複雑・ファジー小説
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- 新任の養護教諭、香先生
- 日時: 2016/09/04 13:39
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
こんにちは または久しぶりな方もいるかもしれませんね。
奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。
さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.216 )
- 日時: 2015/07/29 11:44
- 名前: 奈々化 (ID: Z1Z7gKIK)
愛結side
(どうしよう。 戻ってもいいけど……ていうか、さっきの人、保健室の先生だったのかな? そういえば、白衣着てた。 あの先生が保健室に入ったら、戻ろう)
私は二階に続く階段の前で立ち止まった。
(静か)
みんなが授業してる時って、こんな感じなんだ。
なんだか新鮮な気分。
授業が終わるまで、あと何分あるだろう? 私は時計を見に、廊下の窓に近づいた。
と、その時、チラッと目に映った赤いものに反応して、体が止まった。
(火災ベル)
気のせいかと思った。 でも、気かづいてそれが本物と分かった途端、自分の中の何かが騒いだ。
「火災の時のみ、押してください」と書いてある張り紙を見て見ぬふりし、私の手はボタンを押した。
耳をつんざく音を聞くと、あの日のことが思い起こされた。
あの時、姉はどんなに苦しかったか。 どんなに熱かったか。
そして、どんなに助けてほしかったか。
いつか、犯人たちに思い知らせてやるんだ。
あの日の
姉の苦しみを。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.217 )
- 日時: 2015/08/01 08:41
- 名前: 奈々化 (ID: Z1Z7gKIK)
ミニ美羽side
六時間目が始まって、わずか十分……火災ベルは鳴った。
「お! マジ?」
その声をきっかけに、教室はざわざわし出した。
「静かに。 放送が聞こえなくなる」
寺島先生が、やや厳しい声色(こわいろ)で皆を注意した。 でも、一向に放送は流れてこない。
ミニ柴田side
(ど、どういうことだ?)
私は廊下にある時計を見つめた。
確か予定では、2時50分に鳴らすはずだったが?
「柴田教頭? どうしました? ボーっとして」
「い、池林校長!」
私が振り返り、声を上げると「そんなに驚かなくても」と笑いながら言った。
「皆さんが集まる前に、我々も校庭に急ぎましょう」
池林校長は、私の横をゆっくり通り過ぎた。
言い出せなかった。
「私は押していません」なんて。
もうこうなった以上、避難するしかない。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.218 )
- 日時: 2015/08/02 07:38
- 名前: 奈々化 (ID: Z1Z7gKIK)
花side
寺島先生に「静かに」と注意されて、十分が経った。
「あれ? おかしいな。 放送って、流れないんだっけ? ただいまどこどこで火災が発生しましたって」
確かに、そのような指示が無いと、どうゆうルートで校庭まで避難すればいいのかわからない。
みんなが自然と難しい顔をする。 そんな時、ノイズのような音が聞こえてきた。
「お! やっとか」
先生はスピーカーを見上げた。
「えー、ただいま化学室で火災が発生しました。 化学室で火災が発生しました。 生徒は素直に担当の先生に従い、校庭まで避難するように」
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.219 )
- 日時: 2015/08/03 10:25
- 名前: 奈々化 (ID: Z1Z7gKIK)
愛結side
(化学室?)
放送が終わった二十秒後、階段を大人数で下りる音が聞こえてきた。
(ど、どうしよう!)
私はパニックになりながら、昇降口を目指した。
「ねえ、放送遅くなかった?」
体育館から出て来た女子が言った。
「確かに。 普通、もっと早く指示しないとダメだよね」
その子の友達らしき子が「うんうん」と返事をした。
私は固まった。
全く、考えてなかった。 ボタン、押した後のこと。
「本当の火事だったら、もう手遅れなんじゃない?」
私は思わず、声のした方を見た。 一人の女子につられて、周りの子も笑っている。
(笑うな!)
なんで、笑っていられるのか。 なんで、今、あなたたちは生きているのか。
それは本当の火事じゃないから。 あくまで、これは訓練だから。
「行かないの?」
不意に後ろから声をかけられた。 振り向くと、白衣を着た女の人。
(さっきの人)
「急がないと、焼死んじゃうよ? 本当だったら」
その人は「急がないと」と言ったわりには、小走りに校庭に向かって行った。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.220 )
- 日時: 2015/08/04 13:31
- 名前: 奈々化 (ID: Z1Z7gKIK)
ミニ柴田side
(言いたい)
なんだか、よくわからないのだが……これは、後に大きな事件になりそうな予感がする。
だから、校長に言いたい。
「私が押したんじゃないんです」と。
ミニ花side
「えー、わりと早く、皆さん行動できたと思います。 タイムは1分47秒です」
池林校長先生が、台に乗って話している。 その隣でなぜか、柴田教頭がオロオロしている。
私は首を傾げ、それを見ていた。
ミニ愛結side
「ごめん」
私は皆の間を縫って、自分の立ち位置に向かった。
「あ」
発せられた声に振り返った。 声の主は、同じクラスの須藤 沙代子さんだった。
「足、大丈夫?」
「うん」
私は短く答えた。
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