二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
日時: 2017/01/16 20:03
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。

また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。


”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”



『星の英雄編』


 第一章:月下転生

Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25

 第二章:一角獣

Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48

 第三章:骸骨龍

Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73

 第四章:長靴を履いた猫

Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114

 第五章:英雄集結

Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204


『列島予選編』


 第六章:革命への道筋

Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦

Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261

Act8:次なる舞台へ
>>262


 第七章:世界への切符

Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352


『侵略世界編』


 第八章:束の間の日常

Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393


 第九章:侵略の一手

Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃 
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416


 第十章:剣と刃

Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444


短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。

短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65

短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103

短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126

短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156

短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176

短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422

エイプリルフール2016
>>299 >>300

謹賀新年2017
>>443


登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします

オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。

お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新

Re: デュエル・マスターズ D・ステラ ( No.172 )
日時: 2015/09/29 19:21
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

高坂さん

ああ、またまちがってる……修正しておきます。
後、アナ雪は関係ないです。このネタも完全にいまや過去のものになりつつあるので。

短編5:恋情パラレル ( No.173 )
日時: 2015/09/29 23:54
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

 ***


 コトハとミルのデュエル。先攻はコトハ。敵よりも先にマナブーストをし、一気に片付けなければ気がすまない。
 しかし。後攻1ターン目。早速、ミルは動き出したのだった。

「へへー、《愛恋妖精 ミルメル》召喚ーっ! ターンエンドだよ!」

 現れたのは、《ミルメル》本体であった。

「出てきたわね、早速……!! 慎重に、そして大胆に動かないと-----------!」
『そうですにゃ! 今回の僕は魔力不足で、ただのクリーチャーに過ぎないんですにゃ……』
「あんたに頼り切ることは出来ないわね」
『そして、《ミルメル》は各プレイヤーがターンの最初にカードを引いたとき、手札からマナゾーンにカードを任意で置かせるクリーチャーですにゃ』
「ならブーストはしないわ! どっち道この子を使うもの!」

 コトハのターン。まだ2ターン目とはいえ、やはり不気味なものを感じる。
 しかし、彼女は同時に、ある人物のことを思い出していた。
 ------------スノーフェアリー……あの子のことを思い出すわね。
 風のように飄々としており、自分と共に何度も戦ってくれたクリーチャー。
 元が敵だったから仕方ないのだが、自分の心を見透かしてからかったり、小悪魔的な態度でヒナタのかつての相棒であるドラポンを惑わせたりとかなり好き方題やっていた。
 それでもピンチな時は共に戦ってくれた大事な仲間だ。
 
「《幻緑の双月》を召喚!! 効果で、手札の《諸肌の桜吹雪》をマナゾーンに! ターン終了!」
「ふーん、マナより手札を選ぶんだぁ」

 クスクス、と笑うメル。
 そして、ターンの最初にカードを引き、そして手札の《コマンダー・テクノバスター》をマナに置くと、更にマナをチャージした。
 これで3マナだ。

「呪文、《アンラッキーダーツ》! 効果で数字を1つ選んだ後に、貴方の手札を1枚ランダムで捨てさせちゃうよ!」



アンラッキーダーツ R 闇文明 (3)
呪文
数をひとつ選んで言う。その後、相手の手札を1枚見ないで選び、捨てさせる。そのカードのコストが、選んだ数と同じであれば、カードを1枚引く。



 ブイン、と無機質な音を立てて、黒いダーツが彼女の手元に現れる。
 そして、ミルはそれを投げると同時に呟くように言った。



「-----------5」



 ぷすり、と消えるような音がコトハの手札から聞こえた。その中の1枚にダーツが突き刺さっていた。
 そして、ダーツの刺さった1枚が墓地へ落とされる。
 
「嘘、でしょ------------!?」

 彼女は驚愕した。
 墓地に落とされたのは、コスト5の《フェアリー・ホール》であった。
 彼女が宣言した数字と同じコストのカードだったのだ。

「あはは、狙い通りー? 貴方が何使おうとしてたかは、昨日、あんたがグラサンのやつと仲良くデュエルしてたときにばっちり分かってたものね。そう、貴方のデッキ。絶対、《フェアリー・ホール》が入ってるんだよ。お気に入りなのかな? あ、数字と落とした手札のコストが同じだから、《アンラッキーダーツ》の効果で1枚ドローね」
「----------っ!!」
「ターン終了! もっと凄いのを見せてあげるよ」

 ミルは無邪気な笑みを浮かべた。その顔が癪に障る。記憶の中の彼女に引っかかって。
 ----------ムカつく-----------!! 何であんた達スノーフェアリーは、どいつもこいつもムカつくやつばっかりなのよ!!

「あたしのターン!」
『コトハ様! ここは手札の確保を!』
「言われなくても分かってる! 手札は数じゃない、質よ! 呪文、《トレジャー・マップ》で山札から5枚を見るわ!」

 展開される山札。その中から、勝利へのマスターピースを確実に掴み取るため、彼女は1枚のカードを手に取った。

「《次元流の豪力》を手札に! ターン終了よ!」

 とはいえ、手札がさっき捨てられたのはかなりきつい。しかも、相手は1枚手札を増やしている。
 ジリ貧になるのは目に見えていた。

「ふーん? じゃあ、こっちからもそろそろ仕掛けちゃおっかなー?」

 笑った彼女は呟いた。

「ねえ? あたし達スノーフェアリーは、”神”に通じた種族なんだよ?」

 そんなこと、コトハは知っていた。スノーフェアリーはオラクルの配下の種族だったからだ。しかし、その敵対勢力のアウトレイジからも必要とされており、結果的にアウトレイジに寝返ることになったのだ。
 ヨミが倒れた今、彼女達が神に通じた種族だというのは完全に過去の話。今やオラクルの残党は完全にアウトレイジと結託を結んでいたのである。
 そう思っていた。

「あたし達の上司はね? 神様を直接呼び出すことができるクリーチャーなんだよ?」
「直接呼び出す-----------」

 イザナイ。その言葉が蘇る。
 神を直接光臨させる、オラクルの上位階級の1つ。そして何より、コトハのかつての相棒もその階級に位置していたのだ。

「でもね。あたし達の召喚術はそれよりももっと強力。悪魔神だって、そして”旧世界の神”だって呼び出すことができるんだよ?」
「呼び出すならもっとロクなものがあるでしょうが」
「えー? 悪魔神呼び出したら皆一瞬で楽になれて幸せになれるじゃん!」
「本当ロクでもないわね、あんたら!!」
『皆一瞬で死ねるの間違いですにゃ……』

 ごもっともです。

「こないだ、その上司が疲れた顔してたから、驚かせようと思って《ドルバロム》を呼び出したの。そしたら、頭が魔方陣から出てきた辺りで止められて、召喚は失敗! その後、めっちゃ怒られて吊し上げられてお尻ペンペンされたんだよ! ひっどいよねー!」
「酷いのはあんたの思考よ」
「ふーん? 何なら呪いをもっと強力にして、速攻であのグラサンを襲うようにしてあげても良かったんだよ? 勿論アレな意味で」
「滅す」
「あーあ、怖い怖い」

 おどけたような表情を崩さないミルは、5枚のカードをタップする。自分の能力で置いたマナ、そして通常のマナチャージでマナの枚数は5枚に達していた。
 しかし。問題はその呼び出されるクリーチャーだった。
 前にも感じたことがあるこの感覚。
 いや、それよりももっと尊大で強大な存在の覇気。
 このスノーフェアリー、やはり只者ではない!
 

「この世の摂理を全部、ぶっ壊しちゃえ! おでましだよっ、あたしの神様! 《外道神 カイカイ》!!」

短編5:恋情パラレル ( No.174 )
日時: 2015/09/30 23:41
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

 現れたのは、デフォルメされた悪魔のようなクリーチャーだった。
 はっきり言って、神と呼ぶには余りにもお粗末な容姿ではあるが、やはり神というだけあって、かなり巨大だ。
 しかも、荒ぶる支配のオーラを放ち、全てを掌握せんとしていた。

「《カイカイ》は相手が呪文を唱えるたびに1枚引けるんだよ? すっごいでしょ!」
「成る程ね……!! なかなか厄介ではあるわ!! でも、こっちだってやられてばっかりじゃないんだから!!」

 あたしのターン、とコトハはカードを引いた。
 そして、5枚のマナをタップし、クリーチャーを呼び出す。

「《次元流の豪力》召喚! 効果で、《勝利のリュウセイ・カイザー》をバトルゾーンに!」



次元流の豪力(ジオ・バリバリ・ミランダ) C 自然文明 (5)
クリーチャー:ビーストフォーク/エイリアン 2000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、コスト6以下の光、火、自然いずれかのサイキック・クリーチャーを1体、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。
※殿堂入り



勝利のリュウセイ・カイザー  ≡V≡  水/闇/火文明 (6)
サイキック・クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター 6000
相手は、自身のマナゾーンにカードを置く時、タップして置く。
W・ブレイカー



「これで、あんたはマナゾーンにカードを置くとき、タップして置かなければいけなくなった。次のターンはどうあがいても5マナよ!」
「ふーん。まあ良いや」

 それでも彼女は尚、余裕を隠さない。
 何故ならば。


「あたしには、もう1柱の神が手札にいるんだよ-----------!!」


 ミルのターン。まず、彼女は通例どおり自身の効果でマナゾーンに手札からカードを置いて、更にマナをチャージした。
 そして、使える5枚のマナをタップし、宣言どおり更なる神を彼女は呼び出した。

「そ、そんな!? もう、揃うって言うの!?」
「おでましだよ! 出てきて、あたしの切札------------」

 激流と共に、支配者のオーラを纏ったもう1柱が現れる。

「《邪道神 キキ》召喚! これで神は揃った!」



邪道神キキ R 水文明 (5)
クリーチャー:ゴッド 3000+
ブロッカー
このクリーチャーがブロックする時、カードを1枚引いてもよい。
G・リンク《外道神カイカイ》の左横
このクリーチャーは、リンクしている時、「W・ブレイカー」を得る。



 顕現するは、魚人のような体を持つ神だった。
 そして同時に、にゅるにゅると音を立てて2つの神の触手が絡み合い、1つになる。


「神の力は真実か偽りか-------------今このあたしに証明せよ! ゴッド・リンク!」



邪道神キキ/外道神カイカイ 水/闇文明 (5+5)
クリーチャー:ゴッド 7000
ブロッカー
このクリーチャーがブロックする時、カードを1枚引いてもよい。
相手が呪文を唱えた時、カードを1枚引いてもよい。
自分がカードを引いた時、引いた枚数と同じ数の手札を相手は選んで捨てる。
W・ブレイカー



「ま、まずい---------!!」
「この子の効果は、あたしがカードを引くときに相手は同じ数の手札を捨てるというもの! もう、貴方は自由に動けない! しかも、あたしは次のターンに7マナ使えるんだから、貴方が不利なのは変わらないよー?」

 ターン終了、と楽しげに言うミル。しかし、こちらからすれば呪文を唱えるたびに、またはブロックされるたびに手札を削られるのだからたまったものではない。

「あたしのターン」

 頼む。来て。
 自分の気持ちを弄んだこのクリーチャー、許してはおけない!
 カードを引くコトハ。もう、やられるばかりなのは嫌だった。

「ねえ?」

 顔を上げた。ミルが声を掛けたのだ。

「貴方、やっぱり元からあのグラサンが好きなんじゃないの?」
「ばっ!! 何を言って------------」
「あははー! 隠さなくたって良いんだよ? あたしの能力で、恋心なんて全部お見通しなんだから!」

 -----------違う。
 彼女は否定した。
 -----------ヒナタは、そんなんじゃない。
 何度も助けられた。だが、それはあくまでも仲間として、だ。
 -----------ヒナタは、あたしの仲間だから-----------!!
 それに。

「あたしにはまだ分からない……あたしの中の気持ちが、恋なのか、それとも違うのか」
「ふーん? まだしらばっくれて-----------」
「それでも!!」

 強く、強く、叫んだ。

「あたしは、この気持ちを誰の邪魔も受けずに自分の力で育てていきたい!! その結末が何なのか、あたし自身の手で切り開きたい!! あんたに、あたしの気持ちを勝手に決め付ける権利なんか無いんだから!!」
『そうですにゃ! コトハ様の感情に干渉する権利は、お前には無いのですにゃ!』
「だから何だって言うの? あんたにとってのあの少年は!! 一体何だって言うの!!」

 既に、そんな問いの答えは出ていた。


「仲間よ!! こんなあたしも受け入れてくれた、大切な仲間!! この気持ちが何だろうが、それだけは揺るがないんだから!!」


 叫んだ彼女は6枚のマナをタップする。そして、1枚のカードを繰り出した。

「《龍覇 サソリス》召喚! そして、《邪帝斧 ボアロアックス》を装備!!」



邪帝斧(イビルトマホーク) ボアロアックス P 自然文明 (4)
ドラグハート・ウエポン
このウエポンをバトルゾーンに出した時またはこれを装備したクリーチャーが攻撃する時、自然のコスト5以下のクリーチャーを1体、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出してもよい。
龍解:自分のターンの終わりに、バトルゾーンにある自分のクリーチャーのコストの合計が20以上であれば、このドラグハートをフォートレス側に裏返してもよい。



「効果で、マナゾーンから《爪英雄 長靴のニャンクス》をバトルゾーンに!」

短編5:恋情パラレル ( No.175 )
日時: 2015/09/30 23:38
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

「今の僕はコスト4! 《ボアロアックス》の効果適用範囲内ですにゃ!」

 魔力不足で武装が使えなくなったとはいえ、戦えない訳ではない。
 さらにそれだけではなく。コトハのマナゾーンのカードが光った。
 
「そして、《ニャンクス》のマナ武装5で、あたしのクリーチャーは呪文によって選ばれないわ!」
「小細工ばっかり使って……!」
「そして、ターンの終わりにあたしのクリーチャー全員の合計コストが20以上なら! 《ボアロアックス》は龍解するわ!」

 コスト6の《サソリス》、コスト4の《ニャンクス》、コスト5の《次元流の豪力》、コスト6の《リュウセイ》、コスト2の《幻緑の双月》でコストの合計は23と、20を超えていた。
 《サソリス》の手から、《ボアロアックス》が離れた。そして、それが巨大な遺跡へと変貌する。

「《邪帝遺跡 ボアロパゴス》、2D龍解完了! ターン終了よ!」
「それがどうしたって言うの? あんたの手札はもう無い! しかも、その程度のクリーチャーは簡単に止められる! まずはあたしの効果で1枚マナチャージ! そしてもう1回チャージ!
「クロスギア、《ノーブル・エンフォーサー》をジェネレート!」



ノーブル・エンフォーサー R 水文明 (4)
クロスギア
これをクロスしたクリーチャーは、パワー2000以下のクリーチャーに攻撃またはブロックされない。
このカードがどのクリーチャーにもクロスされていない時、パワー2000以下のクリーチャーは攻撃もブロックもできない。



 弱者を止める鎧、《ノーブル・エンフォーサー》。これにより、パワー2000以下のクリーチャーは完全に止められてしまった。
 そして、と彼女は続けた。

「コスト3で、ブロッカーの《暗黒鎧 ギラン》召喚! ターンエンドだよ!」
「あたしのターン。そのまま、終了よ」

 -----------まずい、殴りたいけど打点が足りない! 返り討ちにされる!

「それじゃあ、行くよ!」

 現在、使えるマナは9枚。そして。
 完全に守りの要となりえるクリーチャーが現れた。

「《真実の名 リアーナ・グローリー》召喚! これで守りは完璧だよ! 《キキ&カイカイ》でシールドをW・ブレイク!」

 勝てる。このまま、ブロッカーで固めていけば。手札的にも、もう彼女は強力なクリーチャーを出せないはずだ。仮に出したとして、それはスピードアタッカーであるはずはないので、じわじわと削り、倒せる。ミルの手札には、もう1組の《キキ&カイカイ》がいる。次のターンで10枚を超えるマナで、一気に出せるのだ。
 しかし。

「S・バック発動!」

 彼女の意思が勝利を引き寄せたのか。

「《有毒類罠顎目 ドクゲーター》を捨てて、《天真妖精 オチャッピィ》を出すわ! 効果で、墓地の《フェアリー・ホール》をマナに!」
「で、でも!! そんなんじゃ、何も解決していないじゃない!」
「甘いのですにゃ!」
「《ボアロパゴス》の効果発動! 手札から自然のクリーチャーを出したから、そのまま自然のコスト5以下のクリーチャーをマナゾーンからバトルゾーンに出すわ! マナから《ジラホン軍曹》をバトルゾーンに!」



邪帝遺跡 ボアロパゴス P 自然文明 (7)
ドラグハート・フォートレス
クリーチャーを自分の手札から召喚した時、自然のコスト5以下のクリーチャーを1体、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出してもよい。
龍解:自分のターンのはじめに、バトルゾーンにある自分のクリーチャーのコストの合計が30以上であれば、このドラグハートをクリーチャー側に裏返し、アンタップしてもよい。



「そ、そんな……! ターンエンドよ……!」

 まさか、クリーチャーが2体も現れるとは思わなかった。完全なる誤算である。しかし、何よりも勝負を焦ったのもあるのだが。
 さらに、コトハの中では既に解答は出ていた。

「あたしのターンの始めに、場のクリーチャーの合計コストが30以上なら、《ボアロパゴス》を3D龍解させるわ!」

 野望に満ち溢れる大地が、今はコトハに同調し、大いなる龍を呼び起こす。
 邪帝の力を持つ、雄々しく、猛々しく、そして全てを生み出す龍が。



「轟け、古代の大いなる系譜よ! 今こそ、その欲望と野心と力を、このあたしに見せ付けなさい! 
《我臥牙 ヴェロキボアロス》、3D龍解完了!!」



我臥牙(ガガガ) ヴェロキボアロス P 自然文明 (10)
ドラグハート・クリーチャー:ジュラシック・コマンド・ドラゴン 15000
自分の手札からクリーチャーを召喚した時またはこのクリーチャーが攻撃する時、自然のクリーチャーを1体、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出してもよい。
T・ブレイカー



 現れたのは、巨大な斧を携え、何本もの立派な角を生やし、まさに力の象徴とも言える邪帝龍だった。
 
「ドラゴンの時代はドラゴンが支配する! あいにく、旧世界の神様に用は無いわ!」
「無駄よ! あたしのバトルゾーンにはブロッカーが2体いるわ!」
「そうね。だけど、こいつならどうかしら? まずは《ヴェロキボアロス》で攻撃!!」

 ぶん、と巨大な斧を一振りすると同時に大地が抉れた。そこから、更に新たな命が生み出される。

「進化、《幻緑の双月》を《ベル・ザ・エレメンタル》に!」
「で、でも《ギラン》で《ヴェロキボアロス》をブロック! 《リアーナ》の効果で、サイキックがいるからバトルに勝つわ!」
「無駄ですにゃ! 《ジラホン軍曹》のマナ武装3で、自然クリーチャーはそれよりパワーの低いクリーチャーにブロックされないのですにゃ!」



ジラホン軍曹 C 自然文明 (4)
クリーチャー:ゲリラ・コマンド 4000
ガードマン
マナ武装3-自分のマナゾーンに自然のカードが3枚以上あれば、自分の自然のクリーチャーはそれよりパワーが小さいクリーチャーにブロックされない。



 《リアーナ・グローリー》も《ホネンビー》も全く意味を成さない。もう、誰も攻撃を止められない。
 一気にシールドが3枚、叩き割られた。もう、ミルの顔に余裕はなかった。

「し、S・トリガー発動!! 《デーモン・ハンド》で《リュウセイ》を破壊---------!!」
「無駄ですにゃ! 僕のマナ武装5で、僕のクリーチャーは呪文で選ばれないのですにゃ!」
「く、ぐぐぐ……!!」
「今度は《リュウセイ》で攻撃よ」
「《リアーナ》でブロック!! 通さないわ……!!」
「でも。もう、あんたの場のブロッカーは、《ギラン》しかいないわよね?」
「あ……!」

 一瞬で、《ベル・ザ・エレメンタル》が残りのシールドを吹き飛ばした。
 放心状態のミルには、最早成す術もなかった。



「乙女を怒らせたら怖いのよ!!」
「コトハ様を傷つけた罪、万死に値するにゃ!!」
「《ニャンクス》でダイレクトアタック!!」



 -----------何なのこいつら-----------!!
 薄れる意識の中で。
 人間の感情の未知の領域を、ミルは思い知った------------ 

短編5:恋情パラレル ( No.176 )
日時: 2015/09/30 23:39
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

 ***


 ばたんきゅ〜、と目を回しているミルとメル。どうやら、完全に伸びてしまっているようだった。
 ニャンクスの製薬能力は回復し、今は強化した腕で2体を押えつけていた。
 
「ねえヒナタ、こいつらどうする?」
「フジ先輩を経由して超獣界に送り返して貰おう」
「まあ、これに懲りれば良いがな」

 全く人騒がせなクリーチャーだ、と常々彼らは思った。

「ねえヒナタ」
「あ?」

 ようやく、まともに彼と顔を合わせられるようになった。

「怒ってる? あたしのこと」
「はあ?」
「あたしを……今日のことで馬鹿にしたりしない? 軽蔑したり-----------」
「するわけねーだろ、アホか」

 至極当然とでも言いたげな表情で、彼は言った。彼女に背を向けながらぶっきらぼうに。

「おめーはやっぱ、ツンツンしてるくらいが丁度良いっての。あれは悪い夢だと思って忘れることにするさ」
「……そう」
「んじゃ、もうとっとと行こうぜ」
「そうだな。HRが始まる。その前に武闘先輩のところに行くか」
「そうね」
『お供しますにゃ! 皆様!』

 -----------ま、これしきで俺らは何にも変わらねーよな。
 着いてくるレンとコトハを見ながら、ヒナタは息をこぼした。
 -----------……言えねーよ。
 しかし、コトハの顔に目を合わせようとして逸らしてしまった。
 -----------お前の中に、あいつの表情を見た、だなんてな-----------
まだ、分からないことは沢山ある。しかし。この3人でいれば、ゆっくりでも何時かは解決できる。
 ヒナタは今日もまた、いつも通りの1日を送ろうとしていた---------
 -----------でも、あんときのコトハ、少し可愛かった……って何血迷ってんだ俺は。



 ***


「……」
「コトハ様。まだ気にしているのですかにゃ?」

 夜。如月宅。机に突っ伏したまま、コトハは何も言わなかった。

「そーいうわけじゃないんだけど……」
「じゃあ、どういうわけなんですにゃ?」
「いや、別に……」


 -----------馬鹿言ってんじゃねえ、お前のことが嫌いだったら助けてねーよ------------



「……ねえ、ヒナタはあたしのこと好きなのかな?」
「……へ?」
「……ああああああ!! あたしの馬鹿!!」

 言って彼女は自分で後悔した。
 絶対に今日の自分はおかしい、と。

「まだ呪いにかかってるよ……」
「いや、それはないですにゃ」
「意地悪! 意地悪! 意地悪!」
「……こないだだって、ヒナタ様から遊びの誘いを受けて喜び、レン様が一緒と知って落胆していたのに、もう今更何を。今回の件でこのニャンクス、貴方が前々から----------」
「違う! あたしは! 断じて!」
「自分の気持ちに素直にならないと、いつか後悔しますにゃ、コトハ様」
「だーかーらー!! 違うんだってばーっ!!」

 この主人に素直になれと今すぐ言っても仕方がないか、とニャンクスが思う中。
 コトハは顔を真っ赤にしながら、想い続けていた。
 -----------でも、あのときのヒナタ、少しかっこよかったかも------------
何であれ、彼女がヒナタに前から抱いていた気持ちが一目惚れの呪いによるものではないことは確かであるが------------



 ***



 その頃。超獣界、無法×神格同盟の領地内の森にて。

「あぐぐぐ……酷い目に遭った……」
「ミルの所為。アイス奢って」
「そ、そんなぁ……ゲホッ」

 生きも絶え絶えに、2人はようやく自分達の住処に帰ってきたのである。
 しかし。



「ねぇ、あんた達」



 声が聞こえた。
 振り返れば、そこには自分よりも背丈こそ低いが恐ろしい魔力を纏ったスノーフェアリーの少女の姿があった。
 高い魔法使いの帽子に箒、といかにもな格好である。
 しかし問題は、髪で隠れた目から相当な威圧感が感じられたことか。

「あ、ああ、ああ……オーロラ様ぁ……」
「心配したのよー? 勝手に人間界になんか行っちゃってさぁ……」
「あばばばば……ミル……」
「あわわわわ……メル……」
「しかも」

 オーロラ、と呼ばれたスノーフェアリーは、箒で地面を突いた。ヒビが入り、そこから蔓が伸びていく。



「あたしの相棒に迷惑掛けて、いよいよ死ぬ気なのかなー? あんた達は……!!」



 え、と変な声が彼女達の喉の奥から出てくる。
 まさか。
 オーロラが相棒というのは、まさかあの少女のことではないか。
 自分達が呪いをかけた、あの-------------

「マキシマム・ザ・マックスから全部聞いたんだよねー? あんた達色々やらかしてくれたみたいだし」
「あ、あはははは……」
「何? あたしに怒られたのを逆恨みして出て行ったんだ。でも、それって逆ギレって言うんじゃないのかなぁぁぁー?」
「あ、あたしはミルに唆されただけ……」
「ああーっ! メル卑怯だよ!」

 が、しかし。現実は非情である。蔓が2人の体に巻き付く。
 そして、一気に締め上げた--------------



「ちったぁ反省しなさい、このガキンチョがぁぁぁーっ!!!!!!!!!」



『ぎゃあああああ、すいませんでしたぁぁぁぁぁーっ!!』



 結論。一番怖いのは、旧世界の神でも悪魔神でも何でも無く。
 目の前のこの上司であることは言うまでもあるまい。
 ----------ま、突然飛び出してきちゃった、っていうのはあたしも人のこと言えないんだけどね。
 はぁ、とオーロラは溜息をついた。
 ----------どの道、あの子には誰か他のクリーチャーがついてくれるみたいだし、大丈夫でしょ。
 そういえば、と彼女は思い出したように言った。

「コトハったら、結局ヒナタと全然進展無かったのね……」

 そう、語散りながら、彼女はその場を後にした。
 思いっきりシメ上げた2人をよそに。
 

「ま、あの子なら何とでもなるよね。だってこのあたし、オーロラが認めた人間だもの!」



 ***


 
 ほぼ同時刻。暁宅。庭にて。

「-----------あのさぁ……あたし達完全に忘れられてない? 白陽……」
「く、くそ……毒針で体が……」


 完全に忘れられたクリーチャーが約2名いたことは言うまでもなかった。
 

※余談:白陽とクレセントはこの後ちゃんと助かりました。後、ミルとメルは二度と悪戯なんかしないと誓ったんだそうな。

                        短編5(完)


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