わば呪いの姿だという。
 その圧倒的力で相手をねじ伏せるその様は、いつ見ても圧巻の一言だ。
 そして、ヒナタもまた、かつてそれに立ち向かった一人だった。
 体が震えている。巨大な龍を前にして。

「《ハチャトゥリアン》の効果発動。《アサルト》を破壊だ。そして——破壊したクリーチャーとコストが同じクリーチャーを1体、バトルゾーンに出す」
「なっ……!!」
「マナゾーンから《無双竜鬼 ミツルギブースト》を召喚! 効果で自身をマナゾーンに送り、《ラブ・ドラッチ》を破壊だ!」

 これで、彼はターンを終えた。
 しかし、同時にヒナタの場には《ゴーゴー・ジゴッチ》1体しか残っていないという事態に。
 クリーチャー2体が一瞬で破壊されてしまったのだ。その損失は大きい。相手も比較的大したアドを取ったわけではない。ただし、比較的、ではあるのだが。

「俺のターン——《シルド・ポルカ》召喚! ターンエンドだ!」

 シールド・セイバーを持つクリーチャー、《シルド・ポルカ》。更に破壊されたときに相手のパワー3000以下のクリーチャーを倒せる。しかし、この状況では焼け石に水と言ったところか。
 何故ならば——

「これでジェイコフがビートダウン使うならば、まだマシだったかもしれんがな。相手は大型、破壊できるクリーチャーもいないだろう。余り美しい状況とは言えないな。僕としては、ヒナタが何を考えているのか知りたいところだが……」
「どうするのよ、これ……攻撃が止まった時点で、ヒナタは厳しいわよ?」

 ジェイコフのターン。
 此処で、彼のマナゾーンのカードは9枚に。
 その中の全てを再びタップした。そして——




「破壊こそ新たな命の糧なり。ダイチを司る龍《偽りの王 ヴィルヘルム》!」




偽りの王(コードキング) ヴィルヘルム SR 闇/火/自然文明 (9)
クリーチャー:キング・コマンド・ドラゴン/アンノウン 12000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手のクリーチャーを1体破壊する。その後、カードを1枚相手のマナゾーンから選び、持ち主の墓地に置く。
相手のカードがどこからでも墓地に置かれた時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置いてもよい。
T・ブレイカー




 現れたのは、分厚い鎧と杖を身に着けた偽りの王龍であった。豪華な装飾を身に着け、まさに王を体言したような姿は普通のドラゴンなど足元に及ばないことを示している。
 しかし、大きな翼には巨大なトライストーンも嵌め込まれており、王でありながらゼニスの傀儡であることも示していた。

「その効果で《シルド・ポルカ》を破壊! そして、マナゾーンのカードを1枚選び、墓地へ!」
「くっそ……!!」
「そしてこの時、《ヴィルヘルム》のもう1つの効果を誘発させるよ!」

 不敵に笑ったジェイコフは、更に山札から2枚をマナゾーンに置く。
 これにより、マナゾーンのカードは11枚。既に、彼はデッキの全てのクリーチャーをコストを支払って出せる状態になっていた。
 
「登場時にクリーチャー破壊もランデスも出来る上に、相手のカードがどこからでも離れた時にマナゾーンのカードを増やせるって、やっぱり凶悪すぎますよ!」

 真っ青になっているのはホタルだ。流石の彼女も、これを相手にしたいとは思わなかったのだろう。
 レンやコトハも、普通の赤単ビートがこの状況で勝てる様子を思いつかなかった。余程強いカードを使わない限りは無理だ。
 もっとも、それを使うためのマナが減らされてさえいなければまだ希望は持てたのだが。

「……いや、それでもヒナタはやってくれるはずだ。やってくれるはずだが……!」
「いえ、あいつならやってくれるわ。根拠は無いけど……!」
「ちょっ、アバウトすぎるんですけど!? おいホタルも何暗い顔してんだよ! ヒナタ先輩がこの程度で負けるわけねぇだろうが!」
「で、ですけど……」
「仕方がねぇだろーが。こんな状況ならな。マナもクリーチャーも減らされ、挙句には相手にはブロッカー。攻め切ろうと思っても攻め切れねえだろーよ」

 だが、とフジは続けた。
 決して、この状況を悲観しているわけではないらしい。

「さっきも言ったかもだが、あいつには素質があるからな——無法も革命も、似たり寄ったりの性質だ」
「結局武闘先輩はヒナタに何を教えたんですか? 僕達とは離れで何を……」
「あいつにはな、色々教える代わりにすっ飛ばしていち早く革命を身に付けさせた」
「革命?」
「ああ……文字通りだ」

 彼は口を開く。
 ヒナタが此処に辿り着くまでの経緯を——




「ヒナタは火文明の適合者じゃねえ。おめーらと違ってデッキの相性による”見えない恩恵”もそこまで受けられねえし、まして”白陽の星芒武装は極めて絶望的だ”」


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