二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
日時: 2017/01/16 20:03
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。

また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。


”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”



『星の英雄編』


 第一章:月下転生

Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25

 第二章:一角獣

Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48

 第三章:骸骨龍

Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73

 第四章:長靴を履いた猫

Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114

 第五章:英雄集結

Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204


『列島予選編』


 第六章:革命への道筋

Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦

Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261

Act8:次なる舞台へ
>>262


 第七章:世界への切符

Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352


『侵略世界編』


 第八章:束の間の日常

Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393


 第九章:侵略の一手

Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃 
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416


 第十章:剣と刃

Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444


短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。

短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65

短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103

短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126

短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156

短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176

短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422

エイプリルフール2016
>>299 >>300

謹賀新年2017
>>443


登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします

オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。

お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新

Re: デュエル・マスターズ D・ステラ ( No.197 )
日時: 2015/10/12 15:37
名前: Orfevre ◆ONTLfA/kg2 (ID: WqtRIGcg)


南部杯・ベストウォーリア・飛ぶかもね・だって鞍上・祐一だから

桜・魂の短歌(飛ぶと思ったのでハッピースプリントからから馬連流しですw福永は怖くて買えない)

と、馬券への不安はその辺にしてこんにちは、Orfevreです。

盛り上がってきてますね、無事に和解(?)したようですし、若いっていいですね

久しぶりにアットスターも更新したので、そこもよろしくお願いします。

Act12:真相 ( No.198 )
日時: 2015/10/13 22:35
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

 ***



 あの日、友を、理解者を失ったあの日から。
 意識しなくとも、彼の心には復讐心が宿っていた。
 自分の大切な者をこんな目に遭わせた世界を許さない。
 そして、彼女達を守れなかった自分も絶対に許さない。
 自責こそが罰だった。
 自分に課せられる唯一の罰だった。
 責めて、責めて、自分を限界まで追い詰めて。
 何時の間にか、仲間のことも忘れていた。
 だが、そんな暗い夜は終わった。
 また、少年の心に新しい太陽が昇る——



 ***



 ぱきん、ぱきん、と小気味の良い音が鳴り、罪の鎖は砕け散った。
 起き上がるコトハ達は、この時点で確信していた。
 デュエルが終わった——と。
 次の瞬間、黒い靄が現れる。
 そこから現れたのは——レンを肩に抱えたヒナタの姿だった。
 心配で一杯だったコトハの顔に安堵の表情が戻る。
 ふらり、と倒れそうになる彼を、すぐにフジが受け止めた。

「よくやった、ヒナタ」
「ヒナタ! 勝ったんだね! レンを……助けられたのね!」
「ああ……本当、ギリギリだったけどな」

 息も絶え絶えのヒナタは、無理して笑顔を作って見せた。
 それは、仲間に心配を掛けさせないための笑顔だった。
 もぞもぞ、今まで意識を失っていたレンが動く。

「……僕は」

 そして、全てを思い出し、彼は悔しそうな顔を浮かべる。
 墜ちてしまった自分に、仲間に理不尽な怒りを向けていた自分に憤りすら感じる。
 どうして、こんなことをしてしまったのだろう、と後悔の念が浮かんでは消えて、浮かんでは消えてを繰り返す。
 だが、この言葉を言わないからには始まらない気がした。

「本当に、すまなかった」

 謝罪の言葉が、彼の口から紡がれる。
 「もう、良いんだ」とヒナタが返した。

「僕は、いつの間にか貴様を恨んでいたんだ、ヒナタ。あの日、貴様に出会っていなければ、僕は平穏に暮らせていたかもしれないと」

 だが、それは違うことに彼は気付いていた。
 ゼロの因子を持っていた自分は遅かれ早かれオラクルに狙われていただろうし、むしろヒナタ達に出会っていなければ、自分は誰にも助けて貰えなかっただろうということに。

「僕はシオを、スミスを失ったショックを未だに引きずっていたんだろう」
「誰かを失った穴なんざ、簡単に埋まりはしねーよ」

 言っただろ、とヒナタは返した。

「皆、引きずりながら生きているんだ。俺も、お前と同じで大切な人を失ったことがあるから」
「……ヒナタ、お前が……?」

 だけど、と彼は言った。
 自分の幼馴染はもう、この世には居ない。
 だが、レンの場合は違う。

「シオにはいつか、絶対にまた会える! そんときは、意地でもあいつの記憶を元に戻すために、俺達でまた頑張ろうぜ!」
「そうね。シオちゃんの鎧龍での思い出を無かったことになんか、させないわ」
「だから、諦めるな。絶対に、な」

 そうだな、と彼は返した。 
 いつか、また会える。
 そのいつかが何年後、何十年後だとしても。

「スミスは——」

 ヒナタは、そこで口を閉じてしまった。
 それでも、相棒にはもう会えない。
 あの、無法の男には、二度と会えない。
 だが、それも彼の中では既に決着がついていた。

「大丈夫だ。あいつは僕に、遺してくれたよ。僕が強くなる理由を」

 その言葉を聞いて、彼は安堵した。
 どうやら、もう大丈夫そうだ、と。

「でも、1人でもう抱え込むなよ?」
「分かっている。悪かったな」
「あたし達は仲間なんだから」
「ああ」

 空を仰ぎ、彼は思った。
 自分には、仲間が居たことをやはり忘れてしまっていたのだ、と。
 そして今日、改めてそれを思い出すことができた。
 もう二度と、忘れることは無いだろう——



「全くよぉぉぉ〜!! このクソゴミカス共がぁぁぁ〜!! 尽くオレサマの邪魔をしやがってぇぇぇーっ!!」



 刹那。声が轟いた。
 とても、邪悪な声だ。
 カードがレンのデッキから飛び出していく。
 そして、虚空に実体化した。
 それは、ぬいぐるみだった。それも、3頭身のデフォルメされたDJのような姿で、頭からはグロテスクに脳みそが飛び出ている。目は、ボタンで出来ているが、片方は外れていた。口は深い深い深淵のように、底が見えない。
 
「クリーチャー!? 一体、あれは——!?」
「恐らく、アヴィオールのステラアームド・クリーチャーだな」
「フジ先輩!?」

 タブレットで目の前の化物の正体を調べた彼は断言した。

「ニャンクスの時もそうだったが——恐らく、奴がここらの騒動の元凶と言っても良い」

 彼は述べる。
 クリーチャーは表裏一体の存在だと。
 呼び出す側のクリーチャーの影となるのが、ステラアームド・クリーチャーだ、と。
 しかし。それでも呼び出す側に成り代わろうとしてくる。それが邪悪なものならば尚更だ。
 レンはこの瞬間、全てに気付いた。
 ——あの脳裏に映った映像は——!!
 鎖で縛られた黒い龍。
 まさか、あれが——
 そう確信したとたんに、彼は踏み込んで叫んでいた。

「アヴィオールもまた、奴に捕らえられていたってことか!!」
「その通り〜!! 俺の名は《悪夢喰種 アルゴリズム》!! ”死神博士”の命を受け継ぎ、オレサマがアヴィオールに成り代わり、全てを支配するため!! オレサマは復活したこいつの身体をゾンビにして乗り移ったのさぁぁぁーっ!!」

 考えてみれば、前世で死んだニャンクスやハーシェルも、この世界に復活したときは生身の肉体を得ていたにも関わらず、アヴィオールのみが骨と腐肉で出来たゾンビの姿になっていた。
 つまり、これはあのクリーチャーがアヴィオールに細工をしたからだということは、最早目に見えて明らかだった。
 ”死神博士”という人物の詳細が気になるところではあるが、もうこの世にいない人物であることは察せられた。恐らくはその人物クリーチャーなのだろう。それも、相当あくどい部類のクリーチャーなのであろう。

「いーひっひっひぃーっ!! 死神博士は死ぬ前にオレサマにアヴィオールを頼むと伝えてくれたのさぁぁぁーっ!! オレサマが支配してやる、アヴィオールの身体で全ての世界をなぁぁぁーっ!!」



「最高に汚い”悪”とは!!」

 んあ? とクリーチャーが振り返る。
 そこには、凄まじい形相で立ったレンの姿があった。

「貴様のことだアルゴリズム!! 何も知らない、関係の無い者を巻き込み、それを容易く踏みにじる行為!! そして、貴様の最大の罪はアヴィオールの名誉と尊厳を傷つけた挙句、関係の無いものの人生を狂わせたことだ!! ”死神博士”とやらが誰なのか、そして貴様が何者なのか僕は知らないが、死者の肉体を自分のために弄ぶなど闇文明の風上におけない外道の所業。僕は今、激しく怒っている!! 貴様のような、最高に醜い悪を見て、吐き気すら催しているのだ!!」

 怒り。
 そこには、ただひたすら、目の前の外道への憤怒が込められていた。
 一時の激情に身を任せることは許されない罪。
 しかし。レンは怒らずにはいられなかった。
 目の前の醜い悪に。
 踏み込んだ彼の手には、デッキが握られていた。
 先程とは別のデッキ。
 黒く、完全なる黒で染められた、彼の美学の結晶のデッキだ。

「ヒナタ、僕は見たんだ。牢獄に囚われた黒き龍の姿を」
「そ、そうなのか!?」
「ああ。貴様にダイレクトアタックをされる直前に、そんなビジョンが流れ込んできた」
「い、一体、なんでそんなことが」

 若干困惑しながら答えるヒナタだが、レンは断言してみせる。
 「間違いない」と。
 そして1歩、足を進めた。

「そして僕にはまだ、やり残したことがある」
「レ、レン、戦うってのか!? 無茶するな!! 今のお前は——」
「頼む。今度こそ、僕を信じてくれ。奴はいずれにしても倒さねばならない」

 仲間の方を振り向かず、彼は言った。



「これだけは、僕にやらせてほしい。僕が、この因縁に決着をつけるんだ!!」



 叫んだ彼の周りから、黒い靄が現れる。
 決闘空間が開かれた——!!

「レン!!」

 自分を呼ぶ声が聞こえる。



「負けんじゃねえぞ、あんな奴に!!」
「あたし達は、信じているから!!」


 
 仲間が、背中を押してくれる。
 彼は改めて、「仲間などいらない」と言ったことを後悔した。
 ——僕は大馬鹿者だな。本当に——



「——ああ」



 そう返して、彼は決戦の場に赴いた——

Re: デュエル・マスターズ D・ステラ ( No.199 )
日時: 2015/10/12 17:55
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

Orfevreさん

コメントありがとうございます。
まあ、これで一件落着——ではありません。まだ何も終わってはいません。此処からが5章クライマックスなので、お楽しみに。まあ、若いって本当に良いですよ。多分。
それでは、また。

Act13:武装・地獄の黒龍 ( No.200 )
日時: 2015/10/18 19:40
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

 ***



 レンとアルゴリズムのデュエル。
 現在、レンの場には《一撃奪取 ブラッドレイン》が出ており、闇のクリーチャーのコストを下げることが出来る状況だ。
 一方のアルゴリズムも《ブラッドレイン》を召喚していた。
 此処から、一気にエンジンを掛けたいレンは、返しのターンで《ボーン・おどり・チャージャー》を唱え、墓地へ2枚のカードを送り込む。
 ——《暗黒鎧 ギラン》に《暗黒鎧 ヘルミッション》か。上々だな。

「ターン終了だ」
「うぎぃーひっひっひぃーっ!! オレサマのターン!!」

 ふざけた態度でカードを引いたアルゴリズムは、3枚のカードをタップし、叫ぶ。
 
「《爆弾団 ボンバク・タイガ》召喚ぁぁぁーん!! 爆ぜろ、爆ぜろぉぉぉーっ!! もっとド派手になぁぁぁーっ!!」
「む」

 次の瞬間、大量の爆弾が《ボンバク・タイガ》の手から放たれた。
 それが《ブラッドレイン》を巻き込んで大爆発を起こし、消し飛ばす。
 硝煙の匂いと煙が辺りに立ち込めて、決して肺が強くはないレンは思わず口を抑えた。
 ——おのれ、こいつ……! ふざけた真似を!
 妨害は食らったものの、手が尽きたわけではない。むしろ、さっきの《ボーンおどり・チャージャー》は保険だ。5マナ、このターンで使えることには変わりない。
 
「僕のターン! 《暗黒鎧 キラード・アイ》を召喚! こいつの効果で、山札から4枚を墓地に送り込む!」
「けひゃはははー!! それがどうしたって言うんだぁぁぁーっ!?」

 狂気の叫びを上げたアルゴリズムは、今度は4枚のマナをタップする。
 現れたのは——

「《白骨の守護者 ホネンビー》召喚じゃーん!! 効果で山札から3枚を墓地に送って、《龍覇 ニンジャリバン》を手札に!! ターン終了ォーッ!!」



白骨の守護者ホネンビー UC 闇文明 (4)
クリーチャー:ガーディアン 3000
ブロッカー
このクリーチャーは攻撃できない。
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分の山札の上から3枚を墓地に置いてもよい。そうしたら、クリーチャーを1体、自分の墓地から手札に戻す。



 現れたのは、白骨化した人面の仮面を被った黒きガーディアンだった。
 死者の霊魂を操り、墓地から1枚のカードをアルゴリズムに手渡す。
 
「うぎひひひ、ターン終了ォォォーッ!! ひゃははははーっ!!」

 はっきり言って、かなり耳障りだった。
 此処まで腹が立ったのも、久々だろう。
 こいつに対して憎しみを最初から向けていられればどんなに良かったことか!
 思えば。さっきのビジョンは、アヴィオールが自分に助けてくれ、とサインを送っていたのではないか、と彼は思った。
 ——何故、僕に——?
 そんな疑問を残しながら。

「僕のターン! 《一撃奪取 ブラッドレイン》に《暗黒鎧 ヘルミッション》を召喚! ターン終了だ!」

 ——ともかく今は、準備を固める! そして、奴を確実にしとめる!!
 シールドセイバーで、破壊されれば相手を破壊できる《ヘルミッション》がこちらには居る。
 守りは完璧だと、彼は思っていた。

「オレサマのタァァァーンッ!! 死ね、黒鳥レェェェン!! お前は暁ヒナタを殺すことに失敗した、ゴミカスだからなぁぁぁーっ!!」
「ふん。何時の時代も悪いことは出来ないようになっているのさ。まだそれが分からないのか」
「へひゃはへへはははぁーっ!! 無駄だ、黒鳥レェェェン!! お前は呪縛からは逃れられない!! お前と適合者なりえる、アヴィオール共々なぁぁぁーっ!! しかぁぁぁし、やっぱりやめだ!! お前が闇から這い上がった今!! もうお前に期待することは1つもなぁぁぁい!! オレサマだけが、アヴィオールを使えれば良いのだぁぁぁーっ!!」

 相も変わらず狂った笑い声を上げ続けるアルゴリズムに、レンは既に嫌悪感を通り越して、殺意すら覚えていた。
 頭痛がする。眩暈がする。
 目の前の下種野郎が笑い声を高々と上げているだけで、気に入らない。
 それらがストレスになって、自分の心を痛めつけていく。それがまた気に入らない。
 傲慢と言われる程に高い正義感については、自分でも欠点であることは分かっている。
 しかし、同時に。
 吐き気を催す邪悪というやつも、分かっているのだ。

「貴様のようなイカれポンチに誰が期待されてたまるものか」
「意外と口が悪いな、黒鳥レン!! その減らず口もいつまでたたけるかなぁぁぁーっ!!」
「貴様如きに上品な口を使ってやるつもりなど無い」
「ぎゃはははーっ!! だが、もう遅いぞ、黒鳥レェェェン!! オレサマの切札は、既に手にはいっているのだぁぁぁーっ!!」
「うざい。うるさい。くどい。黙れ、もしくは死ね。消滅しろ、分子レベルでな」

 罵詈雑言の叩き合いになったが、彼の切札という言葉に、少し不安を彼は感じた。
 ——まさか。
 来る。
 あの感覚が。
 もう、これで3度目の邂逅になるであろう、あのクリーチャーが現れる。

「オレサマは、6マナをタップ!! 《ブラッドレイン》の効果でコストを1ダウンしているからなぁぁーっ!!」

 次の瞬間、肌を焼くような邪悪な力が、レンを襲った。
 違う。これはまだ余波に過ぎない。
 有り余るパワーの一部分に過ぎない。
 それを分かっていても、頭の中で認められない。
 認めたくない。
 しかし。そんなことはお構いなしに、狂気の人形は最悪の屍龍を呼び出す——



「《怨炎の骸骨星 アルゴ・アヴィオール》召喚!!」



 ぶわっ、と冷たい風が彼の髪を撫でた。
 現れたのは全身を鎧で包んだ骨龍。しかし。顔は黒いモヤモヤに塗りつぶされて、判別が出来ない。
 不気味、の一言だった。
 まるで、自分も邪悪に塗りつぶされてしまいそうだ。
 悪意に塗れた、邪悪の力にもう1度染まってしまいそうだった。

「返せぇぇぇーっ!! 本体を!!」
「……ほん、たい……?」
「テメェをぶっ殺して奪ってやる!! 折角、心身ともに奴と融合しつつあったのに!! 口調も、思考も、全部一心同体になりつつあったのに、暁ヒナタが全部邪魔しやがった!! テメェの次は暁ヒナタだ!! 殺す!! 殺す!! 殺すぅぅぅーっ!!」

 言っていることは支離滅裂で、全く分からない。
 しかし。大方、こいつがアヴィオールと融合するために、相当な根回しをしていたのは分かった。
 何をしていたのかは、おぞましくて考えたくも無かったが。
 だが、そんなことを考える間もなく。
 今度は、邪悪の根源が現れる。
 全ての諸悪、そもそもの元凶、全部こいつの所為。
 そして、目の前の奴は、そう罵られることを名誉だ、誇りだと感じている——

「超次元ゾーンより、《悪夢喰種ドリームイーター アルゴリズム》召喚!! そして、テメェのクリーチャーのパワーを永続的にマイナス2000だぁぁぁーっ!!」
「なっ、2000だと!?」

 現れたのは、アルゴリズムの分身である存在、《悪夢喰種 アルゴリズム》だった。やはり、何度見ても不快で醜く、悪意のこもったクリーチャーだ。
 次の瞬間、レンの《ブラッドレイン》と《ヘルミッション》が深い深い深淵に飲み込まれて消えた。
 
「くっ、《ヘルミッション》の効果で——」
「オレサマを殺したいか!? 殺せねぇぇぇーっよ、ヴぁぁぁーっか!! オレサマがいるから、K・コアを持つクリーチャーは、クリーチャーや呪文の効果で選ばれねぇんだよ!!」
「ならば、せめて《ブラッドレイン》だけでも破壊だ!」

 それでも、アルゴリズムの優勢は覆らなかった。
 いや、もう遅かった。
 《アルゴリズム》が、《アヴィオール》へ飛び乗る。
 次の瞬間、無数の触手が《アヴィオール》を包む——

「ターンの終わり、このターンの間に相手のクリーチャーが2体以上死んでいれば——オレサマの武装条件達成じゃぁぁぁーんっっっ!!」

 発狂してしまったか、彼は自分の全身をかきむしる。
 布の皮に今まで包まれていた血肉が吹き出た。
 しかし。同時に、目の前で対峙している彼の姿もまた、おぞましく変貌していく。
 直視するのがままならないほどに、生命の理論と倫理を踏みにじり、大罪の化身は顕現した——



「《悪夢骸骨ダーティ・アルゴリズム アヴィオール・ゼノン》、武装完了ぉぉぉーっっっ!!」

Act13:武装・地獄の黒龍 ( No.201 )
日時: 2015/10/13 06:26
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

悪夢髑髏(ダーティ・アルゴリズム) アヴィオール・ゼノン 闇文明 (12)
スターダスト・クリーチャー:スカル・コマンド・ドラゴン 13000
K・コア
T・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、相手の手札を見る。その中から好きな数だけカードを墓地に置いても良い。
相手のクリーチャーのパワーは全て-5000される。
相手のクリーチャーのパワーは、クリーチャー及び呪文の効果では上がらない。



 現れたのは、罪の化身。
 より鋭く、鋭利に、何かを傷つけるために特化した骨の刃。
 何かを奪うためだけに特化した、背後から蠢く無数の触手。 
 全てを犯すため、殺すため、食い散らすため。
 そんなことだけしか考えていない。
 そこに全うな知性も、全うな理性も無かった。
 正気を失わせる程に強い邪悪のエネルギーが、レンの肌を焼いていく。
 既に服は裂けており、まだ1枚もシールドをブレイクされていないにも関わらず、この体たらくだった。



「死ね死ね死ね、死ねぇぇぇぇーっ!! 皆、地獄の底に、落ちろぉぉぉぉーっ!!」



 鎌を1度振るえば、幾つの命が飛ぶだろうか。
 現に今、レンの手札は表向きになった瞬間全て叩き落されたし、《キラード・アイ》は跡形もなく消し去られた。
 この間、カンマ1秒。
 勢いで衝撃波が巻き起こり、レンは吹っ飛ばされてしまう。
 ——おのれ……!! 何が起こったというのだ!!
 見たところ、継続的にレンの場には黒い靄がかかっていた。
 力を奪う能力。
 それこそが、奴の最大の武器なのか。

「ターン終了……げひゃはははぁーっ!!」
「おのれ、このクリーチャーの屑め……!!」

 ——しかし、どうする? 
 彼は案じた。クリーチャーも手札も墓地へ叩き落されてしまった今、奴を倒すにはどうしたら良いだろうか、と。
 ——そもそも、あのアヴィオールとやらは何のために、あんなビジョンを僕に送ったんだ!? そして、何故僕なんだ!?
 一向に、あの黒い龍のことが分からない。そもそも、あれが本当にアヴィオールだったのか、という疑問すら沸いてきた。
 しかし。あのときは感じたのだ。
 何か、自分とあの黒龍に繋がりを覚えたのだ。
 ——どうする? 今はどうにかして、奴を倒さねばならない……! 僕1人で、だ……!
 カードを引くレン。
 だが、そのカードに温かさを覚える。
 そこで、彼の頭に電撃が走った。
 


 ——いや、違うな。ヒナタも、コトハも、僕の背中を押してくれた。あいつらも、僕の心の支えとなって戦ってくれているんだ——



 戦っているのは自分だけではない。
 自分の心の中の彼らも、自分を支えてくれる仲間だ。
 それに、クリーチャーも、自分の仲間なのだ——

「僕はもう、大切なことを、大切なものを忘れはしない。失いはしない。誰にも奪わせはしない!!」

 マナを3枚払った。
 今ならば、倒せる気がする。
 さっき、確かにアルゴリズムは言った。
 ——本体を返せぇぇぇーっ!!
 と。
 だとすれば、奴の力は相当落ちているはずだ。
 ——奴は狡猾だが——それでも、野獣のような本能の塊だった。ライオンが獲物を狩るときに、集団でチームワークを見せるようなそれだ。しかし。所詮はそこまで。少し違うような気がしないでもないが、やはり野獣の本能でしかない!! 今の奴には、アヴィオールの高い知識と知能は無い!! 
 今、奴を此処で葬れるのは自分しかいない。
 どういう原理かは知らないが、自分が目の前の諸悪に負けてしまえば、奴は自分を殺して本体とやらを奪い、ヒナタ達に襲い掛かるだろう。
 そうすれば、ヒナタ達は苦戦を強いられるはずだ。

「《ボーンおどり・チャージャー》!! 効果で、僕の山札の上から2枚を墓地に送り込む。チャージャーでマナに」
「ぎゃははははー!! お前、ばっかじゃねぇぇぇのかぁぁぁー!? そんなことをしたって、今更空しいだけじゃぁぁぁーん!!」
「やはり、モンキー未満の知性しか持っていないのか、愚か者め」
「言ったなぁぁぁーっ、後悔させてやるぜぇぇぇーっ!!」

 汚く唾液と、布の体の中に詰め込まれた肉塊を飛び散らせながら、アルゴリズムは叫んだ。
 レンは確信した。
 やはり、こいつは馬鹿だ。
 正真正銘の馬鹿だ。
 アヴィオールと融合していたときのような崇高さも、知的さも、全て失われてしまっている、と。
 
「墓地進化!! 《大邪眼 B・ロマノフ》を進化GVで呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃぁぁぁーっっっん!!」

 墓地のクリーチャー3体を取り込み、凶悪な悪魔の貴族、ロマノフがその姿を現した。
 抜かった。
 何度もレンはそのクリーチャーを見ている。
 そして、その強さも知っている。
 闇の魂を3つ食らった《B・ロマノフ》は、パワー12000のT・ブレイカーという脅威の性能を誇るフィニッシャーだ。
 やはり、馬鹿は馬鹿なりに強かったのだ。

「《アヴィオール・ゼノン》でシールドをT・ブレェェェイク!!」

 地獄の鎌が、レンのシールドを3枚、一気に切り裂いた。
 3枚とも、S・トリガーではない。

「《B・ロマノフ》で攻撃ぃぃぃーっ!! 残りのシールドをブレェェェーイク!!」
「っ……!!」
「更に、メテオバーン発動!! 進化元の3枚を山札に戻して、テメェの手札3枚を山札の一番下に送還じゃぁぁぁーん!!」



大邪眼B(ビギニング)・ロマノフ SR 闇文明 (7)
進化クリーチャー:ダークロード/ドラゴン・ゾンビ/ナイト 12000
墓地進化GV−闇のクリーチャーを3体自分の墓地から選び、このクリーチャーをその上に重ねつつバトルゾーンに出す。
メテオバーン−このクリーチャーが攻撃する時、このクリーチャーの下にあるカードを好きな数選び墓地に置いてもよい。こうして墓地に置いたカード1枚につき、相手の手札から1枚見ないで選ぶ。相手はそれを見せてから、自身の山札の一番下に置く。
T・ブレイカー



 マッドネスを踏まないトリプルハンデス。それが如何に恐ろしいか。
 アドバンテージが増えない。それだけに尽きる。
 手札は逆転への一歩。しかし、それを摘み取ってしまう上に、捨てさせるわけではないのでマッドネスも無効化にしてしまう。
 それが、《B・ロマノフ》の強さだった。
 ——くそっ!!
 完全に予想外だった。こんな大型が、もう1体現れるなんて。しかも、手札は1枚しか増えていない。
 相手はトドメを刺せないが、このままではジリ貧だった。
 ——ヒナタ——コトハ——!!
 全身から血が溢れ、最早立っているのもやっとだ。
 しかし、さっきのヒナタはこんな苦痛ではすまなかったはずだ。
 ——僕が、仲間に償えることは、何だ!?
 カードに手を掛けながら、そんな自問に陥った。
 ——何が、仲間への礼になる!? 何が仲間への償いになる!? 
 



 ——償い——それもまた、1つの方法やもしれません。



 刹那——手を掛けたカードから、声が聞こえた——


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