複雑・ファジー小説

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新任の養護教諭、香先生
日時: 2016/09/04 13:39
名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)

 こんにちは  または久しぶりな方もいるかもしれませんね。

 奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。

 さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
 
 また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。


Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.146 )
日時: 2015/04/12 11:32
名前: 奈々化 (ID: SSNg/Zhu)

 美羽side

 「ピクシュッ! さ、寒い!」

 私はくしゃみと同時に、目が覚めた。 でも、薄暗く冷たい空気に包まれている。 

 (えーっと、確か看護婦さんが毛布を足元に……って、ベッドにしては感触が固いような……あ!)

 私はあれこれ考えているうちに、病室から誰かに運び出されたのを思い出した。

 じゃあ、一体ここはどこなのか。 

 私は手足に視線を落とした。 縛られていると思ったのだが、そんなこともなく、縛られた痕もなかった。

 随分と座っていたのか、立ち上がると、足にしびれが走った。 うまく力が入らないなか、右足を引きずるようにして、両手を壁に当てながら慎重に歩いて行く。

 突然、ふわっとした何かが手に触れた。 布のようだった。

 私は思い切って、それを掴んでみた。 自分の方に引き寄せてみる。 と、上の方でシャッと音がした。 少し部屋が明るくなったように感じた。

 「あ! これ!」

 私は物の正体がわかり、布を思い切り左にスライドさせた。

 それはカーテンだった。 どうりで、部屋が明るくなったわけだ。

 久々の温かい光のぬくもりに、今の自分の状況を忘れ、うっとりしてしまう。

 私はほっとして、その場に座り込んだ。 と、その時「うーん」と唸る声がした。

 私ははっと立ち上がり、声のした方を向く。 女の声だったように思う。 

 ふと、日の光によって照らされている二つの足に目が行った。 私は残ったカーテンを右にスライドさせ、部屋の全体を明るくした。 

 私は振り返り、女に目をやる。 そこには、母、佳代の姿があった。

 「お母さん!」

 私はすぐに母に駆け寄った。 見ると、母の手足は縛られていて、口はガムテープで塞がれていた。

 (なんで、お母さんにだけこんなこと)

 誰がこんなことをしたのか……ここまでくれば、嫌でも答えがわかってしまった。

 「親子仲良く、お目覚めか?」

 タイミングがいいのか悪いのか。 私の想像道りの人物が入って来た。

 「来るな」

 私は小さくつぶやいた。

 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.147 )
日時: 2015/04/17 21:12
名前: 奈々化 (ID: SSNg/Zhu)

 安佐子side

 「!」

 私は突然聞こえた声に、また赤信号を無視してしまった。

 「三神先生、また」と、古志野さんが驚きの声を上げる。 そんな彼女に私はハンドルを握り、前を見たまま「聞こえたの」と小さくつぶやくのがやっとだった。

 二人だけの静かな車内だったこともあり、古志野さんの耳には、私のつぶやきがはっきりと聞こえたらしい。

 「聞こえたって……まさか、声ですか?! 美羽の声が聞こえたんですか?」

 私は古志野さんに激しくうなずき返して「そう「来るな」って聞こえた」と答えた。

 「来るな……やっぱり、美羽は治人さんといるみたいですね」

 「行先変更ね」

 「はい、急ぎましょう」

 古志野さんがそう言った時、信号が赤に変わった。 今度はちゃんと止まることができた。

 私はポケットから携帯を取り出し、香の携帯に発信した。





 香side

 「はい、もしもし」

 「あ、私、安佐子だけど」

 「うん、分かってる。 だから出たんだけど。 で、何?」

 「病院に行くの辞めた。 今から、錦さんの家に行こうと思うの」

 (ふーん……たまには、役に立つのね)

 「聞いたんだ……錦さんの声を」

 「うん」

 「分かった、じゃあ、後で」

 私はそう言って、電話を切ろうとした。 でも「あ、後でって?」と安佐子に聞き返された。

 「私もう、錦さん家の近くに来てるんだよね」

 私はさらっと言ってみせた。

 「え、学校は? 保健室、どうしたの?」

 「あー、鍵閉めてきちゃった」

 



 ミニ安佐子side

 「えーーーー!!!」

 私はあまりの驚きに、叫んでしまった。 古志野さんは私の叫びに、隣で飛び上がっている。

 「ちょっ、え、香! かおr……」

 電話はすでに切られていた。

 「何があったんですか? 電話の相手って、横田s/」

 「アイツは…とに、いつm…つも…#$%”&&」

 「三神先生?」

 「許さねえ!!」

 「!!」

 「待ってろ、香のバカヤロー!!」



 花side

 どういう訳か……三神先生の態度が豹変してしまいました。

 「落ち着いてください! 三神先s」 ”ゴンッ” 「あたっ(痛っ)」

 ダッシュボードに頭をぶつけました。

 

 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.148 )
日時: 2015/04/19 11:52
名前: 奈々化 (ID: SSNg/Zhu)

 香side

 「さて、これで血相変えて、安佐子はこっちに向かって来るはず」

 私は携帯をポケットにしまい、錦家に向き直った。

 (家は傷つけるな……あくまで治人だけにダメージを)

 そう自分に言い聞かせ、静かに錦家の玄関の戸を引いた。

 暗い廊下の中、一つ、ぼんやりと明るい部屋があった。 きっと、そこに錦さんと治人がいる。

 私は靴を脱ぎ、慎重にその部屋を目指す。 近づいてから、部屋の引き戸が開けっ放しなのに気付いた。

 息をひそめて、そっと部屋の様子をうかがう。 テーブルに遮られて、はっきりとは見えないけど、三人の姿を確認することができた。

 と、一人の顔がこちらを振り返った。 私は急いで顔を引っ込める。 が、こちらに向かって足音が近づいて来た。

 しばらくじっとしていると、足音は聞こえなくなった。 

 (気のせいだと思ったのか?)

 私はほっと息ついて、再び部屋の様子を見てみた。

 そこには二人しかいなかった。 私が思うに、いなくなったのは治人だ。 と、ここで一つの疑問が浮かんだ。

 (治人がいなくなったのに、二人残るのはどうしてだろう。 まぁ、そのうちの一人が錦さんだとして……! まさか)

 私はそう思い立ったと同時に、部屋の中に駆け込んだ。

 「!」 私の予感は的中した。

 今、私の目の前には、錦さんと、母、佳代さんの姿があった。

 「二人とも、しっかり!」

 私がそう声をかけた時、後ろから強い殺気を感じた。

 「何者だ、貴様」

 治人だった。 開けられたカーテンから入って来る光によって、彼の足元だけが照らされていた。

 「申し訳ありません」 私はそう言って、かがめていた体を起こし、治人と向かい合った。

 「錦 美羽さんの通う高校の、養護教諭を務めております。 横田 香と言います」

 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.149 )
日時: 2015/04/19 19:21
名前: 奈々化 (ID: SSNg/Zhu)

 美羽side

 私はざわざわとした中、目を覚ました。

 治人に向かって「来るな」と言ったのは覚えている。 でも、ナイフを首に突き付けられて、気を失わずにいられなかった。

 そして気が付けば、今私の目の前には、横田先生がいた。

 「担任でもないあんたが、ここに何の用だ」

 「決まってるじゃないですか。 美羽さんに「お父さんを直してほしい」って頼まれたからですよ」

 「俺を直す?」

 治人は呆れて、顔を歪ませた。 確かに「直してほしい」なんてお願いはしていない。 ただ、悩みを打ち明けただけ。

 「ならば、私がすることは二つ」

 「二つ?」

 私も思ったことを、治人が聞き返した。

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.150 )
日時: 2015/04/20 17:09
名前: 奈々化 (ID: SSNg/Zhu)

 香side

 「では」

 私は、そう言って、治人の襟元を掴み「一つ目いきますね」と笑ってみせた。

 「だから、一つ目とか二つ目とか、一体何のh/」

 治人が何か言いかけたが、私の動きは止まらず、治人の背中を思い切り床に打ち付けた。

 「これが、私の怒りです。 次に」

 治人の表情は、すっかり怯えきっていたが、まだ足りない。

 私は治人の体を起こし、ナイフを持っている右手の自由がきかないように、後ろに回した。

 「痛ーな! 女のやることか?」

 「これぐらいで、音を上げるなんて……。 じゃあ、次のとどめで死ぬかもしれませんね?」

 「な、何を! 貴様、ぜってー後で覚えてろよ!」

 「言いたいことはそれだけですか? では、永遠にさようなら」

 「はあ?」

 私は治人から離れ、十分な距離を取った後、彼の脇腹をめがけて、足を蹴り上げた。

 「ゴボッ」 治人が机の角に頭をぶつけた。 

 ゆっくりとした動きで、床に頭をぶつけた。

 音を聞いた限り、石頭なようだ。 まぁ、死ぬことはないだろう。

 


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