二次創作小説(紙ほか)
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- デュエル・マスターズ D・ステラ 【侵略世界編】
- 日時: 2017/01/16 20:03
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
【読者の皆様へ】
はい、どうも。二次版でお馴染み(?)となっているタクと申します。今回の小説は前作の”デュエル・マスターズ0・メモリー”の続編となっております。恐らく、こちらから読んだ方がより分かりやすいと思いますが、過去の文というだけあって拙いです。今も十分拙いですが。
今作は、前作とは違ってオリカを更にメインに見据えたストーリーとなっています。ストーリーも相も変わらず行き当たりばったりになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。
また、最近デュエマvaultというサイトに出没します。Likaonというハンドルネームで活動しているので、作者と対戦をしたい方はお気軽にどうぞ。
”新たなるデュエル、駆け抜けろ新時代! そして、超古代の系譜が目覚めるとき、デュエマは新たな次元へ!”
『星の英雄編』
第一章:月下転生
Act0:プロローグとモノローグ
>>01
Act1:月と太陽
>>04 >>05 >>06
Act2:対価と取引
>>07
Act3:焦燥と制限時間
>>08 >>10
Act4:月英雄と尾英雄
>>13
Act5:決闘と駆け引き
>>14 >>15 >>18
Act6:九尾と憎悪
>>19 >>21
Act7:暁の光と幻の炎
>>22 >>23
Act8:九尾と玉兎
>>25
第二章:一角獣
Act1:デュエルは芸術か?
>>27 >>28 >>29
Act2:狩猟者は皮肉か?
>>30 >>31 >>32 >>33
Act3:龍は何度連鎖するか?
>>36 >>37
Act4:一角獣は女好きか?
>>38 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45
Act5:龍は死して尚生き続けるか?
>>48
第三章:骸骨龍
Act1:接触・アヴィオール
>>49 >>50 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55
Act2:追憶・白陽/療養・クレセント
>>56 >>57
Act3:疾走・トラックチェイス
>>66
Act4:怨炎・アヴィオール
>>67 >>68
Act5:武装・星の力
>>69 >>70
Act6:接近・次なる影
>>73
第四章:長靴を履いた猫
Act1:記憶×触発
>>74 >>75 >>76 >>77
Act2:龍素力学×龍脈術=3D龍解
>>78 >>79 >>80
Act3:捨て猫×少女=飼い猫?
>>81 >>82
Act4:リターン・オブ・サバイバー
>>85 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
Act5:格の差
>>91 >>92 >>93 >>104
Act6:二つの解
>>107 >>108 >>109 >>110
Act7:大地を潤す者=大地を荒らす者
>>111 >>112 >>113
Act8:結末=QED
>>114
第五章:英雄集結
Act1:星の下で
>>117 >>118 >>119
Act2:レンの傷跡
>>127 >>128 >>129
Act3:警戒
>>130 >>131 >>132
Act4:策略
>>134 >>135
Act5:強襲
>>136
Act6:破滅の戦略
>>137 >>138 >>143
Act7:不死鳥の秘技
>>144 >>145 >>146
Act8:痛み分け、そして反撃へ
>>147
Act9:fire fly
>>177 >>178 >>179 >>180 >>181
Act10:決戦へ
>>182 >>184 >>185 >>187
Act11:暁の太陽に勝利を望む
>>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195
Act12:真相
>>196 >>198
Act13:武装・地獄の黒龍
>>200 >>201 >>202 >>203
Act14:近づく星
>>204
『列島予選編』
第六章:革命への道筋
Act0:侵攻する略奪者
>>207
Act1:鎧龍サマートーナメント
>>208 >>209
Act2:開幕
>>215 >>217 >>218
Act3:特訓
>>219 >>220 >>221
Act4:休息
>>222 >>223
Act5:対決・一角獣対玉兎
>>224 >>226
Act6:最後の夜
>>228 >>229
Act7:鎧龍頂上決戦
Part1:無法の盾刃
>>230 >>231 >>232 >>233 >>234 >>235 >>236 >>239
Part2:ダイチの支配者、再び
>>240 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>247 >>248 >>250
Part3:燃える革命
>>252 >>253 >>254 >>255 >>256
Part4:轟く侵略
>>257 >>258 >>259 >>260 >>261
Act8:次なる舞台へ
>>262
第七章:世界への切符
Act1:紡ぐ言の葉
>>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>270
Act2:暁ヒナタという少年
>>272 >>273
Act3:ヒナとナナ
>>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281
Act4:誓いのサングラス
>>282 >>283 >>284 >>285
Act5:天王/魔王VS超戦/地獄
>>286 >>287 >>295 >>296 >>297 >>298 >>301 >>302 >>303 >>304 >>305
Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝
>>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>323
Act7:青天霹靂
>>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331
Act8:揺らぐ言の葉
>>332 >>333 >>334 >>335 >>336
Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神
>>337 >>338 >>339 >>340 >>341 >>342 >>343
Act10:伝える言の葉
>>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351
Act11:連鎖反応
>>352
『侵略世界編』
第八章:束の間の日常
Act1:揺らめく影
>>353 >>354 >>359 >>360 >>361 >>362
Act2:疑惑
>>363 >>364
Act3:ニューヨークからの来訪者
>>367 >>368 >>369 >>370 >>371
Act4:躙られた思い
>>374 >>375 >>376 >>377
Act5:貴方の為に
>>378 >>379 >>380 >>381 >>384 >>386
Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜
>>387 >>388 >>389
Act7:武装・天命の騎士
>>390 >>391
Act8:冥獣の思惑
>>392
Act9:終演、そして——
>>393
第九章:侵略の一手
Act0:開幕、D・ステラ
>>396
Act1:ウィザード
>>397 >>398
Act2:ギャンブル・パーティー
>>399 >>400 >>401
Act3:再燃
>>402 >>403 >>404
Act4:奇天烈の侵略者
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>411
Act5:確率の支配者
>>412 >>413
Act6:不滅の銀河
>>414 >>415
Act7:開始地点
>>416
第十章:剣と刃
Act1:漆黒近衛隊(エボニーロイヤル)
>>423 >>424
Act2:シャノン
>>425 >>426
Act3:賢王の邪悪龍
>>427 >>428 >>429
Act4:増殖
>>430 >>431 >>435 >>436 >>438 >>439 >>440 >>441 >>442
Act5:封じられし栄冠
>>444
短編:本編のシリアスさに疲れたらこちらで口直し。ギャグ中心なので存分に笑ってくださいませ。
また、時系列を明記したので、これらの章を読んでから閲覧することをお勧めします。
短編1:そして伝説へ……行けるの、これ
時系列:第一章の後
>>62 >>63 >>64 >>65
短編2:てめーが不幸なのは義務であって
時系列:第三章の後
>>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103
短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル)
時系列:第四章の後
>>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126
短編4:十六夜ノゾムの災厄な一日
時系列:第四章の後
>>149 >>150 >>153 >>154 >>155 >>156
短編5:恋情パラレル
時系列:第四章の後
>>157 >>158 >>159 >>160 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>173 >>174 >>175 >>176
短編6:Re・探偵パラレル
時系列:平行世界
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422
エイプリルフール2016
>>299 >>300
謹賀新年2017
>>443
登場人物
>>9
※ネタバレ注意。更新されている回を全部読んでからみることをお勧めします
オリジナルカード紹介
(1)>>96 (2)>>271
※ネタバレ注意につき、各章を読み終わってから閲覧することをお勧めします。
お知らせ
16/8/28:オリカ紹介2更新
- Act7:鎧龍頂上決戦 ( No.247 )
- 日時: 2016/03/21 00:02
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: AfTzDSaa)
***
「白陽の星芒武装は極めて絶望的だ。それは、お前と白陽の力が一致していねえからだ」
——一週間前、武闘ビル。部屋の一角。
「な、それじゃあ——俺と白陽じゃ、このままじゃ足手まといに——」
「アホか。まだ諦めるのは速い。D・ステラはまだ良いとして、問題は確実にドラゴンを使ってくる邪悪龍の使い手達だ。既にクリーガーが奴らの一味と交戦しているが、いずれも奴らはドラグハートとドラゴンを使ってきたという」
敵はドラゴン。
そうなれば、白陽のドラゴンを封じる力は非常に頼れるし大きな抑止力になるだろう。星芒武装の力を身に付ければ、それも強化されるだろう。
しかし、今の一クリーチャーのままでは、どうしても限界が出てくる。アンカのような強敵に打ち勝つには、武装の力が必要なのだ。
「まあ、どうすれば良いのかは俺様にも分からん。だが、1つだけ言えるのは、とにかくテメェが火に近づくことだ。他の奴とは逆のことをやって貰う」
「そ、そんな無責任な」
「ともかく、これは侵略だけじゃなくて邪悪龍相手にも使えるはずだ」
フジは1枚のカードをヒナタに見せる。
LEGENDと黄金の文字が刻まれたカードだった。
「お前の特訓は——革命を使いこなせるようになることだ。それも、他の奴より一足速くな」
***
「俺のターン——!」
ヒナタのマナゾーンのカードは4枚。さっき減らされたからだ。
幸い、手札の方はまだ希望が持てる。しかし——問題は相手の場数だった。このままでは押し切られてお終いだ。
——ここは一先ず、耐え切るしかねぇ——!
「呪文、《メテオ・チャージャー》! チャージャーでマナを加速させて、残りの2マナで《ラブ・ドラッチ》召喚! ターンエンドだ!」
「へえ。まだやる気なのか。それじゃあ、そろそろ決めさせてもらうよ!」
ヒナタの手札には《ドラッケン》がある。得体の知れないクリーチャーである以上、これ以上悠長にはしていられなかった。
ヒナタを此処で倒すため、8枚のマナをタップする。
「《竜星バルガライザー》召喚。こいつはスピードアタッカーのW・ブレイカー、そして——山札からドラゴンを呼ぶクリーチャーだ!」
「っ……やっべえ……!!」
刀と鎧に身を包んだ《バルガライザー》は、そのままヒナタの2枚のシールドへ刀を振り払う。
同時に山札の一番上から更なる龍がその姿を現した。
「《偽りの王 カンタービレ》をバトルゾーンに!」
「っ……やべえ!」
「そして! 《ラ・ローゼ・ブルエ》の効果で僕の山札の上から1枚をシールドゾーンに! さあ、2枚のシールドを切り裂け! W・ブレイクだ!」
砕け散った。
2枚のシールドがヒナタの手札に渡るも、そこにS・トリガーは無い。
さらに続けて、鎧の王龍が咆哮を挙げて杖から稲光を放った。
「《ヴィルヘルム》で攻撃! T・ブレイクだ! 《ラ・ローゼ・ブルエ》の効果でシールドも1枚追加させて貰うよ!」
これにより、ジェイコフのシールドは5枚になった。
対するヒナタのシールドは——0枚。
最早、彼を守るものは無い——と思われた。
「S・トリガー、発動! 《メガ・ブレード・ドラゴン》を召喚し、《ラ・ローゼ・ブルエ》を破壊する!」
メガ・ブレード・ドラゴン R 火文明 (8)
クリーチャー:メガ・コマンド・ドラゴン/革命軍 4000
S・トリガー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手の「ブロッカー」を持つクリーチャーをすべて破壊する。
「はっ! もう1体残っているんだよ! これで終わりだ!」
大地を震わし、天を裂くような咆哮を上げて進軍する《ハチャトゥリアン》。
そのまま、剥き身のヒナタへと食らいついた——
——これで終わりだ——!
ジェイコフはホログラムの切れ間からヒナタの顔を見る——此処で、違和感に気付いた。
——笑っている——!? ナゼだ!?
そして、その答えに気付く前に彼は叫んだ。
革命を。
「革命0トリガー、発動ッ!! 《革命の鉄拳》だッ!!」
その叫びと共に、《ハチャトゥリアン》の頭上に遥かに巨大な鉄槌が現れる——!
「な、何だ、その呪文は——!! どこから唱えた!! 一体、どうやって!?」
「革命0トリガーは、自分のシールドが0枚の時、相手が自分を攻撃したら手札からタダで発動できる呪文だ!」
これが、革命の正体であった。
自分のシールドがある枚数以下の時、効果を発動する新たな逆転の手段だったのだ。
「効果により、山札の上から4枚を見せるぜ!」
「くっ、いったい何を考えているんだ!? この期に及んで——!!」
山札から捲られたのは《メガ・マナロック・ドラゴン》、《天守閣 龍王武陣》、《コッコ・ルピア》、そして——《革命龍ジゴン》だ。
「よし来た! パワー13000の《ジゴン》を選択し、そのパワー以下の《ハチャトゥリアン》を破壊するぜ!」
「や、やるじゃないか……!!」
決められなかった。
しかし、ヒナタの方もヒナタの方で、なかなかに分の悪い賭けをしていたみたいだった。決まって安堵しているのが見て取れる。
「もっとも、俺は焦ってるように見せかけて、《アサルト》でトリガーが入ってるかどうかも把握してたから、こうなることは分かってたけどな! まー、それ以上は流石に運だったけどな」
「だけど、僕のシールドは6枚もある……! どうするつもりだい!」
「どうもこうもしねえよ、革命を起こす、それだけの話だ!」
”革命を起こす”。
そう言った彼は、6枚のマナを全てタップする。
最早、これが最後の頼みの綱だ。
「進化だ! 《ラブ・ドラッチ》!」
ゴーグルを掛けた火の鳥が炎に包まれる。
そして、より大きな高みへ上るため、龍へと昇華した——
「革命の炎が激しく燃える! 支配と侵略に反逆の嵐を巻き起こしやがれ!
《革命龍 ドラッケン》!」
- Act7:鎧龍頂上決戦 ( No.248 )
- 日時: 2016/03/21 00:03
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: AfTzDSaa)
現れたのは、2本のサイリウムを掲げ、飛行機のような武装を身に纏い、胸にはプロペラを装備した龍だった。
そして、背中からは火焔の翼をはやしており、まるで全身が炎に包まれているかのように見える。
青いスカーフと相まって、まさに時代を切り裂く革命の司と言えるクリーチャーだった。
「《ドラッケン》で攻撃! この時、俺のシールドが2枚以下ならば、こいつの革命を発動する!」
ピンチの時。それに抗うため、生物とは、クリーチャーとは残る闘争本能と共に本来のそれを遥かに超えた力を発揮する。
革命軍のクリーチャーは、それを”革命”とし、使いこなすことが出来るのだ。
《ドラッケン》が咆哮を上げ、背中の炎が更に大きくなり、両手のサイリウムが大きなビームサーベルと化した。
「燃え上がれ、炎の翼! 新たな時代の扉をこの手で開け! 革命2、発動!」
山札から2枚を表向きにしながら、ヒナタは叫ぶ。
そこには《イフリート・ハンド》と《勝利天帝 G・メビウス》があった——!
「こいつの革命2で、俺は今表向きにした2枚から火のドラゴンを1枚選び、バトルゾーンに出せる! 残りは山札の下に置くぜ」
「な、馬鹿な——! 2枚から表向きにして選べるのか!?」
「そうだ! これが《ドラッケン》の革命だ! 《勝利天帝 Gメビウス》をバトルゾーンに!」
ガイアール・コマンド・ドラゴン、《Gメビウス》が数多を武器を掲げて現れた。キング・コマンド・ドラゴンを前にしても張り合える程の威厳を誇っており、むしろ王龍達の方がじりじりと押されているようにさえ見える。
話を戻すが、この手の連ドラパーツは運任せになるため、どうしても成功と失敗のムラが激しい。しかし、《ドラッケン》の力はそれに革命を起こした。2枚表向きにし、その中から選ぶのとでは、成功率は大違いなのだ。
だが、これだけでは終わらなかった。
「まだこれだけじゃ終わらねえぞ! 《ドラッケン》はもともと、攻撃時に山札の一番上を捲って、それが火のドラゴンだったらバトルゾーンに出せる、という効果を持っているんだ!」
「なっ——!?」
ジェイコフは驚きの声を上げた。
ただの一端の進化クリーチャーが、此処までの爆発力を持っていることも珍しいからだ。
コストも6と軽いうえに、火のクリーチャーからの文明進化とかなり召喚条件も緩い。
そのうえで、この爆発力を限定された条件下で発揮する。
これこそが、革命軍に共通する力だった。
革命龍 ドラッケン SR 火文明 (6)
進化クリーチャー:メガ・コマンド・ドラゴン/革命軍 11000
進化−自分の火のクリーチャー1体の上に置く。
W・ブレイカー
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目を表向きにする。それが火のドラゴンなら、バトルゾーンに出してもよい。
革命2−このクリーチャーが攻撃する時、自分のシールドが2つ以下なら、自分の山札の上から2枚を表向きにする。その中から火のドラゴンを1体、バトルゾーンに出してもよい。残りを好きな順序で山札の一番下に置く。
「そして山札1枚を表向きにして——よし、来た!! 《ドラッケン》、進化!」
そして、《ドラッケン》の頂きに更なる切札をたたきつける。
同時に、《ドラッケン》の身体に飛行機の装甲が纏われる。そして、翼は更に大きく、まるで天を舞う鳳のようになり、肩には巨大なガトリング砲が二門、現れた。
新たなる進化。
新たなる革命。
それは、その先に待つ勝利のため——
「革命の司よ、今こそ更なる進化の時! 暁の戦場に勝利を刻め!
《爆ぜる革命 ドラッケンA(アサルト)》!!」
——昇華した。
『おーっと、暁選手! まさかの二重進化をやってのけたぁぁぁーっ!! これが、革命の力だと言うのかぁぁぁーっ!!』
会場は最高潮に盛り上がる。
そして、ジェイコフは言い知れない不安を抱き始めていた。
「な、何だ、そいつは——!」
「見てりゃ分かるぜ! しっかりと焼き付けな!」
《ドラッケンA》の二門のガトリング砲が炎に包まれる。
それが、星型の《アサルト》を想起させるものに変わる。
そして、それが一気に撃ち放たれた——
「大いなる鳳龍よ、俺に力を貸せ! 俺の魂に従い、絶望に抗って革命せよ! 革命2、発動!」
一瞬だった。
回転するガトリング砲からジェイコフの場のクリーチャー達に向けて、機銃が掃射された。
「その効果で、お前のパワー13000以下のクリーチャーを全て破壊する! 鎧も、盾も、全部意味はねぇ!! お前の言うダイチごと、皆耕してやるぜ!」
「意趣返し——! 上手くなったじゃないか……!」
爆ぜる革命 ドラッケンA(アサルト) SR 火文明 (7)
進化クリーチャー:メガ・コマンド・ドラゴン/革命軍 13000
進化−自分の火のクリーチャー1体の上に置く。
T・ブレイカー
バトル中、このクリーチャーは破壊されない。
革命2−このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のシールドが2つ以下なら、相手のパワー13000以下のクリーチャーをすべて破壊する。
ジェイコフの場のクリーチャーの屈強な鎧など意味は無かった。
一瞬で全てが文字通り蹂躙され、破壊されていく。
彼の場にはもう、クリーチャーが居ない——!
「シールドを、T・ブレイクだ!」
ジェイコフ、残りシールド2枚。
そして、更に《Gメビウス》が一気に残るシールドへ躍りかかる。
「《Gメビウス》の効果発動! こいつが初めて攻撃する時、アンタップする! W・ブレイク!」
「くっ——トリガーは——無いか——!!」
風穴は開けた。
後は貫くだけだ。
拳を突き上げ、ヒナタはその名を呼ぶ——
「《勝利天帝 Gメビウス》でダイレクトアタック!!」
- Re: デュエル・マスターズ D・ステラ【鎧龍頂上決戦編】 ( No.249 )
- 日時: 2016/02/29 02:48
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 5Zruy792)
いい区切りっぽいのでひょっこり登場のモノクロです。今回も例によってクソ長いですけど、ご容赦願います。
唐突に出て来たコロナとアマゾカゼ、もといアマツカゼ。こいつらずっと見てたんですね。まさか鎧龍の生徒ってわけでもない……いや、そうとも言い切れないか。
そして素に戻ったリョウ。うん、彼はこうだった。少し安心。
やはりリョウには敬語がしっくりきますね。
で、次の相手は、天川来たかぁ……正確には天川監督率いるチームDですか。
なにより驚きなのは、ジェイコフが出て来たことですか。彼も、今作でも登場するのか。
前作では序盤の強敵のイメージが結構強かったので、モノクロとしてはクナイあたりと並ぶ注目選手ですね。
二回戦のラスボスは間違いなくジェイコフなんでしょうが、先鋒のホタルのリベンジマッチ、というか名誉挽回の対戦が、結構強めですね。
まあ、一回戦でドロマー超次元にボコボコにされたみたいですし、どこかで挽回する対戦があるんだろうなとは思っていましたが、思いのほか早かったな。そして思った以上に濃く描写されてたな……
あと、非常にどうでもいいですけど、鎧龍って意外と外国人とかハーフとか、海外の血混じってる人多いですね。校長とか、天川とか、この安藤君とか。
そしてノゾムがホタルに発破をかけるのは、もはやお約束ですけど……ノゾム、頭いいし理系っぽい脳みそしてるわりに、ド根性精神論だな……いや、理屈を立てて発破をかけられても、全然心に響かないと思いますけど。
なんにせよデュエマスタート。フルクリの白抜き4cホーガン相手じゃあ、案外《オリオティス》もそこまで刺さらないっていうのが辛いですね。精々、序盤に殴った時のトリガー獣を封じれるくらいですか。
とはいえホーガンも、《ドミティウス》のお陰で最近は結構立場が苦しくなってるみたいですけど。まあ、そこは後述する《T・クラウン》の上位互換さんが支援してくれているから、シナジーが生まれて《ホーガン》にする意義が大きくなっていますか。
ホタルの《オリオティス》は刺さりませんけど、安藤君の《エンターテイナー》は結構刺さりますね。天門もそうですけど、白単連鎖も封じられて厳しそう。光は踏み倒しを封じられると、かなり出遅れちゃいますからね。
《エンターテイナー》で一方的に踏み倒しを封じている中、自分だけ踏み倒す安藤君。スポーツマンシップにあるべきフェアプレイの精神に欠けてますね。まあ、実際のスポーツって、かなりドロドロしてるみたいですけど。
いきなり《サイバー・T・クラウン》の上位互換とか言われても、そんなマイナークリーチャーの効果はパッと出て来ないと思いつつ、《電河棲龍 T・フューリー》。名前の元ネタは、やっぱ戦車ですかね。ミリオタ気味な友人から、そんなタイトルの映画の話を聞いたことがあった気がする。
そして、こいつ地味にサイバー・コマンド・ドラゴンじゃん……まさかゲームオリジナル種族をぶっこんでくるとは……モノクロあのゲームやったことないですけど。
ホタルはなんとか意志を強く持ってますけど、《ホーガン》なり《ドミティウス》なり、その手の踏み倒しクリーチャーを《フォース・アゲイン》する《バベルギヌス》、やはり鬼畜ですね。こういうアドを取りまくるコンボで使われる《バベルギヌス》は嫌いじゃないですけど。
それにしても、安藤君、慎重ですね。《シュパック》が入っているとはいえ、ワンショットキルだけを狙って殴りませんか。いや、モノクロも殴りませんけど。天門や白単連鎖っぽいデッキの《アポカリプス・デイ》は流石に警戒できない。《スローリー・チェーン》くらいならありそうですけど。
それと、シールド減らすまで内心ではスパーク呪文に怯える安藤君。意外と彼、メンタル不安定?
それが顕著に出たらしい、《アポカリプス・デイ》リセット後の顔も激写されちゃってるし。
まあしかし、ホタルさん、煽るわ煽る、随分と煽りますなぁ。モノクロならヘイト溜まりまくりでキレてるかも。安藤君もキレ気味ですけど、流石にこれはイラッとくる。結果的に逆転できたわけだから、ある種当然なのかもしれませんけど。
とはいえ、ですよ。ボクサーは紳士たれ、というのがボクシング部の訓戒なら、新聞記者は相手の立場になって行動、を旨とすべきだと思うんですよね。モノクロはそう教えられました。いや、そんな話を持ち出すのはナンセンスですけどね。
そんな話はとりあえず置いておき、ここで来たか、《レオザワルド》。モノクロはホーガンやドミティウスみたいなデッキを組む時、フィニッシャーをどれくらい入れるか、そのバランス加減にいつも苦戦しているんですが、リセット前にフィニッシャー級のカードの多くを消費してしまったことが、安藤君の敗因の一つになりましたか。最後の一押しを用意できず。数を並べすぎた代償ですね。まあ、《アポカリ》警戒は難しそうなので、仕方ないと言えば仕方ないですけど。
最後は丁寧に《レオザワルド》の除去耐性も発揮して、きっちり終幕、と。危ない綱渡りするドラグハートですけど、上手く嵌められたらなかなか厄介ですよね、《レオザワルド》は。モノクロの見解では、安藤君がフィニッシャーを使い切ってしまったことが、結構大きかったようにも思えますが。
さて、意外に長かったホタルと安藤君の対戦も終わって、次はレンとコトハみたいですが……おい上級生、負けてんじゃねーか。
コトハは善戦してたみたいですが、レン……いや、知新ロマノフは型に嵌ったら相当きついですけど、前の対戦では同じワンショット系のシューゲイザーワンショット倒してたじゃないの……
一方ノゾムは主人公補正が安定してますね。そしてまたお前か、《Q.E.D.+》。いや、モノクロも毎回のように出してますけど。
今回は下級生二人が頑張ったところで、真打登場ですかね。やっとヒナタの出番が回ってきたようで。
相手はジェイコフ。前作では、確か5cだったかな? マナ溜めて強いカード連打するタイプのデッキだったと思いますが、赤単のヒナタは大丈夫なのか。
早速ジェイコフは《メンデルスゾーン》で1ブーストしかできず若干失敗してますけど、《フェアリー・ライフ》じゃないってことは、5cコンじゃなくて連ドラとかですかね。《ラ・ローゼ・ブルエ》が見えているから、4cは確定。《ジャックポット》《サイクリカ》とかアンカ少年みたいなことするのかなぁ……いやでも、《ヴィルヘルム》はいるだろうし、どうなんだろう。《デッドマン》やら《デッドブラッキオ》やら突っ込んで、5cデッドマンだったらほぼアンカ少年で笑いますけど。
こうやって登場キャラのデッキを考察するの楽しいですね。対戦結果出た後なので、白々しいですけど。
一方ヒナタの方は、赤単革命の進化ビート? 普通の赤単速攻よりはずっと遅いですし、防御も火力頼みだから、大型を使うジェイコフには薄いですけど、どうなるのか……革命発動まで凌げるかどうか、がヒナタが勝つためのキーになりますか。
《ドラッケン》を出し惜しみするヒナタに対して、ジェイコフは《ハチャトゥリアン》ですか。破壊と誕生のラプソディ……
希望の親衛隊ラプソディ C 光文明 (1)
クリーチャー:イニシエート/ハンター/エイリアン 500
希望の守り手ラプソディ C 光/闇/火文明 (3)
クリーチャー:イニシエート/エイリアン/ハンター 5500
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
ブロッカー
このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
絆の戦士ラプソディ R 光文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド/ハンター/エイリアン 7000
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目を見る。そのカードが呪文であれば、相手に見せてから裏向きにして、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。
W・ブレイカー
……やりたかっただけなので無視してください。ただの深夜テンションです。
《ラプソディ》はともかく、《ハチャトゥリアン》は個人的には好きなカードですね。元となった《破壊と誕生の神殿》自体が好きなんですが、除去と同時に踏み倒せるって素敵です。まあ、構築を少し弄らないと、狙ってクリーチャーを踏み倒すのは難しいですけど、一発除去かますだけでもそれなりに使えると思うんですよね。
ジェイコフは《ミツルギブースト》を出し入れして、上手くマナを減らさず二体除去してきましたか。こうやってカードをぐるぐる回しながらアド稼いでいくスタイルはとても好きです。その果てがイメンループなわけですが。
そしてそして、《シルド・ポルカ》で焼け石に水みたいな防御を張ってくるヒナタに、ジェイコフの《ヴィルヘルム》が突き刺さりますか。やっぱり彼にはこれですね。ジェイコフは《ヴィルヘルム》が似合います。モノクロも《ヴィルヘルム》好きです。とりあえず出しとけばポンポンアド稼いでくれるところが。
その裏でヒナタの回想。
フジ曰く、ヒナタは火文明の適合者ではないですか……まあ、フジパイセンがわざわざヒナタだけ呼びつけて、今までのことを総合的に考えたら、そうなんでしょうね……なんとなく予想はしてました。
あれでも、アンカ少年はヒナタのことを、適合者、って言ってたような……
これはどっちが正しんだろう。パイセンの言葉も少年の言葉も、正直どっちも信用できませんが。でも、そんなことで適当言う人らじゃないですしねぇ。
フジの言う適合の括りはなんか色々あるみたいですし、一口で適合者と言っても、両者がなにを指して適合しているかは違う、ってことなんですかね……フジはわざわざ“火文明の”って言ってますし、それがイコール白陽の適合者ではないとは限らない……? もしくは、白陽文明チェンジか。
そして、武装が絶望的と宣告されてしまったヒナタ。それが革命のカードを使うことにどう繋がるのかはいまいち理解できませんでしたが、要は火のカードを使いまくれば赤く染まるってことなのか……? そんなに単純なことなのか? というか、そんなこと人為的にできるのか。レンが似たようなことになってたから、できるのか。
うーん、分からん。
しかしフジパイセンはよくもまあ、そんなこと分かりますね。ある程度は憶測も混じってるんでしょうが、ほぼ確信に近いレベルで言っているような節もありますし。その自信の根拠は一体なんなのか。
回想終わり。
いよいよ詰めに入るジェイコフは《バルガライザー》ですか。これは本格的に連ドラですね。《ジャックポット》《サイクリカ》はないかな……?
《ラ・ローゼ・ブルエ》で守りを固め直しながら殴って、ヒナタを追いつめてますが……
蒼華の精霊龍 ラ・ローゼ・ブルエ SR 光文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 7500
ブロッカー
自分のドラゴンが攻撃またはブロックした時、自分の山札の上から1枚目を裏向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。
W・ブレイカー
光以外の呪文によって相手がバトルゾーンにあるクリーチャーを選ぶ時、このクリーチャーを選ぶことはできない。
……このように、《ラ・ローゼ・ブルエ》は光以外の呪文では選べないので、《イフリート・ハンド》では倒せないんですよね……火のトリガーでこいつ倒せるクリーチャーっていたっけな……《ボルシャック・ドギラゴン》くらいしか思いつかないです。
まあ、とりあえず、ジェイコフの猛攻を《革命の鉄拳》で凌ぎ切ったようで、これで革命の条件が満たされましたね。革命0トリガーで凌いでひっくり返すあたり、正に革命、って感じですね。火の革命らしさが出ています。
今まで温存していた《ドラッケン》がいよいよ登場で、ここから巻き返しますか。
そういえば、水といえば《ニコル・ボーラス》もいるか。デッキからして積んでそうですし、やっぱジェイコフは5cドラコンみたいなデッキなのかな。《リュウセイ・カイザー》でハンデスを牽制していたからか、卿は出て来なかったようですが。
加えてどうでもいいことですが、サイケリウムってなんだろう、ペンライトのことをそうとも言うのかな、と思って調べてみたら、たぶんこれ、サイリウムですね……自分の日本語が間違ってるのかと思って確認してしまいました。
進化も出せて初代バルガこと《バルガゲイザー》を思わせる《ドラッケン》の登場から、革命含め二体の踏み倒しで《Gメビウス》《ドラッケンA》と繋いで、ヒナタは一気に勝負を決めましたか。《ドラッケン》から《ドラッケンA》への攻撃中の進化が、侵略を思わせる演出……ではない、かな。流石に深読みか。
それでも、ちゃんと《ドラッケン》から《ドラッケンA》へと正統に進化する流れはいいですね。自身の効果で攻撃中に進化、というところが特に。
……そういえば、フジからLEGENDと金文字が刻まれたカードを渡されたみたいですけど、今回ヒナタ、レジェンドカード使ってないな……
- Act7:鎧龍頂上決戦 ( No.250 )
- 日時: 2016/03/01 14:48
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: S0f.hgkS)
***
『決着ぅぅぅーっっっ!! 勝者は、暁ヒナタ選手! よって、チームFが準決勝に進出だぁぁぁーっっっ!!』
「へっ、思い知ったかジェイコフ。これが俺の新たなデッキ、”火単ドラッケン”だ!」
「はぁ、全く……君にはいつも驚かされるよ。ハラショー。まさかあんな大きなクリーチャーをデッキに入れていたなんてね」
「つっても《ドラッケン》で踏み倒すのが前提で、あの1枚くれーだけどな、本当。大ギャンブルだったぜ」
「それを引き当てたのか……まあ良い。良いデュエルだった」
手を差し出すジェイコフ。
純粋にヒナタの実力に敬意を表しているのだろう。
「こっちもな。楽しかったぜ」
ぐっ、と握手をするヒナタ。
最高の勝負を終えた後の2人に、観客は盛大な拍手を送ったのだった。
***
「さっきも言ったかもだが、これはあくまでも応急措置っつーか、もしかしたら出来るかも程度のことだ。はっきり言ってなんの根拠もねえ。ヒナタがそれで武装が出来るようになるとは一言も言ってねえ。だからと言って、別の手段が思いついたわけでもねえ
そんな空気とは裏腹に、こちらはかなり淀んでいた。
此処まで自分がヒナタに行った特訓を全て話したフジだったが、やはりと言うべきか、ノゾムもホタルもレンもコトハも落胆を隠せなかった。
火文明のカードを完全に使いこなせるようになれば、適合者になれるとも限らないのだ。レンの例は例外中の例外中であるわけだし、と彼は続ける。
「はっきり言って、物事はそんな簡単には進まねえと思うんだよなあ。今のところ、俺の目に”見えた”限りでは——いやなんでもねえ」
「?」
「ともかくだ。ヒナタにはお前らからこの事は触れないでやれ。一番あいつがショックを受けていたからな」
顔を見合わせる各人。
やはり、此処は彼に配慮してやるべきなのだろう。
満面の笑みを浮かべて帰ってくるヒナタ。
その裏にはどれほど大きな苦悩が隠されているのか、改めて彼らは思い知るのことになったのだった——
***
準決勝。
ヒナタ達チームFは、先ほどの無念と鬱憤と汚名とその他諸々ストレスを晴らさんとばかりに——
「くたばりなさいっ!! 《ザウルピオ》でダイレクトアタック!!」
「精々美しく散れっ!! 《キラー・ザ・キル》でダイレクトアタック!!」
——先鋒と次鋒に回ったコトハとレンが2勝をもぎ取り、最後は中堅のノゾムがモノの見事に勝利し、決勝進出。
3勝コールド勝ちとなり、改めてその強さを観客に思い知らせたのだった。
何かすっげぇコトハとレンがいきり立っていた上に、プレイングが殺意マンマンだったことについては触れないでおこう。
と、こうなったことにより、時間に余裕のできた一同はテツヤ率いるチームAの準決勝の結果を控室で待っていた。
話を聞くと既に彼らの試合は終わりを迎えそうになっていたということ。どうやら今、大将戦が行われているらしい。
今回、サマートーナメントは幾つかのデュエルブースに分かれて試合がおこわなわれており、それぞれに実況や観客がついている。流石鎧龍、この辺もかなり大規模だ。
「おいおい、そろそろこれは試合が終わるな」
「そういや、相手は?」
「チームAはクナイが大将をやっているらしいが、対するチームGの対象は園芸部の部長、3回生の花村テルヒコ。この生徒写真を見ろ」
「はぁ」
見るからに、気弱そうで大人しめというか、糸目で周りにお花畑が舞っていそうな少年だ。園芸部の部長と言われれば、皆納得する風貌だ。趣味は家庭菜園、生け花。普段の使用デッキはスノーフェアリー。しかし、どうやら今回の大会では詳しくはまだ情報が入っていないが、違うデッキを使っているとの事。
とはいえデュエルの実力も、どうやら聞く限りによると、強いのは強いが、クナイに勝てるかどうかは疑問、とのことだった。
「よしっ! これでクナイと決着を付けられるぜ!」
「あたしは嫌よ。あのバカ兄貴と戦うのは」
「まあ、それぞれの思惑があるだろうな。僕は楽しみだ」
「おっ」
ドタドタ、という足音を聞きつけたフジがそれに反応する。
どうやら、試合結果を確認しに行ったノゾムとホタルが帰って来たらしい。
そのままバタン、と扉が開く。
が、よほど急いでやってきたのか、2人共息が上がっており、肩で呼吸していた。
「おいおい、随分とバテてんな」
「せ、先輩——試合の結果っすけど——」
「おう、クナイ達のチームが勝ったんだろ?」
「せ、先輩、それが——」
***
ヒナタ達が目にしたのは、デュエルテーブルで片や膝をついているクナイの姿だった。
観客席からでもはっきり見える程の愕然っぷりだった。
そして、一番異常だったのは、対戦相手の花村である。
「ブルンブルンブルンブルンブルン……!! 世の中敵だぁぁぁぁぁーっっっ!! 汚物は消毒だ、ヒャッハァァァァァーッッッ!!」
モヒカン、つり上がった目、釘バット、革ジャン、夜露死苦と書かれたダサT、そしてバイク——ではなく、それっぽいカバーを付けた二輪車にまたがり、先ほどからずっと、口で「ブルンブルンブルンブルンブルン」とエンジン音の真似事をやっている。
そして、一番認めたくない事柄は、この男が先ほど紹介された花村テルヒコということである。
「花村先輩すっげぇグレてるんだけどぉぉぉーっ!? デッキどころか魂替わりしてヤンキーにジョブチェンジしてんじゃねーか!!」
「趣味は家庭菜園と生け花だ」
「嘘つけ!! 何かの間違いだろ!! 別人じゃねーか完全に!!」
「俺様はぁぁぁーっ!! バイクとデュエマで世界を侵略する男、花村テルヒコだぁぁぁーっっっ!! 趣味は単車で花畑の上を爆走することだぁぁぁーっっっ!!」
「本人じゃねーか!! 確定しちまったよ!!」
「しかも趣味も恐ろしい方向に爆走してるわよ!! なにこれ、リトルコーチはどうしたの!?」
「泡吹いて起きないらしい。大会が始まってずっとな。ついでにテツヤも、観戦中に、あまりのショックで好物のウメトラ三兄弟をノドにつまらせて泡吹いて倒れたらしい」
「誰か病院連れてってあげて!!」
「こっそり駄菓子なんか食うからバチが当たったんだろ。ほっとけ」
「いや、冗談じゃねえよ!!」
「いったい何が……世の中には科学では証明できないことが……先輩、オレちょっと寝てきます」
「落ち着けノゾム! 頭から煙出てんぞお前!」
ともかく、落胆しながらやってくるクナイ。
申し訳なさそうな目でヒナタを一度見ると、「気を付けろ。奴は規格外だ」と言い残し、そのまま去っていったのだった。
ひゃはははは、と高笑いを上げる花村をもう一度見据えるヒナタ。
と、そのときだった。
『ヒナタ』
「白陽!? どうしたんだお前!! そういや、今日ずっと喋らなかったな」
『フジから、余計な口出しをするな、と我々全員にきつく言われていたのだ。お前達の戦いに水は差せんからな』
しかし、今見回すと、ノゾム達もそれぞれの相棒に話しかけられたらしかった。
フジも了承したように頷く。
『間違いないよ、ノゾム。あの男、何かがおかしい』
「マジかよ。まあ、薄々そう思ってたけどな」
『僕の見立てが正しければ、あれは火のクリーチャーですにゃ!』
「火のクリーチャー、ですって? 本当なの、ニャンクス」
『それもあの男に憑依しておるわい。タチが悪い』
「そうみたいですね……ハーシェル」
『黒鳥レン。あれからは恐ろしい気配を感じます』
「どうやら、貴様の見立ては正しいらしいな。僕も同意見だ」
そして、英雄達の意見も合致している。
今回の大会、やはり裏に影が潜んでいることは確定的になった。
「とにかく、俺達の祭りに水を差す不届きな連中は——この手で突き止めてやるっきゃねぇみてーだな!!」
控室へ戻っていく花村の背中。
そこには、燃え上がる侵略の炎が滾っていることに、ヒナタ達は気付き始めていた。
そして、これが革命と侵略のプロローグであったことは、まだ誰も知らない——
- コメ返し ( No.251 )
- 日時: 2016/03/01 16:02
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: S0f.hgkS)
モノクロさん
というわけで、今回もコメントありがとうございます。卒業式だとかの準備で色々多忙でしたが、コメは一応目に通しておきました。
後、そっちになかなかコメに行けないのが心苦しい。早くいかないと……。
まず、今回の敵は天川チームとなりましたが、同時に二回戦のボスとしてジェイコフに参戦してもらうことに。此処で出すしかなかったというか、彼にぴったりなカードが出たので、今此処で登場してもらうことになりました。
しかし先鋒のホタルの相手もなかなかキャラを濃いめにしましたからね。此処でオリカを使うくらいですから。
ちなみに、安藤の元ネタは”グラップラー刃牙”のアンドレアス・リーガンです。……ま、レスラーなんですけどね。
何でボクシングにしたって、アニメと被らせたくなかったのがありますが。ぶっちゃけると、この回あたりではかなりやりたいことをやりまくりました。
ノゾムの根性論も、相手がスポーツマン故ってのがありますかね。というか、ノゾム自身も剣道やってますし。あんまりこの設定が生きることないですけど。
というわけで今回のオリカ紹介コーナー。《電河棲龍 T・フューリー》ですが、こいつの元ネタは恐らく《G・ホーガン》とシナジーするように作られたであろう《サイバー・T・クラウン》です。
でも、もう1つ名前のモチーフになったのがいて、こっちはボクシングチャンプのタイソン・フューリーから取ってるんですよ。M4シャーマンは関係ないです。いや、その映画知ってますけど。生々しいということで。
まあ、こいつについてはまた後程。
このデュエルの序盤の動きはそのスポーツマンシップをガン無視して一方的に踏み倒す安藤と、一方的に踏み倒されるホタルの防衛戦ですね。
しかも、アドを取りまくり、どうやったら逆転の余地があるか、あるか、と考えながら執筆してました。正直言って、かなりきつかったです、作者の精神力的に。
安藤も安藤で、何度もスパーク系でやられたことがあるから、という裏設定があったり。あまりのアレさに《シュパック》を投入したという次第です。今回は光は光でも滅亡の光でしたが。
そして猛攻を乗り切った後の逆転劇。《アポカリプス・デイ》は彼女の代名詞みたいになってますが、そっちの光使いも使ってるんだよなあ……。
そして、今回描きたかったのは、長らく表面化していなかったホタルの新聞部というか……この煽り屋の一面ですね。久々です。言うなれば、ブン屋のカラスや某青葉に似たような面ですよ。はい。これは普段は猫を被っている——というよりは、作中でも解説した通り、興奮したり、ヒートアップしたりするとこうなってしまうということですね。スイッチが入るとこうなる。
そして、いつ出すか迷っていた《レオザワルド》を此処で出すことに。獅子怒君? ……さあ?
まあどの道このデュエル、かなり危なかったですね。ご都合主義的に、此処から一方的に蹂躙させるのではなく、安藤にも反撃させたり、という攻防が描写できたので満足です。
さて、コトハとレンとノゾムの試合は大きくすっ飛ばし(作者の精神力が持たない。というか、あんまりだらだらやりすぎると読者がダレかねないと思ったため。試合の取捨選択は大事)たものの、やっぱりダイジェストを如何に使いこなすかが大事ですよ。この辺もかなり悩みましたもん。
後、レンが負けたのは数の暴力というのもあります。シューゲイザーなら1体止めればよかったですが、ロマノフは墓地はおろか、実質山札から沸いて出てきますからね。それもカードが尽きるまで。
ノゾムの勝利は最早安定。安心できる。有能。
さてさて、ようやっと此処まで来ました。ホタル戦が執筆に2週間近くかかったのに対し、こっちは1日で全部書き上げてしまいましたよ。
というわけで今回のジェイコフのデッキですが、その通り5c連ドラですね。ただし、今回は水のカードが一切出せなかったのが心残りですが。まあ、最初はアンカ少年に似たようなことやらせようと思ったのですが、あまりにも一方的な蹂躙になって悲しい結果になったので、没。
というわけで、今回のキーカード、《偽りの王 ハチャトゥリアン》。オリカではなく、既存カードですが、こいつの元ネタはロシアの作曲家。そんでもってジェイコフはロシア国籍。組み合わせるしかなかった。こいつに使わせるしかなかった。後、そっちのラプソディじゃねえ。
《ミツルギブースト》を踏み倒し(最初はエメラルーダだったけどやめた)、マナの損失も実質0。
さらに《ヴィルヘルム》で追い打ちをかける結果に。こいつが出た時の絶望感よ。クリーチャーもマナも焼かれ、相手はマナが増える増える。優秀。
さて、ヒナタの回想ですが、此処にはかなりの重要なポイントが入っています。フジの言葉もアンカ少年の言葉も重要です。
そして、後の話ですが、これでもやはり応急措置でしかないんですよね。いずれ、フジは他の面子にも革命の力を身に付けさせるつもりでしたし。
ともかく、この場面はかなり重要ということは言っておきます。これ以上はね……。
さて、此処で恒例のミス。《ラ・ローゼ・ブルエ》は取り敢えず《メガ・ブレード・ドラゴン》に破壊されてもらいました。御指摘ありがとうございます。こいつ強力だっただけに、それで足を掬われることになろうとは。
それはさておき、今回の切札である《ドラッケン》が遂に登場。更に、前回は余り良いところが無かった《Gメビウス》も登場です。
さて、今回、革命能力の発動前に台詞を付けることにしました。少しテンポは悪くなりますけど、その辺気を付けていきたいですね。
相手の《バルガライザー》の登場に合わせたかのような登場に、胸が熱くなった読者も多いと思いたい……多分。
まあ、だけど《ドラッケンA》に進化させて相手を殲滅という流れは我ながら気に入っています。そしてこの辺の台詞、実は螺戦の《烈風》のアポスト・G発動時の台詞とかぶせているんですよね。航空機モチーフというのが同じですし。後、サイリウムでした。ついポケモンの癖が……。
さて、今回は此処までですね。更に1話、更新してしまいましたが。まあ、これも合わせてあれこれ考察していただいたら幸いです。それでは、また。
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