複雑・ファジー小説
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- 新任の養護教諭、香先生
- 日時: 2016/09/04 13:39
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
こんにちは または久しぶりな方もいるかもしれませんね。
奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。
さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.351 )
- 日時: 2016/11/06 15:58
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
菜月side
また、目が覚めた。 もう三回も寝ては起き、ちょっと寝ては起きを繰り返している。
もういい。 いっそのこと起きて、深夜の散歩にでも行こう。
自分の部屋から玄関の戸を開けるまでの動作を、これまでこんなに慎重に行ったことはない。 母に見つかったらと、気が気でなかった。
が、いざ外に出ると、大きな解放感に包まれた気がして嬉しくなった。 ちょっと眠気がさしてきたけど、気にせず夜道を歩き始めた。
午前一時。 ほとんどの家が真っ暗だった。
長瀬君と別れた後、母に先に茶封筒を開けられた。 中には英語の宿題が入っていた。
「菜月。 今からこれ解きなさい」
そう言って茶封筒を返してきた母の顔は、もういつもの顔に戻っていた。
心のどこかで「今日はもう、ゆっくりしなさい」って言ってくれるんじゃないかと、ちょっと期待していたのに。 やっぱりそうはいかなかった。
母の言葉に「うん、分かった」と返した私の声は震えてなかったかな?
いや・・・やめよう。 今はもう何も考えたくない。
そう思って目を閉じた瞬間、硬いものに思い切りぶつかった。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.352 )
- 日時: 2016/11/16 17:31
- 名前: 奈々化 (ID: ZUrGQhyc)
安佐子side
「おはようございまーす」
私が職員室に入ると「三神先生、大変ですよ!」と寺島先生が駆けてきた。
「何かあったんですか?」
「本居 菜月が、また病院に運ばれました!」
「な、なんですって?!」
寺島先生の後ろにいた柴田教頭先生が「横田先生に先に様子を見に行ってもらっています」
「わ、私・・・」
「三神先生も今すぐ行ってあげてください」
土江先生が泣きながら顔を出した。 その言葉に、寺島先生がうなずいたので「はい!」と駐車場に引き返し、車を病院へと走らせた。
「あの!」と受付の人に「本居 菜月の病室はどちらになりますか?」と聞いて病室を目指した。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.353 )
- 日時: 2016/11/18 16:25
- 名前: 奈々化 (ID: ZUrGQhyc)
香side
私が学校に着くと、職員室にいた先生方が校長の机に集まっていた。 と、校長が私に近づいてきて「横田先生」と低い声で切り出し「本居 菜月なんですが、今病院にいるそうです」と続けた。
「そうなんですか」と驚きの声を上げた。とっさに先生方を見回し、安佐子の姿を探した。 いない。
「もしかして、安佐k/・・・三神先生はもう先に?」
「いえ、まだ来てないんです。 なので、一足先に様子を見に」
その言葉に「はい!」と返し、早速、本居さんが搬送された病院に急いだ。
案内された病室に入ると、頭に包帯が巻かれた本居さんが、ベッドに横たわっていた。 また気絶したように、体に力が入っていないように見える。
安佐子はまだか、と思った時、ノックの音がして、私が振り向くより前に「香!」と安佐子が入って来た。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.354 )
- 日時: 2016/11/21 13:43
- 名前: 奈々化 (ID: ZUrGQhyc)
安佐子side
「あ、本居さん! な・・・、頭に包帯が!」
香に目を向けると「あんた」と文句を言いそうな顔になったので、奥に立ち尽くしていた看護師に「あの、これは一体」と尋ねた。
看護師は「ハ!」となり「ここに運ばれたとき、頭からの出血があり・・・八針ほど縫う手当てをいたしました」と言って「では、ごゆっくり」と病室を出て行った。
「は、八針縫った?」
「発見したのは、朝の犬の散歩をしていた人。 連絡を受けた警官が、ちょうど本居さんのことを知っていて、学校の番号を知っていたらしく、電話したらしい」
「そうなの・・・。 でも、なんで朝早くこんなことに」
「家でまた何かあったんでしょう。 ほら、そろそろテストだし、勉強にうるさそうなお母様だったから、昨日もちょっと遅くまで勉強させられてたんじゃないか?」
「まさか! いくらなんでも、倒れた子にそんな!」
しばらく沈黙が続いた。 その沈黙を「ねえ」と香が遮り、私の顔を上げさせた。
「今日の放課後、話そう。 本居さんのお母様と私達、三人で」
そう言うと香は顔を俯かせた。 そんな香に私は近づき「うん」と頷き「私も、もう我慢できない」と手を握り力を込めた。
「一旦、学校に戻ろう?」 私は先に病室を出て駐車場に向かった。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.355 )
- 日時: 2016/11/22 11:47
- 名前: 奈々化 (ID: ZUrGQhyc)
安佐子side
私達は学校に帰り、職員室の先生方に本居さんの様子を伝えた。
「お騒がせしました。 あとは、私と香でなんとかします」
「いいんですよ、そんな。 でも、横田先生となんとかするとは?」
「頭に包帯なんて・・・。 大丈夫なんですか、それ?」
先生方皆、心配そうな目で私を見る。 土江先生に至っては、もう机から顔を上げられないようで・・・
「では、先生方」
ずっと黙っていた池林校長先生が、私の隣に並び先生方を見回して「本居 菜月の無事も分かったので、それぞれ一時限目に向かって下さい」と続けた。
バラバラに「はい」と返事を返し、先生方はそれぞれ動き出した。 校長も「さて」と言い机に向かう。
私も急いで準備をして、三階に向かった。
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