二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
日時: 2017/01/16 20:03
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。

また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。


”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”



『星の英雄編』


 第一章:月下転生

Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25

 第二章:一角獣

Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48

 第三章:骸骨龍

Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73

 第四章:長靴を履いた猫

Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114

 第五章:英雄集結

Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204


『列島予選編』


 第六章:革命への道筋

Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦

Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261

Act8:次なる舞台へ
>>262


 第七章:世界への切符

Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352


『侵略世界編』


 第八章:束の間の日常

Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393


 第九章:侵略の一手

Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃 
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416


 第十章:剣と刃

Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444


短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。

短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65

短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103

短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126

短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156

短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176

短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422

エイプリルフール2016
>>299 >>300

謹賀新年2017
>>443


登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします

オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。

お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新

Re: デュエル・マスターズ D・ステラ ( No.382 )
日時: 2016/09/22 16:27
名前: 霧風赤司 ◆.k1XJsDMDk (ID: zGyV0OIp)  

何度も失礼。


天門ループに対抗するデッキを作っているんですが、大体の対抗カード(マグナム等)は持っていないのです・・。
DS.Revで天門に対抗できるカードはありますでしょうか。
教えてください。

ハンデス(使い方間違ってたらすみません)用にブラックサイコやゴーストタッチ、レビーテー、あとはミルザムやエメラルーダを破壊するためにGENJI・XXX、シューティング・ホール、手札やマナ送りのためにアクア・サーファー等を元に作っています。

Re: デュエル・マスターズ D・ステラ ( No.383 )
日時: 2016/09/22 17:27
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

霧風赤司

それなら、フィールド・スタート・デッキのバサラの禁断をベースにしたデッキが良いかと。ザ・ブラックからのブラックサイコで最大3枚ハンデスできますよ。
また、自分に聞くばかりではなく調べてみるのもいいかと。勉強になりますよ。

Act5:貴方の為に ( No.384 )
日時: 2016/09/23 01:28
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

 ***



 暗い。
 そして——冷たい。
 凍えるような感触で、彼女は目を覚ました。

「——!!」

 目の前には、銀色の世界が広がっている。
 そして——目の前には、自分の手を掴む存在があった。
 それは靄のようで、姿かたちこそわからないが、何となく人の体は成していた。

「……あ、貴方は何なんですか——!!」
「——お前は1人——お前の味方はいない——」

 ずる、ずる、と引きずり込まれていくような感覚を覚えた。
 見れば、地面がどんどん沈んでいく。
 まるで、底なし沼のように——

「お前には仲間なんか居ない。お前が誰も信用していないからですわ」
「私が——!?」
「誰かを頼ることでしか生きられない人間に、存在価値があるとでも思ってるの? そんな生き方をして、生きているのが嫌にならないのかしら?」
「あ、う——!」

 だんだん、ビジョンが明確になってきた。
 その表情こそマスクで見えないものの、美しくも苛烈な、鋼鉄の処女——

「——ドラドルイン——!!」
「フフフ……おほほほほほ!! まだわからないのかしら? お前は私、私はお前——お前に心から信頼し得る仲間など、心から信頼してもらえる仲間など、居ないことはこの私の存在が証明しているのですわ!!」
「は、離せ——!! わ、私は——!!」
「おやおやおやぁぁぁーっ? 現界した私に勝てなかった貴方が、1対1でこの私に勝てるとでも? じゃあ聞かせて頂戴な。今の気分は? 本当に私に勝てるとでも、本気で、本気で勝てると思っているわけ? おほほほほほほ!!」

 見てみなさいな、とドラドルインはちらり、と振り向いて見せた。
 その視線の先には——ヒナタの姿が、レンの姿が、コトハの姿が、そして——ノゾムの姿があった。

「ヒ、ヒナタ先輩、レン先輩、如月先輩、ノゾムさん——!!」

 ——手を伸ばそうとする。
 しかし、掴まれていて、それどころではない。
 次の瞬間——朧げになって、その姿は口々に告げていく。

「お前はそんな奴だったんだな」
「醜悪な奴め」
「貴方には失望したわ」

 3人の先輩の言葉が、鮮明に、はっきりと自分の心を抉っていく。
 そして——トドメは、



「——もう、近付くんじゃねえよ気持ち悪い」



 ——ノゾムの言葉だった。
 そういって、皆消えていく。まるで、自分を見捨てるように——

「言ったでしょう——? お前が勝手に頼って、勝手に利用していたような連中が、お前に心を開いていたと、本気で、本気で思っていらして? 卑しくて、良い子ぶって、自分勝手なお前に幻滅していたのではないのかしら? それも分からなかったなんて——本当にお前は頭の中が幸せなのねぇぇぇぇーっ!! オーッホッホッホッホッホ!!」
「あ、ああ、う——嫌だ、嫌だ——見捨てないで、私は、私は——!!」

 ずぶずぶ、と腰まで体が沈んだ。
 ドラドルインは、深淵に彼女をどんどん引きずり込んでいく。

「お前は1人で戦うしかない。でも、1人じゃお前は何も出来ない。だから周りの人間を”利用”した。そうでしょ——? そんなお前の末路は——分かってるわよねえ? 沈め沈め、心の闇に——どんな光も、私の前では、お前の前では、闇に帰すのよ——」

 ふふ、と微笑んだドラドルインは突き付けるように言い放つ。



「仲間など最初からいなかった。全部、お 前 の 妄 想 だ っ た」




 ザクリ




 次の瞬間、ドラドルインの胸は無数の光の剣に貫かれていた。
 苦しそうに彼女は呻き、ホタルの手を離す。

「な、何で——このビジョンは——」

 パリン、と鋭い音を立てて鋼鉄の処女の像は砕け散った。
 そして——目の前には、自分の見慣れたクリーチャーの姿があった。

「ミラクルスター——!!」

 こくり、と天翼の化身は頷いた。
 幾度も自分と共に戦ったクリーチャーだ。
 彼に問いかける間もなく、悪寒を感じる。
 振り向けば、そこにはドラドルインが何機も現れ、こちらへ迫ってきていた——が、途端にその動きはピタリ、と止まる。
 見れば——そこには、幾つもの刃を携えた輪刀を掲げる騎士の精霊龍が彼女らをひきつけていた。
 そして、一瞬で多数の軍勢に切りかかり、そして——薙ぎ倒してしまった。

「ヴァルハラナイツ——!!」

 しかし、更に現れる軍勢——止め止めとなく、ドラドルイン達は襲い掛かる。
 が、今度は時が止まった。ぴたり、とミラクルスター、そしてヴァルハラナイツを含む全てが、ホタル以外のすべての時間が止まった。
 頭上から現れたのは——



「ミラダンテ——!」



 いや、それだけではない。《オリオティス》に《ララァ》、《レッドローズ》に《コマンデュオ》、《コッコルア》、《ヴァールハイト》、《カチャルディ》、《ウルフェウス》、《エバーローズ》、《レオザワルド》、《エバーラスト》——まだまだ光の大群が、現れる。
 それを見た途端——ホタルは言葉を失った。
 同時に、思い出す。
 どんな時も、共に戦ってくれた自分のクリーチャー達——
 
「……そうですよね。私が1人だけで戦えるわけ、なかったんです」

 ふっ、と彼女は息を漏らす。
 沈んでいく身体が、止まった。

「……貴方達とずっと戦っていたのに、今更私1人で、なんて傲慢が過ぎますよね」

 涙が零れる。
 今使っているデッキ、以前使っていたデッキ——こんなにも沢山のカード達に自分は支えられていたのか、と。

「だとしたら、今更利用する、だとかそんなこと、馬鹿らしい悩みでした——今日にいたるまで、カードだけじゃない、多くの人にも支えられてきたのに——こんなところで、私が勝手に折れたら、その人達の思いも、この子達の思いも、全部、全部無駄になってしまう——そんな”自分勝手”なことをしたら、今度こそ私は私のことが許せなくなる——!!」

 立ち上がる。
 そして——目の前を見据えた。
 突如現れた純白の後ろ姿——それを見て、つぶやいた。



「——ハーシェル」



 ***




 ——そこで、思考は途切れた。
 はっ、と辺りを見回す。
 見れば——《XANTHUS》が最後のシールドを破って、3つ目の首——すなわち、彼女の本来の首で今にもホタルを食い破ろうとしていたその時。

「革命0トリガー、発動——《革命の防壁》!!」
「革命、0トリガー——!?」

 彼女が突き付けたのは、最終防衛ライン。
 山札の上を捲る。そこから現れたのは——《聖霊龍王 ミラクルスター》だ。

「よし、第一タスククリア! これで、シールドを1枚追加します!」
「ッ……フフ、燃えてきたわ!! 滾ってきたわ!! それがjapanの最終兵器、革命0トリガーね!! だけど、どのみち貴方のシールドはゼロよ!」

 パリン、と最後のシールドが割られた。
 しかし——

「このデッキ、白単サザン・ルネッサンスという形の体裁こそとっていますが——なぜ、《ララァ》をあんなに入れていたか、貴方は分かりますか?」
「っ? そんなの、《サザン》を早出し——ッま、まさか!!」
「ええ——やっぱり私はどうも、悪運と、そして仲間たちにだけは恵まれているようです!!」

 それは光となって収束する。
 そして——新たなる光の革命を生み出した。
 
「そして、私は何が何でも仲間たちと共に、どんな戦いも勝ち抜く——私は1人だけじゃ何もできない、だけど誰かと一緒なら——どんな大きい困難も乗り越えられる——そう、決意したんです! それが、私の絶対にブレない軸です!!」

 龍の印が刻まれた。彼女の思いは、光の龍となって現れ出でる。



「S・トリガー発動、呪文・《ドラゴンズ・サイン》!! 効果で出すのは——《革命聖龍 ウルトラスター》!!」

Re: デュエル・マスターズ D・ステラ ( No.385 )
日時: 2016/09/22 19:26
名前: 霧風赤司 ◆.k1XJsDMDk (ID: zGyV0OIp)  

返事が遅れてすみません!


購入を検討してみます!
デュエマwikiも参考にしております!
教えていただき、ありがとうございます!

Act5:貴方の為に ( No.386 )
日時: 2016/09/22 21:14
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

 龍の印より現れたのは、純白の革命龍。
 その光により、更に2つのシールドが現れる。しかも、両方とも革命2でS・トリガーとなっているのだ。

「……《ドラゴンズ・サイン》——!? カウンター狙い……!? そんな呪文を、そのデッキに入れてたの——ふふ、あはははは!! やっぱ面白い、面白いよ貴方は!! ターンエンド!!」
「……さっきのビジョンは、一体——!?」
「フフッ、少しケルスの力で貴方の精神に干渉したんだよね。貴方に貴方の内面と向き合って貰った。だから、この空間を開いたんだよ」

 その結果、大成功だったようだね——と、ノアはホタルを一瞥する。
 今の彼女は見違えるようだ。少し前の、委縮していた臆病者の面影は何処にもない。

「そこから先は貴方次第だったけどね」
「……ノアさん。貴方は一体、何を考えているんですか?」

 ホタルは、彼女に自分が立ち直るきっかけを貰ったことこそ感謝していたが——この少女の発言も、行動も、何かきな臭いものを感じるのだ。

「別に? 私はケルスの目的を達成するため、そしてインベイトの目的を達成するためにここにいる」
「……そうですか」

 目を瞑ると、彼女は言った。

「——では、こちらからも仕掛けます。《束縛の守護者 ユッパール》召喚! その効果で、《ギャロウィン》をフリーズ!」
「あ、やったなー!」
「そちらにはもう、手札は無い。展開は出来ないはずです! ターンエンド!」
「——そうだね。だから、殴るしかないかーこっちには《ウルトラスター》を除去する手段が無いしね」

 言った彼女は、諦めたような表情で《XANTHUS》に手を掛けた。
 そのまま、三頭の獄卒は、ホタルのシールドを食い破っていく。
 しかし——ホタルのシールドは、《ウルトラスター》の効果で全て、シールド・トリガーを得ているのだ。

「S・トリガー発動——《信頼の玉 ララァ》——そして」
 
 人を想う覚悟に、革命の時は未来より訪れた。

「時を超える天王よ、私の天命の下へ! 更なる未来を掴むため、革命を起こしなさい!」

 それは時間も空間も、すべての節理を超えて奇跡を起こす。
 未来の天王にして、伝説の革命軍が再び、降り立つ——



「天高く舞い、歴史を変える奇跡となれ!!
《時の革命 ミラダンテ》!!」



 次の瞬間、ノアの場は全て凍り付いた。
 まるで、全ての時間が止まってしまったようだ。

「……へーえ、それが」
「いえ、これだけじゃありません。今まで私を支えてくれた全ての人、全てのカードが——私にとって大切な仲間、そして大切なモノです!!」
「ターンエンド」

 静かに宣言するノア。
 この時点で——彼女の時間は止まったも同然だった。
 《ミラダンテ》の能力により、《XANTHUS》も《ギャロウィン》もフリーズされてしまったのだ。
 更に——《ミラダンテ》の時計の針が12時丁度を差した。



「止まれ時間よ。変わりゆく世界を停止し、賛美の咆哮を上げなさい! 革命0、発動!」



 次の瞬間——全ては止まった。
 空間は一気に歪む。
 まるで、すべての時間が目の前の少女に支配されてしまったかのような錯覚を、ノアは受けた。

「これで、もうあなたはクリーチャーの召喚が出来ません。次のターンでの逆転は不可能」
「クリーチャーの召喚が——出来ない!? へーえ、面白いじゃない!!」
「これで最後です。私のターン——G・ゼロで自分の場にエンジェル・コマンド・ドラゴンがあれば、私はこの呪文をただで唱えることが出来ます! 呪文、《ミラクルストップ》!!」



ミラクルストップ R 光文明 (4)
呪文
G・ゼロ—バトルゾーンに自分のエンジェル・コマンド・ドラゴンはあれば、この呪文をコストを支払わずに唱えてもよい。
次の自分のターンのはじめまで、相手は呪文を唱えられない。




 これにより、ノアはクリーチャーの召喚も、呪文の詠唱もできなくなってしまったことになる。

「……なーるほど。何も出来ない、ってわけか」

 《ミラダンテ》と《ウルトラスター》で全てのシールドが割られていく中、ノアはホタルの顔を見据えた。

「——その心と力が、世界で、そして——その先へ通用するか——今から楽しみだよ」
「——《ユッパール》で——」

 彼女は拳を突き上げた。
 彼女の従える全てのクリーチャーが咆哮を上げた。



「ダイレクトアタック!!」



 ***




 空間は解けた。
 そこには——デュエルの前とは一転した表情のホタル、そして——相変わらず不遜な笑みを浮かべるノアの姿があった。
 慌ててヒナタ達が駆け寄る。
 妙な空間が開かれていたのだろう。

「お、おい、どうなってんだよ!? ノア!?」
「先輩、心配しないで下さいよう。ホタルには何の危害も加えてませんよ、っと。すこーし、茶目っ気でスリリングな空間で遊んだだけ、ですよね?」

 くるり、と身を翻すとノアは部屋のドアノブに手を掛けた。

「結局あんた、何だったの!? てかホタルちゃん、大丈夫!?」
「おい、ノア!! テメェ、ホタルに万一のことがあったらどうしてくれるつもりだったんだ!!」

 憤慨するのは、コトハとノゾムだ。
 それを窘めるように、ホタルが言った。

「わ、私は大丈夫ですよ!? 勝ちましたし——でも、ノアさん」
「んー?」

 ホタルは彼女の瞳を睨んだ。
 とても青く澄んだ目だ。気を抜けば引き込まれてしまうような——しかし、そこには何かが隠されている。

「……もう1度問います。貴方は、何を考えてるんですか? かつて、一番親しかったヒナタ先輩にも隠して——何を」
「流石に、今此処で言うわけにはいかないかなぁー」

 おどけた態度で彼女は言った。
 問い詰めるような表情の6人を前にして——尚も彼女は笑っていた。

「それよりも、そろそろそっちも急がなきゃ、手遅れになるんじゃないの?」
「……むっ」

 唸ったのはフジだ。
 すぐにタブレットを弄ると——そこには、武闘財閥の監視センターからのレーダー反応が映し出されていた。
 そして、急報が入る。

「光と闇の混ざった巨大な反応——だと!?」
「えっ!?」
「これは、穏やかではないな」

 駆け寄るレンとコトハ。
 確かに、この海戸の近くに巨大なそれが発生している。
 地点は——旧海戸水産工場だった。

「旧海戸水産工場——!? 何でここに——おい、ノア——」

 ヒナタが振り向くと——既にそこに、彼女はいなかった。

「……逃げられたか。あいつもそこに向かったと考えるべきか?」
「どっちにしたって——あ、そうだ! ハーシェルとアヴィオール——」



『只今戻ったぞ!!』
『遅れてすいませんねぇ』



 声がした。
 同時に、窓から2枚のカードが入ってくる。
 それは——ハーシェルとアヴィオールのものであった。

「おい貴様」
『申し訳ない、黒鳥レン』
「ハーシェル……」
『すまんかった、ホタル』

 沈んだ声でハーシェルは言った。
 見上げると——ホタルの目には、涙が浮かんでいる。

「ばかぁ!! どこに行ってたんですか!!」
『……ワシも、一度見つめ直しておったのじゃよ。弱い自分がな——だが、それはヌシに心配をかけた言い訳には、ならぬか』
「……私、貴方に見捨てられたかと思ったんですから!!」
『……すまぬ。ワシは——ヌシに相応しい騎士か、分からなくなったのだ』

 弱気な事を言うハーシェルに、ホタルは間髪入れずに叫んだ。

「——勘違いしないでください!! 私の騎士は、貴方しかいないんですからね!! こっちだって——いつも、無茶ばかり付き合わせてしまって——」
『……いや、それで良い』
「ハーシェル?」
『……ワシも、一度覚悟したからには——ヌシに最後までついていかねばな』
「良いんですか? こんな私でも——」

 こくり、とハーシェルが頷くと共に——フジが焦ったような表情で言った。

「おい、テメェら。急いだほうが良いぜ。こいつは——ちと、やばいかもしれん。これがドラドルインでも、そうじゃなくても、だ——!!」
「だけど、大丈夫なのか? ホタル。お前は——」
「これだけやられて、黙って逃げるなんてもう出来ません! うじうじしてる暇があったら、突撃あるのみです!」
「ねえ、何があったの、マジで」
『ま、色々あった借りは返さないとね!』

 あの空間の中で何があったのかはわからない。
 しかし、彼女の心境に光が差したのは確かだろう。

「でも、私だけでは無理だと思います。皆さんも、手伝ってくれますか?」

 くるり、と彼女は今まで支えてくれた仲間たちに向き直る。
 彼女が信じていた彼らならば——答えは1つだった。

「今更何水臭いこと言ってんのよ! あたし達も出来るだけサポートするわ」
『僕達も同じですにゃ!』
「まったく、世話を掛けさせる。まあ、本当に今更だがな。拒否権など、僕らには無い。貴様は僕の後輩だ。僕が責任もって面倒を見るのは当然、だろう?」
『ごたごたも解決しそうですし、丁度いいでしょう。やっぱり本音と本音で語り合うのが一番ですねえ』
「そうか。では主人の僕に何も言わなかった貴様は後で罰ゲームだ」
『え』
「決まったな!! じゃあ、早速行くとするか!!」
『やれやれ。さっさとやってしまおう。私達は、そのために此処にいるのだから』
『あのう? ボクの扱いは? ねえ?』

 全員の気持ちも一致している。
 
『ホタル。話は後だ。今はやるべきことがある』
「そうですね、ハーシェル。私はもう、迷いませんから!!」

 仲間に頼る後ろめたさは、もう彼女には無い。
 自分でいいのか、という迷いはもう彼には無い。
 柵のなくなった2人は今——自らが生み出したものとけじめをつけるべく、立ち向かおうとしていた。


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