複雑・ファジー小説

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新任の養護教諭、香先生
日時: 2016/09/04 13:39
名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)

 こんにちは  または久しぶりな方もいるかもしれませんね。

 奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。

 さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
 
 また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。


Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.191 )
日時: 2015/06/05 20:29
名前: 奈々化 (ID: SSNg/Zhu)

 花side

 美羽には悪いことをしたと思う。

 昨日、なんでメールで済ませちゃったんだろう? 

 私はふと思った。 そして、昨日、帰宅してからのことを思い出してみることにした。

 確か……



 私が家に帰ると、弟の直哉が、すでに帰って来ていて……

 リビングから、テレビ見ながら笑う声が聞こえたんだっけ。

 「また、宿題より先に」とぼやきながら、階段を上がって自分の部屋に行って、着替えて下りて、水を飲みに台所に向かった時…

 「スパン」って、何かが私の後頭部に直撃して……

 「!」

 私は思い出した。

 そうだ! 直哉のせいで、美羽に電話することを忘れて、メールで済ませる形に……うううー

 (美羽、ごめん!)

 私は頭を下げた。 当然、机に激しくおでこをぶつけ「あだ!」と声を上げることとなった。 素早く姿勢を正したものの、教壇に立つ先生と目があった。

 (ね、寝てません! 寝てなんかいませんでしたよ、私!)

 私は必死にノートを写した。


 ちなみに今は、三限目です。

 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.192 )
日時: 2015/06/07 15:12
名前: 奈々化 (ID: SSNg/Zhu)

 香side
 
 今日は、生徒の出入りが、あまりない。

 安佐子も、本当に来ないし……別にそれが寂しいわけでもないんだけど……。

 今日から、別の意味でうるさくなるのを忘れていた。

 (工事、今日からだったんだ)

 数日前、校長から知らされてはいた。 でも、まさか今日からとは思わなかった。

 ここが一階だからか知らないけど、工事の音が直接耳に入って来る状態だ。

 (ああ、頭痛に響く。 何もやる気がなくなってしまう)

 そんな時、チャイムが鳴った。 時計を見ると、三時限目が終わったころだった。

 廊下で生徒たちの声が聞こえ始めた。 

 ガラッと、保健室の戸が開かれ、男子生徒が一人入って来た。

 「先生。 湿布、下さい」

 男子生徒はそう言って、足首を指差した。

 「捻ったの?」 私は薬品の棚に移動しながら尋ねた。

 「はい。 いつの間にか」

 「そう。 くれぐれもお大事に。 はい、どうぞ」

 私は、男子生徒に湿布を渡しながら、なるべく優しく笑いかけた。


 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.193 )
日時: 2015/06/08 15:04
名前: 奈々化 (ID: SSNg/Zhu)

 愛結side

 四時限目が始まった。

 時刻で言えば、午後に入ったけど、授業としてはまだ午前扱いだから、この授業の間は、火災ベルは鳴らないかもしれない。

 私はチラッと、時間割り表に目をやった。

 五時間目は国語。 六時間目は……

 (体育)

 私は手を止め、その二文字をじっと見つめた。

 (もし、五時間目に火災ベルが鳴らなかったら……)

 私の頭の中で、一つの計画が浮かんだ。

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.194 )
日時: 2015/06/11 16:15
名前: 奈々化 (ID: SSNg/Zhu)

 南side

 「あれー? また?」

 私はコピー機の前にしゃがみ込んだ。

 また、紙詰まりを起こしたらしい。 

 「ほんと、最近しょっちゅうこうなんだから。 校長、いよいよ新しいのおいてくれないかしら?」

 私は、コピー機に故障中と書かれた紙を張り付け、とりあえず印刷できたものを手に、もう一つのコピー機に向かった。

 一番上に問題集を……って、問題集が!

 挟んだままだった。

 私がそう振り返った時

 「もしかして、これですか?」

 問題集を差し出された。 「あ、ありがとうございます」と、それを手に取り、顔を見ようと顔を上げた。

 「どういたしまして」

 そこには三神先生がいた。

 お互い面と向かって話すのは、これが初めてのことだった。

 

 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.195 )
日時: 2015/06/12 17:03
名前: 奈々化 (ID: SSNg/Zhu)

 安佐子side

 (えっと……この人…何て名前だったかしら?)

 私は見慣れない顔に戸惑った。 この学校に来て二カ月が経とうとしている。 でも、まともに話したことがあるのは、寺島先生くらいだ。

 まぁ、話さないにしても、何とか顔と名前が一致してきたが……。

 (初めて来たとき、香と一緒に、ざっと自己紹介を聞いた気が……ん———…!)

 「あ!」

 私がそう声を上げると、隣でビクッと跳ねる気配がした。

 「土江先生! ですよね?」

 「は、はは、はい。 土江…です」

 「あー、良かった。 思い出せて。 なかなか話したことがないから、名前がすぐに出て来なくて」

 「あ、いえ、それは私もですので……えっと」

 土江先生は中腰になり、顔だけを上げて私を見た。 私は「は」っとして「三神 安佐子です」と笑いかけた。

 「ああ! やっぱり、あなたが新任の国語教師としてやって来た、三神先生だったんですね! 私、始業式の日、遅れて来て」

 「そうだったんですか。 あ、確かに校長が「まだ一人いませんが」っておっしゃってました。 遅れて来た、なんて、何かあったんですか?」

 「実は、ここに来て五年経った今年、初めて担任を務めることになって……緊張で眠れなくて、つい、寝坊を」

 「ああ、それ、よくわかります。 眠れないですよね。 私も過去いた学校で担任を任せられたときは、もう、心臓が飛び出そうでした」

 「そうですよね—。 慣れないことには緊張…ええ!」

 

 南side

 (し、知らなかった)

 三神先生が他の学校で、担任を務めたことがあったなんて!

 「担任」

 私は一歩、三神先生に詰め寄る。

 「ここが初めてじゃないんですか?」

 「はい」

 三神先生の笑顔が、急に眩しく感じた。

 担任の経験が無い者同士と思い、自分の中で「仲間だ出来た」と勝手に盛り上がっていた。 でも、担任の経験があるなら、それはなおさら……!

 「三神先輩!」

 心強いじゃないですか!

 「あれ? 土江先生って今年、2k/」

 「うおおおお!」

 私は三神先生の手を取ろうとしたのだが、寺島先生に自分の方が年上だとばらされそうになったので……

 「あばっ!」

 私の両手は、寺島先生の襟を掴み、勢いに任せ、彼の背中を職員室の床に叩きつけるために使われた。

 私が「は」っと我に返ったのは、いまだ床に倒れ、白目をむいている寺島先生に「大丈夫ですか?」と三神先生が駆け寄った時だった。


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