二次創作小説(紙ほか)
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- デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
- 日時: 2017/01/16 20:03
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。
また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。
”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”
『星の英雄編』
第一章:月下転生
Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25
第二章:一角獣
Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48
第三章:骸骨龍
Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73
第四章:長靴を履いた猫
Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114
第五章:英雄集結
Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204
『列島予選編』
第六章:革命への道筋
Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦
Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261
Act8:次なる舞台へ
>>262
第七章:世界への切符
Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352
『侵略世界編』
第八章:束の間の日常
Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393
第九章:侵略の一手
Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416
第十章:剣と刃
Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444
短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。
短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65
短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103
短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126
短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156
短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176
短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422
エイプリルフール2016
>>299 >>300
謹賀新年2017
>>443
登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします
オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。
お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新
- Act7:大地を潤す者=大地を枯らす者 ( No.111 )
- 日時: 2015/06/28 23:29
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
とある超獣世界の王国について語ろう。そこには、人間界の人間と大差無い人々もいれば、異形のクリーチャーもいたが、共に共存していた。
しかし、あるときから絶えず謎のクリーチャーからの侵略を受けるようになっていた。
闇文明のクリーチャーだ。彼らは、巨大な大地を有す”王国”を度々狙うようになったのだ。
それに対抗するため、代々星読の儀式に通じてきた神官は、とある技術を生み出した。
それが、星芒武装だった。
そして、その力を真っ先に手にしたのは------------王の従順なる僕、ニャンクスであった。
ニャンクスは赤子だった頃、捨てられていたのを王に見つけられて保護された。それが後に、ビースト・コマンドのクリーチャーであることが分かったものの、やはりニャンクスは生まれつき戦闘適正が低すぎたのだ。
だから、王はニャンクスに精一杯の教育を受けさせた。
后が早死にし、王子も病気で死んだので、2人に注げなかった愛情の分も注いで育てたのだ。
だから、王から見ればニャンクスは子供同然であった。
医師として、賢者として、この国の頭脳として、ニャンクスは今まで活躍していたが、彼は唯一つ申し訳なく思っていることがあった。
彼は、余りにも非力すぎたのだ。
まず、竜化の秘薬。コレを使えば、自分も竜となって闘うことができるが、それでも自分が周りのクリーチャーより劣っていることを自覚せざるを得なかった。
だからこそ、ニャンクスは自分にこの能力が与えられたことが嬉しかった。
「王様! 僕なんかで、良いのですかにゃ?」
「お前を前線に向かわせるのは悩んだ。本当に悩んだ。だが、お前が望んでいたことが遂に実現できる。知識と力を持ち合わせる、究極の戦士が、星芒武装が実現できる」
「ありがとうございますにゃ! この恩、死んでも返せないほど大きいですにゃ! 万が一、この力の使い方を誤ったとき、僕はこの腹を斬る覚悟でいますのにゃ!」
「これこれ、そんなことを軽々しく言うものではない。ワシは、お前が側にいてくれるだけで嬉しいのだから」
***
その日からニャンクスは、星芒武装の研究により没頭するようになった。
そして、自ら前線に出向いていくこともあった。
ある日のことだった。今まで、ステラアームド・クリーチャーは、持ち主に特殊な儀式を施すことで、心から生み出すのが通説であった。
では、それに別の要素を加えたらどうなるか。
つまりは、クリーチャーを封じ込めた石だとか、核だとか、そういうものを儀式の際に一緒に入れることで、呼び出すクリーチャーに更なる力を与える、というものだった。
ニャンクスは、恐竜の化石を入れるのはどうか、と早速試した。
結果、生まれたのは----------------巨大で禍々しい暴君の恐竜だった。
「-----------これは、どういうことだ? 大地が、別の生き物に支配されているだと?」
《アクロガンドラー》。それが恐竜の名前であることは分かっていた。知識を持ち、非常に獰猛な性格であること。味方につければ、闇の軍勢を倒す足がかりになるはずだった。
しかし、彼は許さなかった。
自分達以外、つまりジュラシック・コマンド・ドラゴン以外が支配する世の中を。数億年の間に世界が変わってしまったことを。
彼は嘆いた。大地が変わってしまったことを。
怒り狂う彼は、早速王国を破壊し始めた。
ニャンクスは真っ先に、自ら武装をしてアクロガンドラーを食い止めようとした。
しかし、彼ではアクロガンドラーを止めることができなかった。
アクロガンドラーは、野心に塗れた暴君の恐竜だった。この王国に代わり、世界を支配しようとしたのだ。
「この大地を生まれ変わらせてみせよう------------原始に戻してくれる!! 古き良き、原始の大地に!! 民は我に平伏せよ! 貴様らは今日から、我の僕だ!!」
アクロガンドラーが吠えれば、樹木が辺りを覆い尽くし、家々を薙ぎ倒していく。
まさに、大地を古代の時代へ還そうとしているのだった。
しかし、王国がそんな自分勝手な行いを許すわけがなかった。
「----------ニャンクス、すまない。あいつを殺す」
「王様……僕が悪いのですにゃ……せめて、僕に……」
----------一度だけでも、あいつと向き合うチャンスを。
そう言おうとしたが、そんな勇気は出なかった。これ以上、王に自分が仇名すことは出来ないのだ。
王国は封印していた1体の龍を呼び出すことに成功した。
自然の力を司る王国が、大地のエネルギーに各文明の力を加える事で、復活させた龍だった。
これで、アクロガンドラーを倒せるはずあった。
だが、同時に予想外のことが起こった。
龍は民の生命力をも一瞬で吸い尽くし、殺してしまったのだ。
さらに、大地も一瞬で枯れ果てさせてしまったのだ。
アクロガンドラーは絶望した。
自分が望んだのは、こんなことでは無かった。自分が王になり、支配する世界。しかし、民がいなければ支配するもへったくれも無いのである。
「馬鹿な……王国は俺一人を殺めるためだけに、これだけの人々を犠牲にしたというのか!! こんな世にも禍々しい化け物を世に放ったというのか!!」
しかし、その言葉は最早、自分勝手で野心的で偽善的な言い訳に過ぎない。
「おのれ……俺がニャンクスならば、この世界を支配できたやもしれないのに!! 王に一番近い存在である奴だったならば、この王国を乗っ取ることも容易かったのに!!」
アクロガンドラーは成す術も無く、龍に粉砕された。
その後、王国がどんな末路を辿ったのか。龍は何とか封印することに成功した。
しかし。
「--------------この事態を引き起こしてしまったのは、僕の責任」
王が気付いたときにはもう遅く。ある日、彼の部屋を覗いたとき。
ニャンクスは自ら腹を切り、死んでいた。
悲しんだ王も後を追うように死んだ。
豊かだった王国は、瞬く間に、崩壊してしまった。
その理由は、闇文明が侵略したからでは無かった。
古代の世界を復活させ支配しようとした恐竜、それを倒すために大地と民を犠牲にして生まれた龍、そして根源となるものの自責の果ての自殺だったことは言うまでもあるまい。
- Act7:大地を潤す者=大地を枯らす者 ( No.112 )
- 日時: 2015/06/29 17:52
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
***
「僕は死んで王様に詫びなければ、いけないと思っていたのですにゃ……でも、この世界に転生したとき、何故か王国の末路が脳内に入り込んできたのですにゃ。僕が死んだから、王様も死んでしまった……! 僕は取り返しのつかないことをしてしまった……!」
凄絶な過去だった。良かれと思ってやったことが、全て裏目に出るほど、虚しいことはあるまい。
「だけど、王様はあんたが側にいることを望んでいたんでしょ!? 少し考えれば分かったはずよ!」
しかし、コトハのその言葉は無理を言っているに等しかった。自責の大きさなど、当事者にしか分かるわけも無く。
ニャンクスは、「どっちにしても王様に申し訳ないし、アクロガンドラーにも申し訳ないのですにゃ」と答えた。
「僕が、もっとちゃんとあいつと向き合っていれば、こんなことにはならなかったはずですにゃ!!」
ニャンクスの瞳には、後悔の色に染まった涙が浮かんでいた。
だからこそ、今度は自らの手でアクロガンドラーを倒すと決めたのだ。非力な自分は1人だけでは勝てない。
だからこそ、適合者の力をより欲したのだ。
「----------コトハ様!! 力を貸して下さいにゃ! 僕に、奴を倒す力を----------!!」
コトハはしばらく、何も言わなかった。
しかし。
怒ったような顔で、彼を睨み言い放った。
「”力を貸してくれ”? 助けを頼んでおいて、傲慢がすぎるわよ、あんたは!!」
ひっ、と怒気の篭った彼女の声に、ニャンクスは怯えを隠せなかった。
傲慢!? 自分は何か威張ったり、失礼を働いたのか、とニャンクスは慌てたが、そうではないようだった。
「あんた。さっきの話も聞いてて思ったけど、”何でもかんでも1人で背負いすぎ”! 力を借りるって、結局それ、あたしから力を借りるだけ借りて、自分1人で解決しようとしてるだけじゃない!」
「あ----------う---------」
「だから誓いなさい!! 今此処で!!」
はっきりと、彼女は、今の主は言った。
「あたしと”力を合わせる”のよ!! あんた1人だけじゃない。あたしも一緒に戦うの!! これ、命令だからっ!!」
力を借りる。力を合わせる。後者の方が、何となく肩の荷が降りた気がした。
思えば、自分はいつも1人で何かを背負い込んでしまっていた。
非力だから、前線を誰かに任せようとせず、自分も無理に闘おうとしていた。
だから、星芒武装の研究の末にこうなったのだろう。
アクロガンドラーの野心は、一体自分のどこから来たのだろう、とニャンクスは考えていた。
しかし、今答えが出た。
------------僕が、無意識に僕1人だけで、戦おうとしていたから-----------!!
「分かりましたにゃ、コトハ様! 僕は、コトハ様と一緒に戦いますにゃ!」
そうニャンクスが叫んだ瞬間だった。コトハの超次元ゾーンに、1枚のカードが置かれる。
------------これって-----------!!
「どうした!! 貴様のターンだぞ!!」
アクロガンドラーが叫ぶと同時に、我に返る。そうだ。相手は《アクロガンドラー》を出して、ターンを終えたのだ。
しかし、超次元ゾーンに突然置かれたこのカードを見て、ニャンクスは飛び跳ねて驚く。
「これはっ! ステラアームド・クリーチャー!? それも僕が見たことないものですにゃ!」
「うっそ!?」
「もしかしたら、コトハ様の気持ちに呼応して誕生したのですにゃ! これで、勝ち目が出てきましたにゃ!」
「わ、分かったわ! よし、私のターンよ! 《「四つ牙」》の効果で1マナを加速するわ!」
マナチャージを行い、コトハはまず、目の前の敵に対抗するための手段を考えた。
そして、それが”無い”ことを確認すると、1枚の呪文を唱える。
「《トレジャー・マップ》! これで、山札の上から5枚を見て、自然のカードをサーチするわ!」
山札から捲られたカード。
1枚目、《古龍遺跡 エウル=ブッカ》。
2枚目、《龍覇 サソリス》。
3枚目、《天真妖精 オチャッピィ》。
4枚目、《ベル・ザ・エレメンタル》。
5枚目--《従順の山猫星 タスク・ニャンクス》。
---------来たわ!!
「まず、呪文を唱えたから《スチュアート》の効果でマナを加速するわよ! さらに、《ニャンクス》を手札に加えて、そのまま召喚よ!」
「了解ですにゃ!」
マナゾーンのカードが7枚、タップされると同時に自然のマナが生み出された。
そこから、非力で小さくも、勇敢な賢者が姿を現した。
「効果で、超次元ゾーンからコスト5以下のステラアームド・クリーチャーをバトルゾーンに出しても良い! 出てきなさい、《護衛武装 ロシアンブルー》!!」
にゃっ! という鳴き声と共に、小さなサーベルタイガーのようなクリーチャーがバトルゾーンに現れる。
これが、ステラアームド・クリーチャー、《護衛武装 ロシアンブルー》だった。
その力により、コトハのマナゾーンに山札から2枚、カードが置かれる。
「ターンエンドよ!」
「しゃらくせえ!! それが何だってんだ!! 俺様のターン!! 《ニャンクス》のマナ武装7は発動できねえが------------致し方ねえ。手札から、《界王類邪龍目 ザ=デッド・ブラッキオ》を召喚だ!!」
アクロガンドラーは、更なる邪龍を召喚する。その効果で、《「四つ牙」》が超次元ゾーンへ置かれた。そして、今度は自らで攻撃を仕掛ける。
「俺様で攻撃!! しかし、その攻撃を中断する代わりにマナゾーンから、5枚を墓地に置けば----------俺様は武装される!!」
マナゾーンから、5枚が墓地へ置かれた。同時に、禍々しい空気と共に、《ニャンクス》を取り込んだ凶悪な恐竜がその姿を現す。
大樹のようなその身体から、幾つもの亀裂が入り、目が、口が、腕が現れた。
「これが俺様の真の姿!! 星芒武装完了、《恐竜皇帝 リンクス=ガルザード》!!」
恐竜皇帝 リンクス=ガルザード 自然文明 (12)
スターダスト・クリーチャー:ジュラシック・コマンド・ドラゴン 11000
R・コア
自分のマナゾーンのカードは全ての文明を得て、マナの数字は2か3になる。
自分のマナゾーンからクリーチャーを召喚しても良い。
相手のクリーチャーが攻撃するとき、相手のマナゾーンからカードを1枚選び、持ち主の墓地に置く。
W・ブレイカー
武装解除
その巨大な邪帝の風格に、コトハは気圧されてしまった。
-----------これが、スターダスト・クリーチャー!? 何て強大なの!?
「ターンエンド!! 俺様のマナゾーンのカードは全色になっており、さらにマナの数字を2か3に書き換えられる! マナは減るどころか逆に増えているのだ!!」
「無茶苦茶よ!! 何て効果-----------!!」
「大丈夫ですにゃ! 僕に任せて欲しいのですにゃ!」
そうだ。思えば、自分にはニャンクスが居たではないか。
このクリーチャーと力を合わせると決めたのだ。それを真っ先に忘れてどうするという話だ。
「このターン、僕のマナ武装を発動して、”何もせず”に終えてくださいにゃ!」
「わ、分かったわ! あんたを信じる! まず、《ニャンクス》のマナ武装7で、こいつのパワーを2倍にし、さらにシールドをブレイクする数を1枚増やす!」
そして、ターンの始めのドローを行い-------------
「ターンエンドよ」
彼女はターンを終えた。しかし、そのときであった。
「此処で、《ロシアンブルー》の武装条件達成ですにゃ! このターン、自分がマナゾーンにカードを置いておらず、尚且つ相手よりもマナゾーンのカードの枚数が”3枚以上”上回っているとき!」
「《ロシアンブルー》を裏返して、《ニャンクス》の上に重ねる! つまり、星芒武装発動ってことよ!!」
護衛武装 ロシアンブルー 自然文明 (5)
ステラアームド・クリーチャー:ビースト・フォーク 5000
R・コア
このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、山札の上から2枚をマナゾーンに置く。
相手はR・コアを持つクリーチャーを選ぶことができない。
星芒武装--自分のターンの終わりに、このターン、自分がマナゾーンにカードを1枚も置いておらず、さらに自分のマナゾーンのカードが相手のマナゾーンのカードより3枚以上多い場合、このクリーチャーを裏返して、「ニャンクス」と名前にあるクリーチャーの上に重ねる。
次の瞬間、《ロシアンブルー》が光の粒子となって、《ニャンクス》へと降り注ぐ。
「星の力を受ける非力なる賢者よ!! 今此処に、最強の力を手にし、目覚めなさい!!」
その身体は光に包み込まれ、体つきはより人間に近く、腕はより屈強かつ鋭利な爪を得て。
それは、現れた。
大いなる大地の息吹と共に。
それは、現れた。
荒々しくも優しい、野性の血潮と共に。
それは、現れた。
星の力を受け継いだ、旋風の戦乙女として。
蝶のように舞い、蜂のように刺す------------
「----------武装完了、《疾風迅雷 ニャンクス・ミラージュ》!!」
- Act7:大地を潤す者=大地を枯らす者 ( No.113 )
- 日時: 2015/07/23 08:56
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
「な、何ぃ!? 何だ、こいつはあああああああああ!?」
リンクス=ガルザードは絶叫した。
まさか、追いつくように武装をしてくるとは思わなかったのだ。
しかし、武装したニャンクスの姿は、かなり意外なものであった。その姿は、ほぼ人間のそれに近く、相違点があるとすれば俗に言う猫耳というものが生えているということくらいか。
白陽やクレセントとは、別のベクトルの獣人である。どちらかというと、”人”に近いほうの。
いや、そこまでならば、まだ良かった。
問題は----------
「----------やっぱりあんた-----------”雌”だったのね……?」
「え? コトハ様、気づいてなかったんですか?」
「いや、薄々は」
----------そう。まさに性別詐欺。一人称が”僕”や”俺様”だったり、口調も男っぽかったので、全く気付かなかったが、ニャンクスの身体を洗ったコトハは薄々感づいていたのである。
彼女は”雌”だと。正真正銘の女の子だ、と。
しかしまあ、武装後のスタイルよ。
自分のそれを上回る胸部装甲を目にして、彼女は萎縮してしまう。
しかも、上半身を纏っているのが、ベルトのようなパーツだから、尚更それが際立って見えるのだった。
後、口調も普通になっている。
いや、そんなことは今はどうでもいいのであるが。
「それじゃあ、行きますよ! 僕の効果で、相手のクリーチャーは1枚しかシールドをブレイクできません!」
「何……だとぉ!?」
ガルザードは、前のターンに《デッド・ブラッキオ》を召喚したことを心底後悔した。
奴をすぐに除去できたかもしれないのに。しかし、時既に遅し。
ともかく、クリーチャーを並べねばならない。
「《永遠のリュウセイ・カイザー》をマナゾーンから召喚!! これで、貴様はタップしてクリーチャーを出さなければならない! さらに、この俺様でシールドをブレイクだ!!」
バリン、とシールドが1枚、叩き割られた。しかし、それが運の尽きであったとしか言いようがない。
「------------《ニャンクス・ミラージュ》のもう1つの効果発動なのですよ!」
「------------あたしの自然のドラゴンは、全てS・トリガーを得るわ。タップしてバトルゾーンに出る? 上等よ。どうせ、次のターン、アンタップするんだから!!」
疾風迅雷 ニャンクス・ミラージュ 自然文明 (12)
スターダスト・クリーチャー:ワービースト・コマンド 11000
R・コア
相手のクリーチャーは、1枚しかシールドをブレイクすることが出来ない。
自分の自然のドラゴンは、全て「S・トリガー」を得る。
W・ブレイカー
武装解除
S・トリガー発動。この瞬間、1体のとてつもなく巨大なクリーチャーがバトルゾーンに現れたのだった。
「今こそ、目を覚ましなさい。七つの律動を刻みし、強大なる龍よ!! 《界王類七動目 ジュランネル》召喚よ!」
界王類七動目 ジュランネル SR 自然文明 (1)
クリーチャー:ジュラシック・コマンド・ドラゴン 24000
このクリーチャーは、バトルゾーンにタップして置く。
自分のマナゾーンに自然のカードが6枚以下しかない場合、このクリーチャーをアンタップできない。
ワールド・ブレイカー
《ジュランネル》は、時が来るまでは常に深い眠りについている。しかし。ひとたび彼が目覚めたとき。
地上の戦乱は一瞬にして静まると言われている程の力を有すのだ。
そして、コトハのマナゾーンのカードは11マナ。十分に、その眠りを覚ますマナの量を得ていた。
「あたしのターン! 目覚めなさい、《ジュランネル》!!」
重々しい、瞳を開き。今此処に、最強のドラゴンが目を覚ました。
それは咆哮し、全ての大地を食らいつくさんとばかりに、目の前の標的へ向けた。
恐竜皇帝。その異名が哀しくなるほどの、力の差がそこにあった。
「そして! あたしは11マナで、《界王類絶対目 ワルド・ブラッキオ》を召喚するわ!」
「は、はははは!! 恐竜だ……!! これが、これが、俺が望んだ世界なんだあああああああああああ!!」
狂気に満ちた笑いを上げる、リンクス=ガルザード。
最早、哀れみの表情を投げかけることもできない。
だから最後はせめて、楽に終わらせてやろう、と。
「《ジュランネル》でシールドをワールド・ブレイク!!」
自らを拘束するタガが外れた《ジュランネル》は、一瞬で全てのシールドを焼き払った。
しかし。
リンクス=ガルザードがそれだけで諦める訳が無かった。
S・トリガーが3枚、超動する。
「《王龍 ショパン》! 《凶殺皇 デス・ハンズ》! 《終末の時計 ザ・クロック》! 奴らを殺せぇぇぇぇぇ!!」
しかし。
「無駄よ」
コトハは現実を突きつける様に、厳しく言い放った。
「《ワルド・ブラッキオ》の効果発動。あんたのクリーチャーの、”バトルゾーンに出たとき”の効果は全て無効化されるわ」
界王類絶対目 ワルド・ブラッキオ SR 自然文明 (11)
クリーチャー:ジュラシック・コマンド・ドラゴン 27000
ワールド・ブレイカー
相手のクリーチャーがバトルゾーンに出て、そのクリーチャーの能力がトリガーする時、かわりにその能力はトリガーしない。(例えば、相手は「このクリーチャーをバトルゾーンに出した時」で始まる能力を使えない)
ピキッ、とガルザードの表情にヒビが入った。
つまり、それは逆転が最早出来ないということを意味していた。
クリーチャーの効果は全て封じられた。つまり、3枚のS・トリガーは全て意味を成さなかったことになる。
「あ、が、ば、馬鹿なあああああああああああ!! この俺様が!! 恐竜皇帝の俺様が!! 何故、何故、こんな奴らに!! 俺は最強なんだ、誰もが恐れる究極の恐竜なんだ!! 俺は強いんだ!!」
まるで子供のように喚き立てるガルザード。しかし、それは最早、コトハの前では唯の雑音でしかなかった。
ニャンクスが突貫する。最後の一撃を決めるために。
「支配欲のために、何人もの人を傷つけたこと-----------!!」
「知るかあああ、俺様が知ったことが、あるかあああああ!!」
「全部、その身を以って、償いなさい!!」
巨大な自らの”獣”の腕を振り上げ、裂かんとばかりに風を斬る。
それは巨大な真空波となり、全てを裂いていく。
「俺は、俺は、俺は、俺はああああああ!!」
「もうこれで、終わりにするのです!!」
「《疾風迅雷 ニャンクス・ミラージュ》で-------------」
そして、大樹のような身体をした《恐竜皇帝》を一瞬で真っ二つにした。
最早、断末魔の叫びをあげることすら、彼には許されなかった。
一瞬で身体が朽ち果てていく。
役目を終えた老木のように、ボロボロと崩れ落ちていく。
「-----------ダイレクトアタック」
- Act8:結末=QED ( No.114 )
- 日時: 2015/06/30 13:49
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
***
「コトハ!!」
----------しばらく、言葉に表せない時間が経過したろうか。仲間の声が聞こえてきた。
部屋に飛び込んできたのは、ヒナタ、ノゾム、フジ。そして、黒スーツを着込んだ男達だった。
「大丈夫だったか!? レンは!?」
「心配しないで。レンもあたしも平気よ」
「良かったです、先輩……本当に!」
そして、血を頭と腹から流して倒れている男を見て、フジは顔を顰めた。すぐに、黒スーツの男が息を確認するが、「死んでいる」と結論が下された。
「成る程。前から爪による不意の一撃食らったってところか」
「武闘先輩……」
「大丈夫だ。”お前ら”がやったわけじゃない、というのは分かっている」
くいっ、とフジが指を差すと、そこには半分焼け焦げたようなカードがあった。
両面刷りのカードだ。それが《アクロガンドラー》であったことは、言うまでも無かった。
「とりあえず、事の真相を聞かせてくれ。それと、お前ら、レンを運んでくれ」
最後の言葉は、続けて入ってくる黒スーツの男達に向けられた言葉だった。
***
犯人の小早川 英明が死亡したため、被疑者死亡で彼に疑いがかかっていた多くの事件は不起訴処分で済まされることになった。
しかし、現実にはそう簡単には終われないのだ。
事のあらましを、全てフジに説明したコトハは、更に驚くべき事実を耳にすることになった。
「全く、玄関にいきなり”宅配便”の男の死体が転がっていてな。ホタルがそれで、いきなり泡吹いて気絶しちまったのさ。無理もねえ」
「宅配便……? 借金取りじゃなくて、ですか?」
「それは小早川----------あの男が言っていたからか?」
「あ、はい……」
小早川 英明は、どうやらニャンクス(悪)の麻薬を常用し続けていた結果、正常な判断が出来なくなっていた可能性があることが、その後の解剖調査で明らかになったらしい。
だから、見境無く人を殺すことが出来たのだろう。
頭がイカれていたのは、薬の所為だと分かれば、全て筋が通る。
「そして、ニャンクス(善)とお前が共闘して、あのアクロガンドラーとやらを倒したみたいだが、まあ良くも無事だったもんだ」
「さあ、自分でも運が良かったとしか……でも」
コトハは、愛おしげにカードの中で寝息を立てる猫に笑いかけた。
「”彼女”と力を合わせたからこそ、かもしれませんね」
再び出来たパートナー。ニャンクスと、彼女と共に今後戦っていくとなると、胸が躍った。
------------オーロラ。こっちの心配はしないで、たっぷり暴れてきなさい! こっちには、また新入りがやってきたからね!
***
「僕に、力があれば--------------!」
病室のベッドで1人、レンは語散っていた。これが、事件を簡単に終われない理由の1つだった。
とりあえず、フジは色々手回しして、彼が1人相撲で事故ったということにし、1日だけ入院させることにした。
ようやく意識が覚めたものの、意気込んでニャンクスに敗北するという大失態を、彼が自分で許せる訳も無く。
「邪魔するぜ」
夜、もう遅いがヒナタは特別に面会を許可されてやってきた。
「ヒナタか。すまない、迷惑を掛けたな」
「けっ、今更水くせーよ。何回てめーの所為で迷惑被ってると思ってんの」
「……本当にすまなかった。僕が、あの男をあそこで倒さなかったからだろう?」
「気にするな。新しい英雄も見つかったしな」
「新しい英雄、か。コトハが手にしたと言う事は聞いてはいるが」
「ああ。しかも、ステラアームド・クリーチャーが元のクリーチャーの姿と能力を奪って悪さしてたっていう話は心底びっくりしたぜ」
「……そうか」
レンはそれでも、浮かない顔をしていた。
「僕は……何故、こんなにも非力で、弱いんだ」
「レン」
彼の瞳は悲しみで染まっていた。
無力な自分への怒りを通り越し、悲しみが募っていた。
「何故、貴様のように誰1人守る事が出来ないんだ!!」
「落ち着け、レン。努力と結果が伴わないことなんて、よくあることだぜ」
「しかし!! 現に僕は敗北した!! 惨めに、あの邪悪なクリーチャーに敗北したんだ!!」
何でも良い、と彼は呟いた。
「力が欲しい……!! 貴様らと同じ、いやそれ以上の力を……!! それさえあれば、皆を守る事ができるのに……!!」
ヒナタは、それ以上の言葉を掛けてやることが出来なかった。
そのまま、病室を後にした。
悲しみを隠せない、彼を残して。
***
「白陽」
「何だ」
いつも通り、屋根の上で白陽と背中合わせに星を見ながら、ヒナタは彼に問いかけた。
「お前は、今の自分がクレセントを守るに足りると思うか?」
「私を試しているのか?」
「ちげーよ。そのままの意味で答えろ」
「……私は、今のままの自分が良いとは思わない。だから、敢えてその問いには”足りない”と答えよう。クレセントは星芒武装を手にしたのに、私は未だに手にしていないのだからな。私が守られる側になってしまう」
「それは確かに、男として情けないわな」
はははっ、と2人は笑いあった。
しかし、心から笑えるような状況でないことも、同時に理解していた。
「残る英雄は、アヴィオールだけ、か」
「ああ。それで俺は、こう思うんだ。残る適合者が俺らの身近の人物なのか、否か。どっちにしても、奴を仲間に入れるのは難しいってな」
「奴は手強い。奴の呪縛を解くのが誰になるのかも分からんうちは、下手に動かない方が良いか」
しばらく、2人はそのまま黙っていた。
星を眺めているうちに、だんだん睡魔が襲ってくる。先に相棒が寝てしまう前に、なあ白陽、と彼は背中合わせの相棒に語りかけた。
「俺が、アクロガンドラーに何であそこまで怒ったか、分かるか」
「……すまない。私には理解が出来なかった」
いや、いいんだ、と軽く笑って彼は答えた。あれほど怒る彼の姿を、白陽は見たことが無かった。
「俺は守れなかったんだ。昔、大好きだった奴を」
「……お前がか? 何故だ? お前ほどの男が」
「俺は、そんな大層な奴じゃねえよ。ただ、ちょっと約束して、少し別れてる間に、俺がいない間に、交通事故でそいつは死んでいた。それだけだ。だから、度々思うんだ。お前らは良いなって。守りたい奴が、すぐそこにいる。だから、あの野郎のやったことは、守りたかったものを、傷つけらるに等しかった」
ふぅ、とヒナタは溜息をついて言った。
その目は、いつもの彼とは違い、とても弱く、儚げに見えた。
「それでも----------俺の大好きだったあいつは、もう俺がどんなに泣いても、どんなに怒っても、どんなに苦しんでも、戻ってこねーからな……」
「何を言うんだ」
白陽が咎めるように言った。
「前を向け、ヒナタ。今のお前には、守るべきものが沢山ある。そして、それは、お前1人では絶対に守りきれないが、私がそのためにいる。過去を振り返るな。今を見ろ。いつものお前なら、そう言うはずだ」
「---------そうだな。らしくなかったぜ。悪かったな、白陽」
「いや、良いんだ。誰だって弱気になることはあるさ」
「---------だけど、それだけにレンの事が心配なんだ」
彼は思い出す。飢えるように強さを欲していたレンの姿を。
あの姿には、一種の脆ささえ感じた。
「---------嫌な予感がするぜ……!」
- Re: デュエル・マスターズ D・ステラ 〜星々の系譜〜 ( No.115 )
- 日時: 2015/06/29 02:37
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)
久々の爆更新でストックをほとんど使い果たしたモノクロです。お陰で一気に話は……あれ? そこまで進んでない? まだ一つのタスクが終わっただけ?
一応、まだ細々としたストックは残っているものの、すぐに更新できる類のものではないため、またしばらく更新停滞かも……ははは。
それはそれとして、いよいよもって始まったコトハ&ニャンクス(善)とアクロガンドラーのデュエルですが、とりあえずマナ溜め合戦ですね。いやはや、見た目は健全ですね。少なくとも闇単同型戦のハンデス合戦とかいう不毛すぎる対戦よりは。
不毛と言えば、ニャンクスとアクロガンドラーのヒストリーも、やはりというかなんというか、自然文明らしく、力やら欲やら大地やらが絡んで来るんですね。
王国、というワードは光文明あたりの出来事かと最初のプロローグでは思っていましたが、ふむ、まさか自然の古代龍によるものでしたか。なんというか、大地は不毛になりましたが、お互いにやっていることも不毛ですね。みんな頭が固い。
ただ、アクロガンドラーが望む支配には、必ず命があってほしかった。民のいない支配なんて望んでいなかった、というのはなかなか好きな設定でしたね。頭は古ぼけてても、民があってこその国家ということをしっかり認識できる王様はいい王様です。うちの大王は意地っ張りすぎてぼっちになってますからね。それと比べれば、アクロガンドラーは王の資質がまだあった方かと。
まあ、それでも支配される側からすれば、たまったもんじゃないでしょうがね。だからアクロガンドラーに対抗しようというのも分かる話ですが……まあ、やりすぎた、ってところなんでしょうかね。
そして、そのすべての命を吸い尽くしたっていう龍は、どこかで出て来るんですかね……それほど強大な存在なら、なにかしらの形で今の世界に関与していてもおかしくなさそうですが。というか吸い尽くすとかいう表現が、どことなく《ソウルハート》や《ソウルフェザー》のFTを想起させるのですが……まさかね……いや、でもありえなくは……ううむ。
まあ、その辺も色々推理して、いつか訪れる解決編を楽しみにしますか。
さて、ニャンクスたちの昔話も終わったところで、アクロガンドラーとの対戦に戻る……前に。
ニャンクスの言い分が傲慢だと一蹴されちゃいましたか……そりゃ、コトハの言い分も分かるんですがね。しかし個人的には、ニャンクスの気持ちも、もっと大事にしたいな、と思いました。
結局、王国が滅亡した最初の原因は、ニャンクスが星芒武装の技術に化石を加えたことにあるわけで、要するにニャンクスがすべての元凶であるとも言えるわけですよね。
それはニャンクス自身にも分かっているでしょうし、その償いを、自分一人の手でしたい、というのはよく分かります。自分が原因のミスほど、自分一人の手で尻拭いしたいと思うのが道理ってもんですからね。
だから、流石に傲慢と突っぱねるのはどうかなぁ、と個人的にはちょっと思いましたね。そりゃニャンクスも一人でアクロガンドラーに勝てないと分かってて、それを承知でコトハに力を求めているわけですから、全部が全部一人で解決するってことにはならないんでしょうが……
うぅむ、考えれば難しい問題ですね。これはコトハの性格が出たってことなのかなぁ……コトハがニャンクスの意志を汲んで力を貸したとしても、《ロシアンブルー》は生まれなかったかもしれませんし、それも考えると……
……はい、考えるのをやめますか。ここまでで1500近くありますし、あまり長々言ってても仕方ないですし、これはもう、モノクロの一個人の意見ということで処理しましょう。
《アクロガンドラー》は返すターンで武装を完了して、恐ろしいシステムクリーチャーの《リンクス=ガルザード》に……で、いいんですよね?
いや、実は初登場時から、《リンクス=ガルザード》という名前が台詞や地文で出るたびに《リンク=ガルザード》になってるものですから、どっちが本当なのか迷いそうになってしまって……
以前仰っていた時は確か《リンクス=ガルザード》だったと思うので、カードデータの方を信じて《リンクス=ガルザード》だと思っておきます。
対するニャンクス側も、《ロシアンブルー》で武装完了、《疾風迅雷 ニャンクス・ミラージュ》になる、と。
……しかし、《護衛武装》で(アーム・アームズ)って、なんだかとっても装備品らしい名前してますね。これはこれで、他のステラ・アームドとは違う感じがします。《ロシアンブルー》というのは、例の猫の一件から名付けられているんだと思いますが。
そして《疾風迅雷 ニャンクス・ミラージュ》というのも、どことなく自然文明らしからぬネーミング……疾風迅雷とか言われたら最近流行りのソニック・コマンドとか、字面的に光文明っぽいですし、ミラージュなんていうのも水とか闇とかにいそうな感じがして、もうお前なに文明だよ、とツッコミたくなります。
まあ、自然は五色すべてを操る文明でもあるので、それを考えると、色んな文明にも見えるのは、ある意味自然文明らしいのかもしれませんね。
それにしても《ロシアンブルー》は武装条件がなかなかきっついですね。自分のターン中にマナを置かずに相手のマナ数を三枚以上、上回るともなると、わりと相手依存になりそうです。相手次第では、まったく武装できない、だなんて状況にもなりそうですね。
能力も微妙にアンチシナジー感が……トリガー付与なのに一体しか攻撃を通さないともなると、いまいちその能力が生かされているのかいないのか。守りの薄い自然としては嬉しい能力ですけど。
まあしかし、それでアクロガンドラーに打ち勝つことができたわけですし、万々歳ですね。
あと、結局《ワルド・ブラッキオ》がいたので関係ありませんが、《クロック》が先に出てたら《ショパン》も《デス・ハンズ》もシールドが割られず出て来ないのでは? と思ったり。アクロガンドラーさんはそれに気づかないほどに焦ってたんですかね。それとも、元々本能が強すぎて知性が……とか?
ともあれ、アクロガントラーとの悶着は、これで一件落着ですか。
何気に最後にオーロラについて触れてた心中台詞が地味に嬉しかったり。こうやってちょくちょく前作ネタが絡んでくるのは、前作からの読者としては、なんというか、しみじみ思うものがありますね。
一方レンですが……あー、これはダメなやつですね。
完全にダークサイドでフォールダウン的なフラグが……
つーか一人相撲で入院って、よくもまあそんな酷いというか寂しい言い訳をしようと思えますね……
そしてヒナタの方も、彼の根幹にある彼女について、また言及していますね。
やっぱり、ヒナタは彼女が少しでも絡むと、メンタル的に脆いですね。今回はそれが、怒りという方向に向いたわけですが。
……思い返せば、アクロガントラーはニャンクスの姿で死にかけだったとはいえ、あんなに支配欲に塗れていたっていうのに、靴を舐めるとか言って命乞いしてたんだよな……そう思うと、なんだか妙な気分に……
それと、白陽もまあ星芒武装できなかったんでしたね。なんか、vaultで色々聞いているうちに、勝手に武装できると思い込んでました。あはは、刷り込みって怖いですね。
さて、今回は結構書いたな……うげ、3000文字とかあります、すいません、長々書きすぎました……
ともあれ、一旦区切りがついたところで、次はどのようにはなしが動くのか……アヴィオール襲来か、白陽の武装か、それともホタルについてさらに掘り下げるのか……と、様々な期待と妄想が膨らみます。
そんな感じで膨らませながら、次回を期待するとします。
ではでは。
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